JP2008103031A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な塗布技術を使ってハードディスク用記録膜を形成する。
【解決手段】大きな磁気異方性エネルギーを有する磁石材料を主成分とする金属磁性粒子の表面に酸化あるいは窒化金属被膜を形成した球状あるいは紡錘形状の磁性微粒子3をバインダー中に分散させた磁性塗料を、基板に2粒子層以下の厚みで薄く塗布する。
【選択図】図1

Description

本発明は、安価な塗布型磁気記録媒体に関し、高信頼性かつ高密度記録を可能とする磁気記録媒体に関する。
ハードディスクはデータ用に限らず音楽用、映像用にも多用されるようになり、ますます高密度化の要求が高まっている。ハードディスクに用いられている磁気記録媒体は、磁気ヘッドの浮上距離を10nm程度に保つために表面平滑性の高い記録膜を得ることができるスパッタ法で主に作製されている。しかし、スパッタ媒体は高価であり、磁性膜を塗布で形成できれば安価な媒体を供給することができる。
一方、磁気テープは、塗布記録媒体を用いているため、極めて安価な記録媒体として市場に受け入れられている。磁気テープの記録媒体には針状磁性粉が用いられており、その記録密度向上にはハードディスク同様、微細な磁性粒子が求められており、特開2004−335019号公報に示されるような磁気異方性エネルギーの大きな球状微粒子の開発が進められている。このサイズは磁気テープには画期的に小さなものであるが、ハードディスク記録媒体の結晶粒径に対してはまだまだ大きく、単純な利用は難しい。また、粒状磁性粉を用いた塗布型磁気記録媒体については特開平5−347018号公報に記載があるが、室温では磁性を示さない粒状磁性粉を利用する必要があり、このような特性を示す材料は限られており、良好な磁気記録媒体を得ることは難しい。
上記技術はできるだけ細かな磁性粒を準備して最短記録単位を複数の磁性粒で形成する手法であるが、例えば特開2004−303870号公報のように、基板表面に凹凸を強制的に形成して高記録密度化を図るパターンドメディアと呼ばれる媒体もある。この媒体は、凹凸形成によりエッジ部分で磁性膜のスピンの連続性を断ち切ることができるため、高密度記録を実現しやすい。最終的には磁気ヘッドを安定浮上させるためにSOG(シリコンオングラス)技術で表面を平坦にする。
特開2004−335019号公報 特開平5−347018号公報 特開2004−303870号公報
本発明は、安価な塗布技術を使ってハードディスク用記録膜を形成することを目的とする。また、上記パターンドメディアは加工の工程が複雑でありコストも非常に高い。このような磁気記録媒体を安価な塗布技術で作製できることが望まれる。
本発明の磁気記録媒体は、球状あるいは紡錘状の形状を有し、表面に非磁性金属あるいは酸化物被膜を有する磁性微粒子バインダー中に分散させた磁性塗料を基板に塗布することによって製造される。
好ましくは、基板は表面に凹凸溝を有し、磁性粉は凹凸溝の凹部の中に配列される。凹凸溝は規則的に配置されている。磁性粉の平均粒径が最小記録磁区長となる。
本発明によると、塗布技術によって比較的良好な磁気記録特性を有する磁気記録媒体を得ることができる。
本発明の好ましい形態では、基板表面に凹凸パターンを形成した基板上に、磁性微粒子を粘性の低い溶媒中に分散させた溶液をスピンコート法で基板を低速で回転しながら塗布し、回転数を高めて余分な溶液を振り切って凹凸部に数個以下の微粒子を残す状態とし、ランプ照射により微粒子を固定化する。その後、表面の平滑性を確保するためにSOG技術を利用する。
スパッタによるパターンドメディアの場合、凹凸の凸部の磁性膜の方が磁気ヘッドに近いため、凸部をデータ記録エリアに用いる。凹部に磁性膜があると、それがノイズ発生源になるので凹部に磁性膜を残さないようにドライエッチング等の手段で除去するのが一般的である。しかし、本発明の磁性微粒子の塗布型パターンドメディアの場合には、表面張力の関係で凹部に磁性微粒子が存在し、凸部には存在しにくくなる。従って、ドライエッチング等の高価な処理を施す必要がない点も有利である。更に、SOG処理の際、凹部に入り込んだ磁性微粒子の最表面までSOGで埋め込めばよいので、凸部最表面まで埋め込み作業を行わなければならないスパッタ型パターンドメディアに比べて埋め込み量も少ないため、塗布型パターンドメディアの方が有利である。
磁性微粒子には、Fe,Co,Ni,FePt,CoPt、NiPt,FePd,CoPd,NiPd等の3d遷移金属磁性金属と貴金属の合金やNanoCap(登録商標)と命名されているような窒化鉄のような微粒子、あるいはTbやDy等の希土類金属と3d遷移金属磁性金属の合金を用いることができる。磁性微粒子表面に非磁性保護膜がないと磁性体同士が磁気的に結合するため、分散よく塗布媒体化できない。しかし、活性液面連続真空蒸着法やNanoCap(登録商標)のような化学合成法を利用した場合には、磁性微粒子表面に非磁性体の被膜ができるため分散性が向上する。また、更に分散性よく塗布するためには静磁気的な微粒子間の結合も少ない方がよい。そのためには、磁性微粒子を暖めて磁化を減少させるか、磁性微粒子の規則化が進まない状態で塗布すればよい。凹部への磁性微粒子の配置が終了した後、外部磁界を印加しながら一方向に着磁する。FePtやCoPtのように加熱により規則化が進むタイプの材料では、分散よく塗布した後に磁場印加しながらフラッシュアニール等の方法で加熱して規則化を進めることで異方性磁界及び保磁力を大きくすることができる。このような媒体は、1平方インチ当たりテラビット以上の記録密度でも熱揺らぎによる情報保存性劣化を引き起こさない良好な媒体となる。
表面に非磁性金属あるいは酸化物被膜を有する球状あるいは紡錘形状の磁性微粒子をバインダー中に分散させた磁性塗料を非磁性基板上に塗布し、乾燥時の風圧、加熱、磁界印加を制御することで2粒子層以下の厚みで薄く塗布した磁気記録媒体を作製する。また、上記磁気記録媒体における、塗布乾燥時の磁界印加方向を膜面周方向に対して10度以上傾けることで、磁化容易軸を膜面垂直方向に対して10度以上周方向に傾けることによりノイズの少ない良好な記録を行うことができる。
この塗布媒体に用いる基板には、スパッタ媒体のようにアルミニウムやガラスを用いることが好ましいが、塗布媒体との密着性を確保するために基板表面に架橋剤を塗布することが重要である。また、より強度を増すには、基板表面にPET、PEN、PC等の樹脂をコートした上に架橋剤を塗布することが好ましい。
磁性微粒子の大きさには分布があり、単純に塗布すると大きな微粒子分布が生じて均質な磁気記録パターンを形成することが困難になる。これを回避するためには、遠心分離機で磁性微粒子サイズをフィルタリングする方法が有効である。
また、目標記録密度達成のための粒径制御が不十分な場合には、基板に連続あるいは断続的に溝を形成し、この上に塗布した磁性微粒子が集約することで記録トラックを配列することが可能になる。この場合、磁性微粒子径は、さほど小さくしなくても高密度記録が可能になる。ただし、磁性粉の大きさには分布があり、溝に沿って大きさの異なる磁性微粒子が配列すると単位長さ当たり粒子の数が隣接トラックと異なり、記録ビット長さの制御が困難になる。そこで、平均粒径のn倍間隔にファインクロックマークとなる断続溝を設ければ、単位長さあたりの磁性微粒子の数を制御することができる。このファインクロックマークからクロックを生成し、これを基準に記録再生を行うことができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
磁性微粒子としては、特開2004−335019号公報記載の窒化鉄系磁性粉末を利用した。窒化鉄系磁性粉末は次のようにして製造した。
0.419モルの硫酸鉄(II)七水塩と0.974モルの硝酸鉄(III )九水塩を1,500gの水に溶解した。つぎに、3.76モルの水酸化ナトリウムを1,500gの水に溶解した。この2種類の鉄塩の水溶液に水酸化ナトリウムの水溶液を添加し、20分間撹拌し、マグネタイト粒子を生成させた。このマグネタイト粒子をオートクレーブに入れ、200℃で4時間加熱した。水熱処理後、水洗した。このマグネタイト粒子は、粒子サイズが25nmの球状ないし紡錘状であった。
このマグネタイト粒子10gを500ccの水に、超音波分散機を用いて、30分間分散させた。この分散液に2.5gの硝酸イットリウムを加えて溶解し、30分間撹拌した。これとは別に、0.8gの水酸化ナトリウムを100ccの水に溶解した。この水酸化ナトリウム水溶液を上記の分散液に約30分間かけて滴下し、滴下終了後、さらに1時間撹拌した。この処理により、マグネタイト粒子表面にイットリウムの水酸化物を被着析出させた。これを水洗し、ろ過後、90℃で乾燥して、マグネタイト粒子の表面にイットリウムの水酸化物を被着形成した粉末を得た。
このようにマグネタイト粒子の表面にイットリウムの水酸化物を被着形成した粉末を、水素気流中、450℃で2時間加熱還元して、イットリウムを含有する磁性粉末を得た。次に、水素ガスを流した状態で、約1時間かけて150℃まで降温した。150℃に到達した状態で、ガスをアンモニアガスに切り替え、温度を150℃に保った状態で、30時間窒化処理を行った。その後、アンモニアガスを流した状態で、150℃から90℃まで降温し、90℃で、アンモニアガスから酸素と窒素の混合ガスに切り替え、2時間安定化処理を行った。ついで、混合ガスを流した状態で、90℃から40℃まで降温し、40℃で約10時間保持したのち、空気中に取り出した。
このようにして得られた窒化鉄系磁性粉末は、そのイットリウムと窒素の含有量を蛍光X線により測定したところ、それぞれ5.3原子%と10.8原子%であった。また、X線回折パターンよりFe162 相を示すプロファイルを得た。さらに、高分解能分析透過電子顕微鏡で粒子形状を観察したところ、ほぼ球状の粒子で平均粒子サイズが20nmであることがわかった。この磁性粉末につき、1,270kA/m(16キロエルステッド)の磁界を印加して測定した飽和磁化は135.2Am2/kg(135.2emu/g)、保磁力は226.9kA/m(2,850エルステッド)であった。
この窒化鉄系磁性粉末のまわりにはイットリウムを含む酸化物皮膜ができている。次に、下記の磁性塗料成分(1)と(2)を混合し、磁性塗料を調製した。
<磁性塗料成分(1)>
上記窒化鉄系磁性粉末 100部
(粒子形状:ほぼ球状、平均粒子径:20nm、飽和磁化:135.2Am2/kg、保磁力:226.9kA/m)
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合樹脂 10部
(含有−SO3Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(含有−SO3Na:1.0×10-4当量/g)
α−アルミナ(平均粒径:80nm) 10部
カーボンブラツク(平均粒径:25nm) 1.5部
ミリスチン酸 1.5部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1混合溶剤 233部
<磁性塗料成分(2)>
ステアリン酸 1.5部
ポリイソシアネート 5部
(日本ポリウレタン工業社製の「コロネートL」)
シクロヘキサノン 133部
トルエン 33部
なお、バインダーとしては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース、エポキシ樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂との組み合わせ等を用いることができる。
特に、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン樹脂とを併用するのが好ましい。その中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタン樹脂を併用するのが最も好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。
これらのバインダーは、磁性粉末などの分散性を向上し、充填性を上げるために、官能基を有するものが好ましい。官能基には、COOM、SO3M、OSO3M、P=O(OM)3、O−P=O(OM)2(Mは水素原子、アルカリ金属塩またはアミン塩)、OH、NR12、NR345(R1,R2,R3,R4,R5は水素または炭化水素基、通常その炭素数が1〜10である)、エポキシ基などがある。2種以上の樹脂を併用する場合、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも、−SO3M基同士の組み合わせが好ましい。
これらのバインダーは、磁性粉末や非磁性粉末などの固体粉末100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。とくにバインダーとして、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが好ましい。
これらのバインダーとともに、バインダー中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましく用いられる。これらの架橋剤の使用量は、バインダー100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合とするのが好ましく、より好ましくは10〜35重量部の割合とするのがよい。
上記磁性塗料をファインメッシュフィルターでろ過した溶液を、スピンコーターで塗布した。フィルターを通す前には、遠心分離機で2時間、重い大き目の粒子を分離して取り除き、再度遠心分離機で2時間、残った中での重い粒子を分離して取り出し、これを塗布に利用した。1回目の分離で直径30nm以上の大きな粒子を中心に除去し、2回目の分離で直径20nm付近の粒子を中心に取り出すことができた。
外径2.5インチのハードディスク用のガラス基板を用い、この上に裏打ち層としてパーマロイ薄膜をめっき法で200nm形成した。この上に、密着性を高めるため架橋剤を塗布し、その上に上記手配した磁性塗料をスピン塗布した。回転数を6000回転としたときの膜厚は約30nmであった。その後、100Wのランプヒーターで加熱を180秒行い、その間に5kOeの永久磁石を、ディスクをはさんで両側に近接させて設置することで、磁性粉を膜面垂直方向に磁化配向させた。外部磁界は、ディスク進行方向に40度傾けて印加した。
断面TEMで記録膜中のイットリウムを含む酸化物皮膜に覆われた窒化鉄系磁性粉の粒径を観察した結果、平均粒径は約18nm程度であることがわかった。また、配列は必ずしも碁盤の目状の整然としたものではなかったが、遠心分離機で大きな粒子を取り除いたために、記録再生が行える程度の配列を示していた。
なお、磁気トルクメータにおける実験では、磁化容易方向は基板面直方向よりわずかに傾いており、比較的小さな磁界で記録できた。振動試料型磁束計で測定した保磁力は1800Oe、角型比は0.82であった。このように作製した媒体に対し、テープクリーニングを施し異常突起物を取り除き、その上に潤滑剤を1nm程度スピンコートした。さらにこの媒体にグライドテストを施し、磁気ヘッドの浮上量10nmでの記録再生評価が可能かどうか試験を行った。ヒット数が多いものはバニッシュを行い、再びグライドテストを施して、できるだけ表面凹凸の少ないサンプル作りを試みた。
多少凹凸が残ってはいたが、リングヘッドと巨大磁気抵抗効果型再生ヘッドを搭載した通常の記録再生ヘッドを浮上させて記録再生を試みた。記録ヘッド、再生ヘッドのギャップ長は80nm、記録ヘッドのトラック幅は300nm、再生ヘッドのトラック幅は200nmである。試作媒体の保磁力が小さいため、記録電流は10mAと小さな値でも十分に飽和できる程高感度媒体であり、300kFCI記録後に50kFCIを記録したオーバーライトテストでは30dBという実用的な値が得られた。比較的低密度な100kFCIのSNRは、23dBと比較的良好な値を示した。
今回使用した磁性粒子の平均粒径(粒径分布の中心)は、球状粒子も紡錘状粒子も8nm程度であるのに対し、ここで作製した媒体の記録膜中の磁性微粒子は平均粒径が18nmと大きいため、300kFCIの高密度記録ではSNRが大幅に低下した。しかし、このような安価な塗布技術で作製した媒体でも比較的良好な磁気記録が可能であることがわかった。したがって、本方式は記録密度の比較的少ないHDDの媒体作製技術として有力な方法であるということができる。
また、同等の性能は磁石材料であるFePt,CoPt,NdFeB,SmCo等の微粒子を用いても得ることができる。これらの微粒子作製法としては、気相化したFeやPtをシリコンオイルのように蒸気圧の冷却媒体に付着させる方法も利用可能である。例えば、ロータリーポンプとディフュージョンポンプの組み合わせで10-3Pa程度の真空を作成し、水冷した真空槽外壁にシリコンオイルを塗っておくことにより、蒸着源から飛散したFeやPtの蒸着原子が結合してFePt微粒子を作り、これがシリコンオイルで急冷されて安定化する。このFePt微粒子のサイズは蒸着速度と真空槽の大きさで制御可能である。サイズのばらつきは粒径が小さいほど分散が少ないので、高密度配列に適した方法である。
溝つきプラスチック基板を用いて塗布型媒体を作製した。基板厚み1.2mm、外径2.5インチの基板に、Deep UVを用いた光ディスク用カッティングマシンで、ランド幅90nm、グルーブ幅220nm、溝深さ20nmの溝パターンを形成した。ファインクロックビットは32μmに1個の割合で入れることとした。この原盤からNiスタンパを作製し、成型機でポリカーボネート樹脂による成型を行った。
このような溝付き基板を用いることにより、溝方向への微粒子配向制御、線方向への微粒子配列制御を施すことができる。実施例1のように磁界感度を高めるためにパーマロイの裏打ち層を設けたいところだが、厚さが200nmにもなってしまうとせっかく準備した溝が埋もれるため、これを利用することはできない。そこで、これに架橋剤を塗布してすばやく磁性塗料を塗布した。その後の工程は、実施例1と同様である。
図1は、本実施例で作製した塗布型媒体の模式図である。溝に対して磁性微粒子がどのように堆積しているか、断面TEMで確認を行った。その結果、ランプ加熱を70W360秒と低温で長時間行うと、図1のように比較的1粒子層の成長が実現していることが確認できた。図1において、1はランド、2はグルーブ、3は磁性微粒子である。ここでは、細い溝に磁性微粒子を並べるため、ランドが凹んだ状態の基板を用いた。このとき、磁性微粒子の存在しないはずのグルーブにも粒子が存在したが、テープクリーニングを施すと、その7割程度は除去することができた。残りの部分はバニッシュにてかなり減らすことができたが、ランドへもダメージが見つかったため、グライドテストでかなりヒットはあるものの、記録再生テストを試みた。より細かなランプ加熱制御と乾燥窒素ガスの流れを工夫することで更に理想的な成長を実現できるものと考えられる。
図2は、本発明による塗布型磁性微粒子媒体と従来のパターンドメディアの断面模式図である。本発明による塗布型磁性微粒子媒体は、図2(a)に示すように、球状の磁性微粒子11が基板12の上に乗っており、磁性微粒子同士が密着している。しかし、パターンドメディアでは、図2(b)に示すように、磁性微粒子13同士は物理的に切断されている。また、エッチングで垂直に記録膜が削りとられているため、その壁面にはプロセスの歪が蓄積されている。したがって、本発明による塗布型磁性微粒子媒体のように歪の残っていない状態のほうが安定性の点で有利である。
このようなパターン形成した基板を用いると、記録再生の準備として偏芯あわせが必要になる。ディスク固定を緩めて顕微鏡でディスクパターンを観察し、偏芯量を30μm以下に抑えてから回転軸へのディスク固定を行った。通常の磁気サーボパターンに対して、溝つき基板であるため光でトラッキングを行うことを試みた。浮上量3μmの浮上型スライダの一部に磁気ヘッドを取り付けた。波長は405nm、対物レンズの開口数は0.85で、光スポットのサイズは0.4μmである。図3に示したように、このスライダの一部にHDD用ヘッドを固定して、浮上量10nmを実現することができる。このようにすることで、溝つき基板における磁気記録再生が可能になる。今回の実験では、トラックピッチが広かったので記録再生の点では比較的容易に実験ができた。
広いランドの幅は約90nmなので、ランドの幅方向に磁性微粒子は約3から4個並んでいる。図3の親子スライダ関係であるが、光でのトラッキングにオフセットを乗せることで磁気ヘッドヘのトラックオフセット動作を行う。また、長さ400nmのファインクロックマークが32μmピッチで作りこまれているため、この繰り返し周期をPLL(Phase locked loop)回路を通してクロック生成し、この時間単位で記録エリアに同期をかけ、磁性粒の中心位置で記録を行うことができる。磁性粒子サイズのばらつきが多い場合には、ファインクロック周期を短くすればよい。このようにして作製した媒体に記録再生を試みると、300kFCIでもSNR19dBを得ることができた。これはHDDヘッドのギャップ長が広くその分シグナル量が減少することに起因しているため、更に再生特性を上げるためにはギャップ長の狭いヘッドを用いる必要がある。
なお、本実施例ではランドを幅90nm、深さ20nmとしたため、ランドの幅方向に磁性微粒子が約3から4個並んだが、ランド幅を磁性微粒子の径と同程度にすると、図4に示すように、整列したランド21中に磁性微粒子22が1列に配列した媒体を作製することもできる。
本発明による塗布型媒体の一例の模式図。 本発明による塗布型磁性微粒子媒体と従来のパターンドメディアの断面模式図。 光トラッキング用の対物レンズと磁気ヘッドを有するスライダの模式図。 本発明による塗布型媒体の一例の模式図。
符号の説明
1:ランド、2:グルーブ、3:磁性微粒子、11:磁性微粒子、12:基板、13:磁性微粒子、21:ランド、22:磁性微粒子

Claims (5)

  1. 磁性微粒子をバインダー中に分散させた磁性塗料を基板に塗布してなる磁気記録媒体であって、
    前記磁性微粒子は、球状あるいは紡錘状の形状を有し、表面に非磁性金属あるいは酸化物被膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 請求項1記載の磁気記録媒体において、前記基板は表面に凹凸溝を有し、前記磁性微粒子は前記凹凸溝の凹部の中に配列していることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 請求項2記載の磁気記録媒体において、前記凹凸溝は規則的に配置されていることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 請求項3項記載の磁気記録媒体において、前記磁性微粒子の平均粒径が最小記録磁区長となることを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の磁気記録媒体において、前記磁性微粒子は加熱によって磁化が増大することを特徴とする磁気記録媒体。
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