JP2008157403A - 軸受冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸を支持する転がり軸受の内輪の内方に冷却流路を設けて冷却流体を流す軸受冷却装置において、内輪の冷却性能を高めることにある。
【解決手段】冷却流路5に冷却流体を供給する噴出口7を設け、噴出口7を、冷却流路5に対して傾斜させて接続することにより、冷却流体が形成する噴流にせん断成分が付与され、冷却流路5内で渦が誘発されて乱流が促進される結果、噴流と冷却流路の内壁間の対流熱伝達の効率が高まるようにした。
【選択図】図1

Description

この発明は、軸を支持する転がり軸受の内輪の内方に冷却流路を備えた軸受冷却装置に関する。
一般に、軸が回転すると、内輪が軸に嵌合された転がり軸受は、転動体と内外の軌道輪の間で摩擦熱を生じ、転動体、内輪、外輪の順で高い温度分布を示す。内輪側が外輪に比して高温になるため、内輪の熱膨張変位が外輪の熱膨張変位より大きくなり、内外輪間のすきまが減少して転がり軸受の予圧が増大し、焼付きを招く恐れがある。このため、従来から、内輪の内方に冷却流路を設け、その冷却流路に冷却流体を流すことにより、内外輪間の温度差を低減させている。
上記の冷却流路は、冷却効率を考慮し、軸を構成する部材のうち、内輪を嵌合する部材、例えば、回転力を受ける軸本体部材を中空軸としてその中空部を利用したもの(例えば、特許文献1参照)、軸本体部材の外周面に嵌合されたスリーブに形成したもの(例えば、特許文献2参照)がある。
また、内輪の内径面に溝を形成し、軸に嵌合された状態で冷却流路が形成されるようにしたものもある。
特許第2541700号公報 特開平9−317778号公報
しかしながら、内輪の内方を通る冷却流路の総延長は、限界がある。転がり軸受のすきま管理は、その制限内で得られる内輪冷却性能から上記内輪の焼付き防止を考慮して設定されている。このため、転がり軸受の高速運転や高剛性化に限界がある。
そこで、この発明の課題は、軸を支持する転がり軸受の内輪の内方に冷却流路を設け、前記軸が回転する状態で前記冷却流路に冷却流体を流すようにした軸受冷却装置において、内輪の冷却性能を高めることにある。
上記の課題を達成するため、この発明に係る軸受冷却装置は、前記冷却流路に前記冷却流体を供給する噴出口を設け、前記噴出口を、前記冷却流路に対して傾斜させて接続したことを特徴とするものである。
具体的には、噴出口と冷却流路の傾斜接続により、冷却流体が形成する噴流にせん断成分が付与されるので、冷却流路内で渦が誘発されて乱流が促進され、また、境界層の撹乱も促進される。
その結果、従来、冷却流路と供給路は真直ぐ接続されており、冷却流路内の流れが層流になっていたところ、この発明は、噴流と冷却流路の内壁間の対流熱伝達の効率が高まり、ひいては内輪の冷却性能が高まる。したがって、この発明によれば、内外輪の温度差解消によるすきま管理の幅が拡大するため、転がり軸受の更なる高速運転や高剛性化を図ることができる。
前記冷却流体は、液体、気体、気液混合流体のいずれでもよい。例えば、潤滑油、空気、オイルミストが挙げられる。
前記噴出口は、供給路に設けられた流路断面積の減少した流路部分であり、ノズル、オリフィス、乱流格子等に代表される。
前記冷却流路は、従来例と同様、直管路、円周管路、螺旋状管路等が適宜に選択される。ここで、直管路からなる冷却流路は、円周管路等に比して噴流の制御は容易になるが、管路1本当りの冷却性能は、管路長が短くなる分、円周管路等に劣る。
そこで、前記冷却流路が直管路からなる構成においては、前記噴出口からの噴流が前記冷却流路内で蛇行する構成を採用することが好ましい。
直管路に噴流を流す場合、噴流の中心流れが噴流の外縁に発生する大きなスケールの渦の影響で蛇行する現象が知られている。係る蛇行現象を呈する噴流を採用すれば、噴流の中心流れが冷却流路の内壁に遠近を繰り返しながら流れるため、冷却流体と冷却流路の内壁間の対流熱伝達がより一層促進される。
また、この発明に係る軸受冷却装置は、内輪の冷却性能に優れるため、内輪回転方式に特に好適である。
具体的には、前記転がり軸受を内輪回転方式とし、前記冷却流体が潤滑油からなり、前記内輪に形成された油穴と前記冷却流路との間に前記冷却流体の排出路を連通させた構成を採用することができる。
この構成によれば、前記排出路が潤滑油の供給路となり、軸系の回転による遠心力に加えて噴出圧力の影響を受けるため、冷却流体が油穴へ送られ易くなる。したがって、転がり軸受を、外輪回転方式に比して内外輪間の温度差が顕著になる内輪回転方式とした構成において、内輪の冷却・潤滑効率に優れたアンダーレース潤滑を簡単に実現することができる。
上述のように、この発明は、軸を支持する転がり軸受の内輪の内方に冷却流路を設けて冷却流体を流す軸受冷却装置において、内輪の冷却性能を高めることができる。
以下、この発明の第1実施形態を図1に基づいて説明する。
この第1実施形態に係る軸支持装置は、軸1を一対の転がり軸受2a、2bでハウジング3に支持し、軸1が回転する状態で、内輪4a、4bの内方に設けた冷却流路5に冷却流体を流すように構成されている。すなわち、転がり軸受2a、2bは、内輪回転方式となっている。
具体的には、軸1は、回転力を受ける軸本体部材1aが一端開放の中空軸となっており、その軸本体部材1aの開放端に軸蓋1bを取り付けた構造になっている。
この第1実施形態の冷却流路5は、上記軸本体部材1aの中空部からなり、一対の内輪4a、4bの内方に一連で通されている。
上記軸蓋1bの中心部に、供給路部材6が挿通されている。この供給路部材6は、冷却流路5に冷却流体を供給する噴出口7が設けられている。なお、図1中に、冷却流体の大きな流れを矢線で示す。図示省略の供給路上流から送られた冷却流体が噴出口7より冷却流路5内に噴出される。この冷却流体には、潤滑油が採用されており、運転中、冷却流路5内に概ね充満するようになっている。
また、冷却流路5から軸本体部材1aの外部まで排出路8aが形成され、その出口が軸本体部材1aの外周に形成された環状溝8bに開口している。上記内輪4a、4bは、内径面に開口する油穴9が環状溝8bの外方に位置するように嵌合されている。これにより、排出路8aが油穴9と連通させられている。
冷却流路5内の冷却流体は、軸1の回転による遠心力に加えて噴出圧力の影響を受け、径方向に形成された排出路8aに円滑に流入し、環状溝8bから上記内輪4a、4bの油穴9に入り、内輪4a、4bの肩部から転がり軸受2a、2b内に流れ、それらの冷却・潤滑に供される。
上記冷却流路5及び噴出口7は、直円管路状に形成されている。冷却流路5は、軸1の軸心と同軸の中心軸(図1中に一点鎖線で示す)を有する。噴出口7の中心軸(図1中の太矢線に一致する)は、冷却流路5の中心軸と傾斜角を有して交わっており、噴出口7は冷却流路5に対して傾斜させて接続されている。これら冷却流路5及び噴出口7に関する構成は、冷却流路5内の流れが軸1の回転の影響を受け難くし、乱流制御を容易にするためである。
上記噴出口7からの噴流は、冷却流路5の内壁のうち、内輪4a、4b間のスパンの軸方向中点の内方部分に向けて設定されている。この実施形態のように、複列の軌道間の中間点の内方に噴流を向けた構成を採用すると、組み合せ軸受2a、2bの負荷能力のバランスが崩れることを防ぐことができる。
すなわち、一般に、噴流で境界層が撹乱される領域付近は、流路内壁が局所的に冷却される。したがって、組み合せ軸受を構成する複列の内輪軌道のうち、いずれか一の軌道の内方領域の内壁部分に噴流を向けると、その外方にある当該一の軌道側が特に冷却されることになり、複列間で冷却によるすきま管理のアンバランスが生じる。上記のように、内輪4a、4b間のスパンの軸方向中点の内方領域に噴流を向けると、複列間から等距離の領域に局所冷却域が形成されるため、上記のアンバランスの発生が回避される。
なお、単列の軌道を有する内輪一つを冷却流路5で冷却する場合、その内輪の内方に噴流を向けることで、最も冷却効率が高まることは勿論である。
上記構成を有する第1実施形態の軸受冷却装置によれば、冷却流路5に対する傾斜により、噴出口7からの噴流にせん断成分が付与されるので、冷却流路5内で渦が誘発されて乱流が促進され、また、境界層の撹乱も促進される。その結果、噴流と冷却流路5の内壁間の対流熱伝達の効率が高まり、軸本体部材1aを介して内輪4a、4bから熱が奪われるので、内輪4a、4bを効率よく冷却することができる。
この発明において、冷却流路は、中空軸を利用したものに限定されない。例えば、前掲の特許文献2のようにスリーブの冷却流路にも適用することができる。その一例として、第2実施形態に係る軸受冷却装置を図2に示す。なお、以下では、上記第1実施形態と相違する構成について説明し、同一に考えられる構成の説明を省略する。
この第2実施形態に係る軸11は、回転力を受ける軸本体部材12と、この軸本体部材12の外周に嵌合されたスリーブ13とを有する。スリーブ13の外周に一対の転がり軸受の内輪14、14が嵌合されている。
スリーブ13は、冷却流路15が軸方向に平行に形成されたものである。これら冷却流路15は、スリーブ13の両端に開放されており、一端側の開口で供給路部材16に形成された噴出口17aに接続され、他端側の開口で排出路部材18に形成された排出路19aに接続されている。
上記噴出口17aは、冷却ジャケットに構成されたハウジング20側の導入路17bと径方向に臨み、軸11が回転中も冷却流体が供給されるようになっている。冷却流路15を抜けて排出路19aに流入した冷却流体は、ハウジング20側に設けられた外部排出路19bに流れる。
なお、この第2実施形態では、冷却流体に潤滑油を用いているが、転がり軸受の冷却・潤滑用に別途、ノズル21が設けられている。
冷却流路15は、スリーブ13に複数本形成されており、周方向に等間隔で配されている(図示省略)。これは、スリーブの温度分布の一様化を図るためである。供給路部材16及び排出路部材18には、噴出口17a、排出路19aが冷却流路15の周方向配置に対応して形成されている。
上記構成において、噴出口17aからの噴流は、冷却流路15の内壁のうち、噴出口17aに最も近い内輪14の内方領域より上流側の部分に向けられている。その結果、噴出口17aからの噴流は、冷却流路5の内壁に傾斜衝突した後、その中心流れが噴流の外縁に発生する大きなスケールの渦の影響で蛇行するように設定されている。この設定は、既存の数値解析手法による計算結果を参考にしつつ、可視化実験により、噴出口17aの形状、噴出速度等を調整しながら行なうことになる。
上記の構成を有する第2実施形態は、噴出口17aからの噴流が、蛇行現象を呈するため、冷却流路15の内壁に遠近を繰り返しながら流れ、冷却流体と冷却流路15の内壁間の対流熱伝達がより一層促進される。
また、噴出口17aからの噴流が、冷却流路15の内壁に遠近を繰り返しながら流れるため、冷却流路15の軸方向に沿って複数個所に対流熱伝達効率の高い領域が形成されるため、スリーブ13の温度分布が平均化され、ひいては内輪14、14の冷却バランスも平均化される。
なお、上記第1及び第2実施形態では、噴出口7、17aからの噴流は、連続噴流とされているが、脈動噴流にすることもできる。
また、噴出口7、17aは、ノズルとしたが、オリフィスにすることもできる。
また、冷却流路5、15は、各内輪4a、4b、14、14の内方を一連で通したものに限定されず、軸方向の一端開放で他端閉塞の流路を軸本体部材1a、スリーブ13の両側からそれぞれ形成し、内輪4a、4b等を個別の冷却流路5等で冷却するように構成することもできる。
第1実施形態の縦断正面図 第2実施形態の縦断正面図
符号の説明
1、11 軸
2a、2b 転がり軸受
4a、4b、14 内輪
5、15 冷却流路
7、17a 噴出口
8a、19a 排出路
9 油穴

Claims (3)

  1. 軸を支持する転がり軸受の内輪の内方に冷却流路を設け、前記軸が回転する状態で前記冷却流路に冷却流体を流すようにした軸受冷却装置において、
    前記冷却流路に前記冷却流体を供給する噴出口を設け、前記噴出口を、前記冷却流路に対して傾斜させて接続したことを特徴とする軸受冷却装置。
  2. 前記冷却流路が直管路からなり、前記噴出口からの噴流が前記冷却流路内で蛇行することを特徴とする請求項1に記載の軸受冷却装置。
  3. 前記転がり軸受を内輪回転方式とし、前記冷却流体が潤滑油からなり、前記内輪に形成された油穴と前記冷却流路との間に前記冷却流体の排出路を連通させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受冷却装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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