JP2008114218A - 流体処理装置および流体処理システム - Google Patents

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隆博 江崎
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護 塚田
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Abstract

【課題】多数のノズルから吐出圧力を均一にして流体を衝突させることにより、流体の均一な混合または反応を行うことができる流体処理装置を提供する。
【解決手段】
流体を流入させる1つの流入口と、該1つの流入口から分岐してN個に分かれたN個の搬送路と、N個の搬送路に接続されたN個の流出口とを備えた第1のユニットと、第1のユニットに対応して1つの流入口と、N個の搬送路と、N個の流出口とを備えた第2のユニットを有し、前記第1のユニットの流出口から流出する第1の流体と、前記第2のユニットの流出口から流出する第2の流体とを接触させて、流体の混合または反応を行う流体処理装置であって、第1のユニットにおける前記N個の搬送路の長さ及び、第2のユニットにおける前記N個の搬送路の長さのバラツキが20%以下である流体処理装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、流体同士を混合または反応をさせるための流体処理装置および流体処理システムに関し、特に混合時に固形物を生成する流体処理装置および流体処理システムに好適なものである。
近年、インクジェットプリンタに用いられる顔料等の製造に係る化学工業や、医薬品、試薬等の製造に係る医薬品工業の分野では、マイクロミキサ又はマイクロリアクタと呼ばれる微小容器を用いた新しい製造プロセスの開発が進められている。従来のバッチ式の反応装置においては一次生成物が反応装置内で引き続き反応をすることから、生成物の不均一性が生じる恐れがある。特に微粒子を製造する場合においては、いちど生成した微粒子の一次粒子が反応によりさらに成長し、微粒子の大きさに不均一さが生じてしまう可能性がある。それに対しマイクロミキサでは流体同士がマイクロスケールの流路内を連続的に殆ど滞留することなく流通するため、いちど生成した微粒子が再び反応することを防止でき、微粒子の大きさの均一性を高めることができる。なお、マイクロミキサとマイクロリアクタとは基本的な構造が共通とされているが、特に、複数の溶液を混合する際に化学反応を伴うものをマイクロリアクタと言う場合がある。このことから、マイクロミキサには、マイクロリアクタが含まれるものとして以下の説明を行う。
このようなマイクロミキサとしては、図13に示すように、2つの液体を高速で混合して固体析出物を生成する方法が開示されている(特許文献1)。これは、2つの液体がオリフィス1101、1102に供給され、つづいて末広がり遮蔽部1103を高速で通過することにより、ジェット衝突混合室1104にて固体析出物を生成する方法である。
また、図13に示すように、斜めのノズルが機械加工により形成された金属製のマイクロミキサが販売されている(Institut fur Mikrotechnik Mainz社製、Impinging Jet Micro Mixer)。
これは、ノズル1201、1202より液体を噴出させ、噴出された液体を空気中で混合させるマイクロミキサである。上記のような特徴を有するマイクロミキサを用いれば、混合及び反応の場として大容積のタンク等を用いた従来のバッチ法と比較し、微小でかつ狭い粒度分布を有する粒子を生成することができる。
特開2002−336667号公報
上記のような技術について、さらに混合効率を向上させ粒子の微小化と粒径の均一化を図るには、ノズルを小径化し液体の絶対量を小さくする必要がある。また、生産性を上げるためには、ノズルを多数作成する必要がある。ところが、多数のノズルを設けると、ノズルごとに噴出圧力が異なって、粒径の均一化の妨げになる可能性がある。
そして、ノズルから吐出させた2つの流体を衝突させて混合・反応させる処理装置を考えると、ノズルを複数組設けて、生産性を上げようとすると各ノズルの吐出圧力が異なり、反応の均一化の妨げとなる可能性がある。
本発明は、多数のノズルから流体を衝突させて、流体の混合または反応を行う流体処理装置において、各ノズルの吐出圧力を均一にすることにより、均一な混合または反応を行う流体処理装置を提供するものである。
本発明により提供される流体処理装置の第1の態様は、流体を流入させる1つの流入口と、該1つの流入口から分岐してN個に分かれたN個の搬送路と、N個の搬送路に接続されたN個の流出口とを備えた第1のユニットと、第1のユニットに対応して1つの流入口と、N個の搬送路と、N個の流出口とを備えた第2のユニットを有し、前記第1のユニットの流出口から流出する第1の流体と、前記第2のユニットの流出口から流出する第2の流体とを接触させて、流体の混合または反応を行う流体処理装置であって、第1のユニットにおける前記N個の搬送路の長さ及び、第2のユニットにおける前記N個の搬送路の長さのバラツキが20%以下とされていることを特徴とする。
本発明により提供される流体処理装置の第2の態様は、流体を流入させる1つの流入口と、該1つの流入口から分岐した複数の搬送路と、該複数の搬送路に接続された複数の流出口とを備えた第1のユニットと、第1のユニットに対応して1つの流入口と、複数の搬送路と、複数の流出口とを備えた第2のユニットを有し、前記第1のユニットの流出口から流出する第1の流体と、前記第2のユニットの流出口から流出する第2の流体とを接触させて、流体の混合または反応を行う流体処理装置において、第1及び第2のユニットにおける前記流入口から前記複数の流出口に至る複数の搬送路について、前記流入口に近い搬送路に比べて遠い搬送路の断面積が大きいことを特徴とする。
本発明により提供される流体処理システムは、本発明の流体処理装置と、流体を搬送する搬送手段と、該搬送手段を制御する流体制御手段と、前記流体処理装置に供給する流体を貯留する供給物貯留手段と、前記流体処理装置から流出した流体を貯留する流出物貯留手段とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、多数のノズル(流出口)から流出する流体同士を接触、衝突させて、流体の混合または反応を行う流体処理装置において、各ノズルの吐出圧力を均一にすることができる。これにより、均一な混合または反応を行う流体処理装置を提供することができる。
また、本発明は、上記の均一な混合または反応を行う流体処理装置を用いた流体処理システムを提供することができる。
本発明に係る第一の流体処理装置は、流体を流入させる1つの流入口と、該1つの流入口から分岐してN個に分かれたN個の搬送路と、N個の搬送路に接続されたN個の流出口とを備えた第1のユニットと、第1のユニットに対応して1つの流入口と、N個の搬送路と、N個の流出口とを備えた第2のユニットを有し、前記第1のユニットの流出口から流出する第1の流体と、前記第2のユニットの流出口から流出する第2の流体とを接触させて、流体の混合または反応を行う流体処理装置であって、第1のユニットにおける前記N個の搬送路の長さ及び、第2のユニットにおける前記N個の搬送路の長さのバラツキが20%以下とされていることを特徴とする。
前記搬送路が、1つの流入口から第1の分岐をして2個の第1の分岐流路となり、該第1の分岐流路の各々から第2の分岐して各々2個の第2の分岐流路を構成することが好ましい。
前記N個の搬送路は、2の倍数であることが好ましい。
前記流入口が、前記N個の搬送路の中央部に位置して設けられていることが好ましい。
前記第1の分岐流路と、前記第2の分岐流路と、は異なる基板に形成された流路からなることが好ましい。
前記異なる基板を積層して前記第1の分岐流路と、前記第2の分岐流路と、が接続されたことを特徴とする請求項5に記載の流体処理装置。
本発明に係る第二の流体処理装置は、流体を流入させる1つの流入口と、該1つの流入口から分岐した複数の搬送路と、該複数の搬送路に接続された複数の流出口とを備えた第1のユニットと、第1のユニットに対応して1つの流入口と、複数の搬送路と、複数の流出口とを備えた第2のユニットを有し、前記第1のユニットの流出口から流出する第1の流体と、前記第2のユニットの流出口から流出する第2の流体とを接触させて、流体の混合または反応を行う流体処理装置において、第1及び第2のユニットにおける前記流入口から前記複数の流出口に至る複数の搬送路について、前記流入口に近い搬送路に比べて遠い搬送路の断面積が大きいことを特徴とする。
前記搬送路が、前記一つの流入口に接続している主流路と、該主流路から分岐をして設けられ複数の補償流路からなり、該複数の補償流路の断面積が異なっていることが好ましい。
前記複数の補償流路の長さは等しいことが好ましい。
本発明に係る流体処理システムは、上記の流体処理装置と、流体を搬送する搬送手段と、該搬送手段を制御する流体制御手段と、前記流体処理装置に供給する流体を貯留する供給物貯留手段と、前記流体処理装置から流出した流体を貯留する流出物貯留手段とを備えていることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の流体処理装置は、第1及び第2のユニットを有し、該第1及び第2のユニットにおいて、流体の複数の流出口と、流体の複数の流入口と、該複数の流入口から該複数の流出口へ接続された搬送路を有する。
その第1の実施態様は、第1及び第2のユニットにおける前記流入口から前記複数の流出口に至る複数の搬送路の長さのバラツキが20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下で、実質的に等しいことを特徴とする。なお、長さのバラツキとは、前記流入口から前記複数の流出口に至る複数の搬送路の長さの平均値をLave、N個目の搬送路の長さをL、長さのバラツキをVとすると、以下の式で表される。
Figure 2008114218
その第2の実施態様は、第1及び第2のユニットにおける前記流入口から前記複数の流出口に至る複数の搬送路の断面積が異なっていることを特徴とする。上記の2つの実施態様に示す構成により、搬送路の流抵抗が、流入口と該複数の流出口の間の圧力降下が相等しくなるようになり、各ノズルの吐出圧力を均一になることにより、均一な混合または反応を行うことができる。
また、前記第1及び第2のユニットは、複数の流出口に複数の噴出ノズルを有し、該複数の噴出ノズルの噴出方向が、空間中で交差するように配置されていることを特徴とする。
本発明の第1の実施態様の第1及び第2のユニットにおける前記流入口から前記複数の流出口に至る複数の搬送路の長さが実質的に等しい流体処理装置について説明する。
本発明の分岐流路の効果について詳しく説明を行う。図8は、本発明の流体処理装置の分岐流路の効果を説明するための模式図である。図に示すように、流入口621と分岐流路622が連結している。分岐流路622は2つに分岐し、分岐流路622の出口は分岐流路623の入口に連結され、また、分岐流路623は2つに分岐し、分岐流路623の出口は分岐流路624の入口に連結されている。そして、分岐流路624の出口はノズル(流出口)601に連結されている。流入口621から流入した流体は、分岐流路622から624を通って、ノズル(流出口)601から噴出する。
この図8に示す流路に対して、図9のような等価回路を考える。この図9の等価回路において、圧力は電圧、流量は電流、流抵抗は電気抵抗に対応する。701はノズル等価素子、722から724は分岐流路の等価回路、730は電圧源である。
ノズル等価素子701において、入口の流速をvin、断面積をAin、出口の流速をvout、断面積をAoutとすると、流量qとの関係は、以下の式1で表される。
Figure 2008114218
一方、入口圧力がP、出口圧力が0でベルヌーイの定理が成立すると仮定すると、以下の式2で表される。
Figure 2008114218
式1、2より、
Figure 2008114218
となるので、流量qは入口圧力Pの平方根に比例する。ρは密度を示す。
流抵抗rは、圧力差pと流量qの比であり、層流の場合、円管の流抵抗rcircleは、流体の粘性係数をμ、円管の直径をD、長さをLとすると、以下の式4で表される。
Figure 2008114218
また、断面形状が、各辺の長さがa,bの矩形の場合には、
Figure 2008114218
で近似できる。
図9の等価回路において、キルヒホッフの定理より8つのノズル等価素子701に印加される電圧は全て等しくなる。すなわち、本発明によれば、複数のノズルに印加される流体圧が略等しくなることがわかる。
以下、図3を参照しながら、本発明の第1の態様の流体搬送装置を説明する。
図3に示す装置は、後述する図1(斜視図)に示した装置に類似する装置であり、図3(a)は、図1に類似する装置を下側から見た図である。図3(b)は、図3(a)のB−B’における断面図、図3(c)は、図(a)のC−C’における断面図である。
図3(a)において、101a、102a、103a、104a (・・・N個)は、1つの流入口621から入った流体を流出させる流出口であり、図3(b)に示すように分岐した4つの搬送路により流入口621とそれぞれの流出口と接続されている。4つの搬送路の長さは、それぞれL11、L12、L13、L14と表したが、本態様の装置では、これらの長さのバラツキが20%以下に抑えられていて実質的に等しく設計されている。
図3(a)、(b)、(c)に示した一つの流入口621a、4つの搬送路、及び4つの流出口(101a、102a、103a、104a)により第1のユニットが構成される。
また、第1のユニットに対応して、一つの流入口621b、4つの搬送路、及び4つの流出口(101b、102b、103b、104b)により第2のユニットが構成される。
第2のユニットにおける4つの搬送路は、第1のユニットとは別に設けられていて、それぞれの長さをL21、L22、L23、L24とすると、これらのバラツキは20%以下とされている。結果的にL11、L12、L13、L14、L21、L22、L23、L24のバラツキが20%以下とされている。本態様の搬送装置では、流入口621aから流入させた第1の流体を4個(N個)の搬送路を介して搬送し、4つの流出口(101a、102a、103a、104a)より流出させる。同じく流入口621bから流入させた第2の流体を4個(N個)の搬送路を介して搬送し、4つの流出口(101b、102b、103b、104b)より流出させる。対となる流出口(例えば101aと101b)から流出する第1の流体と第2の流体は、流出後、接触し、流体の混合または反応がなされる。
図3(b)においては、135はノズル(流出口)基板であり、132及び131はそれぞれ分岐流路が形成された流路基板であり、これらの基板を積層して処理装置を構成している。図3に示した流体処理装置では、N個の搬送路として4つの搬送路を有するものを示したがN個の搬送路は2の倍数とすることが実用的である。また、流入口は、N個の搬送路の中央部に位置させるのが好ましい。
次に、本発明の第2の実施態様の装置について説明する。
即ち、第1及び第2のユニットにおける流入口から複数の流出口に至る複数の搬送路の断面積が異なっている流体処理装置について説明する。
本発明の補償流路の効果について詳しく説明を行う。図10は、本発明の流体処理装置の補償流路の効果を説明するための模式図である。主流路820には、流入口821と、n本の補償流路810(1)から810(n)が図に示すように連結している。そして、補償流路810(1)から810(n)の他端には流出口としてのノズル801が連結している。流入口821から流入した流体は、主流路820と補償流路810(1)から810(n)を通って、ノズル801から噴出する。
この流路に対して、図11のような等価回路を考える。この等価回路において、圧力は電圧、流量は電流、流抵抗は電気抵抗に対応する。901はノズル等価素子、910(1)から910(n)は補償流路の流抵抗、920は、主流路の流抵抗をn等分した等価抵抗、930は電圧源である。ノズル等価素子901の特性は、ノズル等価素子701と同じである。流抵抗910(1)から910(n)の抵抗値をr1からrn、流抵抗920の抵抗値をR、圧力源930の圧力をPとする。
ノズル等価素子901の圧力pと流量qが全て等しくなるためには、以下の式6および式7で表される関係が成立する。
Figure 2008114218
式7のriは、全て正でなければならないので、以下の式8で表される関係が成立する。
Figure 2008114218
本発明によれば、複数のノズルに印加される流体圧が略等しくなるので、より均一な混合を行うことができる。
以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
図を用いて本発明の流体処理装置を説明する。図1は本発明の実施例1の流体処理装置を示す斜視図である。また、図2(a)は、本実施例1の流体処理装置を下側から見た図、図2(b)は、図2(a)のB−B’における断面図、図2(c)は図2(a)のC−C’における断面図である。本実施例の集積型マイクロミキサは、分岐流路基板131から134と、ノズル基板135を積層することで作成されている。101aから116a、101bから116bは、ノズル基板135に形成されたノズルであり、129aと129bはチューブコネクタである。
分岐流路基板131から134とノズル基板135は、シリコン基板を両面から垂直にエッチングを行うことで形成されている。ノズル基板135に形成されているノズル101aから116a、101bから116bは、片面からエッチングした穴と他面からエッチングした穴が連結することで形成されており、その際に穴同士の重心がずれるように構成されている。このように構成することで、各ノズルから噴出する流体は、基板に垂直ではなくある角度を持って噴出する。そして、ノズル101aから116aとノズル101bから116bは、それぞれ噴出方向が互いに交差するように配置されており、それぞれが混合ユニットを構成している。チューブコネクタ129aと129bは、ステンレスを加工して作られており、分岐流路基板131と接着剤で接合されている。
以下で本実施例の動作の説明を行う。チューブコネクタ129aから流体をポンプで流入すると、分岐流路基板131に形成された分岐流路において流体は2つに分岐する。
そして2つに分岐した流体は、分岐流路基板132に形成された分岐流路において、それぞれ2つに分岐する。以下同様にして、分岐流路基板134に至るまでに流体は16に分岐する。そして、分岐した流体はノズル基板135に形成されたノズル101aから116aより噴出する。各分岐流路において入口から出口の圧力降下は等しいため、ノズル101aから116aには略等しい圧力が印加される。また、チューブコネクタ129bから流入した流体もまったく同様にして101bから116bより噴出する。そして、ノズル101aから116aとノズル101bから116bの噴出方向は互いに交差するように配置されているため噴出した流体は衝突し、衝突部において混合もしくは反応が生じる。
本実施例によれば、搬送路の長さが等しいので、各ノズルに印加される圧力が略等しくなるため、混合もしくは反応の条件が均一となり、良質な混合もしくは反応を行うことができる。
実施例2
図4は本発明の実施例2の流体処理装置を説明する説明図である。図4(a)は、実施例2の流体処理装置を下側から見た図、図4(b)は図4(a)のB−B’における断面図である。また、図4(c)は図4(b)のC−C’における断面図、図4(d)は図4(c)のD−D’における断面図、図4(e)は図3(a)のE−E’における断面図である。本実施例の集積型マイクロミキサは、分岐流路基板231とノズル基板232を積層することで作成されている。201aから208a、201bから208bはノズルであり、229aと229bはチューブコネクタである。
分岐流路基板231は、シリコン基板を両面から垂直にエッチングを行うことで分岐流路220a、bと流入口221a、bが形成されている。ノズル基板232はガラス板からできており、図3(e)に示すような斜め穴をレーザー加工であけることでノズル201aから208a、201bから208bが形成されている。このように構成することで、各ノズルから噴出する流体は、基板に垂直ではなくある角度を持って噴出することになる。
そして、ノズル201aから208aとノズル201bから208bは、それぞれ噴出方向が互いに交差するように配置されており、それぞれが混合ユニットを構成している。
チューブコネクタ229aと229bは、ステンレスを加工して作られており、分岐流路基板231と接着剤で接合されている。
以下で本実施例の動作の説明を行う。チューブコネクタ229aから流体をポンプで流入すると、流体は流入口221aから流入し、分岐流路基板231に形成された分岐流路220において8つに分岐する。そして、分岐した流体はノズル基板232に形成されたノズル201aから208aより噴出する。ここにおいて、実施例1と同様に、ノズル201aから208aには略等しい圧力が印加される。また、流入口221bから流入した流体もまったく同様にして201bから208bより噴出する。そして、ノズル201aから208aとノズル201bから208bの噴出方向は互いに交差するように配置されているため噴出した流体は衝突し、衝突部において混合もしくは反応が生じる。
本実施例においても、搬送路の長さが等しいので、各ノズルに印加される圧力が略等しくなるため、混合もしくは反応の条件が均一となり、良質な混合もしくは反応を行うことができる。
実施例3
図5Aおよび図5Bは、本発明の実施例3の流体処理装置を説明する説明図である。図5(a)は、本実施例3の流体処理装置を下側から見た図、図5(b)は図5(a)のB−B’における断面図である。また、図5(c)はC−C’における断面図、図5(d)はD−D’における断面図である。本実施例の集積型マイクロミキサは、主流路基板331と、補償流路基板332と、ノズル基板333を積層することで作成されている。301aから308a、301bから308bはノズルであり、329aと329bはチューブコネクタである。
主流路基板331は、シリコン基板を両面から垂直にエッチングを行うことで形成されている。補償流路基板332は、シリコン基板を両面から垂直にエッチングを行い補償流路311aから318a、311bから318bを形成して作成されている。補償流路311aから318aは、断面が円形状であり、流入口321aから遠くなるほど径が太くなって、流抵抗が小さくなるようになっている。同様に、補償流路311bから318bは、流入口329bから遠くなるほど径が太くなって、流抵抗が小さくなるようになっている。
ノズル基板333はガラス板からできており、図5(d)に示すような斜め穴をレーザー加工であけることでノズル301aから308a、301bから308bが形成されている。このように構成することで、各ノズルから噴出する流体は、基板に垂直ではなくある角度を持って噴出することになる。そして、ノズル301aから308aとノズル301bから308bは、それぞれ噴出方向が互いに交差するように配置されており、それぞれが混合ユニットを構成している。チューブコネクタ329aと329bは、ステンレスを加工して作られており、分岐流路基板331と接着剤で接合されている。
流体を水とすると、粘性係数μは、1×10-3[Pa・s]、密度ρは、1×103[kg/m3]である。主流路の幅Wを1mm、深さTを500μm、補償流路311aから318aの間隔Lを1mmとすると、式6、7におけるRは、以下で与えられる。
Figure 2008114218
補償流路311aから318aの長さNを500μm、補償流路311aの径d1を200μmとすると、補償流路311aの流抵抗r1は、式4より、以下で与えられる
Figure 2008114218
となる。
よって、式7より以下が成立する。
Figure 2008114218
式5、式7より、補償流路312aから318aの流抵抗r2からr8と、径d2からd8は、以下の式で決定できる。
Figure 2008114218
数値を代入して計算すると、以下の表1が得られる。
Figure 2008114218
補償流路311aから318aの径を上記の表のd1からd8のようにすることで、各ノズルにかかる圧力を均一にすることができる。補償流路311bから318bも同様である。なお、本実施例においては、モデルを単純化することで設計を行ったが、より詳細なモデル化を行い、流体解析ソフトウェア等を用いて補償流路の設計を行えば、より精度の高い設計が可能なことは言うまでもない。
以下で本実施例の動作の説明を行う。チューブコネクタ329aから流体をポンプで流入すると、流体は主流路基板331に形成された主流路320aに導入される。そして、流体は、補償流路311aから318aを通してノズル基板333に形成されたノズル301aから308aより噴出する。ここにおいて、ノズル301aから308aには略等しい圧力が印加される。また、チューブコネクタ329bから流入した流体もまったく同様にして301bから308bより噴出する。そして、ノズル301aから308aとノズル301bから308bの噴出方向は互いに交差するように配置されているため噴出した流体は衝突し、衝突部において混合もしくは反応が生じる。
本実施例においては、断面積が異なる補償流路311aから318a、311bから318bの働きにより各ノズルに印加される圧力が略等しくなるため、反応の条件が均一となり、良質な混合を行うことができる。即ち、流入口に近い搬送路(補償流路)に比べて遠い搬送路(補償流路)の断面積を相対的に大きくしているためである。
実施例4
図6は、本発明の実施例4の流体処理装置を説明する説明図である。本実施例では、実施例2と同様に、分岐流路基板とノズル基板を積層し、チューブコネクタを接続することで作成される。
分岐流路基板400は、シリコン基板を一面から垂直にエッチングを行うことで420a、bから460a、bを作成し、他面から貫通するまで垂直にエッチングを行うことで流入口410a、bを作成する。
410aから460aと410bから460bの働きは同一のため、410aから460aの働きについて説明を行う。流入口410aから流入した流体は、まず、分岐流路420aにおいて2つの流路421a、422aに分岐し、分岐流路430aにおいて2つの流路431a、432aに分岐する。
その後、縦方向に伸びる4本の流路440aに流れる。そして、4本の流路440aには、補償流路451aから458aが接続されている。そして、補償流路451aから458aの端には、ノズル接続口460aが接続されている。ノズル接続口460aは、分岐流路基板400とノズル基板を接合した際に、ノズル基板に形成されたノズルと連結するように配置されている。
補償流路451aから458aは、流入口410aに近いほど流抵抗が大きくなるようになっており、ノズル接続口460aにおける圧力が全て略等しくなるように調整されている。
流体を水とすると、粘性係数μは、1×10-3[Pa・s]、密度ρは、1×103[kg/m3]である。本実施例において、流路は、一括のエッチングで作成されるため、深さTは一定である。
ここでは、T=500μmとする。流路440aの幅Wを1mm、補償流路451aから458aの間隔Lを1mmとすると、式6、7におけるRは、以下で与えられる。
Figure 2008114218
補償流路の長さNを500μm、補償流路451aの幅w1を200μmとすると、補償流路451aの流抵抗r1は、式5より、以下で与えられる。
Figure 2008114218
よって、式7より以下が成立する。
Figure 2008114218
式5、式7より、補償流路452aから458aの流抵抗r2からr8と、幅w2からw8は、以下の式で決定できる。
Figure 2008114218
数値を代入して計算すると、以下の表2が得られる。
Figure 2008114218
補償流路451aから458aの幅を上記の表のw1からw8にすることで、各ノズルにかかる圧力を均一にすることができる。補償流路451bから458bも同様である。なお、本実施例においては、モデルを単純化することで設計を行ったが、より詳細なモデル化を行い、流体解析ソフトウェア等を用いて補償流路の設計を行えば、より精度の高い設計が可能である。
本実施例においても、補償流路の断面積が異なるので、各ノズルに印加される圧力が略等しくなるため、反応の条件が均一となり、良質な混合を行うことができる。即ち、流入口に近い搬送路(補償流路)に比べて遠い搬送路(補償流路)の断面積を大きくしているためである。
実施例5
図7は、本発明の実施例5の流体処理装置を説明する説明図である。本実施例では、実施例2と同様に、分岐流路基板とノズル基板を積層し、チューブコネクタを接続することで作成される。
分岐流路基板500は、シリコン基板を一面から垂直にエッチングを行うことで520a、bから540a、bを作成し、他面から貫通するまで垂直にエッチングを行うことで流入口510a、bを作成する。
510aから540aと510bから540bの働きは同一のため、510aから540aの働きについて説明を行う。流入口510aから流入した流体は、まず分岐流路520aにおいて3つの流路521aから523aに分岐する。
521aから523aの流抵抗が等しくなるように、522aは521a、523aよりも幅が狭くなっている。
そして、分岐流路530aにおいて3つの流路531aから533aに分岐する。531aから533aの流抵抗が等しくなるように、流路532aは、531a、533aと長さが等しくなるように蛇行している。
そして、流路531aから533aの端には、ノズル接続口540aが接続されている。分岐流路基板500とノズル基板を接合した際に、ノズル接続口540aは、ノズル基板に形成されたノズルと連結するように配置されている。
本実施例においても、各ノズルに印加される圧力が略等しくなるため、反応の条件が均一となり、良質な混合を行うことができる。
実施例6
図12は、本発明の実施例6の流体処理システムを示す概念図である。
1001は、本発明の流体処理システムである。1002は液体を搬送するための高圧ガス、1003は搬送圧力を制御するためのレギュレータ(流体制御手段)である。1004と1005は、反応液(供給物)を貯留する第1の反応液タンク(供給物貯留手段)と第2の反応液タンク(供給物貯留手段)である。1006は反応液の流量を監視するための流量計、1010は反応生成物を回収(貯蓄)する回収タンク(流出物貯留手段)である。そして反応容器1008には、本発明の流体処理装置1007が組み込まれている。
本実施例の流体処理システムを利用し、マゼンタ顔料の分散体を多量に製造する実際の例について説明する。
第1の反応液タンク1004には顔料溶解液、第2の反応液タンク1005にはイオン交換水が室温で貯留されている。
この例において用いる顔料溶解液の調製法について説明する。C.I.Pigment Red 122のキナクリドン顔料10部にジメチルスルホキシド100部を加え懸濁させる。
つづいて分散剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテルを40部加え、これらが溶解するまで25%水酸化カリウム水溶液を加えていき第2の反応液を調製する。
それぞれの反応液は、高圧ガス1002の圧力により反応容器1008へ搬送される。このとき、流量計1006を監視しレギュレータ1003を調節することにより、反応液の流量を制御する。
これにより、顔料溶解液は流速23.3m/s、水は流速50m/sで噴出し、流体処理装置1007の下方、反応容器1008内で交差し混合される。混合の結果、生成されたマゼンタ顔料の分散体1009は回収タンク1010に回収される。
従来、実験的な製造設備により製造された少量の混合物質を大規模の製造設備により多量に製造するためには、新たにプラント設計が必要となり反応の再現性を得るために多大の労力および時間を費やしてきた。
本発明の流体処理システムは、流体混合装置を集積化することで必要となる製造量に対応することができるため、上記の労力および時間を大幅に減少できる。さらに、本発明の流体処理システムは、任意の数の流体処理装置を配置することで、必要となる製造量に対応した流体処理システムを構成することができる。
本発明の流体処理装置は、多数のノズルから吐出圧力を均一にして流体を衝突させることにより、流体の均一な混合または反応を行うことができるので、化学工業、生化学工業、食品工業、製薬工業等の流体処理システムに利用することができる。
本発明の実施例1の流体処理装置を示す斜視図である。 本発明の実施例1の流体処理装置を説明する説明図である。 本発明の流体処理装置の1例を説明する説明図である。 本発明の実施例2の流体処理装置を説明する説明図である。 本発明の実施例3の流体処理装置を説明する説明図である。 本発明の実施例3の流体処理装置を説明する説明図である。 本発明の実施例4の流体処理装置を説明する説明図である。 本発明の実施例5の流体処理装置を説明する説明図である。 本発明の流体処理装置の分岐流路の効果を説明するための模式図である。 本発明の流体処理装置の分岐流路の効果を説明するための等価回路図である。 本発明の流体処理装置の補償流路の効果を説明するための模式図である。 本発明の流体処理装置の補償流路の効果を説明するための等価回路図である。 本発明の流体処理システムを説明するための説明図である。 従来の流体処理装置を説明するための説明図である。 従来の流体処理装置を説明するための説明図である。
符号の説明
101aから116a、101bから116b、201a、bから208a、b、301a、bから308a、b、601、801 ノズル
129a、b、229a、b、329a、b チューブコネクタ
220a、b、420a、b、430a、b、440a、b、520a、b、530a、b 分岐流路
221a、b、410a、b、510a、b、621、821 流入口
311aから318a、311bから318b、451aから458a、451bから458b 補償流路
131から134、231、400、500 分岐流路基板
135、232、333 ノズル基板
331 主流路基板
332 補償流路基板
421a、422a、431a、b、432a、b、521a、bから523a、b、531a、bから533a、b 流路
460a、b、540a、b ノズル接続口
621 流入口
622から624 分岐流路
701、901 ノズル等価素子
722から724 分岐流路の等価抵抗
730、930 電圧源
810(1)から810(n) 補償流路
820 主流路
910(1)から910(n) 補償流路の流抵抗
920 主流路の等価抵抗
1001 流体処理システム
1002 高圧ガス
1003 レギュレータ
1004 第1の反応液タンク
1005 第2の反応液タンク
1006 流量計
1007 流体処理装置
1008 反応容器
1010 回収タンク
1101、1102 オリフィス
1103 末広がり遮蔽部
1104 ジェット衝突混合室
1201、1202 ノズル

Claims (10)

  1. 流体を流入させる1つの流入口と、該1つの流入口から分岐してN個に分かれたN個の搬送路と、N個の搬送路に接続されたN個の流出口とを備えた第1のユニットと、第1のユニットに対応して1つの流入口と、N個の搬送路と、N個の流出口とを備えた第2のユニットを有し、前記第1のユニットの流出口から流出する第1の流体と、前記第2のユニットの流出口から流出する第2の流体とを接触させて、流体の混合または反応を行う流体処理装置であって、第1のユニットにおける前記N個の搬送路の長さ及び、第2のユニットにおける前記N個の搬送路の長さのバラツキが20%以下とされていることを特徴とする流体処理装置。
  2. 前記搬送路が、1つの流入口から第1の分岐をして2個の第1の分岐流路となり、該第1の分岐流路の各々から第2の分岐して各々2個の第2の分岐流路を構成する請求項1に記載の流体処理装置。
  3. 前記N個の搬送路は、2の倍数である請求項1に記載の流体処理装置。
  4. 前記流入口が、前記N個の搬送路の中央部に位置して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流体処理装置。
  5. 前記第1の分岐流路と、前記第2の分岐流路と、は異なる基板に形成された流路からなる請求項2に記載の流体処理装置。
  6. 前記異なる基板を積層して前記第1の分岐流路と、前記第2の分岐流路と、が接続されたことを特徴とする請求項5に記載の流体処理装置。
  7. 流体を流入させる1つの流入口と、該1つの流入口から分岐した複数の搬送路と、該複数の搬送路に接続された複数の流出口とを備えた第1のユニットと、第1のユニットに対応して1つの流入口と、複数の搬送路と、複数の流出口とを備えた第2のユニットを有し、前記第1のユニットの流出口から流出する第1の流体と、前記第2のユニットの流出口から流出する第2の流体とを接触させて、流体の混合または反応を行う流体処理装置において、第1及び第2のユニットにおける前記流入口から前記複数の流出口に至る複数の搬送路について、前記流入口に近い搬送路に比べて遠い搬送路の断面積が大きいことを特徴とする流体処理装置。
  8. 前記搬送路が、前記一つの流入口に接続している主流路と、該主流路から分岐をして設けられ複数の補償流路からなり、該複数の補償流路の断面積が異なっていることを特徴とする請求項7に記載の流体処理装置。
  9. 前記複数の補償流路の長さは等しいことを特徴とする請求項8に記載の流体処理装置。
  10. 請求項1又は請求項7に記載の流体処理装置と、流体を搬送する搬送手段と、該搬送手段を制御する流体制御手段と、前記流体処理装置に供給する流体を貯留する供給物貯留手段と、前記流体処理装置から流出した流体を貯留する流出物貯留手段とを備えていることを特徴とする流体処理システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012502796A (ja) * 2008-09-22 2012-02-02 モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク 流体供給装置及びその形成方法

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