この発明は、電子音楽装置及びメディアプレイヤーの両装置と接続することで、両装置間における各種情報の送受信を可能とする電子音楽装置用インタフェース装置に関する。特に、電子音楽装置からメディアプレイヤーを制御して、メディアプレイヤーに記憶されている多数の音楽コンテンツを電子音楽装置側で利用可能にする技術に関する。
従来から、各種データを多数記憶することが可能なハードディスク等の大容量記憶装置を搭載しており、この大容量記憶装置に予め楽音波形データやオーディオデータ等の楽音発生のためのデータを多数記憶し、記憶済みのこれら多数の楽音波形データやオーディオデータの中から任意のデータを選択/再生することにより、ユーザ所望の楽音を発生することができる電子楽器等の電子音楽装置が知られている。例えば、下記に示す特許文献1に記載されている技術がその一例である。この特許文献1に記載の従来技術においては、大容量記憶装置に多数の楽音波形データを記憶することができると共に、該記憶した多数の楽音波形データの中から任意の楽音波形データを演奏操作子(例えば、鍵盤を構成する各鍵など)に予め割り当てておき、前記演奏操作子の操作に応じて、該操作された演奏操作子に予め割り当て済みの楽音波形データを大容量記憶装置から選択して再生することにより、ユーザ所望の楽音を簡単な操作で迅速に発生することができるようになっている。なお、この明細書において、楽音という場合、音楽的な音に限るものではなく、音声あるいはその他任意の音を含んでいてもよい意味あいで用いるものとする。
特開2006−259213号公報
上述した従来技術においては、楽音波形データやオーディオデータ等の楽音発生のためのデータを多数記憶できる大容量記憶装置が電子音楽装置自体に搭載されている必要があるが、これらを備えた電子音楽装置はコスト高になり安価な電子音楽装置に向かないだけでなく、また既に普及している既存の電子音楽装置に対しては適用することが困難であり都合が悪い。そこで、少ない記憶容量の記憶装置を備えた電子音楽装置であっても、楽音発生のためのデータをより数多く記憶装置に記憶すべく、例えば元のオーディオデータを、記憶容量を小さくできる圧縮されたデジタル形式のオーディオデータ(例えば、MP3データなど)に変換した上で、記憶装置に記憶することが考えられる。しかし、そうしたい場合には、元のオーディオデータを圧縮オーディオデータに変換するためのエンコーダや、圧縮オーディオデータを圧縮前の元のオーディオデータに戻すためのデコーダを電子音楽装置自体に搭載する必要があるので、結局はそれらのコストが余計にかかり現実的でない。
ところで、最近では、小型筐体内に納められたハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置に多数の音楽コンテンツ(例えば、MP3データ等のデジタル形式のオーディオデータ)等を記憶することができるとともに、該記憶した多数の音楽コンテンツの中からユーザが適宜に選択した音楽コンテンツを再生して楽音を発生することができる、少なくとも音楽コンテンツ記憶機能及び音楽コンテンツ再生機能を具えた携帯型のメディアプレイヤーが広く使用されるようになってきた。そこで、こうした携帯メディアプレイヤーを有効に活用するべく、電子音楽装置から外部の携帯メディアプレイヤーを操作して、携帯メディアプレイヤーに記憶されている膨大な数の音楽コンテンツを利用することができるものが望まれていたが、従来そのようなものは考えられていなかった。この点に関して、携帯メディアプレイヤーからのオーディオ信号(一般的にはアナログオーディオ信号)の出力を、オーディオ信号入力端子を介して電子音楽装置側に入力するようにすることで、携帯メディアプレイヤーに記憶されている音楽コンテンツを利用することが考えられる。しかし、そうした場合、ユーザは携帯メディアプレイヤーを操作して音楽コンテンツの選択や再生を行うことしかできず、電子音楽装置を操作して携帯メディアプレイヤーを制御することができない、つまり携帯メディアプレイヤーに記憶されている音楽コンテンツを利用するには、ユーザが必要に応じて電子音楽装置と携帯メディアプレイヤーそれぞれが具備している操作子を操作しなければならず使い勝手が悪い。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、電子音楽装置から外部のメディアプレイヤーを制御して、メディアプレイヤーに蓄積されている音楽コンテンツに基づく楽音を電子音楽装置側においても適宜に利用することが簡単にできるようにした電子音楽装置用インタフェース装置を提供しようとするものである。
本発明の請求項1に係る電子音楽装置は、予め記憶済みの音楽コンテンツの再生機能を有するメディアプレイヤーを接続するプレイヤー接続手段であって、前記メディアプレイヤーに対してメディアプレイヤーを制御する制御コマンドを送信する信号伝送経路と、前記メディアプレイヤーから音楽コンテンツの再生に応じて発生される第1形式のオーディオ信号を受信する信号伝送経路とをそれぞれ有するものと、電子音楽装置を接続する接続手段であって、前記電子音楽装置からメディアプレイヤーを制御する制御コマンドを受信すると共に、前記電子音楽装置に対して所定の第2形式のオーディオ信号を送信する共通の信号伝送経路を有するものと、前記接続手段に接続された電子音楽装置の操作に基づいて発生された前記制御コマンドの受信に応じて、該受信した制御コマンドを前記プレイヤー接続手段に接続されているメディアプレイヤーに対して転送するコマンド転送手段と、前記プレイヤー接続手段に接続されたメディアプレイヤーにおける前記転送した制御コマンドに基づく音楽コンテンツの再生に応じて受信される第1形式のオーディオ信号を、前記第2形式のオーディオ信号に変換するデータ変換手段と、前記変換後の第2形式のオーディオ信号を前記接続手段に接続されている電子音楽装置に対して送信する送信手段とを具える。
本発明によると、電子音楽装置を接続手段に接続し、該接続手段に接続された電子音楽装置の操作に基づいて発生された制御コマンドの受信に応じて、該受信した制御コマンドをプレイヤー接続手段に接続されているメディアプレイヤーに対して送信する。また、プレイヤー接続手段に接続されたメディアプレイヤーにおける前記転送した制御コマンドに基づく音楽コンテンツの再生に応じて受信される第1形式のオーディオ信号を、前記接続手段で送受信可能な第2形式のオーディオ信号に変換し、該変換後の第2形式のオーディオ信号を前記接続手段に接続されている電子音楽装置に対して送信する。前記接続手段は、電子音楽装置からメディアプレイヤーを制御する制御コマンドを受信すると共に、電子音楽装置に対して所定の第2形式のオーディオ信号を送信する共通の信号伝送経路を有する1つの汎用インタフェース機器である。こうすると、ユーザは、電子音楽装置を接続手段に接続するといった簡単な結線を行うだけで、また電子音楽装置を操作するだけでメディアプレイヤーに記憶されている音楽コンテンツを電子音楽装置側でも利用することができるようになり便利である。また、電子音楽装置に多数のオーディオ信号等を予め記憶しておくための大容量の記憶装置や、圧縮オーディオ信号のエンコーダやデコーダ等の専用の再生機器(再生機能)などが電子音楽装置に搭載されていなくても、ユーザはメディアプレイヤーを有効に活用することで、多数の音楽コンテンツを利用することができる。
この発明によれば、外部のメディアプレイヤーと電子音楽装置とを簡単な結線で接続して、該接続されたメディアプレイヤーに対して、電子音楽装置の操作に応じて予め記憶済みの音楽コンテンツの選択/再生指示を行うことができるようにしたことから、ユーザは外部のメディアプレイヤーに記憶されているユーザ所望の音楽コンテンツを、電子音楽装置側で適宜に利用することが簡単にできるようになる、という効果を得る。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、この発明に係る電子音楽装置用インタフェース装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。図1に記載の矢印は、各種信号(電気信号)の流れを示す。本実施例に示す電子音楽装置用インタフェース装置IF(以下、単にインタフェース装置と呼ぶ)は、該インタフェース装置IFに接続された電子音楽装置(一例として電子楽器EM)と携帯メディアプレイヤーPLとの両装置間における各種情報の送受信を仲介する機器であって、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、フラッシュリードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、このインタフェース装置全体の動作を制御するものである。フラッシュROM2は、CPU1により実行される各種プログラムや各種データを格納するものである。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。
また、インタフェース装置IFは、外部機器である携帯メディアプレイヤーPL及び電子楽器EMの両装置間における各種信号(制御信号やオーディオ信号等の電気信号)の送受信を仲介する前提として、携帯メディアプレイヤーPLと電子楽器EMとをそれぞれ個別に接続するための、携帯メディアプレイヤー接続端子と電子音楽装置接続端子を有する。携帯メディアプレイヤー接続端子は、携帯メディアプレイヤーPLなどの公知のコンテンツ再生装置を外部接続するためのインタフェース機器であり、アナログオーディオ端子PAとコマンド端子PCとの構成からなる。アナログオーディオ端子PAは、携帯メディアプレイヤーPLから出力されるアナログ形式(第1形式)のオーディオ信号を受信するためのアナログ信号専用の入力機器である。コマンド端子PCは携帯メディアプレイヤーPLに対して、該携帯メディアプレイヤーPLを制御する制御信号(この実施例では特にユーザ所望の音楽コンテンツの選択・再生制御を行うよう指示する制御命令(制御コマンドとも呼ぶ))を送信するための制御信号専用の出力機器である。A/D変換器ADは、アナログオーディオ端子PAから受信されたアナログ形式(第1形式)のオーディオ信号を、デジタル形式(第2形式)のオーディオ信号に変換する。
携帯メディアプレイヤー接続端子を介してインタフェース装置IFと各種信号を送受信可能に接続される携帯メディアプレイヤーPLは、デジタル形式のオーディオデータ(例えばMP3データ)等からなる音楽コンテンツを、楽曲名や音楽ジャンル等の当該音楽コンテンツに関連付けられた関連情報などと共に内蔵データストレージ(例えば、ハードディスクや半導体メモリなど)に多数記憶する音楽コンテンツ記憶機能、またユーザ操作に応じて内蔵データストレージ内に記憶した前記音楽コンテンツを再生(デコード)することにより、アナログ形式のオーディオ信号を発生する音楽コンテンツ再生機能を少なくとも有する機器である。すなわち、携帯メディアプレイヤーPLは多数の音楽コンテンツを記憶することができるだけでなく、外付けのハードディスク装置やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどと異なり、自機単独で記憶済みの多数の音楽コンテンツの中から任意の音楽コンテンツを、ユーザ指定に応じてあるいはランダムに再生して楽音を発生することができる機器である。なお、携帯メディアプレイヤーPLは上記した以外にも他の機能、例えば内蔵データストレージ内に記憶済みの音楽コンテンツの一覧や再生中の音楽コンテンツの曲名やアルバム名などを、前記関連情報に基づいて、内蔵する液晶パネルなどの表示装置に表示する表示機能などを有していてもよい。なお、メディアプレイヤーPLは携帯型でなくてもよいことは勿論である。
他方、電子音楽装置接続端子は、電子楽器EMを外部接続するための汎用のインタフェース機器であり、USB(Universal Serial Bus)端子EUのみ、又はアナログオーディオ端子EAとMIDI端子EMとの組み合わせ、の少なくとも一方の構成からなる。本実施例においては、インタフェース装置IFと電子楽器EMとの接続形態として、図1において実線で示すUSB接続ケーブルCUを1本のみを用いてUSB端子EUを介した1つの信号伝送経路で電子楽器EMと接続する第1の接続形態(詳しくは後述する図2参照)、又は図1において点線で示すオーディオケーブルCOとMIDIケーブルCMの2本を用いてアナログオーディオ端子EAとMIDI端子EMをそれぞれ介した2つの信号伝送経路で電子楽器EMと接続する第2の接続形態(詳しくは後述する図5参照)のいずれかがあり、従って電子音楽装置接続端子はこうした接続形態に対応した上記いずれかの構成をとっていればよい。
USB端子EUは従来知られたUSBインタフェース機器であって、デジタル形式のオーディオ信号や、携帯メディアプレイヤーPLを制御するための制御信号(特に音楽コンテンツの選択・再生のための制御を行わせるよう指示する制御命令)などの各種信号を、1本のUSBケーブルCUのみを介して送受信することができる汎用性の高い入出力機器である(具体的には、USB TO HOST端子である)。アナログオーディオ端子EAは、電子楽器EMに対してアナログ形式のオーディオ信号を出力するためのアナログ信号専用の出力端子である。MIDI端子EMは従来知られたMIDIインタフェース機器であって、MIDI形式の信号を少なくとも出力することが可能な電子楽器EMからMIDI信号を受信するためのMIDI信号専用の入力機器である(具体的には、MIDI IN端子である)。なお、上記した携帯メディアプレイヤー接続端子や電子音楽装置接続端子は、有線のものであってもよいし無線のものであってもよい。
上記した電子音楽装置接続端子を介してインタフェース装置IFに接続される電子楽器EMは、後述する図2又は図5に示すように、例えば演奏操作子CRと、各種スイッチ類SW1,SW2と、インタフェース装置IFの電子音楽装置接続端子に対応する接続端子(USB端子UTのみ、又はアナログオーディオ端子OT及びMIDI端子MTの両方)とを少なくとも具備する。演奏操作子CRは楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた例えば鍵盤等のようなものであり、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子CR(鍵盤等)は、ユーザ自身の手弾きによるマニュアル演奏や自動伴奏用のコード入力などのために使用することができる。各種スイッチ類SW1,SW2としては、例えばユーザのマニュアル演奏とは別に自動的に演奏されるBGMや自動伴奏等の「再生開始/再生停止」を指示するスイッチや、自動演奏中のBGMや自動伴奏等の再生位置を「早送り/巻き戻し」を指示するスイッチ、あるいは各種設定項目の表示選択や確定を行うためのダイヤル式のコントローラ,エンター(ENTER)キー,イクジット(EXIT)キー等がある。さらには、電子楽器EMから携帯メディアプレイヤーPLを制御することができる「携帯メディアプレイヤーモード」に、ユーザが任意に電子楽器EMの機器設定を行うための「携帯メディアプレイヤーモード」設定スイッチ等があってもよい。なお、電子楽器EMは上記機器のほかに、液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイや音源等の、公知のその他の機器を備えていてよいことは勿論である。
上記したように、インタフェース装置IFと電子楽器EMとの接続形態としては、特に最近の電子楽器にも標準的に具備されている汎用のインタフェース機器であるUSB端子のみを介して接続する第1の接続形態と、汎用のインタフェース機器を有していない既存の古い電子楽器などにおいて一般的に具備されている伝送対象が決まっている専用インタフェース機器であるアナログオーディオ端子EA及びMIDI端子EMのそれぞれを介して接続する第2の接続形態とがある。そこで、以下では、第1の接続形態と第2の接続形態とに場合を分けて、それぞれの場合におけるインタフェース装置IFを通じた、電子楽器EMからの携帯メディアプレイヤーPLの制御について説明する。
まず、上記した第1の接続形態の場合における電子楽器EMからの携帯メディアプレイヤーPLの制御手順について説明する。図2は、第1の接続形態における制御処理の概要を説明するための概念図である。
電子楽器EMとインタフェース装置IFは、USB端子EU,UTを1本のUSBケーブルCUで接続することで、この1本のUSBケーブルCUのみを介して両装置間で制御信号やデジタル形式のオーディオ信号を送受信することができるようになる。他方、携帯メディアプレイヤーPLは、インタフェース装置IFに設けられたスロットSL内に挿入されて、スロットSL内に設けられているアナログオーディオ端子PAとコマンド端子PCに対して、携帯メディアプレイヤーPLに設けられている対応するデータ入力端子又は出力端子(図示せず)とが接触や結合等することにより、両装置間で制御信号やアナログ形式のオーディオ信号を送受信することができるようになる。このようにして、インタフェース装置IFに携帯メディアプレイヤーPLが接続されると、電子楽器EMが自動的に「携帯メディアプレイヤーモード」に機器設定される(自動設定)。あるいは、ユーザによる「携帯メディアプレイヤーモード」設定スイッチの操作に応じて、電子楽器EMが「携帯メディアプレイヤーモード」に機器設定されるようになっていてもよい(手動設定)。
「携帯メディアプレイヤーモード」時においては、電子楽器EMにおいて所定の操作子(演奏操作子やスイッチ等)が操作されると、電子楽器EMは該操作された操作子に対応する制御を行うことなく、該操作された操作子に対応する携帯メディアプレイヤー側の制御を行う。詳しくは後述するが、例えば電子楽器EMの演奏操作子CR、各種スイッチやコントローラSW1,SW2の一部(又は全部)を、外部の携帯メディアプレイヤーPLを制御するための制御手段として使用することができるようになる。これらの操作子が操作されると、該操作子に予め対応付けられた携帯メディアプレイヤーを制御するための制御コマンドがUSB端子UTから出力されて、インタフェース装置IF経由で携帯メディアプレイヤーPLへと供給される。
携帯メディアプレイヤーPLでは、電子楽器EMからインタフェース装置IF経由で制御コマンドを受信すると、該制御コマンドに応じた制御を行う。制御コマンドに応じた制御としては、例えば記憶済みの多数の音楽コンテンツ(オーディオファイル)の中から再生すべきオーディオファイルを選択/確定する制御、確定したオーディオファイルを再生開始/再生停止する制御、再生位置を早送り/巻き戻しする制御などである。オーディオファイルを再生する制御が行われた場合、オーディオファイルの再生に基づき発生されるアナログ形式のオーディオ信号がインタフェース装置IFに順次に送られ、インタフェース装置IFは送られてきたアナログ形式のオーディオ信号をデジタル形式のオーディオ信号に変換する。インタフェース装置IFは信号形式の変換後、デジタル形式のオーディオ信号をUSB端子EUに接続されているUSBケーブルCUを介して電子楽器EMに送る。電子楽器EMでは、送られてきたデジタル形式のオーディオ信号に基づき楽音を再生する。このようにして、電子楽器EMからインタフェース装置IF経由で携帯メディアプレイヤーPLを制御し、携帯メディアプレイヤーPLに記憶されている音楽コンテンツを電子楽器EM側で利用できるようにしている。
上記第1の接続形態の場合における電子楽器EMからの携帯メディアプレイヤーPLの制御手順を実現する、コンピュータやDSP等が実行する具体的な処理(ソフトウェアプログラム)を図3に示す。図3は、「制御処理」の一実施例を示すフローチャートである。インタフェース装置IFと、該インタフェース装置IFの一方に接続された電子楽器EMと、該インタフェース装置IFのもう一方に接続された携帯メディアプレイヤーPLの各装置は、各装置間で所定の信号を送受信しながら並行して各々が「制御処理」を行うことから、ここに示す実施例においては、インタフェース装置IF、電子楽器EM(電子音楽装置)、携帯メディアプレイヤーPLでそれぞれ実行する処理を同時に示し、各装置で実行する処理を処理手順に従って説明する。以下、図3に示したフローチャートに従って、上記第1の接続形態の場合における「制御処理」について説明する。
図3に示すように、まず、電子音楽装置(電子楽器EM)及びインタフェース装置IFは、USBケーブルCUを介して電子音楽装置とインタフェース装置IFとが接続されているかの接続チェックを行い、互いの装置がUSB接続されている場合には相互認証を行う(ステップS21及びステップS11)。相互認証を行った電子音楽装置は、機器設定を「携帯メディアプレイヤーモード」に自動的に設定する(ステップS22)。ステップS23は、携帯メディアプレイヤー対応操作子の操作が行われたか否かを判定する。携帯メディアプレイヤー対応操作子の操作が行われたと判定した場合には(ステップS23のYES)、携帯メディアプレイヤー対応操作子に対応付けられた制御コマンドをインタフェース装置IFに対して送信する(ステップS24)。
ここで、電子音楽装置に予め記憶されており、電子音楽装置の所定の操作子を、インタフェース装置IF経由で電子音楽装置に接続される携帯メディアプレイヤーPLを制御する制御手段(携帯メディアプレイヤー対応操作子)として機能するように機器設定する「操作−制御コマンド対応表」について、図4を用いて説明する。図4は、「操作−制御コマンド対応表」の一実施例を示す概念図である。
「操作−制御コマンド対応表」は、インタフェース装置IF経由で電子音楽装置に接続される携帯メディアプレイヤーPLを制御する制御手段として使用する操作子を1乃至複数定義した、電子音楽装置における「機器設定情報」である。こうした「操作−制御コマンド対応表」には、携帯メディアプレイヤーPLを制御する制御手段の機能を割り当てる対象とする「操作子」、前記割り当て対象とされた「操作子」の操作に応じて携帯メディアプレイヤーPLに対して所定の制御を行うよう指示する「制御コマンド」が定義されている。ここに示した実施例に基づき、電子音楽装置の操作子の操作に応じた携帯メディアプレイヤーPLの制御の例を説明すると、例えば電子音楽装置側においてダイヤル式のコントローラが「ダイヤル右」又は「ダイヤル左」へと回転操作された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは記憶済みの多数のオーディオファイルの中から再生対象とするオーディオファイルの候補を「次選択」又は「前選択」する。この状態で「エンター」キーが操作されることに応じて、携帯メディアプレイヤーPLは再生対象とするオーディオファイルを「確定」する。再生対象とするオーディオファイルの確定後に「ソング再生開始」スイッチが操作された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは前記再生対象に確定したオーディオファイルを「再生開始」する。オーディオファイルの再生中に「ソング再生停止」スイッチが操作された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは前記再生中のオーディオファイルを「再生停止」する。また、オーディオファイルの再生中に、「ソング早送り」スイッチが操作された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは前記再生中のオーディオファイルの再生位置を「早送り」して進めるし、「ソング巻き戻し」スイッチが操作された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは前記再生中のオーディオファイルの再生位置を「巻き戻し」して戻す。「イクジット」キーが操作された場合には、該キーの操作回数に応じただけ操作前の1つ状態に「戻る」。
なお、制御コマンドを割り当てる操作子、操作子に対応付ける制御コマンドは上記したものに限らない。上記した以外にも、次に示すような対応付けが考えられる。例えば、電子音楽装置の「自動伴奏スタイルのジャンル選択」スイッチや「音色のカテゴリー選択」スイッチなどに対しては、「オーディオファイルのジャンル選択」制御コマンドを対応付ける。「自動伴奏スタイルの選択」スイッチや「音色の選択」スイッチなどに対しては、「オーディオファイルの選択」制御コマンドを対応付ける。「バンクセレクト」スイッチに対しては、「アーティスト選択」あるいは「アルバム選択」制御コマンドを対応付ける。勿論、操作子と制御コマンドとの対応付けは上記したものに限らない。1つの操作子に対して、複数の制御コマンド(例えば、所定のオーディオファイルの選択及び再生開始など)を組み合わせて対応付けるようにしてもよい。
図3の説明に戻って、インタフェース装置IFは電子音楽装置から制御コマンドを受信したか否かを常時監視しており(ステップS12)、電子音楽装置から制御コマンドを受信したと判定した場合には(ステップS12のYES)、当該インタフェース装置IFに接続されている携帯メディアプレイヤーPLに対して、電子音楽装置から受信した制御コマンドを転送する。携帯メディアプレイヤーPLは、電子音楽装置からインタフェース装置IFを経由して制御コマンドを受信したか否かを常時監視しており(ステップS1)、制御コマンドを受信したと判定した場合には(ステップS1のYES)、該受信した制御コマンドに応じた処理を実行する(ステップS2)。この際に「オーディオファイル再生開始」の制御コマンドを受信した場合には、携帯メディアプレイヤーPLは該当する(選択済みの)オーディオファイルの再生を開始する。オーディオファイルが再生されるとアナログ形式のオーディオ信号が順次に発生され、該発生されたアナログ形式のオーディオ信号はアナログオーディオ端子PAからインタフェース装置IFに順次に入力される。ステップS3は、携帯メディアプレイヤーPLが具備する操作子をユーザが操作したか否かを判定する。ユーザが携帯メディアプレイヤーPLの操作子を操作したと判定した場合には(ステップS3のYES)、該操作された操作子に割り当てられている処理を実行する(ステップS4)。
携帯メディアプレイヤーPLからオーディオデータの再生に応じて発生されたアナログ形式のオーディオ信号の入力がある場合、インタフェース装置IFは、USBオーディオ規格対応の電子音楽装置がUSB端子EUを介して本装置に接続されているか否かを判定する(ステップS14)。USBオーディオ規格対応の電子音楽装置がUSB端子EUを介して本装置に接続されていると判定した場合には(ステップS14のYES)、携帯メディアプレイヤーPLからのアナログ形式のオーディオ信号の入力に応じて、該入力されてくるアナログ形式のオーディオ信号をA/D変換器ADにて順次にデジタル形式のオーディオ信号に変換して、これをパケット化したもの(オーディオパケット信号と呼ぶ)を電子音楽装置に対して送信する(ステップS15)。電子音楽装置はインタフェース装置IFからオーディオパケット信号を受信したか否かを常時監視しており(ステップS25)、インタフェース装置IFからオーディオパケット信号を受信したと判定した場合には(ステップS25のYES)、該受信したオーディオパケット信号に基づくデジタル形式のオーディオ信号を再生して楽音を発生する(ステップS26)。すなわち、携帯メディアプレイヤーPLで再生された楽音を、電子音楽装置はインタフェース装置IF経由で電子音楽装置から発生させる。ステップS27は、携帯メディアプレイヤー対応操作子に割り当てられた以外の他の操作子の操作に応じた処理を実行する。
以上のようにすると、制御信号及びデジタル形式のオーディオ信号の送受信に対応したUSB等の汎用インタフェースを具備した電子音楽装置であれば、ユーザは電子音楽装置とインタフェース装置とを1本のUSBケーブルのみで接続するだけで、該インタフェース装置を介した電子音楽装置と携帯メディアプレイヤー間における制御コマンド及びオーディオ信号の送受信を行うことができる。このため、電子音楽装置が携帯メディアプレイヤーを接続するための専用のインタフェースを具備していなくても、簡単な結線を行うだけで、外部の携帯メディアプレイヤーに対して指示を出し、携帯メディアプレイヤーで再生した音楽コンテンツに基づくオーディオ信号を電子音楽装置側で利用できるようになる(つまり、電子音楽装置側から携帯メディアプレイヤーを制御して利用することができる)。したがって、ユーザは既に所有している複数の携帯メディアプレイヤーを取り替えるだけで、多数の音楽コンテンツを必要に応じて入れ替えて電子音楽装置側でも利用することができるようになり、携帯メディアプレイヤーを有効に活用することができる。また、携帯メディアプレイヤーからはアナログ形式のオーディオ信号をいったん受信しておき、これをデジタル形式のオーディオ信号に変換してから電子音楽装置に対して送るようにしたことから、携帯メディアプレイヤーに保存されている高音質であるデジタル形式のオーディオデータが電子音楽装置側にそのままコピー(保存)される恐れがなく、著作権保護の観点からも有利である。
次に、上述した第2の接続形態の場合における電子楽器EMからの携帯メディアプレイヤーPLの制御手順について説明する。図5は、第2の接続形態における制御処理の概要を説明するための概念図である。
電子楽器EMとインタフェース装置IFは、アナログオーディオ端子EA,OTをオーディオケーブルCOで接続すると共に、MIDI端子EM,MTをMIDIケーブルCMで接続する。こうすることで、電子楽器EMはMIDIケーブルCMを介してインタフェース装置IFに対して制御信号を送信することができる一方で、オーディオケーブルCOを介してインタフェース装置IFからアナログ形式のオーディオ信号を受信することができるようになる。携帯メディアプレイヤーPLとインタフェース装置IFの接続については、上記第1の接続形態の場合と同様である。
「携帯メディアプレイヤーモード」時においては、電子楽器EMが具備する所定の操作子(ただし、第2の接続形態においては操作に応じてMIDIメッセージを発する演奏操作子など)が操作されると、電子楽器EMは該操作された操作子に割り当て済みの制御を行うと共に、該操作された操作子に対応する携帯メディアプレイヤー側の制御を行う。詳しくは後述するが、例えば電子楽器EMの演奏操作子CRの一部(又は全部)を、外部の携帯メディアプレイヤーPLを制御するための制御手段として使用することができる。こうした操作子が操作されると、対応するMIDIメッセージがインタフェース装置IFへと送信される。インタフェース装置IFでは、電子楽器EMからMIDIメッセージを受信すると、該MIDIメッセージを制御コマンドに変換し、携帯メディアプレイヤーPLに送信する。
携帯メディアプレイヤーPLでは、インタフェース装置IFから制御コマンドを受信すると、該制御コマンドに応じた制御を行う。制御コマンドに応じた制御は、オーディオファイルを選択/確定する制御、オーディオファイルを再生開始/再生停止する制御、再生位置を早送り/巻き戻しする制御などである。オーディオファイルを再生する制御が行われた場合、オーディオファイルの再生に基づき発生されるアナログ形式のオーディオ信号がインタフェース装置IFに順次に送られ、インタフェース装置IFは送られてきたアナログ形式のオーディオ信号を、アナログオーディオ端子EAに接続されているオーディオケーブルCOを介して電子楽器EMに送る。電子楽器EMでは、送られてきたアナログ形式のオーディオ信号に基づき楽音を発生する。このようにして、電子楽器EMからインタフェース装置IF経由で携帯メディアプレイヤーPLを制御し、携帯メディアプレイヤーPLに記憶されている音楽コンテンツを電子楽器EM側で利用できるようにしている。
上記第2の接続形態の場合における電子楽器EMからの携帯メディアプレイヤーPLの制御手順を実現する、コンピュータやDSP等が実行する具体的な処理(ソフトウェアプログラム)を図6に示す。図6は、「制御処理」の別の実施例を示すフローチャートである。なお、ここに示す実施例においても、インタフェース装置IF、電子楽器EM(電子音楽装置)、携帯メディアプレイヤーPLでそれぞれ実行する処理を同時に示し、各装置で実行する処理を処理手順に従って説明する。以下、図6に示したフローチャートに従って、上記第2の接続形態の場合における「制御処理」について説明する。
図6に示すように、まず、電子音楽装置において、操作子の操作が行われたか否かを判定する(ステップS51)。操作子の操作が行われたと判定した場合には(ステップS51のYES)、操作された操作子に対応付けられた処理を実行する(ステップS52)と共に、該操作子の操作に応じて発生される所定のMIDIメッセージをインタフェース装置IFに対して送信する(ステップS53)。例えば、演奏操作子CR(鍵盤)が押鍵操作された場合には、該押下された鍵に対応付けられている音高の楽音を発生すると共に(発生しなくてもよい)、インタフェース装置IFに対してMIDIメッセージ「音高+キーオン(ノートオン情報)」を送信する。インタフェース装置IFは電子音楽装置からMIDIメッセージを受信したか否かを常時監視しており(ステップS41)、電子音楽装置からMIDIメッセージを受信したと判定した場合には(ステップS41のYES)、該受信したMIDIメッセージを予め対応付けられた制御コマンドに変換し、この制御コマンドを携帯メディアプレイヤーPLに対して送信する(ステップS42)。この際に、受信したMIDIメッセージが制御コマンドを対応付けられたものでない場合には、そのMIDIメッセージを無視してなんらの処理も行わなくてよい。
ここで、インタフェース装置IFに予め記憶されており、電子音楽装置から送られるMIDIメッセージを、インタフェース装置IFに接続される携帯メディアプレイヤーPLを制御するための制御コマンドに変換する「MIDI−制御コマンド対応表」について、図7を用いて説明する。図7は、「MIDI−制御コマンド対応表」の一実施例を示す概念図である。
「MIDI−制御コマンド対応表」は、携帯メディアプレイヤーPLを制御する制御コマンドを対応付ける「MIDIメッセージ」、携帯メディアプレイヤーPLに対して所定の制御を行うよう指示する「制御コマンド」が定義されている。操作子の操作に応じて発生されるMIDIメッセージに制御コマンドを対応付けることで、インタフェース装置IF経由で電子音楽装置に接続される携帯メディアプレイヤーPLを制御する制御手段として使用する、電子音楽装置の操作子を定義することと同様である。ここに示した実施例に基づき、電子音楽装置の操作子の操作に応じた携帯メディアプレイヤーPLの制御の例を説明すると、例えば電子音楽装置側において音高「C♯1」又は「D♯1」の鍵が押下された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは記憶済みの多数のオーディオファイルの中から再生対象とするオーディオファイルの候補を「次選択」又は「前選択」する。この状態で音高「E1」の鍵が押下されることに応じて、携帯メディアプレイヤーPLは再生対象とするオーディオファイルを「確定」する。再生対象とするオーディオファイルの確定後に音高「B5」の鍵が押下された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは前記再生対象に確定したオーディオファイルを「再生開始」する。オーディオファイルの再生中に音高「C6」の鍵が押下された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは前記再生中のオーディオファイルを「再生停止」する。また、オーディオファイルの再生中に、音高「C1」の鍵が押下された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは前記再生中のオーディオファイルの再生位置を「早送り」して進めるし、音高「D1」の鍵が押下された場合には、携帯メディアプレイヤーPLは前記再生中のオーディオファイルの再生位置を「巻き戻し」して戻す。音高「E♯1」の鍵が押下された場合には、該キーの操作回数に応じただけ操作前の1つ状態に「戻る」。
なお、制御コマンドと対応付けるMIDIメッセージは、電子音楽装置側の動作にあまり支障のないものとするのが望ましい。図7に示した実施例では、通常の演奏にあまり使用されることがない最高音、最低音付近の音高が割り当てられている鍵のキーオンメッセージとしている。なお、MIDIメッセージに対応付ける制御コマンドは上記したものに限らない。また、MIDIメッセージと制御コマンドとの対応付けは上記したものに限らない。1つのMIDIメッセージに対して、複数の制御コマンド(例えば、所定のオーディオファイルの選択及び再生開始など)を組み合わせて対応付けるようにしてもよいし、複数のMIDIメッセージの組み合わせに1つの制御コマンドを対応付けるようにしてもよい。
図6の説明に戻って、携帯メディアプレイヤーPLは、インタフェース装置IFから制御コマンドを受信したか否かを常時監視しており(ステップS31)、制御コマンドを受信したと判定した場合には(ステップS31のYES)、該受信した制御コマンドに応じた処理を実行する(ステップS32)。この際に「オーディオファイル再生開始」の制御コマンドを受信した場合には、携帯メディアプレイヤーPLは該当する(選択済みの)オーディオファイルの再生を開始する。オーディオファイルが再生されるとアナログ形式のオーディオ信号が順次に発生され、該発生されたアナログ形式のオーディオ信号はアナログオーディオ端子PAからインタフェース装置IFに順次に入力される。インタフェース装置IFにはアナログオーディオ端子を介して電子音楽装置が接続されていることから、前記アナログ形式のオーディオ信号はそのまま電子音楽装置EMへと流れ、電子音楽装置からアナログ形式のオーディオ信号に基づく楽音が発生される。すなわち、携帯メディアプレイヤーPLで再生された楽音が、インタフェース装置IF経由で電子音楽装置から発生される。ステップS33は、携帯メディアプレイヤーPLが具備する操作子をユーザが操作したか否かを判定する。ユーザが携帯メディアプレイヤーPLの操作子を操作したと判定した場合には(ステップS33のYES)、該操作された操作子に割り当てられている処理を実行する(ステップS34)。
電子音楽装置において、「MIDI-制御コマンド対応表」が変更指示されたか否かを判定する(ステップS54)。この指示は、所定の操作子の操作により行われる。「MIDI-制御コマンド対応表」が変更指示されたと判定した場合には(ステップS54のYES)、「MIDI-制御コマンド対応表」の変更指示を示すMIDIメッセージ(例えばシステムエクスクルーシブで記述されている)をインタフェース装置IFに対して送る(ステップS55)。インタフェース装置IFは、電子音楽装置から「MIDI-制御コマンド対応表」の変更指示を受信したか否かを判定し(ステップS43と)、「MIDI-制御コマンド対応表」の変更指示を受信したと判定した場合には(ステップS43のYES)、該受信した変更指示に応じて「MIDI-制御コマンド対応表」を変更する(ステップS44)。
ここで、「MIDI-制御コマンド対応表」におけるMIDIメッセージと制御コマンドとの対応関係をユーザの指示に応じて変更できるようにするには、例えば対応関係編集用プログラムをパソコン等に導入し、インタフェース装置IFと前記パソコンとをUSB端子経由で接続するとよい。パソコンにおいてインタフェース装置IFから「MIDI-制御コマンド対応表」を読み出し、対応関係編集用プログラム上で対応関係を編集後、この編集結果をUSB端子経由でインタフェース装置IFに戻し、インタフェース装置IFのフラッシュROM2に保存する。勿論、これに限らない。
以上のようにすると、USB等の汎用インタフェースを具えていないが、MIDIインタフェースを具えている一般的な電子音楽装置(特に既存の古いタイプの電子音楽装置)であっても、該電子音楽装置における演奏操作子などの操作に応じて、外部の携帯メディアプレイヤーに記憶されている音楽コンテンツを選択・再生するよう、外部の携帯メディアプレイヤーに対して指示を出し、該指示に応じた携帯メディアプレイヤーでの音楽コンテンツの再生に基づき発生されるオーディオ信号を電子音楽装置側で利用できるようになることから、電子音楽装置からの携帯メディアプレイヤーに対する使い勝手が向上する。ユーザは既に所有している複数の携帯メディアプレイヤーを取り替えるだけで、多数の音楽コンテンツを必要に応じて入れ替えて利用することができるようになり、携帯メディアプレイヤーを有効に活用することができる。また、ユーザが任意にMIDIメッセージと制御コマンドとの対応関係を設定できるようにしたことから、最適な携帯メディアプレイヤーの使い勝手を電子音楽装置側にユーザの好みに応じて設定することが簡単にできて便利である。
上述した実施例においては、インタフェース装置IFが携帯メディアプレイヤーPLから受信するオーディオ信号を、携帯メディアプレイヤーPLがデジタル形式のオーディオデータを再生することにより発生されるアナログ形式のオーディオ信号としたがこれに限らず、携帯メディアプレイヤーPLからデジタル形式のままオーディオ信号を受信するようにしてあってもよい。ただし、一般的に、デジタル形式のオーディオ信号は、著作権保護のために、暗号化されていることが多い。その場合には、暗号を解読するための暗号解読器(復号器)が必要となる。そうした場合のインタフェース装置IFのハード構成を図8に示す。図8に示すように、携帯メディアプレイヤーPLとは、コマンド端子PCと、デジタル形式のオーディオ信号を受信する入力機器であるデジタルオーディオ端子PDとで接続される。デジタルオーディオ端子PDから入力されたデジタル形式のオーディオ信号は、暗号解読器ENに送られて復号化される。
しかし、上述した第1の接続形態において、暗号解読器ENにより暗号を解読した後のデジタル形式のオーディオ信号をUSBインタフェース経由でそのまま電子音楽装置に対して送ることは、著作権保護の観点から好ましくない。そこで、CPU1において、暗号解読後のデジタル形式のオーディオ信号の暗号化(再暗号化)を行ってから電子音楽装置へと送出する。この再暗号化のために必要な暗号鍵は、接続されている電子音楽装置に固有の情報(例えば電子音楽装置IDや、電子音楽装置に装着されている記憶媒体IDなど)に基づいて生成されるようにするのが望ましい。なお、再暗号化されたデジタル形式のオーディオ信号は、電子音楽装置側にて復号化された後に再生がなされることで楽音が発生される。上記のように電子音楽装置に固有の情報に基づく暗号鍵で暗号化されていれば、電子音楽装置側でその鍵を生成することができるので、復号化することは容易に可能である。他方、上述した第2の接続形態においては、暗号解読器ENにより復号化されたデジタル形式のオーディオ信号はD/A変換器DAに送られ、このD/A変換器DAによりアナログ形式のオーディオ信号に変換された後に、アンプAPにより増幅されて、アナログオーディオ端子EAを介して電子音楽装置に送られることにより、電子音楽装置側で楽音が発生される。
このように、携帯メディアプレイヤーPLから出力されるオーディオ信号がデジタル形式である場合には、インタフェース装置IF内で電子音楽装置のみが解読できる暗号化態様で再暗号化してから電子音楽装置に対して送信することにより、電子音楽装置本体内に携帯メディアプレイヤーPLから出力されるオーディオ信号の暗号を解読する機器(仕組み)等を具備しておく必要がないので、コストダウンにつながる。すなわち、携帯メディアプレイヤーPLから出力されるオーディオ信号の暗号を解読する機器(仕組み)は、携帯メディアプレイヤーの提供者によって供給されることが多いために、提供者に対して支払うライセンス料を含むとライセンス料のいらない機器と比べると比較的に高額な機器となる。こうしたコストアップにつながるライセンス料を含む暗号を解読する機器を電子音楽装置に具備する必要がないことから、電子音楽装置をコストダウンできる(特に、携帯メディアプレイヤーを利用することがないユーザにとっては、電子音楽装置に暗号を解読する機器が具えられていてもこうした機器を使うことがないので、電子音楽装置にライセンス料を含んだ暗号を解読する機器を無条件に具備することは無駄である)。
なお、上述した「MIDI-制御コマンド対応表」(図7参照)において、外部の携帯メディアプレイヤーPLを制御する制御手段としての機能を割り当てる演奏操作子CRは上述した鍵盤を構成する各鍵のほか、ドラムパッドやフレーズ割り当て用の専用のパッドなど、操作に応じてMIDIメッセージを発生するものであればどのようなものであってもよい。すなわち、電子楽器EMはユーザによるマニュアル演奏操作に応じてMIDIメッセージを発生する機器であればよく、鍵盤型、ギター型、管楽器型、打楽器型、身振り型等どのようなタイプの操作子を具えた(若しくは、操作形態からなる)機器であってもよい。
なお、電子音楽装置は電子楽器の形態に限らず、ミキサー、パーソナルコンピュータ、カラオケ装置やゲーム装置など、どのような形態の装置・機器に適用してもよい。特に、ミキサーの場合、チャンネル毎の制御を行うためのオン/オフスイッチやスライダー等の操作子毎に制御コマンドを割り当てておき、これらの操作子の操作に応じて対応する制御コマンドを、インタフェース装置を介して携帯メディアプレイヤーに対して送信することで、ミキサーから携帯メディアプレイヤーを制御できるようにするとよい(上記第1の接続形態の場合)。あるいは、前記操作子の操作に応じて発生されるMIDIメッセージを受信したインタフェース装置が対応する制御コマンドを特定し、これを携帯メディアプレイヤーに対して送信することで、ミキサーから携帯メディアプレイヤーを制御できるようにするとよい(上記第2の接続形態の場合)。
電子音楽装置用インタフェース装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。
第1の接続形態における制御処理の概要を説明するための概念図である。
制御処理の一実施例を示すフローチャートである。
操作−制御コマンド対応表の一実施例を示す概念図である。
第2の接続形態における制御処理の概要を説明するための概念図である。
制御処理の別の実施例を示すフローチャートである。
MIDI−制御コマンド対応表の一実施例を示す概念図である。
電子音楽装置用インタフェース装置の全体構成の別の実施例を示したハード構成ブロック図である。
符号の説明
IF…電子音楽装置用インタフェース装置、PL・・・携帯メディアプレイヤー、EM…電子音楽装置(電子楽器)、1…CPU、2・・・フラッシュROM、3…RAM、PA(EA,OT)…アナログオーディオ端子、PC…コマンド端子、AD…A/D変換器、EU(UT)…USB端子、EM(MT)…MIDI端子、CO…オーディオケーブル、CU…USBケーブル、CM…MIDIケーブル、SL・・・スロット、SW1,SW2・・・スイッチ類、CR…演奏操作子、DA…D/A変換器、AP…アンプ、EN…暗号解読器