JP2008180764A - レンズモジュール及びその製造方法、並びに生体情報取得デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 クロストークを効果的に抑制することができる遮光構造を備えるレンズモジュールを、高い生産性をもって実現すること。
【解決手段】 検査光を生体部位に出射し、生体部位からの反射光又は透過光を受光して撮像する生体情報取得デバイスに用いられるレンズモジュールLM1であって、複数のレンズ52を有するレンズアレイ33と、露光光を照射することに基づいて、複数のレンズ52の各集光箇所に対応して形成された複数の開口OP3を有するレジスト層43と、を備え、レジスト層43は、顔料を含み、顔料は、検査光波長に対する第1の吸収係数よりも、遮光層に照射される露光光波長に対する第2の吸収係数のほうが低い。
【選択図】 図6

Description

本発明は、レンズモジュール及びその製造方法、並びに生体情報取得デバイスに関する。
近年、生体認証に関する技術開発の進展が著しい。なお、生体認証に関する技術とは、生体情報に基づいて特定の個体を特定し、その特定した個体を他の個体から区別する技術である。例えば、ヒトの瞳の虹彩に基づいて個体を特定する方法、ヒトの所定部位(例えば、指など)の静脈のパターンに基づいて個体を特定する方法、指の指紋のパターンに基づいて個体を特定する方法が挙げられる。
ヒトの指の静脈パターンに基づいて固体認証を行う場合には、一般的に近赤外領域の波長の光(以下、単に近赤外線と呼ぶ)が用いられる。なぜなら、近赤外線は、生体を構成する水に対しては透過率が高く、静脈を流れる赤血球に含まれるヘモグロビン(Hb)に対しては透過率が低いからである。よって、近赤外線をヒトの所定部位に照射し、所定部位からの反射光を画像化することにより、所定部位における静脈のパターン情報を取得することができる。
ところで、良好な画像を取得するためには、撮像装置の撮像領域における隣り合う画素間で、入射される信号の混信(クロストーク)を抑制することが重要である。クロストークを抑制することにより、より高い精度で静脈のパターン情報を取得することができる。従って、より高い精度の生体認証を実現することができる。
生体情報を取得する装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。しかしながら、特許文献1では、撮像領域における隣接する画素間で生じる信号のクロストークを抑制するための構造は設けられていない。
隣り合う画素の間で生じる光信号のクロストークを抑制するための技術としては、特許文献2に記載のものが知られている。特許文献2では、クロストークを抑制するために透明部の間に遮光性材料を充填し遮光壁を形成する。特許文献2では、遮光壁は溝を埋めるように形成されるのみで、透光部の上にまでは形成されていない。
特開2001−119008号公報 特開2005−72662号公報
上述のように、クロストークを抑制するためには、遮光壁といったような遮光構造を設けると良いが、効果的にクロストークを抑制するためには、遮光壁に開口を形成することが必要となる。特許文献2では、遮光壁に黒色顔料を含有させることで、遮光壁に遮光機能を持たせている。しかし、ホトリソグラフィーを用いて遮光壁に開口を形成しようとすると、露光光が黒色顔料に吸収されてしまい、レジスト層における光化学反応が十分に進行せず、好適に遮光壁に開口を設けることができないおそれがある。従って、ホトリソグラフィー以外の生産性が高いとは言えない方法で開口を形成することになったり、クロストーク対策が不十分な遮光構造を採用したりすることを招いてしまう。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、クロストークを効果的に抑制することができる遮光構造を備えるレンズモジュールを、高い生産性をもって実現することを目的とする。
本発明にかかるレンズモジュールは、検査光を生体部位に出射し、生体部位からの反射光又は透過光を受光して撮像する生体情報取得デバイスに用いられるレンズモジュールであって、複数のレンズを有するレンズアレイと、露光光を照射することに基づいて、複数の前記レンズの各集光箇所に対応して形成された複数の開口を有する遮光層と、を備え、前記遮光層は、顔料を含み、前記顔料は、前記検査光波長に対する第1の吸収係数よりも、前記遮光層に照射される露光光波長に対する第2の吸収係数のほうが低い。
ホトリソグラフィーを用いて、クロストーク特性が良好な遮光構造を実現することができる。そして、高い生産性をもって、クロストークを効果的に抑制することができる遮光構造を備えるレンズモジュールを実現することができる。
前記顔料は、フタロシアニン、シアニン、ジインモニウム、又はこれらの錯体のうち、少なくともいずれか1つである、と良い。これらの顔料は、近赤外線に対して実質的に不透明であり、近赤外線よりも短波長な露光光に対して実質的に透明である。従って、ホトリソグラフィーを用いて、クロストーク特性が良好な遮光構造を実現することができる。
前記検査光の波長は、580nm〜1000nmの範囲から選択される任意の単一又は複数の波長であり、前記露光光の波長は、350nm〜450nmの範囲から選択される任意の単一又は複数の波長である、と良い。生体情報取得デバイスに特に適したレンズモジュールを一般的な露光装置を用いて実現することができる。
前記第2の吸収係数は、0.3cm−1以下である、と良い。これにより、露光光をレジスト層に十分に照射することができる。
前記遮光層における前記顔料の含有率は5重量%以下である、と良い。これにより、遮光層が剥離されることが抑制される。
前記レンズアレイと前記遮光層との間には、格子状の溝を有する透明層が配置され、前記溝は、前記遮光層により埋められている、と良い。効果的にクロストークを抑制することができる。
前記透明層は、前記溝が形成されない第1透明層と前記溝が形成される第2透明層とを含む、と良い。透明層を多段に構成することにより溝の深さを調整することができる。
前記遮光層の表面には、前記顔料を含まない遮光層が形成されている、と良い。遮光層の薬液に対する耐性を増加させることができる。
本発明にかかる生体情報取得デバイスは、検査光を生体部位に出射し、生体部位からの反射光又は透過光を受光して撮像する生体情報取得デバイスであって、 発光部で生成された前記検査光を生体部位に照射する光照射デバイスと、生体部位から反射又は透過された前記検査光を撮像装置の画素に集光する複数のレンズを有するレンズアレイと、露光光を照射することに基づいて、複数の前記レンズの各集光箇所に対応して形成された複数の開口を有する遮光層と、前記開口を通過して入射される前記検査光を光電変換する複数の画素を含む撮像装置と、を備え、前記遮光層は、顔料を含み、前記顔料は、前記検査光波長に対する第1の吸収係数よりも、前記遮光層に照射される露光光波長に対する第2の吸収係数のほうが低い。
本発明にかかるレンズモジュールは、複数のレンズを有するレンズアレイと、 複数の前記レンズの各集光箇所に対応して形成された複数の開口を有する遮光層と、を備え、前記遮光層は、顔料を含み、前記顔料は、580〜1000nmの範囲から選択される任意の単一又は複数の波長の光線に対する第1の吸収係数よりも、350〜450nmの範囲から選択される任意の単一又は複数の波長の光線に対する第2の吸収係数のほうが低い。
本発明にかかるレンズモジュールの製造方法は、検査光を生体部位に出射し、生体部位からの反射光又は透過光を受光して撮像する生体情報取得デバイスに用いられるレンズモジュールの製造方法であって、前記検査光波長に対する第1の吸収係数よりも、照射される露光光波長に対する第2の吸収係数のほうが低い顔料が含まれたレジスト層を基板の一面上に形成し、前記レジスト層に露光光を照射し、レンズの集光箇所に対応するように複数の開口を前記レジスト層に形成する。
ホトリソグラフィーを用いて、クロストーク特性が良好な遮光構造を実現することができる。そして、高い生産性をもって、クロストークを効果的に抑制することができる遮光構造を備えるレンズモジュールを実現することができる。
本発明によれば、クロストークを効果的に抑制することができる遮光構造を備えるレンズモジュールを、高い生産性をもって実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、各実施の形態は、説明の便宜上、簡略化されている。図面は簡略的なものであるから、図面の記載を根拠として本発明の技術的範囲を狭く解釈してはならない。図面は、もっぱら技術的事項の説明のためのものであり、図面に示された要素の正確な大きさ等は反映していない。同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。上下左右といった方向を示す言葉は、図面を正面視した場合を前提として用いるものとする。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について、図1乃至図11を用いて説明する。図1は、生体情報取得デバイスD1の概略的な斜視図である。図2は、生体情報取得デバイスD1の概略的な上面図である。図3は、図2のX−X間の生体情報取得デバイスD1の概略的な端面図である(バンドパスフィルタ34から上の部分に限る)。図4は、図1のA点側から生体情報取得デバイスD1をみた概略的な説明図である。図5は、図1のB点側から生体情報取得デバイスD1をみた概略的な説明図である。なお、図4及び図5では、説明の便宜上、A点又はB点から生体情報取得デバイスD1をみた概略的な断面図も合わせて図示している。図6は、レンズモジュールLM1の概略的な断面図である。図7は、顔料の波長吸収特性及びレジスト層の波長透過特性の説明図である。図8は、レジスト層におけるフタロシアニンの含有率とレジスト層の透過率の関係を示す図である。図9は、遮光膜を設ける効果の説明図である。図10は、レンズモジュールLM1に含まれる光チャネル分離層の製造方法の概略的な説明図である。図11は、レンズモジュールLM1に含まれるマイクロレンズアレイの製造方法の概略的な説明図である。
図1に示すように、生体情報取得デバイスD1は、配線基板30、TFT(Thin Film Transistor)センサー(撮像装置)31、光チャネル分離層32、マイクロレンズアレイ33、バンドパスフィルタ34、光照射デバイスLEa、LEbを備える。
生体情報取得デバイスD1は、次のように動作する。光照射デバイスLEa及びLEbから、生体情報取得デバイスD1の表面領域R1上に載せられる指(図3乃至図5で図示する)に向けて、検査光が出射される。なお、検査光は、赤から近赤外領域の波長(波長:580nm〜1000nm)の光(適宜、近赤外線とも呼ぶ)である。ここでは、検査光の波長は、760nmである。検査光は、指内における反射又は透過を受けて、バンドパスフィルタ34の主面34aの表面領域R1に入射される。表面領域R1に入射された検査光は、バンドパスフィルタ34、マイクロレンズアレイ33、光チャネル分離層32をこの順で通過し、TFTセンサー31の撮像領域の画素で受光される。TFTセンサー31の各画素では、検出された検査光が光電変換される。そして、TFTセンサー31からは、画像信号が出力される。なお、検査光は、指内の静脈で吸収される。よって、TFTセンサー1から得られる画像には、検査されたヒトの静脈パターンが現れる。このようにして取得された画像(画像情報)を利用して、検査されたヒトが、あらかじめ設定された特定のヒトであるのかが、後続の処理回路等により判断される。
なお、表面領域R1は、指(生体部位)から反射又は透過された検査光が入射される生体情報取得デバイスD1の表面領域である。ここでは、表面領域R1は、バンドパスフィルタ34の主面34aの部分と一致する。
光照射デバイスLEa、LEbとTFTセンサー31との間に、光チャネル分離層32、マイクロレンズアレイ33、バンドパスフィルタ34が設けられている。後述の説明から明らかになるが、マイクロレンズアレイ33と光チャネル分離層32とにより、レンズモジュールLM1(図6参照)が構成される。
次に、図2に、生体情報取得デバイスD1の上面構成を示す。図2に示すように、表面領域R1を挟んで、光照射デバイスLEaと光照射デバイスLEbとが対向して配置されている。
図2に示すように、光照射デバイスLEaは、遮光板2a上に、ライトガイド3a、発光ダイオード4a、発光ダイオード5aを有する。
ライトガイド3aは、上面視形状が五辺形状の板状部材である。また、ライトガイド3aは、検査光に対して実質的に透明な部材(透過率90%以上。ここでは透過率99%)であり、ポリイミド等の樹脂材料から構成される。
また、ライトガイド3aは、光入射面3a2、光反射面3a3、光反射面3a4、光入射面3a5を側面に有する。光入射面3a2及び光入射面3a5は、x軸を長手方向として、x軸に沿って延びる平坦な面である。光入射面3a2には、発光ダイオード5aが接着剤11を介して取り付けられる。光入射面3a5には、発光ダイオード4aが接着剤11を介して取り付けられる。換言すると、光入射面3a2には発光ダイオード5aが接着剤11を介して光結合され、光入射面3a5には発光ダイオード4aが接着剤11を介して光結合される。
なお、接着剤11は、検査光に対して高い透過率を有し、検査光に対して実質的に透明である。従って、光入射面と発光ダイオードとの間で、良好な光結合を確保することができる。また、発光ダイオード4a(5a)は、モノリシックの半導体素子がパッケージされた素子である。発光ダイオード4a(5a)は、電流が与えられることにより近赤外領域の光(波長:760nm)を発光する。
光出射面3a1は、表面領域R1上に載せられる指(図3乃至図5で図示する)に臨む側面である。光出射面3a1は、z軸を長手方向としてz軸に沿って延びる平坦な面である。光反射面3a3及び光反射面3a4は、光出射面3a1に対向する側面である。光反射面3a3及び光反射面3a4も、z軸を長手方向としてz軸に沿って延びる平坦な面である。光反射面3a3は、光入射面3a2からz軸に沿って延びるに従って、光出射面3a1から離れる。光反射面3a3は、光入射面3a5からz軸に沿って延びるに従って、光出射面3a1から離れる。
光照射デバイスLEbのライトガイド3bの構成は、光照射デバイスLEaのライトガイド3aの構成と略等しい。すなわち、光出射面3b1が光出射面3a1に対応し、光入射面3b2が光入射面3a2に対応し、光反射面3b3が光反射面3a3に対応し、光反射面3b4が光反射面3a4に対応し、光入射面3b5が光入射面3a5に対応する。
ここで、光照射デバイスLEaの機能について説明する。発光ダイオード4aから出射された検査光は、接着剤11を介して、ライトガイド3aの光入射面3a5に入射され、ライトガイド3aのコア層7a(図3を用いて後述する)に閉じ込められた状態で、z軸に沿ってライトガイド3a内を伝播する。光入射面3a2に入射された検査光は、後述の光反射面3a3で反射され、光出射面3a1に案内される。なお、光入射面3a5に入射された検査光を、光出射面3a1に沿って伝播させることにより、ライトガイド3aの全体の大きさを小さくすることができる。光出射面3a1は、指の側面に沿って、ある程度の幅を有するように設定されるからである。
発光ダイオード5aから出射された検査光は、接着剤11を介して、ライトガイド3aの光入射面3a2に入射され、ライトガイド3aのコア層7aに閉じ込められた状態で、z軸に沿ってライトガイド3a内を伝播する。光入射面3a2に入射された検査光は、後述の光反射面3a4で反射されて、光出射面3a1に案内される。なお、上述した場合と同様に、光入射面3a2に入射された検査光を、光出射面3a1に沿って伝播させることにより、ライトガイド3aの全体の大きさを小さくすることができる。
ライトガイド3aの光出射面3a1のコア層7aからは、光出射面3a1の長手方向に沿って実質的に均一な強度の検査光が出射される。換言すると、ライトガイド3aの光出射面3a1のコア層7aからは、z軸(ライトガイドを構成する層の積層方向に直交する軸)に沿って実質的に均一な強度の検査光が出射される。なお、実質的に均一な強度の検査光が出射される光出射面3a1の範囲(所定領域)は、光出射面3a1の幅と略等しい。
光出射面3a1の長手方向に沿って実質的に均一な強度の検査光が出射されるのは、光反射面3a3及び光出射面3a5のそれぞれに複数の反射面(不図示)が設けられているためである。換言すると、光反射面3a3及び光反射面3a5には、光出射面3a1の長手方向に沿って実質的に均一な強度の検査光が出射されるように、複数の反射面が配置されているからである。なお、光反射面3a3及び光反射面3a5に設けられる反射面は、y軸(ライトガイドを構成する層の積層方向に一致する軸)に沿って延びる複数の溝10をライトガイド3aの光反射面3a3に設けることで形成するとよい。また、光反射面に設けられる複数の反射面の配置位置は、発光ダイオードの特性に応じて適宜設定されるものである。よって、光反射面3a3を、光入射面3a2から光反射面3a4に向けて外側に膨らむ円弧状に形成しても良い。同様に、光反射面3a4を、光入射面3a5から光反射面3a3に向けて外側に膨らむ円弧状に形成しても良い。
光照射デバイスLEbの機能は、光照射デバイスLEaの機能と同様である。すなわち、発光ダイオード4bが発光ダイオード4aに対応し、光入射面3b5が光入射面3a5に対応し、光出射面3b1が光出射面3a1に対応し、光反射面3b3が光反射面3a3に対応する。また、発光ダイオード5bが発光ダイオード5aに対応し、光入射面3b2が光入射面3a2に対応し、光出射面3b1が光出射面3a1に対応し、光反射面3b4が光反射面3a4に対応する。
図3に、図2のX−X間の生体情報取得デバイスD1の概略的な構成図(バンドパスフィルタ34から上の部分に限る)を示す。図3に示すように、バンドパスフィルタ34の主面34a上には、光照射デバイスLEa及びLEbが配置されている。
光照射デバイスLEaは、遮光板2aの上にライトガイド3aを有する。ライトガイド3aは、y軸に沿って、クラッド層(第1クラッド層)6a、コア層7a、クラッド層(第2クラッド層)8aが積層された積層体として構成される。クラッド層6aとクラッド層8aの屈折率は等しい。クラッド層6a及びクラッド層8aの屈折率は、ともにコア層7aよりも低い。よって、効果的に伝播する検査光を閉じ込めることができる。
図3に示すように、光出射面3a1は、出射される検査光の出射方向を規定するためにテーパー状にカットされている。換言すると、ライトガイド3aの表面領域R1側の端部には、表面領域R1に向かって、その上面からその下面に傾斜する面(表面領域R1上に載せられる指100に望む面)が設けられている。つまり、ライトガイド3aは、表面領域R1に近づくにつれて厚み(y軸に沿う幅)が薄くなる先細りの端部を有する。テーパー状にカットされた端部に応じて、ライトガイド3aの上面はライトガイド3bの下面よりも狭い。なお、かかる構成により、ヒトの指100に対する物理的なストレスも緩和されている。
遮光板2aは、上述のように、例えば金属材料等から構成された板状部材である。遮光板2aは、発光ダイオード4a、5aから出射される検査光に対して不透明である。遮光板2aは、ライトガイド3aの光出射面3a1よりも表面領域R1側に突出している部分を有する。ここでは、図3に示すように、遮光板2aは、幅W3分だけ光出射面3a1より表面領域R1側に突出している部分を有する。このように突出した部分を遮光板2aが有することにより、光出射面3a1から表面領域R1に向けて出射された検査光は、遮光板2aにて反射又は吸収される。よって、光出射面3a1から表面領域R1に直接検査光が入射されることが抑制される。なお、遮光板2aも、ライトガイド3aと同様に先細りの構成としてもよい。
なお、光照射デバイスLEbのライトガイド3bの構成は、光照射デバイスLEaのライトガイド3aの構成と略等しい。すなわち、クラッド層6bはクラッド層6aに対応し、コア層7bはコア層7aに対応し、クラッド層8bはクラッド層8aに対応する。また、光照射デバイスLEbの遮光板2bは、光照射デバイスLEaの遮光板2aの構成と等しい。但し、遮光板2bは、幅W4分だけ光出射面3b1から表面領域R1側に突出している部分を有する。尚、ここでは、幅W3と幅W4は実質的に等しい。なお、クラッド層6a、6b、8a、8bは、空気層で構成されていても良い。
図3に模式的に示すように、光照射デバイスLEaの光出射面3a1のコア層7aから出射された検査光は、ヒトの指100の静脈101に吸収される。また、光照射デバイスLEbの光出射面3b1のコア層7bから出射された検査光は、ヒトの指100の内部で反射され、表面領域R1に入射する。なお、図3の模式図からも明らかなように、光出射面3a1は、ヒトの指100の側面に対向して配置される。
このようにして、生体情報取得デバイスD1は、検査光を観察対象物としてのヒトの指100に照射する。指100で反射され、表面領域R1に入射された検査光は、近赤外領域の光に所定の感度特性を有するTFTセンサー31により画像化される。
図4に、図1のA点側から生体情報取得デバイスD1をみた概略的な説明図を示す。図4にあわせて、図5に、図1のB点側から生体情報取得デバイスD1をみた概略的な説明図を示す。
図4に示すように、配線基板30の上面には、TFTセンサー31、光チャネル分離層32、マイクロレンズアレイ33、バンドパスフィルタ34、光照射デバイスLEa、LEbが、この順で配置される。配線基板30の下面には、半導体集積回路35、コネクタ36が配置される。
光照射デバイスLEa、LEbの構成は、上述したとおりである。但し、図4及び図5においては、遮光板2a及び遮光板2bの表面領域R1側の端部には、ライトガイド3a、3bと同様に、テーパー状にカットされている。かかる構成により、ヒトの指100に対する物理的なストレスを緩和することができる。
バンドパスフィルタ34は、検査光が含まれる近赤外の帯域(580nm〜1000nm、より好ましくは、680nm〜800nm)のみを通過させる板状の光学部材である。光照射デバイスLEa、LEbは、バンドパスフィルタ34の上面に固定される。
マイクロレンズアレイ33は、バンドパスフィルタ34の下層に配置される。マイクロレンズアレイ33は、透明基板50、レンズ52、スペーサー層51を有する。透明基板50の上面には、TFTセンサー31の各画素PXに対応して、2次元状に配置された複数のレンズ52と、バンドパスフィルタ34を支持するためのスペーサー層とが配置される。透明基板50及びレンズ52は、検査光に対して、実質的に透明な材料から構成される。透明基板50は、いわゆる石英基板である。レンズ52は、透明基板50に形成されたレジスト層が、グレイスケールマスクを用いたホトリソグラフィーにより部分的に除去されて形成される光学部材である。
光チャネル分離層32は、マイクロレンズアレイ33の下層に配置される。光チャネル分離層32は、遮光膜40、第1透明層41、第2透明層42、レジスト層(遮光層)43を有する。
遮光膜40は、通常の半導体プロセス技術(スパッタ、蒸着等)に基づいて、金属材料がマイクロレンズアレイ33の下面に格子状に形成された層である。遮光膜40は、マイクロレンズアレイ33の各レンズ52(TFTセンサー31の各画素PX)に対応してマトリクス状に形成された複数の開口OP1を有する。尚、複数の開口OP1とは、光学的な意味での開口を意味する。ここでは、開口OP1には、第1透明層41が充填されている。
第1透明層41は、レジスト(樹脂材料)からなる層であって、検査光に対して実質的に透明である。第1透明層41は、遮光膜40が形成された後、通常のコート法(スピンコート法等)により、マイクロレンズアレイ33の下面に形成される。
第2透明層42は、第1透明層41と同じ材料からなるレジスト(樹脂材料)からなる層である。よって、第2透明層42も、検査光に対して実質的に透明である。第2透明層42は、複数のランド42aを有する。ランド42aは、通常のコート法(スピンコート法等)により、第1透明層41の下面に第2透明層42が形成された後、その第2透明層42に格子状の溝が形成されることで形成される。つまり、格子状の溝が形成されることにより、互いに分離された複数のランド42aが形成される。分離されたランド42aは、TFTセンサー31の各画素PXに対応して2次元状に配置される。なお、ランドとは、溝により規定される島状の部分を意味する。各ランドは、必ずしも互いに完全に分離されている必要はない。
分離されたランド42aの間には、レジスト層(遮光層)43が充填される。また、第2透明層42とTFTセンサー31との間にも、レジスト層43が積層される。レジスト層43は、検査光を吸収する材料(フタロシアニン等)を含むレジストである。レジスト層43は、スピンコート法等に基づいて、第2透明層42に形成された溝を充填するようにレジスト材料が塗布されることで形成される。そして、ホトリソグラフィーに基づいて、第2透明層42の下面に塗布されたレジスト層43には、マイクロレンズアレイ33の各レンズ52の集光箇所に対応するように開口OP3は形成される。なお、開口OP3は、TFTセンサー31の各画素PXの配置位置にも対応する。開口OP2は、TFTセンサー31の各画素PXに対応して、2次元状に配置される。
TFTセンサー31は、光チャネル分離層32の下層に配置される。TFTセンサー31は、上面に複数の画素PXが二次元状に配置された撮像領域R2を有する。各画素PXは、レジスト層43に形成された開口OP3に対応して配置される。よって、レンズ52により集光された光は、効率的に画素PXに入射される。
なお、撮像領域R2は表面領域R1よりもz軸方向に沿う幅が広い。すなわち、撮像領域R2は表面領域R1と一致しない。このような場合であっても、撮像領域R2における表面領域R1に対応する部分を撮像領域として用いることにより、指100から反射又は透過される検査光を画像化することができる。
配線基板30は、ガラスエポキシ樹脂等から構成される配線基板であって、上述のように上下両面に素子が実装される。
なお、TFTセンサー31の上面には、TFTセンサー31の読み出し動作等を制御する駆動回路37が配置される。TFTセンサー31で取得された信号は、ワイヤー38、配線基板30の上面と下面とを接続する貫通電極39、配線基板30の下面に形成された配線を介して、半導体集積回路35に連絡される。コネクタ36は、生体情報取得デバイスD1と外部の信号処理回路との接続に関するインターフェイス部分を構成する。
半導体集積回路35は、いわゆるASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。半導体集積回路35では、所定の情報処理(例えば、取得した画像情報とあらかじめ記憶された画像情報の整合性の判断)が実行される。半導体集積回路35における情報処理結果は、他の情報処理部(不図示)に連絡される。
また、図4に示すように、光照射デバイスLEa、LEbからバンドパスフィルタ34までの厚みは、1.7mm以下とすると良い。マイクロレンズアレイ33からTFTセンサー31までの厚みは1.0mm以下とすると良い。このようにすると、光照射デバイスLEa、LEbからTFTセンサー31までの厚みを3mm以下とすることができる。よって、非常に薄型化された生体情報取得デバイスを実現することができる。
なお、図4に示すように、表面領域R1のx軸に沿う幅を25mmとした。また、図5に示すように、表面領域R1のz軸に沿う幅を15mmとした。このような場合には、図4及び図5に模式的に示した通りに、指を表面領域R1上に載せると良い。この場合には、表面領域R1は、指により実質的に覆われる。従って、表面領域R1に入射する外乱光は抑制される。なお、この場合、各光照射デバイスLEa、LEbの光出射面の長手方向は、指の側面に対向して配置される。よって、光出射面から出射された検査光を、高効率で、指に照射することができる。
次に、図4を用いて、生体情報取得デバイスD1の機能について説明する。図4に模式的に示すように、指100の内部領域RPで反射された検査光は、マイクロレンズアレイ33のレンズ52を介して、TFTセンサー31の画素PXに入射される。以下、順を追って説明する。なお、内部領域RPは、指100の下面から1mm程度の深さの領域である。
光照射デバイスLEa、LEbの光出射面から出射された検査光は、ヒトの指100に照射される。ヒトの指100の内部では、内部の散乱体により検査光は反射されたり透過されたりする。また、ヒトの指100の内部の静脈で、検査光は吸収される。ヒトの指100で反射された検査光は、表面領域R1に入射する。
表面領域R1に入射された検査光は、バンドパスフィルタ34を通過する。なお、検査光以外の外乱光は、バンドパスフィルタ34により効果的に遮断される。バンドパスフィルタ34によってノイズ成分を遮断することができるため、より良質な画像を取得することができる。
バンドパスフィルタ34を通過した検査光は、マイクロレンズアレイ33に入射する。マイクロレンズアレイ33では、透明基板50の上面に配置された各レンズ52によってTFTセンサー31の各画素PXに集光される。
マイクロレンズアレイ33のレンズ52により集光された光は、光チャネル分離層32に入射される。光チャネル分離層32は、上述のように、TFTセンサー31の各画素に対応して2次元状に配置された開口OP1及び開口OP3を有する。また、TFTセンサー31の各画素に対応して2次元状に配置されたランド42aを有する。また、隣り合うランド42aの間には、レジスト層43が充填される。また、ランド42aの下面にもレジスト層43が形成される。本実施形態においては、後述のように、レジスト層43には近赤外線を吸収する顔料が含有されている。よって、レジスト層(遮光層)43に入射した迷光は、効果的にレジスト層(遮光層)43に含まれる顔料により吸収される。
このような構成により、光チャネル分離層32は、マイクロレンズアレイ33のレンズ52からTFTセンサー31の画素PXに至る光路(光チャネル)同士を分離する。そして、光チャネル間で生じうるクロストーク(混信)は抑制される。なお、検査光は、レンズ52から画素PXに進むに従って集光されるから、開口OP3の開口幅は、開口OP1の開口幅よりも狭く設定されている。
TFTセンサー31の各画素に入射された光は、各画素で光電変換される。そして、電気信号として読み出され、上述の半導体集積回路35にて情報処理される。
ここで、図6に、生体情報取得デバイスD1に含まれるレンズモジュールLM1の概略的な断面図を示す。図6に示すように、レンズモジュールLM1は、マイクロレンズアレイ33と光チャネル分離層32とから構成される光学モジュール(部品)である。
上述のように、マイクロレンズアレイ33は、透明基板50の主面50a上に複数のレンズ(凸レンズ)52を有する光学部材である。透明基板50は、いわゆる石英基板である。
光チャネル分離層32は、遮光膜40、透明層41、ランド42a、レジスト層(遮光層)43(43a、43b、43c)を備える。
遮光膜40は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)といった金属膜、あるいは黒色樹脂膜である。遮光膜40は、通常の薄膜形成技術(スパッタ、蒸着等)によって、透明基板50の下面上に形成される。遮光膜40は、複数の開口OP1を有するように格子状に形成される。
透明層41は、近赤外線に対して実質的に透明であり、エポキシ樹脂等から構成されるネガ型のレジスト層である。透明層41は、遮光膜40が形成された透明基板50の下面上に、レジストを一般的なコート法(スピンコート等)により塗布させた後、加熱処理によって乾燥させることにより形成される。
ランド42aは、近赤外線に対して実質的に透明であり、エポキシ樹脂等から構成されるネガ型のレジスト層である。ランド42aは、透明層42に格子状の溝が形成されることにより形成される。なお、透明層42は、透明層41が形成された透明基板50の下面上に、レジストを一般的なコート法(スピンコート等)により塗布させた後、加熱処理によって乾燥させることにより形成される。そして、この透明層42に、ホトマスクを用いた露光、薬液による現像処理を施し、溝を形成する。そして、透明層42に形成された溝によって規定される複数のランド42aが形成される。
ここでは、透明層42と透明基板50との間に、透明層41を介在させることによって、ランド42aを形成させるために必要な溝の深さを低くしている。すなわち、溝の深さを0.1mm程度以下としている。これにより、ランド42aを効率的に形成できる。また、あるランド42aが他のランド42a側に倒れるなどして、ランド42a同士が接続される可能性が低減される。
レジスト層43は、レジスト層43a、レジスト層43b、レジスト層43cの部分から構成される。レジスト層43は、エポキシ樹脂等から構成されるネガ型のレジスト層である。
レジスト層43a及び43bは、ランド42aが形成された透明基板50の下面上に、レジストを一般的なコート法(スピンコート等)により塗布させた後、加熱処理によって乾燥させることにより形成される。レジスト層43aは、塗布されたレジストがランド42aの間に入り込んだ部分である。なお、レジスト層43aは、ランド42aを囲むように形成される。そして、あるランド42aの周囲に設けられるレジスト層43aには、ランド42aの幅に応じた開口OP2が形成される。なお、開口OP2とは、光学的な意味での開口をも含む概念である。レジスト層43bは、ランド42aの下面上の部分である。
レジスト層43cは、レジスト層43a及び43bが形成された透明基板50の下面上に、レジストを一般的なコート法(スピンコート等)により塗布させた後、加熱処理によって乾燥させることにより形成される。レジスト層43cは、レジスト層43bを保護するためのコート層である。
レジスト層43は、複数の開口OP3を有する。開口OP3は、いわゆるホトリソグラフィーに基づいて、レジスト層43b及びレジスト層43cが部分的に除去されることにより形成される。すなわち、開口OP3が形成されるべき領域にマスクを設け、その他の領域に露光光(g線:435.8nm)を照射する。レジスト層43は、ネガ型のレジストであるため、露光された部分で所定の化学反応(架橋反応)が進行し、薬液に対する耐性が生じる。マスクされた部分は、所定の化学反応が進行しないため、薬液により除去される。そして、除去されたレジスト部分に対応して、開口OP3が形成される。
本実施形態においては、上述したように、レジスト層43a及びレジスト層43bは、フタロシアニン(Phthalocyanine)を含有する。図7(a)に示すように、フタロシアニンは、760nm付近の近赤外線に対して0.10cm−1以上の吸収係数を有する顔料である。また、フタロシアニンは、露光光を実質的に吸収しない物質であり、350nmから450nmの範囲に含まれる露光光に対する吸収係数は0.3以下である(ここでは、露光光に対する吸収係数は、実質的に0cm−1である)。よって、図7(b)に示すように、レジスト層43a及びレジスト層43bは、近赤外線に対して低い透過率(透過率20%以下)を有する。また、レジスト層43a及びレジスト層43bは、露光光に対して高い透過率を有する。なお、透過率は、層厚等の条件により左右されるパラメーターである。
レジスト層43a及びレジスト層43bに顔料としてフタロシアニンを混合することにより、レジスト層43a及びレジスト層43bを遮光壁として機能させることができる。また、これに加えて、通常のリソグラフィー技術に基づいて、レジスト層43bに開口OP3を形成することができる。
ホトリソグラフィーにより形成されるべきパターンの精度を高めるためには、レジスト層43b及びレジスト層43cに露光光を十分に照射することが必要である。これは、ネガ型のレジストでは、露光光に基づく光化学反応により薬液に対する耐性が生じるからである(なお、ポジ型のレジストでは、露光光に基づく光化学反応により薬液に対して可溶となる)。レジストに含まれる顔料により露光光が吸収されると、露光光がレジストの深部にまで到達することができない。よって、ホトリソグラフィーを用いて、パターンを精度よく形成することが難しくなる。
本実施形態においては、上述のように、波長580〜1000nmの範囲の検査光(波長:760nm)を吸収し、波長350〜450nmの範囲の露光光(436nm)を吸収しないフタロシアニンが、レジスト層43aに含有されている。よって、レンズ52から開口OP3まで延びる光チャネル間のクロストークは、レジスト層43により効果的に抑制される。また、ホトリソグラフィーを用いて、レジスト層43bに開口OP3を形成することができる。
なお、図7(a)にあわせて示しているように、検査光を870nmに設定した場合には、顔料としてフタロシアニンではなくシアニンを用いると良い。シアニンは、870nm付近の近赤外線に対して0.10cm−1以上の吸収係数を有する顔料である。すなわち、検査光の波長に応じて、用いる顔料は適宜変更すればよい。例えば、フタロシアニン、シアニンのほか、ジインモニウムであっても良い。これらの錯体であっても良い。
さらに本実施形態においては、上述のように、レジスト層43b上にレジスト層43cが形成されている。本実施の形態においては、レジスト層43cには、フタロシアニンが含有されていない。レジストに顔料が混合されると、レジストの薬液に対する耐性が劣化する場合がある。つまり、レジスト層43cが形成されていない場合には、レジスト層43bは薬液により過度に除去される場合がある。本実施形態においては、フタロシアニンを含有いないレジスト層43cを、フタロシアニンが含有されているレジスト層43b上に形成する。これにより、薬液によって、レジスト層43bが劣化することが抑制される。
ここで、図8を参照して、フタロシアニンが含有されたレジスト層の薬液に対する耐性について説明する。なお、ここでは、レジスト層の膜厚0.01mmの場合、及びレジスト層の膜厚0.02mmの場合について説明する。
図8に示すように、レジスト層に含有されるフタロシアニンの含有率(wt%)を増加させれば、レジスト層における近赤外線の透過率を減少させることができる。しかしながら、上述のように、フタロシアニンの含有率が高まると、レジスト層の薬液に対する耐性が劣化する。図8の場合では、レジスト層に含有されるフタロシアニンの含有率(wt%)を5%以上としたとき、現像時にレジストが剥離された。従って、レジストに含有されるフタロシアニンの含有率は、5%以下であることが好ましい。(より好ましくは、0.5%〜3%であると良い。)
再び、図6に戻り、説明する。図6に示すように、遮光膜40は、開口OP1を有するように格子状に形成される。なお、開口OP1の幅は、開口OP3の幅よりも広い。開口OP1は、マイクロレンズアレイ33側に設けられるためである。レジスト層43aは、開口OP2を有するように、ランド42aの周囲に形成される。レジスト層43aは、格子状の溝と同様に、格子状に形成される。レジスト層43b及び43cは、マトリクス状に配置される開口OP3を有するように形成される。
開口OP1は、レンズ52による集光光路を遮光膜40が妨げないように、形成される。開口OP3は、マイクロレンズアレイ33に設けられるレンズ52の集光箇所に対応して形成される。なお、開口OP3は、TFTセンサー31の画素PXにも対応する位置に設けられる。
各レンズ52と各画素PXとの間には、複数の光チャネルが形成される。そして、各光チャネルは、フタロシアニンを含む上述のレジスト層43a及び43bから構成される遮光層により分離される。これにより、各光チャネルの間で生じるクロストークは十分に抑制される。なお、開口OP2の幅は、開口OP1の幅及び開口OP3の幅よりも広い。開口OP3の幅は、開口OP1の幅及び開口OP2の幅よりも狭い。
なお、レジスト層43b及びレジスト層43cの厚みt1は、0.040mm程度である。ランド41aの厚み(溝42bの深さ)t2は、0.1mm程度である。透明層42の厚みt3は、0.05mm程度である。透明基板50の厚みt4は、0.25mm程度である。レンズ52の厚みt5は、0.015mm程度である。従って、これらの厚みの合計値は、0.455mm程度に設定されている。すなわち、レンズモジュールML1は、非常に薄型な光学素子である。なお、開口OP3の径は、0.015mm程度である。開口OP2の径は、0.070mm程度である。開口OP1の径は、0.035mm程度である。
図9を参照して、遮光膜40を設けた場合の効果について説明する。尚、図9は、(a)遮光膜40を形成しなかった場合、及び(b)遮光膜40を形成した場合の各場合について、レンズモジュールLM1の上面から近赤外線を入射させ、レンズモジュールLM1の下面に出射される近赤外線の透過パターンを写したものである。
図9(a)に示すように、遮光膜40を設けない場合には、開口OP3に対応する部分Aからなる二次元状のパターンが見られる。但し、部分Aの周りを囲む部分Bからなる二次元状のパターンも見られる。部分Bからなるパターンは、ノイズである。部分Bが生じていることにより、光利用効率が低くなる。また、迷光が生じることによるクロストークが問題となるおそれがある。
図9(b)に示すように、遮光膜40を設けた場合には、開口OP3に対応する部分Aからなる二次元状のパターンが見られる。但し、図9(a)の場合とは異なり、部分Aの周りを囲む部分Bからなる二次元状のパターンは見られない。すなわち、遮光膜40を設けることで、レンズモジュールLM1の下面に意図したように、近赤外線の出射パターンを形成することができる。これにより、半導体発光装置(LED(Light Emitting Diode)等)から出射される光の利用効率を向上させることができる。なお、当然ながら、マイクロレンズアレイ33のレンズ52から撮像装置(不図示)の画素PXまでの光路について、適切な光学設計を施す必要はある。
最後に、図10及び図11を用いて、レンズモジュールLM1の製造方法について説明する。なお、図10は、マイクロレンズアレイ33に含まれる透明基板50の一面に光チャネル分離層32を形成する製造方法の説明図である。図11は、マイクロレンズアレイ33の他面に複数のレンズ52を形成する製造方法の説明図である。
はじめに、図10を用いて、透明基板(石英基板)50に光チャネル分離層32を形成する製造方法について説明する。
まず、図10(a)に示すように、通常のパターン形成技術(スパッタ、蒸着など)に基づいて、透明基板50の一面に格子状に遮光膜40を形成する。
次に、図10(b)に示すように、スピンコートにより、透明層41を透明基板50の一面に形成する。なお、上述のように、透明層41は、通常のレジスト材料(樹脂材料)から構成される。よって、塗布される際、透明層41は、所定の粘度を有する。透明基板50の一面に透明層41がコートされた後、その状態のものを加熱し、透明層41を乾燥させる。
次に、図10(c)に示すように、透明層42を透明基板50の一面に形成する。透明層42は、透明層41と同様に、通常のレジスト材料から構成される。よって、塗布される際の透明層42は、所定の粘度を有する。そして、透明層42が透明基板50の一面にコートされた状態のものを加熱し、透明層42を乾燥させる。
次に、図10(d)に示すように、通常のプロセス技術に基づいて、格子状の溝42bを透明層42に形成する。格子状の溝42bにより、透明層42にはランド42aが形成される。
次に、図10(e)に示すように、通常のコート法に基づいて、レジスト層43を透明基板50の一面に塗布する。レジスト層43は、あらかじめ、100重量部のレジストに対して0.5重量部のフタロシアニンを混合したものである。なお、レジストにフタロシアニンを均一に分散させるためには、フタロシアニンを、あらかじめメチルエチルケトンなどの溶媒に10%wt程度の濃度で分散させておくと良い。そして、透明層42が透明基板50の一面にコートされた状態のものを加熱し、透明層42を乾燥させる。この工程により、透明層42に形成された溝42bは、レジスト層43で埋められる。
次に、図10(f)に示すように、通常のコート法に基づいて、レジスト層43cを透明基板50の一面に塗布する。レジスト層43cは、フタロシアニンが混合されていないレジスト層である。そして、透明層42cが透明基板50の一面にコートされた状態のものを加熱し、透明層42cを乾燥させる。これにより、上述のように、薬液からフタロシアニンが含有されている透明層42bを保護する。
次に、図10(g)に示すように、ホトマスクを用いて、レジスト層43に開口OP3を形成する。レジスト43b及びレジスト43cは、ネガ型のレジストであるため、開口OP3を形成する部分に露光光(g線:435.8nm)を照射する。レジスト層43b及びレジスト層43cでは、露光光による光化学反応が進行する。その後、レジスト層43の表面に薬液を施し、現像処理をする。この現像処理により、レジスト層43b及びレジスト層43cには、開口OP3が形成される。上述のように、現像処理の際、レジスト層43cは、レジスト層43bを保護する役割を果たす。
なお、遮光膜40の形成と同時に、透明基板50の周辺部分(不図示)に形成させたアライメントマークを用いることで、遮光膜40と開口OP3との間のアライメントや遮光膜40と透明層42に形成される溝42bとのアライメントの精度を確保できる。
次に、図11を用いて、透明基板50にレンズ52を形成する工程について説明する。
まず、図11(a)に示すように、図10(g)の工程後のものを用意する。
次に、図11(b)に示すように、透明基板50の他面に、通常のコート法に基づいて、ポジ型のレジスト層52pを塗布する。そして、レジスト層52pが透明基板50の他面にコートされた状態のものを加熱し、レジスト層52pを乾燥させる。
次に、図11(c)に示すように、複数のレンズ52が形成されるように、グレイスケールマスクを用いてレジスト層52pを露光し、現像処理を施す。なお、形成するレンズと開口OP3とのアライメントは、上述のアライメントマークを用いると良い。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態について、図12及び図13を用いて説明する。第1の実施の形態と異なる点は、レンズモジュールの構成及び製造方法である。従って、この異なる点について説明する。
図12に、本実施形態にかかるレンズモジュールLM2の概略的な断面図を示す。図12に示すように、レンズモジュールLM2は、レンズモジュールLM1と同様に、マイクロレンズアレイ33と光チャネル分離層32とから構成される光学部品である。
レンズモジュールLM2は、上述のレンズモジュールLM1の構成に加えて、遮光膜44を有する。また、レンズモジュールLM2は、顔料を含有しないレジスト層43cが、ランド42a上に直接形成されている。また、レンズモジュールLM2は、レンズモジュールLM1と異なり、透明層(第1透明層)41を有していない。
遮光膜44は、遮光膜40と同様に、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)といった金属膜、あるいは黒色樹脂膜等である。遮光膜44は、通常の薄膜形成技術(スパッタ、蒸着等)によって、レジスト層43上に形成される。遮光膜44には、リソグラフィーにより、複数の開口OP4が格子状に形成される。遮光膜44によって、隣接する光チャネル間のクロストークを効果的に低減させることができる。
また、遮光膜44によって、第1の実施形態と比較して、光チャネル分離層32におけるTFTセンサー31側の開口を精度よく形成することができる。第1の実施形態においては、レジスト層43b及びレジスト層43cに開口を形成する必要がある。他方、本実施形態においては、遮光膜44に開口を形成すればよいからである。
なお、図12に示すように、開口OP4の開口幅は、開口OP2の開口幅及び開口OP5の開口幅よりも狭く設定されている。なお、開口OP5は、ランド42a上に形成されたレジスト層43b(1層目のレジスト層)に形成された開口の幅に等しい。
また、図12に示すようにt6、t7を設定したとき、(式1)を満足すると良い。これによって、クロストーク特性が劣化することを抑制しつつ、光利用効率を高めることができる。
Figure 2008180764
なお、t6は、ランド42a上に積層されるレジスト層43cの厚み(レンズ52により集光される光の進行方向に沿う厚み)である。換言すると、t6は、ランド42aの下面とレジスト層43cの下面との間の間隔である。t7は、ランド42aの厚み(レンズ52により集光される光の進行方向に沿う厚み)である。換言すると、t7は、透明基板50の下面とランド42aの下面との間の間隔である。なお、t6=0の場合でも、本実施形態に含まれることは言うまでもない。
また、上述のように、ランド42a上には直接レジスト層43cが形成される。換言すると、ランド42a上に形成されたレジスト層43b(1層目のレジスト層)が部分的に除去された後、レジスト層43c(2層目のレジスト層)が塗布される。これにより、遮光膜44を設けることに適した構成を実現できる。なお、レジスト層43cをランド42a上に形成したままとしても特段の問題は発生しない。なぜなら、レジスト層43cは、近赤外線領域の波長の光に対して実質的に透明であり、また、フタロシアニンを含有していないからである。レジスト層43c上に形成される遮光膜44には、通常のリソグラフィーによって、開口OP4が好適に形成される。
最後に、レンズモジュールLM2の製造方法を説明する。図13に、レンズモジュールLM2の製造方法を説明するための説明図を示す。なお、図13は、説明の便宜上、簡略化している。
図13(a)に示すように、まず、第1の実施の形態における製造方法の説明に従って、透明基板50上に、遮光膜40、ランド42a、レジスト層43を形成する。次に、図13(b)に示すように、通常のリソグラフィーを用いて、ランド42aの上面上のレジスト層43bを部分的に除去し、ランド42a上に開口を形成する。次に、図13(c)に示すように、通常のコート法を用いて、レジスト層43cを塗布する。次に、図13(d)に示すように、通常の薄膜形成技術に基づいて、遮光膜44をレジスト層43cの上層に形成する。そして、通常のリソグラフィーを用いて、ランド42aの上面上の遮光膜44に開口を形成する。
本発明の技術的範囲は、上述の実施の形態に限定されない。本発明は、他の波長領域にも適用することができる。露光光は、g線(435.8nm)に限らず、h線(404.7nm)、i線(365.0nm)等の350nm〜450nmの波長帯に含まれるものであれば良い。レジスト層(遮光層)に含有される顔料の種類は、検査光及び露光光の波長に応じて、適宜設定される。また、第2の実施の形態のように第1透明層がないものであっても構わない。
生体情報取得デバイスD1の概略的な斜視図である。 生体情報取得デバイスD1の概略的な上面図である。 図2のX−X間の生体情報取得デバイスD1の概略的な端面図である(バンドパスフィルタ34から上の部分に限る)。 図1のA点側から生体情報取得デバイスD1をみた概略的な説明図である。 図1のB点側から生体情報取得デバイスD1をみた概略的な説明図である。 レンズモジュールLM1の概略的な断面図である。 顔料の波長吸収特性及びレジスト層の波長透過特性の説明図である。 レジスト層におけるフタロシアニンの含有率とレジスト層の透過率の関係を示す図である。 遮光膜を設ける場合の効果の説明図である。 レンズモジュールLM1に含まれる光チャネル分離層の製造方法の概略的な説明図である。 レンズモジュールLM1に含まれるマイクロレンズアレイの製造方法の概略的な説明図である。 レンズモジュールLM2の概略的な断面図である。 レンズモジュールLM2の製造方法の概略的な説明図である。
符号の説明
33 マイクロレンズアレイ
40 遮光膜
41 透明層
42a ランド
42 透明層
43(43a、43b、43c) レジスト層
50 透明基板
52 レンズ
100 指
101 静脈
D1 生体情報取得デバイス
LEa 光照射デバイス
LEb 光照射デバイス
LM1 レンズモジュール
OP1 開口
OP2 開口
OP3 開口

Claims (11)

  1. 検査光を生体部位に出射し、生体部位からの反射光又は透過光を受光して撮像する生体情報取得デバイスに用いられるレンズモジュールであって、
    複数のレンズを有するレンズアレイと、
    露光光を照射することに基づいて、複数の前記レンズの各集光箇所に対応して形成された複数の開口を有する遮光層と、を備え、
    前記遮光層は、顔料を含み、
    前記顔料は、前記検査光波長に対する第1の吸収係数よりも、前記遮光層に照射される露光光波長に対する第2の吸収係数のほうが低いことを特徴とするレンズモジュール。
  2. 前記顔料は、フタロシアニン、シアニン、ジインモニウム、又はこれらの錯体のうち、少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1記載のレンズモジュール。
  3. 前記検査光の波長は、580nm〜1000nmの範囲から選択される任意の単一又は複数の波長であり、
    前記露光光の波長は、350nm〜450nmの範囲から選択される任意の単一又は複数の波長であることを特徴とする請求項2記載のレンズモジュール。
  4. 前記第2の吸収係数は、0.3cm−1以下であることを特徴とする請求項3記載のレンズモジュール。
  5. 前記遮光層における前記顔料の含有率は5重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4記載のレンズモジュール。
  6. 前記レンズアレイと前記遮光層との間には、格子状の溝を有する透明層が配置され、
    前記溝は、前記遮光層により埋められていることを特徴とする請求項1記載のレンズモジュール。
  7. 前記透明層は、前記溝が形成されない第1透明層と前記溝が形成される第2透明層とを含むことを特徴とする請求項6記載のレンズモジュール。
  8. 前記遮光層の表面には、前記顔料を含まない遮光層が形成されていることを特徴とする請求項1記載のレンズモジュール。
  9. 検査光を生体部位に出射し、生体部位からの反射光又は透過光を受光して撮像する生体情報取得デバイスであって、
    発光部で生成された前記検査光を生体部位に照射する光照射デバイスと、
    生体部位から反射又は透過された前記検査光を撮像装置の画素に集光する複数のレンズを有するレンズアレイと、
    露光光を照射することに基づいて、複数の前記レンズの各集光箇所に対応して形成された複数の開口を有する遮光層と、
    前記開口を通過して入射される前記検査光を光電変換する複数の画素を含む撮像装置と、を備え、
    前記遮光層は、顔料を含み、
    前記顔料は、前記検査光波長に対する第1の吸収係数よりも、前記遮光層に照射される露光光波長に対する第2の吸収係数のほうが低いことを特徴とする生体情報取得デバイス。
  10. 複数のレンズを有するレンズアレイと、
    複数の前記レンズの各集光箇所に対応して形成された複数の開口を有する遮光層と、を備え、
    前記遮光層は、顔料を含み、
    前記顔料は、580〜1000nmの範囲から選択される任意の単一又は複数の波長の光線に対する第1の吸収係数よりも、350〜450nmの範囲から選択される任意の単一又は複数の波長の光線に対する第2の吸収係数のほうが低いことを特徴とするレンズモジュール。
  11. 検査光を生体部位に出射し、生体部位からの反射光又は透過光を受光して撮像する生体情報取得デバイスに用いられるレンズモジュールの製造方法であって、
    前記検査光波長に対する第1の吸収係数よりも、照射される露光光波長に対する第2の吸収係数のほうが低い顔料が含まれたレジスト層を基板の一面上に形成し、
    前記レジスト層に露光光を照射し、レンズの集光箇所に対応するように複数の開口を前記レジスト層に形成する、レンズモジュールの製造方法。
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