JP2008195672A - 経口摂取用組成物及び経口摂取用組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療に有用な経口摂取用組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ブドウ科ブドウ属植物、特に、ヤマブドウの葉の加工品及び/又は抽出品を有効成分として含む経口摂取用組成物として利用する。主な有効成分としてオリゴメリックプロアントシアニジンを含むことを特徴とし、該組成物はスーパーオキサイドアニオン消去能がIC50値として20μg以下/ml及び/又はヒドロキシルラジカル消去能がIC50値として1000μg以下/mlの時、更に有効な効果を奏する。
【選択図】なし
【解決手段】ブドウ科ブドウ属植物、特に、ヤマブドウの葉の加工品及び/又は抽出品を有効成分として含む経口摂取用組成物として利用する。主な有効成分としてオリゴメリックプロアントシアニジンを含むことを特徴とし、該組成物はスーパーオキサイドアニオン消去能がIC50値として20μg以下/ml及び/又はヒドロキシルラジカル消去能がIC50値として1000μg以下/mlの時、更に有効な効果を奏する。
【選択図】なし
Description
本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎(non−alcoholic steatohepatitis, 以降「NASH」と呼称する)の予防及び/又は治療に用いる経口摂取用組成物及び経口摂取用組成物の製造方法に関する。
脂肪肝に炎症が加わり、それが持続すると肝硬変まで進行することがある。この病態は非飲酒歴者においてもアルコール性脂肪性肝炎に類似した病状を示すことから、NASHの診断名を与えられ、高血圧、糖尿病、高脂血症と並び新しい生活習慣病として近年俄に注目されているところである。
食生活の欧米化すなわち高脂肪含量の食生活や運動不足による肥満人口の増加と生活習慣病患者の増加に伴い、脂肪肝患者,NASH患者も増加することが想定される。ゆえに、新たに開発されるNASH治療薬や重症化抑制薬及び/又はNASH発症リスク低減機能食品や重症化リスク低減機能食品の開発及び/又はNASH治療方法や重症化予防法の確立が望まれている。
また、ヒトNASH病態に即した該病態モデル実験動物としてラットを用いた時、肝臓ミトコンドリアからの活性酸素ラジカル産生の亢進が認められることから、NASHと酸化ストレスの関係が強く示唆されている(非特許文献1参照)。
一方、ブドウ科ブドウ属の植物は世界中で約5000種類が栽培されているとされ、主に醸造用、生食用、乾しブドウ用として果実部分が利用されている。最近、果実部分だけではなく、種子、果皮なども機能性成分としてフラボノイド、アントシアニジン、アントシアニンを含むことから利用されるようになり、特に、ラジカル消去能との関係でリスベラトロールが注目されている(特許文献1、非特許文献2〜4参照)。
ブドウの葉部分は一部が食用に供される他は殆んどが未利用のまま廃棄されている。しかし、ブドウの葉はオリゴメリックプロアントシアニジンをはじめとする多種類のポリフェノール類、リンゴ酸、シュウ酸などの有機酸類、ビタミンC、カロチノイド類、フェノール化合物などの機能性成分を含むことから、その加工技術並びに高度利用技術の確立が期待されていた。
TAKAYAMA F. et al: J. Pharmacological Sci.,100(1),pp.164(2006).
佐藤充克(1998)、成人病予防食品(二木鋭雄他編), pp.79−pp.90, シーエムシー出版(東京).
植木啓司他、J.ASEV Jpn. 13(3),123−127(2002).
植木啓司他、J.ASEV Jpn. 14(2),77−82(2003).
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療に有用な経口摂取用組成物及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ね、1)NASH病態モデル実験動物の作出技術確立、2) NASH病態モデル実験動物と酸化ストレスの関連解明(非特許文献1)、3)ブドウ科ブドウ属の植物の葉の成分によるラジカル消去活性の発見、並びに、4) NASH病態モデル実験動物へのブドウ科ブドウ属の植物の葉加工物及び/又は抽出物投与による症状の予防及び/又は改善・治療効果の発見、に基づき本発明に至った。
上記目的を達成するために、本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療に用いる経口摂取用組成物であって、ブドウ科ブドウ属の植物の葉加工物及び/又は抽出物からなることを特徴とする。
上記ブドウ科ブドウ属の植物がヤマブドウ(Vitis coingnetiae Pulliat)であってもよい。
上記ブドウ科ブドウ属の植物の葉が赤く紅葉したものであってもよい。
上記抽出物を抽出する抽出溶媒が水及び/又はエタノール、又は水とエタノールの混合物であってもよい。
上記経口摂取用組成物には、オリゴメリックプロアントシアニジンが含有されている。
また、上記目的を達成するために、本発明の経口摂取用組成物の製造方法は、スーパーオキサイドアニオン消去能がIC50値として、20μg以下/mlであることを特徴とする上記経口摂取用組成物の製造方法である。
また、本発明の経口摂取用組成物の製造方法は、ヒドロキシルラジカル消去能がIC50値として、1000μg以下/mlであることを特徴とする上記経口摂取用組成物の製造方法である。
本発明によれば、非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療にブドウ科ブドウ属の植物の葉加工物及び/又は抽出物からなる経口摂取用組成物を用いたたことにより、従来廃棄していたブドウの葉部分の有効活用が出来るとともに、非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療に有用な経口摂取組成物の提供が可能となる。
ヒトにおける非アルコール性脂肪性肝炎は生化学的特徴及び/又は病理組織学的特徴により診断できる。未知の機能性素材評価のためのNASH病態モデル実験動物の作出は、例えばラットを用いた時、該実験動物の血中酸素分圧を低水準に維持することにより達成できる。
NASH病態モデル実験動物と酸化ストレスの関連解明の詳細は上記非特許文献1に準拠している。即ち、上記NASH病態モデル実験動物としてラットを用いた時、該実験動物肝臓ミトコンドリアにおけるヒドロキシルラジカル産生は亢進している。このことは、例えば、肝臓ミトコンドリアにおけるヒドロキシルラジカル消去活性を亢進することによるNASHの予防、改善・治療への可能性を示唆している。
本発明において利用するブドウ科ブドウ属の品種は限定されないが、白ブドウよりも赤(黒)ブドウが好ましい。原料として利用する葉は、栽培期間中のいかなる時期でも原料として使用可能であるが、若葉よりも成熟した葉の方が望ましく、成長期の緑の葉よりも収穫期前後の紅葉した葉の方が有効である。
収穫された葉は直ちに殺菌及び/又は酵素失活を目的とした加熱処理をしても良い。加熱処理条件は殺菌、酵素失活に充分な温度、時間であると同時に、オリゴメリックプロアントシアニジンの減少が最小限度に収まる条件が望ましく、例えば、120℃、5分間の処理が好ましいが、これに限定されない。
続けて、使用前までの期間、マイナス20℃以下で冷凍保管しても良いし、又は、直ちに乾燥処理品として保管しても良い。乾燥方法は天日乾燥、熱風乾燥(AD)、真空凍結乾燥(FD)などが利用できる。長期間保管が必要とされる場合は、乾燥品として低温下にて脱酸素剤と共に光遮断下、ガスバリヤー製の高い包材に入れるとよいが、これに制限されるものではない。
本発明において、収穫された葉はそのままの状態で葉加工物として利用できる。例えば、収穫された葉を刻み、又は、ミンチし、又は、任意の各種素材と混合し、加工し、経口的に摂取するための機能性素材として用いることが可能である。加工手段の中には広義な意味での酵素処理、発酵処理なども含まれる。従って、本発明において葉加工物とは、例えば、葉そのものを食品として用いる場合を想定している。
本発明において、ラジカル消去能を有するオリゴメリックプロアントシアニジンなどの有効成分の濃縮された製品を得るために、ブドウ科ブドウ属の葉の抽出物を製造するに当たっては、抽出溶媒として水、エタノール、ヘキサン、アセトン、メタノール、エーテル、クロロホルム、など各種有機溶媒を単独又は混合して任意に利用できるが、経口的に摂取する組成物として、安全性確保の観点から、水及び/又はエタノールが好ましい。また、更に高いラジカル消去能を有する画分取得のために公知の精製手段で濃縮することを妨げない。
原料葉と抽出溶媒の割合を示す浴比は特には制限されないが、抽出効率、作業性などの観点から見て、例えば原料葉がFD乾燥品の場合、浴比(重量比)は10〜20が好ましい範囲である。
上記抽出溶媒はそのまま用いることが出来るが、抽出過程及び抽出後の製品の品質保持の観点から脱酸素済み溶媒を用いることがより好ましい。
抽出温度、濃縮温度は特には制限されないが、有効成分の品質保持の観点から、出来るだけ低温下にて製造されることが望ましい。作業性、収率、品質などの観点から、全工程を50℃以下、好ましくは、20℃以下に管理することが望ましい。
本発明においては、抽出、濃縮された製品は使用まで低温下にて保管されることが望ましい。製品は脱酸素処理済みの水、エタノールなどの溶媒に溶解させたまま低温保存することが出来る。また、完全に溶媒を除いた後、粉末化し、このものを脱酸素剤などの共存下、ガスバリヤー製の高い包材に入れて低温保管することが出来る。何れの場合もヘッドスペースは、例えば、窒素などの不活性ガスにて置換することが望ましい。保管温度は4℃以下、望ましくはマイナス20℃以下が良い。また、光を遮断した状態で保管する方が望ましい。
前述の通り、本発明においては利用するブドウ科ブドウ属の品種は限定されないが、NASH病態の予防及び/又は改善・治療のためにはヤマブドウ(Vitis coingnetidae Pulliant)葉が特に有効である。このものは、原料確保にあたって安価かつ大量に入手可能で、原料のトレイサビリティー確保が容易で、しかも、品質的にはラジカル消去活性がブドウ科ブドウ属の中では相対的に高いと言う特性を有している。
各製品のフリーラジカルおよび活性酸素種消去能の評価は、例えば、電子スピン共鳴分光 (ESR)法にて行うことが出来る。さらに具体的に例示すると、ESR装置はX−Band(日本電子株式会社製RX型)にデジタル高速掃引ユニット(ラジカルリサーチ社)を組込み改良したフリーラジカル検出装置にESR装置用WIN−RADシステムRDA−03W ESRデータアナライザ(ラジカルリサーチ社)を接続したシステムから構成することが出来る。
ESR測定条件は、例えば、掃引磁場領域: 336.5±5mT、磁場変調Field Mod:0.079、Time Constant: 0.10秒、掃引時間:1分、出力:8.0mWで行い、結果はDMPO又はCYPMPOによりトラップされたラジカルのシグナルの相対強度として示す。
一般に、ブドウ科ブドウ属の葉は最強の抗酸化剤と形容されるオリゴメリックプロアントシアニジンを含有しており、NASH病態の予防及び/又は改善・治療のために必要なラジカル消去活性を有する。
ブドウ科ブドウ属の植物の葉抽出物をラジカル消去活性に基づくNASH病態の予防及び/又は改善・治療用組成物として利用するに当たり、スーパーオキサイドアニオン消去能はESRで測定した時、IC50値として20μg以下/ml、望ましくは10μg以下/ml、最も望ましくは5μg以下/mlとすることにより有効に目的を達成できる。
ブドウ科ブドウ属の植物の葉抽出物をラジカル消去活性に基づくNASH病態の予防及び/又は改善・治療用組成物として利用するに当たり、ヒドロキシルラジカル消去能はESRで測定した時、IC50値として1000μg以下/ml、望ましくは500μg以下/ml、最も望ましくは200μg以下/mlとすることにより有効に目的を達成できる。
以上説明したように、本発明は高いラジカル消去能を有するブドウ科ブドウ属の植物、特にヤマブドウの葉加工物及び/又は抽出物の製造方法を提供し、経口摂取用組成物として用いることにより非アルコール性脂肪性肝炎の有効な予防方法及び/又は治療方法を提供する。
以下、実施例によって本発明をさらに説明する。但し、下記の実施例は発明を例示するためのものであり、本発明をいかなる意味においても限定するものではない。
<実施例1>ヤマブドウ葉抽出物の製造方法
2005年7月中旬に岡山県内にて成熟したヤマブドウ(Vitis coingnetiae Pulliat)の葉を採集し出発原料とした。葉は緑色を呈し、褐色部分、破損部分の無いものを選別し洗浄した。
2005年7月中旬に岡山県内にて成熟したヤマブドウ(Vitis coingnetiae Pulliat)の葉を採集し出発原料とした。葉は緑色を呈し、褐色部分、破損部分の無いものを選別し洗浄した。
上記原料葉10.0Kgをマイナス80℃にて冷凍後、棚温度50℃で真空凍結乾燥(FD)処理し、乾燥葉2.5Kgを得た。このものは使用するまで、脱酸素剤の共存下、ガスバリヤー性の高いアルミ包剤に入れてマイナス80℃にて保管した。
FD処理した葉100.0gに4℃に冷却した脱酸素水2.0lを加えて3時間、4℃下浸漬した。続けて、オムニミキサー(ヤマト科学株式会社)を用いて、氷冷下にて最高回転で10分間破砕処理した。破砕液は氷冷下、No.5B東洋濾紙を用いて濾過し、濾液と残渣に分けた。濾液は50℃以下で減圧濃縮し、又は、棚温度50℃で真空凍結乾燥(FD)処理し、乾燥物15.5gを得た。製品は脱酸素剤共存下、ガスバリヤー性の高いアルミ包剤は褐色ガラス製容器に入れてマイナス80℃にて使用時まで水抽出物として保管した。
残渣は4℃に冷却した脱酸素済みエタノール2.0lを加えて3時間、4℃下浸漬した。続けて、オムニミキサー(ヤマト科学株式会社)を用いて、氷冷下にて最高回転で10分間破砕処理した。破砕液は氷冷下、No.5B東洋濾紙を用いて濾過し、濾液と残渣に分けた。濾液は50℃以下で減圧濃縮し、又は、棚温度50℃で真空凍結乾燥(FD)処理し、乾燥物11.0gを得た。製品は脱酸素剤共存下、ガスバリヤー性の高いアルミ包剤又は褐色ガラス製容器に入れてマイナス80℃にて使用時までエタノール抽出物として保管した。
<実施例2>抽出物のDPPHラジカル消去活性
DPPH(1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル)ラジカル消去能を測定した。DPPHラジカル消去能は以下の方法により測定した。50μM DPPH溶液(溶媒/エタノール)とヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物の水による希釈液を等量混合し、混和45秒後に掃引開始した。DPPHラジカルによるESR信号と、Mnによる6本のESR信号の低磁場から3番目のESR信号を比較し、DPPH/MnのESR信号の相対強度により定量化した(非特許文献5:Takayama F. et al: Japanese Journal of Pharmacology, 64, 71−78(1994)参照)。
DPPH(1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル)ラジカル消去能を測定した。DPPHラジカル消去能は以下の方法により測定した。50μM DPPH溶液(溶媒/エタノール)とヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物の水による希釈液を等量混合し、混和45秒後に掃引開始した。DPPHラジカルによるESR信号と、Mnによる6本のESR信号の低磁場から3番目のESR信号を比較し、DPPH/MnのESR信号の相対強度により定量化した(非特許文献5:Takayama F. et al: Japanese Journal of Pharmacology, 64, 71−78(1994)参照)。
(A)50μM DPPHエタノール溶液と (B)水の等量混合液を対照ESR測定試料とし、ESR測定で観察されたDPPH/MnのESR信号の相対強度を100%とした。(B)をヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物の水による希釈液に替え実施したESR測定時のDPPH/MnのESR信号の相対強度の変化で、各抽出エキス成分のDPPHラジカルに対する消去活性を検討した。その結果、対照ESR測定時のDPPHラジカル信号を50%減弱させる抽出物の濃度をIC50値(μg/ml)としてみた時、固形分換算されたヤマブドウ葉水抽出物のDPPHラジカル消去能は28.0、同じくエタノール抽出物のDPPHラジカル消去能は4.1であった。
同様にして、上記水抽出物に関し、Trolox((±)−Hydroxy−2,5,7,8−tetramethylchromane−2−carboxylicacid、アルドリッチ社)のDPPHラジカル消去能を測定したところ、IC50値(μg/ml)としてみた時、DPPHラジカル消去能は1.6、同じくアスコルビン酸ナトリウムのヒドロキシルラジカル消去能は24.1であった。
以上の結果から、ヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物の高いラジカル消去能が証明された。
<実施例3>抽出物のスーパーオキサイドアニオンラジカル消去活性
実施例1で調整されたヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物に関し、酵素反応で発生させたスーパーオキサイドアニオンラジカルに対する消去活性を評価した。スピントラップ剤 CYPMPO (2−(5,5−Dimethyl−2−oxo−2−λ5−[1,3,2]dioxaphosphinan−2−yl)−2−methyl−3,4−dihydro−2H−pyrrole−1−oxide、ラジカルリサーチ社)を用いたESR測定により、CYPMPO−スーパーオキサイドアニオンのアダクトとして活性酸素を検出し、CYPMPO−スーパーオキサイドアニオン/MnのESR信号の相対強度により定量化した。
実施例1で調整されたヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物に関し、酵素反応で発生させたスーパーオキサイドアニオンラジカルに対する消去活性を評価した。スピントラップ剤 CYPMPO (2−(5,5−Dimethyl−2−oxo−2−λ5−[1,3,2]dioxaphosphinan−2−yl)−2−methyl−3,4−dihydro−2H−pyrrole−1−oxide、ラジカルリサーチ社)を用いたESR測定により、CYPMPO−スーパーオキサイドアニオンのアダクトとして活性酸素を検出し、CYPMPO−スーパーオキサイドアニオン/MnのESR信号の相対強度により定量化した。
即ち、200mMリン酸緩衝液, pH7.8中に250 μM Hypoxanthine (シグマ社)、465μM DETAPAC (diethylenetriaminepenta acetic acid、和光純薬) 、5mM CYPMPO、各濃度のSOD (ウシ赤血球製、シグマ社)又はヤマブドウ葉の抽出物、0.05U/ml Xanthine Oxidase(ウシミルク製、生化学用、和光純薬)の混液を測定試料としてESR分析を行った。
なお、Xanthine Oxidase添加1分後に掃引を開始することで一定量発生させたスーパーオキサイドアニオンラジカル(非特許文献5参照)とCYPMPOのアダクトによるESR信号と、Mnによる6本のESR信号の低磁場から3番目のESR信号を比較し、CYPMPO−スーパーオキサイドアニオンラジカル/MnのESR信号の相対強度によりスーパーオキサイドアニオンラジカルを定量化した。被験素材およびTroloxを添加せず実施した対照ESR測定で観察されたCYPMPO−スーパーオキサイドアニオンラジカル/MnのESR信号の相対強度を100%とした。
ヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物をESR測定試料に添加し、CYPMPO−スーパーオキサイドアニオンラジカル/MnのESR信号の相対強度の変化で、各抽出エキス成分のスーパーオキサイドアニオンラジカルに対する消去活性を検討した。その結果、対照ESR測定時の相対信号強度を50%減弱させる抽出物の濃度をIC50値 (μg/ml)として示してある。
その結果、固形分換算されたヤマブドウ葉水抽出物のスーパーオキサイドアニオン消去能は2.3、同じくエタノール抽出物のスーパーオキサイドアニオン消去能は1.0であった。
同様にして、上記水抽出物に関し、Trolox(実施例2参照)のスーパーオキサイドアニオン消去能を測定したところ、IC50値(μg/ml)としてみた時、スーパーオキサイドアニオン消去能は41.9、同じくアスコルビン酸ナトリウムのスーパーオキサイドアニオン消去能は3.4であった。
以上の結果から、ヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物の高いラジカル消去能が証明された。
<実施例4>抽出物のヒドロキシルラジカル消去活性
実施例1で調整されたヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物に関し、ラジカル消去能を評価するためESRを用いてヒドロキシルラジカル消去能を測定した。ラジカルトラップ剤およびESR装置は実施例3と同様である。
実施例1で調整されたヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物に関し、ラジカル消去能を評価するためESRを用いてヒドロキシルラジカル消去能を測定した。ラジカルトラップ剤およびESR装置は実施例3と同様である。
即ち、充分に窒素置換された200 mMリン酸緩衝液, pH7.8中に100μM硫酸第一鉄、100μMDETAPAC、5mMCYPMPO、各濃度のTrolox又はヤマブドウ葉の抽出物、100μM過酸化水素の混液を測定試料としてESR分析を行った。
なお、過酸化水素添加1分後に掃引を開始することで一定量発生させたヒドロキシルラジカル(非特許文献5参照)とCYPMPOのアダクトによるESR信号と、Mnによる6本のESR信号の低磁場から3番目のESR信号を比較し、CYPMPO−ヒドロキシルラジカル/MnのESR信号の相対強度によりヒドロキシルラジカルを定量化した。被験素材およびTroloxを添加せず実施した対照ESR測定で観察されたCYPMPO−ヒドロキシルラジカル/MnのESR信号の相対強度を100%とした。
ヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物をESR測定試料に添加し、CYPMPO−ヒドロキシルラジカル/MnのESR信号の相対強度の変化で、各抽出エキス成分のヒドロキシルラジカルに対する消去活性を検討した。その結果、対照ESR測定時の相対信号強度を50%減弱させる抽出物の濃度をIC50値 (μg/ml)として示してある。
その結果、IC50値(μg/ml)としてみた時、固形分換算されたヤマブドウ葉水抽出物のヒドロキシルラジカル消去能は412.0、同じくエタノール抽出物のヒドロキシルラジカル消去能は61.9であった。
同様にして、上記水抽出物に関し、Trolox(実施例2参照)のヒドロキシルラジカル消去能を測定したところ、IC50値(μg/ml)としてみた時、固形分換算されたヒドロキシルラジカル消去能は102.3、同じくアスコルビン酸ナトリウムのヒドロキシルラジカル消去能は24.1であった。
以上の結果から、ヤマブドウ葉の水抽出物及びエタノール抽出物の高いラジカル消去能が証明された。
<実施例5>抽出物のNASHへの効果
ヤマブドウ葉水抽出物によるNASH病態モデル動物の肝臓ミトコンドリアからのフリーラジカル産生抑制効果をみるため、下記試験を実施した。
ヤマブドウ葉水抽出物によるNASH病態モデル動物の肝臓ミトコンドリアからのフリーラジカル産生抑制効果をみるため、下記試験を実施した。
Wistar系雄性ラットを、正常対照群(未処理)、NASH病態群2群に分けた。NASH病態モデルは高山らの方法(非特許文献1参照)に準拠して作成した。
各群のラットから、肝臓ミトコンドリアを分画(非特許文献6:Egashira T. et al:Toxicology Letter, 117, 115−119(2000)参照)し、下記アッセイ系 (非特許文献7:Yudong Wang et al:Free Radical Biology and Medicine, 36(11),1434−1443(2004)参照)にて各群ミトコンドリアから派生する活性酸素・フリーラジカル種とスピントラップ剤DMPO (5,5−dimethyl−1−pyrroline−1−oxide、ラボッテク社)とで形成させたスピンアダクトをESR−分光法にて検出した。
ヤマブドウ葉抽出物をミトコンドリア試料に添加し、DMPO−活性酸素・フリーラジカルアダクトのESR信号強度の減弱効果により、ラジカル産生抑制効果を検討した(非特許文献8:Takayama F. et al:Japanese Journal of Pharmacology, 85, 227−233(2001)参照)。各群のミトコンドリア画分は0.03Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4、0.25Mシュクロース、0.1M塩化カリウムを含む)で縣濁し、ESR測定時間で冷凍保存(−80℃)した。
DMPO、ミトコンドリア及びNADHは氷冷、これら以外は予め37℃に温めておいたものを用いた。アッセイ系は、12.5 mMリン酸カリウム, 10.5 mMトリス, 87.5 mM シュクロース, 35mM 塩化カリウム, pH 7.4緩衝液中に、5mg蛋白量/mlミトコンドリア、920 DMPO (5,5−dimethyl−1−pyrroline−1−oxide、ラボテック社)、0.1%ドデシルマルトシド, 10 mM L−グルタミン酸カリウム, 10 mM L(−)-リンゴ酸ナトリウム, 200 mM コハク酸二ナトリウム, 100μM NADHから構成されるよう、試料および試薬溶液を混液し、37℃, 5分間インキュベーション後ESR分析を行った。
その結果、検出されたDMPOとヒドロキシルラジカルとのアダクト(DMPO−OH)に特徴的なg値と微細定数を持つESRスペクトル(DMPO−OH)の信号強度でミトコンドリアから派生する活性酸素・フリーラジカル種を測定した。ヤマブドウ葉の水抽出物をNASH病態ミトコンドリアによるアッセイ系に添加し、DMPO−OH/MnのESR信号の相対強度の変化で、NASH病態エネルギー代謝から派生する活性酸素・フリーラジカル種の発生増大への制御能を検討した。その結果、NASHポジティブアッセイESR測定時の相対信号強度を50%減弱させる抽出物の濃度をIC50値 (μg/ml)として示してある。
すなわち、正常対象群(未処理)を1.0とした時、NASH病態群は2.6、NASH群にヤマブドウ葉水抽出物を添加した群は0.9となった。これにより、ヤマブドウ葉水抽出物はNASH病態モデル動物の肝臓ミトコンドリアからのラジカル産生を抑制制御することが実証された。従って、ヤマブドウ葉水抽出物は、経口的に摂取することによりNASHの予防及び/又は改善・治療に有効であることが強く示唆された。
Claims (7)
- 非アルコール性脂肪性肝炎の予防及び/又は治療に用いる経口摂取用組成物であって、ブドウ科ブドウ属の植物の葉加工物及び/又は抽出物からなること
を特徴とする経口摂取用組成物。 - 上記ブドウ科ブドウ属の植物がヤマブドウであることを特徴とする請求項1記載の経口摂取用組成物。
- 上記ブドウ科ブドウ属の植物の葉が赤く紅葉したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の経口摂取用組成物。
- 上記抽出物を抽出する抽出溶媒が水及び/又はエタノール、又は水とエタノールの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口摂取用組成物。
- オリゴメリックプロアントシアニジンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口摂取用組成物。
- スーパーオキサイドアニオン消去能がIC50値として、20μg以下/mlであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口摂取用組成物の製造方法。
- ヒドロキシルラジカル消去能がIC50値として、1000μg以下/mlであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口摂取用組成物の製造方法。
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JP2007033997A JP2008195672A (ja) | 2007-02-14 | 2007-02-14 | 経口摂取用組成物及び経口摂取用組成物の製造方法 |
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