JP2008122597A - オーディオ信号処理装置及びオーディオ信号処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】最大帯域やビットレートによらない動的な補正を実施するオーディオ信号処理装置及びオーディオ信号処理方法を提供する。
【解決手段】逐次入力される符号化されたオーディオ信号を繰り返し復号する際に該オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該オーディオ信号を補正するオーディオ信号処理装置において、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、音質が劣化している周波数帯域(劣化帯域)を検出する劣化帯域検出部11と、オーディオ信号から劣化帯域を補正するための補正信号を生成する補正信号生成部12と、補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させ、オーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させる帯域制御フィルタ部13と、帯域制御フィルタ部13を通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する信号加算部14とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】逐次入力される符号化されたオーディオ信号を繰り返し復号する際に該オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該オーディオ信号を補正するオーディオ信号処理装置において、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、音質が劣化している周波数帯域(劣化帯域)を検出する劣化帯域検出部11と、オーディオ信号から劣化帯域を補正するための補正信号を生成する補正信号生成部12と、補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させ、オーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させる帯域制御フィルタ部13と、帯域制御フィルタ部13を通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する信号加算部14とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、符号化されたオーディオ信号を復号する際に劣化した周波数帯域を拡張・補正するオーディオ信号処理装置及びオーディオ信号処理方法に関する。
一般的に、オーディオ信号を圧縮する場合、図14に示すように、周波数軸上のデータ(圧縮前信号)をサブバンドに分解し、各サブバンドを量子化して符号化する手法がとられる。この手法で圧縮したオーディオ信号を復号する際に、符号化時のビットレートに応じて音質の劣化が生じることがある。例えば、図14の上側に示すように、ビットレートが高く潤沢に符号量がある場合は、すべての帯域のオーディオ信号が符号化され圧縮前後で音質の劣化がほとんど見られない。これに対し、図14の下側に示すように、ビットレートが低く十分な符号量が得られない場合は、一部の帯域のオーディオ信号に符号が割り当てらないため、総ての帯域を符号化できず、一部の帯域のオーディオ信号が欠落する場合がある。よって、このような圧縮オーディオ信号を復号する際には、欠落部のオーディオ信号が劣化してしまう。尚、劣化する帯域は符号化器のアルゴリズムに依存するが、一般的には人間の聴覚心理上聞こえにくいとされる高周波帯域から順に劣化する傾向になる。
この劣化問題に対し、近年ではオーディオ信号を復号した後に劣化した高周波帯域を補正するという手法が実施されている。例えば、図15(a)に示すように、復号したオーディオ信号の最大帯域より高い帯域に補正信号を適用する手法(特許文献1参照)や、図15(b)に示すように、ビットレートに応じて定まる特定の周波数以上の帯域に強制的に補正信号を適用する手法(特許文献2参照)がとられている。また、補正信号の生成手法としては、例えば、復号したオーディオ信号の高調波を利用した手法など、復号したオーディオ信号から生成する手法が一般的である。
前述したとおり、低ビットレートの場合に劣化する帯域は、符号化器のアルゴリズムに依存するため、必ずしも高域だけが劣化するとは限らない。符号化器のアルゴリズムによっては、図16(a)及び図16(b)に示すように、最大帯域以上の欠落部の他に、最大帯域よりも低い途中の帯域で劣化した帯域(劣化部)が発生する可能性もある。このように、途中の帯域が劣化している場合には、特許文献1及び2の補正手法では対応することができない。例えば、最大帯域を利用した補正方法(特許文献1)では、図17(a)に示すように、劣化した途中の帯域(劣化部)を補正することはできない。また、ビットレートに応じて補正帯域を制御する補正手法(特許文献2)では、図17(b)に示すように、補正帯域以下に劣化がある場合には対応できない。
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、その目的は、最大帯域やビットレートによらない動的な補正を実施するオーディオ信号処理装置及びオーディオ信号処理方法を提供することである。
本発明の第1の特徴は、逐次入力される符号化されたオーディオ信号を繰り返し復号する際に該オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該オーディオ信号を補正するオーディオ信号処理装置において、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、音質が劣化している周波数帯域(劣化帯域)を検出する劣化帯域検出部と、オーディオ信号から劣化帯域を補正するための補正信号を生成する補正信号生成部と、補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させ、オーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させる帯域制御フィルタ部と、帯域制御フィルタ部を通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する信号加算部とを備えることである。
本発明の第1の特徴によれば、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから音質が劣化している周波数帯域を検出することにより、最大帯域以下の途中の帯域が劣化している場合やビットレートに応じて定まる特定の周波数以下の帯域から高域欠落が生じている場合であっても、最大帯域以下の途中の帯域を含む全周波数帯域の中から音質が劣化している周波数帯域を動的に検出することができる。よって、最大帯域やビットレートによらない動的な補正を実施することができる。
本発明の第1の特徴において、帯域制御フィルタ部は、補正信号の劣化帯域の最低周波数以上の周波数帯域を通過させる第1の補正信号フィルタ部と、オーディオ信号の劣化帯域の最低周波数よりも低い周波数帯域を通過させる第1のオーディオ信号フィルタ部とを有し、そして、信号加算部は、第1の補正信号フィルタ部を通過した補正信号と、第1のオーディオ信号フィルタ部を通過したオーディオ信号とを加算しても構わない。
或いは、帯域制御フィルタ部は、補正信号の劣化帯域だけを通過させる第2の補正信号フィルタ部を有し、そして、信号加算部は、第2の補正信号フィルタ部を通過した補正信号と、オーディオ信号とを加算しても構わない。
これらにより、最大帯域以下の途中の帯域が劣化している場合やビットレートに応じて定まる特定の周波数以下の帯域から高域欠落が生じている場合であっても、最大帯域以下の途中の帯域を含む全周波数帯域の中から音質が劣化している周波数帯域を検出することができる。よって、最大帯域やビットレートによらない動的な補正を実施することができる。これにより、より原音に近く劣化の少ない音が再生できる。また、ここで示した帯域拡張・補正手法は、MP3プレーヤーなど民生用の携帯オーディオ機器やムービー機器における再生機能や、ソフトウェアによる再生ツールなど幅広い用途に適用することができる。
本発明の第1の特徴において、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータは、復号したオーディオ信号のスペクトルパワーであっても構わない。この場合、劣化帯域検出部は、スペクトルパワーが第1の閾値以下である周波数帯域が第2の閾値以上続く場合、当該周波数帯域を劣化帯域として検出してもよい。
或いは、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータは、符号化されたオーディオ信号における、周波数帯域を分割する複数のサブバンドのそれぞれについて割り当てられたビット数であっても構わない。この場合、劣化帯域検出部は、ビット数が第3の閾値以下であるサブバンドが第4の閾値以上続く場合、当該サブバンドを劣化バンドとして検出してもよい。
また、補正信号生成部は、復号したオーディオ信号のスペクトルパワーを累乗することにより補正信号を生成することができる。
或いは、補正信号生成部は、劣化帯域の時間的に以前もしくは以後の周波数ごとの強度を示すデータから補正信号を推測してもよい。
本発明の第2の特徴は、逐次入力される符号化されたオーディオ信号を繰り返し復号する際に該オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該オーディオ信号を補正するオーディオ信号処理方法において、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、劣化帯域を検出する段階と、オーディオ信号から劣化帯域を補正するための補正信号を生成する段階と、帯域制御フィルタ部を用いて補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させる段階と、帯域制御フィルタ部を用いてオーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させる段階と、帯域制御フィルタを通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する段階とを備えることである。
本発明の第2の特徴において、帯域制御フィルタ部を用いて補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させる段階には、第1の補正信号フィルタ部を用いて補正信号の劣化帯域の最低周波数以上の周波数帯域を通過させる行為が含まれ、そして、帯域制御フィルタ部を用いてオーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させる段階には、第1のオーディオ信号フィルタ部を用いてオーディオ信号の劣化帯域の最低周波数よりも低い周波数帯域を通過させる行為が含まれていても構わない。この場合、帯域制御フィルタを通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する段階では、第1の補正信号フィルタ部を通過した補正信号と、第1のオーディオ信号フィルタ部を通過したオーディオ信号とを加算する。
或いは、帯域制御フィルタ部を用いて補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させる段階には、第2の補正信号フィルタ部を用いて補正信号の劣化帯域だけを通過させる行為が含まれていてもよい。この場合、帯域制御フィルタを通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する段階では、第2の補正信号フィルタ部を通過した補正信号と、オーディオ信号とを加算する。
本発明によれば、最大帯域やビットレートによらない動的な補正を実施するオーディオ信号処理装置及びオーディオ信号処理方法を提供することができる。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係わるオーディオ信号処理装置の構成を説明する。本発明の実施の形態に係わるオーディオ信号処理装置は、逐次入力される符号化されたオーディオ信号(圧縮オーディオ信号)SGinを繰り返し復号する際に該圧縮オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該圧縮オーディオ信号を補正する装置であって、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、音質が劣化している周波数帯域(以後、「劣化帯域」という)を検出する劣化帯域検出部11と、オーディオ信号から劣化帯域を補正するための補正信号を生成する補正信号生成部12と、補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させ、オーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させる帯域制御フィルタ部13と、帯域制御フィルタ部13を通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する信号加算部14とを備える。
図2を参照して、図1の帯域拡張・補正装置を用いてオーディオ信号の帯域を拡張・補正する方法を説明する。
(イ)先ずS1段階において、劣化帯域検出部11は、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、オーディオ信号の途中の帯域を含む全周波数帯域において、周波数軸上の劣化帯域を検出する。ここで、「オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータ」には、復号したオーディオ信号のスペクトルパワーと、符号化されたオーディオ信号における、周波数帯域を分割する複数のサブバンドのそれぞれについて割り当てられたビット数とが含まれる。即ち、圧縮オーディオ信号を復号した後であれば、オーディオ信号のスペクトルパワーであり、圧縮オーディオ信号を復号する前であれば、各サブバンドのビット数である。スペクトルパワーについては第1の実施例で詳細に説明し、各サブバンドのビット数については第2の実施例で詳細に説明する。
劣化帯域検出部11は、第1の閾値A以下のスペクトルパワーが第2の閾値B以上の帯域幅で続いている場合に、当該帯域で音質が劣化していると判断するか、もしくは、圧縮オーディオ信号SGinの符号列から各サブバンドの割り当てビット数の情報を取得し、割り当てビット数が第3の閾値C以下でのバンドが第4の閾値D以上続いている場合に、音質が劣化していると判断しても構わない。前者については第1の実施例で詳細に説明し、後者については第2の実施例で詳細に説明する。
(ロ)S2段階において、補正信号生成部12は、オーディオ信号に基づいて、劣化帯域を補正するための補正信号を生成する。例えば、劣化した帯域における、時系列的に過去のオーディオ信号から推測して生成するか、もしくは、劣化した帯域よりも低い帯域のスペクトルパワーの高調波から生成しても構わない。
(ハ)S3段階において、帯域制御フィルタ部13は、補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させる。補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させることには、補正信号の劣化帯域の最低周波数以上の周波数帯域を通過させる場合と、補正信号の劣化帯域だけを通過させる場合とが含まれる。前者が第1の実施例に対応し、後者が第2の実施例に対応している。
(ニ)S4段階において、帯域制御フィルタ部13は、オーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させる。オーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させることには、オーディオ信号の劣化帯域の最低周波数よりも低い周波数帯域を通過させる場合と、オーディオ信号の総ての周波数帯域を通過させる場合とが含まれる。前者が第1の実施例に対応し、後者が第2の実施例に対応している。
(ホ)最後にS5段階において、信号加算部14は、帯域制御フィルタ部13を通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する。この結果、図1に示す補正処理後信号SGoutが生成される。このように、時系列的に連続して入力される圧縮オーディオ信号SGinに対し、S1〜S5段階の処理を繰り返し行なうことにより、オーディオ信号処理装置は、逐次入力される符号化されたオーディオ信号(圧縮オーディオ信号)SGinを繰り返し復号する際に該圧縮オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該圧縮オーディオ信号を補正することができる。
このように、本発明の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
劣化帯域検出部11がオーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから劣化帯域を検出し、帯域制御フィルタ部13が、補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させ、オーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させ、信号加算部14が帯域制御フィルタ部13を通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する。これにより、最大帯域以下の途中の帯域が劣化している場合やビットレートに応じて定まる特定の周波数以下の帯域から高域欠落が生じている場合であっても、最大帯域以下の途中の帯域を含む全周波数帯域の中から音質が劣化している周波数帯域を検出することができる。よって、劣化帯域を含む周波数帯域に対する補正信号を生成して、劣化帯域を含む周波数帯域を動的に補正することができる。最大帯域やビットレートによらない動的な補正を実施することができる。
従来の装置は、補正信号を適用する帯域を判別する判別回路を備え、判別した帯域より高域に補正信号を適用していたが、本発明の実施の形態に係わる装置は、この判別回路の替わりに音質が劣化した帯域を検出する手段を備えることにより、検出した劣化帯域を含んだ周波数帯域を動的に補正することができる。
よって、圧縮オーディオ信号SGinを復号して再生する際に、図1の帯域拡張・補正装置を用いてオーディオ信号の帯域を拡張・補正することにより、補正処理後信号SGoutは、違和感の少ないオーディオ信号となる。
(第1の実施例)
図3を参照して、本発明の第1の実施例に係わるオーディオ信号処理装置の構成を説明する。本発明の第1の実施例に係わるオーディオ信号処理装置は、逐次入力される圧縮オーディオ信号SGinを繰り返し復号する際に該圧縮オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該圧縮オーディオ信号を補正する装置であって、圧縮オーディオ信号SGinを復号する復号器23と、復号したオーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、劣化帯域を検出する劣化帯域検出部11と、復号したオーディオ信号から劣化帯域を補正するための補正信号を生成する補正信号生成部12と、補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させ、オーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させる帯域制御フィルタ部13と、帯域制御フィルタ部13を通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する信号加算部14とを備える。
図3を参照して、本発明の第1の実施例に係わるオーディオ信号処理装置の構成を説明する。本発明の第1の実施例に係わるオーディオ信号処理装置は、逐次入力される圧縮オーディオ信号SGinを繰り返し復号する際に該圧縮オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該圧縮オーディオ信号を補正する装置であって、圧縮オーディオ信号SGinを復号する復号器23と、復号したオーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、劣化帯域を検出する劣化帯域検出部11と、復号したオーディオ信号から劣化帯域を補正するための補正信号を生成する補正信号生成部12と、補正信号の劣化帯域を含む周波数帯域を通過させ、オーディオ信号の劣化帯域を含まない周波数帯域を通過させる帯域制御フィルタ部13と、帯域制御フィルタ部13を通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する信号加算部14とを備える。
帯域制御フィルタ部13は、補正信号の劣化帯域の最低周波数以上の周波数帯域を通過させる第1の補正信号フィルタ部(HPF:ハイパスフィルタ)21と、オーディオ信号の劣化帯域の最低周波数よりも低い周波数帯域を通過させる第1のオーディオ信号フィルタ部(LPF:ローパスフィルタ)22とを有する。そして、信号加算部14は、第1の補正信号フィルタ部21を通過した補正信号と、第1のオーディオ信号フィルタ部22を通過したオーディオ信号とを加算して補正処理後信号SGoutを生成する。
図4を参照して、図3の帯域拡張・補正装置を用いてオーディオ信号の帯域を拡張・補正する方法を説明する。
(イ)S10段階において、劣化帯域検出部11は、復号したオーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータ、すなわち復号したオーディオ信号のスペクトルパワーから劣化帯域を検出する。S10段階の詳細は図5及び図6を参照して後述する。
(ロ)S20段階において、補正信号生成部12は、復号したオーディオ信号から劣化帯域を補正するための補正信号を生成する。例えば、復号されたオーディオ信号の高調波から補正信号を生成する。具体的には、復号されたオーディオ信号を二乗、三乗、・・など累乗することにより高調波成分を生成する。
(ハ)S30段階において、第1の補正信号フィルタ部21は、補正信号の劣化帯域の最低周波数以上の周波数帯域を通過させる。
(ニ)S40段階において、第1のオーディオ信号フィルタ部22は、オーディオ信号の劣化帯域の最低周波数よりも低い周波数帯域を通過させる。
(ホ)S50段階において、信号加算部14は、第1の補正信号フィルタ部21を通過した補正信号と、第1のオーディオ信号フィルタ部22を通過したオーディオ信号とを加算して補正処理後信号SGoutを生成する。
図5及び図6を参照して、図4のS10段階の詳細な手順を説明する。
(A)先ず、S100段階において、初期値を設定する。「劣化帯域=0」は、検査している周波数が劣化帯域でないことを示す。「状態=劣化帯域」は、検査している周波数において音質が劣化していることを示し、逆に、検査している周波数において音質が劣化していなければ「状態=通常帯域」となる。「劣化フラグ=0」は劣化帯域を検出していないことを示し、劣化帯域を検出した場合、劣化フラグ=1となる。
(B)S105段階において、劣化帯域の有無を検査する周波数fiの範囲を設定する。例えば、劣化帯域の有無を検査する周波数fiは、高周波側(22kHz)から開始して、徐々に周波数fiを低くしていき、低周波側(0kHz)で終了する。検査を開始する周波数fiは22kHzである。
(C)S110段階において、初期状態が劣化帯域であるため、S130段階へ進む。図6に示すように、fi=22kHzにおいて、スペクトルパワーspec[fi]は第1の閾値Th_specよりも小さいため、音質が劣化していると判断する。よって、spec[fi]<Th_specとなるため(S130にてYes)、S135段階に進み、検査中の周波数は劣化帯域にあると判断する。
(D)S155段階に進み、fi=22kHzであるため(S155にてNo)、S160段階に進み、22kHzから所定値(x)を減算した周波数を新たな周波数fiに設定して、S110段階に戻る。fi=22〜18kHzの間、上記した、S110にてYes−S130にてYes−S135の流れを繰り返す。
(E)fi=18kHzになると、スペクトルパワーspec[fi]が増加して、第1の閾値Th_spec以上となる。よって、S130段階にて、spec[fi]<Th_specとならなくなるため(S130にてNo)、S140段階に進む。そして、劣化帯域の帯域幅(22〜18kHz)が第2の閾値Th_widthよりも大きい場合(S140にてYes)、スペクトルパワーspec[fi]が第1の閾値Th_specよりも小さい周波数帯域が第2の閾値Th_widthよりも長く続くため、当該周波数帯域を劣化帯域であると判断する。よって、S145段階に進み、劣化フラグを1とし、劣化帯域の終了周波数をfi=18kHzとする。これにより、22〜18kHzを劣化帯域として検出することができる。S150段階に進み、劣化フラグを零に戻してS155段階に進む。
(F)周波数fiが18〜14kHzの間では、スペクトルパワーspec[fi]は第1の閾値Th_specよりも大きいため、S110段階において通常帯域であると判断され(S110にてNo)、S115段階にてNoへ進み、S125段階にて通常状態であると判断される。
(G)周波数fiが14kHzになると、S110段階にてNo−S115段階へと進み、スペクトルパワーspec[fi]は第1の閾値Th_specよりも小さくなる。よって、S120に進み、検査している周波数が劣化帯域であると判断する。
(H)周波数fiが14〜12kHzの間では、fi=22〜18kHzの場合の流れと同様にして、S110にてYes−S130にてYes−S135の流れを繰り返す。周波数fiが12kHzになると、スペクトルパワーspec[fi]が第1の閾値Th_spec以上となるため(S130にてNo)、S140段階に進む。14〜12kHzの帯域幅が第2の閾値Th_widthよりも大きい場合(S140にてYes)、S145段階に進み、劣化フラグを1とし、劣化帯域の終了周波数をfi=12kHzとする。これにより、14〜12kHzを劣化帯域として検出することができる。
(I)周波数fiが12〜0kHzの間では、18〜14kHzの場合の流れと同様にして、S110にてNo−S115にてNo−S125の流れを繰り返す。そして、周波数fi=0kHzと成った時点(S155にてYes)で、劣化検出の手順は終了する。
図6に示す例では、最大周波数が18kHzであり、「劣化」開始周波数が14kHzであり、「劣化」終了周波数が12kHzであることの情報を取得する。なお、図6の例では、第1の閾値Th_specを80dBとし、第2の閾値Th_widthを2kHzとしたが、第1及び第2の閾値はこれらに限定されることなく、その他の値をとっても構わない。
図7を参照して、図4のS30〜S50段階における第1の補正信号フィルタ部21、第1のオーディオ信号フィルタ部22及び信号加算部14の処理動作を説明する。
第1の補正信号フィルタ部21及び第1のオーディオ信号フィルタ部22は、補正信号及びオーディオ信号のフィルタ係数をそれぞれ設定する。図6の例では、18kHz以上の周波数帯域(帯域欠落部)と14〜12kHzの周波数帯域(途中の劣化部)が劣化帯域として検出された。よって、劣化帯域の最低周波数は「劣化」終了周波数=12kHzとなる。第1の実施例では、オーディオ信号に適用するLPF及び補正信号に適用するHPFのカットオフ周波数を、それぞれ12kHzに設定する。
これにより、補正信号の劣化帯域の最低周波数以上の周波数帯域を通過させる第1の補正信号フィルタ部21は、補正信号の12kHz以上の周波数帯域を通過させることになる。一方、オーディオ信号の劣化帯域の最低周波数よりも低い周波数帯域を通過させる第1のオーディオ信号フィルタ部22は、オーディオ信号の12kHzよりも低い周波数帯域を通過させることになる。したがって、第1の補正信号フィルタ部21を通過した補正信号及び第1のオーディオ信号フィルタ部22を通過したオーディオ信号は、図7に示すようになり、信号加算部14は、これらの信号を加算して図3の補正処理後信号SGoutを生成する。
なお、劣化する周波数帯域は時間毎に異なるため、劣化帯域の検出及びフィルタ係数の調整は、復号処理の度に実施する。
このように、本発明の第1の実施例によれば、以下の作用効果が得られる。
劣化帯域検出部11が、復号したオーディオ信号のスペクトルパワーから劣化帯域を検出し、第1の補正信号フィルタ部21が補正信号の劣化帯域の最低周波数(12kHz)以上の周波数帯域を通過させ、第1のオーディオ信号フィルタ部22がオーディオ信号の劣化帯域の最低周波数(12kHz)よりも低い周波数帯域を通過させ、信号加算部14が第1の補正信号フィルタ部21を通過した補正信号と、第1のオーディオ信号フィルタ部22を通過したオーディオ信号とを加算する。これにより、最大帯域以下の途中の帯域が劣化している場合やビットレートに応じて定まる特定の周波数以下の帯域から高域欠落が生じている場合であっても、最大帯域以下の途中の帯域を含む全周波数帯域の中から音質が劣化している周波数帯域を検出することができる。よって、最大帯域やビットレートによらない動的な補正を実施することができる。これにより、より原音に近く劣化の少ない音が再生できる。また、ここで示した帯域拡張・補正手法は、MP3プレーヤーなど民生用の携帯オーディオ機器やムービー機器における再生機能や、ソフトウェアによる再生ツールなど幅広い用途に適用することができる。
(第2の実施例)
第1の実施例では、復号した後のオーディオ信号のスペクトルパワーを用いて劣化帯域を検出し、オーディオ信号の高調波から補正信号を生成した。また、最大帯域以下の途中の帯域が劣化している場合、劣化帯域の最低周波数(12kHz)をカットオフ周波数に設定して、HPFとLPFのフィルタ係数を設定した。しかし、本発明は、これらに限定されない。第2の実施例では、復号する前のオーディオ信号、つまり符号化されたオーディオ信号における、周波数帯域を分割する複数のサブバンドのそれぞれについて割り当てられたビット数を用いて劣化帯域(第2の実施例においては、「劣化バンド」という)を検出し、時系列的に前後のオーディオ信号から推測して補正信号を生成する場合について説明する。また、最大帯域以下の途中の帯域が劣化している場合、劣化バンドだけ通過させるバンドパスフィルタ(BPF)を用いて、補正信号のフィルタ処理を実施する。
第1の実施例では、復号した後のオーディオ信号のスペクトルパワーを用いて劣化帯域を検出し、オーディオ信号の高調波から補正信号を生成した。また、最大帯域以下の途中の帯域が劣化している場合、劣化帯域の最低周波数(12kHz)をカットオフ周波数に設定して、HPFとLPFのフィルタ係数を設定した。しかし、本発明は、これらに限定されない。第2の実施例では、復号する前のオーディオ信号、つまり符号化されたオーディオ信号における、周波数帯域を分割する複数のサブバンドのそれぞれについて割り当てられたビット数を用いて劣化帯域(第2の実施例においては、「劣化バンド」という)を検出し、時系列的に前後のオーディオ信号から推測して補正信号を生成する場合について説明する。また、最大帯域以下の途中の帯域が劣化している場合、劣化バンドだけ通過させるバンドパスフィルタ(BPF)を用いて、補正信号のフィルタ処理を実施する。
図8を参照して、本発明の第2の実施例に係わるオーディオ信号処理装置の構成を説明する。本発明の第2の実施例に係わるオーディオ信号処理装置は、逐次入力される圧縮オーディオ信号SGinを繰り返し復号する際に該圧縮オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該圧縮オーディオ信号を補正する装置であって、符号化されたオーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、劣化バンドを検出する劣化帯域検出部11と、圧縮オーディオ信号SGinを復号する復号器23と、復号したオーディオ信号から劣化バンドを補正するための補正信号を生成する補正信号生成部12と、補正信号の劣化バンドを含む周波数帯域を通過させる帯域制御フィルタ部13と、帯域制御フィルタ部13を通過した補正信号とオーディオ信号とを加算する信号加算部14とを備える。
補正信号生成部12は、オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータを累乗することにより第1の補正信号を生成する第1補正部24と、劣化帯域の時間的に以前もしくは以後の周波数ごとの強度を示すデータから第2の補正信号を推測する第2補正部25とを備える。第2補正部25の詳細については、図12を参照して後述する。第1補正部24は、第1の実施例における補正信号生成部12と同様な機能を備えるため、説明を省略する。
帯域制御フィルタ部13は、補正信号の劣化バンドだけを通過させる第2の補正信号フィルタ部(HPF21、BPF26)を有する。そして、信号加算部14は、第2の補正信号フィルタ部21、26を通過した第1及び第2の補正信号と、オーディオ信号とを加算して補正処理後信号SGoutを生成する。
図9を参照して、図8の帯域拡張・補正装置を用いてオーディオ信号の帯域を拡張・補正する方法を説明する。
(イ)S15段階において、劣化帯域検出部11は、符号化されたオーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータ、すなわち符号化されたオーディオ信号における、周波数帯域を分割する複数のサブバンドのそれぞれについて割り当てられたビット数から劣化バンドを検出する。S15段階の詳細は図10及び図11を参照して後述する。
(ロ)S25段階において、補正信号生成部12は、復号したオーディオ信号から劣化バンドを補正するための補正信号を生成する。例えば、劣化バンドの時間的に以前もしくは以後のオーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから補正信号を推測する。
(ハ)S35段階において、第2の補正信号フィルタ部21、26は、補正信号の劣化バンドだけを通過させる。
(ニ)S45段階において、オーディオ信号の総てのサブバンドを通過させる。
(ホ)S55段階において、信号加算部14は、第2の補正信号フィルタ部21、26を通過した第1及び第2の補正信号と、オーディオ信号とを加算して補正処理後信号SGoutを生成する。
図10及び図11を参照して、図9のS15段階の詳細な手順を説明する。
(A)先ず、S200段階において、初期値を設定する。「劣化バンド=0」は、検査しているサブバンドが劣化バンドでないことを示す。「状態=劣化バンド」は、検査しているサブバンドにおいて音質が劣化していることを示し、逆に、検査しているサブバンドにおいて音質が劣化していなければ「状態=通常バンド」となる。「劣化フラグ=0」は劣化バンドを検出していないことを示し、劣化バンドを検出した場合、劣化フラグ=1となる。
(B)S205段階において、劣化バンドの有無を検査するサブバンドfiの範囲を設定する。例えば、劣化バンドの有無を検査するサブバンドfiは、高周波側から開始して、徐々にサブバンドfiを低くしていき、低周波側(bd0)で終了する。検査を開始するサブバンドfiはbd10である。
(C)S210段階において、初期状態が劣化バンドであるため、S230段階へ進む。図11に示すように、fi=bd10において、サブバンドfiに割り当てられたビット数bit[fi]は第3の閾値Th_bitよりも少ないため、音質が劣化していると判断する。よって、bit[fi]<Th_bitとなるため(S230にてYes)、S235段階に進み、検査中の周波数は劣化バンドにあると判断する。
(D)S255段階に進み、fi=bd10であるため(S255にてNo)、S260段階に進み、bd10から所定値(x)を減算したサブバンドを新たなサブバンドfiに設定して、S210段階に戻る。fi=bd10〜bd7の間、上記した、S210にてYes−S230にてYes−S235の流れを繰り返す。
(E)fi=bd7になると、割り当てビット数bit[fi]が増加して、第3の閾値Th_bit以上となる。よって、S230段階にて、bit[fi]<Th_bitとならなくなるため(S230にてNo)、S240段階に進む。そして、劣化バンドのバンド幅(bd10〜bd7)が第4の閾値Th_widthよりも大きい場合(S240にてYes)、割り当てビット数bit[fi]が第3の閾値Th_bitよりも小さいサブバンドが第4の閾値Th_widthよりも長く続くため、当該サブバンドを劣化バンドであると判断する。よって、S245段階に進み、劣化フラグを1とし、劣化バンドの終了バンドをfi=bd7とする。これにより、bd10〜bd7を劣化バンドとして検出することができる。S250段階に進み、劣化フラグを零に戻してS255段階に進む。
(F)サブバンドfiがbd7〜bd6の間では、割り当てビット数bit[fi]は第3の閾値Th_bitよりも大きいため、S210段階において通常バンドであると判断され(S210にてNo)、S215段階にてNoへ進み、S225段階にて通常バンドであると判断される。
(G)サブバンドfiがbd6になると、S210段階にてNo−S215段階へと進み、割り当てビット数bit[fi]は第3の閾値Th_bitよりも小さくなる。よって、S220に進み、検査しているサブバンドが劣化バンドであると判断する。
(H)サブバンドfiがbd6〜bd5の間では、fi=bd10〜bd7の場合の流れと同様にして、S210にてYes−S230にてYes−S235の流れを繰り返す。サブバンドfiがbd5になると、割り当てビット数bit[fi]が第3の閾値Th_bit以上となるため(S230にてNo)、S240段階に進む。bd6〜bd5のバンド幅が第4の閾値Th_widthよりも大きい場合(S240にてYes)、S245段階に進み、劣化フラグを1とし、劣化バンドの終了バンドをfi=bd5とする。これにより、bd6〜bd5を劣化バンドとして検出することができる。
(I)サブバンドfiがbd5〜bd0の間では、bd7〜bd6の場合の流れと同様にして、S210にてNo−S215にてNo−S225の流れを繰り返す。そして、サブバンドfi=bd0と成った時点(S255にてYes)で、劣化検出の手順は終了する。
図11に示す例では、最大バンドがbd7であり、「劣化」開始バンドがbd6であり、「劣化」終了バンドがbd5であることの情報を取得する。なお、図11の例では、第3の閾値Th_bitを2ビットとし、第4の閾値Th_widthを2バンドとしたが、第3及び第4の閾値はこれらに限定されることなく、その他の値をとっても構わない。
図12を参照して、図8の第2補正部25が第2の補正信号を生成する方法を説明する。第2補正部25は、劣化帯域の時間的に以前もしくは以後の周波数ごとの強度を示すデータ(スペクトルパワーや割り当てビット数など)から劣化帯域の第2の補正信号を推測する。例えば、図12に示すように、時刻tにおいて最大バンド以下の途中バンドであるbd6〜bd5において、音質の劣化が発生した場合、時刻tよりも以前の時刻(t-1)及び/又は以後の時刻(t+1)におけるbd6〜bd5の復号データ(スペクトルパワー)をもとに、時間tで劣化したbd6〜bd5のスペクトルパワーを推測する。具体的には、過去・未来のスペクトルパワーの平均値を第2の補正信号としても構わない。過去の時間帯でも劣化が発生している場合は、第1補正部24と同様の手段で第2の補正信号を生成すればよい。
図13を参照して、図9のS35〜S55段階における第2の補正信号フィルタ部21、26及び信号加算部14の処理動作を説明する。
第2の補正信号フィルタ部(HPF21及びBPF26)は、第1及び第2の補正信号のフィルタ係数をそれぞれ設定する。図13の例では、bd7(最大バンド)以上のサブバンド、及びbd6(「劣化」開始バンド)〜bd5(「劣化」終了バンド)のサブバンドが劣化バンドとして検出された。よって、第1の補正信号に適用するHPF21のカットオフバンドをbd7に設定し、第2の補正信号に適用するBPF26の境界バンドをbd6及びbd5に設定する。なお、第2の実施例では、オーディオ信号のフィルタ係数は、総てのサブバンドが通過するように設定する。
これにより、HPF21は、補正信号のbd7以上のサブバンドを通過させ、BPF26は、補正信号のbd6〜bd5のサブバンドを通過させることになる。したがって、信号加算部14は、HPF21を通過した第1の補正信号、BPF26を通過した第2の補正信号及びオーディオ信号(入力信号そのまま)を加算し、その後、補正処理後信号SGoutを復号すると、図13に示すようになる。
なお、第1の実施例と同様、劣化するサブバンドは時間毎に異なるため、劣化バンドの検出及びフィルタ係数の調整は、復号処理の度に実施する。
このように、本発明の第2の実施例によれば、以下の作用効果が得られる。
劣化帯域検出部11が、符号化されたオーディオ信号の各サブバンドの割り当てビット数から劣化バンドを検出し、第2の補正信号フィルタ部21、26が補正信号の劣化バンド(bd7以上、及びbd6〜bd5)のみを通過させ、信号加算部14が第2の補正信号フィルタ部21、26を通過した補正信号とオーディオ信号(入力信号そのまま)とを加算する。これにより、最大帯域以下の途中の帯域が劣化している場合やビットレートに応じて定まる特定の周波数以下の帯域から高域欠落が生じている場合であっても、最大帯域以下の途中の帯域を含む全周波数帯域の中から音質が劣化している周波数帯域を検出することができる。よって、最大帯域やビットレートによらない動的な補正を実施することができる。これにより、より原音に近く劣化の少ない音が再生できる。また、ここで示した帯域拡張・補正手法は、MP3プレーヤーなど民生用の携帯オーディオ機器やムービー機器における再生機能や、ソフトウェアによる再生ツールなど幅広い用途に適用することができる。
上記のように、本発明は、実施の形態及び第1及び第2の実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
11 劣化帯域検出部
12 補正信号生成部
13 帯域制御フィルタ部
14 信号加算部
21 第1の補正信号フィルタ部(HPF)
22 第1のオーディオ信号フィルタ部(LPF)
23 復号器
24 第1補正部
25 第2補正部
26 第2の補正信号フィルタ部(BPF)
12 補正信号生成部
13 帯域制御フィルタ部
14 信号加算部
21 第1の補正信号フィルタ部(HPF)
22 第1のオーディオ信号フィルタ部(LPF)
23 復号器
24 第1補正部
25 第2補正部
26 第2の補正信号フィルタ部(BPF)
Claims (10)
- 逐次入力される符号化されたオーディオ信号を繰り返し復号する際に該オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該オーディオ信号を補正するオーディオ信号処理装置において、
前記オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、音質が劣化している周波数帯域を検出する劣化帯域検出部と、
前記オーディオ信号から前記音質が劣化している周波数帯域を補正するための補正信号を生成する補正信号生成部と、
前記補正信号の前記音質が劣化している周波数帯域を含む周波数帯域を通過させ、前記オーディオ信号の前記音質が劣化している周波数帯域を含まない周波数帯域を通過させる帯域制御フィルタ部と、
前記帯域制御フィルタ部を通過した前記補正信号と前記オーディオ信号とを加算する信号加算部と
を備えることを特徴とするオーディオ信号処理装置。 - 前記帯域制御フィルタ部は、
前記補正信号の前記音質が劣化している周波数帯域の最低周波数以上の周波数帯域を通過させる第1の補正信号フィルタ部と、
前記オーディオ信号の前記音質が劣化している周波数帯域の最低周波数よりも低い周波数帯域を通過させる第1のオーディオ信号フィルタ部とを有し、
前記信号加算部は、前記第1の補正信号フィルタ部を通過した前記補正信号と、前記第1のオーディオ信号フィルタ部を通過した前記オーディオ信号とを加算する
ことを特徴とする請求項1に記載のオーディオ信号処理装置。 - 前記帯域制御フィルタ部は、前記補正信号の前記音質が劣化している周波数帯域だけを通過させる第2の補正信号フィルタ部を有し、
前記信号加算部は、前記第2の補正信号フィルタ部を通過した前記補正信号と、前記オーディオ信号とを加算する
ことを特徴とする請求項1に記載のオーディオ信号処理装置。 - 前記オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータとは、復号したオーディオ信号のスペクトルパワーであり、
前記劣化帯域検出部は、前記スペクトルパワーが第1の閾値以下である周波数帯域が第2の閾値以上続く場合、当該周波数帯域を前記音質が劣化している周波数帯域として検出することを特徴とする請求項2又は3記載のオーディオ信号処理装置。 - 前記オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータとは、符号化されたオーディオ信号における、周波数帯域を分割する複数のサブバンドのそれぞれについて割り当てられたビット数であり、
前記劣化帯域検出部は、前記ビット数が第3の閾値以下であるサブバンドが第4の閾値以上続く場合、当該サブバンドを前記音質が劣化している周波数帯域として検出することを特徴とする請求項2又は3記載のオーディオ信号処理装置。 - 前記補正信号生成部は、復号したオーディオ信号のスペクトルパワーを累乗することにより前記補正信号を生成することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
- 前記補正信号生成部は、前記音質が劣化している周波数帯域の時間的に以前もしくは以後の周波数ごとの強度を示すデータから前記補正信号を推測することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
- 逐次入力される符号化されたオーディオ信号を繰り返し復号する際に該オーディオ信号の周波数帯域を拡張する及び/又は該オーディオ信号を補正するオーディオ信号処理方法において、
前記オーディオ信号の周波数ごとの強度を示すデータから、音質が劣化している周波数帯域を検出する段階と、
前記オーディオ信号から前記音質が劣化している周波数帯域を補正するための補正信号を生成する段階と、
帯域制御フィルタ部を用いて前記補正信号の前記音質が劣化している周波数帯域を含む周波数帯域を通過させる段階と、
前記帯域制御フィルタ部を用いて前記オーディオ信号の前記音質が劣化している周波数帯域を含まない周波数帯域を通過させる段階と、
前記帯域制御フィルタを通過した前記補正信号と前記オーディオ信号とを加算する段階と
を備えることを特徴とするオーディオ信号処理方法。 - 前記帯域制御フィルタ部を用いて前記補正信号の前記音質が劣化している周波数帯域を含む周波数帯域を通過させる段階には、第1の補正信号フィルタ部を用いて前記補正信号の前記音質が劣化している周波数帯域の最低周波数以上の周波数帯域を通過させる行為が含まれ、
前記帯域制御フィルタ部を用いて前記オーディオ信号の前記音質が劣化している周波数帯域を含まない周波数帯域を通過させる段階には、第1のオーディオ信号フィルタ部を用いて前記オーディオ信号の前記音質が劣化している周波数帯域の最低周波数よりも低い周波数帯域を通過させる行為が含まれ、
前記帯域制御フィルタを通過した前記補正信号と前記オーディオ信号とを加算する段階では、前記第1の補正信号フィルタ部を通過した前記補正信号と、前記第1のオーディオ信号フィルタ部を通過した前記オーディオ信号とを加算する
ことを特徴とする請求項8に記載のオーディオ信号処理方法。 - 前記帯域制御フィルタ部を用いて前記補正信号の前記音質が劣化している周波数帯域を含む周波数帯域を通過させる段階には、第2の補正信号フィルタ部を用いて前記補正信号の前記音質が劣化している周波数帯域だけを通過させる行為が含まれ、
前記帯域制御フィルタを通過した前記補正信号と前記オーディオ信号とを加算する段階では、前記第2の補正信号フィルタ部を通過した前記補正信号と、前記オーディオ信号とを加算する
ことを特徴とする請求項8に記載のオーディオ信号処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006305491A JP2008122597A (ja) | 2006-11-10 | 2006-11-10 | オーディオ信号処理装置及びオーディオ信号処理方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2006
- 2006-11-10 JP JP2006305491A patent/JP2008122597A/ja not_active Withdrawn
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