JP2008170475A - 調光構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光の反射性に優れ、尚且つ可視光透過性にも優れる調光構造体を提供する。
【解決手段】透光性層と、架橋による網目構造を有するポリマー、および、前記網目構造中に保持された液晶液滴を有する屈折率変化層と、が交互に積層されてなる光学機能層を含むことを特徴とする調光構造体。
【選択図】図3

Description

本発明は液晶を用いた調光構造体に係り、より詳細には液晶の白濁を抑制しうる調光構造体とその製造方法に係る。
現在までに、液晶を利用した様々な用途が見いだされてきている。熱、光、磁場または電圧などの外部刺激を加えることにより、光の進行方向を調節する調光構造体もその一つである(特許文献1)。特許文献1に記載の調光構造体は、高分子の層と液晶の層とが交互に積層してなる調光層を含み、液晶層の屈折率を変動させることで、特定の波長の光を強く反射させたり、散乱させたりすることができる。
特開2001−56482号公報
しかしながら、特許文献1に記載の調光構造体は、外部刺激を加えていない時に液晶の層が白濁し易く可視光透過性に劣るため、用途が非常に限定されてしまう。
本発明は、光の反射性に優れ、尚且つ可視光透過性にも優れる調光構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、液晶の層が白濁してしまう原因が、液晶分子の凝集体である液晶液滴が粗大化してしまうことにあることを発見し、さらに、液晶液滴を高分子の架橋構造内に保持することで液晶液滴の粗大化を抑制できることを見いだした。
すなわち本発明は、透光性層と、架橋による網目構造を有するポリマーおよび前記網目構造中に保持された液晶液滴を有する屈折率変化層と、が交互に積層されてなる光学機能層を含むことを特徴とする調光構造体により上述の課題を解決する。
本発明の調光構造体は、光の反射性だけでなく、可視光透過性にも優れる。
本発明の第一は透光性層と、架橋による網目構造を有するポリマーおよび前記網目構造中に保持された液晶液滴を有する屈折率変化層と、が交互に積層されてなる光学機能層を含むことを特徴とする調光構造体である。
本発明の調光構造体は、透明な材料からなる層同士であっても、それぞれの屈折率の差が大きい場合には層同士を重ね合わせた時にこれらの界面で光が散乱または反射し、屈折率差が小さい場合にはこれらを重ね合わせても光を透過させるという自然法則と、液晶は外部刺激を受けている時と受けていない時とで屈折率が変化するという自然法則とを利用したものである。
図1を用いながら詳細を説明すると、外部刺激を受けていない時には屈折率が(i)であり、外部刺激を受けると屈折率が(ii)にまで変化する屈折率変化層Aがあるとする。この屈折率変化層Aに屈折率が(i)付近にある透光性層Bを重ね合わせると、外部刺激を加えていない時には屈折率変化層Aと透光性層Bとの屈折率差が小さくなるため光は透過する。一方、外部刺激を加えている時には屈折率変化層Aと透光性層Bとの屈折率差が大きくなるため光は散乱または反射する。
以下に本発明の調光構造体の構成要素について詳細を記載する。
[屈折率変化層]
従来技術では、上述したように外部刺激を受けていない時に屈折率変化層が白濁してしまうため、どの様な透光性層を選択しても可視光を透過させることができなかった。この問題に対して、本発明の調光構造体に含まれる屈折率変化層は、ポリマーと液晶液滴とを含み、ポリマーが架橋により形成する網目構造中に液晶液滴が保持されているため、液晶液滴同士の融合を防ぎ、液晶液滴の粗大化を抑制することができるため、屈折率変化層の白濁が抑制され、可視光透過性に優れる。
{ポリマー}
屈折率変化層に含まれるポリマーは架橋構造を有しており、架橋による網目構造内に液滴を保持する。前記架橋は物理架橋でも化学架橋でもよいが、好ましくは化学架橋である。化学架橋であると架橋点間の距離を調節し易い。
ポリマーの種類は特に限定されず、液晶液滴の種類などにより、従来公知の光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂を用いることができるが、より好ましくは光硬化性樹脂である。光硬化性樹脂を用いると後述の本発明の調光構造体の好ましい製造方法である干渉露光法を用いた方法を適用し易い。本発明でいう光硬化性樹脂とは、赤外線、可視光線、紫外線、または電子線によって重合されてなる樹脂を指す。より具体的にはポリマーとして、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、またはポリカーボネート系樹脂が好ましく、より好ましくはアクリル系樹脂である。アクリル系樹脂は透明性および価格特性に優れる。
ポリマーの網目構造に含まれる架橋点間の距離は、液晶液滴の直径よりも短いことが好ましく、架橋点間の距離が液晶液滴の直径よりも短いと、液晶液滴同士の融合を防ぎ易く、屈折率変化層の白濁化を抑制し易い。液晶液滴の直径の測定方法および好ましい直径の長さについては後述する。
ポリマーの架橋間分子量は、200〜2000であることが好ましく、より好ましくは200〜350である。架橋間分子量が200以上であると、用いることのできる液晶分子の種類の選択範囲が増加し、2000以下であると、液晶液滴同士の融合を防ぎ易く、屈折率変化層の白濁化を抑制し易い。
ポリマーの架橋密度は0.0005〜0.005mol/cmであることが好ましく、より好ましくは0.003〜0.005mol/cmである。架橋密度は膨潤度により測定することができる。
{液晶液滴}
液晶液滴は液晶分子の凝集体である。液晶液滴を形成する液晶分子は1種だけであってもよいし、2種以上であってもよい。例えば、2種以上の高分子液晶を適宜混合することにより、透光性層の屈折率を調節することもできる。
前記液晶分子としては特に限定されず従来公知の液晶分子を用いることができるが、外部刺激に対する応答性を考慮すると、低分子液晶であることが好ましい。
低分子液晶の基本骨格は、メソゲン基に末端基および側方置換基が付加した構造であるが、前記メソゲン基としては、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ピリミジン環、ジオキサン環、およびピリジン環からなる群より選択される基2〜4個が炭素−炭素結合、エステル結合、アセチレン結合、エタン結合、エチレン結合、またはアゾ結合などで結合されたものが好ましい。末端基または側方置換基としては、シアノ基、フルオロ基、アルキル基、アルケニル基、またはアルコキシ基などが挙げられる。末端基の数は1〜2個が好ましく、側方置換基の数は0〜複数個が好ましい。これらの環および基を有する低分子液晶としては、アゾキシ系、ビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、フェニルエステル系、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル系、フェニルピリジン系、またはフェニルジオキサン系が挙げられる。
液晶分子の種類により、屈折率変化層が熱、光、磁場または電圧といった外部刺激の中で、いずれの外部刺激に対して応答性を有するのかを調節することができる。本発明の屈折率変化層は熱応答性、光応答性、磁場応答性または電圧応答性のいずれを有していてもよいが、より好ましくは電圧応答性を有する。言い換えると、電圧応答性を有する液晶分子を用いることがより好ましい。電圧により調光構造体を駆動することができれば、調光構造体の構成を簡易にすることができる。
電圧応答性を有する低分子液晶として具体的には、下記化学式1に示す4−シアノ−4’−ペンチルビフェニル(5CB)の他、4−シアノ−4’−ヘキシルビフェニル(6CB)、4−ヘキシル−4’−シアノフェニルピリジン、4−ヘキシル−4’−プロピルフェニルシクロヘキサン、4−メチル−4’−プロピルジシクロヘキサン、4−ヘキシル−4’−メトキシジシクロヘキサンなどが挙げられる。
また、液晶は粘性などによりネマチック液晶、スメクチック液晶、またはコレステリック液晶などに分類することも可能であるが本発明ではいずれの液晶も好ましく、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
屈折率変化層に含まれる液晶液滴の直径は、上述のポリマーの網目構造に含まれる架橋点間の距離よりも長いことが好ましい。具体的には、液晶液滴の直径は5〜200nmであることが好ましい。液晶液滴の直径が架橋点間の距離よりも長いと、液晶液滴同士の融合を防ぎ易く、屈折率変化層の白濁化を抑制し易い。液晶液滴の直径は、TEM観察により確認することができる。本発明において、液晶液滴は真球でない場合「直径」は「短径」と読みかえることができる。
また、屈折率変化層に含まれる液晶分子の80体積%以上が前記直径の条件を満たすことが好ましく、より好ましくは95体積%以上であり、さらに好ましくは100体積%である。
屈折率変化層に含まれる液晶液滴の割合は20〜60質量%が好ましく、より好ましくは50〜60質量%である。液晶液滴の割合が20質量%以上であると屈折率変化層の外部刺激に対する応答性が向上する。液晶液滴の割合が60質量%以下であると液晶液滴の粗大化が抑制され易い。
{その他}
本発明の屈折率変化層には、ポリマーおよび液晶分子以外の要素が含まれていてもよく、例えば、有機溶媒、樹脂粒子またはセラミックス粒子などを含むことができる。これらを含むことにより屈折率を調節したり、液晶分子の応答性を調節したりすることができる。
{構造、物性}
屈折率変化層の厚みと屈折率変化層の屈折率との積から導かれる光学厚みにより、反射させられる光の波長が決定されるため、屈折率を一定とした場合、厚みの薄い屈折率変化層ほど短波長側の光を反射させられ、厚みの厚い屈折率変化層ほど長波長側の光を反射させられる。屈折率変化層の厚みについては特に限定されないが、30〜500nmであることが好ましく、より好ましくは80〜400nmである。屈折率変化層の厚みは、TEM観察により測定することができる。
屈折率変化層の積層数は特に限定されず、目的に応じて決定することができる。同じ材質からなる複数の屈折率変化層を用いる場合、同じ厚みを有する層の割合が増える程、特定の波長に対する反射率が向上し、各層の厚みがバラバラになるほど、広範な波長領域に亘り反射することができるようになる。
屈折率変化層を2層以上含む場合、全て同じ厚みであってもよいし、少なくとも1層の屈折率変化層は、他の屈折率変化層とは異なる厚みを有してもよい。
屈折率変化層を3層以上含み、少なくとも1層の屈折率変化層が他の屈折率変化層とは異なる厚みを有する場合、図2Aに例示されるように厚みの異なる屈折率変化層210はそれぞれランダムに配置されてもよいが、好ましくは図2B〜図2Dに例示されるように秩序立てて配置される。図2Bは、屈折率変化層210の厚みが積層方向に次第に増加してゆく例を示す。図2Cは、積層方向の中心に位置する屈折率変化層210’から両端に位置する屈折率変化層210に向って次第に厚みが増加してゆく例を示す。図2Dは、積層方向の中心に位置する屈折率変化層210’から両端に位置する屈折率変化層210に向って次第に厚みが減少してゆく例を示す。図2において符号220は透光性層を示す。ただし、図2は単なる模式図であって各層の厚みや積層数などを限定するものではない。また、図2に示されるように必ずしも最外層が透光性層である必要はなく、一方の最外層が屈折率変化層であってもよいし、双方の最外層が屈折率変化層であってもよい。
外部刺激を印加していない時の屈折率変化層の可視光透過率は60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上である。可視光透過率が60%以上であると視界に優れる。
[透光性層]
{材質}
透光性層の材質は、可視光を透過するものであれば特に限定されず、例えば樹脂またはガラスなどを挙げることができる。
樹脂としては、上述の屈折率変化層に例示したものを好ましく用いることができる。
ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、石英ガラス、または無アルカリガラスなどのガラスが挙げられる。
{その他}
本発明の透光性層には他の要素が含まれていてもよく、例えば、樹脂粒子またはセラミックス粒子などを含むことができる。これらを含むことにより屈折率を調節したり、透光性層の機械的強度を調節したりすることができる。
{構造、物性}
上述の屈折率変化層と同様に、透光性層の厚みと透光性層の屈折率との積から導かれる光学厚みにより、反射させられる光の波長が決定されるため、屈折率を一定とした場合、厚みの薄い透光性層ほど短波長側の光を反射させられ、厚みの厚い透光性層ほど長波長側の光を反射させられる。透光性層の厚みについては特に限定されないが、30〜500nmであることが好ましく、より好ましくは80〜400nmである。透光性層の厚みは、TEM観察により測定することができる。
透光性層の積層数は特に限定されず、目的に応じて決定することができる。同じ材質からなる複数の透光性層を用いる場合、同じ厚みを有する層の割合が増える程、特定の波長に対する反射率が向上し、各層の厚みがバラバラになるほど、広範な波長領域に亘り反射することができるようになる。
透光性層を2層以上含む場合、全て同じ厚みであってもよいし、少なくとも1層の透光性層は、他の透光性層とは異なる厚みを有してもよい。
透光性層を3層以上含み、少なくとも1層の透光性層が他の透光性層とは異なる厚みを有する場合、屈折率変化層と同様に、透光性層はそれぞれランダムに配置されてもよいが、好ましくは、秩序立てて配置されることが好ましい。例えば、透光性層の厚みが積層方向に次第に増加してゆくように配置(図3)してもよい。また他の例としては、積層方向の中心に位置する透光性層から両端に位置する透光性層に向って次第に厚みが増加してゆくように配置してもよい。さらに他の例としては、積層方向の中心に位置する透光性層から両端に位置する透光性層に向って次第に厚みが減少してゆくように配置してもよい。
透光性層の可視光透過率は60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上である。可視光透過率が60%以上であると視界に優れる。
[透明電極]
外部刺激としては電圧、光、磁場または熱などが好ましく挙げられ、特に電圧が好ましいことを上述したが、外部刺激として電圧を選択する場合には、調光構造体に電圧を加えるための透明電極を備えることが好ましい。透明電極を用いる場合、透明電極は上述の屈折率変化層と透光性層とからなる光学機能層の両端面に配置されることが好ましい。
透明電極を形成する材料としては特に限定されず例えばITO(スズドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、SnO、またはZnOなどの従来公知のものを適宜用いることができる。
透明電極の厚みは特に限定されないが、100〜150nmが好ましい。透明電極の厚みが100nm以上であると透明電極を形成し易く、150nm以下であると可視光透過性に優れる。前記厚みの範囲はITOに適用することがより好ましい。
透明電極の可視光透過率は80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。可視光透過率が80%以上であると視界に優れる。
また、透明電極に印加する電圧は直流電圧であってもよいし交流電圧であってもよいが、より好ましくは交流電圧である。交流電圧を用いると低い電圧で液晶を駆動することができる。
[支持基材]
本発明の調光構造体は、さらに支持基材を含んでいてもよい。支持基材は上述の光学機能層、または一対の透明電極に挟持された光学機能層を挟持するように配置することができる。支持基材を用いることにより、上述の光学機能層を保護したり、持ち運びを容易にしたりすることができる。図3に支持基材340を配置した調光構造体の断面概略図を例示する。図3において符号35は光学機能層を示し、符号310は屈折率変化層を示し、符号320は透光性層を示し、符号330は透明電極を示す。ただし、図3は単なる例示であり、各層の積層数、および各層の厚みなどは図3に限定されない。
支持基材の材質としては特に限定されないが、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリメルカプトエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、もしくはポリブタジエン樹脂などの樹脂、または、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、石英ガラス、もしくは無アルカリガラスなどのガラスが挙げられる。
また、基材として柔軟性を有するものを用いてもよいし、柔軟性を有さないものを用いてもよい。基材として柔軟性のあるものを用いた場合、柔軟性を有する調光構造体を得ることもできる。通常、調光構造体を窓などに適用する場合には基板上に直接、透明電極と光学機能層とを形成するが、フィルム状の調光構造体(以下、調光フィルムと記載する)を予め作製しておくことにより、電極を備えた基板に貼り付けたり、電極を備えた基板同士の間にはさみ込んだりするだけで、簡便に調光材料を得ることができる。また、調光フィルムを用いることにより、ドーム状などの複雑な形状の窓などにも簡便に調光機能を備えることができる。
支持基材の可視光透過率は80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。可視光透過率が80%以上であると視界に優れる。
[調光構造体]
本発明の光学機能層は、少なくとも1層の屈折率変化層と、少なくとも1層の透光性層とを含めばよく、本発明の調光構造体に含まれる「屈折率変化層と透光性層とが交互に積層された光学機能層」の概念には、これらの層1層ずつからなる2層構造の光学機能層も含まれる。
本発明の調光構造体は、少なくとも波長380〜780nmの光を反射させられることが好ましい。前記範囲の波長を反射させることにより、調光構造体を非透視性にしたり、光の入射による熱の侵入を抑制したりすることができる。また、本発明の調光構造体の可視光透過率は60%以上が好ましく、より好ましくは70%以上である。
本発明の第二は上述の調光構造体の製造方法である。
上述の調光構造体の製造方法としては、透光性層または屈折率変化層の原材料を溶媒に溶解して、スピンコート法または印刷法などにより一層ずつ積層しながら形成してゆく方法や共押出による方法を用いてもよいが、干渉光を用いて一度に多層構造を形成する干渉露光法を用いることがより好ましい。
上述の特許文献1にあるように、干渉光を照射して光重合性の樹脂を層状に形成する干渉露光法は公知技術であるが、特許文献1の様に干渉光によって、単に透光性の樹脂からなる層と液晶からなる層とを形成するだけでは、上述したように透光性に優れる調光構造体を得ることはできない。この様な問題に対し、本発明では以下に記載の方法により干渉露光法を利用しつつ透光性に優れる調光構造体を製造する。
干渉露光法を用いた調光構造体の好ましい製造方法は図4のAのフローチャートに示すように少なくとも3つの段階からなり、重合性単量体、架橋性単量体、液晶分子、および重合開始剤を含む第1混合液を基材に塗布する段階(I)と、前記第1混合液に干渉光を照射して干渉縞を発生させて前記重合性単量体および前記架橋性単量体の重合を促進することにより、透光性層層と前記第1混合液の層とが交互に形成された第1光学機能層を形成する段階(II)と、前記第1光学機能層に非干渉光または熱を加えて、前記透光性層同士の間に、架橋による網目構造を有するポリマーおよび前記ポリマーに保持された液晶液滴を有する屈折率変化層を形成する段階(III)と、を含む。本発明は、屈折率変化層にポリマーによる架橋構造を形成する工程を含む点、より詳細には、段階(I)で用いられる第1混合液に架橋性単量体を含む点および非干渉光または熱を加える(段階(III))点で、従来の干渉露光法を用いた調光構造体の製造方法と大きく異なる。
[段階(I)]
段階(I)は第1混合液を基材の上に塗布する段階である。第1混合液は少なくとも重合性単量体、架橋性単量体、液晶分子、および重合開始剤を含む。
第1混合液に含まれる重合性単量体としては特に限定されないが、上述の本発明の第一の項に記載した、屈折率変化層のポリマーまたは透光性層の形成材料のモノマーまたはオリゴマーなどが好ましい。例えば、重合性単量体としては単官能(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、より具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、モルホリンアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、もしくはフェノキシジエチレングリコールアクリレートなどの単官能アクリレート化合物;またはメチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、モルホリンメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、もしくはフェノキシジエチレングリコールメタクリレートなどの単官能メタクリレート化合物などが挙げられる。これらの中でより好ましくは、メチルアクリレート、または2−エチルヘキシルアクリレートであり、さらに好ましくはメチルアクリレートである。
第1混合液に含まれる架橋性単量体としては特に限定されないが、上述の本発明の第一の項に記載した、屈折率変化層のポリマーまたは透光性層の形成材料に含まれる架橋構造を形成しうるものが好ましい。例えば、架橋性単量体としては多官能(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、より具体的には、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、グリセロールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、もしくはウレタンアクリレートオリゴマーなどの多官能アクリレート化合物;またはエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレートグリセロールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ウレタンメタクリレートオリゴマーなどの多官能メタクリレート化合物などが挙げられる。これらの中でより好ましくは、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートであり、さらに好ましくはエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、またはテトラエチレングリコールジメタクリレートである。
重合性単量体と架橋性単量体との比は、質量比で90:10〜50:50が好ましく、より好ましくは80:20〜50:50である。そして、重合性単量体として単官能(メタ)アクリル系モノマーを用い、架橋性単量体として多官能(メタ)アクリル系モノマーを用いた場合も(メタ)アクリル系モノマーと、多官能(メタ)アクリル系モノマーとの比は質量比で90:10〜50:50が好ましく、より好ましくは80:20〜50:50である。また、後述の段階(II’)を含む場合、第1混合液に架橋性単量体を含まず、段階(II’)で用いられる第2混合液にのみ架橋性単量体を含んでも良い。
第1混合液に含まれる液晶分子としては上述の本発明の第一の項に記載したとおりである。
第1混合液に含まれる重合開始剤としては、少なくとも段階(I)で照射する干渉光に反応する光重合開始剤が含まれる。
光重合開始剤としては特に限定されず、干渉光の波長、強度、重合性単量体の種類、および架橋性単量体の種類により適宜選択することができるが、例えば、ジケトン系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、またはチオキサンソン系などの光重合開始剤を用いることができる。前記ジケトン系の光重合開始剤としては、9,10−フェナントレンキノン、樟脳キノンなどを挙げることができる。前記アセトフェノン系の光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、またはジメトキシアセトフェノンなどを挙げることができる。前記ベンゾイン系の光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはミヒラーズケトンなどを挙げることができる。前記ベンゾフェノン系の光重合開始剤としては、4−フェニルベンゾフェノンなどを挙げることができる。前記チオキサンソン系の光重合開始剤としては、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、またはイソプロピルチオキサントンなどを用いることができる。
さらに、後述の段階(III)で熱を加える場合には第1混合液中に熱重合開始剤を含んでいてもよいし、段階(III)で非干渉光を加える場合であっても、干渉光用とは別の段階(III)用の光重合開始剤を含んでいてもよい。
熱重合開始剤としては2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどを挙げることができる。
また、第1混合液には、光重合開始助剤、色素増感剤、または溶媒などが含まれていてもよい。
光重合開始助剤を含むことにより、光重合開始剤の効果を向上させることができる。光重合開始助剤としては特に限定されず、ジメチルエタノールアミン、または4−ジメチルアミノ安息香酸などを挙げることができる。
色素増感剤を含むことにより、光重合開始剤の効果を向上させることができる。色素増感剤としては特に限定されず、干渉光の波長、および強度により適宜選択することができるが、例えば、クマリン系色素、ローダミン系色素、オキサジン系色素、カルボシアニン系色素、スチリル系色素、キサンテン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、ポルフィリン系色素、またはアクリジン系色素などを挙げることができる。
溶媒を含むことにより、第1混合液の粘度を調節したり、屈折率変化層の粘度を調節して液晶分子の応答性を調節したりすることができる。溶媒としてはトルエン、アセトン、または酢酸エチルなどが挙げられる。
基材としては、上述の本発明の第一の項に記載した支持基材が好ましく、外部刺激が電圧である場合、片面に透明電極を配置した支持基材を用いてもよい。後者を用いる場合、第1混合液は透明電極と接するように塗布される。
第1混合液を基材に塗布する方法としては特に限定されずディッピング、バーコート、スピンコート、またはスクリーンプリントなどの従来公知の方法を用いることができる。
[段階(II)]
段階(II)は前記第1混合液に干渉光を照射して干渉縞を発生させて透光性層と第1混合液の層とからなる第1光学機能層を形成する段階である。干渉露光法により、二つの層からなる第1光学機能層を作成できる原理について説明すると、干渉光は強度が規則的に変動する光であるため、基材に塗布された第1混合液における干渉光の強度の強い部分では重合性単量体と、架橋性単量体との重合が進行して透光性層が形成され、強度の弱い部分では光重合は殆ど進行せず強度の強い部分に存在していた液晶分子は強度の弱い部分に集まってくる。その結果、強度の強い部分では透光性層が形成され、強度の弱い部分では第1混合液の層が形成される。
干渉光はコヒーレント光を交差させることにより発生させることができる。コヒーレント光としてはArレーザー(λ=488nm、514.5nm)、He−Neレーザー(λ=633nm)、Krレーザー(λ=647nm)、またはチタンサファイアレーザー(λ=780nm付近)などのレーザー光が挙げられる。コヒーレント光の光源としては2つの光源を用いてもよいし、一つの光源を用いてもよい。光源を一つとした場合には、スプリッターを用いて光を分岐させた後、ミラーを用いて分岐した光を交差させることにより干渉光を発生させることができる。また、光源を一つとした場合には、コヒーレント光を反射させて干渉光を発生させることもできる。この場合、基材としてコヒーレント光を反射させるものを用いる。
コヒーレント光の波長、照射角度、または第1混合物の屈折率などにより、強度の強い部分と弱い部分との間隔を調整することができ、その結果、屈折率変化層および透光性層の厚みをそれぞれ調節することができる。ただし、屈折率変化層と透光性層との厚みを異なるようにすることはできるが、干渉露光法により得られる屈折率変化層同士の厚みは全て均一な厚みとなり、透光性層同士の厚みも全て均一な厚みとなる。
また、工程(II)の後に後述の工程(II’)を行う予定がある場合には、第2混合液が浸透し易くなるように干渉光の強度または照射時間を調節することが好ましい。
[段階(III)]
段階(III)は、非干渉光または熱により第1光学機能層の第1混合液の層に含まれる重合性単量体および架橋性単量体の重合を促進し、第1混合液の層を架橋による網目構造を有するポリマーおよび前記ポリマーに保持された液晶液滴を有する屈折率変化層に変化させる段階である。
非干渉光または熱は、第1光学機能層の第1混合液の層にまで届くため、第1光学機能層の第1混合液の層に含まれる重合性単量体および架橋性単量体の重合が促進される。本発明では非干渉光または熱のいずれも好ましいが、より好ましくは非干渉光であり、さらに好ましくは紫外線である。紫外線を用いると設備投資のコスト上昇を抑制できるため好ましい。
非干渉光の照射時間または加熱時間は特に限定されず、用いる重合性単量体の種類、架橋性単量体の種類または重合開始剤の種類等により適宜決定されるが、好ましくは5〜10分である。
また、段階(III)では、透光性層の架橋密度を増加させることもできる。
[段階(II’)]
また、図4のBのフローチャートに示すように、前記段階(II)と前記段階(III)との間に下記工程(II’)を加えることにより屈折率変化層または透光性層の厚みを増加させることができる。段階(II’)は、段階(II)で得られた第1光学機能層の一方の端面または両面から、架橋性単量体と溶媒とを含む第2混合液を浸透させる段階である。
第2混合液に含まれる架橋性単量体としては上述の第1混合液の項に記載したものを用いることができる。
第2混合液に含まれる溶媒としては、透光性層を溶解するものでなければ特に限定されず、上述の第1混合液の項に記載したものなどが挙げられる。
第2混合液には上述の重合性単量体、段階(III)用の熱重合開始剤、段階(III)用の光重合開始剤、上述の光重合開始助剤、または上述の色素増感剤などを含んでいてもよい。そして、前記第1混合液に、上述の段階(III)用の熱重合開始剤または段階(III)用の光重合開始剤を含まず、第2混合液のみに含んでもよい。
第2混合液を浸透させる方法としては、第2混合液に第1光学機能層の一部を浸漬させる方法、または第1光学機能層の端面に第2混合液を含浸した布を接触させる方法、または第1光学機能層の端面に第2混合液を塗付する方法などが挙げられる。
さらに、前記第2混合液を浸透させる時間を調節することにより、屈折率変化層または透光性層の厚みを段階的に増減させることもできる。例えば、第1光学機能層の一方の端面から前記第2混合液を浸透させて、適切な頃合で浸透を中止すると前記第2混合液を浸透させた側から一方の側に向って前記第2混合液の含浸量を減らすことができるため、同方向に向かって屈折率変化層または透光性層の厚みを段階的に減らすことができる。光学機能層の両面から前記第2混合液を浸透させた場合も同様であり、両端面から中心に向って屈折率変化層または透光性層の厚みを段階的に減らすことができる。
屈折率変化層の厚みを調節するか、透光性層の厚みを調節するかは浸透させる架橋性単量体の種類により選択することができる。例えば、第1混合液との親和性よりも透光性層との親和性が高い架橋性単量体を用いた場合、透光性層の厚みを増加させることができ、透光性層との親和性よりも第1混合液との親和性が高い架橋性単量体を用いた場合、屈折率変化層の厚みを増加させることができ、各層両方と親和性の高い架橋性単量体を用いた場合、各層の厚みを増加させることができる。
上述したように、図4のCのフローチャートに示すように、段階(I)で用いられる第1混合液に架橋性単量体を含まず、段階(II’)で用いられる第2混合液にのみ架橋性単量体を含んでもよい。
本発明の第三は上述の調光構造体または上述の方法により作製された調光構造体の用途である。
本発明の調光構造体は、様々な用途に用いることができるが、好ましくは車両に含まれる部品として用いられる。例えば、可視光の透過と非透過との切り替えを行うことができることから、車両用のグレージング材として適用することができる。この場合、運転中には窓を可視光透過性にし、プライバシーを保護したい時や車室の温度上昇を抑制したい時などには窓を可視光非透過性にするという利用方法が挙げられる。本発明を車両用グレージング材として用いる場合、適用されうる窓としては、フロントガラス、サンルーフ、ウィンドシールド、リアガラス、フロントサイドガラス、またはリアサイドガラスなどが挙げられる。
車両用のグレージング材以外の用途としては、カーナビ装置のディスプレイ、車内用テレビのディスプレイ、または建造物の窓などが挙げられる。
本発明の第四は上述の調光構造体、上述の方法により作製された調光構造体、または上述の車両用グレージング材を含む車両である。
本発明の調光構造体は可視光透過性に優れるため、本発明の調光構造体または車両用グレージング材を含む車両は信頼性に優れる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
[段階(I)]
重合性単量体(単官能(メタ)アクリル系モノマー)として下記化学式7に示すメチルアクリレート(MA、東京化成工業株式会社製)を用意し、架橋性単量体(多官能(メタ)アクリル系モノマー)として下記化学式8に示すエチレングリコールジメタクリレート(EGD、新中村化学工業株式会社製)用意した。これらを質量比でMA:EGD=9:1となるように混合し、MA−EGD混合物を得た。
電圧応答性を有する液晶分子として下記化学式9に示す4−シアノ−4’−ペンチルビフェニル(5CB、東京化成工業株式会社製)を用意した。段階(I)用の光重合開始剤としてビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(イルガキュア784、チバ スペシャリティ ケミカルズ社製)を用意した。段階(III)用の光重合開始剤としてベンゾイン(東京化成工業株式会社製)を用意した。
MA−EGD混合物、液晶分子、段階(I)用の光重合開始剤、および段階(III)用の光重合開始剤を混合し、第1混合液を作製した。第1混合液に含まれるMA−EGD混合物と液晶分子との質量比は6:4であった。また、段階(I)用の光重合開始剤はMA−EGD混合物と液晶分子との総量に対して5質量%となるように添加され、段階(III)用の光重合開始剤はMA−EGD混合物と液晶分子との総量に対して2質量%となるように添加された。
ガラス基板上にアプリケーターを用いて第1混合液を塗布した。
[段階(II)]
第1混合液に、干渉光としてArレーザー(波長488nm)をエキスパンダーおよびコリメーターを介して0.2Wで4分間照射することで、ガラス基板上に透光性層層と前記第1混合液の層とが交互に形成された第1光学機能層を形成した。
[段階(III)]
高圧水銀灯を用いて第1光学機能層に100Wで4分間紫外線を照射した後、減圧下で乾燥し、透光性層と屈折率変化層とからなる光学機能層を得た。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
[液晶液滴の直径、架橋密度、架橋間分子量の測定]
TEMにより液晶液滴の直径を調べたところ、液晶液滴の直径は20〜50nmであった。
膨潤度により屈折率変化層の網目構造の架橋密度を調べたところ、0.003〜0.005mol/cm3であった。
架橋密度により屈折率変化層に含まれるポリマーの架橋間分子量を調べたところ、架橋間分子量は200〜350であった。
片面にITO膜を形成したガラス基板を2枚用意し、ITO膜が前記光学機能層と接するように、ガラス基板で光学機能層を挟持し、調光構造体を得た。
[可視光透過率、可視光反射率の測定]
得られた調光構造体に電圧を印加しない状態で、分光光度計(日立製作所社製、型番:U4000)を用いて調光構造体の可視光透過率(波長380〜780nm)を測定した。
次に、調光構造体に120Vの電圧を印加した状態で、変角分光分析装置(大塚電子社製)を用いて調光構造体の可視光反射率を測定した。可視光反射率はJIS−R3106に従い、入射角5度の正反射率を測定し、視感度(可視光反射域:380〜780nm)で補正をした。これらの結果を下記表1に示す。
(実施例2)
段階(II)と段階(III)との間に下記段階(II’)を追加したこと以外は実施例1と同様にして調光構造体を作製した。
[段階(II’)]
MAとEGDとを質量比9:1で含むMA−EGD混合物およびトルエンを混合したものを用意し、第2混合液とした。トルエンはMA−EGD混合物に対して10質量%となるように添加された。
段階(II)で得られた第1光学機能層の片面に第2混合液を塗布し、30秒間第2混合液を浸透させた。次に、第1光学機能層の片面に残留していた第2混合液を拭き取り、第2混合液の浸透を中断した後、段階(III)へと進んだ。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは第2混合液を塗布した側から次第に薄くなっており、最も厚い部分の厚さが150nmであり、最も薄い部分の厚さが80nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表1に示す。
(実施例3)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物のMAとEGDとの質量比を8:2に変えたこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表1に示す。
(実施例4)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物のMAとEGDとの質量比を7:3に変えたこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表1に示す。
(実施例5)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物のMAとEGDとの質量比を6:4に変えたこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表1に示す。
(実施例6)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物のMAとEGDとの質量比を5:5に変えたこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表1に示す。
(実施例7)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物を、MAと下記化学式10に示すポリエチレングリコールジメタクリレート(PGD、新中村化学工業株式会社製)とを混合したMA−PGD混合物(質量比でMA:PGD=9:1)に変えたこと、および、実施例2に示す段階(II’)を追加したこと以外は実施例1と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表2に示す。
(実施例8)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−PGD混合物のMAとPGDとの質量比を8:2に変えたこと以外は実施例7と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表2に示す。
(実施例9)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−PGD混合物のMAとPGDとの質量比を7:3に変えたこと以外は実施例7と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表2に示す。
(実施例10)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−PGD混合物のMAとPGDとの質量比を6:4に変えたこと以外は実施例7と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表2に示す。
(実施例11)
第1混合液および第2混合液に含まれる重合性単量体のMAとPGDとの質量比を5:5に変えたこと以外は実施例7と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表2に示す。
(実施例12)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物を、MAと下記化学式11に示すジエチレングリコールジメタクリレート(DGD、新中村化学工業株式会社製)とを混合したMA−DGD混合物(質量比でMA:DGD=9:1)に変えたこと、および、実施例2に示す段階(II’)を追加したこと以外は実施例1と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表3に示す。
(実施例13)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−DGD混合物のMAとDGDとの質量比を8:2に変えたこと以外は実施例12と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表3に示す。
(実施例14)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−DGD混合物のMAとDGDとの質量比を7:3に変えたこと以外は実施例12と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表3に示す。
(実施例15)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−DGD混合物のMAとDGDとの質量比を6:4に変えたこと以外は実施例12と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表3に示す。
(実施例16)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−DGD混合物のMAとDGDとの質量比を5:5に変えたこと以外は実施例12と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表3に示す。
(実施例17)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物を、MAと下記化学式12に示すトリエチレングリコールジメタクリレート(TD、新中村化学工業株式会社製)とを混合したMA−TD混合物(質量比でMA:TD=9:1)に変えたこと、および、実施例2に示す段階(II’)を追加したこと以外は実施例1と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表4に示す。
(実施例18)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TD混合物のMAとTDとの質量比を8:2に変えたこと以外は実施例17と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表4に示す。
(実施例19)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TD混合物のMAとTDとの質量比を7:3に変えたこと以外は実施例17と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表4に示す。
(実施例20)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TD混合物のMAとTDとの質量比を6:4に変えたこと以外は実施例17と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表4に示す。
(実施例21)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TD混合物のMAとTDとの質量比を5:5に変えたこと以外は実施例17と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表4に示す。
(実施例22)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物を、MAと下記化学式13に示すテトラエチレングリコールジメタクリレート(TGD、新中村化学工業株式会社製)とを混合したMA−TGD混合物(質量比でMA:TGD=9:1)に変えたこと、および、実施例2に示す段階(II’)を追加したこと以外は実施例1と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表5に示す。
(実施例23)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TGD混合物のMAとTGDとの質量比を8:2に変えたこと以外は実施例22と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表5に示す。
(実施例24)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TGD混合物のMAとTGDとの質量比を7:3に変えたこと以外は実施例22と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表5に示す。
(実施例25)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TGD混合物のMAとTGDとの質量比を6:4に変えたこと以外は実施例22と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表5に示す。
(実施例26)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TGD混合物のMAとTGDとの質量比を5:5に変えたこと以外は実施例22と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表5に示す。
(比較例1)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TGD混合物をMAのみに変えたこと以外は実施例1と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層は、ゲル状の半固形で、目視で白濁していることが確認でき、TEM観察のために試験片を切断することは困難であった。透光性層と屈折率変化層の形成が不明確であり、液晶の粗大凝集が可視光線波長より大きくできていたと推定される。
実施例1と同様にして可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表6に示す。
(比較例2)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−TGD混合物をMAのみに変えたこと以外は実施例2と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層は、ゲル状の半固形で目視で白濁しており、TEM観察に試験片を切断は困難であった。透光性層と屈折率変化層の形成が不明確であり、液晶の粗大凝集が可視光線波長より大きくできていたと推定される。
実施例1と同様にして可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表6に示す。
(実施例27)
[段階(I’)]
重合性単量体(単官能(メタ)アクリル系モノマー)としてMAを用意し、液晶分子として下記5CBを用意した。段階(I’)用の光重合開始剤としてイルガキュアを用意した。段階(III)用の光重合開始剤としてベンゾインを用意した。
重合性単量体、液晶分子、段階(I)用の光重合開始剤、および段階(III)用の光重合開始剤を混合し、第1混合液を作製した。第1混合液に含まれる重合性単量体と液晶分子との質量比は54:40であった。また、段階(I)用の光重合開始剤は重合性単量体と液晶分子との総量に対して5質量%となるように添加され、段階(III)用の光重合開始剤は重合性単量体と液晶分子との総量に対して2質量%となるように添加された。
ガラス基板上にアプリケーターを用いて第1混合液を塗布した。
[段階(II)]
第1混合液に、Arレーザー(波長488nm)をエキスパンダーおよびコリメーターを介して0.2Wで4分間照射することで、ガラス基板上に透光性層層と前記第1混合液の層とが交互に形成された第1光学機能層を形成した。
[段階(II’)]
EGD、上述の第1混合液およびトルエンを混合したものを用意し、第2混合液とした。EGDと第1混合液との割合は質量比で54:6であった。また、トルエンはEGDと第1混合液との総量に対して10質量%となるように添加された。段階(I’)および段階(II’)から、光学機能層を得るために用いられたMAとEGDとの質量比は90:10となった。
段階(II)で得られた第1光学機能層の片面に第2混合液を塗布し、30秒間第2混合液を浸透させた。次に、第1光学機能層の片面に残留していた第2混合液を拭き取り、第2混合液の浸透を中断した後、段階(III)へと進んだ。
[段階(III)]
高圧水銀灯を用いて第1光学機能層に100Wで4分間紫外線を照射した後、減圧下で乾燥し、透光性層と屈折率変化層とからなる光学機能層を得た。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは第2混合液を塗布した側から次第に薄くなっており、最も厚い部分の厚さが150nmであり、最も薄い部分の厚さが80nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表7に示す。
(実施例28)
第1混合液に含まれるMAと液晶分子との質量比を48:40に変えたこと、および第2混合液に含まれるEGDと第1混合液との質量比を54:6に変えたこと以外は実施例27と同様にして調光構造体を作製した。段階(I’)および段階(II’)から、光学機能層を得るために用いられたMAとEGDとの質量比は80:20となった。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表7に示す。
(実施例29)
第1混合液に含まれるMAと液晶分子との質量比を42:40に変えたこと、および第2混合液に含まれるEGDと第1混合液との質量比を42:18に変えたこと以外は実施例27と同様にして調光構造体を作製した。段階(I’)および段階(II’)から、光学機能層を得るために用いられたMAとEGDとの質量比は70:30となった。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表7に示す。
(実施例30)
第1混合液に含まれるMAと液晶分子との質量比を36:40に変えたこと、および第2混合液に含まれるEGDと第1混合液との質量比を36:24に変えたこと以外は実施例27と同様にして調光構造体を作製した。段階(I’)および段階(II’)から、光学機能層を得るために用いられたMAとEGDとの質量比は60:40となった。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表7に示す。
(実施例31)
第1混合液に含まれるMAと液晶分子との質量比を30:40に変えたこと、および第2混合液に含まれるEGDと第1混合液との質量比を30:30に変えたこと以外は実施例27と同様にして調光構造体を作製した。段階(I’)および段階(II’)から、光学機能層を得るために用いられたMAとEGDとの質量比は50:50となった。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表7に示す。
(比較例3)
第2混合液にTGDを含まなかったこと以外は実施例27と同様にして調光構造体を作製した。 得られた光学機能層は、ゲル状の半固形で、目視で白濁していることが確認でき、TEM観察のために試験片を切断することは困難であった。透光性層と屈折率変化層の形成が不明確であり、液晶の粗大凝集が可視光線波長より大きくできていたと推定される。
実施例1と同様にして可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表8に示す。
上記結果から、実施例と比較例とを比べるといずれも実施例の方が可視光透過率に優れていることがわかる。これは、比較例が架橋性単量体を用いていないのに対し、実施例ではいずれも架橋性単量体を用いたため、液晶液滴の粗大化が抑制されて、屈折率変化層の白濁化が抑制されたものと考えられる。
(実施例32)
4−シアノ−4’−ペンチルビフェニル(5CB)に対して、4−シアノ−4’−ヘキシルビフェニル(6CB)を50:50で混合して使用したこと以外は、実施例2と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表9に示す。
(実施例33)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物のMAとEGDとの質量比を7:3に変えたこと以外は実施例32と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表9に示す。
(実施例34)
第1混合液および第2混合液に含まれるMA−EGD混合物のMAとEGDとの質量比を5:5に変えたこと以外は実施例32と同様にして調光構造体を作製した。
得られた光学機能層をTEMで観察したところ、両端の層が透光性層であり、屈折率変化層の厚さは80nmであり、透光性層の厚さは80〜150nmであった。また、積層数は各層の合計積層数が61であり、透光性層が31層、屈折率変化層が30層であった。
実施例1と同様にして液晶液滴の直径、架橋間分子量、可視光透過率、および可視光反射率を測定した結果を下記表9に示す。
屈折率差からみた本発明の調光構造体の仕組みを示す概略図である。 本発明の調光構造体において、屈折率変化層210の厚みを変化させた際の変化のパターンを示す断面概略図である。 本発明の調光構造体において、屈折率変化層210の厚みを変化させた際の変化のパターンを示す断面概略図である。 本発明の調光構造体において、屈折率変化層210の厚みを変化させた際の変化のパターンを示す断面概略図である。 本発明の調光構造体において、屈折率変化層210の厚みを変化させた際の変化のパターンを示す断面概略図である。 光学機能層、透明電極および支持基材からなる本発明の調光構造体を例示するための断面概略図である。 本発明の好ましい製造方法を示すフローチャートである。
符号の説明
35 光学機能層、
210 屈折率変化層、
210’ 積層方向の中心に位置する屈折率変化層、
220 透光性層、
310 屈折率変化層、
320 透光性層、
330 透明電極、
340 支持基材。

Claims (18)

  1. 透光性層と、
    架橋による網目構造を有するポリマー、および、前記網目構造中に保持された液晶液滴を有する屈折率変化層と、が交互に積層されてなる光学機能層を含むことを特徴とする調光構造体。
  2. 前記液晶液滴の直径よりも、
    前記網目構造に含まれる架橋点間の距離の方が短いことを特徴とする請求項1に記載の調光構造体。
  3. 前記液晶液滴の直径は5〜200nmであることを特徴とする請求項2に記載の調光構造体。
  4. 前記ポリマーにおける架橋間分子量は、200〜2000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調光構造体。
  5. 前記架橋間分子量は200〜350であることを特徴とする請求項4に記載の調光構造体。
  6. 前記屈折率変化層または前記透光性層を2層以上含み、
    前記屈折率変化層および前記透光性層の少なくとも一方の層の厚さは、積層方向に向かって次第に厚くなっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の調光構造体。
  7. 前記屈折率変化層または前記透光性層の厚さは、30〜500nmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調光構造体。
  8. 前記液晶液滴は2種以上の液晶分子を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の調光構造体。
  9. 前記液晶液滴に含まれる液晶分子は電圧応答性を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の調光構造体。
  10. 前記光学機能層の両端に配置されるように、さらに一対の透明電極を含むことを特徴とする請求項9に記載の調光構造体。
  11. 重合性単量体、架橋性単量体、液晶分子、および重合開始剤を含む第1混合液を基材に塗布する段階(I)または重合性単量体、液晶分子、および重合開始剤を含む第1混合液を基材に塗布する段階(I’)と、
    前記第1混合液に干渉光を照射して干渉縞を発生させて前記重合性単量体および前記架橋性単量体の重合を促進することにより、透光性層層と前記第1混合液の層とが交互に形成された第1光学機能層を形成する段階(II)と、
    前記第1光学機能層に非干渉光または熱を加えて、前記透光性層同士の間に、架橋による網目構造を有するポリマーおよび前記ポリマーに保持された液晶液滴とを有する屈折率変化層を形成する段階(III)と、
    を含むことを特徴とする調光構造体の製造方法。
  12. 前記段階(II)と前記段階(III)との間に、
    前記第1光学機能層の一方の端面または両面から、架橋性単量体と溶媒とを含む第2混合液を浸透させる段階(II’)をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記段階(II’)において、前記第1光学機能層の一方の端面から前記第2混合液を浸透させ、
    前記第2混合液を浸透させた端面から他方の端面に向って、前記第2混合液の含有量が減少している状態で、前記段階(III)を行うことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記重合性単量体は、単官能(メタ)アクリル系モノマーであり、
    前記架橋性単量体は、多官能(メタ)アクリル系モノマーであることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 前記単官能(メタ)アクリル系モノマーと、前記多官能(メタ)アクリル系モノマーとの割合は、重量比で90:10〜50:50であることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記単官能(メタ)アクリル系モノマーと、前記多官能(メタ)アクリル系モノマーとの割合は、重量比で80:20〜50:50であることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
  17. 請求項1〜10のいずれかに記載の調光構造体、または
    請求項11〜16のいずれかに記載の方法により製造された調光構造体
    を含むことを特徴とする車両用グレージング材。
  18. 請求項1〜10のいずれかに記載の調光構造体、
    請求項11〜16のいずれかに記載の方法により製造された調光構造体、または
    請求項17に記載のグレージング材
    を含むことを特徴とする車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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