JP2008180236A - 粘性流体継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】貯留室から作動室へのシリコンオイルの供給量を精度良く制御して、伝達トルクの制御精度を向上し得る粘性流体継手を提供する。
【解決手段】タイミングプーリ3と同軸上に配置された従動軸4と、内部にシリコンオイルOを貯留した貯留室6と、貯留室からのシリコンオイルOの供給量に応じてプーリから従動軸にトルクを伝達するトルク伝達部7と、貯留室とトルク伝達部の作動室12とを連通する流体通路8と、貯留室内の容積を変化させて作動室へのシリコンオイルの供給量を制御する制御機構9とを備えている。貯留室と流体通路及びトルク伝達部との間を、シリコンオイルがほぼ密閉状態に封止された閉回路に形成した。
【選択図】図1
【解決手段】タイミングプーリ3と同軸上に配置された従動軸4と、内部にシリコンオイルOを貯留した貯留室6と、貯留室からのシリコンオイルOの供給量に応じてプーリから従動軸にトルクを伝達するトルク伝達部7と、貯留室とトルク伝達部の作動室12とを連通する流体通路8と、貯留室内の容積を変化させて作動室へのシリコンオイルの供給量を制御する制御機構9とを備えている。貯留室と流体通路及びトルク伝達部との間を、シリコンオイルがほぼ密閉状態に封止された閉回路に形成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば自動車用内燃機関のウォータポンプや冷却ファン等に用いられる粘性流体継手に関する。
この種の粘性流体継手としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
この従来の粘性流体継手は、車両用冷却ファンに適用されたもので、ハウジングに回転可能に支持されたボディに、該ボディと同軸の出力軸が回転自在に配置されている。前記ハウジングの内部には、このハウジングに対して直線移動可能な仕切板が設けられていると共に、この仕切板の変位に応じて、内部に貯蔵したシリコンオイルの液面の高さが変更されるオイル貯蔵室が設けられている。
また、前記オイル貯蔵室内のシリコンオイルの油面の高さに応じた供給量によって前記ボディから出力軸への伝達トルクが変更させるトルク伝達部が設けられていると共に、前記仕切板を外部の信号に基づいて変位させる電磁ソレノイドが設けられている。
そして、雰囲気温度を検出した温度センサからの出力信号に基づいてコントローラから前記該電磁ソレノイドに制御電流が出力され、これによって仕切板がハウジング内部で直線移動してオイル貯蔵室の容積を変化させることによってトルク伝達部へのシリコンオイルの供給量を変化させて、ボディから出力軸(冷却ファン)への伝達トルクを変化させるようになっている。
特開2006−266489号公報
しかしながら、前記従来の粘性流体継手は、前記オイル貯蔵室とトルク伝達部との間が開回路状態になっており、前記オイル貯蔵室は、その全体の容積が比較的大きく形成され、内部には前記シリコンオイルの他に多くの空気が入っていると共に、トルク伝達部と直接的に連通している。したがって、仕切板が直線移動すると、シリコンオイルの油面が空気を介して上下変位することによってトルク伝達部への供給量を変化させるようになっている。
このため、車両が揺れたり、あるいは例えば坂道などで傾くと、前記オイル貯蔵室内のシリコンオイルの油面も変化してしまい、これによって、トルク伝達部へのシリコンオイルの供給量が大きく変化してしまうおそれがある。
この結果、トルク伝達部でのボディから出力軸への伝達トルクの制御精度が低下してしまう。
しかも、前記オイル貯蔵室は、その内部容量が大きく形成されて、内部にシリコンオイルの他に多くの空気が入っていることから、ハウジング全体の大型化が余儀なくされている。
本発明は、前記従来の粘性流体継手の技術的課題に鑑みて案出されたもので、請求項1に記載の発明は、駆動源から回転力が伝達される駆動回転体と、前記駆動回転体と同軸上に配置された従動回転体と、内部に粘性流体を貯留し、容積が変化可能な貯留室と、前記駆動回転体と従動回転体との間に設けられて、前記貯留室からの粘性流体の供給量に応じて前記駆動回転体から従動回転体に伝達する伝達トルクが変化するトルク伝達部と、前記貯留室からトルク伝達部に前記粘性流体を供給あるいは回収する流体通路と、前記貯留室内の容積を変化させて前記トルク伝達部に対する粘性流体の供給量を制御する制御機構と、を備え、前記貯留室と流体通路及びトルク伝達部との間を、前記粘性流体がほぼ密閉状態に封止された閉回路に形成したことを特徴としている。
この発明によれば、貯留室と流体通路及びトルク伝達部がほぼ密閉された閉回路に形成されていることから、例えば貯留室内に貯留されている粘性流体のトルク伝達部への自由な流動が抑制されて、トルク伝達部には、常に制御機構の作動による貯留室の容積変化に応じた必要な供給量が供給される。このため、トルク伝達部による前記駆動回転体から従動回転体への伝達トルクの制御精度が向上する。
しかも、前記貯留室は、その容積が前記トルク伝達部で最大に必要となる粘性流体量のみを確保できる大きさだけで良いため、その容積を可及的に小さくすることが可能になる。この結果、装置全体の小型化が図れる。
請求項2に記載の発明は、この発明は、請求項1の発明をさらに具体的にしたもので、ハウジングの外周に回転自在に支持されて、駆動源から回転力が伝達される駆動回転体と、前記ハウジング内に回転自在に支持されて、前記駆動回転体と同軸上に配置された従動回転体と、前記ハウジングの内部に形成されて、内部に粘性流体を貯留し、容積が変化可能な貯留室と、前記駆動回転体の回転中心側と前記従動回転体の一端部との間に設けられて、前記貯留室からの粘性流体の供給量に応じて前記駆動回転体から従動回転体に伝達する伝達トルクが変化する例えばラビリンス型のトルク伝達部と、前記ハウジング内に形成されて、前記貯留室からトルク伝達部に前記粘性流体を供給あるいは回収する流体通路と、前記貯留室内の容積を変化させて前記トルク伝達部に対する粘性流体の供給量を制御する制御機構と、を備え、前記貯留室と流体通路及びトルク伝達部との間を、前記粘性流体がほぼ密閉状態に封止された閉回路に形成したことを特徴としている。
この発明によれば、駆動回転体や従動回転体及び貯留室、流体通路などの各構成部材をハウジングに対して回転自在に支持し、あるいは収容したため、装置全体の小型化をさらに促進できる。
請求項3に記載の発明にあっては、前記制御機構は、前記貯留室内を進退動して容積を変化させるピストンと、該ピストンを、前記貯留室を圧縮する方向へ付勢する付勢部材と、前記ピストンを、前記付勢部材の付勢力との合成力によって進出動させ、あるいは付勢部材の付勢力に抗して後退動させるアクチュエータと、該アクチュエータを制御するコントローラと、を備え、前記ピストンのいずれの摺動位置においても該ピストンと貯留室との間には、常に前記粘性流体が密閉状態に封止されていることを特徴としている。
本発明は、制御機構の具体的な構成、つまり、ピストンに対する付勢部材の付勢力が常に作用することにより、貯留室内の粘性流体に対し前記付勢力による圧縮力が作用することから、貯留室内に空気が入ることがなく液面位置の制御精度を一層高くすることが可能になる。
請求項4に記載の発明にあっては、前記貯留室と流体通路は、前記トルク伝達部よりも重力方向の下側に配置されていることを特徴としている。
この発明によれば、例えば内燃機関を停止した際に、トルク伝達部に存在する粘性流体を自重によって貯留室内に回収することが可能になる。
請求項5に記載の発明にあっては、コントローラは、外部の雰囲気温度や内燃機関の冷却水温に応じて前記アクチュエータに作動信号を出力することを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、前記トルク伝達部の近傍に冷却水通路が配設されていることを特徴としている。
この発明によれば、冷却水通路を通流する冷却水によってトルク伝達部内の粘性流体が冷却されることから、粘性の低下を防止することが可能になる。これにより、トルク伝達部での駆動回転体から従動回転体へのトルク伝達効率の低下を防止することができる。
以下、本発明に係る粘性流体継手を、例えば自動車用内燃機関の補機類に適用した各実施例を図面に基づいて説明する。
なお、前記補機類としては、例えばウォータポンプや冷却ファンなどがあるがこれに限らず、他の機器類にも適用できる。
[実施例1]
この粘性流体継手は、内燃機関の可変容量型ウォータポンプに適用されたもので、図1及び図2に示すように、内燃機関のシリンダヘッドの外側部に複数のブラケット1aを介してボルト固定されたハウジング1と、該ハウジング1の前端側外周に軸受であるボールベアリング2を介して回転自在に支持された駆動回転体であるタイミングプーリ3と、前記ハウジング1の内部を貫通配置された従動回転体である従動軸4と、前記ハウジング1の下部内に設けられ、内部に粘性流体であるシリコンオイルOを貯留した貯留室6と、該従動軸4の前端側と前記タイミングプーリ3のほぼ中央側との間に設けられて、前記タイミングプーリ3の回転駆動トルクを前記貯留室6から供給されたシリコンオイルOを介して駆動軸4に伝達するトルク伝達部7と、前記ハウジング1内に形成されて、前記貯留室6からトルク伝達部7にシリコンオイルOを供給あるいはトルク伝達部7から貯留室6に回収する流体通路8と、前記貯留室6の内部容積を変化させて前記トルク伝達部に対するシリコンオイルOの供給量を制御する制御機構9と、を備えている。なお、ボールベアリング2に代えてローラベアリングなどを用いることも可能である。
[実施例1]
この粘性流体継手は、内燃機関の可変容量型ウォータポンプに適用されたもので、図1及び図2に示すように、内燃機関のシリンダヘッドの外側部に複数のブラケット1aを介してボルト固定されたハウジング1と、該ハウジング1の前端側外周に軸受であるボールベアリング2を介して回転自在に支持された駆動回転体であるタイミングプーリ3と、前記ハウジング1の内部を貫通配置された従動回転体である従動軸4と、前記ハウジング1の下部内に設けられ、内部に粘性流体であるシリコンオイルOを貯留した貯留室6と、該従動軸4の前端側と前記タイミングプーリ3のほぼ中央側との間に設けられて、前記タイミングプーリ3の回転駆動トルクを前記貯留室6から供給されたシリコンオイルOを介して駆動軸4に伝達するトルク伝達部7と、前記ハウジング1内に形成されて、前記貯留室6からトルク伝達部7にシリコンオイルOを供給あるいはトルク伝達部7から貯留室6に回収する流体通路8と、前記貯留室6の内部容積を変化させて前記トルク伝達部に対するシリコンオイルOの供給量を制御する制御機構9と、を備えている。なお、ボールベアリング2に代えてローラベアリングなどを用いることも可能である。
前記ハウジング1は、例えばアルミ合金材などによって一体的に形成され、シリンダヘッド側の後端部が前記各ブラケット1aなどによって異形状に形成されていると共に、後端側に前記ボールベアリング2のインナーレース2aが圧入固定される円環部1bが形成されている。また、ハウジング1の内部軸方向には、前記従動軸4が貫通する貫通孔1cが形成されている。
前記タイミングプーリ3は、円環状のプーリ本体10と、該プーリ本体10の外端側にボルトによって一体的に固定されて、ハウジング1の開口端を閉塞するカバー部11とを備えている。なお、前記プーリ本体10とカバー11とを一体に形成することも可能である。
前記プーリ本体10は、外周側にクランクシャフトから回転駆動力が伝達されるタイミングベルトに噛合する外周側に複数の歯部10aが形成されていると共に、内周側に前記ボールベアリング2のアウターレース2bが圧入などによって固定されるようになっている。一方、前記カバー部11は、ほぼ中央側が外方へ段差状に膨出形成されて、中央部の内側に凹部11aに前記従動軸4の一端部4aが収容されていると共に、内面と前記ハウジング1の対向端面との間に前記貯留室6からシリコンオイルOが給排される作動室12が形成されている。
前記従動軸4は、内部中空状に形成されていると共に、外径が段差形状に形成されて、ハウジング1の貫通孔1cの内部に所定間隔をもって配置された前後二つの軸受であるボールベアリング5,5によって回転自在に支持されている。また、一端部4aの外周には、前記作動室12内に臨む円盤状の回転部材13が圧入固定されていると共に、この一端部4aの外端部には、前記回転部材11の抜け出しを防止するCリング状のスナップリング14が嵌着固定されている。なお、前記ボールベアリング5,5に代えてローラベアリングとしても良い。
さらに、従動軸4の他端部4bには、インペラー15が一体的に結合されており、このインペラー15は、図外のラジエータで放熱されて図外の通路を介して軸方向から導入された冷却水を回転力によって通路を介して内燃機関のウォータジャケット内に圧送循環させるようになっている。
また、前記従動軸4の他端部4b側には、インペラー15の回転に伴って圧送される冷却水がハウジング1内へ漏れるのを防止するメカニカルシール16が取り付けられている。また、ハウジング1の内部には、メカニカルシール16を通過した蒸気などを外部に排出する冷却水通路である排出通路17が形成されており、この排出通路17は、上流端17aがメカニカルシール16の内側部に連通し、下流端部17bが前記タイミングプーリ3のボールベアリング2の内側部に有するプレート部材18の外側面に臨む位置まで延設されて、メカニカルシール16を通過した蒸気を大気へ排出することができる。
前記貯留室6は、ハウジング1の下端面から上方向へ沿った筒状壁部1dの内部に形成されていると共に、内底面のほぼ中央位置にはほぼ円錐テーパ状の案内溝6aを介してその底面に小径な圧入用穴6bが形成されている。
前記トルク伝達部7は、前記作動室12と、該作動室12に臨む前記カバー部11の中央凹部11aよりも外周部側に一体に設けられた環状の第1ラビリンス凸部19と、前記従動軸4に固定された回転部材13の前記第1ラビリンス凸部19と対向して設けられた第2ラビリンス凸部20とから主として構成されて、作動室12内で前記第1,第2ラビリンス凸部19,20間に入り込んだシリコンオイルOに剪断方向の力が作用して前記タイミングプーリ3の回転駆動力を、回転部材13を介して従動軸4に伝達するようになっている。
前記流体通路8は、ハウジング1の下部内にほぼ逆L字形状に形成されて、上下方向に形成された一端部8aの開口端が前記貯留室6の上部に接続され、ほぼ水平方向に形成された他端部8bの開口端が前記作動室12の下部側に接続されている。したがって、この流体通路8と前記貯留室6とは、前記作動室12に対して重力方向の下側に配置されている。
前記制御機構9は、いわゆる感温式のワックスペレット型であって、前記筒状壁部1dの下端面に結合されたほぼ碗状のリテーナ21と、該リテーナ21に上下摺動自在に保持された可動部材22と、前記可動部材22の上下動を案内するピストンロッド23と、前記可動部材22の上端部に固定されて、前記貯留室6の内部を上下方向へ摺動して貯留室6の内部容積を変化させるピストン24と、前記ピストン24を上方向、つまり貯留室6の容積を縮小する方向へ付勢する付勢部材であるスプリング25と、前記可動部材22の下部に一体的に設けられた加熱器26と、機関の冷却水温度に応じて前記加熱器26への通電量を制御するコントローラ27とを備えている。前記リテーナ21や、可動部材22、ピストンロッド23及び加熱器26などによってアクチュエータが構成されている。
前記可動部材22は、先端先細り状の円筒状に形成され、内部軸方向に前記ピストンロッド23が貫通する貫通孔が形成されている。また、内部には、膨張、収縮可能なワックスペレットが充填されていると共に、前記ピストンロッド23の下端部が挿通する膨縮自在なゴム材が設けられている。なお、可動部材22は、図1に示す最上位置において、先端部22aが案内溝6a内に入り込むようになっている。
ピストンロッド23は、下端部が可動部材22の貫通孔を介して内部に摺動自在に保持されていると共に、上端部23aが貯留室6の前記圧入用穴6bに圧入固定されている。この上端部23aを下方から上方に向かって固定する際には、前記円錐状の案内溝6aの内面に案内されながら圧入用穴6bに圧入できるため、その圧入作業が容易になる。
前記スプリング25は、ピストン24の下部中央と前記リテーナ21の上部中央との間に弾装されてピストン24を上方へ付勢し、この付勢力は、可動部材22内のワックスペレットの収縮による該可動部材22に対する引き下げ力よりも小さく設定されている。
前記加熱器26は、通電量に応じて加熱量が変化する一般的なものであり、前記コントローラ27は、少なくとも機関回転数(rpm)を検出するクランク角センサや、機関の冷却水の温度を検出する図外の冷却水温度センサなどからの情報信号を入力し、これらの情報信号に基づいて前記加熱器26への通電量を制御している。また、前記各機関回転数などから機関運転状態を検出し、かかる機関運転状態に応じて加熱器26への通電量を設定してもよい。
そして、前記貯留室6と流体通路8及び作動室12は、密閉状態の閉回路となるように形成され、貯留室6内などに充填されているシリコンオイルOは、貯留室6の最大容積時には、該貯留室6と流体通路8の一部に流入しているだけで、作動室12内には供給されない程度の量に設定されている。
したがって、この実施例によれば、例えば機関の低温始動時などでは、この状態を検出した冷却水温度センサからコントローラ27に情報信号が出力されて、このコントローラ27から加熱器26に通電されない。このため、可動部材22は、図3に示すように、内部のワックスペレットの収縮によってスプリング25のばね力に抗して最下降に移動して、ピストン24を最下降位置に移動させる。これにより、貯留室6の容積が最大となって、内部ワックスペレットが作動室12内に供給されない。
よって、タイミングプーリ3の回転駆動力は、トルク伝達部7で遮断されて従動軸4には伝達されないため、インペラー15が回転せずにポンプ作用が停止して冷却水が循環されない状態となる。これによって、暖機の立ち上がりが良好になり、排気エミッション性能の向上が図れる。
一方、暖機が完了して定常運転に移行すると、機関回転数の上昇および機関の冷却水温度の上昇に伴いコントローラ27から加熱器26に通電されて、該通電量が最大となるとワックスペレットが膨張して、可動部材22が、図1に示すように、スプリング25のばね力との合成力によって上昇移動して、ピストン24も上昇移動して貯留室6内のシリコンオイルOを押圧しつつ容積を最小にする。
これにより、貯留室6内のシリコンオイルOは、流体通路8を通って作動室12内に漸次供給され、作動室12内に最大量のシリコンオイルOが供給される。
したがって、第1、第2ラビリンス凸部19,20間に多くのシリコンオイルOが導入されることから、タイミングプーリ3の回転駆動力によって両ラビリンス凸部19,20間のシリコンオイルOに剪断力が作用してほぼ最大の回転トルクを従動軸4に伝達する。これにより、インペラー15の回転速度が上昇して、大きなポンプ作用により冷却水がラジエータと機関内を循環して機関の冷却を行う。
さらに、その後、例えば機関高回転域に移行した場合は、その機関回転数や冷却水温度情報に基づいてコントローラ27から加熱器26への通電量が減少する。つまり、車両の走行風によって機関が冷却されて冷却水の温度が僅かに低下することから通電量を減少させる制御を行う。このため、可動部材22は、図4に示すように、内部のワックスペレットの収縮に伴ってスプリング25のばね力に抗してピストン24と共にほぼ中間位置まで後退動する。これにより、作動室12内のシリコンオイルOの一部が流体通路8を通流して貯留室6内に回収され、第1、第2ラビリンス凸部19,20間のシリコンオイル量が減少して両者19,20間でスリップ状態となり、タイミングプーリ3と従動軸4との回転差が大きくなって伝達トルクが小さくなり、インペラー15に対する必要以上の回転が抑制される。よって、無駄に冷却水を循環させることが無くなることから、動力損失が減少して燃費の向上などが図れる。
図5は、前述した作動室12内へのシリコンオイルOの供給量に応じてタイミングプーリ3の回転速度とインペラー15の回転速度との関係を示し、前記低温始動時などで作動室12内へのシリコンオイルOが供給されない場合は、インペラー15の回転がほぼ零になり(1)、定常運転時に作動室12への供給量が最大になるとインペラー15の回転速度が上昇する(2)。また、機関高回転時には、作動室12内への供給量を減少させて伝達トルクが小さくなるが、タイミングプーリ3の回転速度が速くなることから、インペラー15の回転速度も定常運転域よりも僅かに速くなる(3)。
図6は、前記図5の(1)〜(3)の状態を折れ線グラフで示したもので、このグラフから明らかなように、機関の低温始動時から高回転までの間において、従来の可変容量型でないウォータポンプでは、タイミングプーリの回転速度の上昇に伴ってインペラーの回転速度も直線的に上昇するが、本実施例では、前述のように、インペラー15の回転は低温始動時では零となり、常用域で急激に立ち上がり、さらに高回転域に移行すると、なだらかな立ち上がりとなる。したがって、本実施例では暖機性能や燃費の向上が図れると共に、高回転時における動力損失による出力の向上が図れる。
そして、この実施例によれば、前述のように、貯留室6と流体通路8及び作動室12がほぼ密閉された閉回路に形成されていることから、たとえ車両の揺れや傾きがあったとしても、貯留室6内に貯留されているシリコンオイルOのトルク伝達部7への自由な流動が防止されて、トルク伝達部7へは、常に制御機構9の作動による貯留室6の容積変化に応じた必要な供給量が供給される。このため、トルク伝達部7による前記タイミングプーリ3から従動軸4への伝達トルクの制御精度が向上する。
しかも、前記貯留室6は、その容積が前記トルク伝達部7で最大に必要となるシリコンオイル量のみを確保できる大きさだけで良いため、その容積を可及的に小さくすることが可能になる。この結果、装置全体の小型化が図れる。
また、タイミングプーリ3や従動軸4及び貯留室6、流体通路8などの各構成部材をハウジング1に対して回転自在に支持し、あるいは収容したため、装置全体の小型化をさらに促進できる。
さらに、スプリング25のばね力がピストン24に対して常に上方へ作用することにより、貯留室6内の粘性流体に対し前記スプリング25による圧縮力が作用することから、貯留室6内の密閉性をより確実に得ることができる。このため、制御精度を一層高くすることが可能になる。
さらに、前記貯留室6と流体通路8は、前記トルク伝達部7よりも重力方向の下側に配置されていることから、機関が停止した際には、トルク伝達部7に存在するシリコンオイルOを自重によって貯留室6内に回収することが可能になる。
また、前記トルク伝達部7の近傍に冷却通路48が配設されているため、冷却通路48を通流する蒸気などの冷却水によってトルク伝達部7内の粘性流体が冷却されることから、粘性の低下を防止することが可能になる。これにより、トルク伝達部7でのタイミングプーリ3から従動軸4へのトルク伝達効率の低下を防止することができる。
〔第2実施例〕
図7は第2の実施例を示し、制御機構9のアクチュエータを電磁ソレノイド式に変更したものである。
〔第2実施例〕
図7は第2の実施例を示し、制御機構9のアクチュエータを電磁ソレノイド式に変更したものである。
すなわち、ハウジング1の筒状壁部1bの下端部に固定されたソレノイドケーシング30内部に電磁コイル31と可動プランジャ32とが収容されていると共に、基端部が可動プランジャ32に固定された駆動軸33の先端部に貯留室6内を摺動するピストン34が固定されている。前記電磁コイル31には、第1実施例と同様なコントローラ27からの制御電流が供給されるようになっている。
また、前記ピストン34を貯留室6の容積を縮小する方向へ付勢する付勢部材であるスプリング35が設けられている。他の構成は第1実施例と同様である。
したがって、機関低温始動時には、電磁コイル31にコントローラ27から制御電流が出力されて、可動プランジャ32が吸引されて後退動する、つまり、下方へ移動する。これによって、ピストン34も後退動して貯留室6を最大容積とし、作動室12へのシリコンオイルOの供給量を零にする。
定常運転に移行した場合は、コントローラ27から電磁コイル31への通電が遮断されて、これにより可動プランジャ32は、スプリング35のばね力によって最大に進出動して貯留室6の容積を最小にする。このため、作動室12へのシリコンオイルOの供給量が最大となる。
高回転域に移行した場合は、コントローラ27から電磁コイル31へ通電されてその通電量が低温始動時よりも僅かに小さくなる。これにより、可動プランジャ32は、図7に示すように、スプリング35のばね力に抗して僅かに後退動して中間位置となり、作動室12内へのシリコンオイルOの供給量を減少させる。
このように、本実施例では、作動室12へのシリコンオイルOの供給量を制御することにより、第1実施例と同様な作用効果が得られることは勿論のこと、アクチュエータとして電磁ソレノイドを用いたため、作動の応答性が向上する。
なお、前記スプリング35を可動プランジャ32が後退動する方向へ付勢するように配置して、機関低温始動時には、スプリング35のばね力によってピストン34を最大後退位置、つまり貯留室6を最大容積とし、電磁コイル31への通電及び通電量の増加によって可動プランジャ32が進出動するように構成することも可能である。
〔第3実施例〕
図8は第3の実施例を示し、制御機構9のアクチュエータを電動モータ式に変更したものである。
〔第3実施例〕
図8は第3の実施例を示し、制御機構9のアクチュエータを電動モータ式に変更したものである。
すなわち、前記筒状壁部1dの下部に固定されたモータケーシング40内に電磁コイル41が収容固定されていると共に、該電磁コイル41の内側に、内周にウォーム歯が形成された筒状の回転ステータ42が正逆回転自在に収容されている。このステータ42の内周側には、外周に前記ウォーム歯と噛合する歯部が形成された駆動シャフト43が設けられ、この駆動シャフト43の上端部に貯留室6内を摺動するピストン44が固定されている。
また、ピストン44を上方向、つまり貯留室6の容積を減少させる方向へ付勢するスプリング45が設けられている。
したがって、機関低温始動時には、コントローラ27から電磁コイル41へ通電されてステータ42を一方向へ回転させて、駆動シャフト43を後退動させ、これにより、ピストン44は、最大に後退して貯留室6の容積を最大とするため、作動室12へのシリコンオイルOの供給量をほぼ零にできる。
一方、常用運転時には、電磁コイル41に通電されてステータ42を他方向へ回転させて、駆動シャフト43を進出動させ、これにより、ピストン44はスプリング45のばね力と相俟って最大に進出して貯留室6の容積を最小とする。このため、作動室12へのシリコンオイルOの供給量を最大にすることができる。
また、機関高回転域に移行した場合は、電磁コイル41への所定の通電量によってステータ42を一方向へ所定量だけ回転させる。したがって、ピストン44は、図8に示すように、中間位置に移動して、貯留室6の容積をほぼ半分位に制御して、作動室12へのシリコンオイルOの供給量を減少させる。
したがって、この実施例も、第1の実施例と同様な作用効果が得られると共に、電動モータを用いたことから作動応答性の向上が図れる。
〔第4実施例〕
図9は第4の実施例を示し、第1実施例の構成をそのまま利用して、前記カバー部11の外周側の端面に複数の冷却フィン46を一体的に設けたものである。
〔第4実施例〕
図9は第4の実施例を示し、第1実施例の構成をそのまま利用して、前記カバー部11の外周側の端面に複数の冷却フィン46を一体的に設けたものである。
したがって、タイミングプーリ3の回転に伴って冷却ファン46が同方向に回転して作動室12内のシリコンオイルOを効果的に冷却する。また、ハウジング1には、冷却通路48が設けられており、この冷却水によりシリコンオイルO及びトルク伝達部を冷却するので、シリコンオイルOの粘性の低下を防止することが可能になり、常時高い粘性を確保することができる。これによって、トルク伝達部7でのトルク伝達性が良好になる。
〔第5実施例〕
図10は第5の実施例を示し、本装置の適用対象を内燃機関の冷却ファンとしたもので、基本構造は、第1実施例と同様であって、従動軸4は、ハウジング1を貫通させずにカバー部11の中央部を貫通配置して、ハウジング1とカバー部11にそれぞれ設けられたボールベアリング47、47によって回転自在に支持されていると共に、ラジエータ側の先端部の取付部4cに図外の冷却ファンが取り付けられている。また、この従動軸4に回転部材13が固定されている構成や、トルク伝達部7が連係している構成については第1実施例と同様である。
〔第5実施例〕
図10は第5の実施例を示し、本装置の適用対象を内燃機関の冷却ファンとしたもので、基本構造は、第1実施例と同様であって、従動軸4は、ハウジング1を貫通させずにカバー部11の中央部を貫通配置して、ハウジング1とカバー部11にそれぞれ設けられたボールベアリング47、47によって回転自在に支持されていると共に、ラジエータ側の先端部の取付部4cに図外の冷却ファンが取り付けられている。また、この従動軸4に回転部材13が固定されている構成や、トルク伝達部7が連係している構成については第1実施例と同様である。
したがって、制御機構9などによる前記冷却ファンの回転制御が行われるようになっていることから、第1の実施例と同様な作用効果が得られる。
本発明は、前記各実施例の構成に限定されるものではなく、例えばアクチュエータを他の構成にすることも可能である。また、駆動回転体としては、タイミングプーリ以外にタイミングスプロケットなど他の回転体でもよく、また従動回転体も従動軸に限定されない。
1…ハウジング
3…タイミングプーリ(駆動回転体)
4…従動軸(従動回転体)
6…貯留室
7…トルク伝達部
8…流体通路
9…制御機構
12…作動室
13…回転部材
15…インペラー
17…排出通路(冷却水通路)
19、20…第1、第2ラビリンス凸部
3…タイミングプーリ(駆動回転体)
4…従動軸(従動回転体)
6…貯留室
7…トルク伝達部
8…流体通路
9…制御機構
12…作動室
13…回転部材
15…インペラー
17…排出通路(冷却水通路)
19、20…第1、第2ラビリンス凸部
Claims (6)
- 駆動源から回転力が伝達される駆動回転体と、
前記駆動回転体と同軸上に配置された従動回転体と、
内部に粘性流体を貯留し、容積が変化可能な貯留室と、
前記駆動回転体と従動回転体との間に設けられて、前記貯留室からの粘性流体の供給量に応じて前記駆動回転体から従動回転体に伝達する伝達トルクが変化するトルク伝達部と、
前記貯留室からトルク伝達部に前記粘性流体を供給あるいは回収する流体通路と、
前記貯留室内の容積を変化させて前記トルク伝達部に対する粘性流体の供給量を制御する制御機構と、を備え、
前記貯留室と流体通路及びトルク伝達部との間を、前記粘性流体がほぼ密閉状態に封止された閉回路に形成したことを特徴とする粘性流体継手。 - ハウジングの外周に回転自在に支持されて、駆動源から回転力が伝達される駆動回転体と、
前記ハウジング内に回転自在に支持されて、前記駆動回転体と同軸上に配置された従動回転体と、
前記ハウジングの内部に形成されて、内部に粘性流体を貯留し、容積が変化可能な貯留室と、
前記駆動回転体の回転中心側と前記従動回転体の一端部との間に設けられて、前記貯留室からの粘性流体の供給量に応じて前記駆動回転体から従動回転体に伝達する伝達トルクが変化するトルク伝達部と、
前記ハウジング内に形成されて、前記貯留室からトルク伝達部に前記粘性流体を供給あるいは回収する流体通路と、
前記貯留室内の容積を変化させて前記トルク伝達部に対する粘性流体の供給量を制御する制御機構と、を備え、
前記貯留室と流体通路及びトルク伝達部との間を、前記粘性流体がほぼ密閉状態に封止された閉回路に形成したことを特徴とする粘性流体継手。 - 前記制御機構は、前記貯留室内を進退動して容積を変化させるピストンと、
該ピストンを、前記貯留室を圧縮する方向へ付勢する付勢部材と、
前記ピストンを、前記付勢部材の付勢力との合成力によって進出動させ、あるいは付勢部材の付勢力に抗して後退動させるアクチュエータと、
該アクチュエータを制御するコントローラと、を備え、
前記ピストンのいずれの摺動位置においても該ピストンと貯留室との間には、常に前記粘性流体が密閉状態に封止されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粘性流体継手。 - 前記貯留室と流体通路は、前記トルク伝達部よりも重力方向の下側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘性流体継手。
- コントローラは、外部の雰囲気温度や内燃機関の冷却水温に応じて前記アクチュエータに作動信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の粘性流体継手。
- 前記トルク伝達部の近傍に冷却水通路が配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘性流体継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007012112A JP2008180236A (ja) | 2007-01-23 | 2007-01-23 | 粘性流体継手 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007012112A JP2008180236A (ja) | 2007-01-23 | 2007-01-23 | 粘性流体継手 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008180236A true JP2008180236A (ja) | 2008-08-07 |
Family
ID=39724295
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007012112A Pending JP2008180236A (ja) | 2007-01-23 | 2007-01-23 | 粘性流体継手 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008180236A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014109374A (ja) * | 2012-12-04 | 2014-06-12 | Aisin Seiki Co Ltd | 電磁クラッチ |
-
2007
- 2007-01-23 JP JP2007012112A patent/JP2008180236A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014109374A (ja) * | 2012-12-04 | 2014-06-12 | Aisin Seiki Co Ltd | 電磁クラッチ |
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