JP2008129343A - ポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】100nm以下の微細パターンの形成においても、露光ラチチュード、パターン倒れ、密集パターンと孤立パターンにおける性能差が改良されたポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】(A)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂、(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、及び、(C)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する、かつ、酸の作用により分解し放出される基が水酸基もしくはエーテル結合を有する非ポリマー化合物を含有するポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。さらに詳しくは250nm以下、好ましくは220nm以下の遠紫外線などの露光光源、および電子線などによる照射源とする場合に好適なポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。
化学増幅系感光性組成物は、遠紫外光等の放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
KrFエキシマレーザーを露光光源とする場合には、主として248nm領域での吸収の小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とする樹脂を主成分に使用するため、高感度、高解像度で、且つ良好なパターンを形成し、従来のナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系に比べて良好な系となっている。
一方、更なる短波長の光源、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を露光光源として使用する場合は、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、上記化学増幅系でも十分ではなかった。
このため、脂環炭化水素構造を有する樹脂を含有するArFエキシマレーザー用レジストが開発されてきている。レジストは、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解速度差を大きくすることで、高い解像性を得ることができる。レジストに酸分解性の低分子の溶解阻止剤を添加することで解像力、および種々の特性の改良がなされている(特許文献1〜3参照)。
しかしながら、レジストとしての総合性能の観点から、使用される樹脂、光酸発生剤、添加剤、溶剤等の適切な組み合わせを見出すことが極めて困難であるのが実情であり、更に線幅100nm以下のような微細なパターンを形成する際には、解像性能が優れていても、形成したラインパターンが倒れてしまい、デバイス製造時の欠陥となってしまうパターン倒れの問題、露光量変化に対する性能安定性(露光ラチチュード)、および密集パターンと孤立パターンにおける性能差、特に孤立パターンの膜減りにおいては上記組成物においてもいまだ不十分であった。
特開平8−15865号公報 特開平9−265177号公報 特開2006−201762号公報
従って、本発明の目的は、100nm以下の微細パターンの形成においても、露光ラチチュード、パターン倒れ、密集パターンと孤立パターンにおける性能差が改良されたポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
<1>(A)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂、(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、及び、(C)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する、かつ、酸の作用により分解し放出される基が水酸基もしくはエーテル結合を有する非ポリマー化合物を含有するポジ型感光性組成物。
<2>(C)成分が、下記一般式(I)で表される基を有する化合物であることを特徴とする上記<1>に記載のポジ型感光性組成物。
Figure 2008129343
一般式(I)において、
Ra1、Ra2、Ra3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
Ra1、Ra2、Ra3の2つが結合して環を形成してもよい。
ただし、Ra1、Ra2、Ra3の少なくとも1つは水酸基もしくはエーテル結合を有する。
<3>(C)成分が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする上記<1>に記載のポジ型感光性組成物。
Figure 2008129343
一般式(II)において
mは、2以上の整数を表す。
Yは、m価の有機基を表す。
Aは、単結合または2価の連結基を表す。
Ra1、Ra2、Ra3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
Ra1、Ra2、Ra3の2つが結合して環を形成してもよい。
ただし、Ra1、Ra2、Ra3の少なくとも1つは水酸基もしくはエーテル結合を有する。
<4>(C)成分が、下記一般式(III)で表される基を有する化合物であることを特徴とする上記<1>に記載のポジ型感光性組成物。
Figure 2008129343
一般式(III)において
Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
Xは、水酸基もしくはエーテル結合を有する、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
<5>(C)成分が、下記一般式(IV)で表される化合物である上記<1>に記載のポジ型感光性組成物。
Figure 2008129343
一般式(IV)において
mは、2以上の整数を表す。
Yは、m価の有機基を表す。
Aは、単結合または2価の連結基を表す。
Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基またはアラルキル基を表す。
Xは、水酸基もしくはエーテル結合を有する、アルキル基、脂環基、アリール基またはアラルキル基を表す。
<6> 樹脂(A)が、更に、脂環炭化水素構造を有する酸分解性基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
<7> 樹脂(A)が、更にラクトン構造を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
<8> 一般式(I)〜(IV)で表される化合物が、分子量500〜3000であることを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
<9> 上記<1>〜<8>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物を用いて、感光性膜を形成し、該感光性膜を、露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば
、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
(A)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂(以下、「(A)成分」ともいう)
本発明のポジ型感光性組成物に用いられる酸により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂は、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸で分解し得る基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂である。この内、酸で分解し得る基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
酸で分解し得る基として好ましい基は、−COOH基、−OH基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。本発明においては、酸分解性基は、アセタール基又は3級エステル基が好ましい。
これら酸で分解し得る基が側鎖として結合する場合の母体樹脂は、側鎖に−OHもしくは−COOH基を有するアルカリ可溶性樹脂である。例えば、後述するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して170A/秒以上が好ましい。特に好ましくは330A/秒以上である(Aはオングストローム)。
このような観点から、特に好ましいアルカリ可溶性樹脂は、o−,m−,p−ポリ(ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリ(ヒドロキシスチレン)の一部、O−アルキル化もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、水素化ノボラック樹脂等のヒドロキシスチレン構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂、(メタ)アクリル酸、ノルボルネンカルボン酸などのカルボキシル基を有する繰り返し単位を含有するアルカリ可溶性樹脂である。
本発明に於ける好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位としては、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、1−アルコキシエトキシスチレン、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル等を挙げることができ、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート及びジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
本発明に用いられる(A)成分は、欧州特許254853号、特開平2−25850号、同3−223860号、同4−251259号等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、もしくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
本発明のポジ型感光性組成物にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(好ましくはEUVなど)を照射する場合には、(A)成分の樹脂はヒドロキシスチレン繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくはヒドロキシスチレン繰り返し単位/酸分解基で保護されたヒドロキシスチレン繰り返し単位を含有する共重合体、ヒドロキシスチレン繰り返し単位/酸分解基で保護された(メタ)アクリル酸エステル繰り返し単位を含有する共重合体が好ましい。
本発明に使用される(A)成分の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008129343
上記具体例において、tBuはt−ブチル基を表す。
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は、好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。
本発明のポジ型感光性組成物にArFエキシマレーザー光を照射する場合には、(A)成分の樹脂は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂であることが好ましい。
単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂(以下、「脂環炭化水素系酸分解性樹脂」ともいう)としては、下記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び下記一般式(II−AB)で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種を含有する樹脂であることが好ましい。
Figure 2008129343
一般式(pI)〜(pV)中、
11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかはシクロアルキル基であることが好ましい。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つはシクロアルキル基であることが好ましい。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つはシクロアルキル基であることが好ましい。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 2008129343
式(II−AB)中、
11'及びR12'は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。Z'は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
また、上記一般式(II−AB)は、下記一般式(II−AB1)又は一般式(II−AB2)であることが更に好ましい。
Figure 2008129343
式(II−AB1)(II−AB2)中、
13'〜R16'は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A'−R17'、アルキル基あるいはシクロアルキル基を表す。
ここで、R5は、アルキル基、シクロアルキル基又はラクトン構造を有する基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A'は単結合又は2価の連結基を表す。
また、Rl3'〜R16'のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
17'は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、アルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又はラクトン構造を有する基を表す。
6は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
一般式(pI)〜(pV)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。
11〜R25におけるシクロアルキル基或いはZと炭素原子が形成するシクロアルキル基は、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらのシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。
好ましいシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、テトラシクロドデカニル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。
これらのアルキル基、シクロアルキル基の更なる置換基としては、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)が挙げられる。上記のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が、更に有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。
上記樹脂における一般式(pI)〜(pV)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護に使用することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種
々の基が挙げられる。
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基の水素原子が一般式(pI)〜(pV)で表される構造で置換された構造などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基の水素原子が一般式(pI)〜(pV)で表される構造で置換された構造である。
一般式(pI)〜(pV)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2008129343
ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。
Aは、単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。好ましくは単結合、−COO−CH−である。
Rpは、上記式(pI)〜(pV)のいずれかの基を表す。
一般式(pA)で表される繰り返し単位は、最も好ましくは、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位である。
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位の具体例を示す。
Figure 2008129343
(式中Rxは、H、CH3、CF3またはCH2OHを表し、Rxa及びRxaはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
上記R11'、R12'におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
上記R11'、R12'におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が挙げられる。
上記Z'の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、一般式(pI)〜(pVI)に於けるR11〜R25の脂環式炭化水素基と同様のものが挙げられる。
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、前記一般式(II−AB1)あるいは(II−AB2)中のR13'〜R16'を挙げることができる。
本発明に係る脂環炭化水素系酸分解性樹脂においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に含有することができる。
酸分解性繰り返し単位は1種を用いてもよいが、酸脱離基の炭素数の異なる2種以上の酸分解性繰り返し単位を併用することが好ましい。これにより解像力、露光ラチチュードのバランスが良好になる。
上記一般式(II−AB1)あるいは一般式(II−AB2)におけるR13'〜R16'の各種置換基は、上記一般式(II−AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなり得る。
上記一般式(II−AB1)あるいは一般式(II−AB2)で表される繰り返し単位として、下記具体例が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されない。
Figure 2008129343
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、ラクトン基を有することが好ましい。ラクトン基としては、ラクトン構造を含有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を含有する基であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)(LC1−4)(LC1−5)(LC1−6)(LC1−13)(LC1−14)であり、特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
Figure 2008129343
ラクトン構造部分は置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。nが2以上の時、複数存在するRbは同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。
一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−AB1)又は(II−AB2)中のR13'〜R16'のうち少なくとも1つが一般式(LC1−1)〜(LC1−16)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(LC1−1)〜(LC1−16)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
Figure 2008129343
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
b0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子、メチル基が好ましい。
bは、アルキレン基、単環または多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。好ましくは単結合、−Ab1−CO2−で表される連結基である。
b1は直鎖、分岐アルキレン基、単環または多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基である。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のうちのいずれかで示される基を表す。
ラクトン構造を有する繰り返し単位は通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
ラクトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマー中の全繰り返し単位に対し、15〜60mol%が好ましく、より好ましくは20〜50mol%、更に好ましくは30〜50mol%である。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
最も好ましいラクトン基を有する繰り返し単位としては下記の繰り返し単位が挙げられる。最適なラクトン構造を選択することにより、パターンプロファイル、疎密依存性が良好となる。
Figure 2008129343
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を含有していることが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。極性基で置換された脂環炭化水素構造の脂環炭化水素構造としてはアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。極性基としては水酸基、シアノ基が好ましい。好ましい極性基で置換された脂環炭化水素構造としては(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
Figure 2008129343
一般式(VIIa)〜(VIIc)中、R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基、シアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基、シアノ基を表す。好ましくはR2c〜R4cのうち1つまたは2つが水酸基で残りが水素原子である。(VIIa)において更に好ましくはR2c〜R4cのうち2つが水酸基で残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−AB1)又は(II−AB2)中のR13'〜R16'のうち少なくとも1つが上記一般式(VIIa)〜(VIId)のいずれかで表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(VIIa)〜(VIId)のいずれかで表される基を表す)、又は下記一般式(AIIa)〜(AIId)のいずれかで表される繰り返し単位等を挙げることができる。
Figure 2008129343
一般式一般式(AIIa)〜(AIId)中、R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基、ヒドロキメチル基を表す。
極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマー中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
一般式(AIIa)〜(AIId)のいずれかで表される構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008129343
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を含有してもよい。
Figure 2008129343
上記一般式(VIII)に於いて、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。R41は、水素原子、水酸基、アルキル基又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。R41及びR42のアルキル基は、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)等で置換されていてもよい。
上記一般式(VIII)で表される繰り返し単位として、以下の具体例が挙げられるが、
本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008129343
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。アルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、α位が電子吸引性基で置換された脂肪族アルコール(好ましくは下記一般式(F1)で表される構造)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。
Figure 2008129343
一般式(F1)中、
50〜R55は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R50〜R55の内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、R50〜R55の全てがフッ素原子であることが好ましい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環または多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。最も好ましくはアクリル酸、メタクリル酸である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマー中の全繰り返し単位に対し、1〜20mol%が好ましく、より好ましくは3〜15mol%、更に好ましくは5〜10mol%である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示す。
Figure 2008129343
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、更に脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有してもよい。これにより液浸露光時に感光性膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できる。このような繰り返し単位として、例えば1−アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を含有することができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは20〜50モル%、更に好ましくは25〜40モル%である。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、一般式(pA)で表されるような脂環炭化水素構造を含有する酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中、10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中20〜70モル%が好ましく、より好ましくは20〜50モル%、更に好ましくは25〜40モル%である。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、ラクトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中、10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
本発明の組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。
本発明に用いる脂環炭化水素系酸分解性樹脂として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート、繰り返し単位のすべてがアクリレート、メタクリレート/アクリレート混合のいずれのものでも用いることができるが、アクリレート繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以下であることが好ましい。より好ましくは一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位20〜50モル%、上記ラクトン構造を含有する繰り返し単位20〜50モル%、上記極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位5〜30モル%含有する共重合ポリマー、または更にその他の繰り返し単位を0〜20モル%含む共重合ポリマーである。
最も好ましい樹脂としては、ARA-1〜ARA-5で表される酸分解性基を有する繰り返し単位20〜50%、ARL-1〜ARL-6で表されるラクトン基を有する繰り返し単位20〜50%、ARH-1〜ARH-3で表される極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位5〜30%含有する3元共重合ポリマー、または更にカルボキシル基、あるいは一般式(F1)で表される構造を含有する繰り返し単位、脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を5〜20%含む4元共重合ポリマーである。
(式中Rxy1は水素原子またはメチル基、Rxa1、Rxb1はメチル基またはエチル基を表す。)
Figure 2008129343
本発明に用いる脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の感光性組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。重合開始剤とともにチオール化合物などの連鎖移動剤を併用してもよい。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
本発明に係る樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜20,000、最も好ましくは5,000〜15,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。 分子量分布は通常1〜5であり、好ましくは1〜2、更に好ましくは1.3〜2の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
本発明の感光性組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全固形分中60〜99質量%が好ましく、より好ましくは80〜98質量%である。また、本発明において、樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
本発明の組成物を多層レジストの上層レジストに使用する場合に、(A)成分の樹脂は、シリコン原子を有することが好ましい。
シリコン原子を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大する樹脂としては、シリコン原子を主鎖及び側鎖の少なくとも一方に有する樹脂を用いることができる。樹脂の側鎖にシロキサン構造を有する樹脂として、例えば、シリコン原子を側鎖に有するオレフィン系単量体、無水マレイン酸及び酸分解性基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸系単量体の共重合体を挙げることができる。
シリコン原子を有する樹脂としてはトリアルキルシリル構造、単環または多環の環状シロキサン構造を有する樹脂が好ましく、下記一般式(SS−1)〜(SS−4)で表される構造を有する繰り返しを有する樹脂がより好ましく、一般式(SS−1)〜(SS−4)で表される構造を有する(メタ)アクリル酸エステル系繰り返し単位、ビニル系繰り返し単位またはアリル系繰り返し単位がより好ましい。
Figure 2008129343

一般式(SS−1)〜(SS−4)中、Rsは炭素数1〜5のアルキル基を表し、好ましくはメチル基、エチル基である。
シリコン原子を有する樹脂は、異なる2種類以上のシリコン原子を有する繰り返し単位を有することが好ましく、より好ましくは(Sa)シリコン原子を1〜4個有する繰り返し単位と(Sb)シリコン原子を5〜10個有する繰り返し単位の両方を有する樹脂であり、更により好ましくは一般式(SS−1)〜(SS−3)で表される構造を有する少なくとも1種類の繰り返し単位と一般式(SS−4)で表される構造を有する繰り返し単位を有する樹脂である。
好ましいシリコン原子を有する樹脂の具体例として以下の(SI−1)〜(SI−5)が挙げられる。
Figure 2008129343
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明の感光性組成物は活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する。そのような光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008129343
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4−、PF6−、SbF6−などが挙げられ、好ましくは炭素原子を含有する有機アニオンである。
好ましい有機アニオンとしては下式AN1〜AN4に示す有機アニオンが挙げられる。
Figure 2008129343
Rcは有機基を表す。
Rcにおける有機基として炭素数1−30のものが上げられ好ましくは置換していてもよいアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rdは水素原子、アルキル基を表し、結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rcの有機基としてより好ましくは1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子またはフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。Rcにおいて炭素原子を5個以上有する時、少なくとも1つの炭素原子は水素原子で置換されていることが好ましく、水素原子の数がフッ素原子より多いことがより好ましい。炭素数5以上のパーフロロアルキル基を有さないことにより生態への毒性が軽減する。
Rcの最も好ましい様態としては、下記一般式で表される基である。
Figure 2008129343
Rcは炭素数4以下、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2〜3のパーフロロアルキレン基、3〜5個のフッ素原子及び/または1〜3個のフロロアルキル基で置換されたフェニレン基を表す。
Axは連結基(好ましくは単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−)を表す。
Rdは水素原子、アルキル基を表し、Rcと結合して環構造を形成してもよい。
Rcは、水素原子、フッ素原子、直鎖または分岐のアルキル基、多環であってもよいシクロアルキル基、またはアリール基を表す。アルキル基、シクロアルキル基、アリール基は置換基としてフッ素原子を含有しないことが好ましい。
Rc、Rc、Rcは有機基を表す。
Rc、Rc、Rcの有機基として好ましくはRcにおける好ましい有機基と同じものを挙げることができる。
RcとRcが結合して環を形成していてもよい。
RcとRcが結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2−4のパーフロロアルキレン基である。RcとRcが結合して環を形成することにより光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上し、好ましい。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
尚、一般式(Z1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(Z1)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖、分岐又は環状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、アリール基(例えば炭素数6−から14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状アルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 2008129343
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、水素原子又はアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
1c〜R5cとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、例えば、炭素数20以下のアルキル基及びシクロアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖、分岐、環状アルキル基、又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1cからR5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
x及びRyとしてのアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基と同様のものを挙げることができる。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
x及びRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
x、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基である。
一般式(ZII)及び(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
204〜R207としてのアルキル基及びシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207としてのアリール基、アルキル基またはシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(I)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008129343
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
206は、アルキル基又はアリール基を表す。
207及びR208は、アルキル基、アリール基、または電子吸引性基を表す。R207として好ましくはアリール基である。
208として好ましくは電子吸引性基であり、より好ましくはシアノ基、フロロアルキル基である。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物であり、更に好ましくは(ZI)で表される化合物であり、最も好ましくは(ZI−1)〜(ZI−3)で表される化合物である。
更に、活性光線又は放射線の照射により、下記一般式AC1〜AC3で表される酸を発生する化合物が好ましい。
Figure 2008129343
すなわち、最も好ましい(B)成分の様態としては一般式(ZI)の構造においてXがAN1、AN3、AN4から選ばれるアニオンである化合物である。
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
酸発生剤の組成物中の含量は、感光性組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
〔3〕酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する、かつ、酸の作用により分解し放出される基が水酸基もしくはエーテル結合を有する化合物
本発明の感光性組成物は、酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する、かつ、酸の作用により分解し放出される基が水酸基もしくはエーテル結合を有する非ポリマー化合物((C)成分)を含有する。
なお、非ポリマー化合物とは、重合単位(モノマーにおけるような重合可能な構造)、オリゴマー、ポリマーにおけるような、重合単位の重合により形成された2つ以上の繰り返し単位を含有しない化合物である。
本発明における(C)成分の分子量は、5000以下であり、好ましくは300〜4000、更に好ましくは500〜3000、最も好ましくは800〜2500である。
(C)成分として好ましくは、下記一般式(I)または(III)で表される基を有する化合物をあげることができる。さらに好ましくは下記一般式(II)または(IV)で表される化合物を挙げることができる。最も好ましくは下記一般式(IV)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008129343
一般式(I)において、
Ra1、Ra2、Ra3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
Ra1、Ra2、Ra3の2つが結合して環を形成してもよい。
ただし、Ra1、Ra2、Ra3の少なくとも1つは水酸基もしくはエーテル結合を有する。
Figure 2008129343
一般式(II)において
mは、2以上の整数を表す。
Yは、m価の有機基を表す。
Aは、単結合または2価の連結基を表す。
Ra1、Ra2、Ra3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
Ra1、Ra2、Ra3の2つが結合して環を形成してもよい。
ただし、Ra1、Ra2、Ra3の少なくとも1つは水酸基もしくはエーテル結合を有する。
Figure 2008129343
一般式(III)において
Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
Xは、水酸基もしくはエーテル結合を有する、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
Figure 2008129343
一般式(IV)において
mは、2以上の整数を表す。
Yは、m価の有機基を表す。
Aは、単結合または2価の連結基を表す。
Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基またはアラルキル基を表す。
Xは、水酸基もしくはエーテル結合を有する、アルキル基、脂環基、アリール基またはアラルキル基を表す。
Ra1、Ra2、Ra3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(置換基を有するアルキル基としては特にアルコキシアルキル基が好ましい。)、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。ただし、Ra1、Ra2、Ra3の少なくとも1つは水酸基もしくはエーテル結合を有する。
アルキル基としては、炭素数1から20の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、などが挙げられる。
置換基を有するアルキル基として好ましいアルコキシアルキル基としては、炭素数1から20の直鎖、分岐、環状アルコキシアルキル基が好ましく、具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、2−メチルプロポキシエチル基、1−メチルプロポキシメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、メントキシメチル等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシアルキル基が挙げられる。
脂環基としては、炭素数20以下の環状アルキル基が好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチ
ル基、シクロノニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基などが挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、インドール基などが挙げられる。
アラルキル基としては上記アリール基が炭素数1〜4のアルキル基で連結された基をあげることができる。
Ra1、Ra2、Ra3としての基が水酸基もしくはエーテル結合を有する場合の基としては、例えば、上記アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基における任意の水素原子が水酸基で置換した基、炭素鎖又は脂環中にエーテル結合を導入した基が挙げられる。
Ra1、Ra2、Ra3として好ましくは、炭素数1から15の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3から15の脂環基であり、より好ましくは炭素数1から5の分岐のアルキル基、炭素数5から12の脂環基である。さらに好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基などの直鎖または分岐のアルキル基、もしくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基である。最も好ましくは、Ra1、Ra2、Ra3の1つがシクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基であり、残りの2つがメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基である。
Ra1、Ra2、Ra3の2つが結合し環を形成してもよく、環構造として好ましくは、炭素数3から15の環状アルキル基であり、より好ましくは、炭素数5から12の環状アルキル基である。さらに好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基である。最も好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基である。
Ra1、Ra2、Ra3として好ましくは、1つが脂環式炭化水素基を有する、もしくは、Ra1、Ra2、Ra3は互いに結合し環を形成していることである。脂環式構造に水酸基、またはエーテル結合を有していることが好ましい。水酸基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基を介して環構造と結合しても良い。
Yのm価の有機基としては、例えば、アルキル基、脂環基、アリール基またはアラルキル基の任意の水素原子をm−1個除いたm価の基を挙げることができる。
ここでアルキル基として好ましくは、炭素数1から20の直鎖または分岐のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、3−エチルペンチル基、4−プロピルヘプチル基、3,3−ジエチルペンチル基、4,4−ジプロピルヘプチルなどが挙げられる。アルコキシアルキル基としては炭素数1から20の直鎖、分岐、環状アルコキシアルキル基が好ましく、具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、2−メチルプロポキシエチル基、1−メチルプロポキシメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、メントキシメチル等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルコキシアルキル基が挙げられる。
脂環基として好ましくは、炭素数1から20の環状アルキル基であり、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基である。
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、
インドール基などが挙げられる。
アラルキル基としては上記アリール基が炭素数1から4のアルキル基で連結された基をあげることができる。
Yにおける有機基として好ましくは、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基であり、より好ましくは炭素数3から15の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3から15の環状アルキル基である。さらに好ましくは炭素数5から15の分岐のアルキル基、炭素数5から10の環状アルキル基である。Yにおける有機基として好ましくは2価から15価であり、より好ましくは3価から10価である。さらに好ましくは3価から8価である。
Aにおける2価の連結基として好ましくは、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基の任意の水素原子を除いた2価の基を挙げることができる。例えば、Ra1、Ra2、Ra3として挙げたアルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基の任意の水素原子を除いた2価の基を挙げることができる。
また、Aとしての2価の連結基はヘテロ原子を含んでも良く、ヘテロ原子としては酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。
Aとしての2価の連結基は、エステル結合もしくはエーテル結合を有していても良く、Yで表される有機基との結合末端として、エステル結合もしくはエーテル結合を有していても良い。
mは好ましくは、2〜15の整数を表し、より好ましくは3〜10の整数を表す。さらに好ましくは3〜8の整数を表す。mが3〜8の整数のとき、活性放射線の照射部の溶解速度を上げることができ、高い解像性を得ることができる。
Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
Ra4及びRa5としてのアルキル基は、炭素数1から20の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、3−エチルペンチル基、4−プロピルヘプチル基、3,3−ジエチルペンチル基、4,4−ジプロピルヘプチルなどが挙げられる。
脂環基として好ましくは、炭素数1から20の環状アルキル基であり、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、である。
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、インドール基などが挙げられる。
アラルキル基としては上記アリール基が炭素数1から4のアルキル基で連結された基をあげることができる。
Ra4及びRa5として好ましくは、水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、または環状アルキル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数3から15の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3から15の環状アルキル基である。さらに好ましくは水素原子、炭素数5から10の直鎖または分岐のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基である。
Xは、水酸基もしくはエーテル結合を有する、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
Xにおけるアルキル基として好ましくは、炭素数1から20の直鎖または分岐のアルキ
ル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、3−エチルペンチル、4−プロピルヘプチル、3,3−ジエチルペンチル、4,4−ジプロピルヘプチルなどが挙げられる。
脂環基として好ましくは、炭素数1から20の環状アルキル基であり、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、ノルボルニル、アダマンチル、ジアマンチル、トリシクロデカニル、テトラシクロドデカニル構造である。
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、チオフェン基、フラン基、ピロール基、インドール基などが挙げられる。
アラルキル基としては上記アリール基が炭素数1から4のアルキル基で連結された基をあげることができる。
Xとしての基が水酸基もしくはエーテル結合を有する場合の基としては、例えば、上記アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基における任意の水素原子が水酸基で置換した基、炭素鎖又は脂環中にエーテル結合を導入した基が挙げられる。
エーテル結合を有するアルキル基、脂環基として、具体的に、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、2−メチルプロポキシエチル基、1−メチルプロポキシメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、メントキシメチル等が挙げられる。
Xとしての基が水酸基を有する場合、水酸基は、上記のようなアルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基に、直接結合していてもよいし、直鎖または分岐のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)などの連結基を介して結合していても良い。
Xとして好ましくは、アルキル基の鎖中にエーテル結合を有する基、または、アルキル基、脂環基に直接または連結基を介して水酸基が置換した基を挙げられ、ここで、アルキル基、脂環基としては、好ましくは炭素数3〜15の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3〜15の脂環基である。脂環基は、さらに好ましくは炭素数5〜10の脂環基であり、最も好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ジアマンチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基である。
なお、Ra1〜Ra5、Xとしての脂環基、アリール基、アラルキル基、Ra1、Ra2、Ra3の2つが結合して形成してもよい環が、更に有していてもよい好ましい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられる。
(C)成分としては、酸の作用により分解し、カルボキシル基もしくはフェノールなどの酸性アルコールが生成する化合物が好ましい。より好ましくは、酸の作用により分解しカルボキシル基を生成する化合物である。最も好ましくは、酸の作用により分解しカルボキシル基を生成する化合物であり、Ra1、Ra2、Ra3が結合する炭素原子が3級アルキル基、もしくは2級アルキル基を形成しているときである。
(C)成分の添加量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
以下に(C)化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
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Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
Figure 2008129343
上記(C)成分は例えば、対応するカルボン酸とハロゲン化アルキル、または、対応するハロゲン化カルボン酸とアルコールを反応させることで得ることができる。
Figure 2008129343
上記式において
Xaは、ハロゲン原子を表す。
Y、m、A、Ra1、Ra2、Ra3は、前述と同様である。
また、例外もあり、(C)成分は段階的にエステル化、もしくはエーテル化などの反応を行い合成することもできる。R1、R2及びXは、対応する置換基を表す。
Figure 2008129343
(F)塩基性化合物
本発明のポジ型感光性組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減あるいは、露光によって発生した酸の膜中拡散性を制御するために、(F)塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物としては含窒素塩基性化合物、オニウム塩化合物を挙げることができる。好ましい含窒素塩基性化合物構造として、下記式(A)〜(E)で示される部分構造を有する化合物を挙げることができる。
Figure 2008129343
ここでR250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)であり、ここでR250とR251は互いに結合して環を形成してもよい。これらは置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアル
キルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等があげられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンなどがあげられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドなどがあげられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等があげられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。塩基性化合物の使用量は、ポジ型感光性組成物の固形分を基準として、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。十分な添加効果を得る上で0.001質量%以上が好ましく、感度や非露光部の現像性の点で10質量%以下が好ましい。
(G)フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のポジ型感光性組成物は、更に、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のポジ型感光性組成物がフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新
秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、ポジ型感光性組成物の全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
(H)表面疎水化樹脂
本発明のポジ型感光性組成物からなる感光性膜を、液浸水を介して露光する場合には、必要に応じてさらに表面疎水化樹脂を添加することができる。これにより、感光性膜表面の後退接触角を向上させ、液浸水追随性をよくすることができる。表面疎水化樹脂としては、表面の後退接触角が添加することにより向上する樹脂であれば何でもよいが、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂であることが好ましい。添加量は、感光性膜の後退接触角は60°〜80°になるよう適宜調整して使用できるが、好ましくは0.1〜5質量%である。
(I)有機溶剤
本発明の感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
使用し得る有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
本発明において、有機溶剤としては、単独で用いても混合して用いても良いが、異なる官能基を有する2種以上の溶剤を含有する混合溶剤を用いることが好ましい。これにより素材の溶解性が高まり、経時におけるパーティクルの発生が抑制できるだけでなく、良好なパターンプロファイルが得られる。異なる官能基を有する2種以上の溶剤を含有する混合溶剤としては水酸基を含有する溶剤、エステル構造を有する溶剤、ケトン構造を有する溶剤、ラクトン構造を有する溶剤、カーボネート構造を有する溶剤から選ばれる少なくとも2種を含有する混合溶剤が好ましい。
異なる官能基を有する混合溶剤としては以下の(S1)〜(S6)の混合溶剤が好ましい。
(S1)水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを少なくとも含有する混合溶剤
(S2)エステル構造を有する溶剤とケトン構造を有する溶剤とを少なくとも含有する混合溶剤
(S3)エステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤とを少なくとも含有する混合溶剤
(S4)エステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤と水酸基を有する溶剤とを少なくとも含有する混合溶剤
(S5)エステル構造を有する溶剤とカーボネート構造を有する溶剤と水酸基を有する溶剤とを少なくとも含有する混合溶剤
(S6)エステル構造を有する溶剤とケトン構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤とを少なくとも含有する混合溶剤
これによりレジスト液保存時のパーティクル発生を軽減でき、また、塗布時の欠陥の発生を抑制することができる。
水酸基を含有する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含有しない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンが最も好ましい。
ケトン構造を有する溶剤としてはシクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどが挙げられ、好ましくは2−ヘプタノンである。
エステル構造を有する溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、酢酸ブチルなどが挙げられ、好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
ラクトン構造を有する溶剤としてはγ−ブチロラクトンが挙げられる。
カーボネート構造を有する溶剤としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネートが挙げられ、好ましくはプロピレンカーボネートである。
(S1)における水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
(S2)におけるエステル構造を有する溶剤とケトン構造を有する溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは40/60〜80/20である。エステル構造を有する溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
(S3)におけるエステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤との混合比(質量)は、70/30〜99/1、好ましくは80/20〜99/1、更に好ましくは90/10〜99/1である。エステル構造を有する溶剤を70質量%以上含有する混合溶剤が経時安定性の点で特に好ましい。
(S4)におけるエステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤と水酸基を含有する溶剤を混合する際は、エステル構造を有する溶剤を30〜80質量%、ラクトン構造を有する溶剤を1〜20質量%、水酸基を含有する溶剤を10〜60質量%含有することが好ましい。
(S5)におけるエステル構造を有する溶剤とカーボネート構造を有する溶剤と水酸基を含有する溶剤を混合する際は、エステル構造を有する溶剤を30〜80質量%、カーボネート構造を有する溶剤を1〜20質量%、水酸基を含有する溶剤を10〜60質量%含有することが好ましい。
(S6)におけるエステル構造を有する溶剤とケトン構造を有する溶剤とラクトン構造を含有する溶剤を混合する際は、エステル構造を有する溶剤を30〜80質量%、ケトン構造を有する溶剤を10〜60質量%、ラクトン構造を含有する溶剤を1〜20質量%含有することが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のポジ型感光性組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、上記(E)成分以外の界面活性剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物は、フェノール性OH基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
これら溶解促進性化合物の好ましい添加量は、酸分解性樹脂に対して2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。現像残渣抑制、現像時パターン変形防止の点で50質量%以下が好ましい。
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4916210号、欧州特許第219294号等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明においては、上記(D)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を加えることもできる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪族エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類等のノニオン系界面活性剤を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
(パターン形成方法)
本発明のポジ型感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターは0.1ミクロン以下、より好ましくは0.05ミクロン以下、更に好ましくは0.03ミクロン以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。
例えば、ポジ型感光性組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により任意の厚み(通常50〜500nm)で塗布する。塗布後、スピンまたはベークにより乾燥し、感光性膜を形成する。ベーク温度は適宜設定できるが、通常60〜150℃であり、このましくは90〜130℃である。
ついでパターン形成のためマスクなどを通し、露光する。露光量は適宜設定できるが、通常1〜100mJ/cm2である。露光後、好ましくはスピンまたは/かつベークを行
い、現像、リンスを行い、パターンを得る。
活性光線又は放射線の照射時に感光性膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体(液浸媒体)を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。用いる液浸媒体としては空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが好ましくは純水である。また、液浸露光を行なう際に液浸媒体と感光性膜が直接触れ合わないようにするために感光性膜の上にさらにオーバーコート層を設けても良い。これにより感光性膜から液浸媒体への組成物の溶出が抑えられ、現像欠陥が低減する。
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線等を挙げることができるが、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、EUV(13nm)、X線、電子線等であり、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(13nm)、電子線が好ましい。
感光性膜を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。感光性組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜14.0である。
本発明のポジ型感光性組成物は、多層レジストプロセス(特に3層レジストプロセス)に適用してもよい。多層レジスト法は、以下のプロセスを含むものである。
(a) 被加工基板上に有機材料からなる下層レジスト層を形成する。
(b) 下層レジスト層上に中間層及び放射線照射で架橋もしくは分解する有機材料からなる上層レジスト層を順次積層する。
(c) 該上層レジスト層に所定のパターンを形成後、中間層、下層及び基板を順次エッチングする。
中間層としては、一般にオルガノポリシロキサン(シリコーン樹脂)あるいはSiO2塗布液(SOG)が用いられる。下層レジストとしては、適当な有機高分子膜が用いられるが、各種公知のフォトレジストを使用してもよい。たとえば、フジフイルムアーチ社製FHシリーズ、FHiシリーズ或いは住友化学社製PFIシリーズの各シリーズを例示することができる。
下層レジスト層の膜厚は、0.1〜4.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0μmであり、特に好ましくは0.25〜1.5μmである。0.1μm以上とすることは、反射防止や耐ドライエッチング性の観点で好ましく、4.0μm以下とすることはアスペクト比や、形成した微細パターンのパターン倒れの観点で好ましい。
<合成例>
化合物C−34の合成
Figure 2008129343
1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸(3)1.0gをジメチルスルホキシド10mlに溶解させ、これに炭酸カリウム3.0g、および化合物(2)5.2gを加えた。室温にて8時間攪拌した後、反応液を水にて希釈し、酢酸エチルで抽出、濃縮すると粗生成物が得られた。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物C−34を3.7g得た。
1H−NMR(CDCl3)δ 1.2(s、18H)、1.5(s、18H)、1.6〜1.7(m、39H)、2.0(m、6H)、2.4(m、3H)、2.5(m、3H)、4.5(s、6H)
化合物C−58の合成
Figure 2008129343
化合物(3)1.0gをジメチルスルホキシド10mlに溶解させ、これに炭酸カリウム0.50g、および化合物(2)1.98gを加えた。室温にて6時間攪拌した後、反
応液を水にて希釈し、酢酸エチルで抽出、濃縮すると粗生成物が得られた。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物C−53を1.70g得た。
1H−NMR(CDCl3)δ 1.2(s、24H)、1.5(s、24H)、1.5〜1.8(m、68H)、2.0(m、20H)、2.8(m、4H)、3.0(m、4H)、4.1(s、8H)、4.4(d、4H)、4.7(d、4H)
他の(C)成分についても同様の手法を用いて合成した。
樹脂RA−1の合成
窒素気流下シクロヘキサノン8.4gを3つ口フラスコに入れこれを80℃に加熱した。これにγブチロラクトンメタクリレート6.8g、3−ヒドロキシアダマンチル−1−メタクリレート4.7g、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート9.4g、開始剤V−60(和光純薬製)をモノマーに対し13mol%をシクロヘキサノン75gに溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後メタノール900m/水100mlの混合液に20分かけて滴下し、析出した粉体をろ取、乾燥すると樹脂(RA−1)が178g得られた。得られた樹脂の重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で6800、分散度(Mw/Mn)は1.64であった。
RA−2〜RA−12についてもRA−1と同様の手法を用いて合成した。重量平均分子量は開始剤の量を変更することで調整した。
Figure 2008129343
Figure 2008129343
<レジスト調製>
下記表1に示す成分を溶剤に溶解させ固形分濃度8質量%の溶液を調製し、これを0.03ミクロンのポリエチレンフィルターでろ過してポジ型レジスト溶液を調製した。調製したポジ型レジスト溶液を下記の方法で評価し、結果も表に示した。
Figure 2008129343
Figure 2008129343
〔塩基性化合物〕
TPSA:トリフェニルスルホニウムアセテート
DIA:2,6−ジイソプロピルアニリン
TEA:トリエタノールアミン
PBI:2−フェニルベンズイミダゾール
TMEA:トリス(メトキシエトキシエチル)アミン
PEA:N−フェニルジエタノールアミン
〔界面活性剤〕
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)W‐4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)(シリコン系)
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
S2:シクロヘキサノン
S3:γ−ブチロラクトン
S4:プロピレングリコールメチルエーテル
S5:乳酸エチル
<レジスト評価>
スピンコーターにてヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上にブリューワーサイエンス社製反射防止膜DUV−42を600オングストローム均一に塗布し、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、190℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後、各ポジ型レジスト溶液をスピンコーターで塗布し120℃で60秒乾燥を行い160nmのレジスト膜を形成させた。 このレジスト膜に対し、マスクを通してArFエキシマレーザーステッパー(ASML社製 NA=0.75、ダイポール)で露光し、露光後直ぐに120℃で60秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを得た。
パターン倒れ評価法:
75nmライン/75nmスペースのマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量からさらに露光量を増大させて形成されるラインパターンの線幅を細らせた際に、パターンが倒れずに解像する線幅をもって定義した。値が小さいほど、より微細なパターンが倒れずに解像することを表し、パターン倒れが発生しにくく、解像力が高いことを示す。
露光ラチチュード(EL)評価法:
露光直後に後加熱を行い、線幅75nmのラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、露光量を変化させた際にパターンサイズが75nm±10%を許容する露光量幅を求め、この値を最適露光量で割って露光ラチチュードを百分率表示した。
孤立パターンの膜減り評価法:
75nmライン/75nmスペースのマスクパターンを再現する露光量における、90nmライン/900nmスペース(孤立パターン)のパターンプロファイルを評価した。矩形なものを○、やや膜減りしているものを△、膜減りが大きいものを×とした。
Figure 2008129343
(液浸露光)
<レジスト調製>
表1の実施例Ar1〜Ar13および比較例1〜4の成分を溶剤に溶解させ固形分濃度5質量%の溶液を調製し、これを0.03μmのポリエチレンフィルターで濾過してポジ型レジスト溶液を調製した。調製したポジ型レジスト溶液を下記の方法で評価した。
<解像性評価>
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃、60秒ベークを行い78nmの反射防止膜を形成した。その上に調製したレジスト組成物を塗布し、115℃、60秒ベークを行い140nmのレジスト膜を形成した。 こうして得られたウエハーを液浸液としては純水を使用し、2光束干渉露光を行った(ウェット露光)。尚、2光束干渉露光(ウェット)では、レーザー、絞り、シャッター、3枚の反射ミラー、集光レンズを使用し、プリズム、液浸液を介してウェハーに露光を行った。レーザーの波長は、193nmを用い、65nmのラインアンドスペースパターンを形成するプリズムを使用した。露光直後に115℃、90秒加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で60秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥して得たレジストパターンについて走査型電子顕微鏡(日立製S−9260)を用い、観察した。実施例Ar1〜Ar13の組成物を用いたところ65nmのラインアンドスペースパターンがパターン倒れを発生せずに解像した。比較例1〜4の組成物を用いたところ65nmのラインアンドスペースパターンは解像するものの、一部のパターンでパターン倒れが観測された。
本願の組成物は液浸液を介した露光方法においても良好な画像形成能を有することが明らかである。
(KrF露光)
樹脂R−7の合成
アセトキシスチレン、スチレン、1-フェニルエチルメタクリレートを60/15/2
5の割合(モル比率)で仕込み、テトラヒドロフランに溶解し、固形分濃度20質量%の溶液100mLを調製した。この溶液に和光純薬工業(株)製重合開始剤V−65を2mol%加え、これを窒素雰囲気下、4時間かけて60℃に加熱したテトラヒドロフラン10mlに滴下した。滴下終了後、反応液を4時間加熱、再度V−65を1mol%添加し、4時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、ヘキサン3Lに晶析、析出した白色粉体をろ過により集めた。
13NMRから求めたポリマーの組成比は58/16/26(モル比)であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は9500であった。
このポリマーをアセトン100mlに溶解させた後、塩酸5mlを加え1時間攪拌した後、蒸留水を添加しポリマーを沈殿させた。沈殿物を蒸留水で洗浄したのち、減圧下乾燥させた。ポリマーを酢酸エチル100mlに溶解させた後、ヘキサンを加え沈殿したポリマーを減圧乾燥にて粉体とした。得られた粉体の重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で10000であった。分散度は1.86であった。
表3に記載の他の樹脂についても同様にして合成した。
R−1、14、19について、繰り返し単位の比率(先に例示の樹脂における左の繰り返し単位からの順)、重量平均分子量、分散度は以下のとおりである。
Figure 2008129343
<レジスト調製>
下記表4に示した成分を溶剤に溶解させ、これを0.05μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して固形分濃度14質量%のポジ型感光性組成物を調製した。
<レジスト評価>
調製したポジ型感光性組成物を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、250 nmの感光性膜を形成させた。この感光性膜に対し、KrFエキシ
マレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃下60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを形成した。
露光ラチチュード(EL)評価法:
露光直後に後加熱を行い、線幅75nmのラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、露光量を変化させた際にパターンサイズが75nm±10%を許容する露光量幅を求め、この値を最適露光量で割って露光ラチチュードを百分率表示した。
孤立パターンの膜減り評価法:
180nmライン/180nmスペースのマスクパターンを再現する露光量における、180nmライン/900nmスペース(孤立パターン)のパターンプロファイルを評価した。矩形なものを○、やや膜減りしているものを△、膜減りが大きいものを×とした。
Figure 2008129343
上記結果より、本発明の感光性組成物は、KrFエキシマレーザー露光におけるポジ型感光性組成物としても、露光ラチチュード、膜減り性能が良好であることが分かる。

Claims (9)

  1. (A)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂、(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、及び、(C)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する、かつ、酸の作用により分解し放出される基が水酸基もしくはエーテル結合を有する非ポリマー化合物を含有するポジ型感光性組成物。
  2. (C)成分が、下記一般式(I)で表される基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
    Figure 2008129343
    一般式(I)において、
    Ra1、Ra2、Ra3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
    Ra1、Ra2、Ra3の2つが結合して環を形成してもよい。
    ただし、Ra1、Ra2、Ra3の少なくとも1つは水酸基もしくはエーテル結合を有する。
  3. (C)成分が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
    Figure 2008129343
    一般式(II)において
    mは、2以上の整数を表す。
    Yは、m価の有機基を表す。
    Aは、単結合または2価の連結基を表す。
    Ra1、Ra2、Ra3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
    Ra1、Ra2、Ra3の2つが結合して環を形成してもよい。
    ただし、Ra1、Ra2、Ra3の少なくとも1つは水酸基もしくはエーテル結合を有する。
  4. (C)成分が、下記一般式(III)で表される基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
    Figure 2008129343
    一般式(III)において
    Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
    Xは、水酸基もしくはエーテル結合を有する、アルキル基、脂環基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
  5. (C)成分が、下記一般式(IV)で表される化合物である請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
    Figure 2008129343
    一般式(IV)において
    mは、2以上の整数を表す。
    Yは、m価の有機基を表す。
    Aは、単結合または2価の連結基を表す。
    Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、脂環基、アリール基またはアラルキル基を表す。
    Xは、水酸基もしくはエーテル結合を有する、アルキル基、脂環基、アリール基またはアラルキル基を表す。
  6. 樹脂(A)が、更に、脂環炭化水素構造を有する酸分解性基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
  7. 樹脂(A)が、更にラクトン構造を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
  8. 一般式(I)〜(IV)で表される化合物が、分子量500〜3000であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のポジ型感光性組成物を用いて、感光性膜を形成し、該感光性膜を、露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
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