JP2008177207A - 多層配線基板の製造方法、多層配線基板および電子機器 - Google Patents

多層配線基板の製造方法、多層配線基板および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な製造工程で精巧な多層配線を形成することを可能とする多層配線基板の製造方法、多層配線基板及び電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも2層の配線層と、前記配線層間に設けられた層間絶縁膜3と、前記配線層間を導通させる導体ポスト6とを有してなる多層配線基板1の製造方法であって、前記導体ポスト6の周辺部7に第一層間絶縁膜9を液滴吐出法で形成した後、前記第一層間絶縁膜9の周囲8に形成されたに第二層間絶縁膜10を液滴吐出法で形成することを特徴とする多層配線基板1の製造方法を用いることによって、上記課題を解決できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、多層配線基板の製造方法、多層配線基板および電子機器に関するものである。
一般的に、多層プリント配線基板は、スルーホールやインタースティシャルビアホール(以下、IVH)により上下層の導体回路基板間を接続させている。スルーホールでは、エッチングによりパターン形成した単層基板を数枚重ね合わせ一体化した後、各層の上下配線を接続させる位置に貫通穴をあけ、その貫通穴内部をメッキ処理したり、導電性ペーストを導入したりして、多層プリント配線基板とする。IVHは、非貫通穴を用いる点がスルーホールとは異なり、感光性樹脂を用いて絶縁層に設けた非貫通穴を金属メッキ処理したり、導電性ペーストで埋めたりすることにより、上下層の導体回路基板間を接続させる。全層をIVHで層間接続できるような、樹脂多層プリント配線基板もすでに実用化されている。しかしながら、前記に示したどちらの方法においても、一旦絶縁層に穴をあけて、その穴の内部をメッキ処理又は導電性ペーストで導電性にするという手法を採っており、製造工程が複雑になるとともに高密度実装基板に用いるのは困難であるいう問題点があった。
近年、貫通穴もしくは非貫通穴を用いて層間接続を試みるのではなく、先に層間接続用導体ポストを形成してから、絶縁膜層を形成し、多層プリント配線基板を製造する方法が検討されている。特許文献1には、まず、フォトリソグラフィ法により、下層配線上に層間接続用導体ポストを形成した後、前記導体ポストの周囲に樹脂を塗布し、さらにホットプレスを行い、前記樹脂を絶縁膜層とした後、上層配線を形成することによって、多層配線を形成する方法が開示されている。さらに、特許文献2には、前記導体ポストを、スタッドバンプ、導電性ボール、金属微粒子の堆積により形成する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、微細な配線パターンを有する高密度実装基板に用いるのが困難であるという問題があった。
特許文献3には、上記課題を解決する手法として、液滴吐出方式を利用する方法が開示されている。絶縁膜部分および配線パターン部分をそれぞれ、絶縁膜溶液およびシランカップリング剤などのアクティベーターの溶液を液滴吐出方式で選択塗布した後、アクティベーターの塗布部分を無電解メッキ処理することにより配線パターンとし、多層配線基板を作成する。しかしながら、前記方法では、やはりメッキ処理を行うため、精巧なパターンを形成することが困難であるという問題点があるとともに、廃液処理が必要であるなどの問題点もあった。特許文献4には、導電性インクを用いて液滴吐出させることにより配線パターンを形成し、精巧なパターンを形成する方法が開示されている。しかし、全工程をこのように高精度制御した場合、絶縁膜部分は基板面上の広範囲に形成する必要があるので時間的ロスとなり、生産効率を大幅に下げることとなる。一方、精巧な配線パターンの場合、その周囲の絶縁膜層の部分も精巧に形成する必要があり、この絶縁膜層部分を高精度に制御しない場合、導電ポストを覆って絶縁膜層が形成され、層間接続がとれない場合があり、多層配線基板にとって大きな問題となる場合があった。
特公平6−57455号公報 特開平9−46045号公報 特開2000−204479号公報 特開2003−309369号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、簡単な製造工程で精巧な多層配線を形成することを可能とする多層配線基板の製造方法、多層配線基板及び電子機器を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
本発明の多層配線基板の製造方法は、少なくとも2層の配線層と、前記配線層間に設けられた層間絶縁膜と、前記配線層間を導通させる導体ポストとを有してなる多層配線基板の製造方法であって、前記導体ポストの周辺部に第一層間絶縁膜を液滴吐出方式で形成した後、前記周辺部の周囲に第二層間絶縁膜を液滴吐出方式で形成することを特徴とする。
本発明の多層配線基板の製造方法は、前記第一層間絶縁膜の表面エネルギーが前記第二層間絶縁膜の表面エネルギーよりも小さいことを特徴とする。
本発明の多層配線基板の製造方法は、前記第一層間絶縁膜の膜厚が前記第二層間絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする。
本発明の多層配線基板は、層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を挟んで絶縁された2層の配線層と、各配線と導通する導体ポストとを少なくとも備えた多層配線基板において、前記層間絶縁膜は前記導体ポストの周辺部に形成された第一層間絶縁膜と、前記第一層間絶縁膜の周囲に形成された第二層間絶縁膜とからなることを特徴とする。
本発明の電子機器は、先に記載の多層配線基板を備えたことを特徴とする。
上記の構成によれば、簡単な製造工程で精巧な多層配線を形成することを可能とする多層配線基板の製造方法、多層配線基板及び電子機器を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態である多層配線基板の製造方法に用いる液滴吐出装置IJの一例を示す斜視図であり、図1(b)は前記液滴吐出装置IJに備えられた液滴吐出ヘッド101の斜視図である。
図1(a)に示すように、X軸方向駆動軸104には、X軸方向駆動モータ102が接続されている。X軸方向駆動モータ102は、ステッピングモータ等であり、制御装置106からX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸104を回転させる。X軸方向駆動軸104が回転すると、液滴吐出ヘッド101はX軸方向に移動する。Y軸方向ガイド軸105は、基台109に対して動かないように固定されている。ステージ107は、Y軸方向駆動モータ103を備えている。Y軸方向モータ103は、ステッピングモータ等であり、制御装置106からY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ107をY軸方向に移動する。制御装置106は、液滴吐出ヘッド101に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ102に液滴吐出ヘッド101のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ103にステージ107のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。以上の機構により、液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド101と基板20を支持するステージ107とを相対的に走査しつつ基板20に対して液滴を吐出する。クリーニング機構108は、液滴吐出ヘッド101をクリーニングするものである。クリーニング機構108には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸105に沿って移動する。クリーニング機構108の移動も制御装置106により制御される。ヒーター115は、ここではランプアニールにより基板20を熱処理する手段であり、基板20上に塗布された液状材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒーター115の電源の投入及び遮断も制御装置6により制御される。
図1(b)は液滴吐出ヘッド101をノズル面側(基板20との対向面側)から見た図である。液滴吐出ヘッド101は、複数のヘッド部121と、これらヘッド部121を搭載したキャリッジ部122とを備えている。ヘッド部121のノズル面124には液状材料の液滴を吐出する複数の吐出ノズル110が設けられている。ヘッド部121(ノズル面124)のそれぞれは平面視矩形状であって、吐出ノズル110は、ヘッド部121の長手方向である略Y軸方向に沿って一定間隔で列状に、且つヘッド部121の幅方向である略X軸方向に間隔をあけて2列でノズル面124のそれぞれに複数(例えば、1列180ノズル、合計360ノズル)設けられている。また、ヘッド部121は、吐出ノズル110を基板20側に向けるとともに、Y軸に対して所定角度傾いた状態で略Y軸方向に沿って列状に、且つX軸方向に所定間隔をあけて2列に配置された状態でキャリッジ部122に複数(図2では1列6個、合計12個)位置決めされて支持されている。前記液滴吐出ヘッド101は、液滴吐出法により液状材料を定量的に吐出可能であり、例えば1〜300ナノグラムの液状材料を定量的に断続して滴下可能な装置である。液滴吐出ヘッド101としては、例えば、市販のプリンター(商品名「PM950C」)のヘッドを使用することができる。この場合、インク吸入部がプラスチック製であるため、有機溶剤に対して溶解しないよう吸入部を金属製の治具に変更する。
図2は、本発明の実施形態である多層配線基板1の一例を示す概略模式図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A’線における断面図である。
前記多層配線基板1は、基板2の上に第一層配線5を含む配線層が形成され、前記第一層配線5の上に円柱状の導電ポスト6が形成され、さらに前記導電ポスト6に第二層配線4を含む配線層が接続されることによって、概略構成されている。前記第一層配線5と前記第二層配線4との間には層間絶縁層膜3が形成されている。さらに、前記層間絶縁膜3は、前記導電ポスト6の周辺部7に形成する第一層間絶縁膜9と前記第一層間絶縁膜9の周囲8に形成する第二層間絶縁膜10とから構成されている。前記第一層間絶縁膜9は、第二層間絶縁膜10に比べて膜厚が薄く形成されている。また、前記第一層間絶縁膜9および前記第二層間絶縁膜10は、前記液滴吐出装置IJを用いて、液滴吐出法により形成される。
前記導電ポスト6の直径は、前記第一層配線5と前記第二層配線4の幅と等しくなるように形成しても良く、前記第一層配線5と前記第二層配線4の幅より狭くしても良い。たとえば、第一層配線5および第二層配線4をそれぞれ幅90μm、高さ10μmで形成し、導電ポスト6の直径90μm、高さ10μmで形成すれば良い。
前記導電ポスト6の高さは、多層配線基板における全体的な構成を考慮して設定する。高密度に多層化するためには、導電ポスト6の高さは低い方が良いが、あまり低すぎると、層間絶縁膜3の厚みも薄くなり、絶縁性を確保できなくなり、リークを生ずるおそれがある。
前記導電ポスト6の平面視形状は、導電性が効率よく取れ、かつ液滴吐出法により形成できるものであれば、四角でも、多角形、楕円形状あるいは円形などどのような形でもかまわない。
前記導電ポスト6の構成材料は、導電性のある材料であればよい。金属配線材料と同じ材料を用いるのが一般的であるが、異なる材料であってもかまわない。形成方法は、本実施形態に示す液滴吐出法に限られず、スピンコーティング法など他のウエットプロセスあるいは、蒸着法などのドライプロセスを用いて形成してもかまわない。
前記第一層間絶縁膜9を形成する周辺部7の大きさは、第一層間絶縁膜9を形成する際の液滴吐出量、液滴吐出ヘッドの位置制御精度を考慮して設定する。この設定が十分考慮されなかった場合、第二層間絶縁膜10形成の際、液滴吐出ノズル110の液滴吐出位置がわずかにずれた場合、吐出された液滴が導電ポスト6を覆ってしまい、導通性を確保できなくなることがある。なお、第一層間絶縁膜9(周辺部7)の平面視形状は、円形でも良く、矩形でも良い。たとえば、円形の第一層間絶縁膜9を形成する場合は、導電ポスト6の直径を90μmに設定した場合、前記周辺部7の外周を形成する直径は、その2倍の長さである180μmに設定すると良い。
前記第一層間絶縁膜9の厚みは、前記導電ポスト6と同じく、多層配線基板における全体的な構成を考慮して設定する。この設定が十分考慮されず、前記第一層間絶縁膜9を薄く形成した場合、絶縁性を十分確保できず、リークを生ずるおそれがある。逆に、前記第一層間絶縁膜9を厚く形成した場合、導電ポスト6を覆ってしまい、導通性を確保できなくなるおそれがある。たとえば、導電ポスト6の高さを10μmで形成し、第一層配線5の膜厚を10μmで形成した場合、第一層間絶縁膜9の厚みは、それらの合計の高さである20μmの1/2倍の10μmに設定すると良い。
周辺部7の周囲8に形成される前記第二層間絶縁膜10は、第一層間絶縁膜9(周辺部7)の外周に接して形成される。第二層間絶縁膜10は周辺部7の外周部分に若干重なるように形成されてもかまわない。その場合、第一層間絶縁膜9と第二層間絶縁膜10の重なる外周部分は、第一層間絶縁膜9(周辺部7)の直径の20%以下の範囲とすることが好ましい。20%を超える場合には、第二層間絶縁膜10形成の際、液滴吐出ノズル110の液滴吐出位置がわずかにずれた場合、吐出された液滴が導電ポスト6の一部を覆ってしまい、導通性を確保できなくなることがある。
第二層間絶縁膜10の厚みは、前記導電ポスト6の高さと第一層配線5の膜厚の合計の値となるように設定する。前記第二層間絶縁膜10の厚みは、前記合計の値よりも多少薄くなってもかまわないが、あまり薄いと第一層配線5が表面に露出するおそれがあり、厚くなりすぎると、導電ポスト6を覆ってしまい、導通性を確保できなくなるおそれがある。たとえば、導電ポスト6の高さを10μmで形成し、第一層配線5の膜厚を10μmで形成した場合、周囲8の高さは、それらの合計の高さである20μmに設定すると良い。
前記第一層間絶縁膜9および第二層間絶縁膜10としては、一般に用いられる絶縁材料を用いることができる。ただし、第一層間絶縁膜9の表面エネルギーは第二層間絶縁膜10の表面エネルギーよりも小さくなくてはならない。すなわち、第一層間絶縁膜9は、第二層間絶縁膜10の構成材料を含む液状材料に対して撥液性を有する材料であることが望ましい。たとえば、第一層間絶縁膜9をエポキシ材料で形成した場合、第二層間絶縁膜10は、エポキシ材料よりも表面エネルギーの大きいポリイミド材料で形成する。
第一層間絶縁膜9の表面エネルギーが、第二層間絶縁膜10の表面エネルギーより小さい場合には、第一層間絶縁膜9に対して第二層間絶縁膜10の濡れ性が低下し、第一層間絶縁膜9からなる周辺部7上に第二層間絶縁膜10を構成する液滴が濡れ広がらない。そのため、第二層間絶縁膜10形成の際、液滴吐出の位置が若干ずれて第一層間絶縁膜9からなる周辺部7に吐出されたとしても、第二層間絶縁膜10の構成材料を含む液滴が周辺部7から周囲8にはじかれて、導電ポスト6を覆うことがない。
前記第一層配線5および第二層配線4の構成材料は、普通に用いられる配線材料のどのようなものを用いてもかまわない。また、前記配線形成方法は、本実施形態に示す液滴吐出法に限られず、スピンコーティング法など他のウエットプロセスあるいは、蒸着法などのドライプロセスを用いて形成してもかまわない。液滴吐出法を用いて、配線形成を行う場合は、金属粒子を含有した溶液を液滴吐出装置IJに備えて、液滴吐出により金属配線を形成する。
以下、本発明の実施形態である多層配線基板1の製造方法について説明する。
図3は、第一層配線5を形成した基板2から前記多層配線基板1を製造するまでの工程の一例を示す工程図であって、第一層配線5を形成した基板(図3(a))に、まず導電ポスト6を形成し(図3(b))、次に第一層間絶縁膜9を形成し(図3(c))、さらに第二層間絶縁膜10を形成したのち(図3(d))、最後に第二層配線4を形成し(図3(e))、前記多層配線基板1を製造する工程を示している。
第一層配線5および導電ポスト6は、導電性インクを液滴吐出することにより形成する。まず、IPA溶液により基板2の洗浄を行った後、前処理として撥インク処理を行う。撥インク処理とは、導電性インクが所定の接触角をなるようにする表面処理のことであり、この処理を行うことにより、導電性インクの位置をより高精度に制御することができる。まず、波長254nmの紫外線を10mW/cmの強度で10分間照射する(紫外線照射洗浄)。次に、この基板2とヘキサデカフルオロ1、1、2、2、テトラヒドロデシルトリエトキシシラン0.1gとを容積2リットルの密閉容器に入れて120℃で2時間保持し、基板上に撥インク性の単分子膜を形成する。一般的に、この単分子膜を形成した基板表面と導電性インクとの接触角は約70度となり、配線を形成するためには大きすぎる角度なので、更に、波長254nmの紫外線を2分間照射する表面処理を行い、接触角を約35°とする。なお、撥インク処理の代わりに受容層を形成してもかまわない。
導電性インクとしては、たとえば、直径10nm程度の金微粒子をトルエン中に分散させた金微粒子分散液(真空冶金社製、商品名「パーフェクトゴールド」)をトルエンで希釈し、粘度を3mPa・sに調整した溶液を用いる。
前記撥インク処理を行った基板2を液滴吐出装置IJにセットし、前記導電性インクのパターン吐出を行った後、ヒーター115により熱風乾燥という工程を行う。そして、吐出→熱風乾燥→吐出→熱風乾燥という工程を必要な回数だけ繰り返し、第一層配線5および導電ポスト6を形成する。
第一層配線5および導電ポスト6を形成した基板2に層間絶縁膜3を形成するプロセスは、第一層間絶縁膜9形成工程(図3(b)から図3(c)に示す工程)と第二層間絶縁膜10形成工程(図3(c)から図3(d)に示す工程)の2つのプロセスにより構成される。
液滴吐出法により第一層間絶縁膜9を形成する場合には、絶縁性インクを用いる。たとえば、市販のエポキシ材料を含む液滴材料を用いる。
図4は、第一層間絶縁膜9形成工程(図3(b)から図3(c)に示す工程)の具体的工程の一例を示す図である。
まず、第一層配線5と導電ポスト6を形成した基板2に、前処理として波長256nmの紫外線を10mW/cmの強度で5分間照射し、基板2の表面及び第一層配線5上を親インク性とする。この処理を行った基板2を、液滴吐出装置IJのステージ107にセットする。
図4(a)は、液滴吐出ヘッド101の吐出ノズル110のY軸方向に、基板2のY軸方向を合わせてセットした概略図である。液滴吐出ヘッド101は長手方向を液滴吐出装置IJのY軸方向に一致させて設定してある。ステージ107および液滴吐出ヘッド101をそれぞれ、X軸およびY軸方向に動かすことによって、基板2上の所望の位置において液滴を吐出することができる。
図4(b)は、液滴吐出ヘッド101およびステージ107を動かして(1回目の走査)、液滴吐出ヘッド101に設けられている吐出ノズル110から、ステージ107上に設置された基板2に液滴を吐出した際の模式図である。この1回目の走査で吐出された液滴には、「1」を付している。この走査で吐出された絶縁性インクは、ベースドットの役割を担う。ベースドットとは、層間絶縁膜3のアンカーの役目を担うものであり、ベースドット以外の絶縁性インクの着弾径よりも若干広い径で吐出する絶縁性インクのことである。前記絶縁性インクを導電ポスト6の周りに相対的に均等な位置関係になるように4点吐出する。絶縁性インクは、親インク性の基板2表面及び配線5に着弾した後はぬれ広がる。また、セルフレベリング効果によって平坦となる。
図4(c)は、2回目の走査により、吐出ノズル110から基板2に液滴を吐出した一例を示す模式図である。前記ベースドット上に絶縁性インクを4点吐出し、円形の絶縁膜(以下、絶縁ドットとよぶ)を形成する。この2回目の走査で吐出された液滴には「2」を付している。
さらに、図4(d)に示すように、前記絶縁ドット間に、絶縁性インクを4点吐出し、次の絶縁ドットを形成する。この3回目の走査で吐出された液滴には「3」を付している。
さらにまた、図4(e)に示すように、前記絶縁ドット間に、絶縁性インクを8点吐出し、次の絶縁ドットを形成する。この4回目の走査で吐出された液滴には「4」を付している。「4」の符号付けた液滴は、「2」および「3」の符号を付けた液滴と周辺部分で重なるように吐出されるので、重なった部分(バルジという)の液滴が吐出されていない部分に広がる。
最後に、この基板2を、ヒーター115により30分間、400℃で熱処理することによって、溶剤の除去とポリイミドの硬化がなされ、図3(c)および図4(f)に示すように、周辺部7に第一層間絶縁膜9が形成される。
第一層間絶縁膜9として必要とされる膜厚は、液滴吐出ノズル110を調整し、液滴吐出量を調整するとともに、液滴吐出位置および間隔、液滴吐出回数を調整して設定する。たとえば、前記第一層間絶縁膜9の形成工程によって形成された第一層間絶縁層の膜厚は6μm程度となる。同条件の形成工程を1回繰り返すと第二層間絶縁層の膜厚12μm程度とすることができ、さらに繰り返すと18μm程度とすることができる。
なお、この導電ポスト6の周辺部7に第一層間絶縁膜9は、導電ポスト6を保護する役目を有するので、液滴吐出量、液滴吐出位置および間隔を高精度に制御して形成する必要がある。
図5は、第二層間絶縁膜10の形成工程(図3(c)から図3(d)に示す工程)の具体的工程の一例を示す図である。
先に述べた工程によって第一層配線5、導電ポスト6および第一層間絶縁膜9を形成した基板2を、第一層間絶縁膜9形成工程と同様に、液滴吐出装置IJのステージ107にセットする。
また、絶縁性インクには、第一層間絶縁膜9に用いた絶縁性インクよりも表面エネルギーの大きい絶縁性インクであるポリイミド材料、たとえば、ポリイミドワニス(デュポン社製、製品名「パイルML」)を溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)で希釈して、粘度が20mPa・sとなるように調整し、これを液滴吐出ヘッド101にセットする。
図5(a)は、液滴吐出ヘッド101に設けられた吐出ノズル110のY軸方向に、前記基板2のY軸方向を合わせてセットした概略図である。
まず、図5(b)に示すように、第二層間絶縁膜10を形成する領域全面に相対的に均等な位置関係になるように24点吐出し、ベースドットとする。この1回目の走査で吐出された液滴には「1」を付している。
次に、図5(c)に示すように、前記ベースドット上に第二層間絶縁膜10を24点吐出し、絶縁ドットを形成する。この2回目の走査で吐出された液滴には「2」を付している。
さらに、図5(d)に示すように、前記絶縁ドット間に、第二層間絶縁膜10を48点吐出し、次の絶縁ドットを形成する。この3回目の走査で吐出された液滴には「3」を付している。
さらにまた、図5(e)で示すように、前記絶縁ドット間に、第二層間絶縁膜10を52点吐出し、次の絶縁ドットを形成する。この4回目の走査で吐出された液滴には「4」を付している。「4」の符号付けた液滴は、「2」および「3」の符号を付けた液滴と周辺部分で重なるように吐出されるので、バルジの液滴が吐出されていない部分に広がる。
最後に、この基板2をヒーター115により30分間、400℃で熱処理することによって、溶剤の除去とポリイミドの硬化がなされ、図3(d)および図5(f)に示すように、第一層間絶縁膜9の周囲8に第二層間絶縁膜10が形成される。
第二層間絶縁膜10形成工程においても、第一層間絶縁膜9形成工程の場合と同様、膜厚を高精度に制御することができるが、第一層間絶縁膜9よりも膜厚を厚くするという条件さえ満たせば、第一層間絶縁膜9形成工程ほど、液滴吐出量、位置および間隔を高精度に制御する必要はなく、逆により効率的に広い面積に第二層間絶縁膜10を形成するかということがより重要となる。一回あたりの液滴吐出量を増やし、また、多数形成された液滴吐出ノズル110を効率的に使うことによって、第二層間絶縁膜10形成工程を効率化し、生産効率を大幅に上げることができる。
再び、図3に戻り、前記第二層間絶縁膜10を形成した基板(図3(d))に、図3(e)に示すように第二層配線4を形成し、多層配線基板1を製造する。第二層配線4の形成方法は、第一層配線5の形成方法と同様の方法を用いる。すなわち、紫外線照射洗浄、フッ化アルキルシランによる撥インク化、紫外線照射による接触角の調整、銀微粒子含有インクのパターン吐出、熱風乾燥という各工程を行う。そして、吐出→熱風乾燥→吐出→熱風乾燥という工程を必要な回数だけ繰り返す。
前記工程を繰り返すことによって、更なる多層化を行うことができる。たとえば、3層配線基板を形成する場合は、前記2層配線基板1の第二層配線4上の所定の場所に導電ポスト6を形成したのち、第一層間絶縁膜9、第二層間絶縁膜10を形成し、第三層配線を形成する。このような工程を必要な回数だけ繰り返すことで、何層でも多層化することができる。
「電子機器」
次に、電子機器の具体例について説明する。
図6(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図6(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は液晶表示部を示している。この携帯電話本体600には、図2に示した多層配線基板1が備えられている。
図6(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図6(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は液晶表示部を示している。この情報処理本体703には、図2に示した多層配線基板1が備えられている。
図6(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図6(c)において、800は時計本体を示し、801は液晶表示部を示している。この時計本体800には、図2に示した多層配線基板1が備えられている。
以下、本発明の実施形態の効果について説明する。
本発明の多層配線基板1の製造方法は、まず高精度に液滴吐出制御をして第一層間絶縁膜9を形成したのち、より精度を落として液滴吐出制御を行って第二層間絶縁膜10を形成することができるので、層間絶縁膜3を1回の液滴吐出で形成する場合のように、全面にわたって高精度で液滴吐出制御を行わなくてはならない場合に比べて、生産効率を上げることができる。
また、本発明の多層配線基板1の製造方法において、第二層間絶縁膜10の液滴吐出工程において、吐出ノズルの制御に乱れが生じ、液滴吐出設定位置より若干ずれて、周辺部7内に液滴が吐出されたとしても、第一層間絶縁膜9の表面エネルギーが第二層間絶縁膜10の表面エネルギーよりも小さいので、第二層間絶縁膜10を形成する液滴が第一層間絶縁膜9上で濡れ広がることがないため、導電ポスト6を第二層間絶縁膜10で覆うことがなく、導電ポスト6と第二層配線4との導通を確保できる。
また、本発明の多層配線基板1の製造方法は、第一層間絶縁膜9の膜厚が第二層間絶縁膜10の膜厚よりも薄く形成する構成なので、第一層間絶縁膜9の形成に必要な液滴吐出回数を減らすことができ、高精度な制御を必要とする第一層間絶縁膜9形成工程を簡便化し、全体として生産効率を向上させることができる。
本発明の多層配線基板1の製造方法によって製造する多層配線基板1は、導電ポスト6の周辺部7を形成する第一層間絶縁膜9の膜厚および形状を高精度に制御した構成なので、多層配線の導電性および配線間の絶縁性を十分確保した基板とすることができる。
本発明の電子機器は、前記多層配線基板1を利用することにより、品質と量産性に優れた電子機器とすることができる。
本発明の実施形態である多層配線基板を作成するために用いた装置の一例を示す図であって、(a)は液滴吐出装置の概略斜視図であり、(b)は液滴吐出ヘッドの概略斜視図である。 本発明の実施形態である多層配線基板の一例を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A’線における断面図である。 本発明の実施形態である多層配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の実施形態である多層配線基板の製造方法における第一層間絶縁膜の形成工程の一例を示す平面模式図である。 本発明の実施形態である多層配線基板の製造方法における第二層間絶縁膜の形成工程の一例を示す平面模式図である。 本発明の実施形態である電子機器を示す斜視図である。
符号の説明
1…多層配線基板、2…基板、3…層間絶縁膜、4…第二層配線(配線層)、5…第一層配線(配線層)、6…導電ポスト、7…周辺部、8…周辺部の周囲、9…第一層間絶縁膜、10…第二層間絶縁膜

Claims (5)

  1. 少なくとも2層の配線層と、前記配線層間に設けられた層間絶縁膜と、前記配線層間を導通させる導体ポストとを有してなる多層配線基板の製造方法であって、前記導体ポストの周辺部に第一層間絶縁膜を液滴吐出法で形成した後、前記周辺部の周囲に第二層間絶縁膜を液滴吐出法で形成することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  2. 前記第一層間絶縁膜の表面エネルギーが前記第二層間絶縁膜の表面エネルギーよりも小さいことを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
  3. 前記第一層間絶縁膜の膜厚が前記第二層間絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
  4. 層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を挟んで絶縁された2層の配線層と、各配線と導通する導体ポストとを少なくとも備えた多層配線基板において、前記層間絶縁膜は前記導体ポストの周辺部に形成された第一層間絶縁膜と、前記第一層間絶縁膜の周囲に形成された第二層間絶縁膜とからなることを特徴とする多層配線基板。
  5. 請求項4に記載の多層配線基板を備えたことを特徴とする電子機器。
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