JP2008193609A - ヘッドホンユニット、及びヘッドホン - Google Patents

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Abstract

【課題】出力される音声の外部への漏れを防止すると共に、個々の使用者に対応して個人差無く、装着における適切な状態を継続して維持することで、装着感を向上させるようにしたヘッドホンユニットと、これを用いたヘッドホンを提供する。
【解決手段】ヘッドホンユニット1は、内部に放音手段3が配されたヘッドホン本体2と、放音手段の音声出力側外周を囲むようにヘッドホン本体に配されたイヤーパッド部4とを少なくとも備える。イヤーパッド部は、内部に、押圧によって変形した適宜形状を維持する制御手段を備える。制御手段は、電圧の印加によりイヤーパッド部の適宜形状を維持する形状維持手段である。形状維持手段は、電圧の印加により粘性を増加させてイヤーパッド部の変形した適宜形状を維持する流動部材12と、電圧発生手段と流動部材とを電気的に接続する電極13及び導電配線14からなる印加手段とから構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヘッドホンユニット、及びヘッドホンに係るものであり、詳しくは、ヘッドバンドを用いて頭部へ装着する形式のヘッドホンにおいて、出力される音声の外部への漏れを防止すると共に、使用者の個人差無く装着感を向上させる技術に関する。
ヘッドホンは、使用者の頭の上を跨ぐヘッドバンドを介して、その両方の端部にそれぞれ取り付けた左右一対のヘッドホンユニットを連結したものである。このヘッドホンは、前記ヘッドホンユニットを近接させるような前記ヘッドバンドの弾性力を利用して、前記ヘッドホンユニットによって使用者の顔を両側面から挟み込み、左右のヘッドホン本体に配置されているイヤーパッドで使用者の左右の耳を周囲から囲むように装着している。
上記ヘッドホンユニットの基本的な構成は、たとえば図5示すとおりである。
図5において、ヘッドホンユニット101は、内部に放音手段としてスピーカ103が配されたヘッドホン本体102と、前記スピーカ103の放音側外周を囲むように前記ヘッドホン本体102に配されたイヤーパッド104とを少なくとも備えている。図5は片方のヘッドホンユニット101のみを示している。
このイヤーパッドはクッション性を有しており、使用者の頭部や顔の形状に合わせて耳の周りの側頭側顔部(以下、単に「耳の周り」という)にヘッドホン本体をフィットさせることで、音漏れを防止している。また、イヤーパッド104は、頭部へのヘッドホンの保持の役目も果たしている。このようなイヤーパッド104は、通常、ウレタンフォーム等のクッション材を、塩化ビニールシートや合成皮革等の外装膜で包んだ環状構造を有している。
ところが、使用者の頭や顔、耳の形状、及びその寸法には個人差がある。そのため、ヘッドホンの装着時に耳の周りに加える側圧は、個人によって過不足が生じてしまう。
たとえば、図6に示すように、イヤーパッド104を使用者Uの耳の外周に位置させ、音漏れを少なくし、頭部への保持強度を高くするために、前記ヘッドバンドの弾性力を利用して左右から強く挟み込むように装着する。そうすると、イヤーパッド104の接触面104aが耳の周りに当接し、使用者Uの側頭部の形状、その他の条件によって、図中矢印で示すように、部分的に圧迫されたものとなってしまう。そのため、使用者Uにとって装着感が悪いと共に、長時間の使用が苦痛となる。
一方、図7に示すように、イヤーパッド104を使用者Uの耳の外周に位置させ、部分的な圧迫を回避するために、左右から挟みつける弾力を小さくして装着したとする。そうすると、部分的に圧迫されることは無いが、イヤーパッド104の接触面104aと、使用者Uの耳の周りの下方部との間に隙間110が生じてしまう。そのため、外部に音漏れし、周囲の人に迷惑を掛けてしまうと共に、保持強度の不足が発生してしまう。
このように、従来のヘッドホンでは、イヤーパッドで耳の周りを左右から挟み込むように装着するだけでは、個々の使用者に対応することが出来ないものであった。
また、ジンバル機構に類似の連結構造を備えることによって、ヘッドホンユニット101をヘッドバンドに対して上下左右方向に調整できる構造もあるが、図6又は図7のように、イヤーパッドが強く当って痛くなる部分と、弱く当って音漏れしてしまう部分が発生してしまう。
そこで、音漏れを防止すると共に、装着感を向上させるようにしたヘッドホンが幾つか提案されている(たとえば、特許文献1乃至3参照)。
しかしながら上記特許文献1乃至3に記載されたものは何れも、ヘッドホンの装着感を向上させるようにすることは出来るものの、ヘッドホンの装着において個々の使用者に対応しつつ、好ましい装着感を覚える適切な状態を継続して維持することが出来るものではなかった。
特開平7−327291号公報 特開平8−88889号公報 特開平11−27778号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、出力される音声の外部への漏れを防止すると共に、個々の使用者の個人差に対応して、装着における適切な状態を継続して維持することで、装着感を向上させるようにしたヘッドホンユニットと、これを用いたヘッドホンを提供することを目的とする。
本発明に係るヘッドホンユニットは、内部に放音手段が配されたヘッドホン本体と、前記放音手段の音声出力側外周を囲むように前記ヘッドホン本体に配されたイヤーパッド部と、を少なくとも備えるヘッドホンユニットであって、前記イヤーパッド部は、内部に、押圧によって変形した適宜形状を維持する制御手段を備えていることを主たる特徴とする。
本発明のヘッドホンユニットは、ヘッドホン本体の内部に配された放音手段の音声出力側外周を囲むように前記ヘッドホン本体に配されたイヤーパッド部が、その内部に、押圧によって変形した適宜形状を維持する制御手段を備えている。
ゆえに、使用者がヘッドホンを装着するとイヤーパッド部が押圧され、個々の使用者の耳の周りの形状に倣って適宜形状に変形した後、前記制御手段よって、変形した適宜形状を維持させることが出来る。これにより、聴音時にイヤーパッド部が使用者の側頭部を部分的に圧迫することや、無闇に変形することがなく、ヘッドホンの装着中に耳の周りに加えられる側圧が個人によって過不足なく均一したものとなる。また、側圧が小さくなって部分的な応力の不均一が無く、各自好ましい装着感となる。しかも、側圧が小さくなっても保持力が低下せず、音漏れもすること無く、良好な音質感を得ることが出来る。
したがって、出力される音声の外部への漏れを防止すると共に、個々の使用者に対応して個人差無く、装着における適切な状態を継続して維持することで、装着感を向上させるようにしたヘッドホンユニットと、これを用いたヘッドホンを提供することが出来る。
以下、本発明に係るヘッドホンユニットの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るヘッドホンユニットの一例を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態のヘッドホンユニット1は、内部に放音手段3が配されたヘッドホン本体2と、前記放音手段3の音声出力側外周を囲むように前記ヘッドホン本体2に配されたイヤーパッド部4と、を少なくとも備えている。また、ヘッドホンユニット1は、前記イヤーパッド部4の内部に、押圧によって変形した適宜形状を維持する制御手段を備えていることを特徴とする。
ヘッドホン本体2は、振動板や、前記振動板を駆動するドライバユニット、前記振動板の外周縁部を支持するフレーム、といった放音手段3に用いられる各部材を収納するいわゆるキャビネットである。
放音手段3は、音声の放音を行う再生用スピーカ(以下、符号「3」で示す)である。再生用スピーカ3は、電気信号を振動板の振動により音波に変換し、この音波を外部へ放射することで、たとえば音声として出力する。
イヤーパッド部4は、押圧によって適宜形状に変形可能な部材よりなり、たとえば内部が中空で、その外周をウレタンフォーム等のクッション材、及び塩化ビニールシートや合成皮革等の外装膜で包んだ中空構造とすることが出来る。
また、イヤーパッド部4の内部に備えられた制御手段は、電圧の印加により前記イヤーパッド部4の適宜形状を維持する形状維持手段とすることが出来る。
電圧の印加は、維持する適宜形状を確定する指示信号に応じて電圧を発生する電圧発生手段によって行われる。この電圧発生手段は、前記ヘッドホン本体に具備されていても良いし、前記ヘッドホン本体以外の場所に設け、電気的に接続されるようにしても良い。電圧発生手段としては、たとえば電気回路をオン、オフするスイッチや、再生用スピーカから放音される出力信号を検知する電子部品、使用者の体温を感知する温度センサといったものを挙げることができる。したがって、スイッチの投入による電気的な導通を指示信号としたり、音声信号の検知による出力信号を指示信号としたり、所定温度の測定による感知信号を指示信号とすることで、電圧を発生させることができる。
また、形状維持手段は、たとえば流動部材12と印加手段とから構成されるものとすることが出来る。
流動部材12は、電圧の印加により粘性を増加させて前記イヤーパッド部4の変形した適宜形状を維持するものであり、粘性を可逆的に変化させることができる流体である。流動部材12としては、たとえば電界強度に応じて見かけ上の粘性が変化する電気粘性(ER:Electro Rheological)流体を挙げることができる。電圧を印加することで材料の粘性特性が変化する性質はER(エレクトロ・レオロジー)効果と呼ばれ、このような特性を持つ電気粘性流体として、たとえば絶縁性の液体に誘電性固体微粒子を分散させた懸濁液や液晶がある。
このような流動部材12は、たとえば前述のように中空構造としたイヤーパッド部4の中空内に封入される。したがって、流動部材12は、装着による押圧によって適宜形状に変形可能なように配置されている。
前記電圧印加手段は、前記電圧発生手段と前記流動部材12としての電気粘性流体に電圧を印加するものであり、たとえば電極13,13と導電配線14,14から構成することが出来る。
したがって、電圧発生手段が、維持する適宜形状を確定する指示信号に応じて電圧を発生すると、前記電圧は、導電配線14を通じて電極13へ送られ、流動部材12に印加される。流動部材12は、電圧の印加を受けると、粘性が高くなり、流動性がなくなって変形した適宜形状を維持する。一方、流動部材12への電圧の印加が解除されると、粘度が低減し再び流れを取り戻し、押圧によって適宜形状に変形可能となる。
次に、制御手段を動作する電源について説明する。
前記制御手段は、放音手段であるスピーカの駆動信号(以下、「スピーカ段駆動信号」という)を電源とすることができる。
図2は、スピーカ段駆動信号を電源とした場合の電圧の印加の流れの一例を示す回路図である。
図2に示すように、音源より再生用スピーカ3に給電されるスピーカ駆動信号がトランスTの一次巻線に流れるように構成する。その二次巻線は、一次巻線に印加される電圧を昇圧して出力する。トランスTの二次巻線より出力された電圧はダイオードDで整流され、コンデンサCにより平滑されて、印加手段である導電配線14及び電極13を介して流動部材12に印加される。
このように、スピーカ駆動信号を電源とすることで、制御手段は整流された電圧に基づいて動作し、電源として電池を備える場合のように、電池の交換作業が必要になるといった煩わしさがない。また、適宜形状に変形したイヤーパッド部4の形状を維持する電圧の印加を、効率良く行なうことが出来る。
また、前記制御手段は、前記ヘッドホン本体2に搭載された電池を電源として行なうようにしても良い。
図3は、電池を電源とした場合の電圧の印加の流れの一例を示す回路図である。
図3に示すように、制御手段を動作する回路のスイッチSWを操作してオンさせると、電池Eより給電された電圧をコンバータ等で適切な電圧に変換し、さらに、印加手段である導電配線14及び電極13を介して流動部材としての電気粘性流体12に印加する。
このように、電池Eを電源とすることで、制御手段は電池Eからの電圧に基づいて動作し、使用者が前記スイッチSWを操作することで、好ましい装着感を覚えた自由なタイミングで、適宜形状に変形したイヤーパッド部4の形状を維持する電圧の印加を行なうことが出来る。
以上のように構成したヘッドホンユニット1は、ヘッドバンド(不図示)の両端にそれぞれ取り付けられ、ヘッドホンは、前記ヘッドバンドを介して左右一対のヘッドホンユニット1,1が連結されたものとなる。なお、ヘッドホンユニット1のヘッドホン本体2に配されたスピーカには音源装置から音声信号を送信する電気コードがそれぞれ接続されている。
そして、図4に示すように、前記ヘッドホンユニット1を、利用者Uの耳を左右から挟み込むように装着すると、イヤーパッド部4が使用者Uの耳の周りに当接して押圧され、イヤーパッド部4は、内部の流動部材12が流れることで、個々の使用者の耳の周りの形状に倣って適宜形状に変形する((a)参照)。
その後、スイッチの操作や、所定体温の検知、音声信号の検知等といった、前記適宜形状を確定する指示信号に応じて電圧発生手段が動作し、電圧が発生する。次いで、前記電圧発生手段より発せられた電圧は、導電配線14及び電極13を介して流動部材12に印加する。前記流動部材12は、電圧の印加により粘性が高くなって流れなくなり、変形した適宜形状を維持するものとなる。
これにより、使用者Uの耳の周りに当接するイヤーパッド部4の部分応力が均一化し、不快な圧迫感が無く、各自好ましい装着感を維持しながら聴音することが出来る。しかも、ヘッドホンの保持力は低下せず、音漏れもすること無く、良好な音質感を得ることが出来る。
そして、前記ヘッドホンユニット1を使用者Uの耳から開放しても、流動部材12に電圧が印加されている限り、変形した適宜形状は無闇に変形せず維持されたものとなる((b)参照)。
なお、本実施形態では、図面においてイヤーパッド部が耳の周囲の側頭部に密着する耳覆い型のヘッドホンについて説明したが、本発明はこれに限定されない。したがって、たとえばイヤーパッド部が耳に対して平面的にあたるヘッドホンとしても良い。
本発明に係るヘッドホンユニットの実施例を示す断面図である。 本発明に係るヘッドホンユニットへの給電手段の一例を示す回路図である。 本発明に係るヘッドホンユニットへの給電手段の他の例を示す回路図である。 本発明に係るヘッドホンを装着した状態を示す概略図である。 従来のヘッドホンを示す断面図である。 従来のヘッドホンを装着した第一の状態を示す概略図である。 従来のヘッドホンを装着した第二の状態を示す概略図である。
符号の説明
1 ヘッドホンユニット
2 ヘッドホン本体
3 放音手段(スピーカ)
4 イヤーパッド部
12 流動部材
13 電極
14 導電配線

Claims (6)

  1. 内部に放音手段が配されたヘッドホン本体と、前記放音手段の音声出力側外周を囲むように前記ヘッドホン本体に配されたイヤーパッド部と、を少なくとも備えるヘッドホンユニットであって、
    前記イヤーパッド部は、内部に、押圧によって変形した適宜形状を維持する制御手段を備えていることを特徴とするヘッドホンユニット。
  2. 前記制御手段は、電圧の印加により前記イヤーパッド部の適宜形状を維持する形状維持手段であることを特徴とする請求項1に記載のヘッドホンユニット。
  3. 前記形状維持手段は、電圧の印加により粘性を増加させて前記イヤーパッド部の変形した適宜形状を維持する流動部材と、電圧発生手段と前記流動部材とを電気的に接続する電圧印加手段を備えてなる請求項2に記載のヘッドホンユニット。
  4. 前記制御手段は、放音手段駆動信号を電源とすることを特徴とする前記請求項1乃至3の何れか一項に記載のヘッドホンユニット。
  5. 前記制御手段は、前記ヘッドホン本体に搭載された電池を電源とすることを特徴とする前記請求項1乃至3の何れか一項に記載のヘッドホンユニット。
  6. 前記請求項1乃至5の何れか一項に記載のヘッドホンユニットを備えることを特徴とするヘッドホン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023113270A1 (ko) * 2021-12-16 2023-06-22 삼성전자주식회사 헤드폰 및 웨어러블 장치

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