JP2008151686A - 隔膜気体圧力計及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で信頼性の高い隔膜式の気体圧力計を提供する。
【解決手段】SOIウエハ20の活性層21と埋め込み酸化膜層22を残して、SOIウエハ20の埋め込み酸化膜層22下の支持層23に形成されて密閉された基準室11と、基準室11の上に残されたSOIウエハ20の活性層21と埋め込み酸化膜層23で構成される隔膜12と、を備える。特に、基準室11の内壁に、SOIウエハ20の支持層23をエッチングする際のエッチングストッパとなるエッチングストッパ25を備える。また、隔膜12の一部に、SOIウエハ20の支持層23をエッチングして基準室11を形成するためのエッチングガスを導入する導入口26と、導入口26を塞ぐ封止27と、を備える。導入口26は、SOIウエハ20の支持層23側の表面に形成してもよい。
【選択図】図1
【解決手段】SOIウエハ20の活性層21と埋め込み酸化膜層22を残して、SOIウエハ20の埋め込み酸化膜層22下の支持層23に形成されて密閉された基準室11と、基準室11の上に残されたSOIウエハ20の活性層21と埋め込み酸化膜層23で構成される隔膜12と、を備える。特に、基準室11の内壁に、SOIウエハ20の支持層23をエッチングする際のエッチングストッパとなるエッチングストッパ25を備える。また、隔膜12の一部に、SOIウエハ20の支持層23をエッチングして基準室11を形成するためのエッチングガスを導入する導入口26と、導入口26を塞ぐ封止27と、を備える。導入口26は、SOIウエハ20の支持層23側の表面に形成してもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、隔膜式の気体圧力計及びその製造方法に関する。
従来、気体の圧力、特に大気圧より小さい真空の圧力を計測するために、隔膜真空計(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照)が用いられている。また、隔膜真空計の他に高真空を測定する真空計として、イオンゲージ(例えば、特許文献4参照)、ピラニ真空計(例えば、特許文献5)などが用いられる。
隔膜真空計は、密閉された基準室(又は大気)と被測定気体の差圧の力で薄い金属板等(隔膜)を弾性変形させ、その変位から圧力を測定する。隔膜の変位を、隔膜に対向して配置した電極との間の静電容量の変化で計測する隔膜真空計を、キャパシタンスマノメータという。隔膜真空計は圧力測定範囲が広く、電気信号を容易に取り出すことができるので、真空の計測に広く用いられている。
隔膜真空計は、精度を高めるためには隔膜を薄くして差圧に対する変位を大きくする。隔膜を薄くすると大きな差圧に対して変形又は破損するので、隔膜の変位を制限するために、基準室を被測定気体の圧力に応じた真空度に保つ必要がある。
特開平7−12668号公報
特開平10−153510号公報
特開2000−292296号公報
特開平5−340835号公報
特開平5−281072号公報
隔膜真空計は、基準室を一定の真空度に保ち、薄くした隔膜を保護するなどの対策が必要で、従来の隔膜真空計は、人のこぶし程度の大きさがあるのが普通である。そのため、真空計を利用する製造装置又は測定装置などに、真空計のスペースを確保する必要があり、装置の設計や運用に制約があった。
半導体製造をはじめとして、真空を用いる装置は多い。小型で信頼性の高い隔膜真空計が必要とされている。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、小型で信頼性の高い隔膜式の気体圧力計を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る隔膜気体圧力計は、
SOIウエハの活性層と埋め込み酸化膜層を残して、前記SOIウエハの埋め込み酸化膜層下の支持層に形成されて密閉された空洞部と、
前記空洞部の上に残された前記SOIウエハの活性層と埋め込み酸化膜層で構成される隔膜と、
を備えることを特徴とする。
SOIウエハの活性層と埋め込み酸化膜層を残して、前記SOIウエハの埋め込み酸化膜層下の支持層に形成されて密閉された空洞部と、
前記空洞部の上に残された前記SOIウエハの活性層と埋め込み酸化膜層で構成される隔膜と、
を備えることを特徴とする。
特に、前記空洞部の内壁に、前記SOIウエハの支持層をエッチングする際のエッチングストッパとなる制止層を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記隔膜の一部に、前記SOIウエハの支持層をエッチングして前記空洞部を形成するためのエッチングガスを導入する導入口と、
前記導入口を塞ぐ封止部材と、を備える。
前記導入口を塞ぐ封止部材と、を備える。
又は、前記隔膜に対向する前記SOIウエハの支持層側表面の一部に、前記SOIウエハの支持層をエッチングして前記空洞部を形成するためのエッチングガスを導入する導入口と、
前記導入口を塞ぐ封止部材と、を備えてもよい。
前記導入口を塞ぐ封止部材と、を備えてもよい。
好ましくは、前記空洞部が所定の真空度に保持されていることを特徴とする。
さらに、前記隔膜と所定の距離に保持されて前記隔膜に対向する電極を備えてもよい。
なお、前記SOIウエハに、前記空洞部と、前記隔膜とを複数組備えるものであってもよい。
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る隔膜気体圧力計の製造方法は、
SOIウエハの活性層側表面の閉領域の周に沿って、前記SOIウエハの活性層から支持層の中間に達する溝を形成する溝形成工程と、
前記溝形成工程で形成された前記溝に、前記SOIウエハの支持層をエッチングする際のエッチングストッパとなる制止層を形成する制止層形成工程と、
前記閉領域に対応する前記SOIウエハの一部に、前記SOIウエハの支持層をエッチングするためのエッチングガスを導入する導入口を形成する導入口形成工程と、
前記導入口形成工程で形成された前記導入口から、前記SOIウエハの前記閉領域に対応する支持層をエッチングして、前記閉領域の活性層と埋め込み酸化膜層を残して、前記SOIウエハの埋め込み酸化膜層下の支持層に空洞部を形成する空洞形成工程と、
前記導入口を封止して、前記空洞部を密閉する封止工程と、
を備えることを特徴とする。
SOIウエハの活性層側表面の閉領域の周に沿って、前記SOIウエハの活性層から支持層の中間に達する溝を形成する溝形成工程と、
前記溝形成工程で形成された前記溝に、前記SOIウエハの支持層をエッチングする際のエッチングストッパとなる制止層を形成する制止層形成工程と、
前記閉領域に対応する前記SOIウエハの一部に、前記SOIウエハの支持層をエッチングするためのエッチングガスを導入する導入口を形成する導入口形成工程と、
前記導入口形成工程で形成された前記導入口から、前記SOIウエハの前記閉領域に対応する支持層をエッチングして、前記閉領域の活性層と埋め込み酸化膜層を残して、前記SOIウエハの埋め込み酸化膜層下の支持層に空洞部を形成する空洞形成工程と、
前記導入口を封止して、前記空洞部を密閉する封止工程と、
を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記導入口形成工程は、前記閉領域の中の一部に、前記SOIウエハの活性層から支持層に達する導入口を形成する。
又は、前記導入口形成工程は、前記閉領域に対応する前記SOIウエハの支持層側表面の一部に、導入口を形成する。
好ましくは、前記封止工程で、前記空洞形成工程で形成された前記空洞部を所定の雰囲気及び圧力に保持することを特徴とする。
さらに、前記封止工程の後に、前記隔膜と所定の距離に保持されて前記隔膜に対向する電極を形成する電極形成工程を備えてもよい。
本発明によれば、小型の隔膜気体圧力計を得ることができる。また、MEMS(Micro Electronic Mechanical Systems)を製造するプロセスを採用できるので、容易に製造することが可能である。
本発明の実施の形態に係る隔膜真空計について図面を参照して説明する。本実施の形態では、特に隔膜に対向する電極との静電容量の変化で隔膜の変位を計測する場合を例に挙げて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の隔膜真空計の構成例を示す図である。図1の(b)は隔膜真空計の平面図、(a)は(b)のS−S線断面図である。
図1は、本実施の形態1の隔膜真空計の構成例を示す図である。図1の(b)は隔膜真空計の平面図、(a)は(b)のS−S線断面図である。
本発明の実施の形態にかかる隔膜真空計10は、図1に示すように、SOIウエハ(Silicon On Insulator Wafer)20に形成される。SOIウエハ20は、絶縁体の上にSi単結晶層を形成した構造を有する。SOIウエハ20は、Si基板の支持層23の上に絶縁体としてSiO2の埋め込み酸化膜層(以下、BOX(Buried OXide)層という)22が形成されている。さらに、BOX層22の上に、Si単結晶の活性層21が形成されている。
隔膜真空計10は、SOIウエハ20の支持層23の一部に、密閉された空洞部である基準室11を備える。基準室11の上側に残された活性層21とBOX層22は、隔膜12として機能する。本実施の形態では、隔膜真空計10は、隔膜12に対向する電極13を備える。電極13は、支持部16によって活性層21と所定の距離に保持される。隔膜12と電極13との間の被測定室14は、通気口15によって外部に開放されている。
被測定室14は隔膜真空計10が置かれた空間と同じ雰囲気、圧力になる。隔膜12は、基準室11と被測定室14の圧力差によって変位する。すなわち、被測定室14の圧力が基準室11の圧力より小さい場合は電極13側に凸になり、被測定室14の圧力が基準室11の圧力より大きい場合は基準室11側に凸になる。
隔膜12が変位すると、隔膜12と電極13の間の静電容量が変化する。電極13に接続した回路(図示せず)でその静電容量を計測することによって、隔膜12の変位が分かる。隔膜12の変位と基準室11の圧力から、被測定室14の圧力を知ることができる。実際には、例えば、静電容量と圧力の関係を予め測っておいて、静電容量から圧力に換算する。
隔膜12の表面に別の電極を形成し、電極13と隔膜12(の電極)との間に直流電圧を印加し、静電気力によって変位を常に0となるように制御してもよい(零位法)。この場合は、被測定室14の圧力は印加した電圧から求めることができる。
レーザ距離計などによって、隔膜12の変位を計測してもよい。レーザ距離計などによって、基準室11でない部分の活性層21に対する隔膜12の変位を測定する。その場合は、電極13は不要である。さらに、隔膜12の表面にも電極を形成し、電極13と隔膜12の電極との間に直流電圧を印加して、レーザ距離計などで計測した隔膜12の変位が0になる印加電圧から、被測定室14の圧力を求めてもよい。隔膜12の変位を計測するには、種々の方法を採用することができる。SOIウエハ20に形成された基準室11と隔膜12とが、隔膜真空計10の主要部である。
図1に示すように、基準室11の内壁にエッチングストッパ(制止層)25が形成されている。エッチングストッパ25は、図1の(b)に示されるように、活性層21の表面の閉領域の周に沿って形成されている。図1の例では、閉領域は正方形の各辺の中央が外側に突き出た凸形状になっている。基準室11の平面図での外周は、このエッチングストッパ25である。隔膜12の外周はこのエッチングストッパ25に接続している。
基準室11をエッチングで形成するときに、エッチングストッパ25でエッチングが制止されるので、隔膜12の形状をエッチングストッパ25で規定できる。エッチングストッパ25を形成する閉領域の形状は、図1の例に限定されない。閉領域の形状は、隔膜12が所望の変位特性になるように、任意に設計することができる。
隔膜12の形状は、測定する対象の圧力に合わせて設計する。通常、圧力が小さい(真空度が高い)ほど、圧力差に対する感度を高くするので、隔膜12を大きくする。例えば、133hPa(100Torr)程度の圧力用では、隔膜12を1mm角程度とする。また、13.3hPa(0.1Torr)程度の圧力用では、隔膜12を8mm角程度とする。
隔膜12には、活性層21とBOX層22を貫通する導入口26が形成されている。そして、導入口26は封止27で塞がれている。図1の例では、導入口26と封止27は、上記閉領域各辺の中央凸部の内側4カ所に設けられている。導入口26は、基準室11をエッチングで形成する際のエッチングガスを導入する開口である。導入口26の数と位置及び大きさは、エッチングによって基準室11が所望の形状に形成され、かつ、隔膜12の変位に悪影響がない(例えば塑性変形しないなど)ように決定する。
エッチングで基準室11を形成した後、導入口26を封止27で塞ぐので、基準室11は密閉される。基準室11は、導入口26を封止するときの雰囲気と圧力に保持される。通常、基準室11は、測定する対象の圧力より低い圧力に設定する。
測定する圧力に対する感度を高くするには、隔膜12を薄くする。隔膜12を薄くした場合、基準室11と被測定室14の圧力差が大きいと隔膜12の変位が大きく、場合によっては塑性変形し、さらには破損する。そこで、基準室11の圧力(真空度)は測定する対象の圧力に合わせて設定する。基準室11の圧力を適当に設定することによって、隔膜真空計10は、大気圧を超える圧力(例えば、1333hPa(1000Torr)程度)から 10mPa(0.1mTorr) 程度の気体の圧力測定に広く用いることができる。大気圧以上の圧力の場合は真空とは言わないので、隔膜真空計10は一般的には隔膜気体圧力計と言える。
次に、隔膜真空計10の製造方法を説明する。図2A乃至図2Fは、図1の隔膜真空計10を製造する工程を説明する図である。まず、隔膜真空計10を形成するSOIウエハ20を用意する。SOIウエハ20には、SIMOX(Separation by IMplanted OXygen)基板と、張り合せ基板があるが、活性層21とBOX層22の厚さが、隔膜12の厚さになるようなSOIウエハ20を選択する。
図2Aは、エッチングストッパ25を形成するための溝24を形成したSOIウエハ20の図である。(b)は平面図、(a)は(b)のA−A線断面図である(図2B以下も同様)。活性層21の上にエッチングマスク膜をフォトリソグラフィーによってパターニングして、エッチングストッパ25を形成する閉領域の周に沿って開口を有するエッチングマスクを形成する(図示せず)。
エッチングマスクの開口から異方性ドライエッチなどで、活性層21、BOX層22、支持層23をエッチングして、支持層23の中間に達する溝24を形成する。単結晶Siの活性層21と、SiO2のBOX層22、Si基板の支持層23は、異なる導入ガスでエッチングすることができる。この場合、溝24の側壁垂直性を確保するように、例えば、イオンをレジスト開口の底面に照射して溝24のアスペクト比(深さ/開口)を大きくする。
図2Bは、エッチングストッパ25を形成したSOIウエハ20の図である。(b)は平面図、(a)は(b)のB−B線断面図である。熱酸化又はCVD(化学気相成長)等を用いて、溝24にエッチングストッパとなる物質、例えば、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN)又は錫酸化物(ITO)等を堆積させる。
図2Cは、導入口26を形成したSOIウエハ20の図である。(b)は平面図、(a)は(b)のC−C線断面図である。エッチングストッパ25を形成したのち、活性層21のエッチングストッパ25で囲まれた閉領域の中に、導入口26を所定の位置、大きさで形成する。再び活性層21の表面に、導入口26を形成する部分に開口を有するエッチングマスクを形成し、開口から活性層21とBOX層22をエッチングして、導入口26を形成する。
支持層23に達する導入口26を形成したのち、導入口26の内側にドライエッチングの保護膜を形成する。例えば、C4F8等によって、導入口26の内側にCFxを生成する。
図2Dは、支持層23に基準室11を形成したSOIウエハ20の図である。(b)は平面図、(a)は(b)のD−D線断面図である。導入口26からドライエッチングのガスを導入し、支持層23のSiをエッチングする。この場合は、SiO2はエッチングせず、Siのみをエッチングする等方エッチングを用いる。導入口26は保護膜で保護されているので、活性層21はエッチングされない。SOIウエハ20の面方向はエッチングストッパ25でエッチングが制止される。BOX層22はエッチングされないので、BOX層22とエッチングストッパ25で囲まれた範囲がエッチングされる。SOIウエハ20の厚さ方向に適当な深さだけ進行したところで、エッチングを停止する。
図2Eは、導入口26を封止した様子を示す図である。(b)は平面図、(a)は(b)のE−E線断面図である。ドライエッチングのガスを除去した後、所定の(少なくとも、BOX層22、支持層23及びエッチングストッパ25を腐食させない)雰囲気と圧力に保持して、導入口26に封止27を堆積させる。例えば、プラズマCVDによってノンドープ・ケイ酸ガラス(NSG)等を堆積させる。導入口26のアスペクト比が適当な条件で、つまり導入口26の径に対する深さがある値以上で、堆積物(例えば、NSG)はピンチオフして導入口26が塞がれる。封止27の堆積にCVDやスパッタ等の真空プロセスを用いるので、導入口26を封止したあとの基準室内をCVDやスパッタ等の真空プロセスと同じ真空度に保つことができる。
図2Fは、電極13を形成した隔膜真空計10を示す。(b)は平面図、(a)は(b)のF−F線断面図である。SOIウエハ20とは別に、例えばパイレックス(登録商標)等のガラス基板を加工して、被測定室14、通気口15及び電極13を形成した支持部16を用意する。そして、支持部16を接合面17で活性層21に接合する。例えば、Si−ガラスの陽極接合を用いることができる。あるいは、活性層21及び支持部16の接合面17に金属層とバンプを形成して接合してもよい。また、接着剤が被測定雰囲気に影響がなければ、支持部16と活性層21を接着してもよい。活性層21と支持部16に予め配線パターンを形成して、接合したときに、電極13と活性層21の配線パターンが接続するように構成することができる。
なお、前述のとおり、隔膜12の上に直流電圧印加用の電極を形成してもよい。また、レーザ距離計などで隔膜12の変位を計測する場合は、支持部16と電極13はなくてもよい。
本発明の隔膜真空計10(隔膜気体圧力計)は、SOIウエハ20に基準室11と隔膜12を形成するので、従来の隔膜真空計に比べて極めて小型にできる。また、MEMS(Micro Electronic Mechanical System)を製造するプロセスを用いるので、容易に製造できる。
図3は、実施の形態1に係る隔膜真空計10の異なる例を示す図である。図3の(b)は平面図、(a)は(b)のT−T線断面図である。図3の例では、エッチングストッパ25を形成する外周を有する閉領域は正方形である。基準室11は平面図ではエッチングストッパ25に囲まれた正方形となる。
導入口26は閉領域の中央に1カ所形成されている。隔膜12はエッチングストッパ25で囲まれた正方形である。導入口26は中央の1カ所だけなので、隔膜12はほぼ欠陥のない正方形の膜として挙動すると考えてよい。
図3では、電極13、被測定室14及び支持部16が省略されている。隔膜12に対向する電極13を形成して、静電容量の変化で隔膜12の変位を計測することができる。また、電極13を形成せずに、レーザ距離計などで隔膜12の変位を計測してもよい。
基準室11及び隔膜12の外周となるエッチングストッパ25は、エッチングマスクの形状を変えることによって、自由に形成できる。図1又は図3の形状に限らず、例えば、円、長方形、楕円等々、任意に閉領域を設定することができる。導入口の数、位置、大きさは閉領域の形状に対応して設定する。
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係る隔膜真空計10の例を示す図である。図4の(b)は平面図、(a)は(b)のU−U線断面図である。実施の形態2では、SOIウエハ20、基準室11、隔膜12、電極13、被測定室14、通気口15及び支持部16等の構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態2では、導入口26は、SOIウエハ20の隔膜12(閉領域)に対応する支持層23側表面の一部に形成される。
図4は、実施の形態2に係る隔膜真空計10の例を示す図である。図4の(b)は平面図、(a)は(b)のU−U線断面図である。実施の形態2では、SOIウエハ20、基準室11、隔膜12、電極13、被測定室14、通気口15及び支持部16等の構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態2では、導入口26は、SOIウエハ20の隔膜12(閉領域)に対応する支持層23側表面の一部に形成される。
隔膜12に導入口26を形成しないので、隔膜12は不規則な歪みがなく、実施の形態1に比べて、同じ大きさと厚さでは強度が高い。また、基準室11をエッチングする条件で導入口26の径が制約され、封止27で導入口26を塞ぐための条件で導入口26のアスペクト比が制約される。そのため、実施の形態1では、隔膜12(活性層21+BOX層22)の厚さが制約される。しかし、実施の形態2では、その制約を受けない。
次に、実施の形態2の隔膜真空計10の製造方法を説明する。図5A乃至図5Fは、図4の隔膜真空計10を製造する工程を説明する図である。まず、隔膜真空計10を形成するSOIウエハ20を用意する。活性層21とBOX層22の厚さが、隔膜12の厚さになるようなSOIウエハ20を選択する。
図5Aは、エッチングストッパ25を形成するための溝24を形成したSOIウエハ20の図である。(b)は平面図、(a)は(b)のG−G線断面図である(図5B以下も同様)。活性層21の上にエッチングマスク膜をフォトリソグラフィーによってパターニングして、エッチングストッパ25を形成する閉領域の周に沿って開口を有するエッチングマスクを形成する(図示せず)。
エッチングマスクの開口から異方性ドライエッチングなどで、活性層21、BOX層22、支持層23をエッチングして、支持層23の中間に達する溝24を形成する。単結晶Siの活性層21と、SiO2のBOX層22、Si基板の支持層23は、異なる導入ガスでエッチングすることができる。この場合、溝24の側壁垂直性を確保するように、例えば、イオンをレジスト開口の底面に照射して溝24のアスペクト比(深さ/開口)を大きくする。
図5Bは、エッチングストッパ25を形成したSOIウエハ20の図である。(b)は平面図、(a)は(b)のH−H線断面図である。熱酸化又はCVD(化学気相成長)等を用いて、溝24にエッチングストッパとなる物質、例えば、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN)又は錫酸化物(ITO)等を堆積させる。
図5Cは、導入口26を形成したSOIウエハ20の図である。(b)は平面図、(a)は(b)のI−I線断面図である。エッチングストッパ25を形成したのち、活性層21のエッチングストッパ25で囲まれた閉領域に対応する支持層23側の面の中に、導入口26を所定の位置、大きさで形成する。支持層23の表面に、導入口26を形成する部分に開口を有するエッチングマスクを形成し、開口から支持層23をエッチングして、導入口26を形成する。ここでも、導入口26の側壁垂直性を確保するように、例えば、イオンをレジスト開口の底面に照射して導入口26のアスペクト比(深さ/開口)を大きくする。
支持層23に適当な深さで導入口26を形成したのち、導入口26の内側にドライエッチングの保護膜を形成する。例えば、C4F8等によって、導入口26の内側にCFxを生成する。
図5Dは、支持層23に基準室11を形成したSOIウエハ20の図である。(b)は平面図、(a)は(b)のJ−J線断面図である。導入口26からドライエッチングのガスを導入し、支持層23のSiをエッチングする。この場合は、SiO2はエッチングせず、Siのみをエッチングする等方エッチングを用いる。導入口26は保護膜で保護されているので、支持層23の浅い部分(支持層23の表面に近い部分)はエッチングされない。SOIウエハ20の面方向はエッチングストッパ25でエッチングが制止される。BOX層22はエッチングされないので、BOX層22とエッチングストッパ25で囲まれた範囲がエッチングされる。SOIウエハ20の厚さ方向に適当な深さだけ進行したところで、エッチングを停止する。
図5Eは、導入口26を封止した様子を示す図である。(b)は平面図、(a)は(b)のK−K線断面図である。ドライエッチングのガスを除去した後、所定の(少なくとも、BOX層22、支持層23及びエッチングストッパ25を腐食させない)雰囲気と圧力に保持して、導入口26に封止27を堆積させる。例えば、プラズマCVDによってノンドープ・ケイ酸ガラス(NSG)等を堆積させる。導入口26のアスペクト比が適当な条件で、つまり導入口26の径に対する深さがある値以上で、堆積物(例えば、NSG)はピンチオフして導入口26が塞がれる。
図5Fは、電極13を形成した隔膜真空計10を示す。(b)は平面図、(a)は(b)のL−L線断面図である。SOIウエハ20とは別に、例えばSi基板を加工して、被測定室14、通気口15及び電極13を形成した支持部16を用意する。そして、支持部16を接合面17で活性層21に接合する。例えば、Si−Siの陽極接合を用いることができる。あるいは、活性層21及び支持部16の接合面17に金属層とバンプを形成して接合してもよい。また、接着剤が被測定雰囲気に影響がなければ、支持部16と活性層21を接着してもよい。活性層21と支持部16に予め配線パターンを形成して、接合したときに、電極13と活性層21の配線パターンが接続するように構成することができる。
以上、説明したとおり、実施の形態2の隔膜真空計10は、支持層23側から導入口26と基準室11をエッチングして形成する。その他は、実施の形態1と同様である。本発明の隔膜真空計10(隔膜気体圧力計)は、SOIウエハ20に基準室11と隔膜12を形成するので、従来の隔膜真空計に比べて極めて小型にできる。また、MEMS(Micro Electronic Mechanical System)を製造するプロセスを用いるので、容易に製造できる。実施の形態2では、実施の形態1に比べて、隔膜12の自由度が高い。
図6及び図7は、SOIウエハ20に基準室11と隔膜12を複数形成した隔膜真空計10の例を示す。図6は平面図、図7は、図6のV−V線断面図である。1つのSOIウエハ20に、複数の基準室、例えば、基準室11a、11b、11cと、それぞれに対応する隔膜12a、12b、12cを形成する。そして、それぞれの隔膜12a、12b、12cに対向して、電極13a、13b、13c(13cは図示せず)を形成する。
異なる形状と大きさを有する複数の隔膜12a、12b、12c及び基準室11a、11b、11cをSOIウエハ20に形成することによって、それぞれが異なる圧力範囲に対応し、広い圧力範囲を1つの隔膜真空計10で計測することができる。例えば、隔膜12aは、133hPa(100Torr)〜1.33hPa(1Torr)、隔膜12bは、266Pa(2Torr)〜2.66Pa(20mTorr)、隔膜12cは、6.66Pa(50mTorr)〜67mPa(0.5mTorr)、というように、測定可能範囲を少しずつ重複させて、広い測定範囲(例えば133hPa(100Torr)〜67mPa(0.5mTorr))を有する隔膜真空計10を形成できる。
高真空を計測する隔膜真空計10は、基準室11の圧力を小さくするので、大気圧では隔膜12が基準室11側に大きく変位する。隔膜12が塑性変形又は破損しないように、基準室11の底面をガードとすることができる。また、逆に低い真空度を計測する隔膜真空計10が、高真空にさらされる場合は、隔膜12が電極13側に大きく変位することになる。その場合は、隔膜12が破損しないように、支持部16をガードとすることができる。
複数の基準室11a、11b、11cは、異なる真空度に設定する場合はあるが、同じプロセスで同時に形成することができる。本発明によれば、小型で測定範囲の広い隔膜真空計を容易に製造できる。
なお、隔膜12a、12b、12cの変位をレーザ距離計などで計測してもよい。その場合は、同時には1つの隔膜の変位を計測すればよいので、隔膜変位計測手段は1つでよい。
本発明は、上述した実施の形態に限られず様々な修正及び応用が可能である。
例えば、基準室11と隔膜12の形状、SOIウエハ20の各層の厚さ、エッチングプロセスの条件、隔膜変位計測手段などは任意に選択できる。なお、上述した実施の形態で挙げた数値は、一例であってこれに限定されるものではない。
例えば、基準室11と隔膜12の形状、SOIウエハ20の各層の厚さ、エッチングプロセスの条件、隔膜変位計測手段などは任意に選択できる。なお、上述した実施の形態で挙げた数値は、一例であってこれに限定されるものではない。
10 隔膜真空計(隔膜気体圧力計)
11、11a、11b、11c 基準室(空洞部)
12、12a、12b、12c 隔膜
13、13a、13b 電極
14 被測定室
15 通気口
16 支持部
17 接合面
20 SOIウエハ
21 活性層
22 BOX層(埋め込み酸化膜層)
23 支持層
24 溝
25 エッチングストッパ(制止層)
26 導入口
27 封止(封止部材)
11、11a、11b、11c 基準室(空洞部)
12、12a、12b、12c 隔膜
13、13a、13b 電極
14 被測定室
15 通気口
16 支持部
17 接合面
20 SOIウエハ
21 活性層
22 BOX層(埋め込み酸化膜層)
23 支持層
24 溝
25 エッチングストッパ(制止層)
26 導入口
27 封止(封止部材)
Claims (12)
- SOIウエハの活性層と埋め込み酸化膜層を残して、前記SOIウエハの埋め込み酸化膜層下の支持層に形成されて密閉された空洞部と、
前記空洞部の上に残された前記SOIウエハの活性層と埋め込み酸化膜層で構成される隔膜と、
を備えることを特徴とする隔膜気体圧力計。 - 前記空洞部の内壁に、前記SOIウエハの支持層をエッチングする際のエッチングストッパとなる制止層を備えることを特徴とする請求項1に記載の隔膜気体圧力計。
- 前記隔膜の一部に、
前記SOIウエハの支持層をエッチングして前記空洞部を形成するためのエッチングガスを導入する導入口と、
前記導入口を塞ぐ封止部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の隔膜気体圧力計。 - 前記隔膜に対向する前記SOIウエハの支持層側表面の一部に、
前記SOIウエハの支持層をエッチングして前記空洞部を形成するためのエッチングガスを導入する導入口と、
前記導入口を塞ぐ封止部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の隔膜気体圧力計。 - 前記空洞部が所定の真空度に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の隔膜気体圧力計。
- 前記隔膜と所定の距離に保持されて前記隔膜に対向する電極を備えることを特徴とする請求項1に記載の隔膜気体圧力計。
- 前記SOIウエハに、前記空洞部と、前記隔膜とを複数組備えることを特徴とする請求項1に記載の隔膜気体圧力計。
- SOIウエハの活性層側表面の閉領域の周に沿って、前記SOIウエハの活性層から支持層の中間に達する溝を形成する溝形成工程と、
前記溝形成工程で形成された前記溝に、前記SOIウエハの支持層をエッチングする際のエッチングストッパとなる制止層を形成する制止層形成工程と、
前記閉領域に対応する前記SOIウエハの一部に、前記SOIウエハの支持層をエッチングするためのエッチングガスを導入する導入口を形成する導入口形成工程と、
前記導入口形成工程で形成された前記導入口から、前記SOIウエハの前記閉領域に対応する支持層をエッチングして、前記閉領域の活性層と埋め込み酸化膜層を残して、前記SOIウエハの埋め込み酸化膜層下の支持層に空洞部を形成する空洞形成工程と、
前記導入口を封止して、前記空洞部を密閉する封止工程と、
を備えることを特徴とする隔膜気体圧力計の製造方法。 - 前記導入口形成工程は、前記閉領域の中の一部に、前記SOIウエハの活性層から支持層に達する導入口を形成することを特徴とする請求項8に記載の隔膜気体圧力計の製造方法。
- 前記導入口形成工程は、前記閉領域に対応する前記SOIウエハの支持層側表面の一部に、導入口を形成することを特徴とする請求項8に記載の隔膜気体圧力計の製造方法。
- 前記封止工程で、前記空洞形成工程で形成された前記空洞部を所定の雰囲気及び圧力に保持することを特徴とする請求項8に記載の隔膜気体圧力計の製造方法。
- 前記封止工程の後に、前記隔膜と所定の距離に保持されて前記隔膜に対向する電極を形成する電極形成工程を備えることを特徴とする請求項8に記載の隔膜気体圧力計の製造方法。
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JP2006341028A JP2008151686A (ja) | 2006-12-19 | 2006-12-19 | 隔膜気体圧力計及びその製造方法 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
CN103063352A (zh) * | 2012-12-21 | 2013-04-24 | 上海宏力半导体制造有限公司 | 微机电系统压力传感器及其制作方法、微机电系统 |
KR20170099454A (ko) * | 2016-02-23 | 2017-09-01 | 한국전자통신연구원 | 압력 센서 및 그 제조 방법 |
JP2018132485A (ja) * | 2017-02-17 | 2018-08-23 | アズビル株式会社 | 静電容量型圧力センサ |
-
2006
- 2006-12-19 JP JP2006341028A patent/JP2008151686A/ja active Pending
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