JP2008184379A - 被覆活性炭及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、活性炭の気体吸着率を維持したまま活性炭の外表面を、簡易かつ確実に被覆した被覆活性炭及びその製造方法を提供することを目的とするものである。また、マイクロ波照射により吸着ガスを離脱させる場合であっても、火花放電が発生せず、活性炭の気体吸着能を被覆前と同様に維持する被覆活性炭及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明は、粒状活性炭2の外表面2aを、接着剤を介して、粒状の非導体で部分的または全体に隙間がある一様な密度で被覆したことを特徴とする被覆活性炭1の構成とした。
【選択図】図1
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明は、粒状活性炭2の外表面2aを、接着剤を介して、粒状の非導体で部分的または全体に隙間がある一様な密度で被覆したことを特徴とする被覆活性炭1の構成とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、粒子状の活性炭を粒子状のシリカ(二酸化ケイ素/SiO2)、または粒状アルミナ或いはそれら混合物など粒状の非導体で部分的にまたは全体に被覆した被覆活性炭、及びその製造方法に関する。
活性炭は、揮発性有機化合物(VOC)、排ガス、有害物質などの気体(以下、単に気体という。)などを吸着させる。そのため、気体の除去、回収に用いられている。また、気体を吸着した活性炭を再生(気体の回収)させるため、一般に、水蒸気加熱方式が採用されている。
しかし、回収したVOCから水を分離することは困難であり、またその装置も大掛かりで、ランニングコストも高い。
そこで、特許文献1に示すような簡易な気体の回収方法として、吸着した活性炭にマイクロ波を照射し、加熱し、活性炭から吸着した気体を離脱する方法が提案されている。特許文献1に記載の活性炭の加熱方法は、「耐熱性且つ電気絶縁性被覆材により0.0005mm以上、1.0mm以下の厚みで被覆された活性炭にマイクロ波を照射するか又は高周波を印加する活性炭の加熱方法。(請求項1)」、また「被覆材が、無機系の酸化物、粘土鉱物又はフェライト化合物である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の活性炭の加熱方法。」の構成である。吸着剤は球状活性炭であるが、マイクロ波を照射すると表面の電位差により火花放電が発生することから表面にコーティングを施すことが必要となる。
これにより、酸素を含有する雰囲気中でマイクロ波等を照射しても火花放電が起こらず、従って活性炭、VOCが燃焼することもなく、容易且つ短時間内に均一に活性炭自体の温度を上げることができるとされる。
2005−194132号公報
しかしながら、特許文献1に記載された粘度鉱物を被覆した場合、その被覆程度、方法が困難であった。被覆の厚さを増加させて活性炭表面を完全に覆うことが出来れば火花放電は治まるが、活性炭の細孔(内部空洞)が塞がれることによりガスの吸着性能が減少する。一方、薄く被覆した場合は、活性炭の外表面が剥き出しとなり、隣り合う活性炭同士が接触し、やはり火花放電が発生してしまう。
そこで、本発明は、活性炭の気体吸着率を維持したまま活性炭の外表面を、簡易かつ確実に被覆した被覆活性炭及びその製造方法を提供することを目的とするものである。また、マイクロ波照射により吸着ガスを離脱させる場合であっても、火花放電が発生せず、活性炭の気体吸着能を被覆前と同様に維持する被覆活性炭及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、粒状活性炭2の外表面2aを、接着剤を介して、粒状の非導体で部分的または全体に隙間がある一様な密度で被覆したことを特徴とする被覆活性炭1の構成、
前記粒状の非導体が、粒状シリカ3、または粒状アルミナ或いはそれら混合物であることを特徴とする前記被覆活性炭の構成、前記接着剤が、水ガラスであることを特徴とする前記何れかに被覆活性炭の構成、前記被覆が、粒状活性炭2の外表面積の50〜90%の範囲であることを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、吸水性物質を接着剤に添加したことを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、前記吸水性物質が、リン酸水素二ナトリウムであることを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、
活性炭:粒状シリカ:接着剤:吸水性物質の組成重量比が、100重量部:10〜50重量部:10〜20重量部:1〜5重量部であることを特徴とする被覆活性炭の構成、排ガス吸収に用いた前記被覆活性炭を、マイクロ波加熱により、再生させることを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、
前記粒状シリカ、粒状アルミナの直径が、0.05〜50μmであることを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、
粒状活性炭2を100〜120℃で、3時間〜10時間乾燥し、乾燥粒状活性炭を準備し、前記乾燥粒状活性炭と、粒状の非導体と、水ガラスと、リン酸水素二ナトリウムを、100重量部:10〜50重量部:10〜20重量部:1〜5重量部の割合で、回転式造粒機に投入し、30〜50℃を維持し、0.5〜2時間、速度30RPMで回転し、粒状の非導体を粒状活性炭2に予備コートし、120〜150℃で、2〜5時間乾燥させ、粒状活性炭の外表面積の50〜90%の範囲を、粒状の非導体で部分的に被覆したことを特徴とする被覆活性炭の製造方法の構成とした。
前記粒状の非導体が、粒状シリカ3、または粒状アルミナ或いはそれら混合物であることを特徴とする前記被覆活性炭の構成、前記接着剤が、水ガラスであることを特徴とする前記何れかに被覆活性炭の構成、前記被覆が、粒状活性炭2の外表面積の50〜90%の範囲であることを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、吸水性物質を接着剤に添加したことを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、前記吸水性物質が、リン酸水素二ナトリウムであることを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、
活性炭:粒状シリカ:接着剤:吸水性物質の組成重量比が、100重量部:10〜50重量部:10〜20重量部:1〜5重量部であることを特徴とする被覆活性炭の構成、排ガス吸収に用いた前記被覆活性炭を、マイクロ波加熱により、再生させることを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、
前記粒状シリカ、粒状アルミナの直径が、0.05〜50μmであることを特徴とする前記何れかに記載の被覆活性炭の構成、
粒状活性炭2を100〜120℃で、3時間〜10時間乾燥し、乾燥粒状活性炭を準備し、前記乾燥粒状活性炭と、粒状の非導体と、水ガラスと、リン酸水素二ナトリウムを、100重量部:10〜50重量部:10〜20重量部:1〜5重量部の割合で、回転式造粒機に投入し、30〜50℃を維持し、0.5〜2時間、速度30RPMで回転し、粒状の非導体を粒状活性炭2に予備コートし、120〜150℃で、2〜5時間乾燥させ、粒状活性炭の外表面積の50〜90%の範囲を、粒状の非導体で部分的に被覆したことを特徴とする被覆活性炭の製造方法の構成とした。
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。第1に、粒状活性炭の外表面に、接着剤を介して、粒状シリカ、または粒状アルミナ或いはそれら混合物など粒状の非導体で部分的に被覆したため、酸素存在下において、マイクロ波照射による加熱を行い吸着ガスを離脱させたとしても、火花放電を起こすことがない。第2に、粒状活性炭の外表面積を50〜90%の範囲で被覆したため、活性炭の表面は完全に被覆されず、ガス吸着能は低下しない。第3に、接着剤として、水ガラスを用いたとしても、吸水性物質が添加しているため、雰囲気中の水分により、被覆剤が剥離しづらく、安定で、被覆が維持され、繰り返し吸着、再生に利用でき、経済的である。第4に、活性炭:粒状シリカ:接着剤:吸水性物質の組成重量比を、100重量部:10〜50重量部:10〜20重量部:1〜5重量部とすることで、活性炭の外表面を、確実、簡易に部分的にまたは全体に隙間がある一様な密度で被覆でき、気体の吸着能が維持され、火花放電も起こさない。
ガスを吸着し、マイクロ波加熱によって、吸着ガスを離脱、再生される活性炭であって、火花放電することなく、均一に加熱される活性炭を提供する目的を、粒状活性炭を100〜120℃で、3時間〜10時間乾燥し、乾燥粒状活性炭を準備し、前記乾燥粒状活性炭と、直径0.05〜50μm粒状シリカ、または粒状アルミナ或いはそれら混合物と、水ガラスと、リン酸水素二ナトリウムを、100重量部:10〜50重量部:10〜20重量部:1〜5重量部の割合で、回転式造粒機に投入し、30〜50℃を維持し、0.5〜2時間、速度30RPMで回転し、粒状シリカ、または粒状アルミナ或いはそれら混合物を粒状活性炭に予備コートし、120〜150℃で、2〜5時間乾燥させ、粒状活性炭の外表面積の50〜90%の範囲を、粒状シリカ、または粒状アルミナ或いはそれら混合物で部分的に被覆したことを特徴とする被覆活性炭の製造方法。
の構成とすることで実現した。
の構成とすることで実現した。
以下、添付図面に基づき、本発明である被覆活性炭について詳細に説明する。
図1は、本発明である被覆活性炭の外表面の観察結果である。図1(A)は本発明である被覆活性炭1(後述の試験区6)の外表面のマイクロスコープ観察結果である。図1(B)は図1(A)の模式図である。図1(C)は、本発明である被覆活性炭1の断面の一部拡大図である。
図1(A)の白から灰色に見える部分が粒状シリカである。粒状シリカ3は、図1(B)、図1(C)に示すように、粒状活性炭2の外表面2aを均一(隙間がある一様な密度、厚さ)に覆っている。しかし、内部空洞2bまでを覆うことはない。
活性炭は、特定の物質を選択的に分離、除去、精製するなどの目的で吸着効率を高めるために化学的、物理的な処理(活性化)を施した多孔質の炭素である。活性炭は、多孔質であり、多くの物質を吸着させる性質があるため、脱臭、水質浄化、毒物中毒における毒の吸着等に用いられる。
原料としては、木・竹・椰子ガラなどの植物、石炭、石油質などが用いられる。また、活性化の方法は水蒸気や二酸化炭素、空気などのガスを使う高温炭化法(800−950℃)が一般的で、他に薬品を使う方法もある。また、材料や製法によって多彩な形状を持つ(粉末状、粒状、破砕状、繊維状、ハニカム状など)。本発明に用いられる活性炭は、炭素素材、活性化方法多孔質形状は特に限定しない。
また、粒状活性炭は、上記活性炭を粒状、略球状に形成したものであればよく、好ましくは直径0.1mm〜数mm程度のもの、より好ましくは1〜3mm程度のものがよく、例えば、日本エンバイロケミカルズ株式会社製、球状炭XS−7100、平均粒子径1.0mm、灰分3wt%、電気比抵抗10−5Ωmが使用できる。
シリカは、二酸化ケイ素(SiO2)のことであり、無水ケイ酸とも呼ばれる。圧力、温度の条件により、多様な結晶相(結晶多形)が存在する。二酸化ケイ素の結晶多形の中で代表的なものとして、石英(水晶、鱗珪石)、スティショバイト、クリストバライト 、コーサイト、ジャスパーなどがあり、これらも本発明のシリカに含まれこととする。
また、粒状シリカとは、シリカを微小の粒状、略球状に加工したものであり、例えば、株式会社アドマテックス製、アドマファイン、平均粒子径0.25〜22μmがある。接着剤を介して、粒状活性炭の外表面に被覆される。
接着剤としては、水ガラスがよい。水ガラスは、ケイ酸ナトリウムの濃い水溶液である。ケイ酸ナトリウムを水に溶かして加熱することで得られ、水飴状で大きな粘性を持つ。ケイ酸ナトリウムは、通常はメタケイ酸のナトリウム塩(Na2Si3)をいうが、その他
Na4SiO4、Na2Si2O5、Na2Si4O9なども含まれる。
Na4SiO4、Na2Si2O5、Na2Si4O9なども含まれる。
被覆方法としては、公知の方法が用いられる。例えば、被覆材を活性炭の細孔内に侵入し難く、被覆材を活性炭の表面に付着させて活性炭粒子を被覆するような適当なバインダーの溶液で希釈し、これに活性炭を浸し乾燥する方法(含浸法)、被覆材を含む前記溶液を活性炭表面に噴霧し乾燥する方法(噴霧法)、また活性炭を流動させた状態で、被覆材を含む前記溶液を通過させて乾燥する方法(流動法)などが挙げられる。そして、粒状シリカを所定の厚さ及び密度で被覆した後、十分乾燥させれば、本発明である被覆活性炭が得られる。具体的な試験区6の被覆方法は後述する。
また、接着剤に、吸水性物質を添加してもよい。吸水性物質として、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウムがよい。吸水性物質を添加することにより、雰囲気中の水分により、水ガラスが軟化、シリカの剥離を低下させることができる。これにより、被覆活性炭の再利用回数が増え、経済的である。
図2は、従来のコーティング活性炭の外表面の観察結果である。図2(A)は後述の試験区3外表面のマイクロスコープ観察結果である。図2(B)は図2(A)の模式図である。図2(C)は、コート活性炭の断面の一部拡大図である。
ここでは、モンモリロナイト5(層状ケイ酸塩鉱物、クニミネ工業株式会社製モンモリロナイト粉末)を被覆剤として採用した。モンモリロナイト5とは、粘度鉱物であり、0.1〜1μm程度の極めて薄い薄片状をしている。被覆方法は、上述の方法を採用した。
図2(A)の白から灰色に見える部分がモンモリロナイト5である。モンモリロナイト5は、図2(B)、図2(C)に示すように、粒状活性炭2の外表面2aを塊となって部分的に覆っている。モンモリロナイト5を被覆した活性炭はコーティング剤の均一な噴霧が出来ずに塊として表面を覆ってしまっており、一部には粒状活性炭が剥き出しの状態で存在している箇所が見られた。このように、剥き出しの部分が存在すると、マイクロ波を照射した場合、火花放電が発生する。
一方、粒状シリカ3を被覆した被覆活性炭1にはモンモリロナイト5の被覆に見られたような塊はなく、均一(一様な密度、厚さ)に粒状活性炭2を被覆していた。モンモリロナイト5は分散性に優れたSiO2と違って水中に分散すると粘性を帯びる性質があり、この影響で均一に噴霧することが出来ずに凝集状態のまま粒状活性炭2に付着してしまったものと考えられる。
図3は、活性炭の被覆条件・組成を示す図である。被覆剤として、モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製モンモリロナイト粉末)、粒状シリカ(株式会社アドマテック製、アドマファイン、平均粒子径0.25〜22μm)、他の添加物である水、リン酸二水素カリウム、水ガラス(ナカライテスク株式会社製、ケイ酸ナトリウム濃度50重量%)を所定の比率で、混合し、活性炭に被覆した試験を行った(試験区1〜6)。
試験区1〜3は、被覆剤としてモンモリロナイトを用い、モンモリロナイトの重量比を変更し、試験区4〜6は、被覆剤として一定量のシリカを用い、シリカの粒径を変更した。なお、被覆剤の重量比率*1は、(被覆剤重量/活性炭重量)×100である。
活性炭は、全て、日本エンバイロケミカルズ株式会社製、球状炭XS−7100、平均粒子径1.0mmを使用した。また、被覆は、当該活性炭100gに対して行った。
水は、被覆剤混合物を活性炭に噴霧できる程度の流動性を付与するために、被覆剤の重量に対して、一定の割合で添加した。例えば被覆剤が10gであれば、40gとした(試験区1、4〜6)、被覆剤が20gであれば80g(試験区2)、被覆剤が30gであれば120g(試験区3)とした。
リン酸二水素カリウムは、接着剤である水ガラスが雰囲気中の水分により軟化し、被覆剤が活性炭表面から剥離しないよう被覆剤の重量に対して、一定の割合で添加した。例えば被覆剤が10gであれば、1gとした(試験区1、4〜6)。被覆剤が20gであれば2g(試験区2)、被覆剤が30gであれば3g(試験区3)とした。
水ガラスは、活性炭の外表面にシリカを被覆させるための接着剤であり、被覆剤の重量に対して、一定の割合で添加した。例えば被覆剤が10gであれば、20gとした(試験区1、4〜6)。被覆剤が20gであれば40g(試験区2)、被覆剤が30gであれば80g(試験区3)とした。
このように調整したコート活性炭を、図4に示す装置で、マイクロ波を照射し、火花放電の有無を観察した。
図4は、活性炭にマイクロ波を照射し、火花放電を観察する装置の模式図である。火花放電を観察する装置は、導波管型マイクロ波照射装置と、前記装置の活性炭6がマイクロ波8を吸収し、発熱反応を起こす部分であるアプリケーター7に穴加工を施し、設置した光センサー9(浜松ホトニクス株式会社 H5784)とからなる。
活性炭6は、アプリケーター7を挿通するフッ素系樹脂チューブ12内を、フッ素系樹脂チューブ12下端部に設けられたボールバルブ12aで移動速度を調整され、フッ素系樹脂チューブ12内を落下移動しながら遮光状態でマイクロ波8(500W〜50W)の照査を受ける。
火花放電の観察は、光センサー9で検出した信号を、アンプ9aで増幅し、高速な現象を観察し、統計的解析をするために、サンプリング周波数500kHzで4秒間、データーロガー10で収集し、パーソナルコンピューター11で解析した。
図5は、マイクロ波照射で得られた測定結果である。ここでは、対照区(A)として、被覆剤で被覆されていない活性炭、試験3(B)、試験区6(C)の結果を示す。横軸が照射時間(μ秒)、縦軸がシグナル強度(V)であり、強度(V)が高いほど、火花放電が多く起こっていることを意味する。
データーロガーによって収集した測定結果から、ノンコート活性炭では、火花放電が多発していることがわかる。また、モンモリロナイト被覆(試験区3)では、火花放電が極端に減少しているが、完全に発生は抑制されていない。他方、粒状のシリカ(試験区6)では、ほぼ完全に火花放電を抑えられたことがわかる。
図6は、活性炭にマイクロ波を照射したときの放電の起こる確率である。火花放電の起こる確率は、マイクロ波を照射しないときの活性炭における火花放電の回数を0とし、それを基準値として対象区、試験区にマイクロ波を照射した場合の火花放電の発生する回数を比で表して算出した。
その結果、モンモリロナイトコート活性炭(試験区1〜3)、シリコンコート活性炭(試験区4〜6)では、コーティングされていない活性炭(対照区)に比べ火花放電の発生確率は約80%減少した。
また、モンモリロナイトの場合には被覆剤を増量させていくことにより(試験区1〜3)、より火花放電を抑制できる。一方、SiO2は被覆剤の被覆量を増量させなくても、例えば、試験区6では、モンモリロナイトを増量させた試験区3と同等に火花放電を抑制できることがわかる。
図7は、BETの1点法による比表面積の測定結果を示す図である。ここでは、ノンコートの活性炭、試験区3、試験区6の比表面積(m2/g)、被覆率(%)を示す。
図7のm2/g*2は、BETの1点法により求めた比表面積であり、比表面積計(ユアサアイオニクス 株式会社、QUANTASORB Jr)を用いて測定した。なお、被覆率(%)*3は、(比表面積(m2/g)/対照区(m2/g)の表面積)×100とした。
その結果、モンモリロナイトで被覆した活性炭(試験区3)の比表面積は、対照区に比べ半分程度(56.5%)まで減少していた。このことから、凝集したモンモリロナイト(被覆剤)が吸着能力を著しく低下させることがわかる。
一方、シリカ(2.2μm)被覆活性炭(試験区6)の比表面積は、対照区に比べ殆ど低下が見られず、また、図1(A)において、シリカの自体の被覆層が活性炭表面に殆ど見られなかったことから、さらに図5、6に示すように、マイクロ波照射によって、火花放電を抑制し、かつ吸着能力を維持することがわかる。従って、ガスを吸着し、マイクロ波照射加熱によって、吸着ガスを離脱させる活性炭の被覆剤として、極めて有効であるといえる。
図8は、本発明の被覆活性炭の製造方法のフローを示す図である。本発明の被覆活性炭の製造方法13は、活性炭乾燥工程14と、被覆剤準備工程15と、被覆工程16と、乾燥工程17とからなる。これにより、本発明である被覆活性炭18を得ることができる。
活性炭乾燥工程14は、被覆剤によって被覆される活性炭を十分乾燥させ、乾燥活性炭を得る工程である。活性炭は、1.0μmの粒状とくに、より球状の活性炭が好ましい。
前記乾燥には、オーブン、乾熱機などが利用できる。乾燥温度は、100℃以上で活性炭が発火しない温度、好ましくは100〜180℃、さらに好ましくは100〜120℃である。乾燥時間は、1時間以上で活性炭が十分乾燥する時間、好ましくは3時間〜10時間である。
被覆剤準備工程15は、予め被覆剤、接着剤、吸水性物質と水を所定量取り、十分混合し、適度な粘度の被覆材混合物を調整する工程である。
被覆剤は、粒状のシリカ、アルミがよく、粒径(直径)は、0.05〜50μmが好ましい。接着剤は、水ガラスが好ましい。吸水性物質としては、リン酸塩、特にリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムがよい。
被覆工程16は、前記活性炭乾燥工程14で得られた乾燥活性炭を回転式造粒機に投入し、造粒機を保温(30℃〜50℃)した状態で回転させながら、前記被覆剤準備工程15で予め用意した被覆剤混合を噴霧(スプレー)または滴下などし、活性炭の外表面に被覆材を被覆、塗布する工程である。
保温温度が、30℃より低い或いは50℃より高い温度で保持し、被覆剤混合物を噴霧すると、乾燥と被覆(積層)のバランスが崩れ、均一に被覆されず、活性炭の外表面に厚みの不均一が生じる。
乾燥工程18は、準備した被覆材混合物を全量噴霧した後、オーブン、乾熱機、恒温槽に投入し、100℃〜180℃、好ましくは120〜150℃で、数時間以上、好ましくは2〜5時間熱乾燥する工程である。マイクロ波により乾燥してもよい。
このようにして得た本発明である被覆活性炭18は、ガス吸収の能を維持し、マイクロ波照射によっても火花放電がなく、また、雰囲気中の水分を水ガラスが吸収し、被覆剤が剥がれるなどの劣化が起こりづらいため、ガスの吸着、離脱を繰り返し行うことができる。
以下、上述の試験区6の製造方法を具体的に説明する。活性炭(日本エンバイロケミカルズ製、XS−7100)をオーブンで120℃、2時間乾燥させた乾燥活性炭100gを、パン型造粒機(アズワン株式会社、DPZ−01)に投入し、予め水ガラス(ケイ酸ナトリウム溶液(50重量%))20gと水40gとりん酸二水素カリウム1gにシリカ(アドマテックス製アドマファイン、平均粒径2.2μm)と混合し調整した被覆材混合物を噴霧しながら、パン型造粒機のパンを回転させコーティングした。コーティング後、定温乾燥機で120℃、2時間放置し乾燥させ十分水分を除去した。
次に、シリカの被覆厚について説明する。図9は、シリカの被覆厚を調整した試験についての説明図である。
試験区は、7〜15とし、活性炭(炭元)は、試験区1〜11、14、15はXS−7100(日本エンバイロケミカルズ株式会社製、球状炭XS−7100、平均粒子径1.0mm)、試験区12はG−AC(北炭化成工業株式会社製、平均粒径3.0mm〜7.0mmの球状活性炭)、試験区13はペレット(日本エンバイロケミカルズ株式会社製、4/6ペレット状炭)とした。
製造方法として、図9に示した割合で、水で希釈したりん酸二水素ナトリウムと水ガラス(ナカライテスク株式会社製、水ガラス濃度50重量%)にシリカ(アドマテック製、アドマファイン:平均粒子径0.25〜2.2μm)または、アルミナ(アドマファインン:平均粒径0.7〜20μm)を分散させた溶液を作成し、乾燥パン型粒機(アズワン株式会社製、DPZ−01)で球状活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社製、球状炭XS−7100、平均粒子径1.0mm、灰分3wt%、電気比抵抗10−5Ωm)100gを転動させながら、シリカ・水ガラス溶液である被覆材混合物を2時間掛けて噴霧し、試験区7〜15の活性炭表面に、被覆剤混合物被覆した。続いて、120℃の乾燥機に入れ充分に乾燥し、本発明である被覆活性炭を得た。
試験の結果、粒状シリカ、または粒状アルミナを活性炭に被覆することにより、それらの粒子が凝集せずに均一に活性炭を部分的に覆うことができる。それによって、マイクロ波を本発明である被覆活性炭に照査しても火花放電の発生が極めて低レベルに抑制され、または発生せず、可燃性有機化合物を発火させることなく、回収することができる(実用に耐える)。
また、本発明の被覆活性炭、及び被覆活性炭の製造方法によれば、活性炭の比表面積の減少が極めてすくなく、活性炭本来の吸着作用を低下させることなく、目的の物質を回収できることがわかる。
1 被覆活性炭
2 粒状活性炭
2a 外表面
2b 内部空洞
3 粒状シリカ
4 コート活性炭
5 モンモリロナイト
6 活性炭
7 アプリケーター
8 マイクロ波
9 光センサー
9a アンプ
10 データーロガー
11 パーソナルコンピューター
12 フッ素系樹脂チューブ
12a ボールバルブ
13 被覆活性炭の製造方法
14 活性炭乾燥工程
15 被覆剤準備工程
16 被覆工程
17 乾燥工程
18 被覆活性炭
2 粒状活性炭
2a 外表面
2b 内部空洞
3 粒状シリカ
4 コート活性炭
5 モンモリロナイト
6 活性炭
7 アプリケーター
8 マイクロ波
9 光センサー
9a アンプ
10 データーロガー
11 パーソナルコンピューター
12 フッ素系樹脂チューブ
12a ボールバルブ
13 被覆活性炭の製造方法
14 活性炭乾燥工程
15 被覆剤準備工程
16 被覆工程
17 乾燥工程
18 被覆活性炭
Claims (10)
- 粒状活性炭の外表面を、接着剤を介して、粒状の非導体で部分的または全体に隙間がある一様な密度で被覆したことを特徴とする被覆活性炭。
- 前記粒状の非導体が、粒状シリカ、または粒状アルミナ或いはそれら混合物であることを特徴とする請求項1に記載の被覆活性炭。
- 前記接着剤が、水ガラスであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の被覆活性炭。
- 前記被覆が、粒状活性炭の外表面積の50〜90%の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の被覆活性炭。
- 吸水性物質を接着剤に添加したことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の被覆活性炭。
- 前記吸水性物質が、リン酸水素二ナトリウムであることを特徴とする請求項5に記載の被覆活性炭。
- 活性炭:粒状シリカ:接着剤:吸水性物質の組成重量比が、100重量部:10〜50重量部:10〜20重量部:1〜5重量部であることを特徴とする被覆活性炭。
- 排ガス吸収に用いた前記被覆活性炭を、マイクロ波加熱により、再生させることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の被覆活性炭。
- 前記粒状シリカ、粒状アルミナの直径が、0.05〜50μmであることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載の被覆活性炭。
- 粒状活性炭を100〜120℃で、3時間〜10時間乾燥し、乾燥粒状活性炭を準備し、前記乾燥粒状活性炭と、粒状非導体と、水ガラスと、リン酸水素二ナトリウムを、100重量部:10〜50重量部:10〜20重量部:1〜5重量部の割合で、回転式造粒機に投入し、30〜50℃を維持し、0.5〜2時間、速度30RPMで回転し、粒状非導体を粒状活性炭に予備コートし、120〜150℃で、2〜5時間乾燥させ、粒状活性炭の外表面積の50〜90%の範囲を、粒状非導体で部分的に被覆したことを特徴とする被覆活性炭の製造方法。
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