JP2008143753A - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フロートバス内の水素供給量を当該フロートバス内の温度分布等の成形条件に合わせて適正に調整することで、成形されたガラス基板表面の黄変及び欠陥を好適に抑制する。
【解決手段】フロート法によるガラス基板の製造方法であって、フロートバス1に貯溜された溶融錫2の上方空間の水素供給量を、フロートバス1の流れ方向で複数分割して調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、フロート法によるガラス基板の製造方法の改良技術に関する。
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、単にFPDともいう)用ガラス基板は、近年において大型化及び薄肉化が推進されているのが実情である。
この種のガラス基板の製造方法としては、窓ガラス板を製造する場合と同様に溶融ガラスを水平方向に引き出して溶融錫が貯溜されたフロートバス上で成形するフロート法が公知となっている。詳述すると、フロート法によれば、溶融ガラスをフロートバスの溶融錫上に浮かせると、自然に広がり安定した厚み(以下、平衡厚みという)となり、この溶融ガラスを水平方向に引き出すことで帯状のガラスリボンを成形することができる。そして、近年では、ガラス基板の薄肉化に伴って、ガラスリボンには、前記平衡厚みよりも薄い厚みが要求されるのが通例である。この場合、一般的にはガラスリボンの幅方向両端部に、トップロールと呼ばれる成形装置を押圧し、ガラスリボンの幅方向両端を引き伸ばして薄くする手法が採用される。このようなフロート法によれば、大面積のガラス基板を安定して、しかも安価に大量生産することが可能となる。
しかしながら、フロート法によって成形されたガラス基板上に、銀電極を形成すると、銀がガラス基板の表面と反応して、ガラス基板の表面が黄色に着色(黄変)するという問題が生じる場合がある。しかも、このようなガラス基板表面の黄変は、電極部のみならず、その周辺部にも現れ得る。したがって、ガラス基板に黄変が生じた場合には、当該ガラス基板をFPDに用いたときにその表示性能(透明性、色バランス)が極端に損なわれ、商品価値が低下するのみならず、ひいては不良品として取り扱われるという致命的な問題を招くことになる。
かかるガラス基板表面の黄変は、ガラス基板に形成された還元性を有する異質層に由来するものである。詳述すると、ガラス基板をフロート法で成形する場合、その成形工程においてフロートバス内の雰囲気は、溶融錫の酸化、揮発によって生じる凝集物(酸化錫)のガラスリボン表面への落下、付着を抑制するために、還元性ガス(水素ガスと、窒素ガスとの混合ガス)で満たされている。つまり、フロートバスにおけるガラスリボンの上面は還元雰囲気に曝され、ガラスリボンの下面は溶融錫と接触しているため、かかるガラスリボンから切断分離されたガラス基板の上下面には還元性を有する異質層が形成されることになる。したがって、かかる異質層が形成されたガラス基板に銀ペーストを塗布して焼成すると、銀成分がガラス基板の表面層に拡散し、還元されて銀成分が金属コロイド化するためガラス基板に黄変が生じることになる。
なお、銀電極は、ガラス基板の上下面のうち、上面に形成されるが通例である。そのため、フロート法によって成形する際に、フロートバス内の還元雰囲気に曝されるガラス基板の上面の異質層が問題となる。
そこで、下記の特許文献1、2には、成形されたガラス基板のSn2+濃度を管理することで、ガラス基板表面の黄変を抑制する手法が提案されている。具体的には、かかるSn2+濃度が所定の範囲よりも高い場合には、フロートバス内の還元性を弱める観点からフロートバス内の水素濃度を低下させ、これとは逆にSn2+濃度が所定の範囲よりも低い場合には、フロートバス内の還元性を強める観点からフロートバス内の水素濃度を上げることによって、ガラス基板の黄変を抑制する手法が開示されている。
特開2004−189591号公報 特開2004−189592号公報
しかしながら、特許文献1,2には、Sn2+濃度が所定範囲よりも高い場合に水素濃度を下げ、Sn2+濃度が所定範囲よりも低い場合に水素濃度を上げることが開示されているだけで、フロートバス内の水素濃度の具体的な調整方法については何ら開示されていない。また、フロートバス内の水素濃度の調整方法としては、フロートバス内の水素供給量をフロートバス全体で一律に調整する手法が採用されているのが通例である。
一方、フロートバス内は、その部位によって温度条件等の成形条件が相違することから、その還元速度にも分布が生じ得る。したがって、フロートバス内の水素濃度が、前記成形条件との関係から適正に調整されていなければ、たとえ水素濃度を調整したとしても、依然として成形されるガラス基板の黄変を好適に抑制することが困難となる。すなわち、上記特許文献1,2に開示の手法は、このような観点から何ら対策を講じるものではなく、ガラス基板の黄変を好適に抑制する上では不十分なものとなる。
本発明は、上記実情に鑑み、フロートバス内の水素供給量を当該フロートバス内の温度分布等の成形条件に合わせて適正に調整することで、成形されたガラス基板表面の黄変及び欠陥を好適に抑制することを技術的課題とする。
上記課題を解決するために創案された本発明は、フロート法によるガラス基板の製造方法であって、フロートバスに貯溜された溶融錫の上方空間の水素供給量を、フロートバスの流れ方向で複数分割して調整することに特徴づけられる。
フロートバスに供給する水素が溶融ガラス(ガラスリボン)表面を還元する還元速度は、供給される雰囲気温度及び溶融ガラス温度に依存し、これらが高温であるほど還元速度は速くなり、結果的に成形されたガラス基板の表面に銀ペーストを塗布して焼成したときの黄変が強くなる傾向がある。そして、かかる還元速度は、主にフロートバスの流れ方向で相違する。そこで、上記のような製造方法にすれば、フロートバス内のうち、還元速度の速い高温域では水素供給量を抑制し、還元速度の遅い低温域では水素供給量を多くするように調整することができる。したがって、フロートバス内の成形条件に応じた水素供給を実現することができ、成形されたガラス基板に銀ペーストを塗布して焼成したときの黄変をより確実に抑制すると共に、フロートバス内に貯溜された溶融錫の酸化を防止してガラス基板の表面欠陥を確実に抑制することが可能となる。
上記の方法において、フロートバスの最下流に位置するトップローラを境界として、その上流側と下流側との水素供給量を別個に調整することが好ましい。
フロートバス内のガラスリボンは最下流に位置するトップロールを通過すると、幅方向に作用する張力がなくなり幅方向に収縮する。このガラスリボンの幅方向の収縮によりフロートバス内に貯溜された溶融錫を覆うガラスリボンの面積が減少する。すなわち、最下流に位置するトップローラより下流側においては溶融錫の露出面積が大きくなる。したがって、最下流に位置するトップローラを境界として、その上流側と下流側でガラスリボンの還元速度が大きく変化することになる。そこで、上記のようにすれば、最下流に位置するトップロールを境界として上流側と下流側とに供給する水素供給量を別々に調整することができるので、フロートバス内の成形条件により適合した水素供給を実現することが可能となる。
この場合、前記最下流に位置するトップローラの下流側の水素供給量を、その上流側の水素供給量よりも多くすることがより好ましい。
このようにすれば、ガラスリボン表面の還元速度の速い上流側における水素供給量を減少させ、溶融錫の露出面積の大きな下流側で水素供給量を増加させることができることから、上流側における還元速度を低下させながら、下流側における溶融錫の酸化を抑制することが可能となる。
この場合、前記最下流に位置するトップローラの上流側及び下流側における単位面積当たり且つ1時間当たりの水素供給量をそれぞれA、Bとしたときに、B/Aが2.0以下になるようにフロートバス内の水素供給量を調整することが望ましい。このようにすれば、上流側における還元速度を低下させながら、下流側における溶融錫の酸化をより確実に抑制することができる。
上記の方法において、フロートバスに貯溜された溶融錫の上方空間の単位体積当たり且つ1時間当たりの総水素供給量を0.10〜0.30m(normal)に制御することが好ましい。
このようにすれば、フロートバス内の水素濃度が、フロートバス全体としてより適正なものとなり、成形されたガラス基板表面の黄変及び欠陥をより確実に抑制することが可能となる。なお、総水素供給量を上記数値範囲になるように制御することで、成形されたガラス基板の上面に還元性の強い異質層が形成されるという事態をより確実に抑制することができるので、事後的にガラス基板の上面を研磨する際に、その研磨量を必要最低限な量に抑えることが可能となる。換言すれば、ガラス基板の研磨に要する時間を短縮して、ガラス基板製造工程のサイクルタイムを短縮化することが可能となる。
以上のように本発明に係る方法によれば、フロートバスに貯溜された溶融錫の上方空間の水素供給量をフロートバスの流れ方向で複数分割して調整していることから、フロートバス内の温度分布等の成形条件に応じた適正な水素供給を実現することができる。したがって、成形されたガラス基板表面の黄変及び異物による欠陥を好適に抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガラス基板の製造方法を体現するためのフロートバス内を模式的に示す平面図である。同図に示すように、このフロートバス1には、溶融錫2が貯溜されている。そして、このフロートバス1の上流側に位置する図外の溶融炉で溶融された溶融ガラス3が、フロートバス1の溶融錫2上に供給される。供給された溶融ガラス3は、フロートバス1の幅方向両端に、上流側から下流側に向けて所定の間隔を空けて配設された複数のトップロール4によって幅方向に引き伸ばされながら下流側(図中の矢印X方向)に流され、帯状のガラスリボンに成形される。そして、かかるガラスリボンを徐冷工程で冷却した後、任意の大きさに切断することで、ガラス基板が分離される。
フロートバス1のうち、溶融錫の上方空間には還元ガス(水素ガスと、窒素ガスとの混合ガス)で満たされている。そして、フロートバス1に貯溜された溶融錫2の上方空間の単位体積当たり且つ1時間当たりの総水素量が0.10〜0.30m(normal)になるように、換言すれば総水素量が0.10〜0.30m(normal)/h/mになるように制御されている。詳述すると、かかる総水素量は、フロートバス1内に配設された複数のトップロール4のうち、最下流に位置するトップロール4aを境界として、その上流側と下流側とで、フロートバス1内に供給される水素供給量を別個に調整することによって制御されている。具体的には、図示しない水素供給ノズルが、フロートバス1の天井及び側面の壁面に、フロートバス1の流れ方向に沿って断続的に複数配設されている。これら全ての水素供給ノズルが、図外の単一の水素供給源に接続されており、この水素供給源からの水素供給量を制御することで、フロートバス1内に供給される総水素量が調整されるようになっている。また、各水素供給ノズルからフロートバス1内に実際に供給される水素供給量は、最下流に位置するトップローラ4aを境界としてその上流側と下流側とで別個に調整可能に構成されている。すなわち、最下流に位置するトップローラ4aよりも上流側に位置する上流側水素供給ノズルと、その下流側に位置する下流側水素供給ノズルとは、それぞれ別々の制御系、又は上流側水素供給ノズルと下流側水素供給ノズルへの水素供給量の比率を調整可能な単一の制御系によって、水素供給量が調整可能に構成されている。なお、各水素供給ノズルから供給される水素供給量の総和は、前記水素供給源から供給される水素供給量の総和(総水素供給量)と一致している。
この際、最下流に位置するトップローラ4aの下流側では、その上流側よりも溶融錫2の露出面積が大きくなるので、水素供給量が上流側よりも下流側の方が多くなるように調整されている。具体的には、最下流に位置するトップローラ4aの上流側及び下流側の単位体積当たり且つ1時間当たりの水素供給量をそれぞれA、Bとしたときに、B/Aが2.0以上になるようにフロートバス1内の水素供給量が調整されている。
以上のように、本実施形態に係るガラス基板の製造方法によれば、フロートバス1に貯溜された溶融錫2の上方空間の水素供給量が、最下流に位置するトップローラ4aを境界としてその上流側と下流側とで別個に調整されることから、ガラスリボン表面の還元速度の速い上流側における水素供給量を減少させ、溶融錫2の露出面積の大きな下流側で水素供給量を増加させることが可能となる。したがって、上流側における還元速度と、下流側における溶融錫2の酸化速度とを、ともに確実に低減することができ、フロートバス1内の成形条件に適合した最適な水素供給を実現することができる。そのため、ガラスリボンを切断分離して製造されるガラス基板に銀ペーストを塗布して焼成したときの黄変を確実に抑制しながら、フロートバス1内の溶融錫2の酸化を効率的に防止して当該ガラス基板の表面欠陥を好適に抑制することが可能となる。
また、フロートバス1内の総水素供給量が、0.10〜0.30m(normal)/h/mになるように、各水素供給ノズルから供給される水素供給量が調整されていることから、フロートバス1内の水素濃度が、フロートバス1全体として適正なものとなり、上記ガラス基板表面の黄変および欠陥をより確実に抑制することが可能となる。
なお、本発明に係るガラス基板の製造方法は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種画像表示機器用のガラス基板や、各種電子表示機能素子や薄膜を形成するための基材として用いられるガラス基板の製造に関して好適に利用することができる。
本発明に係る実施例1〜6の対比試験を行った。試験条件は次の通りである。溶融炉で溶融した溶融ガラスを、1150〜1300℃に制御したフロートバス内で、1.8mmのガラス基板に成形した。この際、フロートバス内の最下流に位置するトップローラを境界に、その上流側と下流側に分けて水素供給量を別個に調整すると共に、下流側の水素供給量が上流側の水素供給量よりも多くなるように調整した。そして、このようにフロート法により成形した1.8mmの肉厚のガラス基板の上面(溶融錫の非接触面)に銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布した後、600℃で1時間焼成した際のガラス基板の黄変の強さを、L*a*b*表色系(JIS Z 8729に準拠している)におけるb*を用いて評価した。このb*の値が大きいほど黄色に強く着色していることを意味する。その結果を下記の表1に示す。なお、表中において、フロートバス内における最下流に位置するトップローラの上流側の水素供給量をA(m(normal)/h/m)とし、その下流側の水素供給量をB(m(normal)/h/m)として表している。また、表面欠陥密度は、ガラス基板の上面に付着した錫および錫酸化物の欠陥密度を意味し、実用上好ましい表面欠陥密度を1.0としたときの相対値で表している。
Figure 2008143753
表1に示すように、実施例1では、b*が実施例中で最も良好な結果を得ると共に、実施例6では、表面欠陥密度が実施例中で最も良好な結果を得た。しかしながら、フロートバスに供給する総水素量が少なくなるに連れて、ガラス基板表面のb*が小さくなり、その一方で表面欠陥密度が増加する傾向が確認できることからも、これらb*および表面欠陥密度が共に、実用上好ましい範囲になっていることが、実用上非常に有用となる。したがって、このような観点からは、表面欠陥密度が実用上好ましい1.0以下であって且つb*が実用上好ましいとされる+10以下を示している実施例2〜5が、実用上非常に有用となる。すなわち、総水素供給量が0.10〜0.30m(normal)/h/mになるように、水素供給量Aおよび水素供給量Bを調整することが好ましい。
また、実施例3と実施例5では、総水素供給量が共に一致しているが、水素供給量比率B/Aが2.0未満となる実施例5の方が、b*及び表面欠陥密度が若干悪化するという結果を得た。したがって、水素供給量比率B/Aは、2.0以上になるように調整することが好ましい。
本発明の一実施形態に係るガラス基板の製造方法に利用されるフロートバス内を模式的に示す平面図である。
符号の説明
1 フロートバス
2 溶融錫
3 溶融ガラス
4 トップロール

Claims (4)

  1. フロート法によるガラス基板の製造方法であって、
    フロートバスに貯溜された溶融錫の上方空間の水素供給量を、フロートバスの流れ方向で複数分割して調整することを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. フロートバスの最下流に位置するトップローラを境界として、その上流側と下流側との水素供給量を別個に調整することを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記最下流に位置するトップローラの下流側の水素供給量を、その上流側の水素供給量よりも多くしたことを特徴とする請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. フロートバスに貯溜された溶融錫の上方空間の単位体積当たり且つ1時間当たりの総水素供給量を0.10〜0.30m(normal)に制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
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