JP2008209170A - 光吸収計測チップ及び当該光吸収計測チップを備えた導波路型の分光分析器 - Google Patents

光吸収計測チップ及び当該光吸収計測チップを備えた導波路型の分光分析器 Download PDF

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昭浩 若原
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Abstract

【課題】非水溶性の被測定対象物の水分濃度を、迅速に知ることができ、汚濁した被測定対象物でも水分濃度を容易に測定可能で、且つ、被測定対象物の種類によらず、水分濃度の測定が可能な光吸収計測チップ及び導波路型の分光分析器を提供する。
【解決手段】上方が開口された四角形の箱状に形成された下部ケース3内に、センサヘッド基板10を水平に保持するセンサヘッド基板保持部3aが設けられ、センサヘッド基板保持部3aの上部の一端部には、発光素子である発光ダイオード4が設けられ、センサヘッド基板保持部3aの上部の他端部には、受光部であるフォトトランジスタ5が設けられている。センサヘッド基板10は、導波路となる透明基板11上に光負荷膜12が設けられ、光負荷膜12にエバネッセント光が滲み出す。当該光負荷膜12上に被測定対象物を滴下して、光負荷膜12の吸光度により被測定対象物の水分濃度を測定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、光吸収計測チップ及び当該光吸収計測チップを備えた導波路型の分光分析器に関する。
従来、精密機械加工用の潤滑油、電機絶縁油、船舶等のエンジン潤滑油、電子工業用非含水洗浄液などでは、その水分含有量測定が品質管理、工程管理、安全性確保などの観点から広く行われている。これらの水分含有量の測定は、サンプルの抽出後時間をかけると、サンプルの格納容器や空気中からの水分供給により測定精度が大きく影響されるため、現場で行うことが望ましい。現状は、水と油等との誘電率差を利用した静電容量測定方式、水分子に特有の光吸収の吸光度を用いる分光形式(IR測定及び光音響測定)、水との化学反応により発生する水素の圧力計測を用いた方法、及び滴定分析法(カールフィッシャー法)が用いられている。
また、湿度センサとして、細径のコアおよびクラッドからなるシングルモード導波路の一部もしくは全部のクラッドを薄肉とし、エバネッセント光滲出部分を表面に露出してセンサ部を形成した湿度センサが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開昭62−50643号公報
しかしながら、静電容量測定方式では、使用者による被測定対象物の汚染の進み方も含めて、対象物に合わせて検量線を引く必要があり、個々のユーザに合わせた個別対応となり、被測定物の仕様や使用条件が異なると、検量線の引き直しが必要になるなど、測定環境に対する柔軟性がないという問題がある。また、水分子に特有の光吸収測定では、油の種類により、ブランク値が変動し、また、潤滑油の使用により汚濁物質が増加すると基礎吸収が増えてしまい、静電容量測定方式と同様の問題がある。さらに、水分と水素化カルシュームの反応により発生する水素の圧力を測定する方法は、現場での計測が可能であるが、測定精度が200ppm以上の範囲に限られるなど精度が不十分である。また、常時のモニタリング分析は不可能である。カールフィッシャー法は、最も高精度で信頼性も高いが、測定に時間がかかるため、現場での分析には向かないという問題点がある。また、特許文献1に記載の湿度センサでは、エバネッセント光を資料に直接当てるものであり、資料が使用済みの潤滑油のように汚染されていると、資料の水分濃度を正確に測定できないという問題点があった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、非水溶性の被測定対象物の水分濃度(含水率)を、迅速に知ることができ、汚濁した被測定対象物でも水分濃度を容易に測定可能で、且つ、被測定対象物の種類によらず、水分濃度の測定が可能な光吸収計測チップ及び当該光吸収計測チップを備えた導波路型の分光分析器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の光吸収計測チップは、透明基板を導波路とし、当該透明基板上に光負荷膜を形成し、前記導波路に伝搬させた測定光のエバネッセント光により前記光負荷膜の吸光度を測定することで、前記光負荷膜上に滴下した被測定対象物の水分濃度を計測する導波路型の分光分析器に使用される光吸収計測チップであって、前記透明基板は、被測定対象物よりも屈折率が高く、且つ、全反射可能であり、前記光負荷膜は、水と選択的に反応して光吸収スペクトルの変化する物質であることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明の光吸収計測チップは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記光負荷膜は、Co錯体を担持した多孔質膜であることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明の光吸収計測チップは、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記透明基板は、被測定対象物よりも屈折率が0.3以上高いことを特徴とする。
また、請求項4に係る発明の光吸収計測チップは、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の構成に加え、前記光負荷膜の膜厚は、0.2μm〜1μmであることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明の導波路型の分光分析器は、請求項1乃至4の何れかに記載の光吸収計測チップを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項1に係る発明の光吸収計測チップでは、透明基板は、被測定対象物よりも屈折率が高く、且つ、全反射可能であるので、エバネッセント光を透明基板の表面に滲出させることができ、透明基板の表面の光負荷膜は、水と選択的に反応して光吸収スペクトルが変化する。従って、光負荷膜上に滴下した被測定対象物中にエバネッセント光を直接通さないので、汚濁した被測定対象物でも水分濃度(含水率)が容易に測定可能で、光を通さない非水溶性の被測定対象物の水分濃度(含水率)を、迅速に知ることができる。また、被測定対象物としては、液体、ゲル等の種類によらず、水分濃度(含水率)の測定が可能となる。
また、請求項2に係る発明の光吸収計測チップでは、請求項1に記載の発明の効果に加え、光負荷膜はCo錯体を担持した多孔質膜であるので、光負荷膜上に滴下した被測定対象物中の水分と選択的に反応して光吸収スペクトルを変化させることができるので、光を通さない非水溶性の被測定対象物の水分濃度(含水率)を測定できる。
また、請求項3に係る発明の光吸収計測チップでは、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、前記透明基板は、被測定対象物よりも屈折率が0.3以上高いので、透明基板と光負荷膜との境界で、光の全反射が可能となり、エバネッセント光を光負荷膜に滲み出すことができる。
また、請求項4に係る発明の光吸収計測チップでは、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、光負荷膜の膜厚は、0.2μm〜1μmであるので、Co錯体が被測定対象物中に溶出することがない。
また、請求項5に係る発明の導波路型の分光分析器は、請求項1乃至4の何れかに記載の光吸収計測チップを備えているので、請求項1乃至4と同様の効果を奏することができる。
以下、本発明の第1の実施形態である光吸収計測チップ1について、図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態である光吸収計測チップ1の平面図であり、図2は、図1に示す光吸収計測チップ1のA−A線における矢視方向断面図であり、図3は、光吸収計測チップ1のセンサヘッド基板10の縦断面図であり、図4は、センサヘッド基板10の光吸収計測チップ1の下部ケース3への組み付けを示す光吸収計測チップ1の断面図である。
はじめに、本発明の第1の実施形態である光吸収計測チップ1の機械的構造について図1乃至図4を参照して説明する。図1に示すように、光吸収計測チップ1は、平面視正方形に形成された直方体形状の小型の素子であり、その上面には、図1及び図2に示すように、正方形の板状のセンサヘッド基板10が設けられている。このセンサヘッド基板10は、一例として、一辺が20mmで、正方形の多層基板であり、図3に示すように、下側が、透明基板11から構成され、当該透明基板11の上には、水と選択的に反応して光吸収スペクトルの変化する物質から構成された光負荷膜12が設けられている。この光負荷膜12の一例としては、Co錯体を担持した多孔質の膜を用いることができる。尚、当該透明基板11への入射光を透明基板11と光負荷膜12との境界面で全反射行うために、透明基板11の屈折率は光負荷膜12の屈折率よりも高いことが必要である。
また、透明基板11の一例としては、サファイヤ、サファイヤ硝子、及び屈折率が被測定対象物より高い硝子(例えば、被測定対象物がエンジンオイル等の油である場合には、屈折率が油より高い1.7以上の可視光域で透明な硝子)を用いることができる。さらに、透明基板11の厚みの一例としては、300μmのものを用いることができる。この透明基板11は、その屈折率が被測定対象物よりも高く、且つ、入射光が全反射可能であることが必要である。
また、光負荷膜12としては、Co錯体を担持した多孔質の膜を用いることができ、その一例としては、Co錯体を添加したポーラスなシリカ膜(一例としてシリカゲル)の0.2μm〜1μmの薄膜を用いることができる。尚、光負荷膜12の作成工程の詳細は後述する。
尚、光吸収計測チップ1は、図2及び図4に示すように、上方が開口された四角形の箱状に形成された下部ケース3内に、センサヘッド基板10を水平に保持するセンサヘッド基板保持部3aが設けられ、センサヘッド基板保持部3aの上部の一端部には、発光素子である発光ダイオード4が設けられ、センサヘッド基板保持部3aの上部の他端部には、受光部であるフォトトランジスタ5が設けられている。そして、センサヘッド基板10は着脱可能にセンサヘッド基板保持部3aに載置され、平面視「ロ」の字型の上部ケース2により下部ケース3に固定される。尚、光吸収計測チップ1の下部ケース3の4つの側面は、各々、横長の長方形の側壁3bにより構成されている。ここで、透明基板11の内部が光の導波路を形成し、透明基板11の上側の面で発光ダイオード4から発せられた光が全反射すると、透明基板11上の光負荷膜12にエバネッセント光が洩れ出すことになる。
次に、図5に示す光負荷膜12の作成工程のフローチャートを用いて、光負荷膜12の作成工程の一例を説明する。図5に示すように、まず、第1工程として、ケイ素のアルコキシド、コバルト塩、エタノール、水、酸の適量を混合し、溶液を調製する(S1)。
第1工程での主反応としては、以下の反応が生じる。
nSi(OR) + 4nHO → nSiO(OH) + 4ROH
次に、第2工程として、第1工程で調製した溶液に多孔質粒子を加え混合する(S2)。尚、多孔質粒子の一例としては、ゼオライト等を用いても良い。次いで、第3工程として、第2工程で作成した混合溶液をスピンコートにより透明基板11上に塗布する(S3)。
最後に第4工程として、第3工程で混合溶液をスピンコートで塗布した透明基板11を高温加熱により、溶媒を蒸発させ膜を定着させる。加熱焼結温度の一例としては、250℃以下にする。加熱温度を250℃より大きくすると、Co錯体が酸化し、光負荷膜としての機能を奏しなくなるからである。従って、一例として、250℃で焼結すると、Co錯体が酸化を防止しつつ効率良く加熱焼結温できる。
第4工程での主反応としては、以下の反応が生じる。
nSiO(OH) → nSiO + nH
次に、図6を参照して、センサヘッド基板10の第2の実施の形態を説明する。図6は、センサヘッド基板10の第2の実施の形態の縦断面図である。この第2の実施の形態のセンサヘッド基板10では、透明基板11及び光負荷膜12の材質や構成は第1の実施の形態のセンサヘッド基板10と同じであるが、透明基板11上に光負荷膜12の密着剤層13としてのSiO のスパッタリングによる薄膜が形成されている。この膜厚は、数10nm程度である。この第2の実施の形態のセンサヘッド基板10のように、密着剤層13を設けることになり、光負荷膜12の密着性の悪い特殊な高屈折率硝子等に光負荷膜12を密着させて光負荷膜12の剥落を防止できる。
次に、図7を参照して、センサヘッド基板10の第3の実施の形態を説明する。図7は、センサヘッド基板10の第3の実施の形態の縦断面図である。この第3の実施の形態のセンサヘッド基板10では、透明基板11、光負荷膜12、密着剤層13の材質や構成は第2の実施の形態のセンサヘッド基板10と同じであるが、光負荷膜12上に特定の溶液中で測定対象の分子を選択的に透過させることができる保護膜14が設けられている。保護膜14の一例としては、エンジンオイル等の油に含まれる水分濃度(含水率)を測定する場合には、当該油が保護膜14に接触した場合に、水の分子のみを選択的に透過できる膜を用いる。例えば、被測定対象の資料中でのみ透水性が発現する有機シリコン系被膜で覆うことにより、大気中の水分の影響を排除できる。尚、保護膜14もスパッタリング又はスピンコート等により形成することができる。この保護膜14により、光負荷膜12が覆われて保護されているので、大気中の水分の影響を排除して、測定対象の分子を選択的に透過させることができる。
次に、図8を参照して、上記構成を有する光吸収計測チップ1を備えた導波路型の分光分析器50について説明する。図8は、分光分析器50の一例の平面図である。図8に示すように、分光分析器50は、周知の携帯情報端末(PDA)51の上部のコネクタにアダプタユニット20を差し込み、このアダプタユニット20に、光吸収計測チップ1が設けられているものである。尚、アダプタユニット20内には、携帯情報端末51とのインターフェース回路等が内蔵され、電源は、携帯情報端末51から供給されるようになっている。そして、光吸収計測チップ1からの検出信号は、アダプタユニット20内のインターフェース回路で変換されて、携帯情報端末51に入力され、携帯情報端末51のメモリに記憶された計測プログラムにより、携帯情報端末51の表示画面52に、光吸収計測チップ1のセンサヘッド基板10に滴下された被測定対象物(例えば、油等)の含む水分濃度(含水率)や水分量が表示される。
次に、光吸収計測チップ1を用いた被測定対象物の含む水分濃度の測定原理について説明する。この光吸収計測チップ1は、センサヘッド基板10を構成する透明基板11内を光の導波路とする。そして、当該透明基板11上に、水と選択的に反応して光吸収スペクトルの変化する物質(例えば、Co錯体を担持したポーラスな多孔質膜)から構成された光負荷膜12を形成し、当該光負荷膜12上に被測定対象物である液体等を滴下する。透明基板11での全反射により光負荷膜12には、エバネッセント光が洩れ出すことになる。そして、光負荷膜12は、滴下された被測定対象物中の水分と選択的に反応して(光負荷膜12の水分との反応が環境との平衡による可逆反応をおこして)エバネッセント光の光吸収スペクトルを変化させる。よって、透明基板11での全反射により伝搬させた測定光のエバネッセント光により光負荷膜12の吸光度を測定することで、光を透過しない液体資料の測定を行うことができる。
尚、吸光度測定の基本原理は、以下の通りである。
(1) 高屈折率の誘電体を低屈折率の誘電体で挟んだ構造では、光は両物質の界面で全反射されて高誘電率物質中に閉じこめられる。
(2) 高屈折率誘電率の物質(基板)上に、低屈折率の物質(ここでは、特定の物質と反応して光吸収度の変化する光負荷膜)を形成すると、高屈折率基板中を伝搬する光が、低屈折率物質中に光がしみ出す現象を用いて、低屈折室誘電体中の光吸収を測定する。
(3) この場合、光吸収を測定するための光は、被測定物質(油)中を通過しないので、被測定物質の光透過率によって検出感度が変化すること無く、被族邸物質中の対象物(水)の濃度を測定できる。
次に、図9を参照して、全反射を実現するための条件について説明する。図9は、スネルの式を説明する概念図である。図9に示すように、光が屈折率n1の第一物質から屈折率n2の第二物質へ入射するとき、両物質の境界面で光が屈折する。この時、界面に垂直な方向から入射角αで入射した光は、屈折により境界面に垂直な方向から出射角βで伝搬していく。
この屈折の関係はスネルの式「sinα/sinβ=n2/n1 」で与えられる。
ここで、β=90゜以上の時に全反射となるから、光の導波路として用いる透明基板11の屈折率n1は、「n1>n2/sinα」の条件を満たせば良い。
次に、透明基板11の屈折率が、被測定対象物よりも0.3以上高ことが必要な理由を説明する。後述のエバネッセント光(波)の浸出長を大きく取るため、光の導波路と光負荷膜の界面に対する光の入射角を60゜程度を確保する。
全反射の臨界角θcは、スネルの式より
Figure 2008209170
ここで、2つの物質の屈折率差Δnを用いて、n=n+Δnとした。これより、マージンを取って全反射の臨界角θを55゜とすると、光負荷膜の屈折率nが1.4程度であることから、必要な屈折率差Δnは、0.3以上となる。
次に、光負荷膜12の膜厚を0.2μm〜1μmとした根拠を説明する。まず、エバネッセント光の浸出長dpは、以下の式で与えられる。
Figure 2008209170
ここで、λは光の波長、nは導波路(透明基板11)の屈折率、nは浸出先媒体(光負荷膜12)の屈折率、θは、導波路(透明基板11)の媒体界面(透明基板11と光負荷膜12との境界面)の法線方向に対する光の入射角とする。また、光負荷膜12の屈折率nを1.4、導波路の屈折率nを1.8、光の入射角θ=60゜、測定光の波長は、可視から近赤外域であるからλ=1μmとすると、dp=0.23μmを得る。簡易測定の光学系であるから光の入射角に誤差を±3゜見込むと、浸出長は0.2〜0.3μmと見込まれる。実際には、この浸出長の3倍程度まで光がしみ出ているとされるから、光負荷膜の膜厚が3dp、すなわち約1μmより厚くなると感度の向上は見込めないので、これを上限とした。下限は、被測定対象物中へのエバネッセント光の浸出長が大きいと、被測定対象物自身による光吸収による測定誤差が大きくなるため、dp程度を下限と設定した。
また、この光負荷膜12の厚みが1μm以下が望ましいのは、1μmより厚くなると、透明基板11から光負荷膜12が剥離しやすくなること、及び、光負荷膜12が必要以上に厚くなると、多孔質の穴が長くなり、水分が当該多孔質の穴に入って行くのに時間がかかり、応答性が悪くなるからである。さらに、光負荷膜12が必要以上に厚くなると、多孔質の穴が長くなり、一旦入った水分が出なくなり、光負荷膜12が使えなくなる場合があるからである。また、光負荷膜12の厚みが0.2μm以上が好ましいのは、光負荷膜12の厚さが0.2μmより薄いと、多孔質の穴が浅くなり、Co錯体が溶け出てしまう虞があり、Co錯体がポーラスなシリカ膜等の多孔質膜に担持されなくなるからである。
次に、上記の構成を有する分光分析器50の使用方法について図2及び図8を参照して説明する。図8に示すように、分光分析器50は、携帯性に優れた携帯情報端末(PDA)51を用いて構成されているので、水分濃度の測定が必要な被測定対象物が存在する測定現場(工場、実験室、屋外等)に自由に持参することができる。そして、測定現場で、被測定対象物(例えば、光を通さない程に汚れたエンジンオイル等の油等の非水溶性の液体)をスポイト等で採取し、携帯情報端末51に差し込んだアダプタユニット20に設けられた光吸収計測チップ1のセンサヘッド基板10上に滴下する。
次いで、携帯情報端末51の制御により図2に示す発光ダイオード4が発光し、光がセンサヘッド基板10に入光され、センサヘッド基板10の透明基板11内が導波路となる。透明基板11と光負荷膜12との境界で全反射した光は、光負荷膜12にエバネッセント光を滲み出すことになる。この光負荷膜12は、前述のように水と選択的に反応して光吸収スペクトルの変化する物質から構成されている。従って、図2に示すように、透明基板11内の導波路を伝わった導波光16は、透明基板11の端部に設けられた発光ダイオード4により、その光量が検出される。従って、発光ダイオード4からの発光量と、フォトトランジスタ5の受光量の差により、光負荷膜12の吸光度が算出できる。この吸光度に基づいて、被測定対象物の水分濃度(含水率)を算出して、携帯情報端末51の表示画面52に表示する。
以上説明したように、本実施の形態の分光分析器50では、水と選択的に反応して光吸収スペクトルの変化する物質から構成された光負荷膜12を光の導波路構成する透明基板11上に形成した光吸収計測チップ1を備えているので、前記導波路に伝搬させた測定光のエバネッセント光により光負荷膜12の吸光度を測定することで、光を通さない被測定対象物の水分濃度も容易に測定できる。また、分光分析器50の大きさも小さいので、携帯がし易く、どこでも、被測定対象物の水分濃度を測定できる分光分析器50を実現できる。また、光吸収計測チップ1の構造はシンプルなので、低価格で、分光分析器50を実現できる。さらに、センサヘッド基板10は、着脱可能であるので、センサヘッド基板10の光負荷膜12が劣化した場合には、容易に交換できる。
なお、本発明の光吸収計測チップ及び光吸収計測チップを備えた導波路型の分光分析器では、上記の実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、光吸収計測チップ1の形状は、上記のような直方体に限られず、円柱状等、必要に応じて変形可能である。また、分光分析器50としても携帯情報端末51を用いたものに限られず、専用の電子装置として組み立ても良いし、パソコンを利用して、光吸収計測チップ1を備えたユニットをユニバーサル・シリアル・バス接続等でパソコンに接続するようにしても良い。また、被測定対象物としては、油等の液体に限られず、ゲル等の水分濃度も測定可能である。
本発明の光吸収計測チップ及び光吸収計測チップを備えた導波路型の分光分析器は、非水溶液系溶媒中の水分濃度の分析に使用することができる。
第1の実施形態である光吸収計測チップ1の平面図である。 図1に示す光吸収計測チップ1のA−A線における矢視方向断面図である。 光吸収計測チップ1のセンサヘッド基板10の縦断面図である。 センサヘッド基板10の光吸収計測チップ1の下部ケース3への組み付けを示す光吸収計測チップ1の縦断面図である。 光負荷膜12の作成工程のフローチャートである。 センサヘッド基板10の第2の実施の形態の縦断面図である。 センサヘッド基板10の第3の実施の形態の縦断面図である。 分光分析器50の平面図である。 スネルの式を説明する概念図である。
符号の説明
1 光吸収計測チップ
2 上部ケース
3 下部ケース
3a センサヘッド基板保持部
3b 側壁
4 発光ダイオード
5 フォトトランジスタ
10 センサヘッド基板
11 透明基板
12 光負荷膜
13 密着剤層
14 保護膜
16 導波光
20 アダプタユニット
50 分光分析器
51 携帯情報端末

Claims (5)

  1. 透明基板を導波路とし、当該透明基板上に光負荷膜を形成し、前記導波路に伝搬させた測定光のエバネッセント光により前記光負荷膜の吸光度を測定することで、前記光負荷膜上に滴下した被測定対象物の水分濃度を計測する導波路型の分光分析器に使用される光吸収計測チップであって、
    前記透明基板は、被測定対象物よりも屈折率が高く、且つ、全反射可能であり、
    前記光負荷膜は、水と選択的に反応して光吸収スペクトルの変化する物質であることを特徴とする光吸収計測チップ。
  2. 前記光負荷膜は、Co錯体を担持した多孔質膜であることを特徴とする請求項1に記載の光吸収計測チップ。
  3. 前記透明基板は、被測定対象物よりも屈折率が0.3以上高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の光吸収計測チップ。
  4. 前記光負荷膜の膜厚は、0.2μm〜1μmであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光吸収計測チップ。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の光吸収計測チップを備えた導波路型の分光分析器。
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