JP2008151700A - トルク測定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力伝達軸への加工が不要であり、かつ長期の信頼性の得られるトルク測定方法および装置を提供する。
【解決手段】回転機械の動力伝達軸1の軸長手方向に所定の距離隔たった駆動側の検出位置2と被駆動側の検出位置3に設置され動力伝達軸1の回転によって周期的に時間変化し軸表面の円周方向に角度の関数として特定される物理量を検出する検出器4,5と、前記検出された物理量を時間領域から周波数領域へフーリエ変換した上で、被駆動側の値を駆動側の値で除して求められる伝達関数の位相から2つの物理量の位相関係を求め、この位相関係から動力伝達軸に作用するトルクを求める信号演算処理装置6とを備えている構成とする。
【選択図】図1
【解決手段】回転機械の動力伝達軸1の軸長手方向に所定の距離隔たった駆動側の検出位置2と被駆動側の検出位置3に設置され動力伝達軸1の回転によって周期的に時間変化し軸表面の円周方向に角度の関数として特定される物理量を検出する検出器4,5と、前記検出された物理量を時間領域から周波数領域へフーリエ変換した上で、被駆動側の値を駆動側の値で除して求められる伝達関数の位相から2つの物理量の位相関係を求め、この位相関係から動力伝達軸に作用するトルクを求める信号演算処理装置6とを備えている構成とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、タービンや発電等の回転機械の動力伝達軸に作用するトルクを測定するトルク測定方法および装置に関する。
火力発電プラントの大型のタービン・発電機ユニットなどでは、大きな動力を短時間に発生させるため、大量の燃料を一時に消費するので、熱効率の把握、管理が重要である。最近では環境問題の観点からも、熱効率の向上が注目されており、きめ細かな熱効率の監視が必要になってきている。熱効率は出力する仕事量ALを投入する熱量Q1で除した比で表されるため、ALを正確に把握することは熱効率を監視する上で重要となる。さらに、前述のような大型の発電ユニットでは、高圧タービン軸と低圧タービン軸を連結した多段軸流型のタービンを適用している場合が多く、タービンの部分的すなわち高圧側の段落群あるいは低圧側の段落群のみの出力を把握することなどは、熱効率の監視に有効である。ここで、タービン・発電機ユニットの場合、ALは発電量であり、単位時間当りの発電量Pは回転速度ωと動力伝達軸に作用しているトルクTとの積に比例している。
したがって、発電運用中のタービン・発電機ユニットの動力伝達軸のトルクTを高精度で測定できれば、プラントの熱効率を監視することが可能となり、エネルギーの有効利用ができ、環境対策にも有効となる。
動力伝達軸のトルクTは、軸方向に隔たった2点間の軸のねじり剛性をKB、測定点間の動力伝達中のねじり角度θtとして、T=KB・θtで求めることができる。したがって、ねじり剛性KBをあらかじめ決定しておく必要があるが、一般には解析で軸の形状と材料特性から算出するか、停止中に当該2点間にTの大きさのモーメントを負荷させて、発生するねじり角度θtを測定することにより実験的に求めておけばよい。このため、トルク計測の手段として軸のねじれ角を計測する種々のトルク計測装置が考案されている。
例えば、特許文献1に開示されているトルク計測装置では、図12に示すように、レーザ照射装置20のビーム光を分光して、被測定体27の表面に一定の間隔で2箇所に設けられた側定点で軸表面に向けて照射し、それぞれの反射光を検知装置24,25で検出して信号処理装置26に入力している。各側定点では軸表面に反射体22,23が設けられていて、ビーム光が反射体22,23に当たると強い信号が検出されるように構成されている。
図13は収集した2つの検出波形であるが、ビーム光が反射体22、23に当たった点ではパルスが立ち上がっている。このとき、2つの波形の相互相関を求めると、相互相関を最大とする時間差が2つの波形の時間差を表すものであるから、時間差に被測定体27の回転速度を乗ずることによって2点間の角度差を求めることができる。
一方、図14は特許文献2に開示されているトルク計測装置の構成を示すものである。この発明では回転軸32に一定間隔で歯車30と31を設け、回転センサー33,34で歯車の位置を検出すると、図15に示すような矩形波形が得られる。2つの矩形波の立ち上がり時間の差をクロックでカウントすることによって2つの波形の時間差を求めている。
特開2000−205977号公報
特公平7−113590号公報
ところが、動力伝達軸は一般的に十分な強度を確保できるように製作するため、動力伝達中の軸のねじり角度は微小である。特に火力発電用のタービン・発電機のユニットでは十分な軸方向長さが確保できる単純円筒形状部分が少ないため、ねじり角度測定点間の軸方向長さが短くなり、動力伝達中の測定点間の軸のねじり角度はさらに微小になる。例えば、1mの軸方向距離を隔てた位置における定格動力伝達時の軸のねじり角度は0.1deg程度となり、定格伝達動力の1%の変化を測定しようとする場合0.001degのねじり角度を検出する必要がある。
上述のように2点間の波形の時間差を計測できれば、軸のねじり角度θtを測定することができるが、このためには検出する物理量を収集するための高い分解能が要求される。特許文献1の発明では分解能を高めるのに物理量として反射光の光量を用いる方式が採用されている。光学式の場合は高速のデータ収集が可能となる反面、ほこりなどによって光の伝送経路が妨げられると計測が阻害される欠点を有する。特に、電力機器では軸の形状的な制約から測定位置を軸受の近傍に配置することになるので、測定位置は軸受潤滑油の油滴がかかる環境にある。このため、光学式の計測方法は設置直後の一時的な適用は可能であっても、長期の連続的な使用は困難である。
一方、特許文献2のような回転パルスを検出する方式では、歯車などの被検出体を回転軸上に加工あるいは設置する必要がある。さらに、測定精度の向上には被検出体の加工精度を上げなければならないが、電力機器のような大型の回転軸上に小さな被検出体を精度良く加工することには製作上の困難が伴う。また、既設の回転機に被検出体を追加するのも、加工とスペースの問題があって容易ではない。
そこで本発明は、動力伝達軸への加工が不要であり、かつ長期の信頼性の得られるトルク測定方法および装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明のトルク測定装置は、回転機械の動力伝達軸の軸長手方向に所定の距離隔たった駆動側の検出位置と被駆動側の検出位置に設置され動力伝達軸の回転によって周期的に時間変化し軸表面の円周方向に角度の関数として特定される物理量を検出する検出器と、前記検出された物理量を時間領域から周波数領域へフーリエ変換した上で、被駆動側の値を駆動側の値で除して求められる伝達関数の位相から2つの物理量の位相関係を求め、この位相関係から動力伝達軸に作用するトルクを求める信号演算処理装置とを備えている構成とする。
本発明のトルク測定方法は、回転機械の動力伝達軸の軸長手方向に所定の距離隔たった駆動側の検出位置と被駆動側の検出位置に軸表面の円周方向に角度の関数として特定される物理量を検出する検出器を設置して動力伝達軸の回転によって周期的に時間変化する物理量を検出し、検出された物理量を時間領域から周波数領域へフーリエ変換した上で、被駆動側の値を駆動側の値で除して求められる伝達関数の位相から2つの物理量の位相関係を求め、この位相関係から前記動力伝達軸に作用するトルクを求める方法とする。
本発明によれば、動力伝達軸への加工が不要であり、かつ長期の信頼性の得られるトルク測定方法および装置を提供することができる。
以下、図1〜図11を参照して本発明の6つの実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は本発明の第1の実施の形態に係るトルク測定装置の構成を示す図である。回転機械の動力伝達軸1の軸長手方向に所定の距離L[m]隔たった駆動側の検出位置2と、被駆動側の検出位置3との2箇所に、それぞれ渦電流式非接触変位計4および5を設置する。渦電流式非接触変位計4および5で検出された信号は信号演算処理装置6に入力される。信号演算処理装置6は渦電流式非接触変位計4および5で検出された信号に対して、フーリエ変換を施して周波数領域に変換を行った上で、両者の比である伝達関数を求め、これを表示し記録する。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は本発明の第1の実施の形態に係るトルク測定装置の構成を示す図である。回転機械の動力伝達軸1の軸長手方向に所定の距離L[m]隔たった駆動側の検出位置2と、被駆動側の検出位置3との2箇所に、それぞれ渦電流式非接触変位計4および5を設置する。渦電流式非接触変位計4および5で検出された信号は信号演算処理装置6に入力される。信号演算処理装置6は渦電流式非接触変位計4および5で検出された信号に対して、フーリエ変換を施して周波数領域に変換を行った上で、両者の比である伝達関数を求め、これを表示し記録する。
(作用)
渦電流式変位計は被測定物との距離を導磁率から測定するものであるが、導磁率は被測定物表面の特性にも依存することから、被測定物表面の残留応力、歪、結晶構造、磁化などの影響を受ける。このため、動力伝達軸1の断面形状が高い真円度で加工されていても、渦電流式非接触変位計4,5の出力は円周方向に変化する。これを電磁的ランナウトと呼ぶ。図2は軸を不つり合い振動の影響を受けないようにゆっくりと回転させたときに得られる渦電流式非接触変位計の出力波形の例である。電磁的ランナウトによる見かけの変位は数十[mm]にも達することがあり、振動測定の上では動力伝達軸1の表面に仕上加工するなど電磁的ランナウトの低減対策を施す必要がある。精度の要求される高速バランスマシンでは、低速回転時にあらかじめ電磁的ランナウトによるみかけの振動分を記録しておいて、測定された振動から電磁的ランナウト分を差し引いて補正する方法が採られている。このように電磁的ランナウトは振動測定の上では除去されなくてはならないが、本実施の形態は、電磁的ランナウトすなわち軸表面の材料特性に起因する導磁率を、軸の円周に角度の関数として特定できる関数として用いるものである。
渦電流式変位計は被測定物との距離を導磁率から測定するものであるが、導磁率は被測定物表面の特性にも依存することから、被測定物表面の残留応力、歪、結晶構造、磁化などの影響を受ける。このため、動力伝達軸1の断面形状が高い真円度で加工されていても、渦電流式非接触変位計4,5の出力は円周方向に変化する。これを電磁的ランナウトと呼ぶ。図2は軸を不つり合い振動の影響を受けないようにゆっくりと回転させたときに得られる渦電流式非接触変位計の出力波形の例である。電磁的ランナウトによる見かけの変位は数十[mm]にも達することがあり、振動測定の上では動力伝達軸1の表面に仕上加工するなど電磁的ランナウトの低減対策を施す必要がある。精度の要求される高速バランスマシンでは、低速回転時にあらかじめ電磁的ランナウトによるみかけの振動分を記録しておいて、測定された振動から電磁的ランナウト分を差し引いて補正する方法が採られている。このように電磁的ランナウトは振動測定の上では除去されなくてはならないが、本実施の形態は、電磁的ランナウトすなわち軸表面の材料特性に起因する導磁率を、軸の円周に角度の関数として特定できる関数として用いるものである。
図3(a),(b)は、動力伝達軸1が1回転する間に、駆動側の検出位置2と被駆動側の検出位置3でそれぞれ渦電流式非接触変位計4および5によって測定された信号波形を示す図である。2つの信号は軸1の回転周期で繰り返される周期関数であるから、両者の時間的なずれが求められれば駆動側の検出位置2と被駆動側の検出位置3の間おける動力伝達軸1のねじれ角度を算出できる。図4(a),(b)は、図3の波形を動力伝達軸1の回転周期の範囲でFFTで時間領域から周波数領域に変換して求められた周波数スペクトルである。動力伝達軸1の回転周期が収集時間であるため、図3の周波数分解能は動力伝達軸1の回転角周波数ω [rad/s]に一致する。フーリエ変換されると、2つの信号X1、X2は、調波の重ね合わせとしてそれぞれ次のように表される。
ここに、2N:サンプリング数、Ai、Bi:iw成分の振幅、fi、ji:iw成分の位相である。
いま、上記の状態に対して負荷に起因するトルクTが動力伝達軸1に作用して被駆動側の検出位置3における動力伝達軸1のねじれ角が駆動側の検出位置2に対して負荷トルク作用方向にq [rad]変化したとすると、被駆動側の検出位置3における信号X'2は図3(b)に破線で示すようにX2に対してDt=q /w [s]だけずれる。これをフーリエ変換すると、
となる。X'2のスペクトルを図4(c)に示す。
負荷トルクTが作用する前後で伝達関数HとH'を比較すると、iw 成分で位相がiq [rad]ずれていることがわかる。位相差を図5(c)に示す。すなわち、伝達関数でHとH' のi次成分における位相差を次数iで割った値が負荷トルクTの作用によって生じるねじれ角θ に一致する。
このようにして本実施の形態のトルク測定装置は、渦電流式非接触変位計4および5を用いて動力伝達軸1の駆動側の検出位置2と被駆動側の検出位置3における導磁率を角度の関数として測定し、角度の関数をフーリエ変換によって周波数領域に変換し、周波数領域の関数の比として計算される伝達関数によって両者の位相関係を把握することができる。トルクの作用によって駆動側の検出位置2と被駆動側の検出位置3の間でねじれ角q [rad]が生じたとき、伝達関数のi次成分における位相変化を次数iで割ることによってねじれ角q [rad]を求めることができる。
(効果)
本実施の形態は、渦電流式非接触変位計4,5を用いて動力伝達軸1における導磁率を測定するので、光学式と比較して油滴など使用環境の影響を受けにくい。また、動力伝達軸1の表面に存在する導磁率を角度の関数とみなすので、動力伝達軸1に対して歯車など被検出体を加工する必要がない。さらに、フーリエ変換に当たり平均化処理を行うことによってノイズの影響を小さくすることができるので、分析精度の向上をはかれる利点を有する。なお、コヒーレンス関数の高い周波数で位相差を読み取れば、より精度のよい評価を行うことができる。
本実施の形態は、渦電流式非接触変位計4,5を用いて動力伝達軸1における導磁率を測定するので、光学式と比較して油滴など使用環境の影響を受けにくい。また、動力伝達軸1の表面に存在する導磁率を角度の関数とみなすので、動力伝達軸1に対して歯車など被検出体を加工する必要がない。さらに、フーリエ変換に当たり平均化処理を行うことによってノイズの影響を小さくすることができるので、分析精度の向上をはかれる利点を有する。なお、コヒーレンス関数の高い周波数で位相差を読み取れば、より精度のよい評価を行うことができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態のトルク測定装置は、図6に示すように、駆動側の検出位置2において、動力伝達軸1の表面に動力伝達軸1と異なる透磁率を有する金属箔7を貼り付けキーフェーザとする。その他の構成は、図1に示した第1の実施の形態と同じである。信号演算処理装置6は、駆動側の検出位置2の渦電流式非接触変位計4で検出されたキーフェーザを基準にして、被駆動側の検出位置3の渦電流式非接触変位計5の信号を取り込み、フーリエ変換を施して周波数領域に変換を行った上で、これを表示し記録する。
本実施の形態のトルク測定装置は、図6に示すように、駆動側の検出位置2において、動力伝達軸1の表面に動力伝達軸1と異なる透磁率を有する金属箔7を貼り付けキーフェーザとする。その他の構成は、図1に示した第1の実施の形態と同じである。信号演算処理装置6は、駆動側の検出位置2の渦電流式非接触変位計4で検出されたキーフェーザを基準にして、被駆動側の検出位置3の渦電流式非接触変位計5の信号を取り込み、フーリエ変換を施して周波数領域に変換を行った上で、これを表示し記録する。
本実施の形態のトルク測定装置では、常に駆動側の検出位置2のキーフェーザを基準にして被駆動側の検出位置3の渦電流式非接触変位計5の信号が取り込まれるので、この信号をフーリエ変換することにより、駆動側の検出位置2と被駆動側の検出位置3における動力伝達軸1の角度差(ねじれ角)qを、フーリエ変換の位相から直接読み取ることができる。すなわち、負荷トルクの作用前後の値は、
で表されるから、ねじれ角はq = fi / i [rad]で求めることができる。
本実施の形態のトルク測定装置は、第1の実施の形態のトルク測定装置と同様の効果を奏する。そのうえ、伝達関数を求める操作が省略できるので、信号演算処理装置6の負担を軽減できる。
(第3の実施の形態)
図7は本発明の第3の実施の形態のトルク測定装置における渦電流式非接触変位計の配置を示す図である。すなわち、例えば駆動側の検出位置に2個の渦電流式非接触変位計4a,4bを角度180度に向き合わせて設置して、加算器8で両方の出力を同一の感度となるよう調節した上で加算して出力させる。
図7は本発明の第3の実施の形態のトルク測定装置における渦電流式非接触変位計の配置を示す図である。すなわち、例えば駆動側の検出位置に2個の渦電流式非接触変位計4a,4bを角度180度に向き合わせて設置して、加算器8で両方の出力を同一の感度となるよう調節した上で加算して出力させる。
渦電流式非接触変位計4a,4bの出力には、動力伝達軸1の軸振動変位による導磁率の変化による信号が重ね合わされる。これは変位計として本来の機能であるが、トルク計測ではランナウトの位相を計測する必要があるため、振動変位が大きいと測定誤差の原因となる。軸振動は半径方向で同一の値となるから、渦電流式非接触変位計4a,4bを180度対向して配置することによって、軸振動変位成分は絶対値が等しく符号が反対に出力される。したがって、対向して配置された同一感度の渦電流式非接触変位計4a,4bの図8(a)に示すような出力を加算することによって、図8(b)のように軸振動変位成分は互いに打ち消されてランナウト成分のみを検出することができる。
本実施の形態によれば、ねじれ変位の検出手段として渦電流式非接触変位計を用いる場合に、軸振動変位による影響を排除することができる。
(第4の実施の形態)
本実施の形態は図9に示すように、駆動側の検出位置2と被駆動側の検出位置3に、磁気抵抗効果素子(MRセンサー)8、9を設置して、動力伝達軸1の表面の磁束を角度の関数として計測するものである。
本実施の形態は図9に示すように、駆動側の検出位置2と被駆動側の検出位置3に、磁気抵抗効果素子(MRセンサー)8、9を設置して、動力伝達軸1の表面の磁束を角度の関数として計測するものである。
本実施の形態は、角度の関数として計測される物理量が、第1の実施の形態における導磁率から磁束に置き換えられただけで、第1の実施の形態とまったく同一の作用をなす。
したがって本実施の形態は第1の実施の形態と同一の効果を奏するとともに、応答性の高い磁気抵抗効果素子(MRセンサー)を使用することによってより高速なデータ収集が可能となるので、分析精度を向上できる。
(第5の実施の形態)
(構成)
本実施の形態のトルク測定装置は第1の実施の形態と同じ機器で構成される。ただし、信号演算処理装置6は渦電流式非接触変位計4および5で検出された信号に対して、フーリエ変換を施して周波数領域に変換を行った上で、両者の比である伝達関数を求め、これを表示し記録するが、データを収集するに当たり、データ収集する時間間隔(サンプリング間隔)を、動力伝達軸1の回転周期に対して分析精度に要求される時間幅を加算または減算した時間とする。
(構成)
本実施の形態のトルク測定装置は第1の実施の形態と同じ機器で構成される。ただし、信号演算処理装置6は渦電流式非接触変位計4および5で検出された信号に対して、フーリエ変換を施して周波数領域に変換を行った上で、両者の比である伝達関数を求め、これを表示し記録するが、データを収集するに当たり、データ収集する時間間隔(サンプリング間隔)を、動力伝達軸1の回転周期に対して分析精度に要求される時間幅を加算または減算した時間とする。
(作用)
図10はサンプリング時間と信号波形の関係を示す図である。サンプリング間隔を0.02[s]として、55[Hz]の信号をデータ収集すると、黒丸でプロットした点列が収集される。このデータの周波数は55[Hz]ではなく、図10に見られるように5[Hz]となる。これは、データが離散化されるときにナイキスト周波数fc[Hz]以上の高周波成分の影響が低周波成分にすり替えられてしまうもので、信号にナイキスト周波数fc[Hz]以上の周波数が存在する場合、2fc±f, 4fc±f,…なる周波数が現れる。上記の例では2fc=1/0.02=50[Hz]、f=55-50=5Hz]となる。信号に高周波成分が含まれると、エイリアジングによってデータ処理において誤った信号処理を行うことになるので、一般にはローパスフィルタを用いて高周波成分を除去してからサンプリングを行っている。
図10はサンプリング時間と信号波形の関係を示す図である。サンプリング間隔を0.02[s]として、55[Hz]の信号をデータ収集すると、黒丸でプロットした点列が収集される。このデータの周波数は55[Hz]ではなく、図10に見られるように5[Hz]となる。これは、データが離散化されるときにナイキスト周波数fc[Hz]以上の高周波成分の影響が低周波成分にすり替えられてしまうもので、信号にナイキスト周波数fc[Hz]以上の周波数が存在する場合、2fc±f, 4fc±f,…なる周波数が現れる。上記の例では2fc=1/0.02=50[Hz]、f=55-50=5Hz]となる。信号に高周波成分が含まれると、エイリアジングによってデータ処理において誤った信号処理を行うことになるので、一般にはローパスフィルタを用いて高周波成分を除去してからサンプリングを行っている。
55[Hz]の振動波形を分析するには、サンプリング定理からDt=1/(55×2)=0.00909[s]より短い時間でデータを収集する必要がある。実質的にはこれよりもさらに短い時間にしなければならない。ところが、図10のエイリアジング波形をみると、55[Hz]の波形が時間軸方向に引き延ばされている5[Hz]の波形に拡大されていることがわかる。すなわち、サンプリング周波数をfs=2fc-5=55-5=50[Hz](ナイキスト周波数は対象周波数の1/2で、fc=1/55[Hz]であるので2fc=55[Hz])とすると、サンプリング周波数550[Hz]としてデータ収集した場合の波形を時間方向に11倍に引き延ばしたものが得られる。
本実施の形態では、信号演算処理装置6で渦電流式非接触変位計4および5で検出された信号をデータ収集するに当たり、動力伝達軸1の回転周期にねじり角の分析に必要なサンプリング間隔を加えた時間ごとにデータ収集を行う。トルク計測に要求されるねじり角の分解能は上述のように定格トルクの1/100で、約0.001[deg]に相当する。したがって、サンプリング間隔は回転周期×0.001/360となる。これは、回転周波数が50[Hz]の機械では、1/50×0.001/360=5.55×10-8[s]と非常に短い時間となる。本実施の形態の場合のサンプリング間隔は、回転周期に前記の値を加えた時間とするので、1/50×(1+0.001/360)=2.000005556×10-2[s]と比較的長い時間とすることができる。
(効果)
トルク計測で十分な計測精度を確保するにはサンプリング間隔を回転周期×0.001/360と非常に短い時間にする必要があるが、このためには高速サンプリングA/D変換器が必要となる。高速サンプリングA/D変換器はサンプリング間隔を短くできる分、データの分解能が低くなる傾向がある。サンプリング間隔が短くなっても、ダイナミックレンジが下がってしまうと分析精度も低下してしまう。本実施の形態のトルク測定装置では、サンプリングの間隔は回転周波数程度で十分であるから、低速のA/D変換器でも対応できるので、高速サンプリングA/D変換器のような分解能の制限を受けることがなく、高い測定精度が得られる。
トルク計測で十分な計測精度を確保するにはサンプリング間隔を回転周期×0.001/360と非常に短い時間にする必要があるが、このためには高速サンプリングA/D変換器が必要となる。高速サンプリングA/D変換器はサンプリング間隔を短くできる分、データの分解能が低くなる傾向がある。サンプリング間隔が短くなっても、ダイナミックレンジが下がってしまうと分析精度も低下してしまう。本実施の形態のトルク測定装置では、サンプリングの間隔は回転周波数程度で十分であるから、低速のA/D変換器でも対応できるので、高速サンプリングA/D変換器のような分解能の制限を受けることがなく、高い測定精度が得られる。
(第6の実施の形態)
(構成)
本実施の形態のトルク計測装置は、第1の実施の形態の渦電流式非接触変位系4および5で計測された信号を時間領域から周波数領域に変換する過程において、信号の複数回のサンプリングを行った上で平均化処理を施して駆動側、被駆動側それぞれについて周波数関数を求めて、除算することによって両者の比である伝達関数を計算する。
(構成)
本実施の形態のトルク計測装置は、第1の実施の形態の渦電流式非接触変位系4および5で計測された信号を時間領域から周波数領域に変換する過程において、信号の複数回のサンプリングを行った上で平均化処理を施して駆動側、被駆動側それぞれについて周波数関数を求めて、除算することによって両者の比である伝達関数を計算する。
(作用)
有意な信号波形は基準を合わせて加算していくと信号が強化されていくのに対して、ランダムなノイズ成分は加算していくと正負の成分が相殺して値が小さくなる。したがって、サンプリングを繰り返して、データの加算を行った上で平均を取るとノイズ成分を小さくしてデータの精度を高めることができる。統計的な理論によれば、n回加算すると、有意な信号はn倍に、ノイズ成分はn1/2倍になることが知られている。すなわち、信号とノイズの比(S/N比)はn回の加算によってn1/2倍向上されることになる。図11は、(a)平均化を行わない一回のサンプリングによる波形と、(b)平均化を施した波形を比較したものであるが、平均化によってノイズが減少して信号が強化されていることがわかる。
有意な信号波形は基準を合わせて加算していくと信号が強化されていくのに対して、ランダムなノイズ成分は加算していくと正負の成分が相殺して値が小さくなる。したがって、サンプリングを繰り返して、データの加算を行った上で平均を取るとノイズ成分を小さくしてデータの精度を高めることができる。統計的な理論によれば、n回加算すると、有意な信号はn倍に、ノイズ成分はn1/2倍になることが知られている。すなわち、信号とノイズの比(S/N比)はn回の加算によってn1/2倍向上されることになる。図11は、(a)平均化を行わない一回のサンプリングによる波形と、(b)平均化を施した波形を比較したものであるが、平均化によってノイズが減少して信号が強化されていることがわかる。
(効果)
このように、本発明の形態では平均化を行うことによってノイズ成分を低減することができるので、精度の良いトルク計測が可能となる。
このように、本発明の形態では平均化を行うことによってノイズ成分を低減することができるので、精度の良いトルク計測が可能となる。
なお、平均化の処理は、時間波上や伝達関数上で実施しても同様にノイズ成分を低減して計測精度の向上の効果がある。
1…動力伝達軸、2,3…検出位置、4,4a,4b,5…渦電流式非接触変位計、6…信号演算処理装置、7…金属箔、8…加算器、9,10…磁気抵抗効果素子、20…レーザ照射装置、21…ビーム調整装置、22,23…反射体、24,25…検知装置、26…信号処理装置、27…被測定体、30,31…歯車、32…回転軸、33,34…回転センサー。
Claims (10)
- 回転機械の動力伝達軸の軸長手方向に所定の距離隔たった駆動側の検出位置と被駆動側の検出位置に設置され動力伝達軸の回転によって周期的に時間変化し軸表面の円周方向に角度の関数として特定される物理量を検出する検出器と、前記検出された物理量を時間領域から周波数領域へフーリエ変換した上で、被駆動側の値を駆動側の値で除して求められる伝達関数の位相から2つの物理量の位相関係を求め、この位相関係から動力伝達軸に作用するトルクを求める信号演算処理装置とを備えていることを特徴とするトルク測定装置。
- 前記駆動側の検出器は軸の基準角度を検出する位置に設置され、前記信号演算処理装置は、前記駆動側の検出器で検知された軸の基準角度を始点として被駆動側で同期して計測された物理量を時間領域から周波数領域へフーリエ変換し、前記伝達関係の代りに周波数関数の位相から駆動側と被駆動側の位相関係を求め、この位相関係から動力伝達軸に作用するトルクを求めることを特徴とする請求項1に記載のトルク測定装置。
- 前記信号演算処理装置は、前記物理量を収集する時間間隔を、軸の回転周期に対して物理量の分析精度に要求される時間幅以下の時間を加算もしくは減算した時間に設定することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のトルク測定装置。
- 前記物理量を時間領域から周波数領域にフーリエ変換するにあたり、複数回のサンプリングを行った上で、平均化処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトルク測定装置。
- 前記物理量は導磁率であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のトルク測定装置。
- 前記検出器は、渦電流式変位計であることを特徴とする請求項5に記載のトルク測定装置。
- 前記渦電流式変位計は角度180度に向き合わせて2個設置され、前記2個の変位計の出力を入力し軸の振動成分が打ち消されるように加算する加算器を備えていることを特徴とする請求項6に記載のトルク測定装置。
- 前記物理量は磁束であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のトルク測定装置。
- 前記検出は磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項8に記載のトルク測定装置。
- 回転機械の動力伝達軸の軸長手方向に所定の距離隔たった駆動側の検出位置と被駆動側の検出位置に軸表面の円周方向に角度の関数として特定される物理量を検出する検出器を設置して動力伝達軸の回転によって周期的に時間変化する物理量を検出し、検出された物理量を時間領域から周波数領域へフーリエ変換した上で、被駆動側の値を駆動側の値で除して求められる伝達関数の位相から2つの物理量の位相関係を求め、この位相関係から前記動力伝達軸に作用するトルクを求めることを特徴とするトルク測定方法。
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JP2006341330A JP2008151700A (ja) | 2006-12-19 | 2006-12-19 | トルク測定方法および装置 |
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JP2009162749A (ja) * | 2007-12-18 | 2009-07-23 | Deere & Co | トルク測定方法およびその装置 |
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CN106289605A (zh) * | 2016-07-28 | 2017-01-04 | 中北大学 | 一种薄片金属环与轴承融合的非接触式扭矩测试方法 |
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2006
- 2006-12-19 JP JP2006341330A patent/JP2008151700A/ja active Pending
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