JP2008156625A - 有機無機複合樹脂組成物及び光学部材 - Google Patents

有機無機複合樹脂組成物及び光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】連続生産が可能であり、耐熱性等の基本性能に優れ、しかも透明性等の光学特性に優れ、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な有機無機複合樹脂組成物及びその光学部材を提供する。
【解決手段】有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該無機微粒子成分は、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11となる無機系微粒子である有機無機複合樹脂組成物、上記有機無機複合樹脂組成物によって構成される光学部材用硬化性材料、及び、上記光学部材用硬化性材料を硬化させてなる光学部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機無機複合樹脂組成物及び光学部材に関する。より詳しくは、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な有機無機複合樹脂組成物及びその光学部材に関する。
熱硬化性の樹脂組成物は、例えば、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等として有用であり、また、塗料や接着剤の材料としても用いられるものである。更に、無機物質が含有された樹脂組成物は、熱膨張率を低下させることができるだけでなく、無機物質と樹脂との屈折率を合わせること等により、樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。例えば、デジタルカメラモジュールは携帯電話に搭載されるなど小型化が進み、低コスト化も求められているため無機ガラスに代わってPMMA・PCやポリシクロオレフィン等のプラスチックレンズの採用が進んでいる。近年においては新規用途として車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機等の車載化ニーズが高まっている。これら用途に適用する際、夏季の高温暴露等を考慮し、長時間の耐熱性が要求されている。従来のプラスチック材料よりも優れた耐熱性を必要とすることから熱硬化型材料の検討が進んでいる。
熱硬化性樹脂組成物に関し、(a)有機溶剤に分散されたコロイダルシリカ、(b)脂環式ポリエポキシ化合物及び(c)金属キレート化合物を必須成分として含有し、且つ(a)成分と(b)成分の配合割合が固形分比で(a)成分5〜85重量%及び(b)成分95〜15重量%であり、そして(c)成分が(a)成分及び(b)成分の固形分の合計100重量部当たり0.01〜30重量部含有することを特徴とする有機溶剤系熱硬化性組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これによると、pH2〜4の湿式シリカとエポキシ樹脂が開示されているが、硬化用樹脂を作製する際に、溶剤留去が必要な場合、pH2〜4のシリカを用いていることから、ゲル化するおそれがあった。
またエポキシ樹脂および無機酸化物粒子を少なくとも含んでなる組成物を硬化させることにより成型したエポキシ樹脂成型体であって、該成型体中に平均粒径が50nm以下の無機酸化物粒子が分散していることを特徴とするエポキシ樹脂成形体が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。ここでは、湿式シリカとエポキシ樹脂が開示されているが、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA(アッベ数 34.1)を用いている。このような場合、光のにじみを小さくし、高いアッベ数を得る等において、光学特性を向上する工夫の余地があった。したがって、耐熱性等の基本性能を備えたものであって、光学特性を向上させ、種々の光学部材に好適に適用であるようなものが求められていた。
特許2865741号公報(第1頁) 特開2004−250521号公報(第2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、連続生産が可能であり、耐熱性等の基本性能に優れ、しかも透明性等の光学特性に優れる有機無機複合樹脂組成物及びその光学部材を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む有機無機複合樹脂組成物について種々検討したところ、このような有機無機複合樹脂組成物は成形が容易であり、光学用途等種々の用途における材料として有用であることに着目し、特定の無機系微粒子を用いると、透明性が高く、好適な範囲のアッベ数を有し(例えば、透明性とアッベ数がいずれも高く)、屈折率等の光学特性が優れたものとなり、光学用途等に好適に用いることができる樹脂組成物を連続生産できることを見いだした。また、特定の有機樹脂成分と無機微粒子成分、具体的には、脂環式化合物(脂環式硬化材料)と湿式無機分散体とを用いることにより、上述の優れた光学特性を有する熱硬化性樹脂とすることができることを見いだした。本発明の有機無機複合樹脂組成物は、ガラスにはできない複雑な加工を安価に行うことができることを見いだし、また、特に熱硬化性樹脂を用いた場合に、熱可塑性樹脂では達成できない耐熱性を有することができ、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、レンズ等の光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料等の様々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、上記無機微粒子成分は、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11となる無機系微粒子である有機無機複合樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、無機微粒子成分を含むものである。無機系微粒子(無機微粒子)を含有することで、熱膨張率を低下させることができる。また、無機物質(無機微粒子)と樹脂との屈折率をあわせること、又は、無機物質の粒径を充分に小さくし、無機物質を均一に分散させることで樹脂組成物及びその硬化物の外観を制御し、透明性を発現させることもでき、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用なものとすることができる。
上記無機微粒子成分は、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11となる無機系微粒子である。
本発明の有機無機複合樹脂組成物のような樹脂を形成する際に溶媒を脱気するが、通常は、その際に増粘し、ゲル化を起こし生産性が悪くなるおそれがある。本発明のような無機微粒子を用いると、pHが高いために溶媒脱気時の増粘が小さく、ゲル化を起こさない。特に有機樹脂成分として脂環式エポキシ化合物を用いた場合、上記pH範囲であると環構造部分が開環することなく、ゲル化が抑制されることとなる。また、樹脂の経時安定性も向上し、有機無機複合樹脂組成物の着色をより充分抑えることができることとなる。さらに、樹脂組成物を硬化する場合には、硬化時に溶媒の揮発がないため連続生産が可能であり、種々の用途に好適に用いることができる。
上記無機微粒子のpHは、無機微粒子を15質量%、有機溶媒を35質量%、水を50質量%となるように調整して、25℃でHORIBA社製pHメーターを用いて測定した値である。無機微粒子濃度、有機溶媒量、水量及び測定温度によりpH値が変化するため、上記組成でサンプルを調整しpH値を測定することが好ましい。
無機微粒子の2次凝集構造、1次粒子径、表面極性等により、上記濃度条件ではゲル化するなど流動性のない状態をとるために、pH測定できなくなる場合がある。このような場合には、測定可能な流動性が得られる無機微粒子濃度で測定した値を採用する。具体的には、飽和溶液が好ましい。希釈する場合の溶媒成分としては、より流動性が得られやすい有機溶媒又は水により適宜希釈し得る。希釈する際の有機溶媒成分として以下の有機溶媒を好適に用いることができる。
上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコール、メチルイソブチルケトン(MIBK)等が好ましい。より好ましくは、MEK、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ブタノールであり、更に好ましくは、MEKである。
このような有機溶媒を上記範囲で用いることにより、無機微粒子の分散性を優れたものとし、無機微粒子のpHを測定することができることとなる。
上記水としては、pH7の中性のイオン交換水を用いることが好ましい。水を上記割合で混合することで、無機微粒子のpHを正確に測定することができる。
上記無機微粒子のpHは、3.4〜11であるが、pHが3.4未満又は11を超えると、製造工程でゲル化が生じるおそれがあり、有機無機複合樹脂組成物を得ることができなくなるおそれがある。上記pHとしてより好ましくは、3.5〜8であり、更に好ましくは、4〜8である。無機微粒子のpHを決める要因としては、(1)無機微粒子はその合成工程において酸性成分又はアルカリ性成分を含有している、(2)分散性を向上させるために無機微粒子の表面等に酸基又はアルカリ性基を導入している、(3)分散媒である有機溶剤又は水に酸性成分又はアルカリ性成分を加えて分散性を付与している、等が挙げられる。このような(1)〜(3)の条件等を調整して、分散性を損なわず、pHを上記範囲内になるようにすることができる。
上記無機微粒子としては、金属や金属化合物等の無機化合物から構成される微粒子であればよく、特に限定されるものではないが、金属酸化物であることが好ましく、シリカであることが好ましい。具体的には、日産化学工業社製オルガノシリカゾル MEK−STが好適である。なお、無機微粒子の詳細は後述する。このように、無機微粒子としてはシリカ粒子であることが好ましい。分子量600以上の硬化性物質とシリカ粒子を含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記無機微粒子成分は、湿式法により得られた無機系微粒子(以下、単に「湿式無機微粒子」ともいう。)を必須とするものであることが好ましい。無機微粒子がシリカを含む微粒子である場合、珪酸ソーダ水溶液の酸又はアルカリ金属塩による中和、分解反応によりシリカの析出を行うことにより得られるものである。
上記無機微粒子成分は、湿式無機微粒子を必須とする限り特に限定されず、例えば、乾式法により製造された無機微粒子等を含有していてもよい。無機微粒子成分100質量%中の湿式無機微粒子の含有量としては、10〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは、50〜100質量%であり、更に好ましくは、80〜100質量%である。実質的に全ての無機微粒子成分が湿式無機微粒子であることが特に好ましい。このように、無機微粒子が湿式材料である形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記無機微粒子成分は、外部添加法と内部析出法のいずれを用いても樹脂成分に好適に配合することができる。これらの中で外部添加法が樹脂との反応のおそれがないためより好ましい。このようにして配合した無機微粒子成分は、有機無機複合樹脂組成物中で一次粒径で分散していることが好適である。すなわち、無機微粒子としては、分散体(無機微粒子分散体)である形態が好ましい。上記無機微粒子としてより好ましくは、湿式シリカ分散体である。無機微粒子成分が一次粒径で分散している場合、有機無機複合樹脂組成物は濁らず、該有機無機複合樹脂組成物は種々の用途に好適に用いることができるが、一次粒子が凝集して二次粒子化する等して、可視光と同程度の大きさとなると、有機無機複合樹脂組成物に濁りが生じるおそれがある。
上記無機微粒子の平均粒径の粒度分布としては、1nm〜400nmのものであることが好ましい。このような粒度分布とすることで、本発明の樹脂組成物の硬化物は、可視光領域でのレイリー散乱が充分に抑制され、透明性に優れるといった種々の優れた光学特性を発揮することができる。平均粒径が1nm未満であると、無機物の特性である耐熱性に悪影響を与えるおそれがある。また400nmを超えると、無機微粒子が大きいことに起因して可視光が無機微粒子によって散乱され、透明性が低下し、上述した種々の用途に用いることができないおそれがある。無機微粒子の粒度分布としてより好ましくは、一次粒径が1nm〜100nmであり、更に好ましくは、1nm〜50nmである。なお、本発明における無機微粒子は、平均粒径が上記範囲であるものであることが好ましく、1nm以下の微粒子が含まれていてもよい。また、粒子の形状ではないもの、例えば、ポリマー状のものも含まれていてもよく、このようなポリマー状のものは、小さければ透明性が高く、二次微粒子を作っていても可視光より小さな粒子となるため有機無機複合樹脂組成物が透明なものとなる。このような無機微粒子を含む有機無機複合樹脂組成物(樹脂組成物)としては、(1)100nm以下の粒径を持つシリカとエポキシ材料を含んでなる形態、(2)少なくとも分子量600以上の硬化性材料と粒径100nm以下の無機微粒子を含んでなる形態が好適である。
上記可視光領域でのレイリー散乱は、樹脂組成物を光学用途で用いる場合に、光の波長よりも短い粒子による光の散乱として考慮することが必要となるものである。レイリー散乱の光散乱特性は式1のようになる。
Figure 2008156625
:散乱係数、n:粒子数、d:粒子径、m:反射係数、λ:波長
散乱係数の波長と散乱粒子の大きさに関わるパラメータとして式2が挙げられる。
Figure 2008156625
D:粒子径、λ:波長、α<0.4はレイリー散乱の領域
いずれの式からも短波長の光ほど光散乱性は高くなることが示唆されるが、光実装用途に用いられる光通信波長は近赤外線領域である。したがって、特に光学用途で対象となる可視光領域の光波長でレイリー散乱による光散乱を充分に抑制し、可視光透過性が低下せず、透明性に優れ、その他の性能も充分に優れた樹脂組成物とすることが求められている。
なお、上記無機微粒子の一次粒径の大きさ(平均粒径、粒度分布)は、X線小角散乱法による慣性半径とその散乱強度から求めることができる。X線小角散乱法は、密度不均一領域の電子密度の揺らぎがX線照射時の散乱挙動を変えることによって、100nm以下の粒子のサイズを測定することができるため、特に、分散媒中の一次粒子の分布状態をそのまま把握することができる。
X線小角散乱法では、樹脂が分散媒の場合であっても、硬化前の分散状態を把握できるというメリットがある。その測定原理を簡単に説明する。通常、有機化合物である分散媒と、ナノサイズの無機微粒子とでは、元来、密度・電子状態・結合様式が異なるものであり、両者の界面で電子密度の揺らぎが生じる。密度が不均一な混合物中を単色X線が通過すると、入射方向に対して極めて小さい角度領域(2θ=0〜5゜)で散漫な回折を生じる。この回折強度パターンを解析することで、密度の不均一領域の大きさや形状がわかり、有機/無機ナノコンポジットのモルフォロジーが明らかになるのである。ここで、粒径(密度不均一領域の大きさ)が均一の場合、ギニエの小角散乱強度式より、散乱強度は次式(3)で表される。
Figure 2008156625
式1中のqは、数学的には空間をフーリエ変換したものであり、距離の逆数に比例する値(Å−1)であって、散乱角の関数として次式(4)で表される。
Figure 2008156625
ギニエプロットは、X線散乱強度−q値のプロットである。散乱角度の増大により散乱強度の急激な減少を示す領域が小角散乱領域であり、中心ピークの幅は密度の不均一領域のサイズ、すなわち一次粒子の慣性半径とほぼ逆比例する。よって、散乱強度の増減挙動をFunkuchenの方法に適用し、ギニエプロットの右端から順に接線を引いて、各接線の勾配から、慣性半径とその散乱強度を算出すれば、それらの強度比から一次粒子の慣性半径の分布の相対比を求めることができる。
上記無機微粒子の粒子径のその他の測定方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)を好適に用いることができる。TEMでは、有機無機複合樹脂組成物における、無機微粒子の分散状態及び個々の粒子径を評価することができる。組成物が液状樹脂の場合には、液状樹脂を試料とし、組成物が固体の場合や、硬化後の成型物の場合には、これらをミクロトームを用いて、薄膜切片を作成し、これを試料としてTEM像を観察することにより、無機微粒子の一次粒径、分散、凝集状態を確認することができる。
X線小角散乱法による慣性半径の測定やTEMによる観察は、樹脂組成物における無機微粒子の一次粒径や粒度分布又は分散状態を直接に評価する方法として有用である。
また組成物における無機微粒子の分散状態や分散粒径を評価する方法として、別法として、樹脂組成物が液状物の場合や溶媒可溶性の樹脂の場合には、動的光散乱式粒度分布測定法等も採用しうる。通常、適度な微粒子濃度になるように溶媒で希釈したものを測定試料とするために、希釈により微粒子の分散状態が変化することがあるが、分散状態・分布の相対的な比較評価を簡易に行える点で有用である。
以上、組成物における無機微粒子の粒子径(一次粒径、分散粒径)に関する評価方法は、目的に応じて、適宜、選ぶことができる。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、有機樹脂成分を含むものである。
上記有機樹脂成分としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、無機微粒子成分との相溶性に優れ、該成分が有機樹脂に均一に分散されるものであることが好ましい。
上記有機樹脂成分は、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、プラスチックレンズ用途においては、無機のレンズに比べて加工が容易であり、大きさや形状を自由に変えられ、大量生産にも好適である。現在は、有機樹脂成分としてゼオネックスなどの熱可塑性樹脂が加工性の面から良く使われている。また、耐熱性という観点では熱硬化性樹脂が望まれており、耐熱性を求められるレンズ等の用途においては、より好ましくは、硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比べて、加工の面に困難さを伴うことから現在は普及していないが、本発明においては、例えば、後述する特定の離型剤を用いること等により、硬化性樹脂も好適に用いることができる。
上記硬化性樹脂としては、硬化性を有するとともに、高分子量からオリゴマー程度の分子量を有する樹脂を含有するものであれば特に限定されないが、中でも、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であることが好適である。硬化性樹脂の形態としては、例えば、(1)液状又は固形の硬化性樹脂からなる形態、(2)液状又は固形の硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物又は溶剤(非硬化性)等を含有する形態、及び、(3)液状又は固形の非硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物とを含有する形態等が挙げられる。上記(3)液状又は固形の非硬化性樹脂と該樹脂成分よりも低分子量の硬化性化合物を含有する形態としては、例えば、PMMA等のアクリル樹脂のオリゴマー成分と(メタ)アクリレートモノマー等を含有する形態を挙げることができる。
上記硬化性樹脂として、例えば、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、脂環式化合物等を好適に使用することができ、これらの化合物を単独、又は、2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、脂環式化合物(脂環式硬化材料)であることが好ましい。脂環式化合物(脂環式硬化材料)を用いることで、アッベ数の向上が可能であり、光学特性を優れたものとすることができ、種々の用途に好適に用いることができる。
上記脂環式化合物(脂環式硬化材料)としては、後述するビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート(日本化薬社製の「R−629」又は「R−644」);テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート等の構造中に酸素原子及び/又は窒素原子を有する脂環式アクリレート;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N,N´−メチレンビスマレイミド、N,N´−エチレンビスマレイミド、N,N´−トリメチレンビスマレイミド、N,N´−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N´−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等の脂環式ビスマレイミド;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の水添エポキシ樹脂が好ましい。これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物;水添エポキシ樹脂である。すなわち、脂環式硬化材料にエポキシが含まれる樹脂組成物が好ましく、脂環式化合物(脂環式硬化材料)が脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂を必須とする樹脂組成物がより好ましい。このように、上記有機樹脂成分は、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂を必須とする有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂はいずれも好適に用いることができるが、水添エポキシ樹脂が特に好ましい。
上記脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂は、有機樹脂成分に含まれていればよくその含有量は特に限定されないが、アッベ数の高い有機無機複合樹脂組成物を作製する場合には、総有機成分中40質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、実質的にすべてが脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂であることである。
上記脂環式エポキシ化合物の中でも好ましい形態であるエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素基を介してエポキシ基が付加したエポキシ樹脂としては、下記のものを好適に用いることができる。
名称:3,4−エポキシシクロヘキサンメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、製品名:セロキサイド2021P
名称:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、製品名:EHPE3150
名称:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物と3,4−エポキシシクロヘキサンメチル−3,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、製品名:EHPE3150CE
名称:1,2:8,9−ジエポキシリモネン、製品名:セロキサイド3000
名称:ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、製品名:セロキサイド2000
セロキサイド 2081、(いずれも、ダイセル化学工業社製)。
これらの中でも、2021P、EHPE3150がより好ましい。
以下に上記脂環式エポキシ化合物について説明する。
上記セロキサイド 3000は、下記式:
Figure 2008156625
で表される。代表的な一般性状は、粘度(mPa・s/25℃) 5〜20、エポキシ当量 <93.5、沸点(℃/760mmHg) 228である。
上記セロキサイド 2000は、下記式:
Figure 2008156625
で表される。上記セロキサイド 2000は、ビニル基を有するモノエポキシドであり、代表的な一般性状は、色相(APHA) <50、純度(%) >95、沸点(℃/8〜9mmHg) 49〜53、粘度(mPa・s/25℃) 1.5である。
上記EHPE 3150は、下記式:
Figure 2008156625
(式中、R´は上述と同様である。)で表される。代表的な一般性状は、外観 透明フレーク、エポキシ当量 170〜190、軟化点(℃) 70〜85、(軟化点の測定は、JIS K6911に従った。)である。上記EHPE 3150の特徴としては、塩素系不純物がなく(原料材料に塩素系は使用していない)、エポキシ基の反応性が大きく、硬化物のTgが高く、耐候性、透明性を有することである。
上記セロキサイド 2021は、下記式:
Figure 2008156625
で表される。代表的な一般性状は、色相 (APHA)<50、エポキシ当量 128〜145、粘度(mPa・s/25℃)100〜400である。
上記セロキサイド 2021Pは、セロキサイド 2021の精製品である。代表的な一般性状は、色相 (APHA)<50、エポキシ当量 128〜145、粘度(mPa・s/25℃)150〜400である。
上記セロキサイド 2081は、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。
上記セロキサイド 2081は、可撓性を有し、代表的な一般性状は、形状(常温) 液状、色相(APHA) <100、エポキシ当量 190〜210、粘度(mPa・s/25℃) 80〜130である。
本発明では、硬化性樹脂として、熱可塑性樹脂等の非硬化性成分と低分子量の硬化性化合物とを含有するものを使用することもできる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなるABS樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、ポリイミド等を挙げることができる。前記硬化性化合物としては、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、及び、後述するグリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物について例示する中から、適宜選択して使用すればよい。なお、本発明の有機樹脂として好適に用いることができるグリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物については、後述する。
上記有機樹脂成分においては、アッベ数が45以上であることが好ましい。アッベ数が45以上であるとは、「全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上である」ことを意味するものであり、アッベ数が45未満の有機樹脂成分が含まれていてもよい。アッベ数を45以上(全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上)とすることで、有機無機複合樹脂組成物を光学用途に用いた場合に、光の分散が小さくなり、解像度があがり、光学特性に優れたものとすることができる。45未満であると、例えば、眼鏡用レンズに用いた場合ににじみがみられるおそれがあり、充分な光学特性を発揮せず、種々の光学用途に好適な材料とはならないおそれがある。上記有機樹脂成分においては、後述するような好適な形態を適宜組み合わせることによりアッベ数を45以上とすることができる。
上記アッベ数として好ましくは47以上であり、より好ましくは、50以上である。
上記有機樹脂成分としては、アッベ数が45以上(全有機樹脂成分のアッベ数の平均値が45以上)のものであることが好適であるが、例えば、アッベ数45以上の有機樹脂が全有機成分中40質量%以上含まれることが好ましい。アッベ数45以上の有機樹脂の割合としてより好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、100質量%(実質的にすべてがアッベ数45以上のもの)である。
上記有機樹脂成分は、分子量が700以上である有機樹脂を必須とするものであることが好ましい。有機樹脂成分がこのような分子量を有する有機樹脂を含むことにより、有機無機複合樹脂組成物を硬化させたときに、一体感のあるものとでき、剥離の際の強度が向上し、割れることがなく、好適な材料硬度とすることができる。上記有機樹脂成分に必須として含まれる有機樹脂の分子量としては、700〜10000であることが好ましい。分子量が10000を超えると、有機無機複合樹脂組成物の透明性が充分ではなくなるおそれがある。
上記有機樹脂成分においては、分子量が700以上である有機樹脂を必須とするものが好適であるが、分子量が700以上の成分(有機樹脂)が有機樹脂成分中に30質量%以上含まれることが好ましい。また、成型のしやすさの面から、700以上の成分(具体的には、700〜1万)は90質量%以下とすることが好ましい。分子量が700以上の有機樹脂の含有量としてより好ましくは、35〜80質量%であり、更に好ましくは40〜70質量%である。このように、分子量が700以上の有機樹脂成分を30〜90質量%含んでなる樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、有機樹脂の分子量の測定方法としては、下記のとおりである。
<分子量の測定方法>
上記環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物の分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
(分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、上記有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含むものであるが、有機樹脂成分と無機微粒子成分との合計100質量%に対し、有機樹脂成分を40〜99質量%、無機微粒子成分を1〜60質量%含むことが好ましい。このような含有量とすることで、透明性を高く、好適な範囲のアッベ数を有する(例えば、透明性とアッベ数がいずれも高い)有機無機複合樹脂組成物とすることができる。特に、有機樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いた場合には、熱可塑性樹脂にはできない耐熱性の克服が可能であり、ガラスにはできない複雑で安価な加工が可能となる。上記含有量としてより好ましくは、有機樹脂成分が60〜90質量%、無機微粒子成分が10〜40質量%であり、更に好ましくは、有機樹脂成分が70〜90質量%、無機微粒子成分が10〜30質量%である。特に好ましくは、無機微粒子成分が15〜30である。
本発明の有機無機複合樹脂組成物においては、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが4〜9(好ましくは4〜6)であり、平均粒径が100nmより小さい無機微粒子と、脂環式化合物(脂環式硬化材料)からなる樹脂組成物である形態が好ましい。このような形態においては、脂環式化合物(脂環式硬化材料)を用いることでアッベ数の向上が可能であり、硬化時に溶媒の揮発がないため連続生産が可能であり、無機微粒子を分散できるため透明性・耐熱性の高い光学用樹脂の作製が可能である。pHが高いために、樹脂形成する際、溶媒脱気する過程において、増粘の程度が低く、ゲル化を起こすおそれが小さく、樹脂の経時安定性も向上する利点がある。本発明の有機無機複合樹脂組成物において、好ましい形態としては、有機樹脂成分としてアッベ数45以上の有機樹脂を総有機成分中40%以上(好ましくは60、80%以上)含有し、湿式無機(珪素酸化物)量を10〜40%(好ましくは15〜30)含有する形態であり、より好ましい形態としては、脂環式化合物(脂環式硬化材料)を40%以上(80%以上)、湿式シリカを10%以上含んでなる形態であり、更に好ましい形態としては、脂環式エポキシ化合物及び/又は水エポキシ樹脂を40%(80%)以上、湿式シリカ分散体を10%以上含んでなる形態である。このように、脂環式化合物(脂環式硬化材料)と弱酸性の湿式シリカ分散体からなる有機無機複合樹脂組成物(透明樹脂組成物)、及び、上述したpH範囲の無機微粒子を用いて製造する有機無機複合樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記有機無機複合樹脂組成物において、アッベ数が高い有機無機複合樹脂組成物とする場合、不飽和結合を有する化合物の割合が10質量%以下であることが好ましい。不飽和結合を有する化合物としては、例えば、有機樹脂成分における芳香環(例えば、フェニル基)、二重結合を有するアルケニル基等が挙げられる。なお、不飽和結合を有する化合物は、有機樹脂成分、無機微粒子、必要に応じて添加されるその他の成分のいずれかに含まれることとなる。このような不飽和結合を有する化合物は、一般にアッベ数を下げることから、不飽和結合の含有量が10質量%を超えると、有機無機複合樹脂組成物のアッベ数が充分に大きなものとはならず、例えば、レンズとして用いた場合に光のにじみが大きくなり、種々の用途に好適に用いることができないおそれがある。不飽和結合を有する化合物の割合としてより好ましくは、有機無機複合樹脂組成物(有機樹脂成分と無機微粒子と必要に応じてその他の成分)100質量%中、8質量%以下であり、更に好ましくは、6質量%以下である。特に好ましくは、実質的に含まれないことである。すなわち、有機樹脂成分、有機樹脂成分、無機微粒子、必要に応じて添加されるその他の成分のいずれにも含まれない形態が好ましい。このような不飽和結合を有する化合物としては有機無機複合樹脂組成物を硬化した硬化物においても含有量が上記範囲であることが好ましい。このように、二重結合性(芳香環等)の含有量が樹脂中に10%以下である樹脂組成物及び硬化物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の有機樹脂成分は、低いアッベ数である形態も好ましい。低アッベ数の有機樹脂成分を用いると、低アッベ用有機無機複合樹脂組成物とすることができる。この場合、有機樹脂成分としては、全有機成分のアッベ数の平均値が35以下であることが好ましい。アッベ数を35以下(全有機成分のアッベ数の平均値が35以下)とすることで有機無機複合樹脂組成物を光学用途に用いた場合に、光学特性に優れたものとすることができる。このように、有機樹脂成分のアッベ数を35以下とすると、光の波長分散を大きくでき、充分な光学特性を発揮し、種々の光学用途に好適な材料とすることができる。
上記低アッベ用有機無機複合樹脂組成物は、不飽和結合を有する化合物を含むことが好ましい。不飽和結合を有する化合物は、有機樹脂成分、無機微粒子、必要に応じて添加されるその他の成分のいずれかに含まれればよいが、有機樹脂成分が芳香環を有する形態で含まれることが好ましい。有機樹脂成分に含まれる芳香環量としては、硬化後の硬化体(硬化物)100質量%に対して芳香環量が30質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、40質量%以上である。
上記低アッベ用有機無機複合樹脂組成物において有機樹脂成分としては、アッベ数45以上の樹脂成分を必須として含むことが好ましい。アッベ数が45以上の樹脂成分を含まないと、カチオン硬化速度があがらず、生産性が充分ではなくなるおそれがある。すなわち、上記低アッベ用有機無機複合樹脂組成物は、有機樹脂成分として、アッベ数45以上の樹脂成分を必須として含み、全有機成分のアッベ数の平均値が35以下であることが好ましい。
上記アッベ数が45以上の樹脂成分の割合としては、有機樹脂成分100質量%中、1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、20質量%以上である。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、後述する方法により硬化物を得ることができ、種々の用途に適用することができる。例えば、上述した高アッベ数及び/又は低アッベ数有機無機複合樹脂組成物を硬化させて光学部材(例えばレンズ)として好適に用いることができる。この場合、アッベ数が35以下である光学部材(レンズ)と、アッベ数が45以上である光学部材(レンズ)を組み合わせて用いることで、光の分散が小さくなり、解像度があがり、にじみが生じないといった効果が発現する。なお、その他の硬化物の用途等については、後に詳述する。
上記有機無機複合樹脂組成物はまた、可とう性を有する成分(可とう性成分)を含むことが好適である。可とう性成分を含むことにより、一体感のある有機無機複合樹脂組成物とできる。上記可とう性成分としては、(1)有機樹脂成分とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)有機樹脂成分の1種が可とう性成分である形態のいずれも好適に適用することができる。具体的には、−〔−(CH−O−〕− で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。);高分子エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂);オキシアルキレン骨格がオキシブチレンであるエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7217、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上)や、ジャパンエポキシレジン社製のYED−216D);脂環式固形エポシキ樹脂(ダイセル工業社製、EHPE−3150);脂環式液状エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、セロキサイド2081);液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等が好ましい。これらの中でもより好ましくは、末端や側鞘や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分は、硬化性の官能基を含んでなる有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
なお、上記「硬化性の官能基」とは、「エポキシ基、グリシジル基等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応をさせる基)」をいう。
上記可とう性成分としては、硬化性の官能基を含む化合物を好適に適用できるが、硬化性の官能基を含む化合物の中でも特に好ましくは、エポキシ基を含む化合物である。
上記可とう性成分の含有量としては、有機樹脂成分と無機微粒子成分と可とう性成分との合計100質量%中、有機樹脂成分を40〜99質量%、無機微粒子成分を1〜60質量%、可とう性成分を0.01〜40質量%含むことが好ましい。すなわち、可とう性成分が40%以下である樹脂組成物が好適である。可とう性成分の含有量としてより好ましくは、0.1〜10質量%であり、更に好ましくは、0.1〜5質量%であり、特に好ましくは、0.5〜1質量%である。
本発明の有機無機複合樹脂組成物としては、上述のように、有機樹脂成分と無機微粒子とを含むものであり、更に、可とう性成分を含むことが好適である。すなわち、(1)可とう性材料(エポキシが好ましい)を含んでなる脂環式化合物(脂環式硬化材料)と無機分散体からなる形態、(2)可とう性を有する材料(可とう性成分)と脂環式化合物(脂環式硬化材料)と粒径100nm以下の無機微粒子を含んでなる形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、120℃で2分間硬化させたときの硬化物の耐曲げ強度が、60MPa以上のものであることが好ましい。
上記有機無機複合樹脂組成物は、後述するように、金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことが好ましい。この場合、上記硬化物の耐曲げ強度は、ポストキュア(ベーク)を行う前であって、金型を用いて120℃で2分間硬化させたときに得られる硬化物の強度をいう。このように、無機微粒子成分と有機樹脂成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該有機無機複合樹脂組成物は、可とう性を有する成分を含み、120℃で2分間硬化させたときの硬化物の耐曲げ強度が、60MPa以上である有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記有機無機複合樹脂組成物としては、粘度が10000MPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、1000MPa・s以下であり、更に好ましくは、100MPa・s以下である。
上記有機無機複合樹脂組成物としてはまた、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、該有機無機複合樹脂組成物は、2種以上の有機樹脂と無機微粒子とを溶媒5質量%以下に調製される形態が好ましい。このような形態に調製することにより、連続生産可能となり、一体感を有し、強度が高く、透明性・耐熱性が高い熱硬化性樹脂を得ることができ、500nm透過率80%以上であるレンズ材料(光学材料)として有用な熱硬化性材料を提供することができる。
上記溶媒量としては、混合物(2種以上の有機樹脂と無機微粒子と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒5質量%以下である。5質量%を超えると発泡や成形体の強度低下のおそれがある。溶媒量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下である。本発明の好ましい形態の一つとして樹脂組成物の粘度上昇を抑えるという観点からは、0.05〜5質量%の溶媒を混合物(樹脂組成物)100質量%中に残すことが好ましい。溶媒の残存量としてより好ましくは、0.1〜3質量%であり、更に好ましくは、0.5〜2質量%である。本発明においては、例えば、高沸点溶媒等を同時にエバポレートすることにより、短期間で溶媒を上記範囲とすることができ、有機無機複合樹脂組成物を好適に得ることができることとなる。上記溶媒としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール等が好ましい。
上記2種以上の有機樹脂は、分子量が700以上のものと700未満のものとを必須とする2種以上の有機樹脂を含む有機無機複合樹脂組成物であることが好ましい。分子量が700以上のもの(高分子量有機樹脂、高分子材料)と700未満のもの(低分子量有機樹脂)とを必須とすることにより、製造時の粘度低減と製品の機械強度の向上という効果が得られることとなる。
上記有機無機複合樹脂組成物においては、高分子材料と低分子材料とを含むことが好適であるが、これらの調製方法としては、低分子材料と無機微粒子(と必要に応じてその他の成分)とを混合し、溶媒(溶剤)を留去した後、高分子材料を添加する方法が好ましく、混合物(低分子材料と無機微粒子と高分子材料と溶媒(と必要に応じてその他の成分)との混合物)100質量%中、溶媒を5質量%以下となるよう調製してなる形態が好ましい。樹脂(有機無機複合樹脂組成物)形成の際に、溶剤を留去するが、通常は、この際の加熱により高分子材料が無機微粒子と化学結合や物理結合を形成する等して、有機無機複合樹脂組成物の粘度が上昇することとなるが、上記のように混合することで、有機無機複合樹脂組成物の粘度が上昇することなく、好適な樹脂組成物を得ることができる。また、高分子量材料の樹脂組成物へのなじみをよくすることができる。このように、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む有機無機複合樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、2種以上の有機樹脂と無機微粒子とを混合し、最終的に溶媒5質量%以下で調製する工程を含む有機無機複合樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい実施形態の一つである。このような製造方法としてより好ましくは、上記2種以上の有機樹脂が分子量が700以上のもの(高分子材料)と700未満のもの(低分子材料)とを必須とするものである形態である。更に好ましくは、上記混合工程は、低分子材料と無機微粒子と溶媒とを含む混合物から溶媒の少なくとも一部を除去した後、高分子材料を添加してなる形態である。
上記分子量が700以上の有機樹脂、分子量の測定方法及び有機無機複合樹脂組成物に含まれる無機微粒子成分としては、上述と同様であることが好ましい。
上記分子量が700以上のものと700未満のものの割合としては、〔700以上/(樹脂組成物全体)〕=30〜90であることが好ましい。より好ましくは、35〜80であり、更に好ましくは、40〜70である。なお、有機樹脂の具体例としては、後述する。
上記2種以上の有機樹脂としては、2種以上のエポキシ化合物であることが好ましい。中でも、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂を含むことが好適である。また、無機微粒子成分としては、上述したように、シリカであることが好適である。このように、2種以上のエポキシをシリカと溶媒5%以下で混合する樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の有機無機複合樹脂組成物の製造方法としては、上記有機無機複合樹脂組成物を製造できるものである限り特に限定されないが、例えば、(1)無機微粒子、有機樹脂及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、(2)上記混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含むものであることが好ましい。
上記(1)の調製工程としては、上記3成分が含まれる混合物が調製できれば特に限定されず、3成分が均一に混合されていればよく、任意の添加(配合)順序、混合方法を用いることができる。更に、上記混合物にはその他の成分が含まれていてもよい。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエン、キシレン等が好ましい。より好ましくは、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエンである。
上記調製工程としては、100℃以下で調製を行うことが好ましい。
上記調製工程において、有機樹脂成分と無機微粒子成分と溶媒との割合としては、(有機樹脂成分+無機微粒子成分)/(有機樹脂成分+無機微粒子成分+溶媒)=10〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜60質量%である。
上記(2)の脱気工程としては、高沸点成分共存下で行われるものであることが好ましい。高沸点成分共存下で脱気することにより、無機微粒子成分を高濃度とすることができ、透明性が高く、好適な範囲のアッベ数を有する(例えば、透明性とアッベ数がいずれも高い)有機無機複合樹脂組成物を得ることができる。また、混合物の増粘を効果的に抑えることができ、連続生産が可能となる。なお、「高沸点成分共存下」とは、脱気工程において、高沸点成分が共存する期間があればよく、該共存期間は、脱気工程の全期間であっても一部の期間であってもよいが、増粘防止のため、全期間であることが好ましい。
上記高沸点成分の添加方法としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されず、一括で添加してもよく、滴下して添加してもよく、分割添加等であってもよい。中でも、一括添加が好適である。また、高沸点成分の添加時期(又は添加開始時期)としては特に限定されず、例えば、(1)調製工程の終了後であって、脱気工程の開始前であってもよく、(2)調製工程の中であっもよく、(3)脱気工程の中であってもよい。これらの中でも、増粘防止のため、(1)であることが好ましい。このように、無機微粒子成分(無機物)と有機樹脂成分(有機物)を混合した後の溶媒を脱気する前に高沸点材料を添加する製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記高沸点成分の添加量としては、有機樹脂成分と無機微粒子成分と脱気前の溶媒と高沸点成分と必要に応じてその他の成分の混合物100質量%に対し、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。なお、高沸点成分は、脱気工程終了時に組成物中に残存することとなる。その割合としては、脱気工程終了時の混合物100質量%中、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記高沸点成分の残存量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定することができる。測定条件としては、下記のとおりである。
(GCの測定条件)
カラム:GLサイエンス社製「DB−17」
キャリアーガス:ヘリウム
流速:1.44mL/分
上記脱気工程においては、溶媒を脱気できる条件であれば特に限定されないが、有機樹脂成分の分解や硬化反応、無機微粒子成分の凝集が過度におこるのを抑制する条件であることが好ましい。具体的には、脱気温度は200℃以下であることが好ましい。より好ましくは、100℃以下であり、更に好ましくは、80℃以下である。脱気時間としては、72時間以下であることが好ましい。より好ましくは、24時間以下であり、更に好ましくは、2時間以下である。脱気工程における圧力としては、常圧であってもよいが、200torr以下であることが好ましく、100torr以下であることがより好ましい。
上記脱気工程において、脱気工程終了とは、その時点の混合物100質量%に対して、溶媒の含有量が5質量%以下となる場合である。脱気工程終了時の溶媒の含有量としてより好ましくは、3質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。
上記高沸点成分としては、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール、ブタノール等の沸点が100℃以上のアルコール等が好ましい。より好ましくは、沸点が120℃以上のアルコール(具体的には、2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノール)であり、更に好ましくは、沸点が150℃以上のアルコールである。このように、高沸点材料がアルコールである組成物が好ましい。沸点が120℃以上のアルコールとしては、上記の中でも2−エチル−1−ヘキサノール、ドデカノールがより好ましく、2−エチル−1−ヘキサノールが更に好ましい。なお、沸点が100℃未満のアルコールでは、混合物の増粘が充分には防げられないおそれがあることから、沸点が100℃以上のアルコールであることが好ましい。上記高沸点成分は、沸点が100℃以上のアルコールである有機無機複合樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、沸点120℃以上のアルコールの中でも、沸点150℃以上のアルコールがより好ましく、沸点190℃以上のアルコールが更に好ましい。
本発明の有機無機複合樹脂組成物としては、上述の方法で製造されることが好適である。すなわち、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む有機無機複合樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、無機微粒子、有機樹脂及び溶媒を含む混合物を調製する工程と、該混合物から溶媒を脱気する脱気工程とを含み、該脱気工程が、高沸点成分共存下で行われる有機無機複合樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記製造方法において、製造される有機無機複合樹脂組成物は、有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含むものであるが、有機樹脂成分と無機微粒子成分としては、上述のものを好適に用いることができる。また、その他の成分や硬化方法等、有機無機複合樹脂組成物に関する記載はすべて上記有機無機複合樹脂組成物の製造方法に好適に適用することができるものである。なお、有機樹脂成分として特に好ましくは、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂であり、上記有機樹脂成分は、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂である有機無機複合樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、上記製造方法から得られるものであることが好ましいが、この場合、上記製造方法においては、高沸点成分の共存下で脱気し、高沸点成分は組成物中に残存することから、有機無機複合樹脂組成物に高沸点成分が含まれることとなる。高沸点成分の好ましい形態としては、上述したように、高沸点のアルコールであり、高沸点材料(高沸点アルコール)を含む有機樹脂成分(例えば、脂環式硬化性物質)と無機微粒子成分(例えば、無機分散体)からなる樹脂組成物であることが好ましい。このように、沸点100℃以上(好ましくは120℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは190℃以上である。)のアルコール、有機樹脂成分(例えば、熱硬化性材料)、無機微粒子成分(例えば、無機酸化物)を含む透明樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、有機樹脂成分を含むものであり、該有機樹脂成分の好適な例は上述したとおりである。すなわち、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、脂環式化合物(脂環式硬化材料)が好適であり、中でも、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂が好ましい。
以下、本発明の有機樹脂として好適に用いることができるエポキシ及び/又はグリシジル基を少なくとも一つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物について説明する。なお、有機樹脂成分は、不飽和結合量が少ないものが好ましいことから、多価フェノール化合物の芳香環等不飽和結合を有するものは、有機無機複合樹脂組成物の不飽和結合が10質量%以下となるように含まれることが好適である。
上記有機樹脂は、エポキシ及び/又はグリシジル基を少なくとも一つ有するものであることが好ましい。エポキシ及び/又はグリシジル基を少なくとも一つ有することにより、従来の熱硬化性プラスチック材料と同等の作業性を有しながら、無機ガラスに匹敵する耐熱性を示し、成形、加工性に優れるといった優れた特性を発揮することができる。このように、上記有機無機複合樹脂組成物は、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有するものである有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び、これらを上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び、更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、PPG、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3´,4´−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が2以上の有機骨格を介して結合してなる構造を有するものを好適に使用することができる。上記多価フェノール化合物において、芳香族骨格とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香環である。この芳香族骨格は、フェノール型等の構造を有する部位であり、フェノール型、ハイドロキノン型、ナフトール型、アントラセノール型、ビスフェノール型、ビフェノール型等が好適である。これらの中でもフェノール型が好ましい。また、これらフェノール型等の構造を有する部位は、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、フェニル基、フェニレン基等によって適宜置換されていてもよい。
上記多価フェノール化合物において、有機骨格とは、多価フェノール化合物を構成する芳香環骨格同士を結合し、炭素原子を必須とする部位を意味するものである。また、炭素数が2以上の有機骨格としては、環構造を有することが好ましい。環構造とは、脂肪族環、芳香族環等といった環を有する構造であり、環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が好ましい。更に、有機骨格としては、トリアジン環、フォスファゼン環等の窒素原子を含有する環構造及び/又は芳香環を有することが好ましく、中でもトリアジン環及び/又は芳香環を有することが特に好ましい。なお、多価フェノール化合物は、上記以外の芳香族骨格や有機骨格を有していてもよく、また、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が1の有機骨格(メチレン)を介して結合してなる構造を同時に有していてもよい。
上記多価フェノール化合物は、有機骨格として窒素原子を含有する環構造を有する場合には窒素原子含有率が1〜50質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、得られる樹脂組成物の難燃性が充分なものとはならないおそれがあり、50質量%を超えると、物性と難燃性とが充分に両立されたものとはならないおそれがある。より好ましくは、3〜30質量%であり、更に好ましくは、5〜20質量%である。なお、窒素原子含有率とは、多価フェノール化合物を100質量%としたときの多価フェノール化合物を構成する窒素原子の質量割合である。
本発明において使用できる多価フェノール化合物としてはまた、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格を形成する化合物(以下、芳香族骨格を形成する化合物ともいう)と、炭素数が2以上の有機骨格を形成する化合物(以下、有機骨格を形成する化合物ともいう)とを必須成分とする反応原料によって製造されるものであることが好適である。
上記反応原料とは、芳香族骨格を形成する化合物と、有機骨格を形成する化合物とを必須成分とし、必要により用いられる他の化合物を含み、また、反応を行うために必要により用いられる溶剤等を含む混合物を意味する。なお、芳香族骨格を形成する化合物、及び、有機骨格を形成する化合物はそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記芳香族骨格を形成する化合物としては、芳香族環に1個又は2個以上のフェノール性水酸基が結合する化合物であればよく、1個又は2個以上の水酸基以外の置換基が結合していてもよい。上記芳香族骨格を形成する化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、混合クレゾール、p−ヒドロキシエチルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、混合イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,4−ジ−s−ブチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、3−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール等が好適である。また、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、カテコール、レゾルシン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等が好適であり、α−ナフトール、β−ナフトール等の多環式の芳香族骨格を形成する化合物も好適である。
上記有機骨格を形成する化合物としては、(1)α−ヒドロキシアルキル基、α−アルコキシアルキル基及びα−アセトキシアルキル基のいずれかを有する芳香族系化合物、(2)不飽和結合を有する化合物、(3)アルデヒド、ケトン等のカルボニル基を有する化合物、(4)これら特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物、(5)アミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基及びジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物等が好適である。
上記(1)の芳香族系化合物としては、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールジメチルエーテル、p−ジアセトキシメチルベンゼン、m−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールジメチルエーテル、m−ジアセトキシメチルベンゼン、p−ジヒドロキシイソプロピルベンゼン、p−ジメトキシイソプロピルベンゼン、p−ジアセトキシイソプロピルベンゼン、トリヒドロキシメチルベンゼン、トリヒドロキシイソプロピルベンゼン、トリメトキシメチルベンゼン、トリメトキシイロプロピルベンゼン、4,4´−ヒドロキシメチルビフェニル、4,4´−メトキシメチルビフェニル、4,4´−アセトキシメチルビフェニル、3,3´−ヒドロキシメチルビフェニル、3,3´−メトキシメチルビフェニル、3,3´−アセトキシメチルビフェニル、4,4´−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、4,4´−メトキシイソプロピルビフェニル、4,4´−アセトキシイソプロピルビフェニル、3,3´−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、3,3´−メトキシイソプロピルビフェニル、3,3´−アセトキシイソプロピルビフェニル、2,5−ヒドロキシメチルナフタレン、2,5−メトキシメチルナフタレン、2,5−アセトキシメチルナフタレン、2,6−ヒドロキシメチルナフタレン、2,6−メトキシメチルナフタレン、2,6−アセトキシメチルナフタレン、2,5−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,5−メトキシイソプロピルナフタレン、2,5−アセトキシイソプロピルナフタレン、2,6−ヒドロキシイソプロピルナフタレン、2,6−メトキシイソプロピルナフタレン、2,6−アセトキシイソプロピルナフタレン等が好適である。
上記(2)の不飽和結合を有する化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テルペン類等が好適である。上記(3)のカルボニル基を有する化合物としては、炭素数5〜15の各種アルデヒド類又はケトン類が好適であり、ベンズアルデヒド、オクタナール、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセトフェノン、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、シクロヘキサンジアルデヒド、トリシクロデカンジアルデヒド、ノルボルナンジアルデヒド、スベルアルデヒド等が好ましい。
上記(4)の特定の活性基又は活性部位を2種類以上有する化合物において、カルボニル基と不飽和結合とを有する化合物としては、イソプロペニルベンズアルデヒド、イソプロペニルアセトフェノン、シトロネラール、シトラール、ペリルアルデヒド等が好適である。また、α−ヒドロキシアルキル基又はα−アルコキシアルキル基と、不飽和結合とを有する化合物としては、ジヒドロキシメチルスチレン、ジヒドロキシメチルα−メチルスチレン、ジメトキシメチルスチレン、ジメトキシメチルα−メチルスチレン、ヒドロキシメチルジビニルベンゼン、ヒドロキシメチルジイソプロピルベンゼン、メトキシメチルジビニルベンゼン、メトキシメチルジイソプロピルベンゼン等が好適である。
上記(5)のアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、及び、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基のいずれかを有する化合物としては、メラミン、ジヒドロキシメチルメラミン、トリヒドロキシメチルメラミン、アセトグアナミン、ジヒドロキシメチルアセトグアナミン、テトラヒドロキシメチルアセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジヒドロキシメチルベンゾグアナミン、テトラヒドロキシメチルベンゾグアナミン、尿素、ジヒドロキシメチル尿素、テトラヒドロキシメチル尿素、エチレンジアミン、ジヒドロキシメチルエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルエチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、テトラヒドロキシメチルヘキサエチレンジアミン、p−キシリレンジアミン、p−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、m−キシリレンジアミン、m−ジヒドロキシメチルアミノベンゼン、4,4´−オキシジアニリン、4,4´−オキシジヒドロキシメチルアニリン、4,4´−メチレンジアニリン、4,4´−メチレンジヒドロキシメチルアニリン等が好適である。これらの中でも、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のトリアジン骨格を有する化合物等が好ましい。
上記反応原料としては、芳香族骨格を形成する化合物(以下、原料Aともいう)と、上記(1)〜(5)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料Bともいう)とを必須成分とすることが好ましい。より好ましくは、原料Aと、上記(1)〜(4)のうちの少なくともいずれか1種の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B1ともいう)と、上記(5)の有機骨格を形成する化合物(以下、原料B2ともいう)とを必須成分とすることである。この場合の反応原料の反応順序としては、反応開始前に原料A、原料B1及び原料B2をあらかじめ混合させておき、原料Aと原料B1との反応が完結する前に原料B2を反応させることが好ましく、例えば、原料Aと原料B1と原料B2とを同時に反応させるか、又は、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることが好ましい。これにより、難燃性をより確実に向上させることができ、また、電子材料等の成形材料や接着剤、塗料等に好適に適用することができるものとなる。より好ましくは、一段階目に原料Aと原料B2とを反応させた後、二段階目に更に原料B1を反応させることである。
上記多価フェノール化合物を製造するときに用いる原料Aと原料Bとの配合モル比としては、1/1以上が好ましく、また、10/1以下が好ましい。1/1よりも原料Aが少ないと、本発明の樹脂組成物の製造の際にゲル化するおそれがあり、10/1よりも原料Aが多いと、樹脂組成物の難燃性が発現しにくくなるおそれがある。より好ましくは、樹脂組成物が高温度で高強度を発揮することが可能となることから、1.3/1以上であり、また、8/1以下である。更に好ましくは、1.8/1以上であり、また、5/1以下である。
上記多価フェノール化合物は、上記反応原料を触媒の存在下に反応させてなるものであることが好ましい。多価フェノール化合物の製造に用いることができる触媒としては、上記反応原料を反応させることができるものであればよい。上記触媒において原料B1を反応させる場合には、酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の無機酸や有機スルホン酸の他、三フッ化ホウ素又はその錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘテロポリ酸等の超強酸、活性白土、合成ゼオライト、スルホン酸型イオン交換樹脂、パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂等の固体酸触媒等が好適である。上記原料B1を反応させる場合の触媒の使用量としては、それぞれの酸強度によって適宜設定されるが、原料B1に対して、0.001〜100質量%が好ましい。これらの範囲で均一系となるような触媒としては、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素等が好ましく、これらの使用量としては0.001〜5質量%が好ましい。不均一系のイオン交換樹脂や活性白土等の使用量としては、1〜100質量%が好ましい。
上記触媒において原料B2を反応させる場合には、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物及びこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等が好適であり、酸触媒としては、塩酸、硫酸、スルホン酸等の無機酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸、ルイス酸、酢酸亜鉛等の2価金属塩等の塩基性触媒が好適である。また、原料B2の反応後に必要に応じて、中和、水洗して塩類等の不純物を除去することが好ましい。なお、触媒としてアミン類を使用した場合には中和、水洗等の不純物除去は行わないことが望ましい。
上記多価フェノール化合物は、原料Aにおける芳香環と、原料Bにおける置換基とが縮合して得られることになるが、この際に多価フェノール化合物と共にカルボン酸やアルコール、水等が副生することになる。このように副生するカルボン酸やアルコール、水は、反応中や反応後に減圧下で留去したり、溶媒との共沸等の操作を行ったりすることにより煩雑な工程を必要とすることなく反応生成物から容易に取り除くことが可能である。なお、反応生成物とは、上記のように反応させることにより得られるものすべてを含む混合物を意味し、多価フェノール化合物や副生するカルボン酸やアルコール、水の他に、必要に応じて用いられる触媒や後述する溶媒等を含むことになる。
上記多価フェノール化合物の製造での反応条件において、反応温度としては、副生するカルボン酸や、アルコール、水等が揮発して留去される温度とすることが好ましく、100〜240℃とすることが好ましい。より好ましくは、110〜180℃であり、更に好ましくは、130〜160℃である。このように、多価フェノール化合物の製造では、カルボン酸等が副生することになるが、反応生成物から容易に取り除くことが可能である。また、使用する原料、触媒の種類や量、反応温度等に依存するが、反応時間としては、原料Aと原料Bとの反応が実質的に完結するまで、すなわちカルボン酸やアルコール、水が生じなくなるまでとすることが好ましく、30分〜24時間とすることが好ましい。より好ましくは、1〜12時間である。
上記多価フェノール化合物の製造における反応方法としては、溶媒の存在下で反応を行ってもよく、溶媒としては、原料Aと原料Bとの反応に不活性な有機溶媒を用いることが好ましく、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等を用いることができる。溶媒を用いることにより、原料を溶媒中に溶解させて均質化することができる。また、原料B1を反応させる場合には無溶媒で反応を行うことが好ましい。
上記多価フェノール化合物の製造において、反応生成物からカルボン酸、アルコール、水等の副生物や溶媒を取り除く場合、0.1〜10kPaの減圧下、上記温度で蒸留することにより留去させることが好適である。このとき、未反応のフェノール類も留去されることもあるため、反応が実質的に完結した後に行うことが好ましい。
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を有するものであればよいが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、フマレート基及びマレイミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する化合物であることが好ましい。すなわち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、フマレート基を有する化合物及びマレイミド基を有する化合物よりなる群から選択される1種以上の化合物であることが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味するものであり、アクリロイル基を有する場合、アクリロイル基中にビニル基を有することになるが、この場合には、アクリロイル基とビニル基とを有することとしないで、アクリロイル基を有することとする。また、フマレート基とは、フマレート構造を有する基、すなわちフマル酸エステルの構造を有する基を意味する。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレン(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、脂環構造を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記(ポリ)エステル(メタ)アクリレートとは、主鎖にエステル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、例えば、脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート(日本化薬社製の「R−629」又は「R−644」)、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の単官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類;
ピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン又はグリセリン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトール又はジトリメチロールプロパン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ペンタオール又はヘキサオール等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)ペンタンジオール、(ポリ)メチルペンタンジオール、(ポリ)ヘキサンジオール等のジオール成分と、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アルケニルコハク酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多塩基酸からなるポリエステルポリオールの(メタ)アクリレート;上記ジオール成分と多塩基酸とε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はメチルバレロラクトンとからなる環状ラクトン変性ポリエステルジオールの(メタ)アクリレート等の多官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類等が好適である。
上記ウレタン(メタ)アクリレートとは、主鎖にウレタン結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物とイソシアネート化合物との反応によって得られる化合物であることが好適である。
上記少なくとも1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はグリシジル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物や、上記の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とε−カプロラクトンとの開環反応物等が好適である。
上記イソシアネート化合物としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジエチルジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアヌレート体等のポリイソシアネート;これらイソシアネート化合物と各種のポリオールとのウレタン化反応によって得られるポリイソシアネート等が好適である。
上記ポリイソシアネートの製造原料としてのポリオールとしては、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のアルキレングリコール類の、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物、ε−カプロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バレロラクトン変性物、メチルバレロラクトン変性物等;
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコール等の炭化水素系ポリオール類;アジピン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール等のポリオールとのエステル化反応物である脂肪族ポリエステルポリオール類;テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸とネオペンチルグリコール等のポリオールとのエステル化反応物である芳香族ポリエステルポリオール類;ポリカーボネートポリオール類;アクリルポリオール類;ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)等の多価水酸基化合物;上記の多価水酸基含有化合物の末端エーテル基のモノ及び多価水酸基含有化合物;上記の多価水酸基含有化合物と、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸等のジカルボン酸とのエステル化により得られる多価水酸基含有化合物;グリセリン等の多価水酸基化合物と、動物、植物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応により得られるモノグリセリド等の多価水酸基含有化合物等が好適である。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、1官能以上のエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、エポキシドとしては、例えば、(メチル)エピクロルヒドリンと、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド;
(メチル)エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、それらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド変性物等から合成されるエピクロルヒドリン変性ビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2´,6,6´−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシド;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類の(ポリ)グリシジルエーテル;グリコール類のアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールの(ポリ)グリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド変性物の(ポリ)グリシジルエーテル等のアルキレン型エポキシド;
アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸のグリシジルエステル、多価アルコールと多価カルボン酸とのポリエステルポリオールのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体;高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化ポリブタジエン等の脂肪族エポキシ樹脂等が好適である。
上記(ポリ)エーテル(メタ)アクリレートとは、主鎖にエーテル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであり、例えば、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の単官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコール等の炭化水素系ポリオール類、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)等の多価水酸基化合物と、(メタ)アクリル酸とから誘導される多官能(メタ)アクリレート類;ネオペンチルグリコール1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテルを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS等の水添ビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;トリスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添トリスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;p,p´−ビフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添ビフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;p,p´−ジヒドロキシベンゾフェノン類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン又はグリセリン1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトール又はジトリメチロールプロパン1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はテトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ペンタオール、ヘキサオール等の多価アルコールの単官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート又は多官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類等が好適である。
上記アルキル(メタ)アクリレート又はアルキレン(メタ)アクリレートとは、主鎖が直鎖アルキル、分岐アルキル、直鎖アルキレン基又は分岐アルキレン基であり、側鎖又は末端にハロゲン原子及び/又は水酸基を有していてもよい(メタ)アクリレートであり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ネリル(メタ)アクリレート、ゲラニル(メタ)アクリレート、ファルネシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、トランス−2−ヘキセン(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートの炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート(以下、ジ、トリ、テトラ等の多官能の総称として「ポリ」を用いる。)、グリセリンのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレートのトリオール、テトラオール、ヘキサオール等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の臭素原子を持つ(メタ)アクリレート;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−8−メチルデシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリレート類等が好適である。
上記芳香環を有する(メタ)アクリレートとは、主鎖又は側鎖に芳香環を有する(メタ)アクリレートであり、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールSジアクリレート等のジアクリレート類等が好適である。
上記脂環構造を有する(メタ)アクリレートとは、主鎖又は側鎖に、構成単位に酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい脂環構造を有する(メタ)アクリレートであり、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、ビシクロヘプチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンチルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロオクチル(メタ)アクリレート、トリシクロヘプチル(メタ)アクリレート、コレステロイド骨格置換(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレート類;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS等の水添ビスフェノール類のジ(メタ)アクリレート、水添トリスフェノール類のジ(メタ)アクリレート、水添p,p´−ビフェノール類のジ(メタ)アクリレート;「カヤラッドR684」(日本化薬社製)等のジシクロペンタン系ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシ(メタ)アクリレート等の環状構造を持つ多官能(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート等の構造中に酸素原子及び/又は窒素原子を有する脂環式アクリレート等が好適である。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸ポリマーとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応物又はグリシジル(メタ)アクリレートポリマーと(メタ)アクリル酸との反応物等のポリ(メタ)アクリル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート;トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル(メタ)アクリレート;ヘキサキス[((メタ)アクリロイルオキシエチル)シクロトリフォスファゼン]等のフォスファゼン(メタ)アクリレート;ポリシロキサン骨格を有する(メタ)アクリレート;ポリブタジエン(メタ)アクリレート;メラミン(メタ)アクリレート等を用いてもよい。これらの(メタ)アクリロイル基を有する化合物の中でも、1分子中に1〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
上記ビニル基を有する化合物としては、他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていてもよいアルキルビニルエーテル(以下、アルキルビニルエーテルともいう)、他末端がハロゲン原子、水酸基又はアミノ基で置換されていてもよいシクロアルキルビニルエーテル(以下、シクロアルキルビニルエーテルともいう)、ビニルエーテル基がアルキレン基と結合し、更に置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基及び芳香族基からなる群より選択される1種以上の基と、エーテル結合、ウレタン結合及びエステル結合からなる群より選択される1種以上の結合を介して結合している構造を有するモノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテル(以下、モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルともいう)等が挙げられる。これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記アルキルビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、ヒドロキシメチルビニルエーテル、クロロメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、4−アミノブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、イソオクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、イソノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、イソデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、イソドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、イソトリデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、イソペンタデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、メチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。
上記シクロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、シクロプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシシクロプロピルビニルエーテル、2−クロロシクロプロピルビニルエーテル、シクロプロピルメチルビニルエーテル、シクロブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシシクロブチルビニルエーテル、3−クロロシクロブチルビニルエーテル、シクロブチルメチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、3−ヒドロキシシクロペンチルビニルエーテル、3−クロロシクロペンチルビニルエーテル、シクロペンチルメチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロへキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−アミノシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が好適である。
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、エーテル結合を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールメチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールメチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、
テトラメチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ジ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(テトラメチレングリコール)ジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールメチルビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ジ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレングリコール)ジビニルエーテル等が好適である。
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、ウレタン結合を有する化合物としては、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテルと1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物のウレタン化反応によって得られる化合物であることが好ましい。
上記1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルエチルビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル等が好適である。
上記1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジエチルジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;プロピルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族のイソシアネート類等が好適である。また、上記1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物の1種類以上の二量体又は三量体等のポリイソシアネートを上記ウレタン結合を有する化合物の原料として用いてもよい。
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、ウレタン結合を有する化合物としては、上記1分子中に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物のうち、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と各種のアルコール類とのウレタン化反応によって得られるアダクト体を用いてもよい。
上記アルコール類としては、1分子中に少なくとも1個の水酸基を持つ化合物等が好適であり、平均分子量が100000以下のものが好ましい。上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジクロロネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキシド付加ビスフェノ−ルA、プロピレンオキシド付加ビスフェノ−ルA、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記アルコール類としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いてもよい。上記ポリエステルポリオールとしては、上述のアルコール類のうちのポリオール成分とカルボン酸との反応によって得られるものが好ましい。上記カルボン酸としては、公知慣用の各種のカルボン酸、又はそれらの酸無水物等を用いることができ、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジメチル−ないしはジエチルエステル等の5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル類、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸もしくはピロメリット酸、又はこれらの酸無水物やメタノール、エタノール等のアルコールとのエステル化合物等が好適である。また、ε−カプロラクトンと上述のポリオール成分との開環反応によって得られるラクトンポリオールを用いてもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、公知慣用のものを用いることができ、例えば、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキシド変性ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド変性ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のエーテルグリコール、3官能以上のポリオールを開始剤として環状エーテルを開環重合してできるポリエーテルポリオール等が好適である。
上記ポリカーボネートポリオールは、カーボネートと各種のポリオールとのエステル交換反応によって得られるものが好ましい。上記カーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニル−トリル−カーボネート、フェニル−クロロフェニル−カーボネートもしくは2−トリル−4−トリル−カーボネート;ジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートのようなジアリール−ないしはジアルキルカーボネート等好適である。上記ポリカーボネートポリオールの製造原料としてのポリオールとしては、上記アルコール類、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオール等が好適である。
上記モノビニルエーテル、ジビニルエーテル及びポリビニルエーテルのうち、エステル結合を有する化合物は、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアルキレングリコールのモノビニルエーテルと1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物とのエステル化反応によって得られるものが好適である。
上記1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアルキレングリコールのモノビニルエーテルとしては、上記のウレタン結合を有する化合物における、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールのモノビニルエーテル等が好適である。
上記1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物としては、公知のカルボン酸及びその酸無水物を用いることができ、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマー酸、アジピン酸、こはく酸、アルケニルこはく酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸;5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジメチル−又はジエチルエステル等の5−ナトリウム−スルホイソフタル酸のジ−低級アルキルエステル類、オルソフタル酸、4−スルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、ムコン酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸若しくはピロメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸又はこれらの酸無水物等が好適である。更に、これらのカルボン酸のうち、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物と上記のウレタン結合を有する化合物におけるアルコール類との反応によって得られるカルボン酸を用いることもできる。
上記フマレート基を有する化合物としては、例えば、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマル酸エステル類、フマル酸と多価アルコールとのエステル化反応物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記マレイミド基を有する化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−イソプロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート等の単官能脂肪族マレイミド類;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−2−トリフルオロメチルフェニルマレイミド等の芳香族単官能マレイミド類;N,N´−メチレンビスマレイミド、N,N´−エチレンビスマレイミド、N,N´−トリメチレンビスマレイミド、N,N´−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N´−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等の脂環式ビスマレイミド;N,N´−(4,4´−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N´−(4,4´−ジフェニルオキシ)ビスマレイミド、N,N´−p−フェニレンビスマレイミド、N,N´−m−フェニレンビスマレイミド、N,N´−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N´−2,6−トリレンビスマレイミド、N,N´−〔4,4´−ビス(3,5−ジメチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド、N,N´−〔4,4´−ビス(3,5−ジエチルフェニル)メタン〕ビスマレイミド等の芳香族ビスマレイミド類等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合性不飽和結合を有する化合物として用いることができるその他の化合物としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド類;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能(メタ)アクリルアミド類;酢酸ビニル、ケイ皮酸ビニル等のカルボン酸ビニル誘導体;スチレン、ジビニルスチレン等のスチレン誘導体;ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラウリルアルコールエトキシアクリレート、エポキシステアリルアクリレート、2−(1−メチル−4−ジメチル)ブチル−5−メチル−7−ジメチルオクチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノールポリアルコキシアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールポリプロピレンオキサイド変性アクリレート、ブトキシポリプロピレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールラクトン変性アクリレート、ラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルオキシエチルアクリレート等のアクリレート類;
アクリロイルモルホリン、ダイアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニルアミド類;ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;クロルフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ラウリルマレイミド等のマレイミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、2,2−ジ(グリシジルオキシフェニル)プロパンのアクリル酸付加物、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
以下に、本発明の樹脂組成物に好適に用いることができる無機微粒子について説明する。なお、本明細書に記載する無機微粒子の好ましい形態等を適宜組み合わせることによって、上述したように、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11である無機微粒子(例えば、無機微粒子を15質量%、有機溶媒を35質量%、水を50質量%である溶液の25℃でのpHを3.4〜11となる特性のもの等)とすることができ、本発明の好ましい形態のものとすることができる。
上記無機微粒子としては、金属や金属化合物等の無機化合物から構成される微粒子であればよく、特に限定されるものではない。無機微粒子における無機成分としては、金属の酸化物、水酸化物、(酸)窒化物、(酸)硫化物、炭化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、(塩基性)炭酸塩、(塩基性)酢酸塩等が例示される。これらの中でも好ましくは、金属の酸化物(金属酸化物)である。なお、金属酸化物とは、以下のものを意味/包含するものである。すなわち、金属(M)を金属成分とし、メタロキサン(M−O)結合を主たる結合成分とする化合物を意味する。また、単一の金属成分からなる単一酸化物、複数の金属成分からなる複合酸化物、これらの金属酸化物に金属元素M、酸素とは異なる異種の金属元素が固溶してなる固溶体酸化物が例示される。また、定比組成からなる金属酸化物、不定比組成:例えば、ZnO(1−δ)、TiO(2−δ)、Ni(1−δ)O等の金属元素又は酸素元素が定比組成に対して過剰又は欠損した、不定比組成の金属酸化物も好ましく採用し得る。金属酸化物の形態としては、結晶質、非品質いずれも包含する。結晶質であるか非晶質であるかや、結晶性が高いか低いかは、通常、X線回折測定により評価することができる。また、水和した金属酸化物も本発明でいう金属酸化物に含まれる。また、金属酸化物粒子の製造過程での原料由来の残基、原子、原子団が、表面又は内部の金属原子又は酸素原子の一部に結合したものも含まれていてもよい。例えば、有機基、水酸基、硝酸根、硫酸根、ハロゲン原子、水素原子、アルカリ金属原子(イオン)等である。上記有機基としては、メトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシル基;エタノイル基(アセトキシ基)、プロパノイル基等のカルボキシル基;β−ジカルボニル基;β−ケトエステル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;アラルキル基等が好ましく例示される。
上記無機微粒子としては、微粒子の樹脂との親和性向上、分散性向上等の目的で、表面処理された粒子も包含される。表面処理剤としては、特に限定されず、微粒子表面に有機鎖、高分子鎖の導入又は表面電荷制御の目的で、各種の有機化合物、無機化合物、有機金属化合物等が用いられる。例えば、
1)カップリング剤;シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤;金属アルコキシド類及びこれらの(部分)加水分解・縮合物;金属石鹸;等の有機金属化合物。
2)有機アミン、βジケトン化合物、カルボン酸等の有機化合物。
3)従来公知の高分子系分散剤の他に、(メタ)アクリル樹脂系、ポリスチレン樹脂系、ポリオレフィン系、酢酸ビニル樹脂系、アクリルシリコーン系等のビニル系モノマーの(共)重合体系ポリマー;アルキド樹脂系ポリマー;アミノ樹脂系ポリマー;エポキシ樹脂系ポリマー;ポリアミド樹脂系ポリマー;ポリイミド樹脂系ポリマー;ポリウレタン樹脂系ポリマー;ポリエステル樹脂系ポリマー;フェノール樹脂系ポリマー;オルガノポリシロキサン系ポリマー;ポリアルキレングリコール系ポリマー;フッ素樹脂系等の高分子化合物及びこれらの変性物。
4)(カチオン系、アニオン系、両性、ノニオン系等の)各種界面活性剤。
5)アルカリ金属イオン、ハロゲンイオン。
等が好適である。
上記金属元素(M)としては、任意であるが、例えば、金属元素(M)としては、特に限定はないが、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra等のアルカリ土類金属元素;La、Ce等のランタノイド系金属元素;Ac等のアクチノイド系金属元素;Sc、Y等のIIIa族金属元素;Ti、Zr、Hf等のIVa族金属元素;V、Nb、Ta等のVa族金属元素;Cr、Mo、W等のVIa族金属元素;Mn、Tc、Re等のVIIa族金属元素;Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等のVIII族金属元素;Cu、Ag、Au等のIb族金属元素;Zn、Cd、Hg等のIIb族金属元素;Al、Ga、In、Tl等のIIIb族金属元素;Si、Ge、Sn、Pb等のIVb族金属元素;Sb、Bi等のVb族金属元素;Se、Te等のVIb族金属元素等を挙げることができ、これらが1種または2種以上併存していてもよい。これらの中でも、組成物の目的とする、電気的特性、光学特性、磁気的特性等により選択することができる。例えば、光学物性のうち、高屈折率の樹脂組成物を得たい場合には、Ti、Zr、In、Zn、La、Al等が好ましく、低屈折率の組成物を得たい場合は、Siが好ましい。
上記微粒子の形状としては、特に限定されない。形状の具体例としては、球状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、(六角)板状等の薄片状などが例示される。
上記無機微粒子としては、液相合成法で得られた無機微粒子、特に、後述する液相合成法で得られた金属酸化物微粒子が好ましい。例えば、後述するアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物からなる無機微粒子は、気相合成法により得られる無機微粒子とは異なる微細構造を有している。例えば、無機微粒子がSi、Al、P、Fe、Ag、Sn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Cu、Zn、Sb、La等の金属元素又は非金属元素を含有してなる場合、核磁気共鳴(NMR)測定により確認することができる。一例として、Siを含有する場合について述べると、1個のSi原子の周りを4個の酸素原子が配位したSiO原子団が構成する正四面体が基本構造となっており、SiO原子団同士が酸素原子を共有化するか否かで異なる微細構造をとる。シリカをハロゲン化珪素の加熱分解や加熱還元化した珪砂の空気酸化により製造した場合、すべてのSiO原子団は酸素原子を共有化するため、Si−NMR測定を行うと、−120〜−100ppmにピークトップを持つQシリカ成分のみが観測される。これに対して上記アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物の場合、酸素原子を共有しないSiO原子団が出現し、Qシリカ成分とともに−100ppm〜−90ppmにピークトップを持つQシリカ成分も確認される。このようなNMR測定は、無機微粒子がアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解縮合物であるかどうかを確認するための有力な手法となり得、更に無機微粒子により期待される各種性能がどの程度付与されうるかを調べることも可能である。
上記有機無機複合樹脂組成物を得るための無機微粒子の樹脂成分への配合方法としては、外部添加法と内部析出法とが好適に用いられる。
上記無機微粒子の外部添加法、具体的には、無機微粒子の樹脂組成物への添加形態、分散体について説明する。
上記無機微粒子/金属酸化物粒子の形態としては、粒子が液状の媒体に分散した形態で、樹脂成分と混合することが好ましい。媒体としては、溶媒、可塑剤、モノマー、液状樹脂等を例示することができる。溶媒としては、水、有機溶媒、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が好適である。
溶媒分散体としては、表面改質された無機系微粒子を含み、溶媒をさらに含む。この場合の溶媒としては、上述の溶媒を挙げることができる。溶媒分散体における無機系微粒子の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の10〜70重量%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、溶媒分散体は、この程度の含有量において取扱いやすい。溶媒分散体における溶媒の含有量については、特に限定はないが、好ましくは溶媒分散体全体の90〜30重量%、さらに好ましくは80〜50重量%である。
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、脂肪族および芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族および芳香族の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類のほか、鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等を挙げることができる。
可塑剤分散体としては、可塑剤に分散させるものであり、上記無機微粒子、好ましくは表面改質された無機系微粒子を含み、可塑剤をさらに含有する。この場合、可塑剤としては、特に限定はなく、例えば、りん酸トリブチル、りん酸2−エチルヘキシル等のりん酸エステル系可塑剤;フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸オクチルデシル等のフタル酸エステル系可塑剤;オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、等の脂肪族−塩基酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどの二価アルコールエステル系可塑剤;アセチルリシノール酸メチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのオキシ酸エステル系可塑剤等の従来公知の可塑剤を挙げることができる。
モノマー分散体としては、樹脂成分となる重合性モノマーに分散するものであり、上記無機微粒子、好ましくは表面改質された無機系微粒子を含み、モノマーをさらに含有する。モノマー分散体に用いられるモノマーとしては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系モノマーなど、従来公知のモノマーを挙げることができる。
樹脂組成物を調製するための上記無機微粒子粉体、微粒子分散体における微粒子の粒子径としては、微細であることが透明な樹脂組成物が得られ、得られた樹脂組成物における微粒子の配合効果(例えば、熱膨張係数の低減効果、アッベ数の向上効果、屈折率制御効果等)が大きくなる点から好ましく、具体的には、微粒子の一次粒径は、1nm〜400nm、より好ましくは、100nm以下、更に好ましくは50nm以下、特に好ましくは20nm以下である。微粒子の一次粒径は、例えば、上述した小角X線散乱法による慣性半径を測定する方法、電子顕微鏡より任意の粒子に関して粒子径を測定する方法、比表面積測定より測定される比表面積径Ds(nm);
Ds=6000/(ρ×S)
(但し、ρ:金属酸化物系粒子の真比重、S:B.E.T.法で測定される金属酸化物系粒子の比表面積(m/g))、又は、結晶質の場合にはX線回折測定による結晶子径の測定により、求めることができる。
上記無機微粒子粉体、微粒子分散体における微粒子の分散粒径は、一次粒径又はそれに近い大きさに分布していることが好ましく、具体的には、平均粒子径が、400nm以下、更に好ましくは70nm以下、特に好ましくは30nm以下である。また分散粒子径は、動的光散乱法、遠心沈降法等により評価することができる。樹脂組成物中における一次粒径並びに分散粒径に関しても上記微粒子粉体、微粒子分散体の場合と同様の範囲が好ましく、前記した小角X線散乱法等で評価することができる。
このような範囲としては、樹脂組成物においても、同様の範囲であることが好ましい。
上記外部添加法に用いる無機微粒子の中で、その製造方法としては、従来技術公知の液相合成法、気相合成法、固相合成法のうち、透明性を確保できる液相合成法で得られた微粒子を本願でいう湿式粒子(湿式無機微粒子)とする。本発明の有機無機複合樹脂組成物においては、湿式無機微粒子を必須とするものであり、例えば、気相合成法、固相合成法で得られた無機微粒子を含んでいてもよいが、上述したように全ての無機微粒子成分が湿式無機微粒である形態が好ましい。
上記湿式無機微粒子として好適なものとしては、本願の組成物の原料として、乾燥工程を経ずに得られ、無機微粒子を含有する液状物として提供できるものである。すなわち、本発明の無機微粒子としては、液相合成法により合成されたものであればよく、中でも、液相合成法により合成されたものであって、乾燥工程を経ないものが好ましい。乾燥物を経ないとは、微粒子の合成(生成)(液相合成法)から、本願複合樹脂組成物(有機無機複合樹脂組成物)の原料として用いるまで、乾燥粉末化する工程を経ないことを表し、いわゆるオール湿式プロセスのことをいう。例えば、一貫した液相プロセス、液状プロセスである。また、ウエットなケーキ状態を減る工程は、湿式プロセスの範囲に含まれる。当然、本願の複合樹脂組成物の構成成分となる有機樹脂成分の1つに、微粒子合成反応液から乾燥過程を経ずに、分散させたものも湿式無機微粒子に含まれる。液状物には、ウエットケーキ、溶媒分散体、液状樹脂分散体等が含まれる。
なお、無機微粒子の中でも好適に使用しうる金属酸化物微粒子の気相合成法、固相合成法としては以下のものが好適である。
〔気相合成法〕
無機又は有機金属塩を、蒸気化して、通常、空気中で高温(酸化)熱分解する方法に代表され、例えば、金属ハロゲン化物を加熱し酸化して酸化物とする方法(例えば、アルミニウム、ケイ素、チタンなどのハロゲン化物をガス化して酸素又は水蒸気などによって高温気相酸化分解する方法はアルミナ、シリカ、酸化チタン等の微細粉末の工業的製法)、金属カルボニル化合物や有機金属化合物を酸化熱分解する方法が例示される。また、金属原料(金属、鉱物)を加熱し、金属蒸気を高温で空気酸化する方法(例えば、フランス法ZnOの工業的製法)も例示される。
〔固相合成法〕
金属の水酸化物や炭酸塩を加熱して分解し酸化物を得る方法が挙げられる。液相合成法で、金属酸化物(水和物)の中間体を得た後、気相又は固相で酸化物に転換する手法が例示される。例えば、酸アルカリによる分解沈殿法で、金属炭酸塩等の金属塩類を得た後、加熱して分解し酸化物を得る方法が好適である。
次に本発明の必須成分である湿式無機微粒子の中でも有用な湿式金属酸化物微粒子の液相合成法について説明する。
〔液相合成法〕
酸アルカリによる分解沈殿法、有機金属化合物の加水分解・縮合法、金属ハロゲン化物の加水分解・縮合法、水熱反応などの沈殿法が好ましく採用し得る。
酸アルカリによる分解沈殿法:金属塩類の水溶液のアルカリによる分解、塩基性塩の酸による分解、金属塩類と塩基性塩の複分解等の反応が例示される。後述の水ガラスの水溶液のアルカリによる中和反応によるシリカ粒子の製造方法は、酸アルカリによる分解沈殿法の一例である。
これら沈殿法により、通常、金属の酸化物又は酸化物水和物の反応液が得られるが、これらは、本発明の金属酸化物微粒子原料として好ましく採用し得る。
上記の各種方法のうち、有機金属化合物の加水分解、縮合法以外は、通常、ろ過、洗浄による不純物の除去工程を経た後、粉末化及び/又は(溶媒置換や粉末の分散媒体への再分散による)分散体化した後、使用することが好ましい。
有機金属化合物の加水分解・縮合法の場合は得られた反応液より、上記の洗浄工程を経ずとも、所望の形態(粉末、分散体)に加工することができる。
液相合成法により金属酸化物(水和物)微粒子の反応液を得た後、乾燥工程を経ずに、樹脂成分と混合する形態に調製する一貫した液相プロセスが、乾燥時の2次凝集を回避することができるため、好適である。具体的には、反応液を必要に応じて濃縮し、加熱溶媒置換等の如く、反応液中の溶媒成分の除去と所望の分散媒体(樹脂成分、モノマー、溶媒など)への置換を同時に行うプロセスが好ましい。
上記無機微粒子の液相合成法の中でも、内部析出法にも好ましく適用し得る、有機金属化合物の加水分解・縮合法について説明する。
有機金属化合物の中でも、アルコキシド化合物(好ましくは金属アルコキシド)及び/又はカルボン酸塩化合物(好ましくはカルボン酸金属塩)が好適である。
以下に、アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物の加水分解反応及び縮合反応を示す。
M´(OR+aHO(加水分解)→M´(OH)+aROH
M´(OH)→M´(OH)→M´O2/c(縮合物)
(式中、M´は金属元素を表し、Rはアルキル基又はアシル基を表す。a、b及びcは任意の数値である。)
上記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、下記一般式(2);
M´(OR (2)
(式中、M´は金属元素、Rはアルキル基又はアシル基を表し、nは1〜7の整数を表す。)で表される化合物及び/又は下記一般式(3);
(RM´(OR (3)
(式中、M´及びRは一般式(2)と同様である。Rは有機基を表し、m及びpは1〜6の整数を表す。)で表される化合物が好適である。
上記一般式(2)及び(3)におけるRのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好適であり、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が好ましい。また、Rのアシル基としては、炭素数1〜4のアシル基が好適であり、アセチル基、プロピオニル基、ブチニル基等が好ましい。
上記一般式(3)におけるRの有機基としては、炭素数1〜8の有機基が好適であり、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基;3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;2−メルカプトプロピル基等のメルカプト基含有アルキル基;2−アミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−アミノプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基等のアミノ基含有アルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等のエポキシ基含有有機基;ビニル基、3−(メタ)アクリルオキシプロピル基等の不飽和基含有有機基等が好ましい。
上記一般式(2)及び(3)における金属元素M´としては、上記一般式(2)及び一般式(3)に示す化合物の構造を取り得る金属元素であれば周期表のどの元素でもよく、上述した金属(M)と同様のものを採用しうる。好ましくは、B、Al、Ga、In、Tl等のIIIB族;C、Si、Ge、Sn、Pb等のIVB族;Ti、Zr、Zn、Ca、Na、Li、Te、Mg、Ni、Cr、Ba、Ta、Mo、Tb、Cs等を挙げることができる。
また前記アルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、M´が異なる2種以上のものを併用する、又は、2種類以上のM´を複合的に含有するものを使用してもよい。特に、光学用途においては、絶縁性が要求されるため、イオン伝導性の低いものを選択することが好ましく、前記金属元素M´としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く典型金属元素、遷移金属元素、又は、非金属元素が好ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除く典型金属元素としては、Al又はInが好適であり、非金属元素としては、Siが好適である。
上記M´がSiである場合のアルコキシド化合物やカルボン酸塩化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アニリン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;テトラアセチルオキシシラン、テトラプロピオニルオキシシラン等のテトラアシルオキシシラン類;メチルトリアセチルオキシシラン、エチルトリアセチルオキシシラン等のトリアシルオキシシラン類;ジメチルジアセチルオキシシラン、ジエチルジアセチルオキシシラン等のジアシルオキシシラン類等が好適である。これらの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
上記M´がSi以外である場合のアルコキシド化合物としては、Cu(OCH、Zn(OC、B(OCH、Al(OCH、Al(OC、Al(iso−OC、Al(OC、Ga(OC、Y(OC、Ge(OC、Pb(OC、P(OCH、Sb(OC、VO(OC、Ta(OC、W(OC、La(OC、Nd(OC、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(iso−OC、Ti(OC、Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC等の単一金属アルコキシド;La[Al(iso−OC、Mg[Al(iso−OC、Mg[Al(sec−OC、Ni[Al(iso−OC、(CO)Zr[Al(OC、Ba[Zr(OC等の複合金属アルコキシド等が好適である。
アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物の加水分解・縮合反応は、これらの化合物を、通常、有機溶媒中で、水と接触させることにより行わせることができる。アルコールが有機溶媒として好ましい。また、加水分解・縮合反応を進めるために、通常、加水分解触媒を共存させる。外部添加法で用いる金属酸化物微粒子を得るための触媒としては、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等のカルボン酸等の酸触媒、アンモニア、アミン等の塩基性触媒が好ましい。金属元素M´の種類により、適宜選択し得る。反応温度は通常0〜120℃であることが好ましく、より好ましくは、10〜100℃である。
内部添加法で好適な触媒、条件に関しては、後述する。
次に、金属酸化物微粒子の中でも特に有用な湿式法ケイ素系酸化物微粒子、その製法について説明する。
上記ケイ素系酸化物粒子(分散体)の具体例としては、SiOを主成分とする、シリカ粒子の他に、ケイ素の一部に、アルキル基等の有機基が結合した、例えば、ポリメチルシルセスキオキサン系粒子等のオルガノシロキサン系粒子・・・一般式(4) RSiO(4−m)/2が好ましく例示される。
上記のシリカ粒子としては、a)水ガラスを出発原料とする方法、b)加水分解可能なシリコン化合物の加水分解・縮合反応により得られたものが好ましい。
a)水ガラスと硝酸、塩酸等の無機酸とを水媒体中で混合する方法(前記酸アルカリによる分解沈殿法の一つ)や水ガラス水溶液をイオン交換樹脂と接触させることにより水ガラス中のアルカリ金属成分とプロトンをイオン交換する方法(イオン交換方法)が好ましく用いられる。この方法によると、コロイダル状のシリカ粒子が生成する。
得られた反応液(シリカの微細な粒子が生成、前者の方法では無機酸根とアルカリ金属の塩が溶解している)より、必要に応じて、脱塩処理を施し、溶媒成分を一部除去することにより濃縮されたシリカ粒子の水系分散体が得られる。従来技術公知の方法(加熱溶媒置換、遠心分離と再分散等)で所望の溶媒に溶媒置換することができる。
b)前記一般式(2)において、M´=Siの場合のシリコン化合物を、含水有機溶媒中、好ましくは含水アルコール中で、好ましくは、加水分解触媒存在下で、加水分解、縮合反応させることにより得られる。触媒は、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等のカルボン酸等の酸触媒、アンモニア、アミン等の塩基性触媒が好ましく、特に塩基性触媒が好ましい。
得られたシリカ粒子の反応液を濃縮及び/又は所望の有機溶媒に溶媒置換することにより、シリカ粒子の微粒子分散体とすることができる。
オルガノシロキサン系粒子・・・・一般式(4) RSiO(4−m)/2の製法例
前記一般式(3)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種、又は、前記一般式(3)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種及び前記一般式(2)におけるM´=Siの場合のシリコン化合物の少なくとも一種を、上記(b)と同様に、(共)加水分解・縮合することにより、得られる。
工業的に入手可能なケイ素系酸化物粒子分散体の例としては、日産化学のオルガノシリカゾルが好適である。
本発明で使用する無機微粒子の製造方法としては、上述した樹脂成分を含有してなる液体媒体中で、アルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物を加水分解及び縮合して無機微粒子を得る方法(内部析出法)が好適である。樹脂成分を含有する液体媒体中で加水分解縮合物を得ることによって、有機−無機の複合化が行われ、マトリックスである樹脂中に、無機微粒子が微細に分散した有機−無機ハイブリッド(複合体)である本発明の樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られた有機−無機ハイブリッドは、優れた硬化性及び難燃性を発揮するものである。
以下に、内部析出法について、説明する。内部析出法においては、上述した有機金属化合物の加水分解・縮合法の説明で記載した原料等を好適に用いることができる。
上記無機微粒子の具体的な製造方法(内部析出法)としては、まず、樹脂を含有してなる液体媒体、好ましくは樹脂を含有してなる溶液を調製し、その溶液にアルコキシド化合物及び/又はカルボン酸塩化合物と、水又はそれを含有する溶媒とを投入して、加水分解反応及び縮合反応を行えば良い。上記樹脂成分を含有してなる液体媒体としては、上記樹脂成分と溶剤、可塑剤、又は、滑剤として、エーテル結合、エステル結合、及び、窒素原子よりなる群から選択される少なくとも一つ以上の構造を有する化合物を使用することが好ましい。
上記エーテル結合を有する化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ペラトロール、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、ジオキサン、トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、シオネール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、グリセリンエーテル、クラウンエーテル、メチラール、アセタール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が好適である。
上記エステル結合を有する化合物としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノブチリン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、酪酸エステル類、イソ酪酸エステル類、イソ吉草酸エステル類、ステアリン酸エステル類、安息香酸エステル類、ケイ皮酸エチル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、γ−ブチロラクトン類、シュウ酸エステル類、マロン酸エステル類、マレイン酸エステル類、酒石酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、フタル酸エステル類、二酢酸エチレン類等が好適である。
上記窒素原子を含有してなる化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、α−トルニトリル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム等が好適である。
上記エーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた構造を複数有する化合物としては、例えば、N−エチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
上記溶媒等の使用量としては、樹脂100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、また、500重量部以下が好ましい。より好ましくは、20重量部以上であり、また、200重量部以下である。上記その他の溶媒としては、メタノール、エタノール等が好適である。
上記樹脂を含有する液体媒体中での加水分解及び縮合の反応条件において、反応温度としては、0〜120℃とすることが好ましい。より好ましくは、10〜100℃であり、更に好ましくは、20〜80℃である。また、反応時間としては、30分〜24時間とすることが好ましい。より好ましくは、1〜12時間である。上記無機微粒子を調製する場合における反応条件としては、反応温度は調製する無機微粒子により適宜設定すればよく、反応圧力は常圧としても加圧してもよいが、本発明では、例えば、反応温度を100℃以下、好ましくは、50〜100℃とし、更に好ましくは、70〜100℃とし、反応圧力を常圧とし、反応時間を4〜10時間とすることができる。
上記有機無機複合樹脂組成物の製造方法(内部析出法)としては、水の存在下で金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩を加水分解及び縮合して製造されることが好ましい。また、このような製造方法において、2種類以上の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の一部を加水分解及び縮合した反応液に残りの金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩を投入し、引き続き加水分解及び縮合する製造方法であることがより好ましい。
上記金属アルコキシド及びカルボン酸金属塩は金属元素に結合する有機基の種類や数によって加水分解及び縮合の反応速度が異なり、一般に低極性の有機基であってヘテロ元素を介することなく金属にσ結合で結合する有機基が多い、又は、O、Nなどのヘテロ元素を介して結合する有機基が少ないほど反応速度が低い。反応速度の異なる金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩を一括投入した場合、反応初期においては反応速度の速い金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩のみが加水分解及び縮合し、系内の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の組成が変化してしまい、反応後期においては反応速度の遅い金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩のみが加水分解及び縮合する。このため加水分解及び縮合物は原料組成だけでなくその粒径も不均一であり、屈折率の分布が大きくなり、樹脂組成物が可視光透過の際にレイリー散乱を起こしやすい。
上記製造方法としては、2種類以上の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩のうち、加水分解及び縮合速度の低い化合物から投入して、所定の反応率まで加水分解及び縮合を進めた後に、加水分解及び縮合速度の速い化合物を投入し、引き続き加水分解及び縮合するのが好ましい。これにより、得られる加水分解及び縮合物の原料組成や粒径は均一になりやすく、樹脂組成物が可視光透過の際のレイリー散乱を起こしにくくなる。2種類以上の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の加水分解及び縮合反応の分割数としては、用いる原料の数に分割するのが最も好ましいが、反応速度に応じて反応速度の速い化合物の混合体と反応速度の遅い化合物の混合体に2分割してもよい。
上記加水分解及び縮合の反応率については、種々の方法によって行うことができる。金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩の一例としてアルコキシシランの場合を挙げる。アルコキシシランの場合ではアルコキシシリル骨格が加水分解しシラノールとなり、更にシラノール同士の脱水縮合又はシラノールとアルコキシシリル骨格との脱アルコール縮合が進行してシロキサン縮合を形成する。そこで例えば、ガスクロマトグラフィーによって未反応シランを定量する、NMRによってアルコキシル基を定量する、FT−IRによりシラノールを定量することで反応率の変化を追跡することが可能となる。
上記加水分解及び縮合反応の次工程を行うかどうかはガスクロマトグラフィーによる未反応の金属アルコキシド及び/又はカルボン酸金属塩での定量によるのが好ましく、残存率としては50〜0%、より好ましくは40〜0%、更に好ましくは30〜0%である。ガスクロマトグラフィーの測定条件は公知公用の条件でよい。
上記加水分解及び縮合反応においては反応を促進するために、金属キレート化合物を使用することもできる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。上記内部析出法における加水分解・縮合反応においては、このような触媒が好ましい。上記金属キレート化合物としては、Zr(OR(RCOCHCOR4−q、Ti(OR(RCOCHCOR4−r、及び、Al(OR(RCOCHCOR4−sからなる群より選択される1種以上の化合物やこれらの部分加水分解物等が好適である。
上記金属キレート化合物におけるR及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜6の有機基を表し、Rは、炭素数1〜6の有機基又は炭素数1〜16のアルコキシル基を表し、q及びrは、0〜3の整数、sは、0〜2の整数である。R及びRにおける炭素数1〜6の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基等が好適である。また、Rにおける炭素数1〜16のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が好適である。
上記金属キレート化合物としては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム等のチタニウムキレート化合物;ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が好適である。これらの中でも、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。
上記金属キレート化合物の使用量としては、上記一般式(2)で表される化合物及び/又は上記一般式(3)で表される化合物100重量部に対して、30重量部以下が好ましい。30重量部を超えると、成形品の表面外観が低下するおそれがある。より好ましくは、20重量部以下であり、更に好ましくは、10重量部以下である。
上記有機無機複合樹脂組成物の他の説明としては、下記のとおりである。なお、内部析出法及び外部添加法の両方に共通する。
本発明の樹脂組成物は、上記無機微粒子を1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、50質量%以下、より好ましくは40質量%以下含有することが好ましい。1質量%以上とすることにより、得られる樹脂組成物の難燃性や熱的性質の改善効果が充分に発現することとなる。50質量%を超えると、高粘度化して組成物を均一に混合できないおそれがある。
本発明の樹脂組成物は、上述した樹脂や無機微粒子の他に、離型剤、硬化剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
上記離型剤(又は添加剤)としては、通常の離型剤を好適にもちいることができるが、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このような離型剤を含有することで、金型を用いて硬化する際に、容易に金型を剥がすことができ、硬化物の表面に傷をつけることなく外観を制御し、透明性を発現させることもできることから、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用である。
上記化合物としては、上述した群より選ばれる少なくとも一つの化合物を有するものであればよく、これらの中でも好ましくは、アルコール、カルボン酸、カルボン酸エステルであり、より好ましくはカルボン酸である。
上記化合物は炭素数8〜36であり、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよく、分岐しているものが好ましい。
上記炭素数としては、8〜36の整数である。このような範囲のある程度の長鎖を有するのものであれば、本発明の作用効果を発揮し、樹脂組成物の透明性、作業性等の機能を損なうことなく優れた剥離性を示すことができる。また、入手が比較的容易であり、経済性も優れたものとすることができる。炭素数として好ましくは、8〜20であり、より好ましくは、10〜18である。
上記化合物は、炭素数8〜36のアルコール、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であり、具体例としては、下記のものが好適である。
上記炭素数が8〜36アルコールとは、一価又は多価のアルコールであり、直鎖状のものでも分岐状のものでもよい。具体的には、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、マーガリルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコ−ル、メチルペンチルアルコール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、3.5−ジメチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、ジペンタエリスリトール、2−フェニルエタノール等が好適である。上記アルコールとしては、脂肪族アルコールが好ましく、なかでも、オクチルアルコール(オクタノール)、ラウリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール(2−エチルヘキサノール)、ステアリルアルコールがより好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸とは、1価又は多価のカルボン酸であり、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、1−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、1−ヘキサコサン酸、ベヘン酸等が好適である。好ましくは、オクタン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸である。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸エステルとは、(1)上記アルコールとカルボン酸とから得られるカルボン酸エステル、(2)メタノール、エタノール、プロパノール、ヘプタノール、ヘキサノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の炭素数1〜7のアルコールと上記カルボン酸との組み合わせで得られるカルボン酸エステル、(3)酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ブタン酸等の炭素数1〜7のカルボン酸と上記アルコールとの組み合わせで得られるカルボン酸エステル等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸エチルエステル、酢酸オクチル等が好ましい。
上記炭素数が8〜36のカルボン酸塩とは、上記カルボン酸と、アミン、Na、K、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Snとの組み合わせで得られるカルボン酸塩等が好適である。これらのなかでも、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、2−エチルヘキサン酸Zn等が好ましい。
上述の化合物の中でもより好ましくは、ステアリン酸及びステアリン酸エステル等のステアリン酸系化合物、アルコール系化合物であり、更に好ましくは、ステアリン酸系化合物である。このように、上記有機無機複合樹脂組成物は、ステアリン酸系化合物を含有する有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記離型剤の含有量としては、樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると樹脂が硬化しにくくなる等のおそれがある。より好ましくは、0.01〜5質量%であり、更に好ましくは、0.1〜2質量%である。
上記硬化剤としては、熱潜在性硬化剤であることが好ましい。熱潜在性硬化剤とは、熱潜在性カチオン発生剤、カチオン重合開始剤とも呼ばれ、樹脂組成物において硬化温度になれば、硬化剤としての実質的な機能を発揮するものである。このような熱潜在性カチオン発生剤を用いることにより、例えば、室温で硬化がすすむような有機樹脂を用いた場合であっても、室温で硬化を進まないようにすることができ、硬化反応のハンドリングが容易にできるようになる。また、得られる樹脂組成物の耐湿性が劇的に改善され、過酷な使用環境においても樹脂組成物が有する優れた光学特性を保持し、種々の用途に好適に用いることができるものとなる。通常、屈折率が高い水分が樹脂組成物やその硬化物に含まれると、濁りの原因になるが、優れた耐湿性が発揮できることから、このような濁りが抑制され、レンズ等の光学用途に好適に用いることができる。特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、下記一般式(1)
(R Z)+m(AXn)−m(1)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R Z)+mはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、上述の構造を有するものであればよいが、これらは、一般に、硬化温度でカチオンが発生することになる。硬化温度としては、25〜250℃であることが好ましい。より好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜180℃である。
また硬化条件としては硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては型内保持温度を25℃〜250℃、より好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは80〜180℃であり、保持時間は10秒〜5分、より好ましくは30秒〜5分、更に好ましくは1分〜3分である。
上記一般式(1)の陰イオン(AXn)−mの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6−)等が挙げられる。
更に一般式AXn(OH)で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記熱潜在性カチオン発生剤の具体的な商品としては、ジアゾニウム塩タイプ:AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)
ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)
スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)
等が挙げられる。
本発明の有機無機複合樹脂組成物は、40kgf/cm以下の強度で離型するものであることが好ましい。上記有機無機複合樹脂組成物において、40kgf/cm以下の強度で離型するとは、当該技術分野において容易に剥離し、製造工程で生産性よく製造することができ、樹脂組成物の連続生産ができると評価されることを意味する。離型強度が、40kgf/cmを超えると生産性よく製造できず、経済性に優れたものとならないおそれがある。剥離強度として好ましくは、20kgf/cm以下であり、より好ましくは、10kgf/cm以下であり、更に好ましくは、1kgf/cm以下であり、特に好ましくは、0.1kgf/cm以下である。
上記剥離強度は、透明材料の連続生産時に必要な条件として、副反応が生じる150℃以下の温度で短時間にある程度の材料硬度(40kgf/cm以下の強度で離型する)であることが好ましい。このような剥離強度(材料硬度)は、例えば、以下のようにして評価することができる。120℃、2.5分で樹脂組成物をSUS304基板状に高さ1mmで硬化し、30℃に30s以内で冷却し、樹脂とSUS304の界面にカッター(エヌティー社製、本体型番:L−500、刃の型番:BL−150P)を所望の力(例えば、剥離強度40kgf/cmの力)で押し当てて離型のしやすさを評価することができる。なお、剥離強度40kgf/cmの力は、1.5kgの荷重を長さ2cmの樹脂と、SUS304界面にカッターを用いて加えたときの値として算出している。なお、カッターの刃先の荷重が加わる面積を、0.04cmとした。
本発明の有機無機複合樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化や光硬化等の種々の方法を好適に用いることができるが、有機無機複合樹脂組成物に硬化剤や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して硬化させ、その後硬化物を金型から取り出す方法が好適に用いられる。このような方法においては、硬化剤等を混合した硬化性有機無機複合樹脂組成物の粘度は、取り扱いが容易であることから、著しく上昇しない方が好ましい。すなわち、混合直後に比べて25℃で3日間保存後の硬化性有機無機複合樹脂組成物の粘度が、200%以下であることが好ましい。200%を超えると、金型への液の塗出が困難となりうるおそれがあり、金型内での流動性にも悪影響を与えるおそれがある。より好ましくは、180%以下であり、更に好ましくは、150%以下である。このように、上記有機無機複合樹脂組成物は、硬化性有機無機複合樹脂組成物として1液での混合物の粘度上昇率が、25℃で3日間保存後に混合直後に比べて200%以下となる有機無機複合樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記有機無機複合樹脂組成物を硬化して硬化物を製造する方法としては、通常用いられている方法を好適に使用することができ、後述するように樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することができるが、上記有機無機複合樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する方法であることが好ましい。具体的には、上記有機無機複合樹脂組成物に硬化剤や必要に応じてその他の材料を混合して1液とし、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して、5分以内で硬化させることが好ましい。金型を用いた硬化を短時間で行うことにより、経済性に優れた方法とすることができる。このように、上記有機無機複合樹脂組成物を硬化して硬化物を製造する方法であって、該製造方法は、有機無機複合樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する有機無機複合樹脂組成物の硬化方法もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記硬化時間(金型を用いた硬化時間)が5分を超えると、生産性が悪くなる。より好ましくは、3分以内であり、更に好ましくは、2分以内であり、最も好ましくは、1分以内である。上記硬化温度としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができるが、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。具体的には、110℃で3分硬化させることが好適である。
上記硬化方法おいては、金型から取り出し、形状を保てる程度の硬度であればよく、1kgf/cm以上の力で押し出したときの形状変化の割合が10%以下の硬化強度(硬度)であることが好ましい。上記形状変化の割合として好ましくは、1%以下であり、より好ましくは、0.1%以下であり、更に好ましくは、0.01%以下である。
本発明の有機無機複合樹脂組成物においては、上記のように金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことか好ましい。ポストキュアを行うことにより、硬化物が充分な硬度をもち、種々の用途に好適に用いることができる。また、ポストキュアにおいては、ある程度の硬度を持つ硬化物を更に硬化させる点から、取り扱い性に優れている。そのため、金型を用いないでよいことから、小さな面積で大量の製品をポストキュアできる利点がある。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
以下、本発明の有機無機複合樹脂組成物の硬化方法について更に説明する。本発明の樹脂組成物の硬化には、使用する樹脂の性質に応じて、従来公知の方法を採用することができる。
本発明の樹脂組成物の樹脂成分として、グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含有する場合は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、上述した熱潜在性カチオン発生剤を用いることが好ましい。また、熱潜在性カチオン発生剤以外の硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、上記グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を後述する多価フェノール化合物で硬化することも好ましい態様である。
上記グリシジル基及び/またはエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含有する樹脂組成物の硬化においては、硬化促進剤を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。上記硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。より好ましくは、80〜150℃である。
本発明の樹脂組成物の樹脂成分として、多価フェノール化合物を含有する場合は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも2つ有する化合物を挙げることができ、上記グリシジル基及び/又はエポキシ基を少なくとも2個有する化合物としては、1分子内に平均2個以上のグリシジル基及び/又はエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好適であり、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレンジメチルエーテル、ジクロロパラキシレン等を縮合反応させて得られる多価フェノールを、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒンダトインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族多環式エポキシ樹脂等が好適である。また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類及び/又はビスフェノール類との付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物であってもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記多価フェノール化合物とエポキシ樹脂系硬化剤との配合質量比(多価フェノール化合物/エポキシ樹脂系硬化剤)としては、30/70以上となるようにすることが好ましく、また、70/30以下となるようにすることが好ましい。30/70未満であると、形成される硬化物の機械物性等が低下するおそれがあり、70/30を超えると、難燃性が不充分となるおそれがある。より好ましくは、35/65以上であり、また、65/35以下である。上記硬化には硬化促進剤を使用してもよく、上記硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DCMU(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)等のアミン類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等が好適である。
本発明の樹脂組成物の樹脂成分として、重合性不飽和結合を有する化合物を含有する場合の硬化方法としては、活性エネルギー線の照射による硬化方法、熱による硬化方法が挙げられるが、本発明の樹脂組成物が200〜400nmに固有の分光感度を有しており、光重合開始剤不在下において、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線を照射することによって重合させることができ、とりわけ、254nm、308nm、313nm、365nmの波長の光が硬化に有効であるので、活性エネルギー線の照射による硬化方法が好適である。また、本発明の樹脂組成物は、空気中及び/又は不活性ガス中のいずれにおいても硬化させることができる。
上記重合性不飽和結合を有する化合物を含有する樹脂組成物は、上述した紫外線又は可視光線以外の活性エネルギー線の照射によっても硬化させることができ、活性エネルギー線としては、ラジカル性活性種を生成させることができるものであればよく、上述した紫外線又は可視光線の他に、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波、赤外線、レーザー光線等が好適であり、ラジカル性活性種を発生させる化合物の吸収波長を考慮して適宜選択すればよい。
上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の光発生源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光等が好適である。上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の照射時間としては、活性エネルギー線の波長照射量によって適宜設定すればよいが、0.1マイクロ秒〜30分が好ましく、0.1ミリ秒〜1分がより好ましい。
上記活性エネルギー線の照射による硬化においては、硬化反応をより効率的に行うために、公知慣用の光重合開始剤を添加して硬化させてもよい。上記光重合開始剤の配合量としては、本発明の硬化性樹脂成分100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると、光重合が効率的に進行しないおそれがあり、10質量部を超えても、硬化速度の更なる向上効果はなく、逆に硬化が不充分となるおそれがある。
上記光重合開始剤としては、分子内結合開裂型の光重合開始剤、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤等が挙げられる。上記分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア907」)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−「4−(1−メチルビニル)フェニル」プロパン}(ラムベルティ社製エサキュアーKIP100)、4−(2−アクリロイル−オキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン(チバ・ガイギー社製「ZLI3331」等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインアルキル等のベンゾイン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとの混合物(チバ・ガイギー社製「イルガキュア500」)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製「ルシリンTPO」)、ビスアシルホスフィンオキサイド(チバガイギー社製「CGI1700」)等のアシルホスフィンオキサイド系、ベンジル及びベンジル誘導体、メチルフェニルグリオキシエステル、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(日本油脂社製BTTB)等が好適である。
上記分子内水素引き抜き型光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル及びο−ベンゾイル安息香酸アルキル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4´−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系、ミヒラーケトン、4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好適である。
上記光重合開始剤として用いることができるその他の化合物としては、2,2−ジメトキシ−1,2ージフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン及びその誘導体、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、1,1−ジアルコキシアセトフェノン、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンー1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−フェニルホスフィンオキサイド等が好適である。
上記光重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤を用いることもできる。上記光カチオン重合開始剤としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロフォスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe−ヘキサフルオロホスフェート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が好適である。これらは市場より容易に入手することができ、例えば、SP−150、SP−170(旭電化社製);イルガキュア261(チバ・ガイギー社製);UVR−6974、UVR−6990(ユニオンカーバイド社製);CD−1012(サートマー社製)等が好適である。光カチオン重合開始剤としては、これらの中でも、オニウム塩を使用することが好ましい。また、オニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩及びジアリールヨードニウム塩のうち少なくとも1種を使用することが好ましい。
上記活性エネルギー線の照射による硬化においては、更に、光増感剤を併用することが好ましい。上記光増感剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.1〜20質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、光重合が効率的に進行しないおそれがあり、20質量%を超えると、塗膜内部へ紫外線が透過するのを妨げ、硬化が不充分となるおそれがある。より好ましくは、0.5〜10質量%である。
上記光増感剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン類等が好適である。
上記重合性不飽和化合物を含有する樹脂組成物の硬化においては、更に添加剤を添加して硬化してもよく、添加剤としては、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、IRカット剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等が好適である。
本発明の樹脂組成物は、上述する硬化方法によって硬化物を得ることができ、このような硬化物としては、種々の光学特性に優れたのもとなる。例えば、硬化物の濁度(ヘイズ)としては、20%以下であることが好ましい。このように、上記樹脂組成物の硬化物の濁度が、20%以下である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
硬化物の濁度としてより好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、特に好ましくは1%以下である。透明性としては、可視光領域(波長が360〜780nmの領域)の光透過率が75%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは、87%以上である。
上記硬化物において、硬化物の屈折率・アッベ数は適用される光学系の光学設計に応じて幅広い数値が求められる。なお、硬化物の光線透過率はJIS K7361−1に、濁度はJIS K7136に、屈折率・アッベ数はJIS K7142にそれぞれ準拠した方法で測定できる。
上記硬化物のPCT吸湿率は硬化条件により変化するが、硬化条件を最適化することにより.1.0%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
上記硬化物の耐熱性は、クラック発生などの外観の変化が全くなく、全光線透過率・濁度の変化率が20%以下であることが好ましい。より好ましくは全光線透過率・濁度の変化率が15%以下であり、更に好ましくは10%以下である。
特に車載用カメラや宅配業者向けバーコード読み取り機などの用途では、長時間の紫外線照射や夏季の高温暴露により黄変や強度劣化が懸念されるが、これらの現象は空気や水分の紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果により酸素ラジカルの発生が原因と考えられる。耐湿性が向上することで、樹脂組成物中への吸湿が抑制され、紫外線照射又は熱線暴露の相乗効果による酸素ラジカル発生も抑えられるため、樹脂組成物の黄変や強度低下を引き起こすことなく長時間にわたり優れた耐熱性を発揮する。
上述のように硬化物が優れた透明性・光学特性を発揮することができることから、本発明の有機無機複合樹脂組成物は、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の種々の用途に好適に用いることができる。このように、上記有機無機複合樹脂組成物によって構成される光学部材用硬化性材料(上記樹脂組成物を用いた硬化材料)もまた、本発明の一つである。光学部材用硬化性材料としては、上記有機無機複合樹脂組成物によって形成される硬化性光学材料であって、熱や光によって硬化する熱・光硬化性光学材料(熱硬化性光学材料や光硬化性光学材料)であることが好ましい。このような光学部材用硬化性材料は、アッベ数が45以上であり、波長500nmにおける透過率が60%以上であることが好ましい。アッベ数及び透過率がこのような範囲であることにより、高い透明性や解像度を有する光学特性に優れた光学部材用硬化性材料となる。光学部材用硬化性材料のアッベ数としてより好ましくは、55以上であり、更に好ましくは、60以上である。光学部材用硬化性材料の透過率としてより好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、85%以上である。また、上記光学部材用硬化性材料(透明光学用材料)は、上記有機無機複合樹脂組成物よって構成されることから、120℃で2分の硬化時の耐曲げ強度が60MPa以上となることが好ましい。耐曲げ強度については、上述したとおりである。
本発明はまた、上記光学部材用硬化性材料を硬化させてなる光学部材でもある。このような光学部材(上記有機無機複合樹脂組成物により形成される硬化物)としては、上述の光学部材用硬化性材料の中でも、二重結合性(芳香環等)の含有量が樹脂中に10%以下である硬化物が好ましい。芳香環等の二重結合を有する化合物が有機無機複合樹脂組成物中に10質量%以下であると、屈折率等の光学特性が優れたものとなり、光学用途等に好適に用いることができる。
上記光学部材のアッベ数及び透過率としては、上記光学部材用硬化性材料におけるものと同様であることが好ましい。このような高い透明性と、好適な範囲のアッベ数とを有する(例えば、透明性とアッベ数がいずれも高い)硬化物であることから、下記の種々の用途に用いることができる。
上記硬化物の用途として具体的には、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラや携帯電話や車裁カメラ等カメラレンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
本発明の樹脂組成物及びその光学部材は、上述の構成よりなり、連続生産が可能であり、耐熱性等の基本性能に優れ、しかも透明性等の光学特性に優れ、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な有機無機複合樹脂組成物及びその光学部材である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<無機微粒子のpH>
メタノールシリカゾル、MEK−ST、IPA−ST、G502−30、HZ−307M6、PPSQ−Eに有機溶媒及びイオン交換水を加え、無機微粒子を15質量%、有機溶媒を35質量%、水を50質量%となるように混合して、25℃でHORIBA社製pHメーターを用いて測定した。測定結果を表1に示す。なお、測定に用いた無機微粒子は、下記の合成例で用いたものと同じである。
<pH測定>
pHメーターF−22(HORIBA社製)を用いて25℃でpH測定を行った。水は、pH7のイオン交換水を用いた。
Figure 2008156625
なお表1中、MEK−ST、メタノールシリカゾル、G502−30、HZ−307m6、IPA−STはすべて湿式無機微粒子に相当するものである。
シリコーンオリゴマーPPSQ−Eは、粒子が液相合成法で合成されており、後工程で粉末化されたものであり、本願発明の湿式無機微粒子に相当するものである。シリコーンオリゴマーPPSQ−Eは、フェニルシリカともいい、構造中にベンゼン環を有する粉末ポリマーシリカであり、紐状の形態であるため、溶液中で凝集せず分散しやすい。
(樹脂組成物の合成)
合成例1
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、エバポレーターを用い、90℃・2kPa・1時間溶媒の減圧留去を行い、有機無機複合樹脂組成物を得た。(実施例1)
合成例2
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)240gとナノシリカ分散IPA(クラリアントジャパン社製、G502−30、粒子径9nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、エバポレーターを用い、90℃・2kPa・1時間溶媒の減圧留去を行い、有機無機複合樹脂組成物を得た。(実施例2)
合成例3
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)168gとサンコロイド(日産化学工業社製、HZ−307M6、粒子径10〜12nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、エバポレーターを用い、90℃・2kPa・1時間溶媒の減圧留去を行い、有機無機複合樹脂組成物を得た。(実施例3)
合成例4
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)168gとポリフェニルシロキサン(小西化学工業社製、PPSQ−E、平均分子量850、固形分100%)72g、IPA168gを均一になるように混合し、エバポレーターを用い、90℃・2kPa・1時間溶媒の減圧留去を行い、有機無機複合樹脂組成物を得た。(実施例4)
合成例5
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、メタノールシリカゾル、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、エバポレーターを用い、90℃・2kPa・1時間溶媒の減圧留去を行ったところ、ゲル化が生じた。(比較例1)
合成例6
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート YX−8000、エポキシ当量205、液状水添エポキシ樹脂)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、IPA−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、エバポレーターを用い、90℃・2kPa・1時間溶媒の減圧留去を行ったところ、ゲル化が生じた。(比較例2)
合成例7
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート 828EL、エポキシ当量184−194、液状エポキシ樹脂)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、MEK−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、エバポレーターを用い、90℃・2kPa・1時間溶媒の減圧留去を行い、有機無機複合樹脂組成物を得た。(実施例5)
合成例8
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート 828EL、エポキシ当量184−194、液状エポキシ樹脂)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、メタノールシリカゾル、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、エバポレーターを用い、90℃・2kPa・1時間溶媒の減圧留去を行ったところ、ゲル化が生じた。(比較例3)
合成例9
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート 828EL、エポキシ当量184−194、液状エポキシ樹脂)168gとオルガノシリカゾル(日産化学工業社製、IPA−ST、粒子径10〜15nm、固形分30%)240gを均一になるように混合し、エバポレーターを用い、90℃・2kPa・1時間溶媒の減圧留去を行ったところ、ゲル化が生じた。(比較例4)
合成例1〜9の合成結果、得られた組成物の粘度及び残存溶媒量について、下記方法により測定を行った。結果を表2に示す。なお、合成例において、減圧蒸留によりゲル化物が得られた場合は、粘度及び残存溶媒量の測定ができなかった。
<粘度>
R/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)を用いて、合成例1〜9で得られた組成物の40℃、回転速度D=1/s時の粘度を評価した。RC25−1の測定治具を使用した。
<残存溶媒量>
GC2014(島津製作所社製)を用いて、残存溶媒(残存溶剤)を以下の測定条件で定量した。
測定条件
カラム:DB−17(GLサイエンス社製)
キャリアーガス:ヘリウム
流速:1.44mL/分
測定温度:40℃〜270℃
<硬化板の作製>
樹脂組成物(実施例1〜5)に対して、離型剤としてステアリン酸を樹脂組成物の重量100部に対して0.5部になるように、80℃で均一混合した。50℃に冷却後、カチオン系重合開始剤(三新化学工業社製、サンエイドSI−80L)を樹脂組成物の重量100部に対して1部になるように添加し、均一になるように混合した。
得られた混合物を必要に応じて熱を加え(50℃等)減圧脱法処理を行った後、型に流し込み、110℃5時間で硬化を行い1mm厚の注型板を得た。
注型板のアッベ数測定結果を表2に示す。アッベ数は屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて20℃で測定した値である。
Figure 2008156625
表1及び2の結果から、pHが3.5未満である無機微粒子を用いた場合には、組成物の合成過程でゲル化が生じることが明らかになった。一方、pHが3.5以上である無機微粒子を用いた場合には、ゲル化が生じず、有機無機複合樹脂組成物を得ることができた。
上述した実施例及び比較例から、本発明の数値範囲の臨界的意義については、次のようにいえることがわかった。すなわち、無機微粒子成分を溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11となる無機系微粒子とすることにより、樹脂を形成する際にゲル化が生じず、有機無機複合樹脂組成物の生産において有利な効果を発揮し、それが顕著であることがわかった。
数値範囲の下限の技術的意義については、実施例2で用いたG502−30が、pH3.5で下限値であり、その下限値を下回る比較例1及び比較例2と比較すると明らかである。実施例2では、粘度が3200Pa・s、残存溶媒量が1.0wt%の有機無機複合樹脂組成物を得ることができるが、それに対して、比較例1及び比較例2では、ゲル化が生じている。実施例2では、粘度及び残存溶媒量ともに有機無機複合樹脂組成物の連続製造が可能なレベルであるが、比較例1及び比較例2では、連続製造することができない。このような効果、つまり光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品材料、電気・電子部品材料等として有用な有機無機複合樹脂組成物を工業化することが可能であるという効果は、際立ったものであるということはいうまでもない。実施例2以外の実施例では、無機微粒子成分又は有機樹脂成分として異なる種類のものを用いているが、これらの実施例においては、更に本発明の効果が顕著に現れることになる。
また実施例1と実施例5とを比較すると、実施例1は有機樹脂成分として脂環式化合物(脂環式硬化材料)を用いており、この場合、粘度114Pa・s、残存溶媒量0.2wt%、アッベ数59.2となっている。一方、実施例5は有機樹脂成分として、エポキシ化合物を用いており、この場合、粘度210Pa・s、残存溶媒量0.9wt%、アッベ数34.1となっている。実施例1と実施例5との結果から、アッベ数の向上が可能であるという点で、有機樹脂成分としては脂環式化合物(脂環式硬化材料)が好ましいといえる。
なお、上述した実施例及び比較例では、有機樹脂成分としてエポキシ樹脂を用いているが、本発明の作用効果を発揮する有機樹脂成分である限り、無機微粒子成分との相溶性に優れ、該成分を有機樹脂に均一に分散することができるようなものであれば、有機無機複合樹脂組成物の粘度、残存溶媒量が好適な範囲となる機構は同様である。したがって、無機微粒子成分が、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11となる無機系微粒子であれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、有機樹脂成分として、脂環式化合物(脂環式硬化材料)、特に脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂を用いる場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

Claims (6)

  1. 有機樹脂成分と無機微粒子成分とを含む有機無機複合樹脂組成物であって、
    該無機微粒子成分は、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11となる無機系微粒子であることを特徴とする有機無機複合樹脂組成物。
  2. 前記無機系微粒子は、湿式法により得られた無機系微粒子を必須とするものであることを特徴とする請求項1記載の有機無機複合樹脂組成物。
  3. 前記有機樹脂成分は、脂環式エポキシ化合物及び/又は水添エポキシ樹脂を必須とすることを特徴とする請求項1又は2記載の有機無機複合樹脂組成物。
  4. 前記有機無機複合樹脂組成物は、不飽和結合を有する化合物の割合が10質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機無機複合樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の有機無機複合樹脂組成物によって構成されることを特徴とする光学部材用硬化性材料。
  6. 請求項5に記載の光学部材用硬化性材料を硬化させてなることを特徴とする光学部材。
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