JP2008164695A - 反射鏡及び光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射層の基板への密着性を高めることができる。
【解決手段】透過性を有する基板1と、基板1に対向して備えられた反射層3と、基板1と反射層3との間に備えられ、透過性を有し、基板1よりもぬれ接触角の値が小さい中間層2とを含むことを特徴とする反射鏡。
【選択図】図1

Description

この発明は反射鏡及びそれを備えた光学機器(例えばカメラ等)に関する。
従来の反射鏡として、基板とこの基板上に設けられた反射層とを備えた裏面反射鏡が知られている(下記特許文献1参照)。
その反射層は銀を主成分とし、金を含有する合金反射層である。したがって、反射層の基板への密着性は高い。
特開平11−109114号公報
ところが、上述のように反射層に金を混ぜたために、反射層に色がつき、光の反射率が低下する。
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は反射層の基板への密着性を高めることができる反射鏡及び光学機器を提供することである。
前述の課題を解決するため請求項1の発明の反射鏡は、透過性を有する基板と、前記基板に対向して備えられた反射層と、前記基板と前記反射層との間に備えられ、透過性を有し、前記基板よりもぬれ接触角の値が小さい中間層とを含むことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の反射鏡において、前記中間層がSiCN層であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の反射鏡において、前記中間層がTiO層であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の反射鏡において、前記中間層のぬれ接触角の値が20°未満であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項2記載の反射鏡において、前記SiCN層がCVD法によって形成されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5記載の反射鏡において、前記CVD法がホットワイヤCVD法であることを特徴とする。
請求項7の発明の光学機器は、請求項1〜6のいずれか1項記載の反射鏡を備えていることを特徴とする。
この発明によれば、反射層の基板への密着性を高めることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施形態に係る裏面反射鏡の断面を示す概念図である。
この裏面反射鏡(反射鏡)は基板1とSiCN層(中間層)2と反射鏡3とを備えている。
基板1は透過性を有する。基板1の材料は例えばガラスである。ガラス以外の基板1の材料としては、例えば、アクリル、テフロン(登録商標)、ポリエステル等の樹脂がある。
SiCN(炭窒化ケイ素)層2は基板1の一方の面1aに例えば後述のホットワイヤCVD法(SiCN層2の形成方法であってシラザンガスを原料に用いる化学蒸着法)で形成される。SiCN層2は透過性を有し、その厚さは例えば10〜100nmであることが好ましい。10nm以上にすることによりむらなく形成することができ、100nm以下にすることにより成膜時間を短くできるからである。SiCN層2のぬれ接触角の値は約10°であり、ガラスのぬれ接触角(例えば20°〜30°)よりも小さい。
ぬれ接触角とは水分などをはじく性質に関連するものであり、ぬれ接触角が大きくなると水分などをはじきやすい(ぬれ接触角が小さくなると、CVDなどによる薄膜の特性が向上する。)。
反射層3はSiCN層2上に形成されている。反射層3は例えば銀を主成分とする金属合金層である。反射層3の厚さは例えば50〜300nmであることが好ましい。50nm以上とすることで十分な反射特性が得られるとともに300nm以下とすることでSiCN層2が付きやすくなり成膜を良好に行うことができるからである。反射層3の材料としては銀の他に例えばアルミニュウム等がある。反射層3は基板1を通して入射した光を反射する。
図2は基板上にSiCN層2を形成するためのCVD装置の断面を示す概念図である。
このCVD装置はハウジング4内には基板ホルダ5、シャッタ6、電熱線7、ガス流入シャワーヘッド8等が収容されている。ハウジング4にはガス流入口4a、排気口4bが形成されている。ガス流入口4aを通じてハウジング4内に原料ガスが吸入される。原料ガスはシラザンガス、又はシラザンガスとアンモニアガスのような窒素を含有するガスとの混合ガスであり、必要に応じて水素ガスが加えられる。シラザンとしてはヘキサメチルシラザン(HMDS)が適している。
基板ホルダ5はハウジング4の上部に配置されている。基板ホルダ5は基板1を保持する機能を有している。
ガス流入シャワーヘッド8はハウジング4の下部に配置されている。ガス流入シャワーヘッド8は円筒状の構造体である。ガス流入シャワーヘッド8の下面部の中央にはガス流入口4aに通じる孔8aが形成されている。ガス流入シャワーヘッド8の上面部にはガス流入口4aから流入したガスをハウジング4内へ送り出す多数の孔8bが形成されている。
電熱線7は基板ホルダ5とガス流入シャワーヘッド8との間に配置されている。電熱線7は触媒体として用いられ、例えば三角波状のタングステン線などが用いられる。
シャッタ6は基板ホルダ5と電熱線7との間に配置されている。シャッタ6は例えば板体である。図示しないシャッタ駆動装置によって、シャッタ6を、基板ホルダ5と電熱線7との間のスペースに挿入したり、そのスペースから外したりすることができる。
基板ホルダ5の近傍であって、ハウジング4の外部には、基板ホルダ5に保持された基板を加熱するためのヒータ9が配置されている。
ガス流入口4aは図示しないガス供給源に接続され、排気口4bは図示しない真空ポンプに接続される。
このCVD装置を用いて基板1の一方の面1aにSiCN層2を形成するには、まず、真空ポンプを作動させて、ハウジング4内を所定の圧力まで減圧する。
次に、ガス流入口4aから原料ガスをハウジング4内に所定の流量供給するとともに、基板ホルダ5に保持された基板1をヒータ9で所定温度(例えば100℃前後)に加熱し、電熱線7を所定温度(例えば1600℃)に加熱する。
ガス流入口4aから流入した原料ガスは一旦ガス流入シャワーヘッド8に入り、ガス流入シャワーヘッド8の上面部全体にほぼ均一に点在する複数の孔を通じてハウジング4内に送り込まれる。
その後、ハウジング4内で原料ガスと所定温度に過熱された電熱線7との接触分解反応が起こる。その反応が安定した時点でシャッタ6を開放する。接触分解反応によって生成された分解種が基板1の一方の面1aに堆積して、SiCN層2が形成される。上述のようにSiCN層2のぬれ接触角の値は小さいので、基板1の一方の面1aの濡れ性が高まる。
SiCN層2を形成した後、基板1の一方の面1aに通常のCVD法で反射層3を形成するとき、SiCN層2によって基板1の一方の面1aの濡れ性が高くなっているので、反射層3の基板1への高い密着性が得られる。また、高い密着性が得られるので、温度サイクルで膨張・収縮することによる剥れを低減し得るので、耐食性も向上する。
また、SiCN層2は透過性を有するので、裏面反射鏡としての機能は損なわれない。
この実施形態によれば、反射層3の基板1への密着性を高めることができ、剥がれにくくなるとともに、反射層3の材料として金を混ぜないため、反射層3に色がつかず、光の反射率の低下を防ぐことができる。また、反射層3の材料として金を用いないため、製造コストの低減を図ることができる。
なお、上述の実施形態では透過性を有する中間層の一例としてSiCN層2を挙げたが、SiCN層2以外に例えばTiO層がある。TiO層のぬれ接触角の値は5°未満である。
また、上述の実施形態ではSiCN層2をホットワイヤCVD法で形成したが、中間層の形成方法はこの方法に限定されるものでなく、CVD法以外の方法で形成してもよい。
なお、上述の実施形態の裏面反射鏡は、例えば、カメラ等の光学機器のミラー、主にペンタプリズムの反射部として使用できる。
図1はこの発明の一実施形態に係る裏面反射鏡の断面を示す概念図である。 図2は基板上にSiCN層を形成するためのCVD装置の断面を示す概念図である。
符号の説明
1:基板、2:SiCN層(中間層)、3:反射層、4:ハウジング、5:基板ホルダ、6:シャッタ、7:電熱線、8:ガス流入シャワーヘッド。

Claims (7)

  1. 透過性を有する基板と、
    前記基板に対向して備えられた反射層と、
    前記基板と前記反射層との間に備えられ、透過性を有し、前記基板よりもぬれ接触角の値が小さい中間層と
    を含むことを特徴とする反射鏡。
  2. 前記中間層がSiCN層であることを特徴とする請求項1記載の反射鏡。
  3. 前記中間層がTiO層であることを特徴とする請求項1記載の反射鏡。
  4. 前記中間層のぬれ接触角の値が20°未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の反射鏡。
  5. 前記SiCN層がCVD法によって形成されていることを特徴とする請求項2記載の反射鏡。
  6. 前記CVD法がホットワイヤCVD法であることを特徴とする請求項5記載の反射鏡。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の反射鏡を備えていることを特徴とする光学機器。
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