JP2008208293A - 回転砥石用保護フィルム、回転砥石および回転砥石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定のビニル化合物と、ゴムおよび/または熱可塑性エラストマーとを含有する熱硬化性樹脂組成物からなる回転砥石用保護フィルム、ならびに、特定のエポキシ樹脂と、フェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部を脂肪酸でエステル化した変性フェノールノボラックとを含有するエポキシ樹脂組成物からなる回転砥石用保護フィルム。
【選択図】なし
Description
しかしながら、上記のような回転砥石は、研削加工中に砥石本体の欠け(チッピング)や磨耗が生じ易いという問題があった。
特許文献1には、「砥石台の外周縁部に取り付けられる砥石本体を、砥粒を含む砥石層と、この砥石層の少なくとも一方の側面に、一体的に設けた砥粒を含まない材質の保護層とで構成したことを特徴とする回転砥石。」が記載されている。
また、従来の保護層のない回転砥石を用いる場合は、砥石本体の側面が被削材に直接接触するため切断面を平滑に仕上げることは困難であった。
このような事情から、より優れた切断精度を有する回転砥石が要求されている。
また、本発明は、耐摩耗性、耐久性、切断効率および切断精度に優れる回転砥石およびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)(A)下記式(1)で示されるビニル化合物、ならびに、
(B)ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー
を含有する熱硬化性樹脂組成物からなる回転砥石用保護フィルム。
また、−(O−X−O)−は下記式(2)で表される構造であり、−(Y−O)−は下記式(3)で表される繰返し単位であり、Zは酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1以上の有機基を表す。
また、aおよびbは、少なくとも一方が0でない0〜300の整数を表し、cおよびdは、それぞれ独立に0または1の整数を表す。)
また、式(3)中、R16およびR17は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基を表し、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基を表す。)
前記−(Y−O)−が、下記式(5)または(6)で表される繰返し単位である上記(1)に記載の回転砥石用保護フィルム。
(D)フェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部を脂肪酸でエステル化した変性フェノールノボラック
を含有するエポキシ樹脂組成物からなる回転砥石用保護フィルム。
前記ラミネート工程においてラミネートされた前記回転砥石用保護フィルムを加熱し、硬化させて、前記砥石本体の両側面に一体的に設けられた前記回転砥石用保護フィルムの硬化物からなる保護層を形成させて、回転砥石を得る、加熱硬化工程と、を具備する回転砥石の製造方法。
まず、本発明の第1態様の回転砥石用保護フィルム(以下「第1のフィルム」という。)について説明する。
第1のフィルムは、(A)上記式(1)で示されるビニル化合物、ならびに、(B)ゴムおよび/または熱可塑性エラストマーを含有する熱硬化性樹脂組成物からなる回転砥石用保護フィルムである。
次に、各成分について詳述する。
上記(A)成分のビニル化合物は、下記式(1)で示されるものであり、特開2004−59644号公報に記載されたものと同様である。
また、−(O−X−O)−は下記式(2)で表される構造であり、−(Y−O)−は下記式(3)で表される繰返し単位であり、Zは酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1以上の有機基を表す。
また、aおよびbは、少なくとも一方が0でない0〜300の整数を表し、cおよびdは、それぞれ独立に0または1の整数を表す。
また、上記式(3)中、R16およびR17は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基を表し、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基を表す。具体的には、−(Y−O)−は、下記式(5)または(6)で表される構造が好適に例示され、特に下記式(6)で表される構造がより好ましい。
ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線を用いた値とする。
上記(B)成分のゴムとしては、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴム等が挙げられる。
中でも、スチレン−ブタジエンゴムを用いるのが、耐熱性、相溶性、密着性、低吸水という観点から好ましい。
ここで、有機溶剤の使用量は、特に限定されないが、固形分が20〜50質量%となるように使用するのが好ましい。
また、作業性の観点から、ワニスは、100〜600mPa・sの粘度範囲であるのが好ましい。
ここで、粘度は、E型粘度計を用いて、回転数60rpm、25℃で測定した値とする。
また、上記支持体はシリコーン系化合物等で離型処理されていてもよい。
したがって、第1のフィルムを回転砥石の保護フィルムとして用いた場合は、砥石本体の表面の凹部にまで上記熱硬化性樹脂が入り込んだ後に硬化されて保護層が形成される。そのため、第1のフィルムを用いた場合は、従来の樹脂フィルムを用いた場合と比較して、砥石本体と保護層との密着性に格段に優れ、耐磨耗性に優れる回転砥石を得ることができる。
このような観点から、第1のフィルムは、100〜150℃における最低粘度が103〜107Pa・sであるのが好ましく、105〜106Pa・sであるのがより好ましい。
本発明においては、「100〜150℃における最低粘度」とは、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で、粘度計(VAR−100、REOLOGICA社製)を用いて100〜150℃の範囲で測定することができる粘度の最低値のことをいう。
第2のフィルムは、(C)フェノール骨格とビフェニル骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂、および/または、重量平均分子量が10,000〜200,000であってヒドロキシ基を有する2官能型直鎖状エポキシ樹脂、ならびに、(D)フェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部を脂肪酸でエステル化した変性フェノールノボラックを含有するエポキシ樹脂組成物からなる回転砥石用保護フィルムである。
次に、各成分について詳述する。
上記(C)成分のノボラック型エポキシ樹脂は、分子骨格および側鎖が剛直で、硬化後のポリマーの運動性を落とす方向に働くものといえる。
(C)成分の2官能型直鎖状エポキシ樹脂の数平均分子量は、好ましくは、3,700〜74,000、より好ましくは、5,500〜26,000である。
(C)成分の2官能型直鎖状エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは、5000g/当量以上である。
(C)成分の2官能型直鎖状エポキシ樹脂としては、重量平均分子量/数平均分子量が2〜3の範囲のものが特に好ましい。
R23は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン原子を表す。
fは、0〜5の整数を表す。
eは、0〜4の整数を表し、複数のeは、同一であっても異なっていてもよい。
nは、25〜500の数(平均値)を表す。
上記(D)成分のフェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部を脂肪酸エステル化した変性フェノールノボラックとしては、例えば、下記式(9)で表される変性フェノールノボラックが好適に挙げられる。
R25は、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していもよいフェニル基、置換基を有していもよいアラルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、複数のR25は、同一であっても異なっていてもよい。
R26は、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、複数のR26は、同一であっても異なっていてもよい。
gは、0〜3の整数を表し、複数のgは、同一であっても異なっていてもよい。
hは、0〜3の整数を表し、複数のhは、同一であっても異なっていてもよい。
n:mは、1:1〜1.2:1であり、約1:1であることが好ましい。
nとmの合計としては、例えば2〜4とすることができる。
特に好ましくは、上記式(9′)においてR24がメチル基のアセチル化フェノールノボラックである。
なお、(C)成分が上述したフェノール骨格とビフェニル骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂である場合、(D)成分を30〜70質量部配合することが特に好ましい。(C)成分が上述した2官能型直鎖状エポキシ樹脂である場合、(D)成分を120〜180質量部配合することが特に好ましい。
第2のフィルムを構成するエポキシ樹脂組成物は、更に、(E)イソシアナート化合物を含有するのが好ましい態様の1つである。エポキシ樹脂中にヒドロキシ基がある場合は、そのヒドロキシ基や、エポキシ樹脂が開環した際に生成するヒドロキシ基と、イソシアナート化合物中のイソシアナート基が反応して、ウレタン結合を形成し、硬化後のポリマーの架橋密度を上げ、フィルム化し易くなり、フィルム強度も高く接着性が向上し、加工性の点からも好ましい。
これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナートが好ましい。
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として公知のものを使用することができ、例えば、2−メチルイミダゾ−ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の複素環化合物イミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のリン化合物類、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセンやその塩等のDBU類、アミン類、イミダゾ−ル類をエポキシ、尿素、酸等でアダクトさせたアダクト型促進剤類等が挙げられる。
硬化促進剤の含有量は、(C)成分100質量部に対して、1〜10質量部であるのが好ましい。
重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、(C)成分100質量部に対して、1〜10質量部であるのが好ましい。
成膜補助剤の含有量は、(C)成分100質量部に対して、50〜150質量部であるのが好ましい。
(C)成分以外のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノール多核体としては、例えば、3〜5核体程度等のフェノール類が挙げられる。
また、例えば、樹脂成分は所定の溶剤濃度に溶解し、それらを25〜60℃に加温された反応釜に所定量投入し、常圧混合を30分〜6時間行うことができる。その後、真空下(最大1Torr)で更に5分〜60分混合撹拌することができる。
また、支持体、ワニスの塗布方法や乾燥条件についても、上述した第1のフィルムにおけるものと同様である。
したがって、第2のフィルムを回転砥石の保護フィルムとして用いた場合は、砥石本体の表面の凹部にまで上記熱硬化性樹脂が入り込んだ後に硬化されて保護層が形成される。そのため、第2のフィルムを用いた場合は、従来の樹脂フィルムを用いた場合と比較して、砥石本体と保護層との密着性に格段に優れ、耐磨耗性に優れる回転砥石を得ることができる。
このような観点から、第2のフィルムは、60〜100℃における粘度が1〜104Pa・sであるのが好ましく、1〜102Pa・sであるのがより好ましい。
本発明の回転砥石は、砥石本体と、上記砥石本体の両側面に一体的に設けられた上述した本発明の回転砥石用保護フィルムの硬化物からなる保護層とから構成される回転砥石である。
本発明の回転砥石1は、円盤状の砥石本体3と、砥石本体3の両側面に一体的に設けられた本発明の回転砥石用保護フィルムの硬化物からなる保護層5とから構成される。また、回転砥石1の中央部には回転軸が挿入される取付穴7を有する。
砥石本体3は、樹脂結合剤3b中に砥粒3aを分散させたレジンボンド砥石からなる。
一般的に、砥石本体3はその表面に凹凸を有し、特に、レジンボンド砥石は表面の凹凸の程度が大きく、場合によっては多孔質のものもある。砥石本体3は上記レジンボンド砥石であるのが砥石本体3と保護層5との密着性により優れる点から好ましい。
保護層5に用いられるフィルムは、後述する第1の製造方法に簡便に適用できるという観点からは第1のフィルムであるのが好ましく、また、比較的低温で溶融できるという観点からは第2のフィルムであるのが好ましい。
第1の製造方法は、砥石本体の両側面に本発明の回転砥石用保護フィルムを載置し、加熱プレスして上記回転砥石用保護フィルムを硬化させて、上記砥石本体の両側面に一体的に設けられた上記回転砥石用保護フィルムからなる保護層を形成させて、回転砥石を得る、回転砥石の製造方法である。
第1の製造方法においては、樹脂結合剤が未硬化であるレジンボンド砥石を用いることもできる。この場合、砥石本体とフィルムとを一括硬化することができるため作業工程を簡略化できるが、砥石本体またはフィルムの硬化時に発生するクラックを防止できる観点から、予め硬化された砥石本体を使用するのが好ましい。
第2のフィルムは比較的粘度が低いため砥石寸法どおりに保護層を形成するのが容易ではない。そのため、第2のフィルムを用いる場合、第1の製造方法は、加熱プレスする前に第2のフィルムを加熱して粘度を高くする工程を具備するのが好ましい。
また、第1の製造方法においては、上記支持体付きの本発明の回転砥石用保護フィルムを用いるのが好ましい。
砥石本体の両側面に保護層を設ける場合は、砥石本体をフィルムで挟み込むように砥石本体の両側面にフィルムを一度に載置することができる。また、一方の側面にフィルムを載置して加熱プレスを行った後、更に、もう一方の側面にフィルムを載置して加熱プレスを行ってもよい。
加熱プレスの方法は、特に限定されず、公知の加熱プレス方法から適宜選択すればよいが、減圧下(10kPa以下が好ましく、1kPa以下がより好ましい。)で行うのが凹凸への埋め込みという観点から好ましい。
また、プレス板とフィルムとの間にクッション性のある材料を介して加熱プレスする方法が好適に挙げられる。クッション性のある材料を介して加熱プレスすることにより、砥石本体の表面の凹凸に沿うように圧力をかけ易くなるため、保護層表面の平滑性が向上する。
クッション性のある材料としては、例えば、発泡ポリエチレンテレフタレート材料、発泡ウレタン材料、クラフト紙、シリコーンゴム等が挙げられる。
第2の製造方法は、砥石本体の両側面に、上述した第2のフィルムを載置し、ローラーにより加熱圧着ラミネートするラミネート工程と、上記ラミネート工程においてラミネートされた第2のフィルムを加熱し、硬化させて、上記砥石本体の両側面に一体的に設けられた第2のフィルムからなる保護層を形成させて、回転砥石を得る加熱硬化工程とを具備する回転砥石の製造方法である。
図3は、第2の製造方法におけるラミネート工程の一例の説明図である。図3(a)および図3(b)中の矢印は、それぞれ、砥石本体3の移動する方向および加熱ニップロール13の回転方向を示す。
加熱圧着ラミネートする際の砥石本体3の温度は、25〜100℃であるのが好ましく、60〜100℃であるのがより好ましい。
上記加熱硬化工程は、上記ラミネート工程においてラミネートされた上記回転砥石用保護フィルムを加熱し、硬化させて、上記砥石本体の両側面に一体的に設けられた上記回転砥石用保護フィルムからなる保護層を形成させて、回転砥石を得る工程である。
特に、第1の製造方法により得られる回転砥石は、切断面をより平滑にできる。また、第2の製造方法により得られる回転砥石は、より切断効率に優れる。即ち、第1の製造方法および第2の製造方法を使いわけることによって、切断精度や切断効率の良い回転砥石の作り分けが可能となる。
1.回転砥石用保護フィルムの作製
(実施例1および比較例1)
下記第1表に示す各成分(質量部)とトルエンとを、質量比(第1表の各成分の合計/トルエン)30/70で撹拌機を用いて混合溶解してワニスとした。このワニスをPETフィルム(ルミラー、東レ社製、厚さ30μm)上に塗布し、乾燥させて、厚さ15μmのフィルムを得た。
なお、実施例1のフィルムは上述した第1のフィルムに該当する。
下記第1表に示す各成分(質量部)とメチルエチルケトンとを、質量比(第1表の各成分の合計/メチルエチルケトン)40/60で撹拌機を用いて混合溶解してワニスとした。このワニスをPETフィルム(ルミラー、東レ社製、厚さ30μm)上に塗布し、乾燥させて、厚さ30μmのフィルムを得た。
なお、実施例2のフィルムは上述した第2のフィルムに該当する。
・(A)ビニル化合物(2,2′,3,3′,5,5′−ヘキサメチルビフェニル−4,4′−ジオール・2,6−ジメチルフェノール重縮合物とクロロメチルスチレンとの反応生成物):OPE−2st、三菱ガス化学社製
・(C)フェノール骨格とビフェニル骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂:YX6954BH30、ジャパンエポキシレジン社製
・(D)変性フェノールノボラック:アセチル変性フェノールノボラック、エピキュアDC808、ジャパンエポキシレジン社製
・1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート:パーオクタ・O、日本油脂社製
・2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル:2E4MZ、四国化成工業社製
レジンボンド砥石(TC−1、平和テクニカ社製、直径205mm、厚さ0.7mm)を図4に示す砥石硬化条件Aで硬化させて砥石本体を得た。
(実験例1)
上記で得られた砥石本体の両側面に、上記で得られた実施例1の支持体付きフィルムを載置した。次に、加熱プレス機(高温真空プレス、北川精機社製)により図5に示すプレス条件Aで真空加熱プレスを行い、フィルムを硬化させて保護層を形成した。その後、支持体を保護層から剥離し、中心に取付穴を設けて、回転砥石を得た。
フィルムを実施例2のフィルムに変更し、プレス条件を図6に示すプレス条件Bに変更した以外は、実験例1と同様にして回転砥石を得た。
図3(a)に示すように、上記で得られた砥石本体3を68℃の予熱プレート11に載せて十分に温めた。
次に、図3(b)に示すように、温められた砥石本体3の両側面に上記で得られた実施例2のフィルム6を、ニップロールにより、ラミネート条件A(ニップロール温度41℃、ニップロール圧力147N、送り速度500mm/分)で加熱圧着ラミネートした。
次に、フィルム6でラミネートされた砥石本体3を熱風オーブン(恒温器PH(H)−401、エスペック社製)に入れ、図7に示す硬化条件Aでフィルム6を硬化させて保護層を形成させた。その後、支持体9を保護層から剥離し、中心に取付穴を設けて、回転砥石を得た。
フィルムを比較例1のフィルムに変更した以外は、実験例1と同様にして回転砥石を得た。
フィルムを比較例2のフィルムに変更した以外は、実験例3と同様にして回転砥石を得た。
比較例3のフィルムとして熱可塑性アクリル樹脂フィルム(MF001、三菱レイヨン社製、厚さ30μm)を使用した以外は、実験例1と同様にして回転砥石を得た。
上記で得られた砥石本体の表面に保護層を設けず、中心に取付穴を設けて回転砥石を得た。
得られた各回転砥石について、下記の方法により、耐久性、切断効率、切断精度および耐磨耗性の評価を行った。
結果を下記第2表に示す。
切断機(ACE−20/25、平和テクニカ社製)に取り付けた各回転砥石を用いて、棒状の超硬無垢材(直径20mm、長さ1600mm、以下同じ。)を3mmの厚さに連続して切断した。
その後、回転砥石について、反りの有無、刃先の形状および保護層の剥離の有無、ならびに、超硬無垢材切断面の焼きつき状態を目視で観察した。
回転砥石の反りは、反りがなかったものを「○」、反りがあったものを「×」とし、回転砥石の刃先形状は、角型を保っていたものを「○」、角型を保てず磨耗して丸くなっていたもの、または、チッピングがあったものを「×」とし、保護層の剥離は、剥離なしを「○」、剥離ありを「×」とし、超硬無垢材切断面の焼きつきは、焼きつきがなかったものを「○」、焼きつきがあったものを「×」とした。
切断機(ACE−20/25、平和テクニカ社製)に取り付けた各回転砥石を用いて、超硬無垢材を切断し、切断中にモーターにかかる負荷電流値を切断機に付属のアンペアメーターにて測定した。切断時負荷電流値が小さいほど切断効率が良いと言える。
切断機(ACE−20/25、平和テクニカ社製)に取り付けた各回転砥石を用いて、超硬無垢材を切断し、表面粗さ形状測定機(サーフコム1400、東京精密社製)を用いて、切断した超硬無垢材の切断面の表面粗さを測定した。測定した結果より、基準長さの山頂部(凸部)の高い方から5点、谷底(凹部)の低い方から5点を選び、その平均高さを求めた。
切断機(ACE−20/25、平和テクニカ社製)に取り付けた各回転砥石を用いて、回転砥石の初期径より30%磨耗するまで超硬無垢材を連続して切断し、切断できた超硬無垢材の枚数を調べた。そして、保護層のない回転砥石(比較実験例4)の切断枚数を基準として、各回転砥石の切断性能を下記式により算出した。
一方、実験例1〜3の回転砥石は、比較実験例1〜4の回転砥石に比べて、耐久性、切断効率、切断精度および耐磨耗性が優れていた。
3 砥石本体
3a 砥粒
3b 樹脂結合剤
5 保護層
6 本発明の回転砥石用保護フィルム
7 取付穴
9 支持体
11 予熱プレート
13 加熱ニップロール
Claims (22)
- (A)下記式(1)で示されるビニル化合物、ならびに、
(B)ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー
を含有する熱硬化性樹脂組成物からなる回転砥石用保護フィルム。
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはフェニル基を表し、複数のR1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は、同一であっても異なっていてもよい。
また、−(O−X−O)−は下記式(2)で表される構造であり、−(Y−O)−は下記式(3)で表される繰返し単位であり、Zは酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1以上の有機基を表す。
また、aおよびbは、少なくとも一方が0でない0〜300の整数を表し、cおよびdは、それぞれ独立に0または1の整数を表す。)
(式(2)中、R8、R9、R10、R14およびR15は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基を表し、R11、R12およびR13は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基を表す。
また、式(3)中、R16およびR17は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基を表し、R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基を表す。) - 前記−(Y−O)−が、前記式(6)で表される繰返し単位である、請求項2に記載の回転砥石用保護フィルム。
- 前記成分(B)が、スチレン系熱可塑性エラストマーである、請求項1〜3のいずれかに記載の回転砥石用保護フィルム。
- 前記成分(A)と前記成分(B)との質量割合((A):(B))が、40:60〜60:40である、請求項1〜4のいずれかに記載の回転砥石用保護フィルム。
- (C)フェノール骨格とビフェニル骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂、および/または、重量平均分子量が10,000〜200,000であってヒドロキシ基を有する2官能型直鎖状エポキシ樹脂、ならびに、
(D)フェノール性ヒドロキシ基の少なくとも一部を脂肪酸でエステル化した変性フェノールノボラック
を含有するエポキシ樹脂組成物からなる回転砥石用保護フィルム。 - 前記(D)成分の含有量が、前記(C)成分100質量部に対して30〜200質量部である、請求項6に記載の回転砥石用保護フィルム。
- 前記(C)成分の2官能型直鎖状エポキシ樹脂が、下記式(8)で表されるエポキシ樹脂である、請求項6〜8のいずれかに記載の回転砥石用保護フィルム。
(式(8)中、Qは、単結合、炭素数1〜7の炭化水素基、−O−、−S−、−SO2−、−CO−または下記式で表される基を表し、複数のQは、同一であっても異なっていてもよい。R21は、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン原子を表し、複数のR21は、同一であっても異なっていてもよい。eは、0〜4の整数を表し、複数のeは、同一であっても異なっていてもよい。nは、25〜500の数(平均値)を表す。)
(式中、R22は、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン原子を表し、複数のR22は、同一であっても異なっていてもよい。R23は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン原子を表し、fは、0〜5の整数を表す。) - 前記(D)成分が、下記式(9)で表される変性フェノールノボラックである、請求項6〜9のいずれかに記載の回転砥石用保護フィルム。
(式(9)中、R24は、炭素数1〜5のアルキル基を表し、複数のR24は、同一であっても異なっていてもよい。R25は、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、複数のR25は、同一であっても異なっていてもよい。R26は、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、複数のR26は、同一であっても異なっていてもよい。gは、0〜3の整数を表し、複数のgは、同一であっても異なっていてもよい。hは、0〜3の整数を表し、複数のhは、同一であっても異なっていてもよい。n:mは、1:1〜1.2:1である。) - 前記(D)成分が、前記式(9)中のR24がメチル基である、前記式(9)で表される変性フェノールノボラックである、請求項10に記載の回転砥石用保護フィルム。
- 前記エポキシ樹脂組成物が、更に(E)イソシアナート化合物を含有する、請求項6〜11のいずれかに記載の回転砥石用保護フィルム。
- 砥石本体と、前記砥石本体の両側面に一体的に設けられた請求項1〜12のいずれかに記載の回転砥石用保護フィルムの硬化物からなる保護層とから構成される回転砥石。
- 前記砥石本体が、樹脂結合剤中に砥粒を分散させたレジンボンド砥石である請求項13に記載の回転砥石。
- 前記砥石本体の表面に凹部および凸部を有しており、前記凸部の表面および前記凹部に前記回転砥石用保護フィルムを構成する樹脂組成物を有する請求項13または14に記載の回転砥石。
- 砥石本体の両側面に請求項1〜12のいずれかに記載の回転砥石用保護フィルムを載置し、加熱プレスして前記回転砥石用保護フィルムを硬化させて、前記砥石本体の両側面に一体的に設けられた前記回転砥石用保護フィルムの硬化物からなる保護層を形成させて、回転砥石を得る、回転砥石の製造方法。
- 前記加熱プレスする際の温度が、100〜200℃である請求項16に記載の回転砥石の製造方法。
- 砥石本体の両側面に、請求項6〜12のいずれかに記載の回転砥石用保護フィルムを載置し、ローラーにより加熱圧着ラミネートする、ラミネート工程と、
前記ラミネート工程においてラミネートされた前記回転砥石用保護フィルムを加熱し、硬化させて、前記砥石本体の両側面に一体的に設けられた前記回転砥石用保護フィルムの硬化物からなる保護層を形成させて、回転砥石を得る、加熱硬化工程と、を具備する回転砥石の製造方法。 - 前記ラミネート工程において、加熱圧着ラミネートする際のローラーの温度が40〜150℃である請求項18に記載の回転砥石の製造方法。
- 前記ラミネート工程において、加熱圧着ラミネートする際の前記砥石本体の温度が25〜100℃である請求項18または19に記載の回転砥石の製造方法。
- 前記加熱硬化工程において、加熱する際の温度が100〜200℃である請求項18〜20のいずれかに記載の回転砥石の製造方法。
- 請求項16〜21のいずれかに記載の回転砥石の製造方法により得られる回転砥石。
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