JP2008152152A - 呼吸模擬装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 精度よく肺の動きを模擬することができる呼吸模擬装置を提供する。
【解決手段】 検出される模擬肺内圧力Palvまたは気道圧力Pawを用いて、ベローズポンプ21の容積を変化させる。これによって人工呼吸器の支援状態の大小に応じて、模擬する肺の動きを変化させることができ、実際の肺の動きに近づけて、実際の肺の動きを精度よく模擬することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、肺の自発呼吸動作を模擬する呼吸模擬装置に関する。
呼吸模擬装置は、肺の動きを模擬する装置であって、肺の動きを模擬して、気体の吸引と排出とを繰返す。呼吸模擬装置は、人工呼吸器に接続されることで、人工呼吸器の動作検査に用いられたり、操作者による人工呼吸器の操作訓練に用いられたりする。これによって、同一条件での人工呼吸器の動作検査および操作訓練を行うことができる。また人体の気道に人工呼吸器を接続する必要がなく、検査および訓練を容易に行うことができる。
従来の呼吸模擬装置として、たとえば特許文献1に開示されている。特許文献1には、入力手段に入力される呼吸情報に基づいて、模擬呼吸パターンを形成し、模擬呼吸パターンに従ってベローズ伸縮機構を制御する。呼吸情報は、呼吸動作に関して人間がチューブを介して吸引した空気の流量情報であって、流量計によって検出される。すなわち呼吸模擬装置は、流量計によって検出される吸気流量変化を再現するように、ベローズを伸縮させる。
特開平7−163633号公報
上述した従来技術の呼吸模擬装置は、実際の肺の呼吸動作に相当するように、予め定められる入力値に従って、ベローズポンプによって空気を吸引および排出させる。この場合、呼吸模擬装置は、接続される人工呼吸器の呼吸支援量の大小に拘わらず、一定の動作を行うこととなる。これに対して、実際の呼吸器官に人工呼吸器が接続される場合、人工呼吸器の呼吸支援量の大小に応じて、肺の動きが変化する。
このように従来技術の呼吸模擬装置では、人工呼吸器の支援量に応じてポンプの動作を変化させることができず、実際の肺の動きを精度よく模擬することができないという問題がある。したがって本発明の目的は、精度よく肺の動きを模擬することができる呼吸模擬装置を提供することである。
本発明は、(a)気体が充填される模擬肺空間を規定し、模擬肺空間に気体を出し入れするための貫通口が形成される模擬肺空間形成体と、
(b)模擬肺空間形成体の貫通口形成部分に接続されて、気体を模擬肺空間に出し入れするための模擬気道を形成する模擬気道形成体と、
(c)模擬気道形成体に介在されて、気道抵抗に相当する管路抵抗を有する抵抗体と、
(d)模擬肺空間の容積を変化させる容積変化手段と、
(e)模擬肺空間の圧力である模擬肺内圧力Palvを検出する模擬肺内圧力検出手段と、
(f)気体の吸引を開始してからの模擬肺空間の容積の膨張量Vを検出する膨張量検出手段と、
(g)肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する模擬自発呼吸圧力値Pmusを生成する生成手段と、
(h)模擬肺内圧力検出手段および膨張量検出手段の各検出結果と、生成手段の生成結果とに応答して、容積変化手段を制御する制御手段であって、
(h1)前記模擬自発呼吸圧力値Pmusと、前記模擬肺内圧力検出手段によって検出される模擬肺内圧力値Palvとを加算して、模擬肺空間を膨張させる外力値P1(=Pmus+Palv)を演算する外力演算部と、
(h2)前記膨張量検出手段によって検出される模擬肺空間の膨張量Vを、予め定められる模擬コンプライアンス値Cで割算して、弾性抵抗力値P2(=V/C)を演算する弾性抵抗力演算部と、
(h3)前記外力値P1から前記弾性抵抗力値P2を減算して、弾性影響膨張力値P3(=(Pmus+Palv)−(V/C))を演算する弾性影響膨張力演算部と、
(h4)肺の動特性を表わす運動方程式に基づいて、前記弾性影響膨張力値P3に相当する力が肺に与えられたときの肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算部と、
(h5)前記膨張速度演算部によって演算した肺の膨張速度dV/dtで、模擬肺空間の容積が変化するように、容積変化手段に変化指令を与える変化指示部とを有する制御手段とを含むことを特徴とする呼吸模擬装置である。
本発明に従えば、容積変化手段によって、模擬肺空間形成体の容積が変化することによって、肺の動きを模擬する。容積変化手段によって模擬肺空間形成体の容積を拡大させることによって、模擬肺空間内の圧力が低下して、模擬気道を介して模擬肺空間へ空気が流入する。これによって肺の吸気動作を模擬することができる。同様に、容積変化手段によって模擬肺空間形成体の容積を縮小させることによって、模擬肺空間内の圧力が増大して、模擬気道を介して模擬肺空間から空気が流出する。これによって肺の呼気動作を模擬することができる。
本発明では、気道抵抗に相当する管路抵抗を有する抵抗体を、模擬気道形成体に介在させる。また模擬コンプライアンスCに応じて肺に与えられるであろう力を演算する。これによって呼吸模擬装置は、気道抵抗および肺のコンプライアンスを考慮した肺の動作を模擬することができる。
また制御手段は、検出される模擬肺内圧力値Palvに基づいて、肺の膨張に作用する力と、その力が作用したときの肺の容積変化を演算する。この容積変化に従って容積変化手段を制御する。これによって呼吸模擬装置は、人工呼吸器の支援量の大小に応じて、模擬する肺の動きを変化させることができ、実際の肺の動きに近づけることができる。
本発明は、前記抵抗体は、模擬気道形成体に対して着脱可能に装着されることを特徴とする。
本発明に従えば、模擬気道形成体に対して、抵抗体が着脱可能に装着されることで、管路抵抗の異なる抵抗体を選択的に装着することができる。これによって抵抗体を取り替えることで、気道抵抗が異なる場合の肺の動きを模擬することができ、多様な条件での肺の動きを模擬することができる。また演算工程を簡単化することができ、演算ミスの発生を防ぐことができる。
本発明は、(a)気体が充填される模擬肺空間を規定し、模擬肺空間に気体を出し入れするための貫通口が形成される模擬肺空間形成体と、
(b)模擬肺空間形成体の貫通口形成部分に接続されて、気体を模擬肺空間に出し入れするための模擬気道を形成する模擬気道形成体と、
(c)模擬肺空間の容積を変化させる容積変化手段と、
(d)模擬気道の圧力である模擬気道圧力Pawを検出する模擬気道圧力検出手段と、
(e)気体の吸引を開始してからの模擬肺空間の容積の膨張量Vを検出する膨張量検出手段と、
(f)模擬肺空間の膨張速度dV/dtを検出する膨張速度検出手段と、
(g)肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する模擬自発呼吸圧力値Pmusを生成する生成手段と、
(h)模擬気道圧力検出手段、膨張量検出手段および膨張速度検出手段の各検出結果と、生成手段の生成結果とに応答して、容積変化手段を制御する制御手段であって、
(h1)模擬肺空間の圧力である模擬肺空間圧力値Palvを順次更新する模擬肺内圧力演算部と、
(h2)前記模擬自発呼吸圧力値Pmusと、前記模擬肺内圧力演算部によって演算される最新の模擬肺内圧力値Palvとを加算して、模擬肺空間を膨張させる外力値P1(=Pmus+Palv)を演算する外力演算部と、
(h3)前記膨張量検出手段によって検出される模擬肺空間の膨張量Vを、予め定められる模擬コンプライアンス値Cで割算して、弾性抵抗力値P2(=V/C)を演算する弾性抵抗力演算部と、
(h4)前記外力値P1から前記弾性抵抗力値P2を減算して、弾性影響膨張力値P3(=(Pmus+Palv)−(V/C))を演算する弾性影響膨張力演算部と、
(h5)肺の動特性を表わす運動方程式に基づいて、前記弾性影響膨張力値P3に相当する力が肺に与えられたときの肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算部と、
(h6)前記膨張速度演算部によって演算した肺の膨張速度dV/dtで、模擬肺空間の容積が変化するように、容積変化手段に変化指令を与える変化指示部とを有する制御手段とを含み、
(h7)前記模擬肺内圧力演算部は、
模擬気道圧力検出手段によって検出される模擬気道圧力値Pawと、直前に演算した模擬肺内圧力値Palvとの差圧値(Paw−Palv)を予め定められる模擬気道抵抗値Rで割算して、模擬気道流量Qaw(=(Paw−Palv)/R)を演算し、
理想気体の状態方程式に従って、膨張速度検出手段によって検出される膨張速度dV/dtで容積変化する肺模擬空間に対して、直前に演算した模擬気道流量Qawの気体が模擬肺空間に供給されたときの模擬肺内圧力値Palvを演算して、模擬肺内圧力値Palvを更新することを特徴とする呼吸模擬装置である。
本発明に従えば、容積変化手段によって、模擬肺空間形成体の容積が変化することによって、肺の動きを模擬する。容積変化手段によって模擬肺空間形成体の容積を拡大させることによって、模擬肺空間内の圧力が低下して、模擬気道を介して模擬肺空間へ空気が流入する。これによって肺の吸気動作を模擬することができる。同様に、容積変化手段によって模擬肺空間形成体の容積を縮小させることによって、模擬肺空間内の圧力が増大して、模擬気道を介して模擬肺空間から空気が流出する。これによって肺の呼気動作を模擬することができる。
本発明では、予め定められる気道抵抗値Rと、検出される模擬気道圧力値Pawとに基づいて、模擬肺内圧力値Palvを演算する。また模擬コンプライアンス値Cに応じて肺に与えられるであろう力を演算する。これによって呼吸模擬装置は、気道抵抗および肺のコンプライアンスを考慮した肺の動作を模擬することができる。
また制御手段は、検出される模擬気道圧力値Pawに基づいて、肺の膨張に作用する力と、その力が作用したときの肺の容積変化を演算する。この容積変化に従って容積変化手段を制御する。これによって呼吸模擬装置は、人工呼吸器の支援量の大小に応じて、模擬する肺の動きを変化させることができ、実際の肺の動きに近づけることができる。
本発明は、模擬気道抵抗値Rが入力される模擬気道抵抗入力手段をさらに含み、
制御手段の模擬肺内圧力演算部は、模擬気道抵抗入力手段に入力される模擬気道抵抗値Rに基づいて、模擬肺内圧力値Palvを演算することを特徴とする。
本発明に従えば、模擬気道抵抗入力手段から、模擬気道抵抗値Rが入力される。入力される模擬気道抵抗値Rを変化させることで、気道抵抗が異なる場合の肺の動きを模擬することができ、多様な条件での肺の動きを模擬することができる。また抵抗体を取外す場合に比べて、利便性を向上することができる。
本発明は、前記模擬肺内圧力演算部は、模擬気道圧力検出手段によって検出される模擬気道圧力値Pawと、直前に演算した模擬肺内圧力値Palvとの差圧値(Paw−Palv)に応じて変化する模擬気道抵抗値Rを用いて、模擬気道流量Qawを演算することを特徴とする。
本発明に従えば、差圧値(Paw−Palv)に応じて変化する模擬気道抵抗値Rを用いることで、差圧値(Paw−Palv)に対する模擬気道流量Qawの特性が、非線形特性を有する場合についても対応することができる。これによって模擬気道抵抗値Rを実際の人間の気道抵抗値に近づけることができる。
本発明は、模擬コンプライアンス値Cが入力される模擬コンプライアンス入力手段をさらに含み、
制御手段の外力演算部は、模擬コンプライアンス入力手段に入力される模擬コンプライアンス値Cに基づいて、前記弾性影響膨張力値P3を演算することを特徴とする。
本発明に従えば、模擬コンプライアンス入力手段から、模擬コンプライアンス値Cが入力される。入力される模擬コンプライアンスCを変化させることで、肺のコンプライアンスが異なる場合の肺の動きを模擬することができ、多様な条件での肺の動きを模擬することができる。
本発明は、前記弾性抵抗力演算部は、膨張量検出手段によって検出される模擬肺空間の膨張量Vに応じて変化する模擬コンプライアンス値Cを用いて、弾性抵抗力値P2を演算することを特徴とする。
本発明に従えば、模擬肺空間の膨張量Vに応じて変化する模擬コンプライアンス値Cを用いることで、膨張量Vに対する弾性抵抗力P2の特性が、非線形特性を有する場合についても対応することができる。これによって模擬コンプライアンス値Cを、実際の人間のコンプライアンス値に近づけることができる。
本発明は、膨張速度演算部は、外力演算部で演算した弾性影響膨張力値P3に、予め定められる肺のマスダンパ特性を表わす伝達関数G(s)を乗算した乗算値(P3・G(s))を、単位時間あたりの膨張速度dV/dtとして演算し、
前記伝達関数G(s)は、
Figure 2008152152
で表わされ、
は、予め定められる肺に関する可動部分の質量に相当する等価質量を示し、Dは、肺のダンピング定数に相当する等価ダンピング定数を示し、伝達関数G(s)は、ラプラス領域における伝達関数であることを示し、sは、ラプラス演算子を示すことを特徴とする。
本発明に従えば、膨張速度演算部は、上述した伝達関数を用いることで、肺の等価質量および等価ダンピングを考慮して、弾性影響膨張力値P3が与えられた場合における肺の膨張速度を演算することができる。このように等価質量および等価ダンピングを用いて、肺の膨張速度を演算することで、模擬対象とする肺の動きをさらに精度よく実現することができる。
本発明は、気体が充填される模擬肺空間を規定し、模擬肺空間に気体を出し入れするための貫通口が形成される模擬肺空間形成体と、模擬肺空間形成体の貫通口形成部分に接続されて、気体を模擬肺空間に出し入れするための模擬気道を形成する模擬気道形成体と、模擬気道形成体に介在されて、気道抵抗に相当する管路抵抗を有する抵抗体と、模擬肺空間の容積を変化させる容積変化手段とを有する肺模擬体の制御方法であって、
(a)肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する模擬自発呼吸圧力値Pmusと、検出される模擬肺空間の圧力を示す模擬肺内圧力値Palvとを加算して、外力値P1(=Pmus+Palv)を演算する外力演算工程と、
(b)気体の吸引を開始してからの模擬肺空間の容積の膨張量Vを、予め定められる模擬コンプライアンス値Cで割算した弾性抵抗力値P2(=V/C)を演算する弾性抵抗力演算工程と、
(c)前記外力値P1から前記弾性抵抗力値P2を減算して、弾性影響膨張力値P3(=(Pmus+Palv)−(V/C))を演算する弾性影響膨張力演算工程と、
(d)肺の動特性を表わす運動方程式に基づいて、前記弾性影響膨張力値P3に相当する力が肺に与えられたときの肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算工程と、
(e)前記膨張速度演算工程によって演算した肺の膨張速度dV/dtで、模擬肺空間の容積が変化するように、容積変化手段に変化指令を与える変化指示工程とを含むことを特徴とする肺模擬体の制御方法である。
本発明に従えば、気道抵抗に相当する管路抵抗を有する抵抗体を、模擬気道形成体に介在させる。また模擬コンプライアンスCに応じて肺に与えられるであろう力を演算する。これによって呼吸模擬装置は、気道抵抗および肺のコンプライアンスを考慮した肺の動作を模擬することができる。また検出される模擬肺内圧力値Palvに基づいて、肺の膨張に作用する力と、その力が作用したときの肺の容積変化を演算する。この容積変化に従って容積変化手段を制御する。これによって呼吸模擬装置は、人工呼吸器の支援量の大小に応じて、模擬する肺の動きを変化させることができ、実際の肺の動きに近づけることができる。
本発明は、気体が充填される模擬肺空間を規定し、模擬肺空間に気体を出し入れするための貫通口が形成される模擬肺空間形成体と、模擬肺空間形成体の貫通口形成部分に接続されて、気体を模擬肺空間に出し入れするための模擬気道を形成する模擬気道形成体と、模擬肺空間の容積を変化させる容積変化手段とを有する肺模擬体の制御方法であって、
(a)模擬肺空間の圧力である模擬肺空間圧力値Palvを順次更新して演算する模擬肺内圧力演算工程と、
(b)肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する模擬自発呼吸圧力値Pmusと、模擬肺内圧力演算工程によって演算される模擬肺内圧力値Palvとを加算して、外力値P1(=Pmus+Palv)を演算する外力演算工程と、
(c)気体の吸引を開始してからの模擬肺空間の容積の膨張量Vを、予め定められる模擬コンプライアンス値Cで割算した弾性抵抗力値P2(=V/C)を演算する弾性抵抗力演算工程と、
(d)前記外力値P1から前記弾性抵抗力値P2を減算して、弾性影響膨張力値P3(=(Pmus+Palv)−(V/C))を演算する弾性影響膨張力演算工程と、
(e)肺の動特性を表わす運動方程式に基づいて、前記弾性影響膨張力値P3に相当する力が肺に与えられたときの肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算工程と、
(f)前記膨張速度演算工程によって演算した肺の膨張速度dV/dtで、模擬肺空間の容積が変化するように、容積変化手段に変化指令を与える変化指示工程とを含み、
(g)前記模擬肺内圧力演算工程は、
検出される模擬気道の圧力を示す模擬気道圧力値Pawと、直前に演算した模擬肺内圧力値Palvとの差圧値(Paw−Palv)を予め定められる模擬気道抵抗Rで割算して、模擬気道流量Qaw(=(Paw−Palv)/R)を演算し、
理想気体の状態方程式に従って、検出される前記膨張速度dV/dtで容積変化する肺模擬空間に対して、直前に演算した模擬気道流量Qawの気体が模擬肺空間に供給されたときの模擬肺内圧力値Palvを演算して、模擬肺内圧力値Palvを更新することを特徴とする肺模擬体の制御方法である。
本発明に従えば、予め定められる気道抵抗値Rと、検出される模擬気道圧力Pawとに基づいて、模擬肺内圧力Palvを演算する。また模擬コンプライアンスCに応じて肺に与えられるであろう力を演算する。これによって呼吸模擬装置は、気道抵抗および肺のコンプライアンスを考慮した肺の動作を模擬することができる。また検出される模擬気道圧力値Pawに基づいて、肺の膨張に作用する力と、その力が作用したときの肺の容積変化を演算する。この容積変化に従って容積変化手段を制御する。これによって呼吸模擬装置は、人工呼吸器の支援量の大小に応じて、模擬する肺の動きを変化させることができ、実際の肺の動きに近づけることができる。
請求項1記載の本発明によれば、制御手段が、検出される模擬肺内圧力Palvに基づいて、容積変化手段を制御する。これによって呼吸模擬装置は、人工呼吸器の支援量の大小に応じて、模擬する肺の動きを変化させることができ、実際の肺の動きに近づけることができる。これによって実際の肺に近い条件で、人工呼吸器の検査、調整およびメンテナンスを行うことができ、人工呼吸器を適切な状態に保つことができる。
請求項2記載の本発明によれば、抵抗体を取り替えることで、気道抵抗が異なる場合の肺の動きを模擬することができる。これによって気道抵抗が異なる複数の条件で、人工呼吸器の検査、調整およびメンテナンスを行うことができる。
請求項3記載の本発明によれば、制御手段が、検出される模擬気道圧力Pawに基づいて、容積変化手段を制御する。これによって呼吸模擬装置は、人工呼吸器の支援量の大小に応じて、模擬する肺の動きを変化させることができ、実際の肺の動きに近づけることができる。したがって実際の肺の動きを精度よく模擬することができる。これによって実際の肺に近い条件で、人工呼吸器の検査、調整およびメンテナンスを行うことができ、人工呼吸器を適切な状態に保つことができる。
請求項4記載の本発明によれば、模擬気道抵抗入力手段に入力する模擬気道抵抗値Rを変更することで、気道抵抗が異なる場合の肺の動きを模擬することができる。これによって気道抵抗が異なる複数の条件で、人工呼吸器の検査、調整およびメンテナンスを行うことができる。
請求項5記載の本発明によれば、差圧値(Paw−Palv)に対する模擬気道流量Qawの特性が、非線形特性を有する場合についても対応することができる。これによって模擬気道抵抗値Rを、実際の人間の気道抵抗値に近づけることができる。
請求項6記載の本発明によれば、模擬コンプライアンス入力手段に入力する模擬コンプライアンス値Cを変更することで、肺のコンプライアンスが異なる場合の肺の動きを模擬することができる。これによって肺のコンプライアンスが異なる複数の条件で、人工呼吸器の検査、調整およびメンテナンスを行うことができる。
請求項7記載の本発明によれば、膨張量Vに対する弾性抵抗力P2の特性が、非線形特性を有する場合についても対応することができる。これによって模擬コンプライアンス値Cを、実際の人間のコンプライアンス値に近づけることができる。
請求項8記載の本発明によれば、上述した伝達関数を用いることで、肺の等価質量および等価ダンピングを考慮して、肺の膨張速度を演算することができる。呼吸模擬装置は、模擬対象とする肺の動きをさらに精度よく実現することができる。
請求項9記載の本発明によれば、検出される模擬肺内圧力Palvに基づくことで、人工呼吸器の支援量の大小に応じて、容積変化手段を制御することができ、実際の肺の動きを精度よく模擬することができる。これによって実際の肺に近い条件で、人工呼吸器の検査、調整およびメンテナンスを行うことができ、人工呼吸器を適切な状態に保つことができる。
請求項10記載の本発明によれば、検出される模擬気道圧力Pawに基づくことで、人工呼吸器の支援量の大小に応じて、容積変化手段を制御することができ、実際の肺の動きを精度よく模擬することができる。これによって実際の肺に近い条件で、人工呼吸器の検査、調整およびメンテナンスを行うことができ、人工呼吸器を適切な状態に保つことができる。
図1は、本発明の第1実施形態である呼吸模擬装置20である。呼吸模擬装置20は、肺の動きを模擬する装置であって、肺の動きを模擬して、空気の吸引と排出とを繰返す。呼吸模擬装置20は、人工呼吸器に接続されることで、人工呼吸器の動作検査に用いられたり、操作者による人工呼吸器の操作訓練に用いられたりする。
呼吸模擬装置20は、ベローズポンプ21と、アクチュエータ22と、管路形成体管路形成体23とを含んで構成される。ベローズポンプ21は、内部空間18を規定するとともに、内部空間18と外方空間17とを連通する貫通口16が形成され、内部空間18の容積を変化可能に構成される。管路形成体管路形成体23は、ベローズポンプ21に接続されて、ベローズポンプ21の内部空間18と、ベローズポンプ21の外部空間17とを連通する管路19を形成する。管路形成体23の一端部23aは、ベローズポンプ21に形成される貫通孔形成部分15に接続される。また管路形成体23の他端部23bには、外方に開放する開口14が形成される。
ベローズポンプ21に形成される内部空間18は、人間の肺内の空間を模擬した模擬肺空間となる。以下、ベローズポンプ21によって形成される内部空間18を、模擬肺空間18と称する。ベローズポンプ21は、空気が充填される模擬肺空間18を規定し、模擬肺空間18に空気を出し入れするための貫通口16が形成される模擬肺空間形成体となる。またアクチュエータ22は、模擬肺空間18の容積を変化させる容積変化手段となる。
また管路形成体23に形成される管路19は、人間の気道を模擬した模擬気道となる。以下、管路形成体23によって形成される管路19を、模擬気道19と称する。管路形成体23は、模擬肺空間形成体の貫通口形成部分15に接続されて、空気を模擬肺空間18に出し入れするための模擬気道19を形成する模擬気道形成体となる。また管路形成体23の開口14は、人間の口腔または鼻腔を模擬したものとなる。模擬肺空間18は、気体の出入口として貫通口16だけが形成される、塞がれた空間となる。
アクチュエータ22によって、ベローズポンプ21を伸張変位駆動して、模擬肺空間18を拡大させる。この場合、模擬肺空間18の圧力が低下して、模擬気道19を介して外方空間17から模擬肺空間18へ空気が流入する。このようにして模擬気道19の開口14から空気を吸引させて、肺の吸気動作を模擬することができる。
アクチュエータ22によって、ベローズポンプ21を縮退変位駆動して、模擬肺空間18を縮小させる。この場合、模擬肺空間18の圧力が増大して、模擬気道19を介して模擬肺空間18から外方空間17へ空気が流出する。このようにして模擬気道19の開口14から空気を排出させて、肺の呼気動作を模擬することができる。
ベローズポンプ21は、ベローズ本体30を有するベローズ型ポンプである。ベローズポンプ21は、予め定める軸線方向Xに伸縮可能な筒状のベローズ本体30と、ベローズ本体30の軸線方向一端部30aに連結されて、軸線方向Xに移動可能な取付部材31と、ベローズ本体30の軸線方向他端部30bに連結されて、予め定める固定位置に固定される固定部材32と、取付部材31を軸線方向Xに案内する案内手段33とを含む。
ベローズ本体30は、ゴムまたは合成樹脂などの可撓性を有する材料からなり、軸線を含む断面形状がジグザグに形成されて、蛇腹状に形成される。またベローズ本体30は、軸線方向Xに垂直な断面形状がほぼ一様に形成される。取付部材31は、ベローズ本体30の軸線方向一端部30aに形成される開口を塞ぐ。また固定部材32は、ベローズ本体30の軸線方向他端部30bに形成される開口を塞ぐ。このようにしてベローズ本体30と、取付部材31と、固定部材32とによって、模擬肺空間18を規定する。
固定部材32には、軸線方向Xに貫通する貫通口16が形成される。貫通口16を空気が通過することで、ベローズポンプ21は、模擬肺空間18に対して空気が流入出可能にする。取付部材31が、案内手段33に案内されて軸線方向Xに変位することで、ベローズ本体30を軸線方向Xに伸縮させることができ、ベローズポンプ21の容積を変化させることができる。
アクチュエータ22は、固定部材32に対して、取付部材31を軸線方向Xに変位駆動させる駆動手段となる。本実施の形態では、アクチュエータ22は、取付部材31に固定される可動体34と、可動体34に貫通して螺合した状態で、可動体34に対して回転自在に形成されて、軸線方向に平行に延びるねじ部材35と、ねじ部材35をその軸線まわりに回転させるモータ36とを含む。たとえばモータ36は、サーボモータであって、時定数10〜15msecの高応答性を持ち、サーボアンプ29によって速度制御される。
本実施の形態では、可動体34とねじ部材35とを含んで、ボールねじ機構が構成される。さらに具体的には、可動体34とねじ部材35とは、ボールスプライン付きボールねじから成る。またガイドレールが設けられる。ガイドレールは、可動体34の軸線方向Xに案内するとともに、可動体34がねじ部材35の軸線まわりに回転することを阻止する。このレールガイドは、可動体34を介して、取付部材31を軸線方向Xに案内する案内手段33となる。
モータ36によってねじ部材35を周方向一方に回転させることで、可動体34とともに取付部材31を軸線方向一方に移動させることができる。またモータ36によってねじ部材35を周方向他方に回転させることで、可動体34とともに取付部材31を軸線方向他方に移動させることができる。本実施の形態では、モータ36の出力軸の回転をねじ部材35に伝達する動力伝達機構が設けられる。動力伝達機構には減速器も含まれる。
モータ36によって、取付部材31を固定部材32に対して、離反させる方向に移動させることで、ベローズポンプ21が伸張して、その容積が増大する。またモータ36によって、取付部材31を固定部材32に対して、近接させる方向に移動させることで、ベローズポンプ21が縮退して、その容積が減少する。
また呼吸模擬装置20は、管路形成体23に介在される抵抗体24を含む。抵抗体24が管路形成体23に介在されることで、管路形成体23の管路抵抗が、人間の気道抵抗に略一致するように、抵抗体24の管路抵抗が予め調整される。たとえば抵抗体24は、両端が開放する円筒状に形成され、予め定める管路抵抗を有するために、内部空間に抵抗部材が設けられる。
本実施の形態では、抵抗体24は、管路形成体23から着脱可能に形成される。呼吸模擬装置20は、管路抵抗の異なる複数の抵抗体24のうちから選択される1つの抵抗体24が、管路形成体23に装着される。呼吸模擬装置20に抵抗体が装着される場合、ベローズポンプ21に流れ込む空気は、管路形成体23を通過するに間に、抵抗体24の内部空間を通過する。また管路形成体23は、抵抗体24が装着されない状態で、ベローズポンプ21と接続可能に形成される。管路形成体23は、抵抗体24が装着されないで、ベローズポンプ21に接続されることで、管路抵抗が実質的にゼロとなる。
また呼吸模擬装置20は、模擬肺内圧力検出手段25と、模擬気道圧力検出手段26とを含む。模擬肺内圧力検出手段25は、模擬肺空間18の圧力を模擬肺内圧力値Palvとして検出する。また模擬気道圧力検出手段26は、模擬気道19の圧力を模擬気道圧力値Pawとして検出する。
模擬肺内圧力検出手段25は、固定部材32に形成される検出孔13を介して、模擬肺空間18から導かれる空気の圧力を検出する。また模擬気道圧力検出手段26は、管路形成体23に形成される検出孔12を介して、模擬気道19から導かれる空気の圧力を検出する。検出孔12は、抵抗体24を挟んで、ベローズポンプ21に対して反対側に形成される。たとえば各圧力検出手段25,26は、差圧式圧力センサによってそれぞれ実現される。各圧力検出手段25,26は、検出した圧力値を示す電気信号を出力する。
呼吸模擬装置20は、模擬肺空間18の膨張量Vおよび膨張速度dV/dtを検出する検出手段を有する。ここで膨張量Vは、気体の吸引を開始してからの模擬肺空間の容積の膨張量である。また膨張速度dV/dtは、単位時間あたりの容積の変化量を意味する。本実施の形態では、膨張量Vおよび膨張速度dV/dtを検出手段は、モータ36の出力軸の回転量を検出するエンコーダ27によって実現される。エンコーダ27は、モータ36の出力軸の回転量を示す電気信号を出力する。
模擬肺空間18の容積は、可動体34の軸線方向Xの位置に比例する。また可動体34の軸線方向Xの位置は、ねじ部材35の回転量に比例する。ねじ部材35の回転量は、モータ36の出力軸の回転量に比例する。したがってエンコーダ27によってモータ36の出力軸の回転量を検出し、予め定められる換算式に従うことで、模擬肺空間18の膨張量Vおよび膨張速度dV/dtを求めることができる。また本実施の形態では、呼吸模擬装置20は、模擬気道19を流れる空気の流量を検出する流量検出手段28を含む。流量検出手段28は、たとえば差圧式流量計によって実現される。流量検出手段28は、検出した流量値を示す電気信号を出力する。
呼吸模擬装置20は、アクチュエータ22を制御する制御装置90を含む。制御装置90は、コンピュータによって実現され、肺の動きに対応するようにサーボアンプ29にモータ36の回転量を決定するための制御指令を与える。制御指令が与えられたサーボアンプ29は、制御指令に含まれる信号に基づいて、モータ36の回転量を演算し、演算した回転量でモータ36の出力軸が回転するように、モータ36に電流を流す。制御装置90は、1msecの演算周期で演算可能に構成される。このように本実施の形態では、サーボアンプ29は、制御装置90から与えられる制御指令に基づいて、モータ36の回転量を演算する演算回路を有する。
制御装置90は、各圧力検出手段25,26によって検出される圧力値を示す電気信号が与えられる。また制御装置90は、流量検出手段27によって検出される流量値を示す電気信号が与えられる。また制御装置90は、エンコーダ27によって検出されるモータ36の回転量を示す電気信号が与えられる。制御装置90は、これらの各検出手段25〜28から与えられる電気信号に示される検出値に基づいて、サーボアンプ29に与える制御指令値を演算する。
制御装置90は、インターフェース部91と、制御部92と、一時記憶部93と、記憶部94とを含む。インターフェース部91は、接続される各検出手段25〜28から与えられる信号を受信して、受信した信号を制御部92に与える。また制御部92から与えられる制御指令を示す信号を、サーボアンプ29に送信する。記憶部94は、制御部92が実行すべき動作を示す動作プログラムが記憶される。
制御部92が記憶部94から動作プログラムを読出して実行することによって、肺の動きを模擬するように、モータ36を制御することができる。また一時記憶部93は、接続される各検出手段25〜28から与えられる信号を記憶するとともに、制御部92による演算結果を記憶する。制御部92は、集積回路であるCPU(Central Processing Unit
)などのマイクロコンピュータによって実現される。また一時記憶部93は、RAM(
Random Access Memory)などの記憶回路によって実現される。また記憶部94は、ROM(Read Only memory)などの記憶回路によって実現される。
制御装置90は、肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する自発呼吸圧力値Pmusを生成する。また生成した自発呼吸圧力値Pmusと、検出される模擬肺内圧力値Palvとから、肺に与えられる力を演算し、その力を示す信号をサーボアンプ29に与える。サーボアンプ29は、制御装置90から与えられた信号に含まれる力に基づいて、肺の動きを模擬するためのモータ36の動作量を演算する。そして演算結果に従って、モータ36を駆動させる。
本実施の形態では、制御装置90およびサーボアンプ29は、模擬肺内圧力検出手段25および膨張量検出手段26の各検出結果に応答して、モータ36を制御する制御手段となる。また制御装置90は、肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する模擬自発呼吸圧力値Pmusを生成する生成手段を兼ねる。
自発呼吸圧力Pmusは、横隔膜などの呼吸筋の動作によって生じる力であって、肺の外部から作用する力を圧力に換算したものである。この自発呼吸圧力Pmusは、呼吸に費やす努力に応じた圧力である。たとえば自発呼吸圧力Pmusは、呼吸困難および呼吸不全の場合には、正常時に比べて小さくなる。
また制御装置90は、表示部95と、入力部96とを含んで構成される。表示部95は、肺の動きを決定する条件を表示する。表示部95は、インターフェース部91を介して制御部92から与えられる表示指令に従った情報を表示する。本実施の形態では、表示部95に表示する情報として、自発呼吸圧力Pmusの最大値、肺のコンプライアンス値C、気道抵抗値R、一分間あたりの呼吸回数F、動作モードおよび動作に関するメッセージが表示される。たとえば表示部95は、液晶モニタによって実現される。
入力部96は、肺の動きを決定する条件が入力される。入力部96は、各種ボタンを含んで構成される。入力部96は、操作者の操作に応じて与えられた肺の動きを決定する条件を、電気信号に変換してインターフェース部91を介して制御部92に与える。
本実施の形態では、入力部96は、予め定められるパラメータを調整するための調整つまみと、調整つまみで設定するためのパラメータを選択するための選択ボタンと、調整つまみで設定されたパラメータを確定するための確定ボタンと、呼吸模擬動作の開始指令を与えるための動作開始ボタンと、呼吸模擬動作の停止指令を与えるための動作停止ボタンとを含む。調整つまみに設定されるパラメータは、自発呼吸圧力Pmusの最大値、肺のコンプライアンスC、気道抵抗Rおよび一分あたりの呼吸回数Fである。制御部92は、入力部96から入力される操作指令を示す信号に従った動作を実行する。
図2は、人間の呼吸器官50と、ベローズポンプ21を用いて呼吸器官50をモデル化した呼吸器官モデル51と、呼吸模擬装置20とをそれぞれ示すブロック図である。図2(1)は、人間の呼吸器官50を模式的に示す。図2(2)は、呼吸器官モデル51を模式的に示す。図2(3)は、呼吸模擬装置20を示す。
肺52は、呼吸筋53の運動によって、胸腔54が陰圧になることによって膨張する。肺52が膨張することで、空気が気道55を介して肺52内に流れ込む。また膨張後に、肺52が収縮することで、肺52内の空気が気道55から排出される。このように肺52は、胸腔内圧力に相当する自発呼吸圧力Pmusが与えられることで、膨らむ方向の力が与えられる。このとき肺52は、肺の動きを決定する膨張要因パラメータ値に基づいて、単位時間あたりの肺の膨張変化が決定する。たとえば膨張要因パラメータ値は、肺52の可動部分の質量M、肺の可動部分の粘性抵抗であるダンピング定数D、肺のバネ定数であってエラスタンスEおよび気道抵抗Rである。
図2(2)に示す呼吸器官モデル51は、呼吸模擬装置20に対応した構成を有し、アクチュエータ22に換えて、ベローズポンプ21の固定部材30と取付部材31との軸線方向距離を所定位置に保つ引張コイルばね56が設けられる。またベローズポンプ21の周囲を覆う筒状体57が設けられる。これによってベローズ本体30と筒状体57との間に、胸腔に相当する空間が形成される。
呼吸器官モデル51では、ベローズポンプ21の可動部分の質量が、肺52の可動部分の質量Mと等しく設定される。またベローズポンプ21を膨張させた場合のダンピング定数およびエラスタンスが、肺52のダンピング定数DおよびエラスタンスEとそれぞれ等しく設定される。また管路形成体23の管路抵抗が、気道抵抗Rと等しく設定される。
呼吸器官モデル51について、筒状体57とベローズポンプ21との間の空間の圧力を低下させて、自発呼吸圧力Pmusに相当する力を発生させる。この場合、ベローズポンプ21は、取付部材31が受動的に移動することで容積が膨張して、肺の吸気動作と同様の動きを行う。
図2(3)に示すように呼吸模擬装置20は、制御部92によってアクチュエータ22を制御して、取付部材31を能動的に移動させる。具体的には、制御部92は、自発呼吸圧力Pmus、肺の可動部分の質量M、ダンピング定数DおよびエラスタンスEなどを示す各膨張要因パラメータ値が与えられる。制御部92およびサーボアンプ29は、与えられた各膨張要因パラメータに基づいて、図2(2)に示す呼吸器官モデル51の取付部材31の移動位置と一致するように、取付部材51の移動位置を演算する。
次に、サーボアンプ29は、アクチュエータ22を用いて、演算した取付部材51の移動位置に、取付部材51を能動的に移動させる。これによって呼吸模擬装置20は、実際の呼吸器官50を模擬して、管路形成体23の開口から空気を給排気させることができる。また呼吸模擬装置20は、実際の呼吸器官50に対して、各膨張要因パラメータが一致していなくても、肺の動きを模擬することができる。
図3は、呼吸器官モデル51を示すブロック線図である。図3は、ラプラス領域におけるブロック線図を示し、表示される各伝達関数は、ラプラス領域における伝達関数である。図3には、呼吸器官モデル51を表現するために採用される計算式ごとのグループ61〜64を、2点鎖線で囲んで図示する。また圧力については、特に記載しない限り、絶対圧で表現する。
気道流量Qawは、模擬気道圧力Pawと模擬肺内圧力Palvとの圧力差に比例し、気道抵抗Rに反比例する。したがって次の(1)式を導くことができる。(1)式で示される図3の第1グループ61は、気道流量Qawに関するグループとなる。
Figure 2008152152
ここで、Qawは、気道流量であって、単位時間あたりに模擬気道19を流れる支援ガスの体積を示す。またPawは、模擬気道圧力であって、管路形成体23内の圧力を示す。またPalvは、模擬肺内圧力を示す。以下「・」は、乗算記号を示す。
また模擬肺空間18に蓄積される空気の単位時間あたりの重量変化dG/dtは、気道流量Qawに、空気の比重量を乗算した値となる。したがって次の(2)式を導くことができる。
Figure 2008152152
ここで、dG/dtは、模擬肺空間18に蓄積される空気の単位時間あたりの重量変化を示す。またγは、空気の比重量であって、単位体積あたりの重量を示す。本実施形態では、温度変化による体積変化が少ないとして一定値を用いる。
また模擬肺空間18での理想気体の状態方程式を(3)式に示す。
Figure 2008152152
ここで、Vabsは、模擬肺空間18の容積を示す。またGは、模擬肺空間18に蓄積される空気の総重量を示す。またRは、空気の重量を基準とした気体定数である。また模擬肺内の圧力変化幅は、約10cmHOと小さいので、温度変化は無視できるとして、次の(4)式を導くことができる。また(4)式を積分してラプラス変換表示し、積分定数となる初期値を加えることで、次の(5)式を導くことができる。(5)式で示される図3の第2グループは、マスバランスに関するグループとなる。
Figure 2008152152
ここで、d(Palv・Vabs)/dtは、模擬肺内圧力Palvと、模擬肺空間18の容積Vabsとの乗算値を、時間微分した値を示す。またsは、ラプラス演算子を示す。また本実施の形態では、Cは、流量Qawから、圧力Palvと容積Vとの積を表わす流量変換値であって、予め定められる一定値に設定される。またPalvは、吸気動作開始前の模擬肺内圧力Palvである。Vは、吸気動作開始前の模擬肺空間18の容積である。
またベローズポンプ21は、膨張する力が与えられて容積が膨張する場合、与えられる力が一定の場合、膨張加速度dV/dtは、ベローズポンプ21の可動部分の質量Mに反比例する。また膨張速度dV/dtは、ベローズポンプ21の可動部分のダンピング係数Dに反比例する。また膨張量Vは、ベローズポンプ21の可動部分のコンプライアンスCの逆数に反比例する。
またベローズポンプ21を膨張させる力は、圧力値で表現すると、自発呼吸圧力値Pmusと、模擬肺内圧力値Palvとを加算した値(Pmus+Palv)となる。したがって次の(7)式および(8)式を導くことができる。また(8)式で用いられる膨張量Vは、気体の吸引を開始してからの模擬肺空間18の容積の膨張量である。言い換えると膨張量Vは、模擬肺空間の体積Vabsから、積分定数である吸気開始時の体積値Vが除かれた値である。したがってこれを補う式を(9)式に示す。(8)式および(9)式で示される第3のグループ63は、ベローズポンプ21の運動方程式に関するグループとなる。
Figure 2008152152
ここで、Vは、吸引開始直後のベローズポンプ21の容積Vに比べて、ベローズポンプ21の容積が増加した増分体積を示す。またM、Dは、ベローズポンプ21に与えられる膨張力を圧力換算した場合の、肺に関する可動部分の質量、肺に関する可動部分のダンピング係数をそれぞれ示す。
本実施の形態では、M、Dは、肺の可動部分の質量Mおよび肺の可動部分のダンピング定数Dを、ベローズ本体30の軸線方向Xに垂直な断面積Aの二乗Aでそれぞれ割算した値(M/A,D/A)と近似する。またdV/dtは、肺模擬空間18の容積の膨張加速度であって、膨張量Vの2回時間微分値を示す。またdV/dtは、模擬肺空間18の容積の膨張速度であって、膨張量Vの1回時間微分値を示す。またCは、肺のコンプライアンス値を示す。
また(5)式で求められる、模擬肺内圧力Palvと体積Vabsとの乗算値(Palv・Vabs)を、(8)式および(9)式を用いて求められる体積Vabsで割算することで、模擬肺内圧力Palvを求めることができる。したがって次の(10)式を導くことができる。(10)式で示される第4グループ64は、模擬肺内圧力Palvの演算に関するグループとなる。
Figure 2008152152
ここで、[Palv・Vabs]massは、(5)式で表わされるマスバランス式に基づいて求められる肺胞模擬圧力Palvと、体積Vabsとの乗算値である。また[Vabs]motionは、(8)式および(9)式で表わされる運動方程式に基づいて求められる体積Vabsである。(10)式で求められる模擬肺内圧力Palvは、第1グループ61および第3グループ63に用いられる模擬肺内圧力Palvとなる。また本実施の形態では、各圧力値Pmus,Paw,Palvは、絶対圧を基準としたが、変換式を用いることでゲージ圧を基準としてもよい。
本実施の形態では、呼吸模擬装置20は、第1の動作モードと、第2の動作モードとを実現可能である。第1の動作モードは、気道抵抗Rを模擬した模擬気道抵抗Rを物理的構成によって実現させて、肺の動きを達成させる形態である。具体的には、第1の動作モードは、気道抵抗値Rと同様の管路抵抗値Rを有する抵抗体24を管路形成体23に介在させる形態である。第1の動作モードでは、抵抗体24に加えて、気管挿管チューブなども接続可能である。また気道抵抗を実際の抵抗体24で実現することで、演算を簡単化することができ、演算ミスの発生を防ぐことができる。
第2の動作モードは、制御部32およびサーボアンプ29の演算によって、気道抵抗Rが存在する肺の動きを実現させる形態である。具体的には、第2の動作モードは、抵抗体24を管路形成体23に介在させることなく、制御部32およびサーボアンプ29によるソフトウェア演算によって気道抵抗Rが存在する肺の動きを模擬させる。第2の動作モードでは、呼吸模擬装置20によって肺の動きを模擬している途中に、気道抵抗24を無段階に設定変更可能である。
図4は、呼吸模擬装置20の第1の動作モードを実現する構成を示すブロック線図である。制御部92は、自発呼吸圧力信号生成部70と、外力演算部71と、弾性抵抗演算部72と、弾性影響膨張力演算部73との機能を実現可能に構成される。またサーボアンプ29は、粘性影響膨張力演算部74と、粘性抵抗演算部75と、容積変化演算部76と、膨張量演算部77との機能を実現可能に構成される。
ここでサーボアンプ29は、演算した肺の膨張速度dV/dtで、ベローズポンプ21の容積が変化するように、アクチュエータに変化指令を与える変化指示部となる。また粘性影響膨張力演算部74と、粘性抵抗演算部75と、容積変化演算部76とを合わせることで、肺の動特性を表わす運動方程式に基づいて、肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算部となる。
自発呼吸圧力信号生成部70は、肺の自発呼吸圧力Pmusを模擬した自発呼吸圧力を示す自発呼吸圧力値Pmusを生成する。自発呼吸圧力信号生成部70は、予め記憶部94に記憶される情報に従って時間経過とともに変化する自発呼吸圧力値Pmusを生成する。自発呼吸圧力信号生成部70は、生成した自発呼吸圧力値Pmusを外力演算部71に与える。
図5は、自発呼吸圧力Pmusの時間変化を示すグラフである。呼吸模擬装置20は、吸気期間の動作と呼気期間の動作とを交互に繰返す。自発呼吸圧力Pmusは、吸気動作を行う吸気期間において、吸気開始時から徐々に増大し、吸気終了直前に最大となる。また自発呼吸圧力Pmusは、呼気動作を行う呼気期間において、呼気開始時から時間変化に対して大きな変化率で減少し、呼気期間後半では、大気圧とほぼ等しくなる。自発呼吸圧力信号生成部70は、図5に表わされるような自発呼吸圧力Pmusを示す信号を生成する。
また図5に示す自発呼吸圧力Pmusの時間変化は一例であって、自発呼吸圧力信号生成部70が生成する自発呼吸圧力信号は、図5に示す以外の自発呼吸圧力Pmusを示す信号を生成してもよい。本実施の形態では、図5に示す標準波形のほか、正弦波形、台形波形のいずれかを選択可能に構成される。また最大値を設定可能に形成されるとともに、呼吸回数を選択することで吸気期間を設定可能に形成される。
外力演算部71は、自発呼吸圧力信号生成部70から自発呼吸圧力Pmusを示す信号が与えられるとともに、模擬肺内圧力検出手段25から模擬肺内圧力Palvを示す圧力検出信号が与えられる。外力演算部71は、自発呼吸圧力値Pmusと、模擬肺内圧力値Palvとを加算して、肺を膨張させるために働く外力P1(=Pmus+Palv)を求める。外力演算部71は、外力P1を示す演算信号を弾性影響膨張力演算部73に与える。
弾性抵抗演算部72は、エンコーダ27からモータ36の回転量を示す信号が与えられる。弾性抵抗演算部72は、モータ36の回転量に基づいて、吸気開始からベローズポンプ21の容積が膨張した膨張量Vを求める。次に、膨張量Vを、予め定められる肺のコンプライアンスCで割算して、肺の膨張に抗する弾性抵抗力P2(=V/C)を求める。弾性抵抗演算部72は、求めた弾性抵抗力P2を示す演算信号を、弾性影響膨張力演算部73に与える。ここで弾性抵抗演算部72は、弾性抵抗力の演算にあたって、入力部96を介して操作者から与えられるコンプライアンスCを用いてもよく、記憶部94に記憶されるコンプライアンス値Cを用いてもよい。
弾性影響膨張力演算部73は、外力演算部71から肺を膨張させる外力P1を示す演算信号が与えられるとともに、弾性抵抗演算部72から膨張に抵抗する肺の弾性抵抗力P2を示す演算信号が与えられる。弾性影響膨張力演算部72は、外力P1から弾性抵抗力P2を減算して、弾性抵抗力を考慮して、肺を膨らませるために作用する弾性影響膨張力P3(=P1−P2)を求める。弾性影響膨張力演算部73は、弾性抵抗力P2を考慮した肺の弾性影響膨張力P3を示す演算信号を粘性影響膨張力演算部74に与える。
粘性影響膨張力演算部74は、弾性影響膨張力演算部73から弾性影響膨張力P3を示す信号が与えられるとともに、粘性抵抗演算部75から、肺の膨張に抵抗する肺の粘性抵抗力P4を示す信号が与えられる。粘性影響膨張力器74は、弾性影響膨張力P3から粘性抵抗力P4を減算して、粘性抵抗力P4を考慮して、肺を膨らませるために作用する粘性影響膨張力P5(=P3−P4)を求める。粘性影響膨張力演算部74は、粘性影響膨張力P5を示す演算信号を容積変化演算部76に与える。
容積変化演算部76は、粘性影響膨張力演算部73から粘性影響膨張力P5を示す信号が与えられる。容積変化演算部76は、粘性影響膨張力P5を、肺の可動部分の等価質量Mで減算し、減算値を積分した値を、肺の膨張速度dV/dtとして演算する。ここで、肺の可動部分の等価質量値Mは、予めサーボアンプ29に設けられる記憶部94に記憶される。膨張速度演算部76は、演算した肺の膨張速度dV/dtを示す信号を、粘性抵抗演算部75および膨張量演算部77に与える。
粘性抵抗演算部75は、容積変化演算部76から肺の膨張速度dV/dtを示す信号が与えられる。粘性抵抗演算部75は、肺の膨張速度dV/dtに、肺の等価ダンピング定数Dを乗算して、肺の膨張に抵抗する粘性抵抗力P4を演算する。粘性抵抗演算部75は、演算した粘性抵抗力P4を示す信号を粘性抵抗影響膨張力演算部74に与える。
膨張量演算部77は、容積変化演算部76から肺の膨張速度dV/dtを示す信号が与えられる。膨張量演算部77は、肺の膨張速度dV/dtを積分して、肺の膨張量Vを求める。膨張量演算部77は、求めた肺の膨張量Vを示す信号を電流回路に与える。電流回路は、与えられる肺の膨張量を示す信号に従って、ベローズポンプ21を拡大させる拡大量を決定し、その拡大量となるような電流をモータ36に与える。
このように本実施の形態では、制御部92は、外力P1に対して、弾性抵抗力P2を減算した弾性影響膨張力P3を求め、弾性影響膨張力P3を示す信号をサーボアンプに与える。具体的には、制御部92は、自発呼吸圧力Pmusを模擬した信号を生成するとともに、模擬肺内圧力検出手段25およびエンコーダ27からの検出信号を取得して、弾性影響膨張力P3を求める。制御部92は、上述した(8)式の右辺をソフトウェアによって実現し、弾性影響膨張力P3を、((Pmus+Palv)−(V/C))として演算する。ここでPmusは自発呼吸圧力である。Palvは肺模擬圧力である。またVは膨張量である。またCは肺のコンプライアンスである。また実際には、制御部92は、演算遅れが影響しない適正な前向きのゲインを、サーボアンプ29に与える。
またサーボアンプ29は、制御部92から与えられる弾性影響膨張力P3を示す信号に基づいて、ベローズポンプ21を拡大させる拡大量を決定し、その拡大量となるような電流をモータ36に与える。具体的には、サーボアンプ29は、上述した(8)式の左辺をソフトウェアによって実現し、肺の膨張量Vを、P3/(s・(M・s+D))として演算する。ここでP3は、弾性影響膨張力である。またsは、ラプラス演算子を示す。またMは、肺の等価質量を示す。またDは、肺の等価ダンピング定数を示す。
第1の動作モードでは、図2(3)に示すように、肺の動きと肺内の気体マスバランス機能を電気サーボ系とベローズポンプ機構に置き換えるとともに、気道抵抗値を抵抗体24によって実現する。また制御部92で、自発呼吸圧力Pmusの設定、肺のコンプライアンス値Cをそれぞれ設定し、サーボアンプ29で、実際の肺の動きを模擬するようなベローズポンプ21の駆動量の演算を決定する。このようにしてベローズポンプ21を能動的に駆動させることで、ベローズポンプ21の可動部分のコンプライアンスC、質量Mおよびダンピング定数Dが、実際の肺と異なっていたとしても、呼吸模擬装置20は、肺の動きを模擬した気体の吸気動作を行うことができる。
また図3で示される各演算部は、プログラムを実行することによって実現されるソフトウェアによって実現されてもよい。また電気回路などのハードウェアによって実現されていてもよい。また説明を容易にするために、各演算部について個別に示したが、等価変換して複数を1つにまとめるようにしてもよい。たとえば制御部92は、次の(11)式にしたがって、膨張量を決定してもよい。
Figure 2008152152
ここで左辺のdV/dtは、モータ36に与える指令信号を生成するための、ベローズポンプ21の膨張速度を示す。右辺のVは、エンコーダから与えられる膨張量を示し、右辺のdV/dtは、エンコーダから与えられる膨張量から求められる膨張加速度を示す。
図6は、呼吸模擬装置20の第2の動作モードを実現する構成を示すブロック線図である。第2の動作モードでは、抵抗体24が取り外されて、管路形成体23の抵抗は、実質的にはゼロとなるように設定される。この場合、理論的には、気道圧力Pawと、ベローズポンプ21の内圧とは等しい。したがってベローズポンプ21の膨張量Vの演算は、気道流量Qawに基づいて求められる。
制御部92は、自発呼吸圧力信号生成部70と、外力演算部71と、弾性抵抗演算部72と、弾性影響膨張力演算部73と、差圧演算部78と、気道流量演算部79と、圧力増分流量演算部80と、模擬肺内圧力演算部81との機能を実現可能に構成される。またサーボアンプ29は、粘性影響膨張力演算部74と、粘性抵抗演算部75と、容積変化演算部76と、膨張量演算部77との機能を実現可能に構成される。
自発呼吸圧力信号生成部70、弾性抵抗演算部72および弾性影響膨張力演算部73は、第1の動作モードと同様であり、説明を省略する。また粘性影響膨張力演算部74、粘性抵抗演算部75、容積変化演算部76および膨張量演算部77は、第1の動作モードと同様であり、説明を省略する。
外力演算部71は、自発呼吸圧力信号生成部70から自発呼吸圧力Pmusを示す信号が与えられるとともに、模擬肺内圧力演算部81から模擬肺内圧力Palvを示す信号が与えられる。外力演算部71は、自発呼吸圧力値Pmusと、圧力検出信号が示す模擬肺内圧力値Palvとを加算して、肺を膨張させるために働く外力P1(=Pmus+Palv)を求める。外力演算部71は、外力P1を示す演算信号を弾性影響膨張力演算部73に与える。
差圧演算部78は、模擬気道圧力検出手段26から模擬気道圧力Pawを示す圧力検出信号が与えられるとともに、模擬肺内圧力演算部81から模擬肺内圧力Palvを示す信号が与えられる。差圧演算部78は、模擬気道圧力Pawから模擬肺内圧力Palvを減算して、模擬気道圧力と模擬肺内圧力との差圧(Paw−Palv)を求める。差圧演算部78は、差圧を示す信号を気道流量演算部79に与える。
気道流量演算部79は、差圧演算部78から与えられる差圧信号が与えられる。気道流量演算部79は、差圧(Paw−Palv)を気道抵抗値Rで割算して、気道流量Qawを求める。気道流量演算部79は、求めた気道流量Qawを示す信号を圧力増分流量演算部80に与える。
圧力増分流量演算部80は、気道流量演算部79から気道流量Qawを示す信号が与えられるとともに、エンコーダ27からベローズポンプ21の膨張速度dV/dtを示す信号が与えられる。圧力増分流量演算部80は、気道流量Qawから膨張速度dV/dtを減算して、ベローズポンプ21内に流れ込んだ気体のうちで、ベローズポンプ21内の圧力増加に寄与する気体の流量(Qaw−dV/dt)を演算する。圧力増分流量演算部80は、ベローズポンプ21内の圧力増加に寄与する気体の流量を示す信号を模擬肺内圧力演算部81に与える。
模擬肺内圧力演算部81は、圧力増分流量演算部80から与えられる圧力増分流量を次の(12)式に従って求める。
Figure 2008152152
言い換えると、(4)式を線形化した次の(13)式が成り立つ。
Figure 2008152152
模擬肺内圧力演算部81は、(12)式に従って、模擬肺内圧力Palvを演算し、演算結果を示す信号を外力演算部71および差圧演算部78にそれぞれ与える。
このように第2の動作モードでは、模擬気道圧力検出手段26によって検出された模擬気道圧力Pawと、エンコーダ27によって検出される膨張速度dV/dtとに基づいて、模擬肺圧力Palvを演算し、演算結果を用いて、肺を膨張するために作用する外力P1を演算する。他の動作については、第1の動作と同様である。具体的には、制御部92は、上述した(8)式の右辺、(12)式の左辺をソフトウェアによって実現する。
図7は、制御部92の動作を示すフローチャートである。まずステップs0で、呼吸模擬装置20に電力が供給されて各構成部分が動作可能に維持された状態で、入力部96を介して、呼吸模擬動作を開始する開始指令が与えられると、ステップa1に進み、制御部92は、呼吸模擬動作を開始する。
ステップs1では、制御部92は、第1の動作モードと第2の動作モードとのいずれが選択されているか否かを判断する。どちらの動作モードが選択されているかは、予め入力部によって記憶部94に入力されている。制御部92は、記憶部94から選択された動作モードを読み出して、第1の動作モードが選択されている場合には、ステップs2に進む。
ステップs2では、制御部92は、自発呼吸圧力Pmusを示す信号を生成するとともに、模擬肺内圧力検出手段25から模擬肺内圧力Palvを示す信号を取得する。制御部92は、これらの信号に従って、自発呼吸圧力Pmusと模擬肺内圧力Palvとを加算して、肺を膨張するために与えられる外力P1を演算する。このようにして外力演算工程を終了すると、ステップs3に進む。
ステップs3では、制御部92は、エンコーダ27からベローズポンプ21の膨張量Vを示す信号を取得する。制御部92は、肺のコンプライアンス値Cと膨張量Vとに基づいて、肺の弾性抵抗力P2を求める。次に、ステップs2で求めた外力P1から、弾性抵抗力P2を減算して、弾性影響膨張力P3を演算し、演算結果をサーボアンプ29に与える。このようにして弾性抵抗力演算工程と弾性影響膨張力工程とを終了すると、ステップs4に進む。
サーボアンプ29は、制御部92から与えられた弾性影響膨張力P3に基づいて、モータの動作量を演算し、演算した動作量に応じた電流をモータ36に与える。このようにサーボアンプ29は、弾性影響膨張力値P3に相当する力が肺に与えられたときの肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算工程と、前記膨張速度演算工程によって演算した肺の膨張速度dV/dtで、ベローズポンプ21の容積が変化するように、モータ36に変化指令を与える変化指示工程とを行う。
ステップs4では、制御部92は、入力部96を介して、呼吸模擬動作を終了する終了指令が与えられたか否かを判断する。制御部92は、呼吸模擬動作を終了する終了指令が与えられていないと判断すると、ステップs2に戻り、ステップs2〜s4を繰返す。またステップs4において、制御部92は、終了指令が与えられたと判断すると、ステップs5に進み、動作を終了する。
またステップs1において、制御部92は、第2の動作モードが選択されていると判断すると、ステップs6に進む。ステップs6では、制御部92は、エンコーダ27から与えられる信号と、模擬気道圧力検出手段26から与えられる信号とに基づいて、(12)式に従って、模擬肺内圧力値Palvを演算し、模擬肺内圧力値Palvを演算する模擬肺内圧力演算工程を終了すると、ステップs7に進む。
ステップs7では、制御部92は、自発呼吸圧力Pmusを示す信号を生成するとともに、模擬肺内圧力演算部81から模擬肺内圧力Palvを示す信号を取得する。制御部92は、これらの信号に従って、自発呼吸圧力Pmusと模擬肺内圧力Palvとを加算して、肺を膨張するために与えられる外力P1を演算する。このようにして外力演算工程を終了すると、ステップs8に進む。
ステップs8では、ステップs3と同様の動作を行い、弾性影響膨張力P3を演算し、ステップs9に進む。サーボアンプ29は、制御部92から与えられた弾性影響膨張力P3に基づいて、モータ36の動作量を演算し、演算した動作量に応じた電流をモータ36に与える。
ステップs9では、制御部92は、入力部96を介して、呼吸模擬動作を終了する終了指令が与えられたか否かを判断する。制御部92は、呼吸模擬動作を終了する終了指令が与えられていないと判断すると、ステップs6に戻り、ステップs6〜s9を繰り返す。またステップs9において、制御部92は、終了指令が与えられたと判断すると、ステップs5に進み、動作を終了する。
このような制御部92の動作は、記憶部94に記憶される動作プログラムを実行することによって実現される。またこのような制御方法は、ベローズポンプ21と、管路形成体23と、アクチュエータ22とを有する肺模擬体100の制御方法として適用することができる。この場合、肺模擬体100の管路形成体23に抵抗体24が介在されることで、第1の動作を実行することができ、抵抗体24が取外されることで、第2の動作を実行することができる。
表1に呼吸模擬装置20の基本性能を示す。また表1に対して、気道抵抗値設定可能範囲は、3〜1000cmH20/(リットル/秒)まで拡張されることが好ましい。
Figure 2008152152
図8は、模擬気道抵抗Rの試験結果を示すグラフである。図8には、抵抗体24を接続した第1の動作モードと、気道抵抗をソフトウエアで模擬した第2の動作モードとを比較して示す。図8には、縦軸に呼吸模擬装置20の模擬気道抵抗Rの測定値を示し、横軸に模擬気道抵抗Rの理想基準値を示す。
第1の動作モードでは、人工呼吸器を呼吸模擬装置20に接続し、人工呼吸器から供給する支援ガスの圧力をランプ状に変化させる。このときの模擬気道圧力Paw、模擬肺内圧力Palvを測定するとともに、気道流量Qawを測定した。気道流量Qawが安定したときの、それらの値Qaw,Paw,Palvを用いて、次の(13)式にあてはめて、模擬気道抵抗Rを測定した。
Figure 2008152152
また第2の動作モードでは、模擬肺内圧力Palvは、演算によって求めているので、模擬肺内圧力Palvは、測定した気道圧力Pawと、計測した気道流量Qawとを用いて、次の(14)式をもちいて、模擬肺内圧力Palvを求めてから、(13)式に代入して、模擬気道抵抗Rを測定した。
Figure 2008152152
ここで、Rは、制御部92で設定された模擬気道抵抗Rである。
図8に示すように、第1の動作モードおよび第2動作モードともに、模擬気道抵抗Rの測定値は、模擬気道抵抗の理想基準値とほぼ同じ値を示した。各動作モードともに、理想基準値からの誤差は、最小測定レンジである気道抵抗Rが5[cmH0/(リットル/秒)]で、19%である。その他のレンジでは、さらに誤差が小さい。このように模擬気道抵抗Rの測定値は、理想基準値の±20%以内を実現している。たとえば日本工業規格(JIS T 7204-1989「医療用人工呼吸器」で推奨している許容範囲(理想基準値±20%以内))を満たしている。ただしこの許容範囲は、受動的なモデル肺を対象としている。
したがって第1の動作モードおよび第2の動作モードともに、肺の気道抵抗Rを十分に模擬可能であることがわかる。第1の動作モードでは、管路抵抗の異なる抵抗体に取り替えることで、模擬気道抵抗Rを変更することができる。また第2の動作モードでは、制御部92が演算に採用する模擬気道抵抗Rを変更することで、模擬気道抵抗Rを変更することができる。
図9は、コンプライアンスCの試験結果を示すグラフである。図9には、人工呼吸器を接続させずに自発呼吸時のコンプライアンスを測定した第1の計測方法と、人工呼吸器による支援時のコンプライアンスを測定した第2の計測方法とを比較して示す。図9には、縦軸に呼吸模擬装置のコンプライアンスの測定値を示し、横軸にコンプライアンスの理想基準値を示す。
第1の計測方法では、呼吸模擬装置20によって肺の動作を模擬させて、吸気期間が終了したタイミングで空気回路の閉塞を行う。閉塞した後、模擬自発呼吸Pmusをゼロとして、そのときの模擬肺内圧力Palvのピーク圧力とベローズポンプ21の移動量を計測し、次の(15)式を用いて、コンプライアンスCを測定した。
第2の計測方法では、呼吸模擬装置20の自発呼吸圧力Pmusをゼロとして、無呼吸状態にして、人工呼吸器から一定圧力の支援ガスを供給したときのベローズポンプ21の移動量を計測して、次の(15)式を用いて、コンプライアンスCを測定した。
Figure 2008152152
第1の計測方法で測定した場合において、理想基準値からの誤差は、最大で3.6%である。また第2の計測方法で測定した場合において、理想基準値からの誤差は、最大で2.4%である。このようにコンプライアンスCの測定値は、理想基準値の±5%以内を実現している。たとえば日本工業規格(JIS T 7204-1989「医療用人工呼吸器」で推奨している許容範囲(理想基準値±5%以内))を満たしている。ただしこの許容範囲は、受動的なモデル肺を対象としている。
したがって人工呼吸器を接続せずに自発呼吸させた場合と、人工呼吸器を接続させた場合とで、肺のコンプライアンスCを十分に模擬可能であることがわかる。また各動作モードにおいて、制御部92が演算に採用するコンプライアンスCを変更することで、コンプライアンスCを変更することができる。
図10は、呼吸模擬装置20の応答性を説明するための図である。図10(1)は、第1の動作における応答性を示し、図10(2)は、第2の動作における応答性を示す。図10は、ランプ状に自発呼吸圧力Pmusを増加させた場合の気道流量Qawの流量変化を示す。また図10(1),図10(2)には、図3に示すブロック図で、M=0,D=0として、シミュレーションで求めた気道流量Qawを破線で示す。
図10に示すように、呼吸模擬装置20における気道流量を計測した場合も、シミュレーションで求めた気道流量Qawの変化に追従していることがわかる。したがって自発呼吸圧力Pmusの変化に応じた気道流量の十分な応答性を得ることができる。また第1の動作モードでは、吸気開始直後に、15m秒程度の遅れが発生している。この遅れは、ベローズポンプ機構部分の機械的摩擦などの影響であるが、実用上問題はない。また遅れを補償する制御部92を制御部が有してもよい。たとえば第2の動作モードにおいて、C´またはC´に設定されるVを可変にすることで、遅れの影響を低減することができる。
図8〜図10に示すように、本実施の形態の呼吸模擬装置20は、第1の動作モードおよび第2の動作モードであっても、肺の動きを精度よく模擬することができ、実用上使用可能な性能を有する。
呼吸模擬装置20に接続される人工呼吸器は、たとえば呼吸支援方法として、PSV(
Pressure Support Ventilation)、SIMV(Spontaneous Intermittent Mandatory
Ventilation)、AMV(Assisted Mandatory Ventilation)またはPAV(
Proportional Assist Ventilation)を行う。たとえばPAV法は、自発呼吸圧力Pmusに比例した圧力支援を行う呼吸支援方法である。呼吸模擬装置20は、人工呼吸器によって変化する模擬気道圧力Pawまたは模擬肺内圧力Palvに応じてベローズポンプ21を動作させる。本実施の形態の呼吸模擬装置20は、自発呼吸圧力Pmusを任意に設定可能であるので、PAV法を行う人工呼吸器の性能確認に高い効果を発揮する。
以上のように、本実施形態の呼吸模擬装置20は、第1の動作モードでは、検出される模擬肺内圧力Palvと、演算生成される自発呼吸圧力Pmusとに基づいて、モータ36を制御する。また第2の動作モードでは、検出される気道圧力Pawと、演算生成される自発呼吸圧力Pmusとに基づいて、モータ36を制御する。このように、呼吸模擬装置20は、検出される圧力値に基づいて、実圧力フィードバック制御を行う。これによって、人工呼吸器によって支援される支援量に応じて、変化する肺の動きを精度よく模擬することができる。
また本実施の形態では、自発呼吸圧力Pmusが存在する場合について模擬したが、自発呼吸圧力Pmusをゼロとして設定することで、無呼吸状態の肺の動きについても模擬することができる。この場合、呼吸模擬装置20は、人工呼吸器から供給される支援ガスによる圧力変化に応じて、設定される気道抵抗RおよびコンプライアンスCに従って、ベローズポンプ21を動作させる。これによって無呼吸状態での人工呼吸器の支援状態、性能確認を行うことができ、利便性を向上することができる。たとえば無呼吸状態での人工呼吸器の呼吸支援方法として、一定間隔毎に支援ガスを供給する非同期型サポートを行ってもよい。
また本実施の形態では、制御部92に設定される自発呼吸圧力PmusおよびコンプライアンスCを、任意のタイミングでそれぞれ変更することができる。これによって肺の状態が変化した状態を模擬することができ、多様な条件で、人工呼吸器の動作確認を行うことができる。
また第1の動作モードでは、管路抵抗が異なる抵抗体24に取り替えることで、呼吸模擬装置20の模擬気道抵抗Rを変更することができる。また第2の動作モードでは、制御部92に設定される模擬気道抵抗Rを、任意のタイミングで変更することができる。これによって気道抵抗Rが異なる場合の肺の動きを模擬することができ、さらに多様な条件で、人工呼吸器の動作確認を行うことができる。また本実施の形態では、(7)式に従うことで、肺の弾性抵抗力P2および粘性抵抗力P4を考慮して、肺の膨張速度を演算することができる。これによって模擬対象とする肺の動きをより精度よく実現することができる。また肺の等価質量Mおよびダンピング定数Dを変更することで、多様な肺の動作を模擬することができる。たとえば幼児の肺の動きを模擬する場合、成人男性に対して等価質量M、ダンピング定数D、コンプライアンスCを変更することで、より精度よく肺の動きを模擬することができる。さらに本実施の形態では、制御部92は、自発呼吸圧力Pmusの時間応答形状を意味するパターン、最大値を意味する大きさおよび呼吸回数Fを、入力部から与えられる指令に応じて、呼吸模擬動作中に変更可能とすることで、さらに利便性を向上することができる。
図11は、本発明の第2実施形態である呼吸模擬装置の第1の動作モードを実現する構成を示すブロック線図である。本発明の第2実施形態の呼吸模擬装置20は、第1実施形態の呼吸模擬装置に比べて、弾性抵抗演算部172の構成が異なり、他の構成については同様である。第1実施形態と同様の構成については、説明を省略して同様の参照符号を付する。
弾性抵抗演算部172は、エンコーダ27によって検出される模擬肺空間の膨張量Vに応じて決定される模擬コンプライアンス値Cを用いて、弾性抵抗力値P2を演算する。具体的には、弾性抵抗演算部172は、エンコーダ27からモータ36の回転量を示す信号が与えられる。弾性抵抗演算部72は、モータ36の回転量に基づいて、吸気開始からベローズポンプ21の容積が膨張した膨張量Vを求める。次に、予め定められるコンプライアンス導出関数f(V)に膨張量Vを代入して、コンプライアンス値Cを求める。次に、弾性抵抗演算部172は、求めた肺のコンプライアンスCで、膨張量Vを割算して、肺の膨張に抗する弾性抵抗力P2(=V/C)を求める。弾性抵抗演算部72は、求めた弾性抵抗力P2を示す演算信号を、弾性影響膨張力演算部73に与える。
図12は、膨張量Vと、弾性抵抗力P2との関係を近似的に示す非線形曲線のグラフである。膨張量Vが大きい場合には、膨張量Vが小さい場合に比べて、飽和して膨張量の単位変化ΔVあたりの弾性抵抗力の変化量ΔP/ΔVが小さくなる((ΔP22/ΔV)<(ΔP21/ΔV))。図12に示す場合には、弾性抵抗力P2は、膨張量Vを変数とする二次関数の逆関数となる。
前記コンプライアンス導出関数f(V)は、図12に示す曲線の関係を満足する関数である。コンプライアンス導出関数f(V)は、膨張量Vを変数としてコンプライアンスCを導出する関数である。コンプライアンス導出関数f(V)によって導かれるコンプライアンスCは、図12において膨張量Vの単位変化ΔVあたりの弾性抵抗力の変化量ΔP/ΔVに相当する。
このようにコンプライアンスCの値を、膨張量Vに応じて変化させることで、膨張量Vに拘わらずにコンプライアンス値Cが一定の場合に比べて、実際の人間のコンプライアンス値に近づけることができる。これによって呼吸模擬装置による呼吸動作を、さらに人間の呼吸模擬動作に近づけることができ、人工呼吸器の検査などを精度よく行うことができる。
また第2実施形態では、コンプライアンス導出関数f(V)を用いて、膨張量V毎に変化するコンプライアンスCを決定したが、これに限定せず、膨張量Vに応じてコンプライアンスCが変化すればよい。たとえば膨張量VとコンプライアンスCとの関係を示すデータベースを参照して、膨張量V毎に変化するコンプライアンスCを決定してもよい。またコンプライアンスCを用いることなく、図12に示す膨張量Vと弾性抵抗力値P2との非線形関係式または非線形関係を示すデータベースに基づいて、膨張量Vから弾性抵抗力値P2を直接求めてもよい。また第2実施形態では、第2の動作モードであっても、同様にしてコンプライアンスCおよび弾性抵抗力値P2を求めてもよい。また本実施形態では、弾性抵抗力P2は、膨張量Vを変数とする二次関数としたが、これに限定せず、他の関係式を用いてもよい。
図13は、本発明の第3実施形態である呼吸模擬装置の第2の動作モードを実現する構成を示すブロック線図である。本発明の第3実施形態の呼吸模擬装置20は、第1実施形態の呼吸模擬装置に比べて、気道流量演算部179の構成が異なり、他の構成については同様である。第1実施形態と同様の構成については、説明を省略して同様の参照符号を付する。
気道流量演算部179は、模擬気道圧力検出手段によって検出される模擬気道圧力値Pawと、直前に演算した模擬肺内圧力値Palvとの差圧値(Paw−Palv)に応じて変化する模擬気道抵抗値Rを用いて、模擬気道流量Qawを演算する。具体的には、予め定められる気道抵抗導出関数f(Paw−Palv)に、差圧値(Paw−Palv)を代入して、気道抵抗Rを求める。次に、気道流量演算部179は、差圧(Paw−Palv)を気道抵抗値Rで割算して、気道流量Qawを求める。気道流量演算部79は、求めた気道流量Qawを示す信号を圧力増分流量演算部80に与える。
図14は、差圧(Paw−Palv)と、気道流量Qawとの関係を近似的に示す非線形曲線のグラフである。差圧の絶対値が大きい場合には、差圧の絶対値が小さい場合に比べて、飽和して差圧の単位変化Δ(Paw−Palv)あたりの気道流量の変化量ΔQaw/Δ(Paw−Palv)が小さくなる((ΔQaw/Δ(Paw−Palv))<(ΔQaw/Δ(Paw−Palv)))。図14に示す場合には、気道流量Qawは、差圧(Paw−Palv)を変数とする関数であって、差圧の絶対値が過剰となると一定の気道流量Qawとなる、いわゆる双曲正接関数またはグーデルマン関数の逆関数となる。
前記気道抵抗導出関数f(Paw−Palv)は、図14に示す曲線の関係を満足する関数である。気道抵抗導出関数f(Paw−Palv)は、差圧(Paw−Palv)を変数として気道抵抗Rを導出する関数である。気道抵抗導出関数f(Paw−Palv)によって導かれる気道抵抗Rは、図14において差圧(Paw−Palv)の単位変化Δ(Paw−Palv)あたりの気道流量Qawの変化量ΔQawに相当する。
このように気道抵抗Rの値を、差圧(Paw−Palv)に応じて変化させることで、差圧(Paw−Palv)に拘わらずに気道抵抗値Rが一定の場合に比べて、実際の人間の気道抵抗値に近づけることができる。これによって呼吸模擬装置による呼吸動作を、さらに人間の呼吸模擬動作に近づけることができ、人工呼吸器の検査などを精度よく行うことができる。
また第3実施形態では、気道抵抗導出関数f(Paw−Palv)を用いて、差圧(Paw−Palv)毎に変化する気道抵抗Rを決定したが、これに限定せず、差圧(Paw−Palv)に応じて気道抵抗Rが変化すればよい。たとえば差圧(Paw−Palv)と気道抵抗Rとの関係を示すデータベースを参照して、差圧(Paw−Palv)毎に変化する気道抵抗Rを決定してもよい。また気道抵抗Rを用いることなく、図14に示すように、差圧(Paw−Palv)と気道流量Qawとの非線形関係式または非線形関係を示すデータベースに基づいて、差圧(Paw−Palv)から気道流量Qawを直接求めてもよい。また第3実施形態では、第2実施形態の弾性抵抗演算部172と併用することもできる。また本実施形態では、気道流量Qawは、差圧の絶対値が過剰となると一定となる関数としたが、これに限定せず他の関係式を用いてもよい。
上述した呼吸模擬装置は、本発明の一例示であって発明の範囲内で構成を変更することができる。たとえば本実施の形態では、制御部92が自発呼吸圧力Pmus値を決定するとしたがこれに限定しない。
たとえば制御装置90は、外部入出力装置が接続されてもよい。外部入出力装置は、パーソナルコンピュータによって実現される。外部入出力装置は、時間経過に応じた、自発呼吸圧力Pmusの値を制御部92に伝える。これによって、自発呼吸圧力Pmusの設定の自由度を向上することができ、自発呼吸圧力Pmusの詳細なパターン設定を行うことができる。
具体的には、外部入出力装置は、自発呼吸圧力Pmusの時間応答における立ち上がり、立ち下がり時間、吸気時間、呼吸回数F、コンプライアンスC、気道抵抗R、肺の残気量を設定可能である。また操作者によって、任意に自発呼吸圧力を設定可能となる。
またたとえば40[cmH0]/0.2[秒]の正パルス圧力を、自発呼吸圧力Pmusにランダム重畳することで、しゃっくりの肺の動きを模擬することができる。また40〜50[cmH0]/0.3[秒]の負パルス圧力を、自発呼吸圧力Pmusにランダム重畳することで、咳の肺の動きを模擬することができる。このほか外部入出力装置を用いて、変更可能なパラメータを設定することで、特殊な肺の動きを模擬することができる。
また外部入出力装置は、制御部92から信号が与えられることで、模擬気道圧力Paw、模擬肺内圧力Palv、自発呼吸圧力Pmus、体積Vを示すトレンドグラフを表示可能となる。これによって利便性を向上することができる。また本実施の形態では、流量検出手段28が設けられることによって、気道流量Qawを示すトレンドグラフを表示可能となる。また外部入出力装置は、圧力、流量および体積の情報を表示するとともに、記憶することができる。これによって人工呼吸器の動作を詳細に分析することができる。たとえば、呼吸毎の圧力、流量および体積の最大値および最小値、呼吸仕事量を計算することができる。
また呼吸模擬装置は、ベローズポンプ21によって模擬空間形成体が形成されたがこれに限定されない。たとえばシリンダポンプのように容積変化可能な容積変化型ポンプによって模擬空間形成体が形成されてもよい。またアクチュエータ23も他の構成によって実現されてもよい。このように呼吸模擬装置の機械的構成は、適宜変更が可能である。また本実施形態では、サーボアンプ29が、演算機能を有しており、弾性影響膨張力P3が与えられた場合の肺の駆動量を演算するとした。これに限定されず、実施形態でのサーボアンプ29での演算動作を制御部92が担ってもよい。これによってサーボアンプ29の構成を簡単化することができる。また本実施の形態では、第1の動作モードと、第2の動作モードとの両方を実現可能に構成されるが、いずれか一方の動作モードだけを行う呼吸模擬装置も本発明に含まれる。
また上述した制御部92の各演算部は、理解を容易にするために個別に説明したが、等価変換されて整理されてもよい。また本実施の形態では、各演算部は、数値可能なコンピュータが、予め定める動作プログラムを実行することによってソフトウェアで実現される。またソフトウェアで実現されなくても、各演算部は、電気回路などによって構成されるハードウェアで実現されてもよい。
本発明の第1実施形態である呼吸模擬装置20である。 人間の呼吸器官50と、ベローズポンプ21を用いて呼吸器官50をモデル化した呼吸器官モデル51と、呼吸模擬装置20とをそれぞれ示すブロック図である。 呼吸器官モデル51を示すブロック線図である。 呼吸模擬装置20の第1の動作モードを実現する構成を示すブロック線図である。 自発呼吸圧力Pmusの時間変化を示すグラフである。 呼吸模擬装置20の第2の動作モードを実現する構成を示すブロック線図である。 制御部92の動作を示すフローチャートである。 模擬気道抵抗Rの試験結果を示すグラフである。 コンプライアンスCの試験結果を示すグラフである。 呼吸模擬装置20の応答性を説明するための図である。 本発明の第2実施形態である呼吸模擬装置の第1の動作モードを実現する構成を示すブロック線図である。 膨張量Vと、弾性抵抗力P2との関係を近似的に示す非線形曲線のグラフである。 本発明の第3実施形態である呼吸模擬装置の第2の動作モードを実現する構成を示すブロック線図である。 差圧(Paw−Palv)と、気道流量Qawとの関係を近似的に示す非線形曲線のグラフである。
符号の説明
16 貫通口
18 模擬肺空間
19 模擬気道
20 呼吸模擬装置
21 ベローズポンプ
22 管路形成体
23 アクチュエータ
24 抵抗体
25 模擬肺内圧力検出手段
26 模擬気道圧力検出手段
27 エンコーダ
90 制御装置

Claims (10)

  1. (a)気体が充填される模擬肺空間を規定し、模擬肺空間に気体を出し入れするための貫通口が形成される模擬肺空間形成体と、
    (b)模擬肺空間形成体の貫通口形成部分に接続されて、気体を模擬肺空間に出し入れするための模擬気道を形成する模擬気道形成体と、
    (c)模擬気道形成体に介在されて、気道抵抗に相当する管路抵抗を有する抵抗体と、
    (d)模擬肺空間の容積を変化させる容積変化手段と、
    (e)模擬肺空間の圧力である模擬肺内圧力Palvを検出する模擬肺内圧力検出手段と、
    (f)気体の吸引を開始してからの模擬肺空間の容積の膨張量Vを検出する膨張量検出手段と、
    (g)肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する模擬自発呼吸圧力値Pmusを生成する生成手段と、
    (h)模擬肺内圧力検出手段および膨張量検出手段の各検出結果と、生成手段の生成結果とに応答して、容積変化手段を制御する制御手段であって、
    (h1)前記模擬自発呼吸圧力値Pmusと、前記模擬肺内圧力検出手段によって検出される模擬肺内圧力値Palvとを加算して、模擬肺空間を膨張させる外力値P1(=Pmus+Palv)を演算する外力演算部と、
    (h2)前記膨張量検出手段によって検出される模擬肺空間の膨張量Vを、予め定められる模擬コンプライアンス値Cで割算して、弾性抵抗力値P2(=V/C)を演算する弾性抵抗力演算部と、
    (h3)前記外力値P1から前記弾性抵抗力値P2を減算して、弾性影響膨張力値P3(=(Pmus+Palv)−(V/C))を演算する弾性影響膨張力演算部と、
    (h4)肺の動特性を表わす運動方程式に基づいて、前記弾性影響膨張力値P3に相当する力が肺に与えられたときの肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算部と、
    (h5)前記膨張速度演算部によって演算した肺の膨張速度dV/dtで、模擬肺空間の容積が変化するように、容積変化手段に変化指令を与える変化指示部とを有する制御手段とを含むことを特徴とする呼吸模擬装置。
  2. 前記抵抗体は、模擬気道形成体に対して着脱可能に装着されることを特徴とする請求項1記載の呼吸模擬装置。
  3. (a)気体が充填される模擬肺空間を規定し、模擬肺空間に気体を出し入れするための貫通口が形成される模擬肺空間形成体と、
    (b)模擬肺空間形成体の貫通口形成部分に接続されて、気体を模擬肺空間に出し入れするための模擬気道を形成する模擬気道形成体と、
    (c)模擬肺空間の容積を変化させる容積変化手段と、
    (d)模擬気道の圧力である模擬気道圧力Pawを検出する模擬気道圧力検出手段と、
    (e)気体の吸引を開始してからの模擬肺空間の容積の膨張量Vを検出する膨張量検出手段と、
    (f)模擬肺空間の膨張速度dV/dtを検出する膨張速度検出手段と、
    (g)肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する模擬自発呼吸圧力値Pmusを生成する生成手段と、
    (h)模擬気道圧力検出手段、膨張量検出手段および膨張速度検出手段の各検出結果と、生成手段の生成結果とに応答して、容積変化手段を制御する制御手段であって、
    (h1)模擬肺空間の圧力である模擬肺空間圧力値Palvを順次更新する模擬肺内圧力演算部と、
    (h2)前記模擬自発呼吸圧力値Pmusと、前記模擬肺内圧力演算部によって演算される最新の模擬肺内圧力値Palvとを加算して、模擬肺空間を膨張させる外力値P1(=Pmus+Palv)を演算する外力演算部と、
    (h3)前記膨張量検出手段によって検出される模擬肺空間の膨張量Vを、予め定められる模擬コンプライアンス値Cで割算して、弾性抵抗力値P2(=V/C)を演算する弾性抵抗力演算部と、
    (h4)前記外力値P1から前記弾性抵抗力値P2を減算して、弾性影響膨張力値P3(=(Pmus+Palv)−(V/C))を演算する弾性影響膨張力演算部と、
    (h5)肺の動特性を表わす運動方程式に基づいて、前記弾性影響膨張力値P3に相当する力が肺に与えられたときの肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算部と、
    (h6)前記膨張速度演算部によって演算した肺の膨張速度dV/dtで、模擬肺空間の容積が変化するように、容積変化手段に変化指令を与える変化指示部とを有する制御手段とを含み、
    (h7)前記模擬肺内圧力演算部は、
    模擬気道圧力検出手段によって検出される模擬気道圧力値Pawと、直前に演算した模擬肺内圧力値Palvとの差圧値(Paw−Palv)を予め定められる模擬気道抵抗値Rで割算して、模擬気道流量Qaw(=(Paw−Palv)/R)を演算し、
    理想気体の状態方程式に従って、膨張速度検出手段によって検出される膨張速度dV/dtで容積変化する肺模擬空間に対して、直前に演算した模擬気道流量Qawの気体が模擬肺空間に供給されたときの模擬肺内圧力値Palvを演算して、模擬肺内圧力値Palvを更新することを特徴とする呼吸模擬装置。
  4. 模擬気道抵抗値Rが入力される模擬気道抵抗入力手段をさらに含み、
    制御手段の模擬肺内圧力演算部は、模擬気道抵抗入力手段に入力される模擬気道抵抗値Rに基づいて、模擬肺内圧力値Palvを演算することを特徴とする請求項3記載の呼吸模擬装置。
  5. 前記模擬肺内圧力演算部は、模擬気道圧力検出手段によって検出される模擬気道圧力値Pawと、直前に演算した模擬肺内圧力値Palvとの差圧値(Paw−Palv)に応じて変化する模擬気道抵抗値Rを用いて、模擬気道流量Qawを演算することを特徴とする請求項3記載の呼吸模擬装置。
  6. 模擬コンプライアンス値Cが入力される模擬コンプライアンス入力手段をさらに含み、
    制御手段の外力演算部は、模擬コンプライアンス入力手段に入力される模擬コンプライアンス値Cに基づいて、前記弾性影響膨張力値P3を演算することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の呼吸模擬装置。
  7. 前記弾性抵抗力演算部は、膨張量検出手段によって検出される模擬肺空間の膨張量Vに応じて変化する模擬コンプライアンス値Cを用いて、弾性抵抗力値P2を演算することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の呼吸模擬装置。
  8. 膨張速度演算部は、外力演算部で演算した弾性影響膨張力値P3に、予め定められる肺のマスダンパ特性を表わす伝達関数G(s)を乗算した乗算値(P3・G(s))を、単位時間あたりの膨張速度dV/dtとして演算し、
    前記伝達関数G(s)は、
    Figure 2008152152
    で表わされ、
    は、予め定められる肺に関する可動部分の質量に相当する等価質量を示し、Dは、肺のダンピング定数に相当する等価ダンピング定数を示し、伝達関数G(s)は、ラプラス領域における伝達関数であることを示し、sは、ラプラス演算子を示すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の呼吸模擬装置。
  9. 気体が充填される模擬肺空間を規定し、模擬肺空間に気体を出し入れするための貫通口が形成される模擬肺空間形成体と、模擬肺空間形成体の貫通口形成部分に接続されて、気体を模擬肺空間に出し入れするための模擬気道を形成する模擬気道形成体と、模擬気道形成体に介在されて、気道抵抗に相当する管路抵抗を有する抵抗体と、模擬肺空間の容積を変化させる容積変化手段とを有する肺模擬体の制御方法であって、
    (a)肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する模擬自発呼吸圧力値Pmusと、検出される模擬肺空間の圧力を示す模擬肺内圧力値Palvとを加算して、外力値P1(=Pmus+Palv)を演算する外力演算工程と、
    (b)気体の吸引を開始してからの模擬肺空間の容積の膨張量Vを、予め定められる模擬コンプライアンス値Cで割算した弾性抵抗力値P2(=V/C)を演算する弾性抵抗力演算工程と、
    (c)前記外力値P1から前記弾性抵抗力値P2を減算して、弾性影響膨張力値P3(=(Pmus+Palv)−(V/C))を演算する弾性影響膨張力演算工程と、
    (d)肺の動特性を表わす運動方程式に基づいて、前記弾性影響膨張力値P3に相当する力が肺に与えられたときの肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算工程と、
    (e)前記膨張速度演算工程によって演算した肺の膨張速度dV/dtで、模擬肺空間の容積が変化するように、容積変化手段に変化指令を与える変化指示工程とを含むことを特徴とする肺模擬体の制御方法。
  10. 気体が充填される模擬肺空間を規定し、模擬肺空間に気体を出し入れするための貫通口が形成される模擬肺空間形成体と、模擬肺空間形成体の貫通口形成部分に接続されて、気体を模擬肺空間に出し入れするための模擬気道を形成する模擬気道形成体と、模擬肺空間の容積を変化させる容積変化手段とを有する肺模擬体の制御方法であって、
    (a)模擬肺空間の圧力である模擬肺空間圧力値Palvを順次更新して演算する模擬肺内圧力演算工程と、
    (b)肺空間を拡大させる呼吸筋の力に相当する模擬自発呼吸圧力値Pmusと、模擬肺内圧力演算工程によって演算される模擬肺内圧力値Palvとを加算して、外力値P1(=Pmus+Palv)を演算する外力演算工程と、
    (c)気体の吸引を開始してからの模擬肺空間の容積の膨張量Vを、予め定められる模擬コンプライアンス値Cで割算した弾性抵抗力値P2(=V/C)を演算する弾性抵抗力演算工程と、
    (d)前記外力値P1から前記弾性抵抗力値P2を減算して、弾性影響膨張力値P3(=(Pmus+Palv)−(V/C))を演算する弾性影響膨張力演算工程と、
    (e)肺の動特性を表わす運動方程式に基づいて、前記弾性影響膨張力値P3に相当する力が肺に与えられたときの肺の膨張速度dV/dtを演算する膨張速度演算工程と、
    (f)前記膨張速度演算工程によって演算した肺の膨張速度dV/dtで、模擬肺空間の容積が変化するように、容積変化手段に変化指令を与える変化指示工程とを含み、
    (g)前記模擬肺内圧力演算工程は、
    検出される模擬気道の圧力を示す模擬気道圧力値Pawと、直前に演算した模擬肺内圧力値Palvとの差圧値(Paw−Palv)を予め定められる模擬気道抵抗Rで割算して、模擬気道流量Qaw(=(Paw−Palv)/R)を演算し、
    理想気体の状態方程式に従って、検出される前記膨張速度dV/dtで容積変化する肺模擬空間に対して、直前に演算した模擬気道流量Qawの気体が模擬肺空間に供給されたときの模擬肺内圧力値Palvを演算して、模擬肺内圧力値Palvを更新することを特徴とする肺模擬体の制御方法。
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