JP2008107591A - 複屈折フィルムの製造方法、複屈折フィルム、および積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】3次元的に屈折率が制御され、薄型であり、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難く、配向性が良好な、複屈折フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の複屈折フィルムの製造方法は、−SO3M基及び/又は−COOM基を含む、少なくとも1種の多環式化合物(Mは、対イオンを表す)と、溶媒とを含有し、ネマチック液晶相を示す溶液を調製する工程(1);少なくとも一方の表面が親水化処理された基材を準備する工程(2);前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面に、前記工程(1)で調製した溶液を塗工し、乾燥させる工程(3);を含む、複屈折フィルムの製造方法であって、前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面の、23℃における水の接触角を45°以下とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、複屈折フィルムの製造方法、その方法により得られる複屈折フィルム、および、その複屈折フィルムを含む積層体に関する。
液晶表示装置(以下、LCD)は、液晶分子の電気光学特性を利用して、文字や画像を表示する素子であり、携帯電話やノートパソコン、液晶テレビ等に広く普及している。しかし、LCDは、光学異方性を持った液晶分子を利用するため、ある一方向には優れた表示特性を示していても、他の方向では、画面が暗くなったり、不鮮明になったりするといった課題がある。複屈折フィルムは、このような課題を解決するために、LCDに広く採用されている。
複屈折フィルムの一つとして、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような屈折率の関係を有する複屈折フィルムは、従来、高分子フィルムの両側に収縮性フィルムを貼着して、厚み方向に膨張するように延伸して作製される。このため、従来の、このような屈折率の関係を有する複屈折フィルムは、分厚くなり易く、液晶ディスプレイの薄型化が困難となるという問題があった。
また、従来の、上記のような屈折率の関係を有する複屈折フィルムは、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し易いという問題や、配向性の不良に基づく光抜けの問題がある。
特開2006−072309号公報
本発明の課題は、3次元的に屈折率が制御され、薄型であり、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難く、配向性が良好な、複屈折フィルムの製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、そのような製造方法によって、薄型で、光学特性に優れた複屈折フィルムを提供すること、および、そのような複屈折フィルムを含む積層体を提供することにある。
本発明の複屈折フィルムの製造方法は、
−SO3M基及び/又は−COOM基を含む、少なくとも1種の多環式化合物(Mは、対イオンを表す)と、溶媒とを含有し、ネマチック液晶相を示す溶液を調製する工程(1);
少なくとも一方の表面が親水化処理された基材を準備する工程(2);
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面に、前記工程(1)で調製した溶液を塗工し、乾燥させる工程(3);
を含む、複屈折フィルムの製造方法であって、
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面の、23℃における水の接触角を45°以下とする。
−SO3M基及び/又は−COOM基を含む、少なくとも1種の多環式化合物(Mは、対イオンを表す)と、溶媒とを含有し、ネマチック液晶相を示す溶液を調製する工程(1);
少なくとも一方の表面が親水化処理された基材を準備する工程(2);
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面に、前記工程(1)で調製した溶液を塗工し、乾燥させる工程(3);
を含む、複屈折フィルムの製造方法であって、
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面の、23℃における水の接触角を45°以下とする。
好ましい実施形態においては、前記親水化処理は、コロナ処理、プラズマ処理、超音波洗浄処理、アルカリ処理、アンカーコート処理から選ばれる少なくとも1つである。
好ましい実施形態においては、前記基材が、ガラス基板または高分子フィルムである。
好ましい実施形態においては、前記多環式化合物が、一般式(I)で表されるアセトナフト[1,2−b]キノキサリン誘導体を含む。
(式中、k、lはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、m、nはそれぞれ独立して0〜6の整数であり、Mは、対イオンを表す。ただし、k、l、m、及びnは、同時に0ではない。)
(式中、k、lはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、m、nはそれぞれ独立して0〜6の整数であり、Mは、対イオンを表す。ただし、k、l、m、及びnは、同時に0ではない。)
本発明の別の局面によれば、複屈折フィルムが提供される。本発明の複屈折フィルムは、本発明の製造方法で得られる。
好ましい実施形態においては、本発明の複屈折フィルムは、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足する。
好ましい実施形態においては、本発明の複屈折フィルムは、厚みが0.05μm〜10μmである。
本発明の別の局面によれば、積層体が提供される。本発明の積層体は、本発明の複屈折フィルムと偏光子とを少なくとも備える。
本発明によれば、3次元的に屈折率が制御され、薄型であり、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難く、配向性が良好な、複屈折フィルムの製造方法を提供することができる。また、そのような製造方法によって、薄型で、光学特性に優れた複屈折フィルムを提供すること、および、そのような複屈折フィルムを含む積層体を提供することができる。
上記のような効果は、複屈折フィルムを製造するに際して、基材表面に、特定の多環式化合物と溶媒とを含有してネマチック液晶相を示す溶液を塗工して乾燥させるとともに、上記溶液を塗工する前に上記基材表面を、23℃における水の接触角が特定値以下になるように親水化処理することによって発現することが可能となる。
本明細書において「複屈折フィルム」とは、面内及び/又は厚み方向に複屈折を示すものをいい、波長590nmにおける面内及び/又は厚み方向の複屈折率が、1×10−4以上であるものを包含する。
〔A.複屈折フィルムの製造方法〕
本発明の複屈折フィルムの製造方法は、
−SO3M基及び/又は−COOM基を含む、少なくとも1種の多環式化合物(Mは、対イオンを表す)と、溶媒とを含有し、ネマチック液晶相を示す溶液を調製する工程(1);
少なくとも一方の表面が親水化処理された基材を準備する工程(2);
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面に、前記工程(1)で調製した溶液を塗工し、乾燥させる工程(3);
を含む、複屈折フィルムの製造方法であって、
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面の、23℃における水の接触角を45°以下とする。
〔A.複屈折フィルムの製造方法〕
本発明の複屈折フィルムの製造方法は、
−SO3M基及び/又は−COOM基を含む、少なくとも1種の多環式化合物(Mは、対イオンを表す)と、溶媒とを含有し、ネマチック液晶相を示す溶液を調製する工程(1);
少なくとも一方の表面が親水化処理された基材を準備する工程(2);
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面に、前記工程(1)で調製した溶液を塗工し、乾燥させる工程(3);
を含む、複屈折フィルムの製造方法であって、
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面の、23℃における水の接触角を45°以下とする。
上記工程(1)で用いられる−SO3M基及び/又は−COOM基を含む多環式化合物(Mは、対イオンを表す)は、−SO3M基及び/又は−COOM基を含むものであれば、任意の適切な多環式化合物が用いられ得る。上記多環式化合物は、好ましくは、溶液状態で液晶相を呈すものである(すなわち、リオトロピック液晶)。上記液晶相は、配向性に優れるという点で、好ましくは、ネマチック液晶相である。
上記多環式化合物として、好ましくは、一般式(I)で表されるアセトナフト[1,2−b]キノキサリン誘導体を含む。式中、k、lはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、m、nはそれぞれ独立して0〜6の整数であり、Mは、対イオンを表す。ただし、k、l、m、及びnは、同時に0ではない。上記工程(1)で用いられる多環式化合物は、一般式(I)で表される多環式化合物であって、−SO3M基及び/又は−COOM基の置換位置が異なるものを、不純物として微量に含まれるものを除いて、2種類以上含んだ組成物であってもよい。好ましくは2種類〜6種類であり、より好ましくは2種類〜4種類である。
このような多環式化合物は、溶液中で、安定な液晶相を形成することができ、溶液からのソルベントキャスティング法によって、高い面内の複屈折率を有し、可視光の領域で吸収がないか又は小さい、透明な複屈折フィルムを提供することができる。
一般式(I)中、Mは、対イオンであり、好ましくは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、金属イオン、又は置換若しくは無置換のアンモニウムイオンである。上記金属イオンとしては、例えば、Ni2+、Fe3+、Cu2+、Ag+、Zn2+、Al3+、Pd2+、Cd2+、Sn2+、Co2+、Mn2+、Ce3+が挙げられる。本発明の複屈折フィルムを水溶液から製造する場合、上記Mは、当初、水への溶解性を向上させる基を選択しておき、成膜後は、フィルムの耐水性を高めるために、水に不溶性又は難溶性の基に置換することもできる。
上記アセトナフト[1,2−b]キノキサリン誘導体は、以下のように、アセトナフト[1,2−b]キノキサリンカルボン酸を、硫酸、発煙硫酸、又はクロロスルホン酸でスルホン化することによって得ることができる。
式中、k、lはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、m、nはそれぞれ独立して0〜6の整数であり、Mは、対イオンを表す。ただし、k、l、m、及びnは、同時に0ではない。
あるいは、アセトナフト[1,2−b]キノキサリン誘導体は、以下のように、ベンゼン−1,2−ジアミンのスルホ及び/又はカルボキシ誘導体と、アセナフトキノンのスルホ及び/又はカルボキシ誘導体とを縮合反応させて得ることもできる。
上記工程(1)で用いられる溶媒は、上記多環式化合物を溶解して、ネマチック液晶相を発現させるために用いられる。上記溶媒は、任意の適切なものが選択され得る。上記溶媒は、例えば、水などの無機溶剤であってもよいし、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族および芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、セロソルブ類などの有機溶剤であってもよい。上記溶媒としては、例えば、n−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブが挙げられる。これらの溶媒は、1種類のみを用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
特に好ましくは、上記溶媒は、水である。上記水の電気伝導率は、好ましくは20μS/cm以下であり、さらに好ましくは0.001μS/cm〜10μS/cmであり、特に好ましくは0.01μS/cm〜5μS/cmである。上記水の電気伝導率の下限値は、0μS/cmである。水の電気伝導率を上記の範囲とすることによって、高い面内の複屈折率を有する複屈折フィルムを提供し得る。
上記溶液の多環式化合物の濃度は、用いる多環式化合物の種類によって、ネマチック液晶相を示す範囲に適宜、調製され得る。上記溶液の多環式化合物の濃度は、好ましくは5重量%〜40重量%であり、さらに好ましくは5重量%〜35重量%であり、特に好ましくは5重量%〜30重量%である。溶液の濃度を上記範囲とすることによって、該溶液は、安定な液晶状態を形成し得る。上記ネマチック液晶相は、偏光顕微鏡で観察される液晶相の光学模様によって、確認、識別することができる。
上記溶液は、任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。上記添加剤としては、例えば、界面活性剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、および増粘剤などが挙げられる。上記添加剤の添加量は、好ましくは、溶液100重量部に対して、0を超え10重量部以下である。
上記溶液は、界面活性剤をさらに含有し得る。界面活性剤は、多環式化合物の基材表面へのぬれ性、塗工性を向上させるために使用される。上記界面活性剤は、好ましくは、非イオン界面活性剤である。上記界面活性剤の添加量は、好ましくは、溶液100重量部に対して、0を超え5重量部以下である。
上記工程(2)における「親水化処理」とは、基材の水の接触角を低下させる処理をいう。上記親水化処理は、上記工程(1)で調製した溶液を塗工する基材表面のぬれ性、塗工性を向上させるために用いられる。
上記親水化処理は、基材の23℃における水の接触角を45°以下とする。基材の水の接触角を上記範囲とすることによって、3次元的に屈折率が制御され、薄型であり、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難く、配向性が良好な、複屈折フィルムを提供することができる。基材の23℃における水の接触角は、好ましくは5°〜45°であり、より好ましくは5°〜43°であり、さらに好ましくは5°〜40°である。
上記親水化処理は、基材の23℃における水の接触角を、処理前に比べて、好ましくは10%以上低下させる処理であり、さらに好ましくは15%〜80%低下させる処理であり、特に好ましくは20%〜70%低下させる処理である。なお、この低下させる割合(%)は、
式;{(処理前の接触角−処理後の接触角)/処理前の接触角}×100
により求められる。
式;{(処理前の接触角−処理後の接触角)/処理前の接触角}×100
により求められる。
上記親水化処理は、基材の23℃における水の接触角を、処理前に比べて、好ましくは5°以上低下させる処理であり、さらに好ましくは10°〜65°低下させる処理であり、特に好ましくは20°〜65°低下させる処理である。
上記親水化処理は、任意の適切な方法が採用され得る。上記親水化処理は、例えば、乾式処理でもよく、湿式処理でもよい。乾式処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、及びグロー放電処理などの放電処理、火炎処理、オゾン処理、UVオゾン処理、紫外線処理および電子線処理などの電離活性線処理が挙げられる。湿式処理としては、例えば、水やアセトンなどの溶媒を用いた超音波処理、アルカリ処理、アンカーコート処理が挙げられる。これらの処理は、1種類のみを用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
上記親水化処理は、好ましくは、コロナ処理、プラズマ処理、超音波洗浄処理、アルカリ処理、アンカーコート処理から選ばれる少なくとも1つである。上記の親水化処理であれば、3次元的に屈折率が制御され、薄型であり、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難く、配向性が良好な、複屈折フィルムを提供することができる。上記親水化処理の条件、例えば、処理時間や強度などは、基材の水の接触角が上記の範囲となるように、適宜、適切に調整され得る。
上記コロナ処理は、代表的には、接地された誘電体ロールと絶縁された電極との間に高周波、高電圧を印加することにより、電極間の空気が絶縁破壊してイオン化し発生するコロナ放電内へ、基材を通過させることによって、基材表面を改質する処理である。上記コロナ処理において、基材の23℃における水の接触角は、例えば、コロナ放電の強度を高めたり、コロナ放電内に基材を通過させる時間を長くしたりすることによって、所望の値に減少させることができる。
上記プラズマ処理は、代表的には、低圧の不活性ガスや酸素、ハロゲンガスなど無機気体中でグロー放電を起こすと、気体分子の一部がイオン化して発生する低温プラズマ内へ、基材を通過させることによって、基材表面を改質する処理である。上記プラズマ処理において、基材の23℃における水の接触角は、例えば、グロー放電の強度を高めたり、グロー放電内に基材を通過させる時間を長くしたりすることによって、所望の値に減少させることができる。
上記超音波洗浄処理は、代表的には、水や有機溶媒中に基材を浸漬させて超音波をあてることにより、基材表面の汚染物を除去し、基材のぬれ性を改善する処理である。上記超音波洗浄処理において、基材の23℃における水の接触角は、例えば、汚染物の溶解性の高い溶媒を経験的に選択したり、洗浄時間を長くしたりすることによって、所望の値に減少させることができる。
上記アルカリ処理は、代表的には、塩基性物質を水又は有機溶剤に溶解したアルカリ処理液に、基材を浸漬することによって、基材表面を改質する処理である。上記アルカリ処理において、基材の23℃における水の接触角は、例えば、処理液のpHを高くしたり、浸漬時間を長くしたりすることによって、所望の値に減少させることができる。
上記アンカーコート処理は、代表的には、基材表面にアンカーコート剤を塗工する処理である。上記アンカーコート処理において、基材の23℃における水の接触角は、例えば、アンカーコート剤として、ポリビニルアルコール系樹脂やウレタン系樹脂を含むものを用いることにより、所望の値に減少させることができる。
上記工程(2)で用いられる基材は、上記多環式化合物と溶媒とを含有する溶液を、均一に流延するために用いられる。上記基材は、任意の適切なものが選択され得る。上記基材としては、例えば、ガラス基板、石英基板、高分子フィルム、プラスチックス基板、アルミや鉄などの金属板、セラミックス基板、シリコンウエハーが挙げられる。上記基材は、好ましくは、ガラス基板または高分子フィルムである。
上記ガラス基板としては、任意の適切なものが選択され得る。好ましくは、上記ガラス基板は、液晶セルに用いられるものであり、例えば、アルカリ成分を含むソーダ石灰(青板)ガラス、又は低アルカリ硼砂酸ガラスである。上記ガラス基板は、市販のものをそのまま用いてもよい。市販のガラス基板としては、例えば、コーニング社製 ガラスコード:1737、旭硝子(株)製 ガラスコード:AN635、NHテクノグラス(株)製 ガラスコード:NA−35などが挙げられる。
上記高分子フィルムを形成する樹脂としては、任意の適切なものが選択され得る。好ましくは、上記高分子フィルムは、熱可塑性樹脂を含有する。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂が挙げられる。上記の熱可塑性樹脂は、1種類のみを用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、上記の熱可塑性樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもできる。上記ポリマー変性としては、例えば、共重合、架橋、分子末端、立体規則性などの変性が挙げられる。
本発明に用いられる基材は、好ましくは、ポリノルボルネン系樹脂やシクロオレフィン系樹脂のような環状オレフィン系樹脂および/またはセルロース系樹脂を含有する高分子フィルムである。多環式化合物のぬれ性に優れ、3次元的に屈折率が制御され、薄型であり、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難く、配向性が良好な、複屈折フィルムを提供し得るからである。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとの共重合体(代表的には、ランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト変性体、ならびに、それらの水素化物が挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。環状オレフィン系樹脂としては、ポリノルボルネン系樹脂が好ましく挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンの3〜4量体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
上記環状オレフィン系樹脂は、種々の製品が市販されている。環状オレフィン系樹脂を含有する市販の高分子フィルムとしては、例えば、日本ゼオン社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR社製の商品名「アートン(Arton)」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学社製の商品名「APEL」が挙げられる。
上記セルロース系樹脂は、任意の適切なものが採用され得る。上記セルロース系樹脂は、好ましくは、セルロースの水酸基の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基および/またはブチル基で置換された、セルロース有機酸エステルまたはセルロース混合有機酸エステルである。上記セルロース有機酸エステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等が挙げられる。上記セルロース混合有機酸エステルとしては、例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。上記セルロース系樹脂は、例えば、特開2001−188128号公報[0040]〜[0041]に記載の方法により得ることができる。
上記セルロース系樹脂は、種々の製品が市販されている。セルロース系樹脂を含有する市販の高分子フィルムとしては、例えば、富士写真フィルム(株)製 フジタックシリーズ(商品名;ZRF80S,TD80UF,TDY−80UL)、コニカミノルタオプト(株)製 商品名「KC8UX2M」が挙げられる。
上記基材の厚みは、好ましくは、20μm〜100μmである。基材の厚みを上記の範囲とすることによって、基材のハンドリング性や塗工性が優れる。
上記工程(3)における、溶液の塗工速度は、好ましくは50mm/秒以上であり、さらに好ましくは100mm/秒以上である。塗工速度を上記の範囲にすることによって、本発明に用いられる溶液に、多環式化合物が配向するのに適したせん断力がかかり、高い面内の複屈折率を有し、且つ、厚みバラツキの小さい複屈折フィルムが得られ得る。
上記溶液を基材の表面に塗工する方法としては、適宜、適切なコータを用いた塗工方式が採用され得る。上記コータとしては、例えば、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ナイフコータ、ロッドコータ、スロットダイコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、エアドクタコータ、キスコータ、ディップコータ、ビードコータ、ブレードコータ、キャストコータ、スプレイコータ、スピンコータ、押出コータ、ホットメルトコータなどが挙げられる。上記コータは、好ましくは、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ロッドコータ、スロットダイコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、及びファウンテンコータある。上記のコータを用いた塗工方式であれば、厚みバラツキの小さい複屈折フィルムを得ることができる。
上記溶液を乾燥させる方法は、適宜、適切な方法が採用され得る。乾燥方法は、例えば、熱風又は冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波もしくは遠赤外線などを利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロール又は金属ベルトなどの乾燥手段が挙げられる。
上記溶液を乾燥させる温度は、上記溶液の等方相転移温度以下であり、低温から高温へ徐々に昇温して乾燥させることが好ましい。上記乾燥温度は、好ましくは10℃〜80℃であり、さらに好ましくは20℃〜60℃である。上記の温度範囲であれば厚みバラツキの小さい複屈折フィルムを得ることができる。
上記溶液を乾燥させる時間は、乾燥温度や溶媒の種類によって、適宜、選択され得るが、厚みバラツキの小さい複屈折フィルムを得るためには、例えば1分〜30分であり、好ましくは1分〜10分である。
本発明の複屈折フィルムの製造方法は、上記工程(1)〜(3)の後に、工程(4)をさらに含んでいても良い。
工程(4):上記工程(3)で得られたフィルムに、アルミニウム塩、バリウム塩、鉛塩、クロム塩、ストロンチウム塩、及び分子内に2個以上のアミノ基を有する化合物塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物塩を含む溶液を接触させる工程。
上記工程(4)は、得られる複屈折フィルムを、水に対して、不溶化又は難溶化させるために用いられ得る。上記化合物塩としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化バリウム、塩化鉛、塩化クロム、塩化ストロンチウム、4,4’−テトラメチルジアミノジフェニルメタン塩酸塩、2,2’−ジピリジル塩酸塩、4,4’−ジピリジル塩酸塩、メラミン塩酸塩、テトラアミノピリミジン塩酸塩が挙げられる。これらのような化合物塩であれば、耐水性に優れた複屈折フィルムが得られ得る。
上記の化合物塩を含む溶液の、化合物塩の濃度は、好ましくは3重量%〜40重量%であり、特に好ましくは、5重量%〜30重量%である。複屈折フィルムを上記範囲の濃度の化合物塩を含む溶液と接触させることによって、耐久性に優れたものが得られ得る。
上記工程(3)で得られた複屈折フィルムを、上記化合物塩を含む溶液と接触させる方法としては、例えば、当該複屈折フィルムの表面に上記化合物塩を含む溶液を塗工する方法、当該複屈折フィルムを上記化合物塩を含む溶液に浸漬する方法など、任意の適切な方法が採用され得る。これらの方法が採用される場合、得られた複屈折フィルムは、水又は任意の溶剤で洗浄することが好ましく、さらに乾燥させることで、基材と複屈折フィルムとの界面の密着性に優れた積層体が得られ得る。
〔B.本発明の複屈折フィルムの概要〕
本発明の複屈折フィルムは、本発明の製造方法によって得られる複屈折フィルムであって、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足する。
本発明の複屈折フィルムは、本発明の製造方法によって得られる複屈折フィルムであって、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足する。
屈折率楕円体が「nx>nz>ny」の関係とは、複屈折フィルムの面内において屈折率の最大となる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率をnx、面内において遅相軸方向と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとした場合の複屈折フィルムの光学的な異方性を表す。
本発明の複屈折フィルムは、本発明の特徴的な製造方法で製造されたものであり、且つ、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足するので、3次元的に屈折率が制御され、薄型であり、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難く、配向性が良好な、複屈折フィルムとなり得る。
本発明の製造方法において−SO3M基及び/又は−COOM基を含む特定の多環式化合物を用いていることにより、3次元的に屈折率を制御し、nx>nz>nyの関係を満足する屈折率楕円体を得ることができ、また、該多環式化合物が、溶液中で、会合体を形成し易く、この会合体を形成した状態の秩序性が高いために、かかる溶液から形成された複屈折フィルムが高い配向性を示す。さらに、多環式化合物の溶媒に対する溶解性が高いので、薄い成膜が可能となり、薄型の複屈折フィルムを提供することが可能となる。
本発明の製造方法において、ネマチック液晶相を示す溶液を基材に塗工する前に、該基材表面を、23℃における水の接触角が特定値以下になるように親水化処理することにより、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難く、配向性が良好な、複屈折フィルムを提供することができる。
本発明の複屈折フィルムの波長590nmにおける面内の複屈折率(Δn[590]=nx−ny)は、好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1〜0.5であり、特に好ましくは0.2〜0.4である。なお、上記Δn[590]は、多乾式化合物の分子構造により、上記範囲に、適宜、調整することができる。
本発明の複屈折フィルムの厚みは、好ましくは0.05μm〜10μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜8μmであり、特に好ましくは0.1μm〜6μmである。上記範囲の厚みとすることによって、例えば、液晶表示装置に用いた場合に、表示特性の改善に有用な位相差値の範囲を得ることができる。
本発明の複屈折フィルムの波長590nmにおける透過率は、好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
本発明の複屈折フィルムの波長590nmにおける面内の位相差値(Re[590])は、目的に応じて、適切な値に設定され得る。上記Re[590]は、10nm以上であり、好ましくは20nm〜1000nmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmであり、特に好ましくは100nm〜400nmである。本明細書において、面内の位相差値(Re[λ])は、23℃で波長λ(nm)における面内の位相差値をいう。Re[λ]は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Re[λ]=(nx−ny)×dによって求めることができる。
本発明の複屈折フィルムの波長590nmにおける厚み方向の位相差値Rth[590]は、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足する範囲で、適切な値に設定され得る。上記複屈折フィルムの波長590nmにおける面内の位相差値(Re[590])と厚み方向の位相差値(Rth[590])との差は、好ましくは10nm〜800nmであり、さらに好ましくは10nm〜400nmであり、特に好ましくは10nm〜200nmである。本明細書において、厚み方向の位相差値(Rth[λ])は、23℃で波長λ(nm)における厚み方向の位相差値をいう。Rth[λ]は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Rth[λ]=(nx−nz)×dによって求めることができる。
本発明の複屈折フィルムのNz係数は、好ましくは0を超え1未満であり、さらに好ましくは0.1〜0.8であり、特に好ましくは0.1〜0.7であり、最も好ましくは0.1〜0.6である。Nz係数が上記の範囲であれば、本発明の複屈折フィルムは、様々な駆動モードの液晶セルの光学補償に利用することができる。本明細書において、Nz係数とは、Rth[590]/Re[590]から算出される値である。
本発明の複屈折フィルムの波長分散値(D)は、好ましくは1.05以上であり、さらに好ましくは1.06〜1.15であり、最も好ましくは1.07〜1.12である。本明細書において、波長分散値(D)は、次式;D=Re[480]/Re[550]から算出される値である。従来、高分子フィルムを延伸して作製した複屈折フィルムでは、このような急峻な波長依存性を示すものは得られていなかった。本発明の複屈折フィルムは、短波長の光で測定した位相差値が、長波長の光で測定した位相差値よりも十分に大きい。このように、急峻な位相差の波長依存性を示すことも、本発明の複屈折フィルムの特徴である。
本発明の複屈折フィルムは、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難い。具体的には、温度60度、湿度90%の環境下で200時間放置した場合の面内位相差変化(Δ(Δnd)=Δnd(200時間後)−Δnd(0時間後))が、好ましくは±10nm以内、より好ましくは±8nm以内、さらに好ましくは±6nm以内、特に好ましくは±4nm以内、最も好ましくは±2nm以内である。
本発明の複屈折フィルムは、配向性が良好である。具体的には、クロスニコルの関係にある2枚の偏光板の間に複屈折フィルムを配置して、高速積分球式分光透過率測定器(例えば、村上色彩技術研究所製のDOT−3C)により測定した光抜け(Y値)が、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.4以下、最も好ましくは0.35以下である。
〔C.複屈折フィルムの用途〕
本発明の複屈折フィルムの用途は、特に制限はないが、代表的には、液晶表示装置のλ/4板、λ/2板、視野角拡大フィルム、フラットパネルディスプレイ用反射防止フィルムが挙げられる。1つの実施形態においては、上記複屈折フィルムは、偏光子と積層して、積層体として用いてもよい。積層体の具体例としては、例えば、偏光板が挙げられる。
本発明の複屈折フィルムの用途は、特に制限はないが、代表的には、液晶表示装置のλ/4板、λ/2板、視野角拡大フィルム、フラットパネルディスプレイ用反射防止フィルムが挙げられる。1つの実施形態においては、上記複屈折フィルムは、偏光子と積層して、積層体として用いてもよい。積層体の具体例としては、例えば、偏光板が挙げられる。
〔D.本発明の積層体〕
本発明の積層体は、本発明の複屈折フィルムと偏光子とを少なくとも備える。本発明の積層体は、基材と本発明の複屈折フィルムとを少なくとも備える積層フィルムを含んでいてもよいし、他の複屈折フィルムや、任意の保護層を含んでいてもよい。実用的には、本発明の積層体の、構成部材の各層の間には、任意の適切な接着層が設けられ、偏光子と各構成部材とが貼着される。
本発明の積層体は、本発明の複屈折フィルムと偏光子とを少なくとも備える。本発明の積層体は、基材と本発明の複屈折フィルムとを少なくとも備える積層フィルムを含んでいてもよいし、他の複屈折フィルムや、任意の保護層を含んでいてもよい。実用的には、本発明の積層体の、構成部材の各層の間には、任意の適切な接着層が設けられ、偏光子と各構成部材とが貼着される。
上記偏光子としては、自然光又は偏光を直線偏光に変換するものであれば、適切なものが採用され得る。上記偏光子は、好ましくは、ヨウ素又は二色性染料を含有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする延伸フィルムである。上記偏光子の厚みは、通常、5μm〜50μmである。
上記接着層は、隣り合う部材の面と面とを接合し、実用上十分な接着力と接着時間で、一体化させるものであれば、任意の適切なものが選択され得る。上記接着層を形成する材料としては、例えば、接着剤、粘着剤、アンカーコート剤が挙げられる。上記接着層は、被着体の表面にアンカーコート剤層が形成され、その上に接着剤層または粘着剤層が形成されたような多層構造であってもよいし、肉眼的に認知できないような薄い層(ヘアーラインともいう)であってもよい。偏光子の一方の側に配置された接着層と他方の側に配置された接着層は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の積層体の、偏光子の吸収軸方向と本発明の複屈折フィルムの遅相軸方向とのなす角度は、目的に応じて、適宜、設定され得る。例えば、反射防止フィルムとして用いられる場合は、偏光子の吸収軸方向と本発明の複屈折フィルムの遅相軸方向とのなす角度が、好ましくは25°〜65°であり、さらに好ましくは35°〜55°である。視野角拡大フィルムとして用いられる場合は、本発明の積層体は、偏光子の吸収軸方向と本発明の複屈折フィルムの遅相軸方向とのなす角度が、実質的に平行又は実質的に直交である。本明細書において「実質的に平行」とは、偏光子の吸収軸方向と本発明の複屈折フィルムの遅相軸方向とのなす角度が、0°±10°の範囲を包含し、好ましくは0°±5°である。「実質的に直交」とは、偏光子の吸収軸方向と本発明の複屈折フィルムの遅相軸方向とのなす角度が、90°±10°の範囲を包含し、好ましくは90°±5°である。
本発明について、以上の実施例および比較例を用いて更に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(1)厚みの測定方法:
厚みが10μm未満の場合、薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製 製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。厚みが10μm以上の場合、アンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(2)透過率(T[590])、面内の複屈折率(Δn[590])、位相差値(Re[λ]、Rth[λ])の測定方法:
王子計測機器(株)製 商品名「KOBRA21−ADH」を用いて、23℃で測定した。なお、平均屈折率は、アッベ屈折率計[アタゴ(株)製 製品名「DR−M4」]を用いて測定した値を用いた。
(3)電気伝導度の測定方法:
濃度を0.05重量%に調製した水溶液で、溶液電導率計[京都電子工業(株)製 製品名「CM−117」]の電極を洗浄した後、電極に接続された1cm3の容器に試料を満たして、表示された電気伝導度が一定の値を示したところを、測定値とした。
(4)水の接触角の測定方法:
固液界面解析装置[協和界面科学(株)製 製品名「Drop Master300」]を用いて、基材に液を滴下した後、5秒間経過した後の接触角を測定した。測定条件は、静的接触角測定である。水は、超純水を用い、液滴は0.5μlとした。それぞれの基材について、繰り返し回数10回の平均値を、測定値とした。
(5)高温高湿下信頼性試験
温度60度、湿度90%の環境下で200時間放置した場合の面内位相差変化(Δ(Δnd)=Δnd(200時間後)−Δnd(0時間後))を測定した。
(6)配向性評価
クロスニコルの関係にある2枚の偏光板(日東電工株式会社製、商品名「SEG1224DU」)の間に、複屈折フィルムを、該フィルムの遅相軸が2枚の偏光板のいずれかの吸収軸と同軸になるように配置して、高速積分球式分光透過率測定器(例えば、村上色彩技術研究所製のDOT−3C)により光抜け(Y値)を測定した。
(1)厚みの測定方法:
厚みが10μm未満の場合、薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製 製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。厚みが10μm以上の場合、アンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(2)透過率(T[590])、面内の複屈折率(Δn[590])、位相差値(Re[λ]、Rth[λ])の測定方法:
王子計測機器(株)製 商品名「KOBRA21−ADH」を用いて、23℃で測定した。なお、平均屈折率は、アッベ屈折率計[アタゴ(株)製 製品名「DR−M4」]を用いて測定した値を用いた。
(3)電気伝導度の測定方法:
濃度を0.05重量%に調製した水溶液で、溶液電導率計[京都電子工業(株)製 製品名「CM−117」]の電極を洗浄した後、電極に接続された1cm3の容器に試料を満たして、表示された電気伝導度が一定の値を示したところを、測定値とした。
(4)水の接触角の測定方法:
固液界面解析装置[協和界面科学(株)製 製品名「Drop Master300」]を用いて、基材に液を滴下した後、5秒間経過した後の接触角を測定した。測定条件は、静的接触角測定である。水は、超純水を用い、液滴は0.5μlとした。それぞれの基材について、繰り返し回数10回の平均値を、測定値とした。
(5)高温高湿下信頼性試験
温度60度、湿度90%の環境下で200時間放置した場合の面内位相差変化(Δ(Δnd)=Δnd(200時間後)−Δnd(0時間後))を測定した。
(6)配向性評価
クロスニコルの関係にある2枚の偏光板(日東電工株式会社製、商品名「SEG1224DU」)の間に、複屈折フィルムを、該フィルムの遅相軸が2枚の偏光板のいずれかの吸収軸と同軸になるように配置して、高速積分球式分光透過率測定器(例えば、村上色彩技術研究所製のDOT−3C)により光抜け(Y値)を測定した。
[合成例1]
<アセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸の合成>
500mlのジメチルホルムアミドを、精製した10gのアセナフテンキノンと、8.4gの3,4−ジアミノ安息香酸の混合物に添加した。反応物を、室温で21時間攪拌し続けた。沈殿物をろ過して、粗生成物を得た。この粗生成物は、熱したジメチルホルムアミドに溶解して、再度、ろ過し、ジメチルホルムアミド及び水で洗浄して、精製した。このようにして、アセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸が得られた。
<アセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸の合成>
500mlのジメチルホルムアミドを、精製した10gのアセナフテンキノンと、8.4gの3,4−ジアミノ安息香酸の混合物に添加した。反応物を、室温で21時間攪拌し続けた。沈殿物をろ過して、粗生成物を得た。この粗生成物は、熱したジメチルホルムアミドに溶解して、再度、ろ過し、ジメチルホルムアミド及び水で洗浄して、精製した。このようにして、アセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸が得られた。
[合成例2]
<2−スルホアセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸アンモニウム、及び5−スルホアセトナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸アンモニウムの混合物の合成>
下記反応経路に示すように、合成例1で得られたアセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸3gを、30%発煙硫酸(15ml)に加えた。反応物を70℃で17.5時間攪拌した。得られた溶液を40℃〜50℃で、33mlの水によって希釈し、さらに12時間攪拌した。沈殿物をろ過し、5−スルホアセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸と、2−スルホアセトナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸とを含む混合物を得た。
<2−スルホアセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸アンモニウム、及び5−スルホアセトナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸アンモニウムの混合物の合成>
下記反応経路に示すように、合成例1で得られたアセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸3gを、30%発煙硫酸(15ml)に加えた。反応物を70℃で17.5時間攪拌した。得られた溶液を40℃〜50℃で、33mlの水によって希釈し、さらに12時間攪拌した。沈殿物をろ過し、5−スルホアセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸と、2−スルホアセトナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸とを含む混合物を得た。
この混合物を2リットルの純水(電気伝導度:1.7μS/cm)に溶解し、さらに水酸化アンモニウムを加えて、酸を水酸化アンモニウムで中和した。得られた水溶液を供給タンクに入れ、日東電工(株)製の逆浸透膜フィルター(商品名「NTR−7430」)を備えた3連平膜評価装置を用いて、この装置の廃液の電気伝導度が14.3μS/cm(1重量%換算)となるまで精製した。次に、この精製した水溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて、水溶液中の多環式化合物の濃度が21.1重量%となるように調製した。ここで得られた水溶液を、偏光顕微鏡観察すると、23℃でネマチック液晶相を示した。液体クロマトグラフ分析により、2−スルホアセナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸アンモニウム、及び5−スルホアセトナフト[1,2−b]キノキサリン−9−カルボン酸アンモニウムの混合比を定量したところ、組成比は46:54であった。
[実施例1]
ポリノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン製、商品名「ゼオノア」、厚み100μm)の表面にコロナ処理(強度0.05kW、処理速度0.5m/分)を施し、23℃における水の接触角を40°とした。次に、上記フィルムのコロナ処理した表面に、合成例2で得られた水溶液を、バーコータ[BUSCHMAN社製 商品名「mayer rot HS1.5」]を用いて、塗工し、23℃の恒温室内で塗工表面に風を吹き付けながら乾燥させた後、さらに40℃の空気循環式乾燥オーブン内で3分間乾燥させた。その結果、ポリノルボルネン系樹脂フィルムの表面に、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を示す複屈折フィルム(1)を得た。
ポリノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン製、商品名「ゼオノア」、厚み100μm)の表面にコロナ処理(強度0.05kW、処理速度0.5m/分)を施し、23℃における水の接触角を40°とした。次に、上記フィルムのコロナ処理した表面に、合成例2で得られた水溶液を、バーコータ[BUSCHMAN社製 商品名「mayer rot HS1.5」]を用いて、塗工し、23℃の恒温室内で塗工表面に風を吹き付けながら乾燥させた後、さらに40℃の空気循環式乾燥オーブン内で3分間乾燥させた。その結果、ポリノルボルネン系樹脂フィルムの表面に、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を示す複屈折フィルム(1)を得た。
複屈折フィルム(1)の厚みは0.54μmであり、面内位相差Δndは162nmであった。
複屈折フィルム(1)の高温高湿下信頼性試験の結果、温度60度、湿度90%の環境下で200時間放置した場合の面内位相差変化は±2nm以内であった。複屈折フィルム(1)の配向性を評価した結果、Y値は0.18であり、配向性は良好であった。複屈折フィルム(1)の偏光顕微鏡観察像を図1に示す。
[比較例1]
ポリノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン製、商品名「ゼオノア」、厚み100μm)の表面にコロナ処理を施さないで(23℃における水の接触角は89°)、上記フィルムの表面に、合成例2で得られた水溶液を、バーコータ[BUSCHMAN社製 商品名「mayer rot HS1.5」]を用いて、塗工しようと試みたが、塗工液がはじいて塗工できなかった。
ポリノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン製、商品名「ゼオノア」、厚み100μm)の表面にコロナ処理を施さないで(23℃における水の接触角は89°)、上記フィルムの表面に、合成例2で得られた水溶液を、バーコータ[BUSCHMAN社製 商品名「mayer rot HS1.5」]を用いて、塗工しようと試みたが、塗工液がはじいて塗工できなかった。
[比較例2]
ポリノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン製、商品名「ゼオノア」、厚み100μm)の表面にコロナ処理(強度0.05kW、処理速度15m/分)を施し、23℃における水の接触角を64°とした以外は、実施例1と同様に行い、複屈折フィルム(C2)を得た。
ポリノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン製、商品名「ゼオノア」、厚み100μm)の表面にコロナ処理(強度0.05kW、処理速度15m/分)を施し、23℃における水の接触角を64°とした以外は、実施例1と同様に行い、複屈折フィルム(C2)を得た。
複屈折フィルム(C2)の厚みは0.54μmであり、面内位相差Δndは162nmであった。
複屈折フィルム(C2)の配向性を評価した結果、Y値は8.8であり、ドメインが多数できて配向性は不良であった。複屈折フィルム(C2)の偏光顕微鏡観察像を図2に示す。
[比較例3]
ポリノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン製、商品名「ゼオノア」、厚み100μm)の表面にコロナ処理(強度0.05kW、処理速度3m/分)を施し、23℃における水の接触角を53°とした以外は、実施例1と同様に行い、複屈折フィルム(C3)を得た。
ポリノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン製、商品名「ゼオノア」、厚み100μm)の表面にコロナ処理(強度0.05kW、処理速度3m/分)を施し、23℃における水の接触角を53°とした以外は、実施例1と同様に行い、複屈折フィルム(C3)を得た。
複屈折フィルム(C3)の厚みは0.54μmであり、面内位相差Δndは162nmであった。
複屈折フィルム(C3)の高温高湿下信頼性試験の結果、温度60度、湿度90%の環境下で200時間放置した場合の面内位相差変化は±10nmを超えていた。複屈折フィルム(C3)の配向性を評価した結果、Y値は0.23であり、配向性はほぼ良好であった。複屈折フィルム(C3)の偏光顕微鏡観察像を図3に示す。
以上のように、本発明の製造方法で得られる複屈折フィルムは、3次元的に屈折率が制御され、薄型であり、高温高湿下に放置された場合に光学特性が低下し難く、配向性が良好なため、例えば、液晶表示装置に用いる場合には、多様な環境下における表示特性の向上と、薄型化に大きく貢献することができる。
Claims (8)
- −SO3M基及び/又は−COOM基を含む、少なくとも1種の多環式化合物(Mは、対イオンを表す)と、溶媒とを含有し、ネマチック液晶相を示す溶液を調製する工程(1);
少なくとも一方の表面が親水化処理された基材を準備する工程(2);
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面に、前記工程(1)で調製した溶液を塗工し、乾燥させる工程(3);
を含む、複屈折フィルムの製造方法であって、
前記工程(2)で準備した基材の親水化処理された表面の、23℃における水の接触角を45°以下とする、
複屈折フィルムの製造方法。 - 前記親水化処理は、コロナ処理、プラズマ処理、超音波洗浄処理、アルカリ処理、アンカーコート処理から選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載の製造方法。
- 前記基材が、ガラス基板または高分子フィルムである、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記多環式化合物が、一般式(I)で表されるアセトナフト[1,2−b]キノキサリン誘導体を含む、請求項1から3までのいずれかに記載の製造方法。
(式中、k、lはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、m、nはそれぞれ独立して0〜6の整数であり、Mは、対イオンを表す。ただし、k、l、m、及びnは、同時に0ではない。)
- 請求項1から4までのいずれかに記載の製造方法で得られる、複屈折フィルム。
- 屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を満足する、請求項5に記載の複屈折フィルム。
- 厚みが0.05μm〜10μmである、請求項5または6に記載の複屈折フィルム。
- 請求項5から7までのいずれかに記載の複屈折フィルムと偏光子とを少なくとも備える、積層体。
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