JP2008115455A - 単・複極式電解装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は複数の陽極及び陰極を並べた電極群と電極枠構造体からなる電極ユニットを1つの電解浴槽内に置いて電解を行うようにした電解処理用の電解槽であって、該ユニット内の電極の接続が複極に接続された複数の単位を電気的に並列に接続するようにした単・複極型電解槽である。
【選択図】図1
Description
た。
つまり主として溶融塩電解、特に金属採取電解で生成する金属が電解浴より比重が大きい場合には、電解によって生成する金属は液中を下方に落ち、陽極で生成する気体は上方に抜けていくために電極周辺には電解生成物が全く残らない。また溶融塩の直接電解では電解浴そのものが電解質であるために、このように生成物が上下に抜けても常に電解質が供給されるために電解反応それ自身は変化しないという特徴がある。もちろん支持電解質を使用した場合は一般に液の粘性が小さくなるために電解物質の供給が非常に早くなり、電解物質の電極間への供給の問題はほとんど起こらない。また水溶液電解でもたとえば銅粉製造のような場合では陰極生成物である銅粉が、陰極表面にとどまることなく下に落ちてしまい、また陽極発生ガスは上に抜けるので溶融塩電解と同じように取り扱うことが出来る。これらについて電解を最も効率よくおこなうためには、電解電流密度を最適化し、しかも電圧を最小限にすることが必要である。そのためには電極間距離を最小とし、適正な電流密度によって電解電圧を低く保持し、しかも電解生成物の再反応を最小にして電解効率を高めることが必須になってくる。
ここで、塩化亜鉛の温度が550℃では塩化亜鉛の電気抵抗が8Ωcm程度であり、電極の高さを30cm,電極間距離を5mmとした場合、電流密度が50A/dm2では電解電圧が2.5−2.7Vである。この時に10段の複極で考えると、電極の上下に隙間5mm、電極枠高さ10cm、つまり上下で合計20cmの枠を設けることによって漏洩電流を3%程度とすることが出来る。この時に全体を一体として30段の複極とした場合に同じ高さの電極枠を使うと漏洩電流が10%程度あるいはそれ以上になってしまう。この漏洩電流を10段の場合と同じにするには枠高さを上下で60cm程度と電極よりも遙かに大きな電極枠を必要とするようになり、今度は電解生成物の移動や電解浴供給に問題を有することになってしまう。これをさけるためには電極枠を10cm程度にしなおかつ多くの電極を入れて実質的に大電流の電解をおこなうことが必要である。このためには10段からなる複極のユニットを端部の導電体を有する電極(端部電極)を共通となるように3組配置することによって問題の解決がはかれるようになる。つまりここのように30段であれば10段複極ユニットを3つ並列につなぐことによって、端部電極の二つは二つのユニットに共通するので端部電極がつまり導電体を有する電極は4つですんでしまいしかも電極枠は十分に小さくて良いと言うことになる。一方すべてを単極とすると電極数は31であり、31個の導電体を必要とする。また30段の複極とした場合は導電体を有する端部電極は2個であり、構造は簡単にはなるが前記のように電極枠をつけた電極体が極めて大きくなってしまい、事実上取り扱いが非常に困難になるという問題を有している。ここでは10段複極x3単極接続としたがこれは一例であって、段数、また単極への分割は必要に応じて行えばよいことは言うまでもない。
通常の電解では電解浴抵抗の小さい方が望ましいが、このように漏洩電流という点からは適当な電気抵抗のあった方が望ましいという結果にも繋がる。
もちろんこれらは水溶液電解でも同じであり、液抵抗との関係をうまく使うことによって漏洩電流を最小とする電解が出来るようになる。
もちろんこのような場合でも電解単位の一つずつは通常の電解条件を満たしていることが必要であり、たとえば陽極生成ガスと陰極生成物が互いに接触して逆反応を起こすことを防ぐために陽極を上側にして電極全体を垂直から5−10度程度傾けることも有用である。また電解槽上部には大型のミストキャッチャーを取り付けておき、上昇ガスに伴われる電解浴成分のガスを液化して浴に戻すと共に、発生ガスに共存するミストが外に出ないようにする。特にこれは高温溶融塩電解では重要であり、しばしば上に上がった蒸気やミストが温度低下と共に固化してガスパイプ閉塞の原因になることがある。このミストキャッチャーについては特に指定はされないが、可能であれば電解槽開口部の1/2から1/1の断面積を有する大型で電解槽の上部に被さるように直接取り付けることが望ましい。
以下に実施例で詳細に説明する。
図1に示すように配置された電解槽を作製した。つまり電解槽本体は30mm厚みの緻密質のグラファイト板で作り、内部に絶縁用のムライト粉末と水ガラスを混練して作製したセラミックスセメントを塗布し、600℃で焼成して絶縁被覆とした。電解用電極にはCIP法で作製した緻密質グラファイトを加工して用いた。
その大きさは高さ30cm 幅10cmとして10段の複極組み合わせを端部電極を間において3つ並列に接続した。またこの電極の上下に高さ10cmで電極間距離である5mmの隙間を有する電極枠を設けた。電解浴は溶融塩化亜鉛の単味とし、温度は550℃に保持した。これについて電流密度50A/dm2で電解をおこなったところ、槽電圧は26V(10段分)であり、発生する塩素効率から漏洩電流を推定したところ、漏洩電流が約5%となることがわかった。また対比用として電極はこのままにして導電体をはずしてしまい、両端から通電をして事実上30段の複極として電解をおこなったところ、電解電圧は78−79Vとなり、同様にして測定した漏洩電流は約30%と大きくなった。計算上はより低くなるはずであるが中間での槽数増加による漏洩と電圧上昇による漏洩が加わって大きな漏洩電流となったことが推定された。これにより適当な複極段数とそれをいくつかに分けて単極として接続することにより、導電体を簡単にしながら、また電極枠を大きくしないで十分に低い漏洩電流での電解が出来ることがわかった。
塩化亜鉛に支持電解質としてKCl:NaCl=1:1(モル)の混合アルカリ塩化物を加えた電解浴を使用して電解を行った。この電解質の電気抵抗は500℃で4Ωcmであり、実施例1の条件では漏洩電流が大きくなりすぎる可能性があったために小型で10段の複極となる小型電解槽を作り漏洩電流の検討を行った。10段までの電解は実施例1と同じ条件として漏洩電流防止用の電極枠の高さを15cmとして電解をおこなった。電極は同じ大きさを用い電流密度を40A/dm2として電解をおこなった。電極間距離は5mmとした。この電解槽電流は120Aであった。
槽電圧は電気抵抗が低くなった分やや低く10段で24Vであった。これについての漏洩電流は両端のみで上下各2A程度の漏洩が認められ合計では上下でこの約3倍の2x2x3=12Aで、漏洩電流が10%程度となった。これに対して中央の電極を端部電極と同じものに変え、両側に5段づつの複極となるように電極を配置し直したところ、電解電圧が半分となり、これに合わせて漏洩電流も低下し、約3%となった。更にここでは電極枠の高さをより低い10cmのものに交換して測定をしたが、その場合でも漏洩電流は4%程度と実用になることがわかった。
2 複極電極部分
3 端部電極(導電体付き電極)
4 電解用直流電源
5 導電体接続構造
6 電解電極と電解用電源との導電体接続構造
Claims (11)
- 複数の陽極及び陰極を並べた電極群と電極枠構造体からなる電極ユニットを1つの電解浴槽内に置いて電解を行うようにした電解処理用の電解槽であって、該ユニット内の電極の接続が複極に接続された複数の単位を電気的に並列に接続するようにした単・複極型電解槽。
- 電極が炭素質であることを特徴とする請求項1の単・複極電解槽。
- 電極が導電性セラミックスであることを特徴とする請求項1の単・複極型電解槽。
- 一体となった電極ユニットが電解浴槽内に固定されてなることを特徴とする請求項1から3の単・複極型電解槽。
- 一体となった電極ユニットが電解浴槽内に浸漬されてなることを特徴とする請求項1から4の単・複極型電解槽。
- 電解槽が溶融塩電解用電解槽であることを特徴とする請求項1から5の単・複極型電解槽。
- 電解槽が溶融塩化亜鉛を電解して塩素と溶融金属亜鉛を得ることを特徴とする請求項1から6の単・複極型電解槽。
- 電極枠構造体が盲板からなる側板と電極体の上下に設けられた電流を規制するための電極枠とからなり、漏洩電流の防止と電解部分の保温をあわせて行うようにしたことを特徴とする請求項1から7の単・複極型電解槽。
- 電極枠が隣り合う電極間距離と同等かそれよりやや狭くした隙間を有し、該隙間が電極間の隙間と略一致するように電極の上下に置かれてなることを特徴とする請求項1から8の単・複極型電解槽。
- 電極を電極枠とともに垂直から傾けて平行に取付け陽極生成物と陰極生成物との混合を防ぐようにしたことを特徴とする請求項1から9の単・複極型電解槽。
- 電解槽と電解槽上部に配置するガス排出管の間に電解浴蒸気とミストを十分に除去できる大きさを有するミストキャッチャーを設けることを特徴とする請求項1から10の単・複極型電解槽。
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