JP2008129555A - 液晶表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに液晶表示装置 - Google Patents

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健 松永
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Abstract

【課題】特性劣化の要因を減じて表示品質の安定化した液晶表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】一対の電極5,6間に、コレステリック液晶12を含み所定の波長の光を選択反射する少なくとも1層または2層以上の選択反射層7が挟持されてなる液晶表示素子1における電極5,6間に電圧を印加し得る電源装置17を少なくとも含み、選択反射層7の相状態を均一にするための電圧Aを電極5,6間に印加する初期化動作と、選択反射層7の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を選択するための電圧BHまたは電圧BL(ただしBH>BL)の直流電圧を電極5,6間に印加する選択動作と、選択反射層7の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を出現させるべく電圧Cを電極5,6間に印加する維持動作と、の各動作が順次為されるように制御することを特徴とする液晶表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに液晶表示装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに液晶表示装置に関する。
利便性の高い各種リライタブルマーキング技術の研究が為されているが、その1つの方向性として、コレステリック液晶を用いた液晶表示素子は、無電源で表示を保持できるメモリー性を有すること、偏光板を使用しないため明るい表示が得られること、カラーフィルターを用いずにカラー表示が可能なことなどの特長を有することから近年注目を集めている。
コレステリック液晶(カイラルネマチック液晶)が示すプレーナ相は、螺旋軸に平行に入射した光を右旋光と左旋光に分け、螺旋の捩れ方向に一致する円偏光成分をブラッグ反射し、残りの光を透過させる選択反射現象を起こす。反射光の中心波長λおよび反射波長幅Δλは、螺旋ピッチをp、螺旋軸に直交する平面内の平均屈折率をn、複屈折率をΔnとすると、それぞれ、λ=n・p、Δλ=Δn・pで表され、プレーナ相のコレステリック選択反射層による反射光は、螺旋ピッチに依存した鮮やかな色を呈する。
正の誘電率異方性を有するコレステリック液晶は、図8(A)に示すように、螺旋軸がセル表面に垂直になり、入射光に対して上記の選択反射現象を起こすプレーナ相、図8(B)に示すように、螺旋軸がほぼセル表面に平行になり、入射光を少し前方散乱させながら透過させるフォーカルコニック相、および図8(C)に示すように、螺旋構造がほどけて液晶ダイレクタが電界方向を向き、入射光をほぼ完全に透過させるホメオトロピック相、の3つの状態を示す。
上記の3つの状態のうち、プレーナ相とフォーカルコニック相は、無電界で双安定に存在することができる。したがって、コレステリック液晶の相状態は、選択反射層に印加される電界強度に対して一義的に決まらず、プレーナ相が初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、プレーナ相、フォーカルコニック相、ホメオトロピック相の順に変化し、フォーカルコニック相が初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、フォーカルコニック相、ホメオトロピック相の順に変化する。
一方、選択反射層に印加した電界強度を急激にゼロにした場合には、プレーナ相とフォーカルコニック相はそのままの状態を維持し、ホメオトロピック相はプレーナ相に変化する。
したがって、パルス信号を印加した直後のコレステリック選択反射層は、図9に示すようなスイッチング挙動を示し、印加されたパルス信号の電圧が、Vfh以上のときには、ホメオトロピック相からプレーナ相に変化した選択反射状態となり、VpfとVfhの間のときには、フォーカルコニック相による透過状態となり、Vpf以下のときには、パルス信号印加前の状態を継続した状態、すなわちプレーナ相による選択反射状態またはフォーカルコニック相による透過状態となる。
図9中、縦軸は正規化光反射率であり、最大光反射率を100、最小光反射率を0として、光反射率を正規化している。また、プレーナ相、フォーカルコニック相およびホメオトロピック相の各状態間には、遷移領域が存在するため、正規化光反射率が50以上の場合を選択反射状態、正規化光反射率が50未満の場合を透過状態と定義し、プレーナ相とフォーカルコニック相の相変化のしきい値電圧をVpfとし、フォーカルコニック相とホメオトロピック相の相変化のしきい値電圧をVfhとする。
液晶表示素子については様々な性能が求められているが、その中の1つとして、書き込み時間の短縮化が挙げられる。書き込み時間を短縮することで、実用性の高い液晶表示素子とすることができる。
特許文献1には、書き込み時間の短縮化を達するべく、DDS(ダイレクト・ドライブ・スキーム)と呼ばれるパイプライン駆動が提唱されている。当該文献で提唱されているパイプライン駆動とは、書き込みに際して初期化期間、選択期間および維持期間の3つあるいはそれ以上の段階を経て書き込みが為される液晶表示素子について、その内の選択期間のみを時間をずらし、ライン毎に書き込む方法である。各ラインは細かいセルに分かれており、これらのセルを同時に書き込むことにより、1本のラインが一度に書き込まれ、それをラインの本数分繰り返すことで書き込む。
当該パイプライン駆動による技術について、書き込みに際して初期化期間、選択期間および維持期間の3つの段階を経て書き込みが為される液晶表示素子の場合を例に挙げて、より具体的に説明する。
図10に、パイプライン駆動による書き込みの様子を説明するためのグラフを示す。当該グラフは、横軸に時間、縦軸に個々のラインを取って、各ラインの3つの期間の推移を示すものである。
1つのラインにおいては、初期化期間、選択期間および維持期間の3つの段階が順に進行するが、この中で選択期間だけが各セルの最終の相状態を決する為に最終の相状態に依存した信号を要求する。そのため、ある1つのラインと他のラインとの関係において、選択期間をずらして時間的に重ならないようにし、他の期間は共有させることができる。
図10に示すように、1本目のラインについて選択期間が終了した段階で、2本目の選択期間が開始するように書き込みの時間をずらし、これを順次ラインの本数分繰り返すことで全ラインの書き込みが完了する。全書き込みに要する時間は、選択期間の時間×ライン数となるため、1本ずつ順次書き換える駆動方法に比べて全ラインの書き込み時間を短縮することができる。以上が、いわゆるパイプライン駆動である。
上記文献で提案されたパイプライン駆動には、選択時間を極めて短くするべく、相変化速度の大きいホメオトロピック相(H)−過渡プレーナ相(TP)間のヒステリシスを利用している。
図11に、コレステリック液晶の相変化の一覧を模式的に示す。プレーナ相(P)を初期状態とした場合には、印加電圧に応じてフォーカルコニック相(F)、あるいはホメオトロピック相(H)へと変化し、フォーカルコニック相(F)を初期状態とした場合には、印加電圧に応じてホメオトロピック相(H)へと変化する。一方、ホメオトロピック相(H)を初期状態として印加電圧を低下させた場合、通常、その印加電圧の大きさや降下速度に応じて、フォーカルコニック相(F)に戻るか、あるいは過渡プレーナ相(TP)を経てプレーナ相(P)に変化する。ただし、過渡プレーナ相(TP)の状態において、再度適切な電圧を印加した場合には、フォーカルコニック相(F)に変化して安定する。
ここで、ホメオトロピック相(H)と過渡プレーナ相(TP)との間にはヒステリシスが存在し、同じ印加電圧で両状態を共存させることができる。さらに、このヒステリシス電圧を印加し続けると過渡プレーナ相(TP)がフォーカルコニック相(F)に変化することから、結果として、ホメオトロピック相の状態(H)と、過渡プレーナ相の状態(TP)からフォーカルコニック相(F)へと変化する状態との間においてヒステリシスが存在することになる。
このようにホメオトロピック相(H)と、過渡プレーナ相(TP)からフォーカルコニック相(F)への変化にヒステリシスが存在し、また、ホメオトロピック相(H)−過渡プレーナ相(TP)間が極めて速い配向変化を示すことから、特許文献1の技術においては、画像の書き込み(選択工程)に当該相変化を利用している。
図12は、特許文献1の技術における液晶表示素子の駆動について、印加電圧の波形と選択反射層における液晶の配向状態との相互関係をモデル的に時系列で示すチャートである。
前表示期間では、液晶表示素子は前表示(前書込み)状態を維持したままで、制御信号・画像データの取り込みや制御回路でのデータ変換などが行われている。
次に(1)初期化工程の操作が為される。初期化工程では、選択反射層における液晶の相状態を揃える為の電圧を電極間に印加する。具体的には、選択反射層の液晶におけるホメオトロピック相への相変化のしきい値を越える電圧であり、当該工程の操作により前記液晶層全体がプレーナ相、フォーカルコニック相またはその混合相からホメオトロピック相状態に揃えられる。
続く(2)選択工程で、表示媒体への画像の書込みが行われる。具体的には、ホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化が発生する電圧(OFF時)と、相変化が発生しない電圧(ON時)を電極間に選択的に(すなわち、画像様に)印加する。
当該工程では、書き込み画像に対応して各コレステリック液晶がホメオトロピック相状態(後に相変化して、プレーナ相状態)または過渡プレーナ相状態(後に相変化して、フォーカルコニック相状態)のどちらかが選択される。
そして、(3)維持工程の操作が為される。維持工程では、選択反射層における液晶の相状態のヒステリシスを保持する為の電圧を電極間に印加する。ここで印加する電圧は、ホメオトロピック相の部位はそのままの状態が保たれ、過渡プレーナ相の部位はそのヒステリシスからホメオトロピック相には戻らず、経時と共にフォーカルコニック相に相変化する程度の電圧である。
図13は、特許文献1の技術における液晶表示素子の駆動について、各電極の電位波形と印加される電圧の波形とを時系列で示すチャートである。当該チャートは、1つの書き込み単位に対して、(1)、(2)および(3)の各工程の操作が為された際のデータ電極および走査電極(スキャン電極)の各電位、並びに最終的に印加される電圧のパルス波形を時系列で表したものであり、ON時とは最終的に選択反射(プレーナ相状態)に、OFF時とは最終的に選択透過(フォーカルコニック相状態)に、それぞれなる電圧が(2)選択工程において印加された状態を示すものである。
図13からわかるように、走査電極には、各工程毎に決まった大きさのパルス波が印加される。一方、データ電極には、全工程通して一定の大きさのパルス波が印加され、(2)選択工程ではON/OFF間で波形(電圧)が異なっている。すなわち、選択工程での選択は、データ電極への印加電位(電圧)によって制御されている。
最終的に両電極間に印加される電圧は、データ電極電位と走査電極電位との差によって導かれ、印加電圧波形のチャートに示すような交番のパルス波となっている。
このように、データ電極電位および走査電極電位の周期を同期させることで、所定の印加電圧波形が得られるようになっている。
特表2000−514932号公報
本発明は、特性劣化の要因を減じて表示品質の安定化した液晶表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに液晶表示装置を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の<1>〜<21>に示す本発明により達成される。
<1> 一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する少なくとも1層または2層以上の選択反射層が挟持されてなる液晶表示素子における前記一対の電極間に電圧を印加し得る電源装置を少なくとも含み、
前記選択反射層の相状態を均一にするための電圧Aを前記両電極間に印加する初期化動作と、
前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を選択するための電圧BHまたは電圧BL(ただしBH>BL)の直流電圧を前記両電極間に印加する選択動作と、
前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を出現させるべく電圧Cを前記両電極間に印加する維持動作と、
の各動作が順次為されるように制御することを特徴とする液晶表示素子の駆動装置。
<2> 初期化動作で印加する電圧Aが、前記選択反射層におけるプレーナ相乃至フォーカルコニック相またはその混合相からホメオトロピック相への相変化のしきい値を越える電圧であり、
選択動作で印加する電圧の内、電圧BHが前記選択反射層におけるホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化が起こるしきい値よりも大きい電圧であり、電圧BLが当該しきい値よりも小さい電圧であり、
維持動作で印加する電圧Cが、前記選択反射層におけるホメオトロピック相の部位はそのままの状態が保たれ、過渡プレーナ相の部位はそのヒステリシスからホメオトロピック相には戻らず、経時と共にフォーカルコニック相に相変化する程度の電圧である、
ことを特徴とする<1>に記載の液晶表示素子の駆動装置。
<3> 前記初期化動作において走査電極に印加される電圧の最後のパルスが、振幅が略一定で、かつ前記選択動作において印加する電圧BHおよび電圧BLの印加時間以上のパルス幅であることを特徴とする<1>に記載の液晶表示素子の駆動装置。
<4> 前記選択動作においてデータ電極に供給される駆動電圧の2種類の電圧V1および電圧V2の絶対値が略等しく、かつ極性が逆である(V1≒−V2)ことを特徴とする<1>に記載の液晶表示素子の駆動装置。
<5> 前記データ電極に印加する電圧V1および電圧V2が、いずれもそれだけを単独で印加したのでは前記選択反射層の相状態に影響を与えない大きさの電圧であることを特徴とする<1>に記載の液晶表示素子の駆動装置。
<6> 駆動対象となる液晶表示素子の前記一対の電極のうちの一方が、短冊状の走査電極が平行に並べられてなり、他方が、短冊状のデータ電極が前記走査電極と直交して平行に並べられてなり、個々の短冊状の前記走査電極とデータ電極とが交差して向き合う間隙に位置する選択反射層の部分が1つの書き込み単位を構成し、
少なくとも前記選択動作が、前記書き込み単位毎に選択的に為されることを特徴とする<1>に記載の液晶表示素子の駆動装置。
<7> 前記走査電極のうちの1つと前記データ電極の個々との間に電圧BHおよび電圧BLの2種類の直流電圧を前記書き込み単位毎に選択的に印加し、これを全走査電極に対して順次行うことで、前記書き込み単位毎に選択的に選択動作が為されることを特徴とする<6>に記載の液晶表示素子の駆動装置。
<8> 一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する少なくとも1層または2層以上の選択反射層が挟持されてなる液晶表示素子における前記一対の電極間に対して、
前記選択反射層の相状態を均一にするための電圧Aを印加する初期化工程と、
前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を選択するための電圧BHまたは電圧BL(ただしBH>BL)の直流電圧を前記両電極間に印加する選択工程と、
前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を出現させるべく電圧Cを印加する維持工程と、
の各工程の操作を順次行うことを特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
<9> 初期化工程で印加する電圧Aが、前記選択反射層におけるプレーナ相乃至フォーカルコニック相またはその混合相からホメオトロピック相への相変化のしきい値を越える電圧であり、
選択工程で印加する電圧の内、電圧BHが前記選択反射層におけるホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化が起こるしきい値よりも大きい電圧であり、電圧BLが当該しきい値よりも小さい電圧であり、
維持動作で印加する電圧Cが、前記選択反射層におけるホメオトロピック相の部位はそのままの状態が保たれ、過渡プレーナ相の部位はそのヒステリシスからホメオトロピック相には戻らず、経時と共にフォーカルコニック相に相変化する程度の電圧であることを特徴とする<8>に記載の液晶表示素子の駆動装置。
<10> 前記初期化工程において印加する電圧Aを構成する走査電極に印加される電圧の最後のパルスが、振幅が略一定で、かつ前記選択工程において印加する電圧BHおよび電圧BLの印加時間以上のパルス幅であることを特徴とする<8>に記載の液晶表示素子の駆動方法。
<11> 前記選択工程においてデータ電極に供給される駆動電圧の2種類の電圧V1および電圧V2の絶対値が略等しく、かつ極性が逆である(V1≒−V2)ことを特徴とする<8>に記載の液晶表示素子の駆動方法。
<12> 前記データ電極に印加する電圧V1および電圧V2が、いずれもそれだけを単独で印加したのでは前記選択反射層の相状態に影響を与えない大きさの電圧であることを特徴とする<8>に記載の液晶表示素子の駆動方法。
<13> 駆動対象となる液晶表示素子の前記一対の電極のうちの一方が、短冊状の走査電極が平行に並べられてなり、他方が、短冊状のデータ電極が前記走査電極と直行して平行に並べられてなり、個々の短冊状の前記走査電極とデータ電極とが交差して向き合う間隙に位置する選択反射層の部分が1つの書き込み単位を構成し、
選択工程において、前記書き込み単位毎に前記2種類の直流電圧を選択的に印加することを特徴とする<8>に記載の液晶表示素子の駆動方法。
<14> 選択工程において、前記走査電極のうちの1つと前記データ電極の個々との間に電圧BHおよび電圧BLの2種類の直流電圧を前記書き込み単位毎に選択的に印加し、これを全走査電極に対して順次行うことで、前記書き込み単位毎に前記2種類の直流電圧を選択的に印加することを特徴とする<13>に記載の液晶表示素子の駆動方法。
<15> 一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する少なくとも1層または2層以上の選択反射層が挟持されてなる液晶表示素子と、前記一対の電極間に電圧を印加し得る電源装置とを少なくとも含み、
前記選択反射層の相状態を均一にするための電圧Aを前記両電極間に印加する初期化動作と、
前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を選択するための電圧BHまたは電圧BL(ただしBH>BL)の直流電圧を前記両電極間に印加する選択動作と、
前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を出現させるべく電圧Cを前記両電極間に印加する維持動作と、
の各動作が順次為されるように制御することを特徴とする液晶表示装置。
<16> 初期化動作で印加する電圧Aが、前記選択反射層におけるプレーナ相乃至フォーカルコニック相またはその混合相からホメオトロピック相への相変化のしきい値を越える電圧であり、
選択動作で印加する電圧の内、電圧BHが前記選択反射層におけるホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化が起こるしきい値よりも大きい電圧であり、電圧BLが当該しきい値よりも小さい電圧であり、
維持動作で印加する電圧Cが、前記選択反射層におけるホメオトロピック相の部位はそのままの状態が保たれ、過渡プレーナ相の部位はそのヒステリシスからホメオトロピック相には戻らず、経時と共にフォーカルコニック相に相変化する程度の電圧である、
ことを特徴とする<15>に記載の液晶表示装置。
<17> 前記初期化動作において走査電極に印加される電圧の最後のパルスが、振幅が略一定で、かつ前記選択動作において印加する電圧BHおよび電圧BLの印加時間以上のパルス幅であることを特徴とする<15>に記載の液晶表示装置。
<18> 前記選択動作においてデータ電極に供給される駆動電圧の2種類の電圧V1および電圧V2の絶対値が略等しく、かつ極性が逆である(V1≒−V2)ことを特徴とする<15>に記載の液晶表示装置。
<19> 前記データ電極に印加する電圧V1および電圧V2が、いずれもそれだけを単独で印加したのでは前記選択反射層の相状態に影響を与えない大きさの電圧であることを特徴とする<15>に記載の液晶表示装置。
<20> 駆動対象となる液晶表示素子の前記一対の電極のうちの一方が、短冊状の走査電極が平行に並べられてなり、他方が、短冊状のデータ電極が前記走査電極と直交して平行に並べられてなり、個々の短冊状の前記走査電極とデータ電極とが交差して向き合う間隙に位置する選択反射層の部分が1つの書き込み単位を構成し、
少なくとも前記選択動作が、前記書き込み単位毎に選択的に為されることを特徴とする<15>に記載の液晶表示装置。
<21> 前記走査電極のうちの1つと前記データ電極の個々との間に電圧BHおよび電圧BLの2種類の直流電圧を前記書き込み単位毎に選択的に印加し、これを全走査電極に対して順次行うことで、前記書き込み単位毎に選択的に選択動作が為されることを特徴とする<20>に記載の液晶表示装置。
<1>にかかる発明は、選択動作で印加する電圧を周期性の無い直流とすることで、コントラストを確保しつつ初期化動作で印加する電圧の選択自由度を確保でき、さらに両電極に印加する電位の周期を同期制御が不要もしくは簡素化でき、位相のズレにより生ずる表示画像の劣化の要因が低減する。
<2>にかかる発明は、選択動作において相変化速度の速いホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化を用いているため、書き込み速度の速い液晶表示素子の駆動装置を提供することができる。
<3>にかかる発明は、初期化動作で印加する電圧を構成する走査電極に印加される電圧を直流、あるいは最後のパルス形状を直流に準ずる波形としているため、初期化動作時の走査電極電圧の周波数が低くなり、乃至ゼロ(直流)になるので、データ電極の電圧波形に対する同期制御が容易あるいは不要となるのに加え、低周波駆動により消費電力の低減がはかれる。
<4>にかかる発明は、維持期間にセルに印加される実効電圧が、データ電極に印加される2種類の電圧V1および電圧V2の如何にかかわらずほぼ一定となるため、スキャン電圧にオフセット電圧を必要とせず電源装置が簡素化される。
<5>にかかる発明は、選択動作においてデータ電極に印加する電圧V1および電圧V2を維持動作が終了した前記選択反射層にそのまま印加していても問題が無く、その場合に当該パルスを打ち消す電圧を別途走査電極に印加する必要が無いので、電源装置および制御回路を簡素化できる。
<6>にかかる発明は、単純マトリクス方式の駆動方式に本発明を適用することができる。
<7>にかかる発明は、1つの走査電極に対応する1列の書き込み単位(セル)を一度に選択することができ、これを全走査電極に対して繰り返して全ての書き込み単位(セル)を駆動させるいわゆるパイプライン駆動によって全面書き込みする際、選択動作で走査電極とデータ電極との間で印加する電圧(電位)の周期を同期させる必要がなくなり、いわゆるパイプライン駆動による高速書き込みを実現しつつ表示品質の安定した画像を形成し得る液晶表示素子の駆動装置を提供することができる。
<8>にかかる発明は、両電極に印加する電位の周期を同期させる必要が無くなるため、位相のズレにより生ずる最終的な表示画像のコントラストに影響を与える等の特性劣化の要因を減らすことができ、表示品質の安定した画像を形成し得る液晶表示素子の駆動方法を提供することができる。
<9>にかかる発明は、選択工程において相変化速度の速いホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化を用いているため、書き込み速度の速い液晶表示素子の駆動方法を提供することができる。
<10>にかかる発明は、初期化工程で印加する電圧を構成する走査電極に印加される電圧を直流、あるいは最後のパルス形状を直流に準ずる波形としているため、初期化工程における周波数が低くなり、乃至ゼロ(直流)になるので、データ電極の電圧波形に対する同期制御が容易あるいは不要となるのに加え、低周波駆動により消費電力を低減することができる。
<11>にかかる発明は、維持期間にセルに印加される実効電圧が、データ電極に印加される2種類の電圧V1および電圧V2の如何にかかわらずほぼ一定となるため、スキャン電圧にオフセット電圧を必要とせず電源装置が簡素化される。
<12>にかかる発明は、選択工程においてデータ電極に印加する電圧V1および電圧V2を維持動作が終了した前記選択反射層にそのまま印加していても問題が無く、その場合に当該パルスを打ち消す電圧を走査電極に印加する必要が無いので、電源および制御回路の複雑化や高コスト化を抑えることができる。
<13>にかかる発明は、単純マトリクス方式の駆動方式に本発明を適用することができる。
<14>にかかる発明は、1つの走査電極に対応する1列の書き込み単位(セル)を一度に選択することができ、これを全走査電極に対して繰り返して全ての書き込み単位(セル)を駆動させるいわゆるパイプライン駆動によって全面書き込みする際、選択工程で走査電極とデータ電極との間で印加する電圧(電位)の周期を同期させる必要がなくなり、いわゆるパイプライン駆動による高速書き込みを実現しつつ表示品質の安定した画像を形成し得る液晶表示素子の駆動方法を提供することができる。
<15>にかかる発明は、選択動作で印加する電圧を周期性の無い直流とすることで、コントラストを確保しつつ初期化動作で印加する電圧の選択自由度を確保でき、さらに両電極に印加する電位の周期を同期制御が不要もしくは簡素化でき、位相のズレにより生ずる表示画像の劣化の要因が低減する。
<16>にかかる発明は、選択動作において相変化速度の速いホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化を用いているため、書き込み速度の速い液晶表示素子の駆動装置を提供することができる。
<17>にかかる発明は、初期化動作で印加する電圧を構成する走査電極に印加される電圧を直流、あるいは最後のパルス形状を直流に準ずる波形としているため、初期化動作時の走査電極電圧の周波数が低くなり、乃至ゼロ(直流)になるので、データ電極の電圧波形に対する同期制御が容易あるいは不要となるのに加え、低周波駆動により消費電力の低減がはかれる。
<18>にかかる発明は、維持期間にセルに印加される実効電圧が、データ電極に印加される2種類の電圧V1および電圧V2の如何にかかわらずほぼ一定となるため、スキャン電圧にオフセット電圧を必要とせず電源装置が簡素化される。
<19>にかかる発明は、選択動作においてデータ電極に印加する電圧V1および電圧V2を維持動作が終了した前記選択反射層にそのまま印加していても問題が無く、その場合に当該パルスを打ち消す電圧を別途走査電極に印加する必要が無いので、電源装置および制御回路を簡素化できる。
<20>にかかる発明は、単純マトリクス方式の駆動方式に本発明を適用することができる。
<21>にかかる発明は、1つの走査電極に対応する1列の書き込み単位(セル)を一度に選択することができ、これを全走査電極に対して繰り返して全ての書き込み単位(セル)を駆動させるいわゆるパイプライン駆動によって全面書き込みする際、選択動作で走査電極とデータ電極との間で印加する電圧(電位)の周期を同期させる必要がなくなり、いわゆるパイプライン駆動による高速書き込みを実現しつつ表示品質の安定した画像を形成し得る液晶表示素子の駆動装置を提供することができる。
本発明の液晶表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに液晶表示装置について、以下、詳細に説明する。
本発明の液晶表示素子の駆動装置(以下、単に「本発明の駆動装置」という場合がある。)は、所定の液晶表示素子の一対の電極間に電圧を印加し得る電源装置により、初期化動作、選択動作および維持動作の各動作が順次為されるように制御されてなるものである。
また、本発明の液晶表示素子の駆動方法(以下、単に「本発明の駆動方法」という場合がある。)は、所定の液晶表示素子の一対の電極間に、初期化工程、選択工程および維持工程の各工程の操作により適当な電圧を印加する方法である。
なお、本発明の液晶表示装置は、本発明の駆動装置と液晶表示素子とを備えて構成されるものであるので、以下では駆動装置の説明を援用する。
本発明の駆動装置は、本発明の駆動方法を適用してなる装置であり、初期化動作、選択動作および維持動作の各動作は、そのまま順に初期化工程、選択工程および維持工程の各工程の操作が為されるようにそれぞれ制御されてなる。
以下、本発明の駆動装置の好ましい実施形態を挙げて、本発明の駆動方法を併せて説明する。
図1は、本発明の駆動方法を適用した本発明の駆動装置と液晶表示素子とからなるシステムの例示的一態様を示す概略構成図である。図1に示されるシステムは、表示媒体(液晶表示素子)1と書き込み装置(液晶表示素子の駆動装置)2とからなる。
<表示媒体>
本実施形態において、表示媒体(液晶表示素子)1は、表示面側から順に、基板3、電極5、表示層(選択反射層)7、電極6および基板4が積層されてなる物である。
(基板)
基板3,4は、各機能層を内面に保持し、表示媒体の構造を維持する目的の部材である。基板3,4は、外力に耐える強度を有するシート形状の物体であり、フレキシブル性を有することが好ましい。具体的な材料としては、無機シート(たとえばガラス・シリコン)、高分子フィルム(たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート)等を挙げることができる。なお、少なくとも表示面側の基板は表示光を透過する機能を有する。その外表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
(電極)
電極5,6は、書き込み装置2から印加されたバイアス電圧を、表示媒体1内の各機能層へ印加する目的の部材である。具体的には、金属(たとえば金、銀、銅、鉄、アルミニウム)、金属酸化物(たとえば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO))、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、導電性有機高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などで形成された導電性薄膜を挙げることができる。表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
電極5,6は、それぞれ細長で短冊状の複数の電極が平行に並べられ、電極5,6間では相互に直交するように配されている。そして電極5,6の内の一方が走査電極、もう一方がデータ電極となり、両電極が交差して向き合う間隙に位置する表示層の部分が1つの書き込み単位を構成している。本発明において、表示側の電極を走査電極およびデータ電極のいずれとしても構わないが、本実施形態においては走査電極としてる。
なお、本発明においては、電極5および/または6が画素あるいはライン毎に分画されてセルを構成する態様でもよく、本実施形態においても電極5および6がライン毎に分画されて、それぞれ走査電極およびデータ電極を構成しているが、図1においてはその詳細は表われていない。
図2は、図1の表示媒体における電極配置を説明するため、電極5,6のみを取り出して表示側から見た平面図である。電極5,6はそれぞれ細長い短冊状の複数の電極が平行に配列してなり、かつ電極5,6は相互に直交し、電極5は走査電極を電極6はデータ電極を構成する。
走査電極はS1〜Smの計m本、データ電極はD1〜Dnの計n本配列され、両電極が交差して対向する間隙に位置する表示層(選択反射層)の個々の部位は、それぞれが書き込み単位(セル)を構成する。図2の例では、当該書き込み単位はm×n個である。
今、走査電極としてS1が選択されてここに走査電位が印加され、一方データ電極D1〜Dnにはそれぞれデータ電位が印加されると、走査電極S1の1ライン分が一度に書き込まれる。次いで走査電極としてS2、S3・・・Smと順次選択され、走査電位とデータ電位の印加を繰り返し、全ての走査電極について電圧を印加することで、全ての書き込み単位に対して書き込みを実施することができる。
以上のように、本実施形態の液晶表示素子(表示媒体1)は、いわゆる単純マトリクス(パッシブマトリクス)駆動をすることが可能な電極配置が成されている。当該単純マトリクス駆動は、一連の走査電位が例えば初期化・選択・維持という複数の工程を含み選択工程のみが各走査電極に対して独立で、初期化・維持工程に関しては複数の走査電極で時間的共有が可能なパイプライン駆動の一態様である。
(表示層)
本発明において選択反射層(表示層)とは、コレステリック液晶を含み、電場によって入射光の反射・透過状態を変調する機能を有し、選択した状態が無電場で保持できる性質のものである。表示層7としては、曲げや圧力などの外力に対して変形しない構造であることが好ましい。
コレステリック液晶12は、液晶分子がらせん状に捩れて配向しており、らせん軸方向から入射した光のうち、らせんピッチに依存した特定の光を干渉反射する。電場によって配向が変化し、反射状態を変化させることができる。
コレステリック液晶12として使用可能な具体的な液晶としては、ネマチック液晶やスメクチック液晶(たとえばシッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系)、またはこれらの混合物に、カイラル剤(たとえばステロイド系コレステロール誘導体、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系)を添加したもの等を挙げることができる。
コレステリック液晶の螺旋ピッチは、ネマチック液晶に対するカイラル剤の添加量で調整する。例えば、表示色を青、緑あるいは赤にする場合には、それぞれ選択反射の中心波長が、順に400nm〜500nm、500nm〜600nmあるいは600nm〜700nmの範囲になるようにする。また、コレステリック液晶の螺旋ピッチの温度依存性を補償するために、捩れ方向が異なる、または逆の温度依存性を示す複数のカイラル剤を添加する公知の手法を用いてもよい。
表示層は、コレステリック液晶のみで構成することも可能であるが、特に、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPSCT(Polymer Stabilized Cholesteric Texture)構造や、基板内面を垂直配向処理したSSCT(Surface Stabilized Cholesteric Texture)構造、あるいは高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDCLC(Polymer Dispersed Cholesteric Liquid Crystal)構造(マイクロカプセル化されたものを含む)に形成することで、コレステリック液晶と高分子の界面におけるアンカリング効果によるプレーナとフォーカルコニックとの双安定性を向上させ、長期間に渡って表示画像を保持することができる。
さらに、表示層としては、曲げや圧力などの外力に対して変形しない自己保持型液晶複合体とすることが好ましいため、本実施形態において表示層7は、図1に示されるように、高分子マトリックス(透明樹脂)11中にコレステリック液晶12が分散した状態となっているPDCLC構造としている。
PDCLC構造は、高分子マトリックスとコレステリック液晶とを相分離させる公知の方法、例えば、アクリル系、チオール系、エポキシ系などの、熱や光、電子線などによって重合する高分子前駆体と液晶を混合し、均一相の状態から重合させて相分離させるPIPS(Polymerization Induced PhaseSeparation)法、ポリビニルアルコールなどの、液晶の溶解度が低い高分子と液晶とを混合し、攪拌懸濁させて、液晶を高分子中にドロップレット分散させるエマルジョン法、熱可塑性高分子と液晶とを混合し、均一相に加熱した状態から冷却して相分離させるTIPS(Thermally Induced Phase Separation)法、高分子と液晶とをクロロホルムなどの溶媒に溶かし、溶媒を蒸発させて高分子と液晶とを相分離させるSIPS(Solvent Induced Phase Separation)法などによって形成することができるが、特に限定されるものではない。
高分子マトリックス11は、コレステリック液晶12を保持し、表示媒体の変形による液晶の流動(画像の変化)を抑制する機能を有するものであり、液晶材料に溶解せず、また液晶と相溶しない液体を溶剤とする高分子材料が好適に用いられる。また、高分子マトリックス11としては、外力に耐える強度をもち、少なくとも反射光に対して高い透過性を示す材料であることが望まれる。
高分子マトリックス11として採用可能な材料としては、水溶性高分子材料(たとえばゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー)、あるいは水性エマルジョン化できる材料(たとえばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等を挙げることができる。
<書き込み装置(駆動装置)>
本実施形態において書き込み装置(液晶表示素子の駆動装置)2とは、表示媒体1に画像を書き込む装置であり、表示媒体1に電圧を印加する電圧印加部(電源装置)17を主要構成要素とし、さらにこの動作を制御する制御回路16が配されてなる。
(電圧印加部)
電圧印加部(電源装置)17は、所定の電圧を表示媒体1に印加する機能を有し、制御回路16からの入力信号に基づき、表示媒体(各電極間)に所望の電圧波形を印加できるものであればよい。AC出力ができ、高いスルーレートのものが好ましい。本発明では、電圧印加部17には、例えばバイポーラ高電圧アンプなどを用いることができる。
電圧印加部17による表示媒体1への電圧の印加は、接触端子19を介して、電極5−電極6間に為される。
ここで接触端子19とは、電圧印加部17および表示媒体1(電極5,6)に接触して、両者の導通を行う部材であり、高い導電性を有し、電極5,6および電圧印加部17との接触抵抗が小さいものが選択される。表示媒体1と書き込み装置2とを切り離すことができるように、電極5,6と電圧印加部17とのどちらか、あるいは両者から分離できる構造であることが好ましい。
接触端子19としては、金属(たとえば金、銀、銅、鉄、アルミニウム)、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、金属酸化物(たとえば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO))、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、導電性有機高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などでできた端子で、電極を挟持するクリップ・コネクタ形状のものが挙げられる。
電極が画素あるいはライン毎に分画されてセルを構成する態様においては、この接触端子から電極への接続は、画素毎あるいはライン毎に分画されている各電極に適切に為される。本実施形態では図2に示されように、電極5,6はライン毎に分画されており、電圧印加部17として、各ライン毎に電圧を印加して、いわゆる単純マトリクス駆動することが可能になっている。
(制御回路)
制御回路16は、外部(画像取り込み装置、画像受信装置、画像処理装置、画像再生装置、あるいはこれらの複数の機能を併せ持つ装置等)からの画像データに応じて、電圧印加部17の動作を適宜制御する機能を有する部材である。制御回路16による具体的な制御内容は、本発明に特徴的な(1)初期化工程(動作)、(2)選択工程(動作)および(3)維持工程(動作)の3つの工程(動作)からなるものであり、その詳細については次項にて述べることとする。
<動作>
図1にて例示した本実施形態のシステムを用いて、本発明の液晶表示素子の駆動方法、および液晶表示素子駆動装置の動作(操作)について、以下、図面を用いて詳細に説明する。
図3は、本実施形態のシステムを例に挙げ、本発明の液晶表示素子の駆動について、印加電圧の波形と選択反射層における液晶の配向状態との相互関係をモデル的に時系列で示すチャートである。当該チャートには、本発明に特徴的な(1)初期化工程(動作)、(2)選択工程(動作)および(3)維持工程(動作)の3つの工程(動作)の他、書き込みを為す前の前表示期間や、最終的な表示画像が形成される表示確定状態についても図示されている。
また、図4は同様に、本実施形態のシステムを例に挙げ、本発明の液晶表示素子の駆動について、各電極の電位波形と印加される電圧の波形とを時系列で示すチャートである。当該チャートは、1つの書き込み単位に対して、(1)初期化工程、(2)選択工程および(3)維持工程の各工程の操作が為された際のデータ電極および走査電極の各電位、並びに最終的に印加される電圧のパルス波形を時系列で表したものであり、ON時とは最終的に選択反射(プレーナ相状態)に、OFF時とは最終的に選択透過(フォーカルコニック相状態)に、それぞれなる電圧が(2)選択工程において印加された状態を示すものである。
以下、工程毎に説明する。
(前表示)
前表示期間では、液晶表示素子は前表示(前書込み)状態を維持したままで、制御信号・画像データの取り込みや制御回路でのデータ変換などが行われている。表示媒体1を書き込み装置2から切り離していた場合は、所定の位置へのセットおよび接触端子19との接続を行う。
この前表示期間は、制御信号・画像データの取り込みや制御回路16でのデータ変換、表示媒体1のセットなど、書き込みに必要な前処理を行うのに十分な時間以上が確保される。
((1)初期化工程)
前表示期間で準備が整った後、(1)初期化工程の操作が為される。初期化工程では、表示層(選択反射層)7における液晶の相状態を揃える為の電圧Aを電極5,6間に印加する。本例で印加する電圧Aは、表示層7の液晶におけるプレーナ相ないしフォーカルコニック相またはその混合相からホメオトロピック相への相変化のしきい値を越える電圧であり、当該工程の操作により前記液晶層全体がホメオトロピック相状態に揃えられる。
当該電圧Aを構成する走査電極の電圧としては、図4のチャートに示されるとおり振幅が一定、すなわち直流電圧が印加されているが、本発明においては従来通り交番のパルス波でも構わない。ただし、後述する選択工程においてデータ電極に印加する電圧V1と電圧V2との絶対値電圧を略等しく(|V1|≒|V2|)するには、選択工程において印加する電圧に対する最終的な表示画像の反射率のグラフにおいて、ボトム(極小値)を示す点が正負いずれかに偏っていることが望まれ(後述する実施例の結果である図6参照。初期化DC(初期化工程での印加電圧が直流)および初期化125Hz(初期化工程での印加電圧の周波数が125Hz)においてボトムの位置が負方向に偏っている。)、周波数が低いことが好ましく、直流(周波数0Hz)が最も好ましい。当該低周波の程度としては、後述する選択工程において印加する電圧BHおよび電圧BLの印加時間以上のパルス幅となるような周波数であることが好ましい。
勿論、図4のチャートに示されるように当該電圧Aを構成する走査電圧として直流電圧を印加することが望ましい。また、初期化工程の全ての期間にわたって直流電圧が印加されている必要はなく、電圧Aを構成する走査電圧の最後のパルスが実質的に直流電圧と同一視できるようなパルス波形になっていればよい。「実質的に直流電圧と同一視できるようなパルス波形」とは、振幅が略一定で、かつ後述する選択工程において印加する電圧BHおよび電圧BLの印加時間以上のパルス幅となるパルス波形を指す。
ここで「振幅が略一定」と言う場合の略一定とは、直流電圧が印加された場合に発現するものと同様の効果が発現する程度に振幅が一定であれば十分であり、具体的には、当該最後のパルスにおける振幅の変動幅が、平均に対して±2%以内であることが好ましく、±1%以内であることがより好ましい。
なお、図4のチャートにおいて、データ電極電位波形は規則正しい一定周期のパルス波にて示されているが、データ電極電位はそのラインが選択工程でON/OFFされるときに選択されるものであり、選択工程の前後において当該波形は対象となるラインの前後のラインにおける選択工程でのON/OFFに依存する。そのため、中心線(5本の平行線のうち実線のもの。以下同じ。)に対して正負同じ方向のパルスが続く場合がある。したがって、(1)初期化工程においても、正負逆転したパルス形状や正負いずれかの一定のパルス形状となる(実質直流である)場合がある。そのため、図4のチャートにおいては、振幅の変動範囲を点線で表現するにとどめている。
電圧Aの大きさとしては、プレーナ相ないしフォーカルコニック相からホメオトロピック相への相変化のしきい値を越える電圧であればよいが、本例のように振幅が変動する場合、その振幅における最低の実効電圧(図4のチャートの例で言えば、中心線に近い側の点線の実効電圧)が前記しきい値を越えることが好ましい。
この工程の所要時間は、プレーナ相ないしフォーカルコニック相からホメオトロピック相への相変化に必要かつ十分な時間であればよい。一般的なコレステリック液晶では、プレーナ相からホメオトロピック相への配向変化により時間がかかり、弾性定数や誘電率異方性、液晶層の厚み、印加電圧などに依存するため一概には言えないが、具体的には、5ms程度以上の時間が望まれる。
((2)選択工程)
続く(2)選択工程で、表示媒体1への画像の書込みが行われる。具体的には、ホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化が生ずる(OFF時)電圧BLと、相変化が生じない(ON時)程度の電圧BHを電極5,6間に選択的に(すなわち、画像様に)印加する。
当該工程では、書き込み画像に対応して、各書き込み単位の部位の表示層におけるコレステリック液晶について、ホメオトロピック相状態(後に相変化して、プレーナ相状態。ON時。)または過渡プレーナ相状態(後に相変化して、フォーカルコニック相状態。OFF時。)のどちらかが選択される。
本工程においてデータ電極に印加される電圧V1のと電圧V2としては、その絶対値電圧が略等しく、かつ極性が逆である(V1≒−V2)ことが好ましい。図4のチャートにおける(2)選択工程のデータ電極印加電圧の波形(データ電極電位波形)を見てもわかるように、本例においてもON時印加する電圧V1とOFF時印加する電圧V2とが、中心線を基準に上下略同一の隔たりとなっている。
すなわち、本例において電圧V1と電圧V2とは、絶対値が同一の正負逆転した電圧(実効電圧が等しい)となっている。このようにすることで、図4のチャートを見ればわかるとおり、データ電極にBH(ON時)またはBL(OFF時)のいずれかと同一の電圧を印加するだけで、走査電極には何ら電圧を印加せずに両電極間に所定の選択電圧を印加することができる。
このような電圧を印加することでON/OFFの駆動ができるためには、例えば、後述する実施例の結果である図6のグラフの初期化DC(初期化工程での印加電圧が直流)および初期化125Hz(初期化工程での印加電圧の周波数が125Hz)のように、ボトムの位置が正負いずれかの方向に偏っていることが好ましい。図6のグラフで言えば、初期化DCでは−20Vの位置にボトムがあるため、BL=−20Vとし、その正負反対の+20VをBHとすることで、最終的に得られる表示画像は明暗コントラストの高いものとなる。
なお、ここで言う「略等しい(≒)」とは、電源装置の切り替え制御によって正負逆転させた場合に生ずる誤差程度の絶対値電圧の変動を許容する意図であり、電源装置や制御回路の仕様、性能、接触端子19を含む接続に関与する部材の性能等によるため一概には言えないが、大略2%以内の差であれば許容され、1%以内の差であることがより好ましい。
既述の通り、本例では、データ電極電位が当該選択工程以外の期間(工程)でも印加されていることから、電圧V1および電圧V2が、いずれもそれだけを単独で印加したのでは前記選択反射層の相状態に影響を与えない大きさの電圧であることが好ましい。電圧V1および電圧V2だけで前記選択反射層の相状態に影響を与えなければ、それを打ち消すような電位を走査電極に印加する必要がない。本例においても図4のチャートに示すとおり、後述する(3)維持工程の後の期間で走査電極に何ら電位を印加せず、データ電極のみそのまま電位を印加しており、そのままの波形が印加電圧波形となっている。
なお、電圧V1および電圧V2だけで前記選択反射層の相状態に影響を与える懸念がある場合には、それを打ち消す走査電極電位(電圧V1+電圧V2)/2を印加すればよい。
ここで言う「それだけを単独で印加」とは、「初期化工程における初期化電圧Aを印加した直後の選択電圧としてではなく」と実質的に同義であり、初期化工程における初期化電圧Aを印加した直後の選択電圧として電圧V1またはBH乃至電圧V2またはBLを印加すれば、その趣旨から当然に選択反射層の相状態に影響を与える。
この工程の所要時間は、ホメオトロピック相から過渡プレーナ相への配向変化に必要な時間以上であればよい。一般的なコレステリック液晶では、ホメオトロピック相から過渡プレーナ相への配向変化は、図11に示すように最も速い。一概には言えないが、所要時間としては具体的には、0.5ms以上で通常は十分である。
((3)維持工程)
次いで、(3)維持工程の操作が為される。維持工程では、表示層7における液晶の相状態のヒステリシスを保持し、印加電圧解放後の最終的な相状態を確立する為の電圧Cを電極5,6間に印加する。本例で印加する電圧Cは、ホメオトロピック相の部位はそのままの状態が保たれ、過渡プレーナ相の部位はそのヒステリシスからホメオトロピック相には戻らず、経時と共にフォーカルコニック相に相変化する程度の電圧である。
図5に、表示層7における液晶の選択工程以降の電気光学応答について説明するためのグラフを示す。図5は、維持工程で印加する電圧Cを横軸に、工程が進み最終的に表示画像が確定した後の表示層7のY値反射率を縦軸に、それぞれプロットしたグラフであり、破線のグラフは選択工程において電圧BHが印加された場合(ON時)で、実線のグラフは選択工程において電圧BLが印加された場合(OFF時)である。なお、当該グラフにおける具体的な数値は、本例において使用した液晶表示素子の場合の一例であり、本発明がこれら数値により制限を受けるものではない。
選択工程において選択的に印加する電圧BHおよびBLによってON/OFF選択された液晶の相状態(ホメオトロピック相または過渡プレーナ相)が、適切に保持されてヒステリシス双安定を示すのは、維持工程で印加する電圧Cが60V前後の領域のみであり、これよりも小さくても大きくても、所望とする最終的な選択状態(プレーナ相またはフォーカルコニック相)を得ることができない(ただし、弾性定数や誘電率異方性、液晶層厚みおよび印加電圧等に依存し、適切な維持電圧の値は条件により異なる。)。
すなわち、図5に示すグラフの例においては、60V前後の付近に確かに「ホメオトロピック相の部位はそのままの状態が保たれ、過渡プレーナ相の部位はそのヒステリシスからホメオトロピック相には戻らず、経時と共にフォーカルコニック相に相変化する程度の電圧」が存在することがわかる。そして当該電圧を電圧Cとして選択すればよい。
当該工程では、各コレステリック液晶がホメオトロピック相はそのままの状態が保持され、過渡プレーナ相は経時によりフォーカルコニック相状態に相変化して安定化する。
維持工程の所要時間は、ヒステリシス状態が維持されつつ、過渡プレーナ相からフォーカルコニック相への相変化に必要かつ十分な時間であればよい。過渡プレーナ相の状態(液晶分子のチルト角やらせん構造の形成度合)や、弾性定数、誘電率異方性、維持電圧値などに依存するため一概には言えないが、具体的には、10ms程度以上の時間が望まれる。
最後に、維持工程で印加していた電圧Cを解除すると、バイアス電圧が無くなり、コレステリック液晶の配向が無電場のメモリ状態に変化することで表示媒体に画像が表示される。選択工程において、BHが印加されたONの部位ではホメオトロピック相からプレーナ相への相変化が生じ、BLが印加されたOFFの部位ではフォーカルコニック相がそのままの状態を維持する。
この工程の所要時間は、各配向変化に必要な時間以上であればよい。バイアス信号が必要ないので、書き込み装置2から表示媒体1が切り離されていても構わない。
以上のようにして、液晶表示素子が駆動して表示画像が書き込まれる。書き込まれた表示画像は、無電界で双安定なプレーナ相とフォーカルコニック相とから形成されており、安定的な永久乃至半永久画像として保存が可能である。
なお、本発明の駆動方法並びに駆動装置において液晶表示素子に印加した電圧は、図3や図4のチャートを見てもわかるとおり、正負のバランスを欠いたものになっている。一般に液晶は、正負のバランスの偏った電圧を印加し続けると、帯電により液晶にダメージを与え、不具合の原因になり得ると言われている。
しかし、本発明で書き込み対象としている液晶表示素子は、書き込みのために電圧を印加している時間は非常に短く、対して表示画像として保持しておく時間が極めて長い。そのため、本発明の駆動方法並びに駆動装置によって偏りを生じて帯電した液晶表示素子は、その後の表示画像閲覧や保存などの長時間にわたって自然拡散的に中和される。したがって、本発明の駆動方法並びに駆動装置によって生じる電気的偏りが、液晶表示素子の液晶にダメージを与える懸念は事実上無いと言える。
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明の液晶表示素子の駆動装置(液晶表示装置を含む。)および駆動方法を詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では表示層が1層のみからなる単色画像形成用の液晶表示素子を書き込み対象の例に挙げて説明したが、表示層やその他の層を必要に応じて複数層として多色画像が形成できる液晶表示素子を書き込み対象としてもよいし、このとき少なくともブルー、グリーンおよびレッドの三原色を表示し得る表示層を積層することでフルカラー画像が形成できる液晶表示素子を書き込み対象としてもよい。
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の液晶表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに液晶表示装置を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の液晶表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに液晶表示装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
以下、本発明を、実施例を挙げることで、より具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明に適用し得る液晶表示素子として、図1に記載の表示媒体1(ただし、さらに遮光層を設けており、かつ、電極は短冊状とはなっておらず単なる平板状である。)を試作し、本発明および比較例の液晶表示素子の駆動方法ないし液晶表示素子の駆動装置を利用して、画像の書き込みを行った。図1、図3および図4(実施例)、図12および図13(比較例)を参照しつつ説明する。
コレステリック液晶として、ネマチック液晶(メルク社製,E7)77.5質量%、右旋性カイラル剤(メルク社製,CB15)18.8質量%および右旋性カイラル剤(メルク社製,R1011)3.7質量%を混合して、グリーンを選択反射する材料を調製した。
片面にITO(表面抵抗30Ω/□)がスパッタされた1.1mm厚のガラス基板(コーニング社製,7059)を2枚用意した。このうちの1枚の外面(ITOが成膜されていない側の面)に、カーボンブラック顔料を分散させたポリビニルアルコール水溶液をスピンコートして2μm厚の遮光層(不図示)を形成した。さらに、ITO膜の上に液晶垂直配向膜(日産化学社製,SE7511L)を乾燥膜厚が10nm厚となるようにスピンコート法によって塗布した。図1に記載の表示媒体1で言えば、このガラス基板は基板4、ITO膜は電極6となる。
ITOが成膜されたガラス基板のもう1枚については、ITO膜の上に液晶垂直配向膜(日産化学社製,SE7511L)を乾燥膜厚が10nm厚となるようにスピンコート法によって塗布し、さらにその上に10μm径の球状スペーサ(積水ファインケミカル社製SP210)を湿式散布した。なお、こちらのこのガラス基板は基板3、ITO膜は電極5となる。このガラス基板周辺部に光学接着剤(ノーランド社製,NOA65)をディスペンサで描画し、これに上記もう一方のガラス基板(基板4)を、球状スペーサが散布された面にITO膜(電極6)側の面が向かい合うように貼り合わせて、前記光学接着剤を光学的に接着させ空セルとした。
得られた空セルに、上記得られたグリーンのコレステリック液晶を毛管注入して、ITO膜間(電極5,6間)に表示層7を形成して、表示媒体1を得た。
得られた表示媒体1に、パーソナルコンピュータでGPIB制御する任意波形発生器(バイオ―メーション社製,2714A)を制御部(制御回路16)、高圧電源装置(松定プレシジョン社製,HEOPT−1B60)を電圧印加部17とする書き込み装置2に接続した。
以上のようにして得られた表示媒体(液晶表示素子)1および書き込み装置(駆動装置)からなるシステムを用いて、下記表1に示す条件で実施例および比較例の操作を行った。このとき、電極5を走査電極、電極6をデータ電極と見立てて電圧を印加した。
Figure 2008129555
以上の条件で書き込みを行った後、維持工程で印加した電圧を解除した際の表示媒体1の反射率を、積分球型分光測色計(コニカミノルタ社製,CM2022)で測定した。実施例の結果を図6に、比較例の結果を図7に、それぞれグラフにて示す。なお、図6および図7のグラフにおいて、横軸は選択工程における印加電圧(選択電圧)であり、縦軸は反射率の実測値である。また、図7における横軸の選択電圧はスタート時の電圧であり、負であれば負電圧からスタート、正であれば正電圧からスタートしたことを意味する。
図6のグラフを見ればわかるように、実施例においては、選択工程で直流の選択電圧を印加することで、初期化工程で印加する電圧の周波数に関わらず高いコントラストを維持できることがわかった。これに対して、比較例においては、図7のグラフを見ればわかるように、初期化電圧の周波数が低くなるにつれてコントラストが低下している。
また、図6のグラフを見ればわかるように、特に初期化工程で印加する電圧が直流(DC)の場合、および125Hzの場合には、グラフのボトム(極小値)の位置が−20Vの位置に偏っているため、選択工程で印加する電圧を、OFF時はBL=−20Vとし、ON時はその正負反対のBH=+20Vとすることで、最終的に得られる表示画像の明暗コントラストの高いものとなる。
さらに、初期化工程で直流電圧を印加する実施例(図4の波形の場合)においては、交番電圧を印加する比較例(図13の波形の場合、すなわち従来例)に対して走査電極電位波形の電圧値の種類が格段に少なくなっている。具体的には、走査電極電位波形について図4および図13を見比べるとわかるように、図13の比較例では、中心線のグラウンド電圧(Gnd)の他、3つの工程にそれぞれ正負2つの電圧値の計6値の電圧が必要であるのに対して、図4の実施例では、(2)選択工程でグラウンド電圧(Gnd)を採用しており、その他には、(1)初期化工程で1つ、(3)維持工程で正負2つの計3値の電圧だけで十分である。すなわち、必要な電圧値の種類が少なければ、電源装置や制御回路を簡略化することができ、装置コストの削減が期待できる。
本発明の液晶表示素子の駆動方法を適用した、本発明の液晶表示素子の駆動装置と液晶表示素子とからなるシステムの例示的一態様を示す概略構成図である。 図1の表示媒体における電極配置を説明するため、電極5,6のみを取り出して表示側から見た平面図である。 本発明の液晶表示素子の駆動について、印加電圧の波形と選択反射層における液晶の配向状態との相互関係をモデル的に時系列で示すチャートである。 本発明の液晶表示素子の駆動について、データ電極および走査電極の電位波形と印加される電圧の波形とをモデル的に時系列で示すチャートである。 本発明の液晶表示素子の駆動において、表示層における液晶の選択工程以降の電気光学応答について説明するためのグラフである。 実施例の結果を表すグラフである。 比較例の結果を表すグラフである。 コレステリック液晶の分子配向と光学特性の関係を示す模式説明図であり、(A)はプレーナ相、(B)はフォーカルコニック相、(C)ホメオトロピック相の各相におけるものである。 コレステリック液晶のスイッチング挙動を説明するためのグラフである。 パイプライン駆動による書き込みの様子を説明するためのグラフであり、横軸に時間、縦軸に個々のラインを取って、各ラインの3つの期間の推移を示すものである。 コレステリック液晶の相変化の一覧を示す模式図である。 従来の液晶表示素子の駆動について、印加電圧の波形と選択反射層における液晶の配向状態との相互関係をモデル的に時系列で示すチャートである。 従来の液晶表示素子の駆動について、データ電極および走査電極の電位波形と印加される電圧の波形とをモデル的に時系列で示すチャートである。
符号の説明
1:表示媒体(液晶表示素子)、 2:書き換え装置(駆動装置)、 3,4:基板、 5,6:電極、 7:表示層(選択反射層)、 11:高分子マトリックス、 12:コレステリック液晶、 16:制御回路、 17:電圧印加部(電源装置)、 19:接触端子

Claims (21)

  1. 一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する少なくとも1層または2層以上の選択反射層が挟持されてなる液晶表示素子における前記一対の電極間に電圧を印加し得る電源装置を少なくとも含み、
    前記選択反射層の相状態を均一にするための電圧Aを前記両電極間に印加する初期化動作と、
    前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を選択するための電圧BHまたは電圧BL(ただしBH>BL)の直流電圧を前記両電極間に印加する選択動作と、
    前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を出現させるべく電圧Cを前記両電極間に印加する維持動作と、
    の各動作が順次為されるように制御することを特徴とする液晶表示素子の駆動装置。
  2. 初期化動作で印加する電圧Aが、前記選択反射層におけるプレーナ相乃至フォーカルコニック相またはその混合相からホメオトロピック相への相変化のしきい値を越える電圧であり、
    選択動作で印加する電圧の内、電圧BHが前記選択反射層におけるホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化が起こるしきい値よりも大きい電圧であり、電圧BLが当該しきい値よりも小さい電圧であり、
    維持動作で印加する電圧Cが、前記選択反射層におけるホメオトロピック相の部位はそのままの状態が保たれ、過渡プレーナ相の部位はそのヒステリシスからホメオトロピック相には戻らず、経時と共にフォーカルコニック相に相変化する程度の電圧である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の駆動装置。
  3. 前記初期化動作において走査電極に印加される電圧の最後のパルスが、振幅が略一定で、かつ前記選択動作において印加する電圧BHおよび電圧BLの印加時間以上のパルス幅であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の駆動装置。
  4. 前記選択動作においてデータ電極に供給される駆動電圧の2種類の電圧V1および電圧V2の絶対値が略等しく、かつ極性が逆である(V1≒−V2)ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の駆動装置。
  5. 前記データ電極に印加する電圧V1および電圧V2が、いずれもそれだけを単独で印加したのでは前記選択反射層の相状態に影響を与えない大きさの電圧であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の駆動装置。
  6. 駆動対象となる液晶表示素子の前記一対の電極のうちの一方が、短冊状の走査電極が平行に並べられてなり、他方が、短冊状のデータ電極が前記走査電極と直交して平行に並べられてなり、個々の短冊状の前記走査電極とデータ電極とが交差して向き合う間隙に位置する選択反射層の部分が1つの書き込み単位を構成し、
    少なくとも前記選択動作が、前記書き込み単位毎に選択的に為されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の駆動装置。
  7. 前記走査電極のうちの1つと前記データ電極の個々との間に電圧BHおよび電圧BLの2種類の直流電圧を前記書き込み単位毎に選択的に印加し、これを全走査電極に対して順次行うことで、前記書き込み単位毎に選択的に選択動作が為されることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示素子の駆動装置。
  8. 一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する少なくとも1層または2層以上の選択反射層が挟持されてなる液晶表示素子における前記一対の電極間に対して、
    前記選択反射層の相状態を均一にするための電圧Aを印加する初期化工程と、
    前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を選択するための電圧BHまたは電圧BL(ただしBH>BL)の直流電圧を前記両電極間に印加する選択工程と、
    前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を出現させるべく電圧Cを印加する維持工程と、
    の各工程の操作を順次行うことを特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
  9. 初期化工程で印加する電圧Aが、前記選択反射層におけるプレーナ相乃至フォーカルコニック相またはその混合相からホメオトロピック相への相変化のしきい値を越える電圧であり、
    選択工程で印加する電圧の内、電圧BHが前記選択反射層におけるホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化が起こるしきい値よりも大きい電圧であり、電圧BLが当該しきい値よりも小さい電圧であり、
    維持動作で印加する電圧Cが、前記選択反射層におけるホメオトロピック相の部位はそのままの状態が保たれ、過渡プレーナ相の部位はそのヒステリシスからホメオトロピック相には戻らず、経時と共にフォーカルコニック相に相変化する程度の電圧であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示素子の駆動装置。
  10. 前記初期化工程において印加する電圧Aを構成する走査電極に印加される電圧の最後のパルスが、振幅が略一定で、かつ前記選択工程において印加する電圧BHおよび電圧BLの印加時間以上のパルス幅であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示素子の駆動方法。
  11. 前記選択工程においてデータ電極に供給される駆動電圧の2種類の電圧V1および電圧V2の絶対値が略等しく、かつ極性が逆である(V1≒−V2)ことを特徴とする請求項8に記載の液晶表示素子の駆動方法。
  12. 前記データ電極に印加する電圧V1および電圧V2が、いずれもそれだけを単独で印加したのでは前記選択反射層の相状態に影響を与えない大きさの電圧であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示素子の駆動方法。
  13. 駆動対象となる液晶表示素子の前記一対の電極のうちの一方が、短冊状の走査電極が平行に並べられてなり、他方が、短冊状のデータ電極が前記走査電極と直行して平行に並べられてなり、個々の短冊状の前記走査電極とデータ電極とが交差して向き合う間隙に位置する選択反射層の部分が1つの書き込み単位を構成し、
    選択工程において、前記書き込み単位毎に前記2種類の直流電圧を選択的に印加することを特徴とする請求項8に記載の液晶表示素子の駆動方法。
  14. 選択工程において、前記走査電極のうちの1つと前記データ電極の個々との間に電圧BHおよび電圧BLの2種類の直流電圧を前記書き込み単位毎に選択的に印加し、これを全走査電極に対して順次行うことで、前記書き込み単位毎に前記2種類の直流電圧を選択的に印加することを特徴とする請求項13に記載の液晶表示素子の駆動方法。
  15. 一対の電極間に、コレステリック液晶を含み所定の波長の光を選択反射する少なくとも1層または2層以上の選択反射層が挟持されてなる液晶表示素子と、前記一対の電極間に電圧を印加し得る電源装置とを少なくとも含み、
    前記選択反射層の相状態を均一にするための電圧Aを前記両電極間に印加する初期化動作と、
    前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を選択するための電圧BHまたは電圧BL(ただしBH>BL)の直流電圧を前記両電極間に印加する選択動作と、
    前記選択反射層の印加電圧解放後の閲覧時の相状態を出現させるべく電圧Cを前記両電極間に印加する維持動作と、
    の各動作が順次為されるように制御することを特徴とする液晶表示装置。
  16. 初期化動作で印加する電圧Aが、前記選択反射層におけるプレーナ相乃至フォーカルコニック相またはその混合相からホメオトロピック相への相変化のしきい値を越える電圧であり、
    選択動作で印加する電圧の内、電圧BHが前記選択反射層におけるホメオトロピック相から過渡プレーナ相への相変化が起こるしきい値よりも大きい電圧であり、電圧BLが当該しきい値よりも小さい電圧であり、
    維持動作で印加する電圧Cが、前記選択反射層におけるホメオトロピック相の部位はそのままの状態が保たれ、過渡プレーナ相の部位はそのヒステリシスからホメオトロピック相には戻らず、経時と共にフォーカルコニック相に相変化する程度の電圧である、
    ことを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
  17. 前記初期化動作において走査電極に印加される電圧の最後のパルスが、振幅が略一定で、かつ前記選択動作において印加する電圧BHおよび電圧BLの印加時間以上のパルス幅であることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
  18. 前記選択動作においてデータ電極に供給される駆動電圧の2種類の電圧V1および電圧V2の絶対値が略等しく、かつ極性が逆である(V1≒−V2)ことを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
  19. 前記データ電極に印加する電圧V1および電圧V2が、いずれもそれだけを単独で印加したのでは前記選択反射層の相状態に影響を与えない大きさの電圧であることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
  20. 駆動対象となる液晶表示素子の前記一対の電極のうちの一方が、短冊状の走査電極が平行に並べられてなり、他方が、短冊状のデータ電極が前記走査電極と直交して平行に並べられてなり、個々の短冊状の前記走査電極とデータ電極とが交差して向き合う間隙に位置する選択反射層の部分が1つの書き込み単位を構成し、
    少なくとも前記選択動作が、前記書き込み単位毎に選択的に為されることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
  21. 前記走査電極のうちの1つと前記データ電極の個々との間に電圧BHおよび電圧BLの2種類の直流電圧を前記書き込み単位毎に選択的に印加し、これを全走査電極に対して順次行うことで、前記書き込み単位毎に選択的に選択動作が為されることを特徴とする請求項20に記載の液晶表示装置。
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