JP2008117613A - イオン源 - Google Patents
イオン源 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008117613A JP2008117613A JP2006299174A JP2006299174A JP2008117613A JP 2008117613 A JP2008117613 A JP 2008117613A JP 2006299174 A JP2006299174 A JP 2006299174A JP 2006299174 A JP2006299174 A JP 2006299174A JP 2008117613 A JP2008117613 A JP 2008117613A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- filament
- plasma
- pair
- filaments
- ion source
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Electron Sources, Ion Sources (AREA)
Abstract
【課題】フィラメントの切断により運用寿命が決まるイオン源において、従来比、運用寿命が長いイオン源を提供する。
【解決手段】イオン源10は、チャンバ12と、チャンバ12の内壁面から突出し、通電することにより内部空間34に熱電子を放出するフィラメント14a,14bと、フィラメント14a、14bのそれぞれに熱電子を供給するフィラメント電源30a,30bと、フィラメント14a,14bのON/OFFの制御を行う制御ユニット40と、を有する。制御ユニット40は、プラズマ立ち上げ時、フィラメント14aから熱電子を放出させ、プラズマ立ち上げ後、熱電子の放出を行うフィラメントをフィラメント14bに切り替えて、プラズマの生成を維持するように、フィラメント電源30a,30bのON/OFFを制御する。
【選択図】図1
【解決手段】イオン源10は、チャンバ12と、チャンバ12の内壁面から突出し、通電することにより内部空間34に熱電子を放出するフィラメント14a,14bと、フィラメント14a、14bのそれぞれに熱電子を供給するフィラメント電源30a,30bと、フィラメント14a,14bのON/OFFの制御を行う制御ユニット40と、を有する。制御ユニット40は、プラズマ立ち上げ時、フィラメント14aから熱電子を放出させ、プラズマ立ち上げ後、熱電子の放出を行うフィラメントをフィラメント14bに切り替えて、プラズマの生成を維持するように、フィラメント電源30a,30bのON/OFFを制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガスを供給して電圧を印加することによりプラズマを生成し、このプラズマからイオンビームを生成するイオン源に関する。
フラットパネルディスプレイ等の平面型表示装置には、薄型形状のトランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)が用いられている。このTFTを製造するには、シリコン基板に所望のイオンを注入する必要がある。特に、TFTを利用したアクティブマトリクス素子では一般に低温ポリシリコンを使用しなければならず、製造工程でイオン注入機を用いる必要がある。イオン注入機を用いたイオン注入工程には、チャネル工程、LDD工程、ソース/ドレイン工程があり、その中で特に、チャネル工程に関しては、ゲート閾値電圧を制御するために精度の高いイオン注入が必要である。
イオン注入機の装置構成は、導入された中性の粒子状の物質を電子などにより電離させて高密度プラズマ状態を作り出すイオン源、イオン源で生成されたイオンをイオンビームとして引き出すための引き出し機構、引き出されたイオンビームを輸送するビームライン、イオンビームから特定のイオンビームのみを分離する質量分離機構、及びガラス基板等の処理対象基板をイオンビームに暴露する基板操作機構を備えている。
このようなイオン注入装置について、平面型表示装置の生産能力を向上するためにイオン注入工程の処理時間の短縮が望まれている。イオン注入工程の処理時間は、処理対象基板を所定の処理位置に搬送する搬送時間とイオン注入する処理時間との合計時間であるが、上記ソース/ドレイン工程において多量のイオンを注入するために処理時間が長くなる。
このため、イオン注入に際して、イオンビームの強度を上げて処理時間の短縮をすることができるが、この場合、イオンビームを生成するイオン源の運用寿命が短くなる問題が生じる。この運用寿命が短くなる原因は、熱電子供給用のフィラメントの消耗が著しく、フィラメントが容易に切断されやすくなるということである。特に、バーナス型やフリーマン型イオン源のような高効率かつコンパクトなイオン源ではプラズマを閉じ込めるチャンバ内に高密度のプラズマが生成されるため、フィラメントの消耗は著しい。
このため、イオン注入に際して、イオンビームの強度を上げて処理時間の短縮をすることができるが、この場合、イオンビームを生成するイオン源の運用寿命が短くなる問題が生じる。この運用寿命が短くなる原因は、熱電子供給用のフィラメントの消耗が著しく、フィラメントが容易に切断されやすくなるということである。特に、バーナス型やフリーマン型イオン源のような高効率かつコンパクトなイオン源ではプラズマを閉じ込めるチャンバ内に高密度のプラズマが生成されるため、フィラメントの消耗は著しい。
フィラメントの消耗を抑える方法として、下記特許文献1,2に記載されるイオン源が知られている。
特許文献1には、フィラメントにプラズマが曝されにくくするために、高融点材からなる補助体をフィラメント近傍に儲け、この補助体の電位をフィラメントの電位より低くするイオン源が記載されている。
特許文献2には、イオン源のカソードの周囲にある熱電子の反射体であるカソードリペラーを炭素系素材で構成するイオン源が記載されている。
しかし、これらのイオン源ではフィラメントの消耗は低下するが、強度の高いイオンビームを生成するイオン源の運用寿命を十分に長くする程にフィラメントの消耗を低下させることはできない。
特許文献1には、フィラメントにプラズマが曝されにくくするために、高融点材からなる補助体をフィラメント近傍に儲け、この補助体の電位をフィラメントの電位より低くするイオン源が記載されている。
特許文献2には、イオン源のカソードの周囲にある熱電子の反射体であるカソードリペラーを炭素系素材で構成するイオン源が記載されている。
しかし、これらのイオン源ではフィラメントの消耗は低下するが、強度の高いイオンビームを生成するイオン源の運用寿命を十分に長くする程にフィラメントの消耗を低下させることはできない。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、フィラメントの切断により運用寿命が決まるイオン源において、運用寿命を従来に比べて長くすることができるイオン源を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ガスを供給してアーク電圧を印加することによりプラズマを生成し、このプラズマからイオンビームを生成するイオン源であって、ガスが供給されてプラズマを生成する、導体面を有する内部空間を備えたチャンバと、前記チャンバと電気絶縁され、前記内部空間のチャンバ内壁面から突出し、通電することにより前記内部空間に熱電子を放出する一対のフィラメントと、前記一対のフィラメントのそれぞれにフィラメント電流を流す、前記一対のフィラメントのそれぞれに対応して接続されている一対のフィラメント電源と、前記一対のフィラメントのON/OFFの制御を行う制御ユニットと、を有し、前記制御ユニットは、プラズマ立ち上げ時、前記一対のフィラメントの一方から熱電子を放出し、プラズマ立ち上げ後、熱電子の放出を行うフィラメントを前記一方から他方のフィラメントに切り替えて、プラズマの発生を維持するように、前記一対のフィラメントのフィラメント電流のON/OFFの切り換えの制御を行うことを特徴とするイオン源を提供する。
ここで、プラズマ立ち上げ時とは、プラズマ生成のためにフィラメント電流を流し始めてから、アーク電流が流れ始め、フィラメント電流及びアーク電流が一定電流になるまでの期間をいう。
ここで、プラズマ立ち上げ時とは、プラズマ生成のためにフィラメント電流を流し始めてから、アーク電流が流れ始め、フィラメント電流及びアーク電流が一定電流になるまでの期間をいう。
さらに、前記チャンバの前記導体面にアーク電圧を印加する一対のアーク電源を有し、
前記制御ユニットは、前記フィラメント電流のON/OFFの切り換えの制御に応じて、前記アーク電圧も一方のアーク電源から他方のアーク電源に切り換える制御を行うことが好ましい。
前記制御ユニットは、前記フィラメント電流のON/OFFの切り換えの制御に応じて、前記アーク電圧も一方のアーク電源から他方のアーク電源に切り換える制御を行うことが好ましい。
又、前記一対のフィラメント電源のON/OFFの切り換えの制御の際、前記一対のフィラメント電源の両方が同時にONとなる重なり時間が存在することが好ましい。
本発明のイオン源では、プラズマ立ち上げとプラズマ維持の2つの機能を別々に行う一対のフィラメントを用いるので、イオン源の運用時間が増えてもプラズマ立ち上げに用いるフィラメントは、新品時と略同様の抵抗値を保つ。このため、イオン源における運用寿命を略定める、プラズマ立ち上げ時のフィラメント電流のオーバーシュートによる溶断が生じることは極めて少なく、従来に比べて、イオン源の運用寿命を長くすることができる。
又、従来、イオン源の運用寿命を長くするためには、消耗して新品時に比べて抵抗値の高くなったフィラメントがプラズマ立ち上げ時に溶断されないように、フィラメント電流の上昇速度を低下してフィラメント電流のオーバーシュート量を抑えることが必要であるため、プラズマ立ち上げに時間がかかっていた。しかし、本発明のイオン源では、プラズマ立ち上げ時のフィラメントは新品時と略同様の抵抗値を備えるため、プラズマ立ち上げ時に溶断されることは極めて少ない。このため、新品時と同様のフィラメント電流の上昇速度を用いることができ、イオン注入工程の処理時間の短縮に貢献できる。
又、従来、イオン源の運用寿命を長くするためには、消耗して新品時に比べて抵抗値の高くなったフィラメントがプラズマ立ち上げ時に溶断されないように、フィラメント電流の上昇速度を低下してフィラメント電流のオーバーシュート量を抑えることが必要であるため、プラズマ立ち上げに時間がかかっていた。しかし、本発明のイオン源では、プラズマ立ち上げ時のフィラメントは新品時と略同様の抵抗値を備えるため、プラズマ立ち上げ時に溶断されることは極めて少ない。このため、新品時と同様のフィラメント電流の上昇速度を用いることができ、イオン注入工程の処理時間の短縮に貢献できる。
以下、本発明のイオン源について、添付の図面に示される好適実施形態を基に詳細に説明する。
図1は、本発明のイオン源の一実施形態の構成を示す断面図である。
イオン源10は、原料ガスを供給しアーク放電することによりプラズマを生成し、このプラズマからイオンを取り出すことによりイオビームを生成するバーナス型イオン源である。イオン源10は、図1に示す様に、チャンバ12、一対のフィラメント14(14a,14b)、反射電極板(リペラープレート)16、背面電極板18(18a,18b)、絶縁部材20、原料ガス供給口22、イオンビーム取出口24、および所定の電圧を図示されないスイッチを介して印加してイオンビームを引き出す引出電源26、アーク電源28(28a,28b)、アーク電源28のON/OFFを切り換えるスイッチ29(29a,29b)、フィラメント電源30(30a,30b)、フィラメント電源30のON/OFFを切り換えるスイッチ31(31a,31b)、原料ガス調整バルブ32及び制御ユニット40を有して構成される。
チャンバ12は、図示されないイオン注入装置の減圧容器内に収納され、チャンバ12内で10−2〜10−3(Pa)に減圧された状態とされる。
イオン源10は、原料ガスを供給しアーク放電することによりプラズマを生成し、このプラズマからイオンを取り出すことによりイオビームを生成するバーナス型イオン源である。イオン源10は、図1に示す様に、チャンバ12、一対のフィラメント14(14a,14b)、反射電極板(リペラープレート)16、背面電極板18(18a,18b)、絶縁部材20、原料ガス供給口22、イオンビーム取出口24、および所定の電圧を図示されないスイッチを介して印加してイオンビームを引き出す引出電源26、アーク電源28(28a,28b)、アーク電源28のON/OFFを切り換えるスイッチ29(29a,29b)、フィラメント電源30(30a,30b)、フィラメント電源30のON/OFFを切り換えるスイッチ31(31a,31b)、原料ガス調整バルブ32及び制御ユニット40を有して構成される。
チャンバ12は、図示されないイオン注入装置の減圧容器内に収納され、チャンバ12内で10−2〜10−3(Pa)に減圧された状態とされる。
チャンバ12は、耐高温性を有する導電性材料、例えばタングステン、モリブデン、タンタル、炭素等によって構成され、直方体形状の内部空間34を有する放電箱である。
チャンバ12の内部空間34の内壁面には、一方の端面から内部空間34に突出する一対のフィラメント14(14a,14b)が設けられ、他方の端面には反射電極板16が設けられ、一対のフィラメント14(14a,14b)が反射電極板16に対向するように配置されている。フィラメント14(14a,14b)は、タングステン等の抵抗導体線が1〜数回螺旋状に巻かれて折り返された発熱素子体である。
チャンバ12の内部空間34の内壁面には、一方の端面から内部空間34に突出する一対のフィラメント14(14a,14b)が設けられ、他方の端面には反射電極板16が設けられ、一対のフィラメント14(14a,14b)が反射電極板16に対向するように配置されている。フィラメント14(14a,14b)は、タングステン等の抵抗導体線が1〜数回螺旋状に巻かれて折り返された発熱素子体である。
フィラメント14(14a,14b)と内壁面の端面との間には背面電極板18(18a,18b)が設けられ、カソードプレートとなっている。フィラメント14(14a,14b)には、フィラメント14から熱電子を放出するように、フィラメント14(14a,14b)の両端間に所定の電圧、例えば数V〜10数Vを印加することでフィラメント電流を流すフィラメント電源30(30a,30b)が設けられ、2000℃程度に加熱されて白熱したフィラメント14(14a,14b)から内部空間34に熱電子を放出する。また、フィラメント14(14a,14b)の負極側の端と導電性を有するチャンバ12との間にアーク電圧を印加するように、アーク電源28(28a,28b)が設けられている。アーク電圧は、チャンバ12の電位がフィラメント14(14a,14b)の電位に対して高くなるようにアーク電圧として数10〜100Vが印加され、プラズマが発生することによりアーク電流が流れる。なお、フィラメント14(14a,14b)と導電性を有するチャンバ12との間は、それぞれ絶縁性部材20によって電気絶縁されている。
なお、フィラメント14はフィラメント14a,14bからなり、後述する制御ユニット40の制御によって、フィラメント14a,14bの一方が、プラズマの立ち上げ時のみに用いる立ち上げ専用フィラメントとして使用され、他方は、プラズマ立ち上げ後のプラズマ維持のために用い、プラズマ立ち上げ時には用いないプラズマ維持用フィラメントとして使用される。なお、プラズマの立ち上げ時とは、プラズマ生成のためにフィラメント電流を流し始めてから、アーク電流が流れ始め、フィラメント電流及びアーク電流が一定電流になるまでの期間をいう。
反射電極板16は、フィラメント14(14a,14b)に対向するように内部空間34に設けられ、反射電極板16に向かって移動する熱電子を反射する反射板である。反射電極板16とチャンバ12との間は、絶縁性部材20によって電気絶縁されている。反射電極板16は、フィラメント電源30(30a,30b)の負極と接続されている。なお、フィラメント14(14a,14b)に対して反射電極板16の方向と反対方向にある背面電極板18(18a,18b)は、フィラメント14(14a,14b)の陰極と接続されており、背面電極板18と反射電極板16は同電位となるように、フィラメント電源30(30a,30b)の負極と接続されている。
一方、チャンバ12の外側には、背面電極板18、フィラメント14(14a,14b)および反射電極板16の配置方向(図1中のX方向)に沿って磁場が形成されるようにN極、S極の磁石36、38が設けられている。磁石36、38は、フィラメント14(14a,14b)から放出される熱電子を反射電極板16及び背面電極板18の間でらせん状運動にて往復させるようにするためである。
一方、チャンバ12の外側には、背面電極板18、フィラメント14(14a,14b)および反射電極板16の配置方向(図1中のX方向)に沿って磁場が形成されるようにN極、S極の磁石36、38が設けられている。磁石36、38は、フィラメント14(14a,14b)から放出される熱電子を反射電極板16及び背面電極板18の間でらせん状運動にて往復させるようにするためである。
また、内部空間34の内壁面には、原料ガス供給口22が設けられ、供給管を介して図示されないガス供給源と接続され、原料ガス調整バルブ32を介して原料ガスの供給が調整されるようになっている。
さらに、チャンバ12には、生成したイオンを引き出す開口部である引出口24が設けられ、この引出口24からイオンビームとしてイオンを引き出すためにチャンバ12を所定の電圧に印加する引出電源26が接続されている。図1中、引出口24は、チャンバ12の紙面奥側の壁面に設けられている。
さらに、チャンバ12には、生成したイオンを引き出す開口部である引出口24が設けられ、この引出口24からイオンビームとしてイオンを引き出すためにチャンバ12を所定の電圧に印加する引出電源26が接続されている。図1中、引出口24は、チャンバ12の紙面奥側の壁面に設けられている。
フィラメント14(14a,14b)のうち、フィラメント14aは、スイッチ31aを経由してフィラメント電源30aと接続され、フィラメント14bは、スイッチ31bを経由してフィラメント電源30bと接続される。スイッチ31a,31bはいずれも制御ユニット40からの制御信号R1,R2に従ってON/OFFが制御される。さらに、チャンバ12に印加するアーク電圧は、フィラメント電源30aがスイッチONのとき同時にONとなるように制御されるスイッチ29aを介してアーク電源28aから印加され、さらに、フィラメント電源30bがスイッチONのとき同時にONとなるように制御されるスイッチ29bを介してアーク電源28bから印加される。
このように、イオン源10では、フィラメント14aからの熱電子の放出とプラズマの生成のために機能するフィラメント電源30a及びアーク電源28aと、フィラメント14bからの熱電子の放出とプラズマの生成のために機能するフィラメント電源30b及びアーク電源28bとは、別々に独立した電源系統を構成している。
このように、イオン源10では、フィラメント14aからの熱電子の放出とプラズマの生成のために機能するフィラメント電源30a及びアーク電源28aと、フィラメント14bからの熱電子の放出とプラズマの生成のために機能するフィラメント電源30b及びアーク電源28bとは、別々に独立した電源系統を構成している。
制御ユニット40は、スイッチ31aとスイッチ31bのON/OFFを自在に切り換えるための制御信号R1,R2を生成するとともに、スイッチ29aとスイッチ29bのON/OFFを切り換えるための制御信号R3,R4を生成する。
さらに、制御ユニット40は、図示されない制御信号を用いて、フィラメント電源30a,30bからのフィラメント電流の供給を徐々に増大させるように制御する。プラズマ立ち上げ時のフィラメント電流は、プラズマ生成後に一定電流として制御可能な状態になるが、その直前一時的に電流の制御が不可能な状態になり、オーバーシュートして過大の電流が流れる区間がある。このときの電流のオーバーシュートによってフィラメントは溶断する場合が多いことから、電流のオーバーシュート量を抑える必要がある。このオーバーシュート量は、フィラメント電流の上昇速度が小さい程小さい。このため、オーバーシュート量を抑制し、フィラメントの溶断を抑えるためにフィラメント電流の上昇速度を制御する。
さらに、制御ユニット40は、図示されない制御信号を用いて、フィラメント電源30a,30bからのフィラメント電流の供給を徐々に増大させるように制御する。プラズマ立ち上げ時のフィラメント電流は、プラズマ生成後に一定電流として制御可能な状態になるが、その直前一時的に電流の制御が不可能な状態になり、オーバーシュートして過大の電流が流れる区間がある。このときの電流のオーバーシュートによってフィラメントは溶断する場合が多いことから、電流のオーバーシュート量を抑える必要がある。このオーバーシュート量は、フィラメント電流の上昇速度が小さい程小さい。このため、オーバーシュート量を抑制し、フィラメントの溶断を抑えるためにフィラメント電流の上昇速度を制御する。
本発明では、プラズマの立ち上げ時、上記フィラメント電流のオーバーシュートによるフィラメントの溶断を抑制するために、一対のフィラメント14(14a,14b)の一方を立ち上げ専用のフィラメントとし、他方をプラズマ維持用フィラメントとして使用する。すなわち、立ち上げ専用のフィラメントは、プラズマ雰囲気中で熱電子を放出する時間が少ないため消耗速度が極めて低く、このため新品時と略同様のフィラメント径を有し、抵抗値の変化も小さい。このため、オーバーシュートしたフィラメント電流であっても、溶断するほどに自ら発熱しない。このため、オーバーシュートしたフィラメント電流であっても、抵抗値が略新品と同様に低い立ち上げ専用フィラメントは溶断する可能性はきわめて低い。一方、プラズマ維持用フィラメントは、プラズマ雰囲気中のイオンによってスパッタされて消耗するため、あるいは自らの加熱によって材料自体が蒸発するため、熱電子を放出する時間とともにプラズマ維持用フィラメントは消耗する。しかし、プラズマ維持用フィラメントに流れる、プラズマを維持するためのフィラメント電流は、プラズマ立ち上げ時のオーバーシュート時のフィラメント電流よりも低い一定電流であるため、溶断するほどに加熱されない。
従来のイオン源では、1つのフィラメントがプラズマ立ち上げとプラズマ維持の2つの機能のために用いられるため、プラズマ維持のためのフィラメント電流が流れるフィラメントはプラズマ中のイオンによりスパッタされて消耗する。この消耗して抵抗値の高くなったフィラメントが次回のプラズマ立ち上げ時に用いられる。このため、抵抗値が高くなったフィラメントはプラズマ立ち上げ時のフィラメント電流のオーバーシュートにより容易に溶断され易い。
このように、プラズマ立ち上げとプラズマ維持の2つの機能を別々に行う一対のフィラメント14を用いることにより、従来に比べて、イオン源の運用寿命を長くすることができる。
又、従来、イオン源の運用寿命を長くするためには、消耗して新品時に比べて抵抗値の高くなったフィラメントがプラズマ立ち上げ時に溶断されないように、フィラメント電流の上昇速度を低下してフィラメント電流のオーバーシュート量を抑えることが必要であるため、プラズマ立ち上げに時間がかかっていた。しかし、イオン源10では、プラズマ立ち上げ時のフィラメントは新品時と略同様の抵抗値を保つため、プラズマ立ち上げ時に溶断されない。このため、新品時と同様のフィラメント電流の上昇速度を用いることができ、イオン注入工程の処理時間の短縮に貢献できる。
又、従来、イオン源の運用寿命を長くするためには、消耗して新品時に比べて抵抗値の高くなったフィラメントがプラズマ立ち上げ時に溶断されないように、フィラメント電流の上昇速度を低下してフィラメント電流のオーバーシュート量を抑えることが必要であるため、プラズマ立ち上げに時間がかかっていた。しかし、イオン源10では、プラズマ立ち上げ時のフィラメントは新品時と略同様の抵抗値を保つため、プラズマ立ち上げ時に溶断されない。このため、新品時と同様のフィラメント電流の上昇速度を用いることができ、イオン注入工程の処理時間の短縮に貢献できる。
図2(a)は、従来のイオン源においてプラズマの立ち上げから、プラズマの維持を経てイオンビームの生成までの、フィラメント電流、アーク電流及びイオンビーム電流の時間的推移を表したグラフを示している。
図中、符号Fはフィラメント電流を、符号Aはアーク電流を、符号Bはイオンビーム電流を示す。フィラメント電流は時間T1にて立ち上がり、その後階段状に徐々に増大する。同時にアーク電圧がチャンバ12に印加される。図中、時間T2にてアーク放電が開始し、それと同時にアーク放電の不安定な状態から安定したアーク放電の状態にするためにアーク電流に応じてフィラメント電流をフィードバック制御してフィラメント電流の上昇速度が低下している。これは、上述したように電流の制御が不可能になりフィラメント電流がオーバーシュートするときのオーバーシュート量を抑えるためである。図中、領域Qにおいて小さなオーバーシュートが発生した後、一定のフィラメント電流に制御されている。これに対応するように、アーク電流は時刻T3において一定値となる。
このような時間的推移に対して、本発明では、制御ユニット40が、図2(b)に示すような一対のフィラメント14a,14bの制御信号を用いてフィラメント14a,14bのフィラメント電流を制御する。
このような時間的推移に対して、本発明では、制御ユニット40が、図2(b)に示すような一対のフィラメント14a,14bの制御信号を用いてフィラメント14a,14bのフィラメント電流を制御する。
図2(b)中の上段は、スイッチ31aのON/OFFを制御する制御信号R1のタイミングチャートであり、下段は、スイッチ31bのON/OFFを制御する制御信号R2のタイミングチャートである。
時間T1において、フィラメント14aは熱電子を放出するようにフィラメント電源30aと接続されて、フィラメント電流が流れ始める。その際、アーク電源28aによりチャンバ12にアーク電圧が印加される。時間T2において、アーク放電が開始しアーク電流が流れ始める。この後、時間T3において、アーク電流が所定値に達すると、スイッチ31bは制御信号R2に従ってONとされ、フィラメント電源30bがフィラメント14bと接続され、フィラメント14bに電流が流れ始める。この直前、フィードバック制御が不可能になりフィラメント電流のオーバーシュートが生じるが、程なくフィラメント電流は安定する。時間T3の後、スイッチ31aは制御信号R1に従ってOFFとされ、フィラメント14aの熱電子の放出が停止される。このように、時間時間T3の以降、フィラメント電源30a,30bの両方が同時にONとなる重なり時間が存在する。重なり時間を設けることで、熱電子放出の機能をフィラメント14aからフィラメント14bに切り替える際、生成するプラズマを滑らかに安定維持することができる。制御信号R1に従ってフィラメント14aのフィラメント電流は停止するので、フィラメント14aは電位を有さない。このため、プラズマ中のイオンがフィラメント14aに対して衝突してスパッタすることはなく、フィラメント14aは、プラズマ雰囲気中にあっても消耗しない。こうして、フィラメント14bがプラズマ維持のための熱電子放出に供される。
なお、本発明において、一対のフィラメント14(14a,14b)は、所定の運用時間が経過した後、プラズマ立上専用フィラメントとプラズマ維持用フィラメントを入れ替えて用いてもよい。この場合においても、イオン源の運用寿命は、従来のイオン源の運用寿命に比べて長くなる。
以上、本発明のイオン源について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 イオン源
12 チャンバ
14,14a,14b フィラメント
16 反射電極板
18,18a,18b 背面電極板
20 絶縁部材
22 原料ガス供給口
24 イオンビーム取出口
26 引出電源
28,28a,28b アーク電源
29a,29b,31a,31b スイッチ
30,30a,30b フィラメント電源
32 原料ガス調整バルブ
34 内部空間
36,38 磁石
40 制御ユニット
42 直流電源
12 チャンバ
14,14a,14b フィラメント
16 反射電極板
18,18a,18b 背面電極板
20 絶縁部材
22 原料ガス供給口
24 イオンビーム取出口
26 引出電源
28,28a,28b アーク電源
29a,29b,31a,31b スイッチ
30,30a,30b フィラメント電源
32 原料ガス調整バルブ
34 内部空間
36,38 磁石
40 制御ユニット
42 直流電源
Claims (3)
- ガスを供給してアーク電圧を印加することによりプラズマを生成し、このプラズマからイオンビームを生成するイオン源であって、
ガスが供給されてプラズマを生成する、導体面を有する内部空間を備えたチャンバと、
前記チャンバと電気絶縁され、前記内部空間のチャンバ内壁面から突出し、通電することにより前記内部空間に熱電子を放出する一対のフィラメントと、
前記一対のフィラメントのそれぞれにフィラメント電流を流す、前記一対のフィラメントのそれぞれに対応して接続されている一対のフィラメント電源と、
前記一対のフィラメントのON/OFFの制御を行う制御ユニットと、を有し、
前記制御ユニットは、プラズマ立ち上げ時、前記一対のフィラメントの一方から熱電子を放出し、プラズマ立ち上げ後、熱電子の放出を行うフィラメントを前記一方から他方のフィラメントに切り替えて、プラズマの発生を維持するように、前記一対のフィラメントのフィラメント電流のON/OFFの切り換えの制御を行うことを特徴とするイオン源。 - さらに、前記チャンバの前記導体面にアーク電圧を印加する一対のアーク電源を有し、
前記制御ユニットは、前記フィラメント電流のON/OFFの切り換えの制御に応じて、前記アーク電圧も一方のアーク電源から他方のアーク電源に切り換える制御を行う請求項1に記載のイオン源。 - 前記一対のフィラメント電源のON/OFFの切り換えの制御の際、前記一対のフィラメント電源の両方が同時にONとなる重なり時間が存在する請求項1又は2に記載のイオン源。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006299174A JP2008117613A (ja) | 2006-11-02 | 2006-11-02 | イオン源 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006299174A JP2008117613A (ja) | 2006-11-02 | 2006-11-02 | イオン源 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008117613A true JP2008117613A (ja) | 2008-05-22 |
Family
ID=39503377
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006299174A Pending JP2008117613A (ja) | 2006-11-02 | 2006-11-02 | イオン源 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008117613A (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62105340A (ja) * | 1985-10-31 | 1987-05-15 | Mitsubishi Electric Corp | イオン発生装置 |
JPH01158641A (ja) * | 1987-12-15 | 1989-06-21 | Sharp Corp | 光メモリ素子の製造方法 |
JPH08227677A (ja) * | 1995-02-21 | 1996-09-03 | Nissin Electric Co Ltd | イオン源のフィラメント電流の制御方法 |
JPH113797A (ja) * | 1997-06-10 | 1999-01-06 | Toshiba Corp | グリッド制御回転陽極型x線管 |
-
2006
- 2006-11-02 JP JP2006299174A patent/JP2008117613A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62105340A (ja) * | 1985-10-31 | 1987-05-15 | Mitsubishi Electric Corp | イオン発生装置 |
JPH01158641A (ja) * | 1987-12-15 | 1989-06-21 | Sharp Corp | 光メモリ素子の製造方法 |
JPH08227677A (ja) * | 1995-02-21 | 1996-09-03 | Nissin Electric Co Ltd | イオン源のフィラメント電流の制御方法 |
JPH113797A (ja) * | 1997-06-10 | 1999-01-06 | Toshiba Corp | グリッド制御回転陽極型x線管 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4463310B2 (ja) | イオン源 | |
JP4925544B2 (ja) | 間接的に加熱されるカソードイオンソース用の制御装置 | |
JP4875883B2 (ja) | イオン化したクラスタ、分子及び単一原子を発生するためのイオン発生装置 | |
TWI489509B (zh) | 離子源 | |
KR100916404B1 (ko) | X선 발생 장치 | |
JP6237133B2 (ja) | イオン源および磁界発生方法 | |
JP2007073395A (ja) | マグネトロンの制御方法、マグネトロンの寿命判定方法、マイクロ波発生装置、マグネトロンの寿命判定装置、処理装置及び記憶媒体 | |
US8188448B2 (en) | Temperature controlled ion source | |
JP2008511966A (ja) | コロナ放電ランプ | |
JP4401977B2 (ja) | イオン源に用いるフィラメントの作製方法及びイオン源 | |
CN108475609B (zh) | 产生离子束的装置 | |
TWI720101B (zh) | 間接加熱式陰極離子源與用於離子源室內的斥拒極 | |
TW202301467A (zh) | 用於產生包括金屬的離子束的離子源 | |
US7247863B2 (en) | System and method for rapidly controlling the output of an ion source for ion implantation | |
JP3899898B2 (ja) | ショートアーク型水銀ランプ | |
JP2008117613A (ja) | イオン源 | |
JP2003031140A (ja) | 酸素イオン注入のためのガス状イオンソース | |
US2491858A (en) | Control switch for electric discharge lamps | |
JP4709664B2 (ja) | イオン源 | |
JP2001307650A (ja) | イオン源の運転方法およびイオンビーム照射装置 | |
JP6637285B2 (ja) | 放電を発生させるための装置及び方法 | |
EP0611052A1 (en) | Apparatus and method for cooling semiconductor processing equipment | |
JP2586836B2 (ja) | イオン源装置 | |
JP5010987B2 (ja) | 高圧放電ランプの点灯方法 | |
CN113178371A (zh) | 一种用于生产离子簇、电离分子和电离单原子的离子源 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090310 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110616 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110621 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20111018 |