JP2008099710A - リガンドに対して高い親和性を有する結合タンパク質の単離 - Google Patents

リガンドに対して高い親和性を有する結合タンパク質の単離 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、「ディスプレイ−レス」ライブラリースクリーニングを通じて、低分子およびペプチドに結合可能である結合タンパク質を単離するための迅速なアプローチを提供することによって、先行技術の欠陥を克服することを課題とする。
【解決手段】この技術において、抗体配列のような候補結合タンパク質のライブラリーは、大腸菌のようなグラム陰性菌の細胞膜周辺腔において可溶形態で発現され、そして標識されたリガンドと混合される。このリガンドに対して親和性を有する組換えポリペプチドを発現するクローンにおいて、その結合タンパク質に結合される、標識されたリガンドの濃度が増加し、そしてその濃度によって、細胞はライブラリーの残りから単離される。標的リガンドを蛍光標識する場合、細胞は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)によって単離され得る。
【選択図】なし

Description

(発明の背景)
政府は、DARPA助成金番号MDA(972−97−0009)によって、本発明の権利を所有する。
(1.発明の分野)
本発明は、タンパク質工学の分野に一般的に関する。より詳細には、所望の触媒活性を有する酵素およびリガンド結合タンパク質(選択されたリガンドに対するアフィニティーを有する抗体および結合タンパク質を含む)の単離を可能にするためのポリペプチドのコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングのための方法に関する。
(2.関連技術の記載)
高アフィニティーおよび高特異性でリガンドと結合するか、または反応物(基質)の所望の産生物中への酵素変換を触媒するかのいずれかを行うタンパク質の単離は、バイオテクノロジーにおけるキープロセスである。所望の基質特異性を有するリガンド結合タンパク質および酵素は、適切なスクリーニング方法が利用可能である場合、変異体の大きなライブラリーから単離され得る。10〜10の別個の変異体から構成される小さいタンパク質ライブラリーは、第1に各々のクローンを別個に増殖させ、そして特異的結合を示すクローンを検出するため従来のアッセイを用いることによって、スクリーニングされ得る。例えば、異なったタンパク質変異体を発現する個々のクローンは、マイクロタイターウェルプレートにおいて増殖され得るか、または寒天プレートのような半固体培地上でクローンを分離し得る。結合を検出するために、細胞を溶解して、タンパク質を放出し、そしてこの溶解物を、ナイロンフィルターに転写し、次いでこれを放射標識したリガンドまたは蛍光標識したリガンドを用いてプローブする(DeWildtら 2000)。しかし、たとえ、高密度アレイ中の結合を検出するためのロボット利用の自動化およびデジタル画像化システムを用いたとしても、クローンの何千万または何百億から構成される大きいライブラリーをスクリーンする可能性はない。この大きさのライブラリーのスクリーニングは、ナノモーラー範囲で、アフィニティーを有する酵素またはタンパク質結合物の新規(de novo)の単離に必要とされる。
とても大きいタンパク質ライブラリーのスクリーニングは、ウイルスまたは細胞の表面上のタンパク質のディスプレイに依存する様々な技術によって成し遂げられた(Ladnerら 1993)。ディスプレイ技術の根底にある仮定は、生物学的微粒子(例えば、細胞またはウイルス)の外側の表面上に係留するために設計されたタンパク質が、細胞を溶解する必要性なしに、リガンドに結合するために直接接近できる、ということである。リガンドに対してアフィニティーを有するタンパク質をディスプレイするウイルスまたは細胞は、リガンドを固定化させる経時的な吸着/脱離形態を含む様々な方法(磁気分離またはフローサイトメトリーによって)で単離され得る(Ladnerら 1993、米国特許第5,223,409号、Ladnerら 1998、米国特許第5,837,500号、Georgiouら 1997、Shustaら 1999)。タンパク質ライブラリーのスクリーニング適用のための最も広く使用されるディスプレイ技術は、ファージディスプレイである。ファージディスプレイは、定着しており、特定のリガンドに結合するタンパク質の発見、ならびにアフィニティー結合および特異的結合の設計のための、十分に確認された強力な技術である(RodiおよびMakowski、1999)。ファージディスプレイにおいて、目的の遺伝子を、表面に露出するタンパク質(最も一般的にpIII)をコードするファージ遺伝子にインフレームで融合させる。遺伝子融合物は、2つのドメインが独立してフォールドしているキメラタンパク質に翻訳される。リガンドに対してアフィニティー結合するタンパク質をディスプレイするファージは、固定化されたリガンドに対する選択的な吸着によって容易に富化され得、このプロセスは、「パンニング(panning)」として公知である。結合ファージは、通常、酸性溶離によって表面から脱着され、そしてE.coli細胞の感染を通して増幅される。通常、4〜6回のパニングおよび増幅は、1010までの多様性を有する、非常に大きなライブラリーから、特定ポリペプチドをディスプレイするファージを選択するために十分である。密接に結合するポリペプチドを提供するクローンの迅速な富化のためのファージディスプレイのいくつかのバリエーションが、開発された(DuenasおよびBorrebaeck、1994;Malmborgら、1996;Kjaerら、1998;Burioniら、1998;Levitan、1998;Mutuberriaら、1999;Johnsら、2000)。
ファージディスプレイ技術の最も重要な適用の1つは、高アフィニティー抗体の単離であった(Dall’AcquaおよびCarter、1998;Hudsonら、1998;Hoogenboomら、1998;MaynardおよびGeorgiou、2000)。scFvフラグメントまたはFABフラグメントの非常に大きく構造的に多様なライブラリーが構築されており、そして合成抗原および天然抗原の両方の多くに対する抗体のインビトロでの単離のために、首尾よく使用されている(Griffithsら、1994;Vaughanら、1996;Sheetsら、1998;Piniら、1998;de Haardら、1999;Knappikら、2000;SblatteroおよびBradbury、2000)。改善されたアフィニティーまたは特異性を有する抗体フラグメントが、ライブラリーから単離され得、選択された抗体は、CDRまたは完全な遺伝子CDRのいずれかの突然変異を受けた(Hawkinsら、1992;Lowら、1996;Thompsonら、1996;ChowdhuryおよびPastan、1999)。最後に、scFvの発現特性(低い溶解性で良く知られている)は、変異体ライブラリーのファージディスプレイによってもまた改善された(Dengら、1994;Coiaら、1997)。
しかし、いくつかの目覚しい成功にもかかわらず、ファージディスプレイされたライブラリーのスクリーニングは、因子の数によって複雑になり得る。第1に、ファージディスプレイは、ファージをアセンブルし、そして依然として細胞増殖を維持させるために必要である、抗体フラグメント遺伝子IIIの融合物の低い発現レベルによって、細菌における適切な発現のための最小限の選択を与える(Krebberら、1996、1997)。結果として、数回のパニングの後に単離されたクローンは、E.coliにおいて調製スケールで産出することはしばしば難しい。第2に、ファージディスプレイされたタンパク質は、リガンドを結合し得、場合によっては、それらの非融合可溶性対応物は結合しない(Griepら、1999)。第3に、リガンド結合タンパク質および高結合アフィニティーを有するより特異的な抗体の単離は、遺伝子IIIタンパク質がファージアセンブリを完了するために1ビリオン辺りおよそ5コピーで存在する必要性による結合活性効果によって複雑にされ得る。主に一価のタンパク質ディスプレイが生じる系でさえ、たいていタンパク質の複数のコピーを含むクローンの小さい画分が存在する。そのようなクローンは、固定化される表面により密接に結合し、そしてより高いアフィニティーで一価のファージに対して富化される(Dengら、1995;MacKenzieら、1996、1998)。第4に、理論的な分析(Levitan、1998)は別として、パニングは、今だに「ブラックボックス(black box)」プロセスであり、実験条件の影響、例えば、弱いまたは非特異結合ファージを取り除くための洗浄段階のストリンジェンシーは、実験の最終結果に基づく試行およびエラーによってのみ決定され得る。最後に、例え、pIIIおよびより少ない程度で、ファージコートの他のタンパク質が、非相同的なポリペプチドの融合に対して一般的に耐性があるとしても、ファージ生合成プロセスに組み込まれる必要性は、ライブラリーの多様性を制限し得る生物学的制限を与える。それゆえに、それらの制限を克服し得る技術能力が当該分野で非常に必要である。
タンパク質ライブラリーはまた、細菌、真菌類またはより高等な細胞の表面上にディスプレイされている。ライブラリーをディスプレイする細菌は、フローサイトメトリーによって典型的にスクリーンされる(Georgiouら 1997、Daughertyら 2000)。しかし、ファージディスプレイと同様に、タンパク質は細胞表面上での発現のために操作された。これは、いくつかの潜在的な制限を与える。まず第1に、タンパク質のN−末端またはC−末端のいずれかは、ディスプレイに対するビヒクルを融合されていなければならない。従って、N−またはC−末端が、リガンド結合のために必須である場合にはこれらの技術は、適していない。第2に、細胞の表面上のタンパク質のディスプレイの必要条件は、生物学的制限を与え、この生物学的制限は、スクリーンされ得るタンパク質およびタンパク質変異体の多様性を制限する。第3に、いくつかのポリペプチド鎖から構成される複合体タンパク質は、細菌、線状ファージまたは酵母の表面上に容易にディスプレイされ得ない。このように、上記の制限全てを回避し、そして非常に大きなポリペプチドライブラリーのスクリーニングのための完全に新規な手段を提供する技術について、当該分野において多大な必要性がある。
現在は、タンパク質変異体のライブラリーからの新規酵素の単離は、代表的には表現型の選択の使用を通してか、または(固相またはマイクロタイターウェルプレートのいずれかでの)スクリーニングのいずれかで達成される。生物学的選択は、栄養素要求性または細胞障害性薬剤(例えば、抗生剤)に対する耐性の補完に基づく。あいにく、表現型の選択の有用性は、直接的な生物学的関連性または選択可能な表現型に間接的に連結され得る反応についての触媒の単離に限定される。あるいは、変異体の集団におけるそれぞれのクローンは、酵素活性について直接にスクリーンされ得る。微生物中で発現されるライブラリーについて、スクリーニングは、寒天のような固体基材上で増殖するコロニーで行なわれ得る。固相のスクリーニングは、クリアランスのゾーン、蛍光生成物、または強力な吸収性(色素生産性)の生成物を生じる酵素反応の基質に依在する。このアッセイは、酵素生成物を直接検出し得るか、または第2の酵素に結合し得、第2の酵素の生成物が、次に容易にモニターされ得る。しかし、多くのアッセイは、固相フォーマットで実行され得ない。これが事実の場合、個々のクローンは、マイクロタイターウェルで増殖およびアッセイされなければならない。このようなアッセイは、固相アッセイよりも顕著により時間がかかり、そしてスクリーニングされ得る多数の変異体を厳しく限定する。しかし、少数のランダム変異体がスクリーンされる場合(特に、生体内変換が、複雑な反応を必要とする場合に)所望の生体内変換を触媒し得る酵素を発現するクローンを見出す確率は、厳しく影響され得る。
一般的に、動力学パラメーターを基準として(すなわち、どれだけの生成物が1単位時間あたりに生成されるかを基準として)酵素変異体の大きなライブラリーのスクリーニングを可能にする方法が、必要とされる。ファージディスプレイ技術は、大きいライブラリーから有用な酵素の単離のためのツールとして原則として使用され得る。しかし、ライブラリーからの酵素触媒の単離のためのファージディスプレイ技術は、実際にはこれまで証明していなかった(Olsenら 2000)。例えば、反応生成物の蓄積を生じる、複数の触媒代謝回転の結果による特定の酵素クローンをディスプレイするファージ粒子を定量的な様式で物理的に関連付ける明確な方法は存在しない。そのような関連を確立することは、触媒の熟達に基づくタンパク質ライブラリーのスクリーニングのために必須である。
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、標的リガンドを結合し得る結合タンパク質をコードする核酸配列を含有する細菌を得る方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)候補結合タンパク質をコードする核酸配列を含有するグラム陰性菌を提供する工程であって、ここで結合タンパク質は、細菌中で可溶性形態で発現される工程;(b)細菌中で拡散し得る標識リガンドを有する細菌を接触させる工程;および(c)細菌中で標識リガンドの存在に基づいて細菌を選択する工程であって、ここでリガンドおよび候補結合タンパク質は、細菌中で結合する工程。
別の局面において、本発明は、標的リガンドを結合し得る結合タンパク質をコードする核酸配列を得る方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)候補結合タンパク質をコードする核酸配列を含有するグラム陰性菌を提供する工程であって、ここで結合タンパク質は、細菌中で可溶性形態で発現する工程;(b)細菌中に拡散し得る標識リガンドを有する細菌を接触させる工程;(c)細菌中で標識リガンドの存在に基づいて細菌を選択する工程であって、ここでリガンドおよび候補結合タンパク質は、細菌中で結合する工程;および(d)候補結合タンパク質をコードする核酸配列をクローニングする工程。
本発明の別の局面において、細菌中で発現される結合タンパク質は、細菌のペリプラズムで可溶性形態で発現されるとさらに定義される。結合タンパク質をコードする核酸配列は、候補結合タンパク質配列を含有する核酸配列をコードするとさらに定義され得、この候補結合タンパク質は、ペリプラズム中で候補結合タンパク質の発現を指向し得るリーダー配列に作動可能に連結する。本発明で使用され得る潜在的な任意のグラム陰性菌としては、例えば、E.coli細菌が挙げられる。本発明の1つの実施形態において、候補結合タンパク質をコードする核酸配列は、次の選択で増幅され得るとさらに定義され得る。本発明は、候補結合タンパク質に結合しない標識リガンドを取り出すことを包含するとまたさらに定義され得る。
さらに別の局面において、本発明は、グラム陰性菌の集団を提供することを包含する。本発明の1つの実施形態において、細菌の集団は、複数の候補結合タンパク質を集団的に発現し得るとさらに定義される。本発明のさらに別の実施形態において、細菌の集団は、以下の工程を包含する方法によって得られる:a)複数の異なった潜在的な結合タンパク質を集団的にコードする複数のDNA挿入物を調製する工程、およびb)DNA挿入物を有するグラム陰性菌の集団を形質転換する工程。グラム陰性菌の集団は、標識リガンドと接触するとまたさらに定義され得る。
本発明のなおさらなる別の局面において、本発明書に従って利用される候補結合タンパク質は、抗体または抗体の断片、あるいは、抗体以外の結合タンパク質であるとさらに定義される。またさらに、候補結合タンパク質は、酵素(その任意の部分を含む)であり得る。本発明に使用される候補結合タンパク質は、インタクトな細菌中のペリプラズムの外では拡散し得ないとさらに定義され得る。
本発明のなおさらなる別の局面において、標識リガンドが、ポリペプチド、酵素および/または核酸などを含み得る。標識リガンドは、約20,000Da未満、約10,000Da未満または約5,000Da未満の分子量を含むとさらに定義され得、そして本発明の他の実施形態において、分子量600Daよりも大きいとさらに記載され得る。標識リガンドは、蛍光性標識されるとまたさらに定義され得る。
なおさらなる別の局面において、本発明は、ペリプラズム中への、標識リガンドの拡散を促進させるために細菌を処理することを包含する。本発明の特定の実施形態において、処理することは、高浸透圧状態、物理的圧力、ファージでの細菌処理、または準生理的温度(例えば、約25℃)で細菌の増殖の使用を包含し得る。
なおさらなる他の局面において、本発明は、FACSまたは磁気分離を用いての1つ以上の細菌を選択することを包含する。本発明において、リガンドおよび候補結合タンパク質は、ペリプラズム中での可逆的な結合物としてさらに定義され得る。
なおさらなる別の局面において、本発明は、標的基質に関与する化学反応を触媒する触媒タンパク質をコードする核酸配列を含有する細菌を得る方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)候補触媒タンパク質をコードする核酸配列を含有するグラム陰性菌を提供する工程であって、ここで触媒タンパク質は細菌中で可溶性形態で発現される工程;(b)細菌中に拡散し得る標的基質を有する細菌を接触させる工程であって、ここで候補触媒タンパク質は、標的基質に関与する化学反応を触媒し、そしてここで化学反応は、少なくとも1つの第1の基質生成物を生じる工程;および(c)第1の基質生成物の存在に基づいて細菌を選択する工程。本発明のさらに別の局面において、この方法は、標的基質を有する反応を触媒する触媒タンパク質をコードする核酸配列を得る方法としてさらに定義され得、この方法はさらに以下の工程を包含する:(d)候補触媒タンパク質をコードする核酸配列をクローニングする工程。「触媒タンパク質」によって、化学反応の速度を上昇し得る分子とは、触媒タンパク質の非存在下で生じる反応の速度に比例することを意味する。この方法において、候補触媒タンパク質は、細菌中のペリプラズムで可溶性形態で発現され得る。候補触媒タンパク質をコードする核酸配列は、本発明のさらなる実施形態において、ペリプラズム中で、候補触媒タンパク質の発現を指向し得るリーダー配列に作動可能な連結されると定義され得る。
なおさらなる別の局面において、上述の方法は、任意のグラム陰性菌(例えば、E.coli細菌)を用いて実行され得る。本発明はまた、グラム陰性菌の集団を提供することを包含し得る。この集団は、複数の候補触媒タンパク質を集団的に発現し得るとさらに定義され得る。本発明の1つの実施形態において、細菌の集団は、以下の工程を包含する方法によって得られる:a)複数の異なった候補触媒タンパク質を集団的にコードする複数のDNA挿入物を調製する工程、およびb)DNA挿入物を有する多数のグラム陰性菌の集団を形質転換する工程。グラム陰性菌は、標識基質と接触すると定義され得る。本発明で選択される細菌は、選択の後に生存可能であるとさらに定義され得る。選択は、任意の所望の方法(例えば、FACSまたは磁気分離)によって実行され得る。
本発明のなおさらなる別の局面において、候補触媒タンパク質は酵素である。候補触媒タンパク質はまた、ペリプラズムの外に拡散し得ないと定義され得る。
本発明のなおさらなる別の局面において、標識基質は、切れやすいアミド結合を含む分子を含み得る。標識基質はまた、ポリペプチドまたは核酸を含み得る。本発明の特定の実施形態において、標識基質は、切れやすカルボン酸エステル結合を含む分子、切れやすリン酸エステル結合を含む分子、切れやすスルホン酸エステル結合を含む分子、切れやす炭酸エステル結合を含む分子、切れやすカルバメート結合を含む分子および/または切れやすチオエステル結合を含む分子を含む。本発明のなおさらなる実施形態において、標識基質は、約20,000Da未満、約5,000Da未満、約3,000Da未満の分子量を含むとさらに定義されるか、あるいは約600Daより大きい分子量を含み、約600Da〜約30,000Daの分子量を含むと定義され得る。
本発明のなおさらなる別の局面において、第1の基質生成物は、蛍光サインの存在に基づいて検出され得るとさらに定義される。この蛍光サインは、標的基質中に、非存在であり得、そして第1の基質生成物の生成するために化学反応の際にのみ生産され得る。本発明の1つの実施形態において、蛍光サインは、切れやすい結合の触媒切断によって生成される。この方法は、FRET系の使用を含むとさらに定義され得、このFRET系は、発蛍光団の蛍光でクエンチし得るすくなくとも第1の分子に対する切れやすい結合による発蛍光団結合を含み、ここで切れやすい結合の切断は、第1の分子が発蛍光団から離れて拡散することを可能にし、そしてここで発蛍光団の蛍光が検出可能となる。この方法において、発蛍光団は、発蛍光団を細菌と会合したままにすることを可能にする正電荷を含み得る。本発明のさらなる実施形態において、標識基質は、標的基質に関与する化学反応によって放出され得る潜在的蛍光部分を含むとさらに定義され得る。切断によって放出された潜在的蛍光部分は、全体として正電荷を有し得、切断の後にこの部分を細菌と会合したままにすることを可能にする。本発明のさらに別の実施形態において、この方法は、標識基質に関与する化学反応に関連するpHにおいて、電荷に対して検出され得る蛍光pHプローブを用いて標的基質を標識することを含み得る。蛍光pHプローブは、全体として正電荷を有し得、標識基質に関与する化学反応の後に蛍光プローブを細菌と会合したままにすることを可能にする複数の生成物が、化学反応の結果として生成され得、そして1つ以上の生成物が、化学反応の発生を明らかにするために潜在的に検出され得ることは当業者によって理解される。従って、反応生成物は、検出され得る細菌内でのpHの変化を含み得る。
なおさらなる別の実施形態において、本発明は、例えば、高浸透圧状態、物理的圧力、ファージでの細菌処理、および準生理的温度(例えば、約25℃)での細菌の増殖を用いて、ペリプリズムへの拡散を促進するために細菌を処理することを含み得る。
本発明はまた、以下をも提供する。
(1) 標的リガンドを結合し得る結合タンパク質をコードする核酸配列を含有する細菌を獲得する方法であって、以下の工程:
(a)候補結合タンパク質をコードする核酸配列を含有するグラム陰性菌を提供する工程であって、該結合タンパク質が該細菌において可溶形態で発現される、工程;
(b)該細菌の中へ拡散し得る標識されたリガンドを有する、該細菌と接触させる工程;ならびに
(c)該細菌内での、該標識されたリガンドの存在に基づいて該細菌を選択する工程であって、該リガンドおよび該候補結合タンパク質が該細菌中で結合する、工程
を包含する、方法。
(2) 項目1に記載の方法であって、標的リガンドを結合し得る結合タンパク質をコードする核酸配列を獲得する方法としてさらに定義され、該方法は以下の工程:
(d)前記候補結合タンパク質をコードする該核酸配列をクローニングする工程、
をさらに包含する、方法。
(3) 前記結合タンパク質が、前記細菌の周辺質において可溶形態で発現される、項目1に記載の方法。
(4) 候補結合タンパク質をコードする前記核酸配列が、前記周辺質において該候補結合タンパク質の発現を指向し得るリーダー配列に作動可能に連結された配列としてさらに定義される、項目3に記載の方法。
(5) 前記グラム陰性菌が、E.coli細菌である、項目1に記載の方法。
(6) グラム陰性菌の集団を提供する工程を包含することでさらに定義される、項目1に記載の方法。
(7) 前記細菌集団が、集合的に多数の候補結合タンパク質の発現を可能にする集団としてさらに定義される、項目6に記載の方法。
(8) 項目7に記載の方法であって、前記細菌集団が、以下の工程:
(a)多数の異なる潜在的な結合タンパク質を集団的にコードする、多数のDNA挿入物を調製する工程、および
(b)該DNA挿入物を用いてグラム陰性菌の集団を形質転換する工程、
を包含する方法により獲得される、方法。
(9) 前記グラム陰性菌集団が、前記標識されたリガンドと接触される、項目6に記載の方法。
(10) 前記候補結合タンパク質が、抗体またはそのフラグメントとしてさらに定義される、項目1に記載の方法。
(11) 前記候補結合タンパク質が、抗体以外の結合タンパク質を結合するタンパク質としてさらに定義される、項目1に記載の方法。
(12) 前記候補結合タンパク質が、酵素としてさらに定義される、項目1に記載の方法。
(13) 前記候補結合タンパク質が、インタクトな細菌において前記周辺質から拡散する能力を有さないタンパク質としてさらに定義される、項目1に記載の方法。
(14) 前記標識されたリガンドが、ペプチドを含有する、項目1に記載の方法。
(15) 前記標識されたリガンドが、ポリペプチドを含有する、項目1に記載の方法。
(16) 前記標識されたリガンドが、酵素を含有する、項目1に記載の方法。
(17) 前記標識されたリガンドが、核酸を含有する、項目1に記載の方法。
(18) 前記標識されたリガンドが、約20,000Da未満の分子量を有するリガンドとしてさらに定義される、項目1に記載の方法。
(19) 前記標識されたリガンドが、約5,000Da未満の分子量を有するリガンドとしてさらに定義される、項目1に記載の方法。
(20) 前記標識されたリガンドが、600Daより大きく、約30,000Da未満の分子量を有するリガンドとしてさらに定義される、項目1に記載の方法。
(21) 前記標識されたリガンドが、蛍光標識されたリガンドとしてさらに定義される、項目1に記載の方法。
(22) 候補結合タンパク質をコードする前記核酸が、前記選択後に増幅され得る核酸としてさらに定義される、項目1に記載の方法。
(23) 前記周辺質内への前記拡散を促進するために前記細菌を処理する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(24) 高浸透圧条件により前記細菌を処理する工程を包含する、項目23に記載の方法。
(25) 物理学的なストレスにより前記細菌を処理する工程を包含する、項目23に記載の方法。
(26) ファージにより前記細菌を処理する工程を包含する、項目24に記載の方法。
(27) 前記細菌が、準生理学的温度において増殖される、項目1に記載の方法。
(28) 前記準生理学的温度が、約25℃である、項目27に記載の方法。
(29) 前記候補結合タンパク質に結合されない、標識されたリガンドを除去する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(30) 前記選択する工程が、FACSを包含する、項目1に記載の方法。
(31) 前記選択する工程が、磁気分離を包含する、項目1に記載の方法。
(32) 前記リガンドおよび前記候補結合タンパク質が、前記周辺質において可逆的に結合される、項目1に記載の方法。
(33) 標的基質を含む化学反応を触媒する、触媒タンパク質をコードする核酸配列を含有する細菌を獲得する方法であって、以下の工程:
(a)候補触媒タンパク質をコードする核酸配列を含有する、グラム陰性菌を提供する工程であって、ここで、該触媒タンパク質は、該細菌において可溶形態で発現される、工程;
(b)該細菌の中へ拡散し得る標的基質と該細菌とを接触する工程であって、ここで、該候補触媒タンパク質は、該標的基質を含む化学反応を触媒し、そして該化学反応は、少なくとも第1の基質産物をもたらす、工程;そして
(c)該第1の基質産物の存在に基づき該細菌を選択する工程、
を包含する、方法。
(34) 項目33に記載の方法であって、標的基質との反応を触媒する、触媒タンパク質をコードする核酸配列を獲得する方法としてさらに定義され、該方法は以下の工程:
(d)該候補触媒タンパク質をコードする核酸配列をクローニングする工程、をさらに包含する、方法。
(35) 前記候補触媒タンパク質が、前記細菌の周辺質において可溶形態で発現される、項目33に記載の方法。
(36) 前記候補触媒タンパク質をコードする核酸配列が、前記周辺質において該候補触媒タンパク質の発現を指向し得るリーダー配列に作動可能に連結された配列として、さらに定義される、項目35に記載の方法。
(37) 前記グラム陰性菌が、E.coli細菌である、項目33に記載の方法。
(38) グラム陰性菌の集団を提供する工程を包含することでさらに定義される、項目33に記載の方法。
(39) 前記細菌集団が、集合的に多数の候補触媒タンパク質の発現を可能にする集団としてさらに定義される、項目38に記載の方法。
(40) 項目39に記載の方法であって、前記細菌集団が、以下の工程:
(a)多数の異なる候補触媒タンパク質を集団的にコードする多数のDNA挿入物を調製する工程、そして
(b)該DNA挿入物を用いてグラム陰性菌の集団を形質転換する工程、
を包含する方法によって獲得される、方法。
(41) 前記グラム陰性菌集団が、前記標的基質と接触される、項目38に記載の方法。
(42) 前記候補触媒タンパク質が、酵素としてさらに定義される、項目33に記載の方法。
(43) 前記候補触媒タンパク質が、前記周辺質から核酸する能力を有さないタンパク質としてさらに定義される、項目33に記載の方法。
(44) 前記標的基質が、容易に切断されるアミド結合を含む分子を含有する、項目33に記載の方法。
(45) 前記標的基質が、ポリペプチドを含有する、項目33に記載の方法。
(46) 前記標的基質が、容易に切断されるカルボン酸エステル結合を含む分子を含有する、項目33に記載の方法。
(47) 前記標的基質が、核酸を含有する、項目33に記載の方法。
(48) 前記標的基質が、容易に切断されるリン酸エステル結合を含む分子を含有する、項目33に記載の方法。
(49) 前記標的基質が、容易に切断されるスルホン酸エステル結合を含む分子を含有する、項目33に記載の方法。
(50) 前記標的基質が、容易に切断される炭酸エステル結合を含む分子を含有する、項目33に記載の方法。
(51) 前記標的基質が、容易に切断されるカルバミン酸結合を含む分子を含有する、項目33に記載の方法。
(52) 前記標的基質が、容易に切断されるチオエステル結合を含む分子を含有する、項目33に記載の方法。
(53) 前記標的基質が、約20,000Da未満の分子量を有する基質としてさらに定義される、項目33に記載の方法。
(54) 前記標的基質が、約5,000Da未満の分子量を有する基質としてさらに定義される、項目33に記載の方法。
(55) 前記標的基質が、約3,000Da未満の分子量を有する基質としてさらに定義される、項目33に記載の方法。
(56) 前記標的基質が、約600Daより大きく、約30,000Da未満の分子量を有する基質としてさらに定義される、項目33に記載の方法。
(57) 前記第1の基質産物が、蛍光サインの存在に基づいて検出され得る産物としてさらに定義される、項目33に記載の方法。
(58) 前記蛍光サインが、前記標的基質に存在しない、項目57に記載の方法。
(59) 前記蛍光サインが、容易に切断される結合の触媒的切断によって産生される、項目58に記載の方法。
(60) FRETシステムの使用を包含する工程としてさらに定義される、項目59に記載の方法であって、該FRETシステムは、フルオロフォアを含み、該フルオロフォアは、該フルオロフォアの蛍光をクエンチし得る少なくとも第1の分子と、容易に切断される結合によって結合され、ここで、該容易に切断される結合は、該第1の分子をフルオロフォアから拡散させ、そして該フルオロフォアの蛍光が検出可能となる。
(61) 前記フルオロフォアが、該フルオロフォアを細菌との結合を維持する正電荷を有する、項目60に記載の方法。
(62) 前記標的基質が、前記標的基質を含む前記化学反応によって放出され得る潜在性蛍光部分を含有する基質としてさらに定義される、項目57に記載の方法。
(63) 前記切断によって放出される前記潜在性蛍光部分が、前記切断に該部分と該細菌との結合を維持する全体的な正電荷を有する、項目62に記載の方法。
(64) 前記標的基質を含む前記化学反応に関係するpHの変化に基づいて検出され得る、蛍光pHプローブを用いて、該標的基質を標識する工程をさらに包含する方法として定義される、項目57に記載の方法。
(65) 前記蛍光pHプローブが、前記標的基質を含む前記化学反応後に該蛍光pHプローブと細菌との結合を維持する、全体的な正電荷を有する、項目64に記載の方法。
(66) 前記細菌が、前記選択工程後に生存可能であることでさらに定義される、項目33に記載の方法。
(67) 前記周辺質への前記拡散を促進するために前記細菌を処理する工程をさらに包含する、項目33に記載の方法。
(68) 高浸透圧条件により前記細菌を処理する工程を包含する、項目67に記載の方法。
(69) 物理的なストレスを伴う前記細菌を処理する工程を包含する、項目67に記載の方法。
(70) ファージにより前記細菌を処理する工程を包含する、項目67に記載の方法。
(71) 前記細菌が、準生理学的温度において増殖される、項目33に記載の方法。
(72) 前記準生理学的温度が、約25℃である、項目71に記載の方法。
(73) 前記選択する工程が、FACSを包含する、項目33に記載の方法。
(74) 前記選択する工程が、磁気分離を包含する、項目33に記載の方法。
(例示的な実施形態の説明)
本発明の技術は、先行技術の制限を回避し、そして、非常に大きなポリペプチドライブラリーのスクリーニングのための完全に新規な手段を提供する。本発明は特に、「ディスプレイレス(display−less)」ライブラリースクリーニングを介する、低分子およびペプチドに結合するタンパク質を単離するための迅速なアプローチを提供することによって、先行技術の欠陥を克服する。本発明に従う、このようなプロセスの例の説明を、例示的な目的のために、図1に記載する。本技術において、候補結合タンパク質のライブラリー(例えば、抗体配列)は、グラム陰性細菌(例えば、Escherichia coli)の細胞周辺腔において、可溶形態で発現され、そして標識されたリガンドと混合される。ペリプラズムは、グラム陰性細菌の内膜および外膜によって規定される空間を含む。
野生型E.coliおよび他のグラム陰性細菌において、外膜は、600Daよりも大きい分子の、細胞周辺腔内への拡散を厳密に制限する、透過性障壁として役立つ(DecadおよびNikado、1976)。外膜の透過性を増大させる(より大きい分子がペリプラズムに拡散することを許容する)条件は、ライブラリーをスクリーニングする能力の観点において有害な、2つの効果を有する:(a)細胞の生存率が、有意な程度に影響される、そして(b)細胞内への分子の拡散は、タンパク質および他の高分子の拡散を伴う。この発現されたタンパク質は、ペリプラズムから漏出し、従って、得られた細胞に基づくライブラリーは、有意義な方法でスクリーニングされ得ない。しかし、本発明者らは、リガンドとポリペプチドとの蛍光結合体が外膜を隔てて平衡化するが、ペリプラズムに分泌されるタンパク質が細胞内に残存することを可能にする、実験条件を同定している。従って、このリガンドに対して親和性を有する組換えポリペプチドを発現する細菌細胞において、結合タンパク質に結合した標識リガンドの濃度は増大され、この細菌がライブラリーの残りから単離されることを可能にする。標的リガンドの蛍光標識化が用いられる場合、細胞は、蛍光活性化細胞識別(FACS)によって効果的に単離され得る。従って、事実上、この細胞のエンベロープは、高分子:リガンド複合体を保持するが遊離リガンドを保持しない、「透析バッグ」として役立つ(図1)。このアプローチを用いると、ファージディスプレイシステムまたは細胞表面ディスプレイシステムへのサブクローン化の必要なく、細菌において分泌されたタンパク質の実存するライブラリーが、リガンドの結合に対して容易に試験され得る。
(I.アンカーレス(anchor−less)ディスプレイライブラリースクリーニング)
ファージディスプレイおよび細菌細胞表面ディスプレイという先行技術の方法はともに、定義により、(FACSのためにファージまたは蛍光的に結合体化されたリガンドに対して固定された)標的への無制限な接近を可能にするために、このタンパク質が、用いられるビヒクルの表面に物理的にディスプレイされる必要があるという、制限に苦しむ(米国特許第5,223,409号、この特許の開示は、本明細書中において、参考としてその全体が具体的に援用される)。特定のタンパク質は、ファージにおいて不十分にディスプレイされることが公知であり(Maenakaら、1996;Coreyら、1993)、そして、細胞表面ディスプレイの毒性効果が長らく論じられている(Daughertyら、1999)。ディスプレイされるタンパク質はまた、融合タンパク質として発現される必要があり、これらは自身の機能を変化させ得る。従って、任意のディスプレイシステムによって課される選択束縛は、比較的小さく、かつ「単純な」タンパク質に適用を限定し得、そして、多数の大きくそして複雑な多サブユニット種への接近を否定し得る。後者は恐らく、宿主細胞の生存率に対してあまり深刻な影響のない、ファージアセンブリの終止または外膜の転位の複雑なプロセスに、有効に参加し得ない。
本明細書中において、本発明者らは、発現された結合タンパク質(例えば、抗体)が、E.coliのペリプラズム区画に標的化され、少なくとも2kDaまでの結合リガンドおよび結合ペプチドになお受け入れられる条件を記載している。本明細書中で用いられる場合、用語「結合タンパク質」は、抗体だけでなく、抗体のフラグメント、ならびに、所定の標的分子に潜在的に結合し得る、任意の他のポリペプチドまたはタンパク質をも含む。この抗体または他の結合タンパク質は、本発明を用いて直接的に発現され得、そして融合タンパク質としては発現されない。このような技術は、「アンカーレスディスプレイ(ALD)」と名付けられ得る。ALDがどのように作動し得るかを理解するために、ALDが機能する位置を知る必要がある。
ペリプラズム区画は、グラム陰性細胞の内膜と外膜との間に含まれる(例えば、Oliver、1996を参照のこと)。ペリプラズム区画は、細胞下の区画であるので、この細胞の増殖および分裂に伴う、サイズ、形状および含量の変化に供される。ペプチドグリカンの枠組み内で、ヘテロポリマーはペリプラズムタンパク質およびわずかな水の高密度環境であり、この区画にゲル様の粘度を与える(Hobotら、1984;van WielinkおよびDuine、1990)。このペプチドグリカンは、外膜への近さに依存して、異なる程度に重合される(至近距離において、このペプチドグリカンは、細胞の形状および浸透圧性溶解に対する耐性を与える、ムレイン細胞嚢を形成する)。
この外膜(Nikaido、1996を参照のこと)は、リン脂質、ポーリン(porin)タンパク質および、培地内へ伸長するリポ多糖(LPS)から構成される。外膜全体の分子的基礎は、2価のカチオン(Mg2+およびCa2+)を結合し、互いを静電的に連結して、高度に配向した「瓦屋根(tiled roof)」と呼ばれる準結晶を表面上に形成するという、LPSの能力を備える(Labischinskiら、1985)。この膜は、ポーリンを介して、約650Da以下の分子の透過を許容する、非常に厳密な透過性障壁を形成する(Burmanら、1972;DecadおよびNikaido、1976)。大量の水で満たされたポーリンチャネルは、単糖および二糖、イオンならびにアミノ酸の、ペリプラズム区画への自由な透過の許容を主に担う(Naeke,1976;NikaidoおよびNakae、1979;NikaidoおよびVaara、1985)。分子によるペリプラズムへの接近の、このような厳密な生理学的調節のもとで、用いられるリガンドが650Daの排除限界であるか、またはそれより小さくない限り、あるいは、正常には浸透性である化合物のアナログでない限りALDが作用するはずであるということが、一見、不可解であると思われるかもしれない。しかし、本発明者らは、サイズが少なくとも2000Daのリガンドがペリプラズム内へ拡散し得ることを示している。このような拡散は、本明細書中で以下に記載されるように、細菌細胞の1つ以上の処理によって助けられ得、それによって外膜により高い透過性を与える。
(II.細菌ペリプラズムへのリガンド接近)
疎水性抗生物質の特定のクラス(650Da排除限界よりも大きい)は、膜ポーリンと独立して、それ自体で細菌外膜を通って拡散し得る(Farmerら、1999)。このプロセスは、その際に、膜を実際に透過性化し得る(JouenneおよびJunter、1990)。このような機構は、ポリミキシンBノナペプチドを用いて、インビボで、細胞質膜タンパク質のペリプラズムループを選択的に標識化するために採用されている(Wadaら、1999)。特定の長鎖リン酸ポリマー(100Pi)もまた、外膜全体の正常な分子の篩活性をバイパスするようである(RaoおよびTorriani、1988)。しかし、このような状況は一般に、細胞生存度の減少を導く。生存不可能な細胞は増殖され得ないので、生存可能な状態にある細胞を維持することは、ライブラリースクリーニング適用のために重要である。
本発明者らは、生存度の損失、または細胞からの発現されたタンパク質の放出を伴わない、ペリプラズムへのリガンドの透過を導く条件を規定している。結果として、結合タンパク質を発現する細胞は、蛍光的に標識化されたリガンドの溶液と共に単にインキュベートすることによって、蛍光的に標識化され得る。本発明者らは、細菌宿主細胞の異なる株の標識化効率に、顕著な差異を観察している。OmpF過剰発現に起因する透過性の増大が、OmpF翻訳のためのネガティブ調節mRNAの量の減少を生じるヒストン様タンパク質の欠如によって引き起こされたことが以前から示されている(Painbeniら、1997)。DNA複製および染色体分離もまた、内膜とレプリソームとの密接な接触に依存することが公知であり、内膜自体は、多数の点で外膜に接触する。従って、FACS最適ABLEC株が、プラスミドコピー数を変化させる変異体を有することは、注目に値する。
本発明者らはまた、高浸透圧性ショックのような処理が、標識を有意に改善し得ることに注目した。カルシウムイオン(Bukauら、1985)およびTris緩衝液(Irvinら、1981)さえも含む多くの薬剤が、外膜の透過性を変化させることは公知である。さらに、本発明者らは、ファージ感染が標識化プロセスを刺激することを見出した。糸状ファージ内膜タンパク質pIIIおよび大多量体外膜タンパク質pIVはともに、通常なら排除されるマルトデキストリンへの接近を改善することが公知である(Marcianoら、1999)、pIV中の変異体によって、膜透過性を変化させ得る(Boekeら、1982)。本発明者らは、株、塩およびファージの賢明な組み合わせを含む、本発明の技術を用いて、抗ジゴキシン抗体scFv(Daughertyら、1999)の細胞表面ディスプレイについてさえ、報告されているもっとも高度な蛍光シグナルを超えた。この結果は、アンカーレスディスプレイの方法論が、細胞の優れたリガンド依存性標識化を可能にすることを実証した。蛍光リガンドで標的化された細胞は、次いで、フローサイトメトリーまたは他の関連技術を用いて、非結合タンパク質変異体を発現する細胞から容易に単離され得る。
(III.ペリプラズムペプチド発現)
本発明の1つの実施形態において、細菌のペリプラズムにおいて候補分子を発現する細菌細胞が提供される。本発明の利点は、従来技術のファージディスプレイ技術と異なり、候補分子が表面に結合されることによって、候補分子との表面相互作用に起因する効果に対する可能性を限定する必要がないか、またはそれらの発現における制限を必要としない。従って、本発明は「アンカーレスディスプレイ」を用いる。本発明の技術の背後にある一般的なスキームは、ペリプラズムにおいて可溶形態にあるペプチドの不均一な集合の有利な発現である。
本発明とともに用いられ得る、グラム陰性細菌のペリプラズムにおける異種なタンパク質の発現のための方法は、当該分野において周知である(例えば、米国特許第5,646,015号および同第5,759,810号を参照のこと。これらの開示は、本明細書中において、参考としてその全体が援用される)。このような技術において、細菌によってコードされる不均一タンパク質は、ペリプラズムとして知られる内膜と外膜との間の空間内に、細菌細胞エンベロープの内膜を越えて方向付けられ得る。例えば、タンパク質が、そのN末端に結合されたE.coli認識ペプチドまたは「シグナルペプチド」を有する融合タンパク質として発現されるとき、所望のタンパク質が、ペリプラズム内に分泌される。本発明とともに潜在的に用いられ得るシグナルペプチドは、当該分野において周知であり、そしてそれらとして、例えば、Watson(1984)、Okaら(1985)、Hsiungら(1986)および欧州特許第177,343号に記載されるシグナルペプチドが挙げられる(これらの各開示は、本明細書中に、参考としてその全体が具体的に援用される)。
ファージディスプレイにおいて、目的のタンパク質をコードする遺伝子は、一般に、糸状ファージM13の遺伝子IIIコートタンパク質のアミノ末端ドメイン、または別の表面結合分子のアミノ末端ドメインに連結される。この融合物は変異して、ファージミド候補の表面上で低い量で発現される融合タンパク質と構造的に関連する、ライブラリーを形成する。例えば、米国特許第5,571,698号は、M13ファージミド系を用いる定方向進化を記載する。しかし、本発明において、遺伝子IIIコートタンパク質への融合は、このタンパク質がペリプラズムにおいて可溶な形態で発現されるので、不可欠ではない。代わりに、候補ペリプラズム発現結合タンパク質の融合タンパク質、または、ペリプラズムにおけるこのタンパク質の発現を指向するシグナル配列を有する抗体を生成することが望まれ得る。従って、候補分子の不均一な集合の生成技術(ファージディスプレイに関連する当業者に周知である)は、本発明に伴う使用のために適合され得る。当業者は、このような改変が、ペリプラズム内への候補分子の発現および分泌のための細菌性エレメント(プロモーター、エンハンサー、またはリーダー配列を含む)の使用を含むことを認識する。本発明は、標準的なディスプレイプロトコルに必要とされるような、表面結合分子との融合物(これらは、不十分に発現し得るか、または宿主細胞に有害であり得る)の生成を必要としないファージディスプレイに関する利点を提供する。
ペリプラズムにおける候補結合タンパク質および/または抗体の発現のための、本発明に関連して用いられ得る技術の例として、米国特許第5,824,520号に記載される、免疫グロブリン重鎖ライブラリーの発現のための技術が挙げられる。この技術において、単鎖抗体ライブラリーは、非常に多岐な、合成超可変領域を生成することによって、生成される。抗体ディスプレイに対する類似の技術は、米国特許第5,922,545号において与えられる。
本発明の別の実施形態に従って、酵素に対する新規な基質の同定および選択もまた、細菌ペリプラズムにおいて行われ得る(例えば、米国特許第5,780,279号を参照のこと)。この方法は、基質ペプチドをコードするDNAに融合されたポリペプチドをコードするDNAを含む遺伝子融合物を生成することを包含する。この基質ペプチドをコードするDNAは、1つ以上のコドンで変異し、それによって変異体のファミリーを生じる。融合タンパク質は、細菌のペリプラズムにおいて発現され得、そして、標的リガンドによる潜在的な阻害または改変に供され得る。改変が発生したこれらの細菌は、次いで、発生しなかった細菌から分離され得る。FACSスクリーニング技術を用いることによって、同様に、反応の全体的な進行が有効にモニターされ得る。
(IV.候補分子のスクリーニング)
本発明はさらに、標的リガンドに結合し得る分子の同定方法を含む。スクリーニングされた分子は、多様な候補基質の大きなライブラリーを含み得るか、あるいは、構造特性に関して肉眼で選択された化合物の特定のクラスを含み得る(これらの構造特性は、これらの化合物を、標的リガンドに、より結合しやすくすると考えられている)。本発明の好ましい実施形態において、この候補分子は、抗体、あるいはそのフラグメントまたは一部である。本発明の他の実施形態において、この候補分子は、別の結合タンパク質または酵素であり得る。
本発明に従う、標的リガンドに結合し得る候補分子を同定するために、以下の工程を実行し得る:細菌のペリプラズムにおいて発現される候補分子を含む、グラム陰性細菌細胞の集団を提供する工程;細菌のペリプラズム内に拡散し得る、少なくとも第1の標識化された標的リガンドと、細菌とを混合する工程;および、標的リガンドに結合し得る分子を発現する少なくとも第1の細菌を同定する工程。
上記の方法において、候補分子とリガンドとの間の結合は、細胞から外への拡散を防止する。この方法で、標識化リガンドのうちの複数の分子が、細菌のペリプラズムに保持される。次いで、標識化が、標的リガンドと結合し得る分子を発現する細胞を単離するために用いられ得、そしてこの方法では、この分子をコードする遺伝子が単離される。次いで、標的リガンドと結合し得る分子が、インビボまたはエキソビボの発現方法を用いて、大量に生成され得、次いで、任意の所望の適用(例えば、以下に記載されるような診断適用または治療適用)のために用いられ得る。
本明細書中で用いられる場合、用語「候補分子」または「候補ポリペプチド」とは、標的リガンドに対する親和性を潜在的に有し得る、任意の分子またはポリペプチドをいう。この候補基質は、タンパク質であり得るか、または低分子を含むそのフラグメントであり得る。本発明の1つの実施形態において、この候補分子は、抗体配列またはそのフラグメントを含み得る。このような配列は、それらが標的リガンドと結合する可能性に対して、特に設計され得る。
本発明に従って単離された結合タンパク質または抗体はまた、標的リガンドの構造の確認の助けとなり得る。原則的に、このアプローチは、引き続く薬物設計の基礎となり得る薬剤(pharmacore)を与える。機能的な、薬理学的に活性な抗体に対する、抗イディオタイプ抗体を生成することにより、タンパク質結晶学をまとめて回避し得る。鏡像の鏡像として、抗イディオタイプの結合部位は、本来の抗原のアナログであることを期待され得る。次いで、この抗イディオタイプは、化学的または生理学的に生成されたペプチドのバンクから、ペプチドを同定および単離するために用いられ得る。次いで、選択されたペプチドは、薬剤として役立つ。抗イディオタイプは、抗体を抗原として用いる、本明細書中に記載の抗体生成方法を用いて、生成され得る。
一方、種々の商業的な供給源から、標的リガンドと結合するための基本的な基準を満たすと考えられている低分子ライブラリーを、単に取得してもよい。このようなライブラリーは、低分子をコードする核酸またはこれらの分子を発現する細菌として提供され得る。
(V.酵素ライブラリーのスクリーニング)
本発明のさらに別の局面は、生成物への反応基質の転換を触媒し得る、酵素触媒の単離に関する。本発明者らは、酵素反応のための多くの蛍光基質が、E.coliの細胞周辺腔内に透過し得ることを発見している。このような基質と反応し得る酵素を発現する細胞は、このタンパク質の触媒活性と正比例して、蛍光生成物を生成する。本発明者らはさらに、この酵素反応の蛍光生成物が、細胞内で保持されることを見出している。結果として、細胞は、発現された酵素の触媒活性に正比例して蛍光的に染色され、そして、変異タンパク質の集団から、FACSによって識別され得る。
フローサイトメトリーは、単細胞レベルでの酵素活性および酵素反応速度論の分析によく適する。本発明者らは、通常は細胞質内に透過することができない多くの蛍光基質が、それにも関わらず、細菌細胞のペリプラズム内に自由に拡散し得ることを発見している。従って、細菌ペリプラズム中の酵素を発現する細胞は、この基質を、それぞれの蛍光生成物へと変換し得る。さらに本発明者らは、酵素反応に続いて、この蛍光生成物がペリプラズム内に選択的に保持され、そして従って、この細胞が蛍光性になり、そしてFACSによって単離され得ることを、予想外に発見した。
1mMの4−ニトロフェニル酪酸反応物の存在下におけるLysoSensor Green DND−189の場合、蛍光生成物は検出されない。むしろ、このLysoSensor Green DND−189は、pH感応性色素であり、そして、この酵素が、ペリプラズムにおいて4−ニトロフェニル酪酸の4−ニトロフェノールおよび酪酸への転換を触媒するので、pHは非緩衝化溶液において低下する。このpHの低下は、LysoSensor Green DND−189(これは、静電的引力を介して、細胞と会合し続ける)による蛍光の増大として検出される。ここで、LysoSensor Green DND−189は、低pHでプロトン化され、従って、正に荷電するので、FACS単離を可能にするほど十分に長く、負に荷電した細菌外膜と会合する。
(1.結合タンパク質コード配列のクローン化)
抗体または別の結合タンパク質の結合親和性は、例えば、MunsonおよびPollardのScatchard分析(1980)によって決定され得る。所望の特性、親和性、および/または活性の分子を生成する細菌細胞が同定された後、対応するコード配列がクローン化され得る。この様式において、この分子をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、抗体または結合タンパク質をコードする遺伝子と特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを用いて)、単離および配列決定され得る。
一旦単離されると、この抗体DNAまたは結合タンパク質DNAは、発現ベクター内に配置され得、次いで、このベクターは、組換え宿主細胞における結合タンパク質の合成を得るために、そうしなければ免疫グロブリンタンパク質を生成しない宿主細胞(例えば、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞)内にトランスフェクトされ得る。このDNAはまた、例えば、相同なマウス配列に代わる、ヒトの重鎖または軽鎖の定常ドメインに対するコード配列の置換によってか(Morrisonら、1984)、または、非免疫グロブリンポリペプチドに対するコード配列の全部もしくは一部を、免疫グロブリンコード配列に、共有結合的に結合することによって、改変され得る。この様式において、所望の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」結合タンパク質が調製される。
代表的に、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインについて置換されるか、または標的リガンドに対する特異性を有する1つの抗原結合部位、および、異なる抗原に対する特異性を有する別の抗原結合部位を含む、キメラの2価抗体を生成するために、抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインについて置換される。
キメラ抗体またはハイブリッド抗体はまた、架橋剤を含む方法を含む、合成タンパク質化学において公知の方法を用いてインビトロで調製され得る。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いてか、またはチオエーテル結合の形成によって構築され得る。この目的のための適切な試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデート(mercaptobutyrimidate)が挙げられる。
(2.リガンドに対するタンパク質の親和性の最大化)
天然の免疫応答において、抗体遺伝子は、変異体を高速で蓄積する(体細胞性過剰変異)。導入される変化のうちのいくつかは、より高い親和性、および高親和性表面免疫グロブリンを提示するB細胞を与える。この天然のプロセスは、「チェーンシャッフリング」(Marksら、1992)として公知である技術を用いることによって、模倣され得る。この方法において、本発明に従って得られる「一次」ヒト抗体の親和性は、非免疫化ドナーから得られるVドメイン遺伝子の、天然に存在する変異体のレパートリー(レパートリー)を用いて、重鎖V領域遺伝子および軽鎖V領域遺伝子を、連続的に置換することによって、改善され得る。この技術は、nM範囲で親和性を有する抗体および抗体フラグメントの生成を可能にする。非常に大きな抗体レパートリーを生成するためのストラテジーは、Waterhouseら(1993)によって記載され、そして、このような大きなファージライブラリーからの、高親和性ヒト抗体の直接的な単離は、Griffithら(1994)によって報告された。遺伝子シャッフリングがまた、げっ歯類抗体からヒト抗体を誘導するために用いられ得、ここで、ヒト抗体は、開始げっ歯類抗体と、類似の親和性および特性を有する。この方法(これはまた、「エピトープ刷り込み」と呼ばれる)に従って、ファージディスプレイ技術によって得られたげっ歯類抗体の、重鎖Vドメイン遺伝子および軽鎖Vドメイン遺伝子は、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置換され、げっ歯類−ヒトキメラを生成する。抗原における選択は、機能的抗原結合部位を回復し得る、ヒト可変領域の単離を生じる(すなわち、エピトープは、パートナーの選択を支配する(刷り込む))。残りのげっ歯類Vドメインを置換するために、このプロセスを繰り返すと、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日に公開された、PCT特許出願 WO 93/06213を参照のこと)。CDR移植による、げっ歯類抗体の従来のヒト化と異なり、この技術は、完全なヒト抗体(これは、げっ歯類起源のフレームワークもCDR残基も有さない)を提供する。
(3.標識リガンド)
本発明の1つの実施形態において、標識リガンドに対して親和性を有する抗体または結合タンパク質が、単離される。本発明の1つの実施形態において、このような標識リガンドは、このリガンドの細菌性ペリプラズムへの効率的な拡散を可能とするために、好ましくは50,000Da未満のサイズである。上記のように、典型的に、本発明に従って、1つ以上の検出可能な薬剤(単数または複数)を用いて標識されたリガンドを提供することが所望される。これは、例えば、結合体を形成するために、少なくとも1つの検出可能な薬剤へリガンドを連結することによって、実施され得る。例えば、少なくとも1つの検出可能な分子または部分に、連結または共有結合もしくは複合体化することは、慣習的である。「標識」または「検出可能な標識」は、特定の機能的特性および/または化学的特性に起因して検出され得る、化合物および/または成分であり、これらの使用は、標識が結合されるリガンドを検出し、および/または望まれるならば、さらにリガンドを定量することを可能にする。本発明で使用され得る標識の例として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:酵素、放射性標識、ハプテン、蛍光標識、リン光性分子、化学発光性分子、発色団、発光性分子、光親和性分子、有色の粒子またはリガンド(例えば、ビオチン)。
本発明の好ましい実施形態において、標識について細胞の自動化されたスクリーニングが実施され得るように、視覚的に検出可能なマーカーが使用される。特に、所望の結合タンパク質または抗体を発現する細胞の単離のためにFACSを使用することを可能にするという点で、蛍光標識が好ましい。適切な機器を用いて可視化することによって検出され得る薬剤の例は、当該分野において公知であり、所望のリガンドへの薬剤の結合のための方法も同様に公知である。(例えば、米国特許第5,021,236号;第4,938,948号および同第4,472,509号(各々、本明細書中に参考として援用する)を参照のこと)。このような薬剤としては、常磁性イオン;放射性同位元素;蛍光色素;NMR検出可能物質およびX線画像化のための物質が、挙げられ得る。本発明で使用され得る蛍光標識の型は、当業者に周知であり、そして、例えば、以下のものを含む:Alexa350、Alexa430、AMCA、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、BODIPY−FL、BODIPY−R6G、BODIPY−TMR、BODIPY−TRX、カスケードブルー、Cy3、Cy5,6−FAM、フルオレセインイソチオシアネート、HEX、6−JOE、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、REG、ローダミングリーン、ローダミンレッド、レノグラフィン、ROX、TAMRA、TET、テトラメチルローダミン、および/またはテキサスレッド。
標識として使用され得る常磁性イオンの例として、以下のようなイオンが挙げられる:クロミウム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)および/またはエルビウム(III)。他の状況において有用であるイオンとしては、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、および特にビスマス(III)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において意図されるリガンド結合体の別の型は、リガンドが、色素形成基質と接触する場合に有色産物を生成する二次結合分子および/または酵素(酵素タグ)に連結される、リガンド結合体である。このような酵素の例として、ウレアーゼ、アルカリフォスファターゼ、(ホースラディシュ)ペルオキシダーゼまたはグルコースオキシダーゼが、挙げられる。このような場合において、選択される細胞は生存可能なままであることが、所望される。好ましい二次結合リガンドは、ビオチンならびに/またはアビジンおよびストレプトアビジン化合物である。このような標識の使用は、当業者に周知であり、そして、例えば、以下に記載される:米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,277,437号、同第4,275,149号および同第4,366,241号(各々、本明細書中に参考として援用される)。
アジド基を含む分子もまた、低強度の紫外光によって生成される反応化ニトレン中間体を介して、タンパク質と共有結合を形成するために、使用され得る(PotterおよびHaley、1983)。特に、プリンヌクレオチドの2−アジドアナログおよび8−アジドアナログは、粗細胞抽出物中のヌクレオチド結合タンパク質の同定のための部位特異的フォトプローブ(photoprobe)として、使用された(OwensおよびHaley、1987;Athertonら、1985)。2−アジドヌクレオチドおよび8−アジドヌクレオチドはまた、精製されたタンパク質のヌクレオチド結合ドメインをマッピングするために使用され(Khatoonら、1989;Kingら、1989;およびDholakiaら、1989)、そして、リガンド結合剤として使用され得る。
標識化は、当業者に周知である任意の技術によって、実施され得る。例えば、リガンドは、所望の標識および化学酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)、または酵素的酸化剤(例えば、ラクトペルオキシダーゼ)とリガンドを接触させることによって、標識化され得る。同様に、リガンド交換プロセスが使用され得る。あるいは、直接標識化技術は、例えば、標識、還元剤(例えば、SNCl)、緩衝溶液(例えば、ナトリウム−カリウムフタレート塩溶液)、およびリガンドをインキュベートすることによって、使用され得る。リガンド上の媒介性官能基はまた、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の存在下で、標識をリガンドに結合するために、使用され得る。
他の方法もまた、リガンドの結合体成分への結合または結合体化に関して、当該分野において公知である。いくつかの結合法は、リガンドに結合される有機キレート剤(例えば、無水ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);エチレントリアミン4酢酸;N−クロロ−p−トルエンスルホンアミド;および/またはテトラクロロ−3α−6α−ジフェニルグリコウリル(diphenylglycouril)−3)の使用を含む(米国特許第4,472,509号および同第4,938,948号、各々、本明細書中に参考として援用される)。リガンドはまた、カップリング剤(例えば、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩)の存在下で、酵素と反応され得る。蛍光マーカーとの結合体は、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアネートと反応させることによって、調製され得る。米国特許第4,938,948号において、乳癌のイメージングは、モノクローナル抗体を使用して達成され、そして、検出可能なイメージング部分は、リンカー(例えば、メチル−p−ヒドロキシベンズイミデートまたはN−スクシンイミジル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を使用して、抗体へ結合される。
(V.本発明の例示的な使用)
本明細書中に記載される実施例は、抗強心配糖体scFv 26.10の親和性成熟、および大きななレパートリーのライブラリーからの抗体のデノボ単離のための、本発明の使用を説明する。重要なことに、本発明は、他のタンパク質ライブラリースクリーニング技術(例えば、ファージディスプレイ)によって損なわれている、タンパク質改変体の単離を生じる。上記の議論のように、ペリプラズマを標的化した場合、大半のscFvは、宿主細胞に対して毒性である。このような分子の適度な発現レベルは、培養条件の改変、シャペロンおよびフォールダーゼ(foldase)の供与などによって得られ得るが、宿主細胞はしばしば、発現後に回復できない。本発明のアンカー−レス−ディスプレイ(ALD)技術を用いるFACS選択は、強いFACSシグナルのために十分に高い発現レベルであるが、細胞に回復不能なダメージを与えるほど、および細胞の単離を防害するほど高くない発現レベルを必要とする。対照的に、ファージディスプレイは、発現のための選択をほとんど課さない。結果として、ファージディスプレイライブラリースクリーニングプログラムから単離されるタンパク質は、しばしば、さらなる特性付けのために十分な量を生成することが、非常に困難である。高度に発現可能なフレームワークに基づくライブラリー(Knappickら、2000)の出現は、発現 対 生存度の問題を回避することを助けるはずである。現在のFACS機構の高い整理速度は、一般に、非常に大きなライブラリー(10〜1010)のスクリーニングを可能とし、そして、ファージディスプレイまたは細胞表面ディスプレイを完全に回避し得る。
適切な蛍光リガンドを用いて、ぺリプラズムで発現されるタンパク質を特異的に標識化する能力はまた、ライブラリースクリーニングとは異なる適用を有する。蛍光リガンドを用いる特異的な標識化およびフローサイトメトリーは、タンパク質形成中の生成のモニタリングのために、使用され得る。フローサイトメトリーは以前、細菌細胞の分析のために使用されていたが、ぺリプラズムタンパク質の特異的な標識化および定量ためには使用されていなかった。しかし、IGF−1、種々のインターロイキン、酵素(例えば、ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子)、抗体フラグメント、インヒビター(例えばウシ膵臓トリプシンインヒビター)を含む、大多数の市販の重要なタンパク質が、組換え細菌において、ペリプラズム腔へ分泌される形態で、発現される。培養物中の各細胞内におけるこのようなタンパク質の生成レベルは、本発明によって教示される技術に従って、適切な蛍光リガンドおよびフローサイトメトリー分析を利用することで、モニターされ得る。
一般的に、タンパク質発現のモニタリングは、細胞の溶解および免疫学的技術によるタンパク質の検出、または続くクロマトグラフィーの分離を必要とする。しかし、ELISAまたはウェスタンブロット分析は、時間がかかり、そして、細胞集団間の発現分布に関する情報を提供せず、そして、オンラインモニタリングのために使用され得ない(Thorstensonら、1997;Berrierら、2000)。対照的に、FACS標識化は、迅速かつ簡便で、そして、グラム陰性細菌において発現される組換えタンパク質の工業規模での発酵のオンラインモニタリングへ、十分に適用され得る。同様に、本発明は、生物学的反応の特定な副生産物の生成をモニターするために、使用され得る。本発明はまた、細菌内においてインビボで発現されるかまたはエキソビボで提供される酵素の、相対的濃度または比活性を測定するために、使用され得る。ALDの受動的かつ即時の性質は、多数の間接的なプロトコルに頼るのではなく、直接的観察を用いる細胞集団の即時の分析を可能にするという利点を提供する。
一旦、リガンド結合タンパク質(例えば、抗体)が本発明に従って単離されると、結合体を形成するために、分子を少なくとも1つの薬剤に連結し、この分子の有用性を高めることが、望まれ得る。例えば、診断薬または治療薬としての抗体分子の効力を増加させるために、少なくとも1つの所望される分子または部分に連結、または共有結合もしくは共有結合的に複合体化することが、慣習的である。このような分子または部分としては、少なくとも1つのエフェクター分子またはレポーター分子が挙げられ得るが、これらに限定されない。エフェクター分子は、所望の活性(例えば、細胞傷害性活性)を有する分子を含む。抗体へ結合されるエフェクター分子の非限定的な例として、以下のものが挙げられる:毒素、抗腫瘍剤、治療酵素、放射性標識ヌクレオチド、抗ウイルス剤、キレート剤、サイトカイン、増殖因子およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド。対照的に、レポーター分子は、アッセイを使用して検出され得る任意の部分として、定義される。このような分子を標識化するための技術は、当業者に公知で、そして、本明細書中で上記されている。
次いで、本発明に従って調製された標識結合タンパク質(例えば、抗体)はまた、例えば以下についての免疫検出法において、使用され得る:生物学的成分(例えば、タンパク質(単数または複数)、ポリペプチド(単数または複数)、またはペプチド(単数または複数))の結合、精製、除去、定量、および/または、別の一般的な検出。いくつかの免疫検出法は、少し言及すると、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、イムノラジオメトリックアッセイ(RIA)、免疫放射定量アッセイ、蛍光免疫アッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、およびウェスタンブロット法が挙げられる。種々の有用な免疫検出法の工程は、以下の科学技術文献において、記載されている:例えば、Doolittle MHおよびBenZeev O、1999;Gulbis BおよびGaland P、1993など;およびDe Jager Rら、1993、各々本明細書中に参考として援用される。このような技術として、結合アッセイ(例えば、当該分野において公知である、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)および/または放射免疫アッセイ(RIA)の種々の型)が、挙げられる。
本発明に従って調製されるリガンド結合分子(抗体を含む)はまた、例えば、免疫組織化学(IHC)によって、研究のために調製される新鮮凍結および/またはホルマリン固定、パラフィン包埋される組織ブロックとの結合体であり得る。これらの粒子検体からの組織ブロックの調製法は、種々の予後因子に関する以前のIHC研究において首尾良く使用されており、そして/または当業者に周知である(Abbondanzoら、1990)。
(VI.FACSを用いる自動化スクリーニング)
本発明の1つの実施形態において、蛍光発色セルソーター(FACS)スクリーニング、または他の自動化フローサイトメトリー技術は、細菌のぺリプラズマ中の候補分子に結合される標識リガンドを含む細菌細胞の効率的な単離のために、使用され得る。FACSを実施するための機器は当業者に公知であり、そして、市販されている。このような機器の例として、以下のものが挙げられる:FACS Star Plus、FACScanおよびFACSort機器(Becton Dickinson(Foster City、Calif.)から)、Epics C(Coulter Epics Division(Hialeah、Fla.)から)ならびにMoFlo(Cytomation(Colorado Springs,Co)から)。
一般的に、フローサイトメトリー技術は、液体サンプル中の細胞または他の粒子の分離に、関係する。典型的に、フローサイトメトリーの目的は、分離された粒子を、それらの1つ以上の特性(例えば、標識リガンドまたは他の分子の存在)について、分析することである。フローサイトメトリーの基礎となる工程は、装置を介した液体サンプルの方向に関係し、その結果、液体流動が検出領域を通り抜ける。粒子は、センサーによって1度に1つずつ通過するべきであり、そして、大きさ、屈折、光散乱、不透明度、粗度、形状、蛍光などを基にして、分類される。
細胞の迅速な定量分析は、生物医学的研究および生物医学的医療において有用であることを、証明する。装置は、1秒間に数千細胞の割合での、細胞特性の定量的多パラメーター分析を可能とする。これらの機器は、細胞型間を区別するための能力を、提供する。データはしばしば、測定される変数の1次元(ヒストグラム)または2次元(輪郭プロット、散布プロット)の度数分布において、表示される。多パラメーターデータファイルの分配は、対話型(interactive)の1次元図表プログラムまたは2次元図表プログラムの継続的使用を含む。
迅速な細胞検出のための多パラメーターフローサイトメトリーデータの定量分析は、以下の2段階からなる:細胞分類特性付けおよびサンプル処理。一般に、細胞分類特性付けのプロセスは、細胞特性を、目的の細胞および目的でない細胞に区分する。次いで、サンプル処理において、各細胞は、それらが分類される領域に従って、2つのカテゴリーの1つの中へ、分類される。細胞分類の分析は、非常に重要である。なぜなら、高度な検出性能は、細胞の適切な特性が取得される場合にのみ、予想され得るからである。
フローサイトメトリーによって、細胞分析が実施されるだけでなく、細胞の分別も行われる。米国特許第3,826,364号において、粒子(例えば、機能的に異なる細胞型)を物理的に分離する装置が、開示される。この機械において、レーザーは、適切なレンズまたはレンズシステムによって粒子流動に集められるイルミネーションを提供し、その結果、その中に、粒子からの高度に限局化された散乱が存在する。さらに、高強度源イルミネーションは、流動中での蛍光粒子の励起のために、粒子の流動へ指向される。流動中の特定の粒子は、選択的に荷電され得、次いで、これら粒子を指定されるレセプタクルへ偏向させることによって、分離され得る。この分離の古典的な形態は、蛍光タグ抗体を介し、この蛍光タグ抗体は、分離のために、1つ以上の細胞型を印付けるために使用される。
フローサイトメトリーの他の方法は、以下において見出され得る:米国特許第4,284,412号、同第4,989,977号、同第4,498,766号、同第5,478,722号、同第4,857,451号、同第4,774,189号、同第4,767,206号、同第4,714,682号、同第5,160,974号および同第4,661,913号、これらの開示の各々が、本明細書中に参考として、特に援用される。
(VII.核酸に基づいた発現系)
核酸に基づいた発現系は、本発明の特定の実施形態において、組換えタンパク質の発現のための、有用性を見出し得る。例えば、本発明の1つの実施形態は、候補抗体、または選択されるリガンドに対して親和性を有する他の結合タンパクのコード配列を用いたグラム陰性細菌の形質転換、およびグラム陰性細菌のペリプラズマにおけるこのような候補分子の発現に関係する。本発明の他の実施形態において、このようなコード配列の発現は、例えば、標的リガンドに対して特異性を有する単離された結合タンパク質の調製のために、真核生物宿主細胞において、実施され得る。次いで、単離されたタンパク質は、1つ以上の治療的適用または診断的適用において、使用され得る。
(1.核酸送達の方法)
本発明の特定の局面は、標的細胞への核酸の送達を含み得る。例えば、細菌宿主細胞は、潜在的に標的リガンドに結合する能力を有する候補分子をコードする核酸を用いて、形質転換され得る。本発明の特定の実施形態において、発現を細菌のペリプラズムに標的化することが、所望され得る。真核生物宿主細胞の形質転換は同様に、標的リガンドを結合する能力を有するものとして同定される、種々の候補分子の発現において、用途を見出し得る。
細胞の形質転換のための核酸送達に関する適切な方法は、核酸(例えば、DNA)が、このような細胞に、またはそのオルガネラにさえ導入され得るような、実質的に任意の方法を含むと、考えられる。このような方法としては、以下に示すようなDNAの直接送達が挙げられるが、これらに限定されない:マイクロインジェクション(HarlanおよびWeintraub、1985;米国特許第5,789,215号、参考として本明細書中に援用される)を含む、注入(米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号および同第5,580,859号、各々本明細書中に参考として援用される);エレクトロポレーション(米国特許第5、384、253号、本明細書中に参考として援用される);リン酸カルシウム沈澱(GrahamおよびVan Der Eb、1973;ChenおよびOkayama、1987;Rippeら、1990);DEAE−デキストランと、それに続くポリエチレングリコールの使用(Gopal、1985);直接音波負荷(direct sonic loading)(Fechheimerら、1987);リポソーム媒介トランスフェクション(NicolauおよびSene、1982;Fraleyら、1979;Nicolauら、1987;Wongら、1980;Kanedaら、1989;Katoら、1991);マイクロプロジェクタイルボンバードメント(PCT出願WO94/09699号およびWO95/06128号;米国特許第5,610,042号、同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号および同第5,538,880号、各々が本明細書中で参考として援用される);炭化ケイ素繊維を用いた撹拌(Kaepplerら、1990;米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号、各々本明細書中に参考として援用される);Agrobacterium媒介形質転換(米国特許第5,591,616号および同第5,563,055号、各々本明細書中に参考として援用する);または、プロトプラストのPEG媒介形質転換(Omirullehら、1993;米国特許第4、684、611号および同第4、952、500号、各々が本明細書中に参考として援用される);乾燥/抑制(desciccation/inhibition)−媒介DNA取り込み(Potrykusら、1985)。これらのような技術の適用を介して、オルガネラ(単数または複数)、細胞(単数または複数)、組織(単数または複数)または生物体(単数または複数)は、安定にまたは一過的に、形質転換され得る。
(a.エレクトロポレーション)
本発明の特定の実施形態において、核酸は、エレクトロポレーションを介して、細胞へ導入される。エレクトロポレーションは、高電圧放電への細胞懸濁液およびDNAの曝露に、関係する。この方法のいくつかの改変において、特定の細胞壁分解酵素(例えば、ペクチン分解酵素)は、標的レシピエント細胞が、非処理の細胞よりも、エレクトロポレーションによる形質転換をより受けやすくするために、使用される(米国特許第5,384,253号,本明細書中に参考として援用される)。あるいは、レシピエント細胞は、機械的損傷によって、形質転換をより受けやすくされ得る。
(b.リン酸カルシウム)
本発明の他の実施形態において、核酸は、リン酸カルシウム沈澱を使用して細胞へ導入される。ヒトKB細胞は、この技術を使用して、アデノウイルス5 DNAでトランスフェクトされた(GrahamおよびVan Der Eb、1973)。また、この様式において、マウスL(A9)、マウスC127、CHO、CV−1、BHK、NIH3T3およびHeLa細胞がネオマイシンマーカー遺伝子でトランスフェクトされ(ChenおよびOkayama、1987)、そして、ラット肝細胞は種々のマーカー遺伝子でトランスフェクトされた(Rippeら、1990)。
(2.ベクター)
ベクターは、例えば、標識リガンドに結合する能力についてスクリーニングすることが望まれる候補ポリペプチドをコードする核酸配列を用いるグラム陰性細菌の形質転換において、本発明での用途が見出され得る。本発明の1つの実施形態において、標的ポリペプチドをコードする核酸配列の全ヘテロ接合性「ライブラリー」は、細菌集団へ導入され得、ゆえに、全ライブラリーのスクリーニングが可能となる。用語「ベクター」を使用して、核酸配列が複製され得る細胞への導入のために、核酸配列が挿入され得るキャリア核酸分子をいう。核酸配列は「外来性」であり得、この「外来性」は、ベクターが導入される細胞に異質であること、または、この配列がその細胞中の配列に対して同種であるが、通常その配列が見出されない宿主細胞核酸内の位置にあるということを意味する。ベクターとしては、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルスおよび植物ウイルス)、および人工染色体(例えば、YAC)が、挙げられる。当業者は、標準的組換え技術を介してベクターを構築し得、この技術は、Maniatisら、1988およびAusubelら、1994(これらの両方の参考文献が本明細書中に参考として援用される)において、記載される。
用語「発現ベクター」は、転写される能力がある遺伝子産物の少なくとも一部分をコードする核酸配列を含むベクターをいう。いくつかの場合において、次いで、RNA分子は、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳される。他の場合において、これらの配列は、例えば、アンチセンス分子またはリボザイムの生成においては、翻訳されない。発現ベクターは種々の「制御配列」を含み得、その「制御配列」は、特定の宿主生物体において作動可能に連結されるコード配列の、転写およびおそらく翻訳のために必要な核酸配列をいう。転写および翻訳を支配するコントロール配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能をも供与し、そして以下に記載するような核酸配列を含み得る。
(a.プロモーターおよびエンハンサー)
「プロモーター」は、転写の開始および転写の速度が制御される核酸配列領域である、制御配列である。プロモーターは、調節タンパク質および調節分子(例えば、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子)を結合し得る遺伝子エレメントを含み得る。句「作動可能なように位置付けられた」「作動可能なように連結された」「制御下」および「制御調節下」は、ある配列の転写開始および/または発現を調節するために、プロモーターが、その核酸配列に関して、正確な機能的位置および/または方向にある、ということを意味する。プロモーターは、「エンハンサー」との結合体において使用されても、使用されなくともよく、この「エンハンサー」は、核酸配列の転写活性化に関する、シス作用性調節配列のことをいう。
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置した5’非コード配列を単離することによって入手され得るように、遺伝子または配列と生来関連するものであり得る。このようなプロモーターは、「内因性」として呼ばれ得る。同様に、エンハンサーは、その配列の下流または上流のいずれかに位置し、核酸配列に生来関連するものであり得る。あるいは、特定の利点は、組換えまたは異種のプロモーター(その自然環境における核酸配列と通常関連しないプロモーターをいう)の制御下で、コード核酸セグメントを位置付けることによって得られる。組換えまたは異種のエンハンサーはまた、その自然環境において、核酸配列と通常関連しないエンハンサーをいう。このようなプロモーターまたはエンハンサーとしては、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、および任意の他の原核生物細胞、ウイルス、または真核生物細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、および「天然に存在」しないプロモーターまたはエンハンサー(すなわち、異なる転写の調節領域の異なる成分、および/または発現を変える変異を含む)が挙げられ得る。合成的にプロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を作製することに加えて、配列は、組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術を使用して作製され得、この技術としては、本明細書において開示された組成物と関連するPCRTMが挙げられる(本明細書中に参考として各々援用される米国特許第4,683,202号、米国特許第5,928,906号を参照のこと)。さらに、ミトコンドリア、葉緑体、などのような無核の細胞小器官内の配列の転写および/または発現を指示する制御配列が、同様に使用され得ることは、企図される。
当然のことながら、発現について選択される、細胞型、細胞小器官、および生物においてDNAセグメントの発現を効率的に指示する、プロモーターおよび/またはエンハンサーを使用することは、重要とされる。本発明で使用され得るこのようなプロモーターの1つの例は、E.coliアラビノースプロモーターである。分子生物学の当業者は、一般には、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー、および細胞型の組み合わせの使用に精通している。例えば、本明細書中に参考として援用されるSambrookら(1989)を参照のこと。使用されるプロモーターは、構成的、組織特異的、誘導性、および/または、組換えのタンパク質および/またはペプチドの大量生産において有利であるような、導入されたDNAセグメントの高いレベルの発現を指示するような適切な条件下で有用であり得る。プロモーターは、異種または内因性であり得る。
(b.開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位)
特定の開始シグナルはまた、コード配列の効率的な翻訳に要求され得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンまたは隣接する配列を含む。ATG開始コドンを含む、外因性の翻訳制御シグナルが、提供されることを必要とし得る。当業者は、容易にこの配列の決定および必要なシグナルの提供が可能である。開始コドンが、挿入物全体の翻訳を確実にするための所望されるコード配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことは周知である。外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然のものか、または合成のもののいずれかであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサー成分の包含によって増強され得る。
(c.マルチクローニング部位(multiple cloning site))
ベクターは、マルチクローニング部位(MCS)を含み得、これは、ベクターを消化するための標準的な組換え技術と関連して使用され得る任意の複数の制限酵素部位を含む核酸領域である(本明細書中に参考として援用されるCarbonelliら、1999、Levensonら、1998、およびCocea、1997を参照のこと)。「制限酵素消化」とは、核酸分子内の特定の位置にのみ機能する酵素を用いて核酸分子の触媒的な開裂をすることをいう。これらの制限酵素の多くは、市販されている。このような酵素の使用は、当業者によって理解される。しばしば、ベクターは、外因性の配列がベクターに連結されることを可能にするために、MCS内で切断する制限酵素を使用して、直線化またはフラグメント化される。「ライゲーション」とは、2つの核酸フラグメントの間にホスホジエステル結合を形成する工程をいい、これらのフラグメントは、相互に隣接してもよいし、隣接しなくてもよい。制限酵素およびライゲーション反応に関連する技術は、組換え技術の当業者に周知である。
(d.終止シグナル)
本発明のベクターまたは構築物は、一般的に、少なくとも1つの終止シグナルを包含する。「終止シグナル」または「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写産物の特定の終止に関連するDNA配列から構成される。従って、特定の実施形態において、RNA転写産物の産生を停止する終止シグナルは、企図される。ターミネーターは、所望のメッセージレベルを達成するためにインビボで要求され得る。
本発明における使用のために企図されるターミネーターは、本明細書に記載されるか、または当業者に公知な転写の任意の公知のターミネーターを含み、例えば、rhp依存性ターミネーターまたはrho非依存性ターミネーターを含むがこれらに限定されない。特定の実施形態において、終止シグナルは、配列の切断に起因するような、転写可能または翻訳可能な配列の欠損であり得る。
(e.複製起点)
宿主細胞においてベクターを増殖させるために、複製が開始される特定の核酸配列である1つ以上の複製起点部位(しばしば「ori」と呼ばれる)を含み得る。あるいは、宿主細胞が酵母である場合、自己複製配列(ARS)が使用され得る。
(f.選択可能およびスクリーニング可能なマーカー)
本発明の特定の実施形態において、本発明の核酸構築物を含む細胞は、発現ベクターにマーカーを含むことによってインビトロまたはインビボで同定され得る。このようなマーカーは、細胞に、発現ベクターを含む細胞の容易な同定を可能にする同定可能な変化を付与する。一般的に、選択可能マーカーは、選択を可能にする特性を付与するものである。ポジティブな選択可能マーカーは、そのマーカーの存在がその選択を可能にする選択可能マーカーであり、一方、ネガティブな選択可能マーカーは、その存在がその選択を妨げる選択可能マーカーである。ポジティブな選択可能マーカーの例は、薬物耐性マーカーである。
通常、薬物選択マーカーの包含は、形質転換株のクローニングおよび同定を補助し、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン(zeocin)およびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子は、有用な選択可能マーカーである。実施の条件に基づいて形質転換株の識別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、方法が比色分析であるGFPのようなスクリーニング可能なマーカーを含む他のタイプのマーカーはまた、企図される。あるいは、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のようなスクリーニング可能な酵素が使用され得る。当業者はまた、免疫学的マーカーの使用法をおそらくFACS分析と関連して理解する。遺伝子産物をコードする核酸が同時に発現することが可能である限り、使用されるマーカーは、重要ではないと考えられる。選択可能およびスクリーニング可能なマーカーのさらなる例は、当業者に周知である。
(3.宿主細胞)
本明細書で使用される場合、用語「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」は、交換可能に使用され得る。これらの用語の全てはまた、任意および全ての引き続く世代であるそれらの子孫を含む。全ての子孫は、意図的な変異または不注意な変異に起因して同一であり得ないことが理解される。異種の核酸配列を発現するという状況において、「宿主細胞」とは、原核生物細胞または真核生物細胞をいい、そしてそれは、ベクターを複製し得るか、および/またはベクターによってコードされる異種の遺伝子を発現し得る、任意の形質転換可能な生物を含む。宿主細胞は、ベクターのためのレシピエントとして使用され得、そして使用されてきた。宿主細胞は、「トランスフェクト」されるかまたは「形質転換」され得、これは、外因性の核酸は、宿主細胞内に移されるかまたは導入されるプロセスをいう。形質転換された細胞は、最初の被験細胞およびその子孫を含む。
本発明の特定の実施形態において、宿主細胞は、グラム陰性細菌細胞である。これらの細菌は、これらが内膜と外膜との間に細胞周辺腔を保有することにおいて、本発明での使用について適している。それ自体として、このような細胞周辺腔を有する任意の他の細胞は、本発明に従って使用され得る。本発明とともに使用を見出し得るグラム陰性細菌の例としては、E.coli、Pseudomonas aeruginosa、Vibrio cholera、Salmonella typhimurium、Shigella flexneri、Haemophilus influenza、Bordotella pertussi、Erwinia amylovora、Rhizobium sp.が挙げられ得るが、これらに限定されない。グラム陰性細菌細胞は、なおさらに、選択されたリガンドに結合し得る候補ペプチドをコードする配列を用いて形質転換された細菌細胞として規定され得る。ポリペプチドは、細胞周辺腔内に発現され、そして抗体をコードする配列または別の配列を包含し得る。細胞周辺腔におけるポリペプチドの発現のための1つの方法は、このような指示を生じ得るポリペプチドにリーダー配列を結合させることによる。
多数の原核生物細胞株および原核生物細胞培養物が、宿主細胞としての使用に利用可能であり、そして、これらはAmerican Type Culture Collection(ATCC)を介して入手され得る。ATCCは、生きた培養物および遺伝物質のための保管所としての役割を果たす機関である(www.atcc.org)。適切な宿主は、ベクター骨格および所望される結果に基づいて当業者によって決定され得る。プラスミドまたはコスミドは、例えば、多数のベクターの複製のために原核生物宿主細胞中へ導入され得る。ベクターの複製および/または発現のために宿主細胞として使用される細菌細胞は、DH5α、JM109、およびKC8、ならびに多数の市販の細菌宿主(例えば、SURE(登録商標) Competent CellsおよびSOLOPACKTM Gold Cells(STRATAGENE(登録商標)、La Jolla))を含む。あるいは、E.Coli LE392のような細菌細胞は、バクテリオファージのための宿主細胞として使用され得る。
種々の細胞型および生物由来の多数の宿主細胞が入手可能であり、そして当業者に公知である。同様に、ウイルス性ベクターは、真核生物宿主細胞または原核生物宿主細胞のいずれかとともに、特にベクターの複製または発現について許容性の宿主細胞が使用され得る。いくつかのベクターは、ベクターが原核生物細胞および真核生物細胞の両方において複製および/または発現されることを可能にする制御配列を利用し得る。当業者は、さらに、上記に記載された宿主細胞の全てがこれらを維持し、そしてベクターの複製を可能にするための、インキュベートするための条件を理解する。ベクターの大量生産、ならびにベクターによってコードされる核酸およびこれらの同族のポリペプチド、タンパク質、またはペプチドの産生を可能にする技術および条件はまた、理解され、そして公知である。
(4.発現系)
上記で議論した組成物の少なくとも一部または全てを包含する、多数の発現系が存在する。このような系は、例えば、特定のリガンドに結合し得るとして本発明に従って同定されたポリペプチド産物の産生のために使用され得る。原核生物ベースの系および/または真核生物ベースの系は、本発明を用いて、核酸配列、またはそれらの同族のポリペプチド、タンパク質およびペプチドを産生するための使用に利用され得る。多数のこのような系は、商業的および広範に利用可能である。
発現系の他の例は、STRATAGENE(登録商標)のCOMPLETE CONTROLTM Inducible Mammalian Expression Systemを含み、これは、合成的なエクジソン誘導性レセプター、またはそのpET発現系、E.coli発現系に関連する。誘導性の発現系の別の例は、INVITROGEN(登録商標)から入手可能であり、これは、T−REXTM(テトラサイクリン調節性発現)System、全長CMVプロモーターを使用する誘導性の哺乳動物の発現系を保有する。INVITROGEN(登録商標)はまた、Pichia methanolica Expression Systemと呼ばれる酵母の発現系を提供し、これはメタン資化性(methylotrophic)酵母Pichia methanolicaにおける組換えタンパク質の高いレベルの産生のために設計される。当業者は、核酸配列またはその同族のポリペプチド、タンパク質、もしくはペプチドを産生するために、発現構築物のような、ベクターの発現の方法を理解する。
(5.候補の結合タンパク質および抗体)
本発明の特定の局面において、潜在的に標的リガンドに結合し得る候補抗体または他の組換えタンパク質は、宿主の細菌細胞のペリプラズム内に発現される。このような抗体の異種性の集団の発現によって、標的リガンドに対して高い親和性を有する、これらの抗体が同定され得る。次いで、同定された抗体は、本明細書中に記載されるように、種々の診断的適用または治療的適用において使用され得る。
本明細書で使用される場合、用語「抗体」とは、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEのような任意の免疫学的な結合因子に対して広く言及することを企図される。用語「抗体」はまた、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子に対して言及するために使用され、そして抗体フラグメント(例えば、Fab’、Fab、F(ab’))、シングルドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(単鎖Fv)、ならびに工学(engineering)多価抗体フラグメント(例えば、二価抗体、三価抗体および多価抗体)を含む。種々の抗体に基づいた構築物およびフラグメントを調製および使用するための技術は、当該分野において周知である。抗体を調製および特性付けるための方法はまた、当該分野において周知である(例えば、本明細書中に参考として援用されるAntibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照のこと)。
一旦、標的リガンドに対する親和性を有する抗体が同定されると、抗体は、必要に応じて、濾過、遠心分離および種々のクロマトグラフ法(例えば、HPLCまたはアフィニティークロマトグラフィー)を使用して精製され得る。このような抗体のフラグメントは、酵素(例えば、ペプシンもしくはパパイン)を用いた消化を含む方法によるか、および/または化学的還元によるジスルフィド結合の開裂によって、このように産生された抗体から入手され得る。あるいは、本発明によって包含される抗体フラグメントは、自動ペプチド合成機を使用して合成され得る。
分子クローニングアプローチは、候補抗体の異種の集団の産生について適切な1つの方法を包含し、次いで、候補抗体の異種の集団は、本発明に従って標的リガンドに対する親和性についてスクリーニングされ得る。本発明の1つの実施形態において、コンビナトリアル免疫グロブリンファージミドは、動物の脾臓から単離されたRNAから調製され得る。動物をスクリーニングされたリガンドを用いて免疫することによって、アッセイは、特定の抗原に対して標的化され得る。従来の技術を越えるこのアプローチの利点は、1回に約10倍の多数の抗体が産生およびスクリーニングされ得ること、および適切な抗体の発見の機会をさらに増加させるH鎖およびL鎖の組み合わせによって新たな特異性が産生されることである。
(VIII.核酸の操作および検出)
本発明の特定の実施形態において、核酸の操作および/または検出のために1以上の技術を使用することは、所望され得る。このような技術は、例えば、宿主細胞の形質転換のためのベクターの調製およびトランスジェニック細胞から選択された核酸セグメントをクローニングするための方法を含み得る。このような操作を実施するための方法論は、本開示の観点から当業者に周知である。
(1.核酸の増幅)
増幅のためのテンプレートとして使用される核酸は、標準的な方法論に従って細胞、組織または他のサンプルから単離され得る(Sambrookら、1989)。特定の実施形態において、分析は、テンプレートの核酸の実質的な精製を行わずに、細胞全体もしくは組織のホモジネート、または生物学的な流体サンプルに対して実施され得る。核酸は、ゲノムDNAまたは断片化されたRNAもしくは細胞全体のRNAであり得る。RNAが使用される場合、最初にRNAを相補DNAに変換することが所望され得る。
本明細書で使用される場合、用語「プライマー」は、テンプレート依存のプロセスにおいて、初期の核酸の合成を刺激し得る任意の核酸を包含することを意図する。代表的に、プライマーは、10〜20塩基対長および/または30塩基対長のオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列は使用され得る。プライマーは、二本鎖の形態および/または一本鎖の形態で提供され得るが、一本鎖の形態が好ましい。
選択された核酸配列に対応する核酸に選択的にハイブリダイズするように設計されたプライマーの対は、選択的なハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、テンプレート核酸と接触される。所望される適用に依存して、プライマーに対して完全に相補的である配列にのみハイブリダイゼーションを可能にする、高いストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件が、選択され得る。他の実施形態において、ハイブリダイゼーションは、プライマー配列を用いて1つ以上のミスマッチを含む核酸の増幅を可能にするための緩和されたストリンジェンシーの下で生じ得る。一旦ハイブリダイズされると、テンプレート−プライマー複合体は、テンプレート依存性の核酸合成を容易にする1以上の酵素と接触させられる。複数の増幅の繰り返しはまた、「サイクル」として言及され、十分な量の増幅産物が産生されるまで実施される。
増幅産物は、検出および定量化され得る。特定の適用において、検出は、視覚的な手段によって実施され得る。あるいは、検出は、組み込まれた放射標識もしくは蛍光標識の化学発光、放射性シンチグラフィーを介してか、または電気的インパルス信号および/または熱性のインパルス信号を使用するシステムを介する、産物の間接的な同定を含み得る(Affymax technology;Bellus、1994)。
多くのテンプレート依存性のプロセスは、所定のテンプレートサンプル内に存在するオリゴヌクレオチド配列を増幅するために利用可能である。最も公知の増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTMとして言及される)であり、これは、米国特許第4,683,195号、米国特許第4,683,202号および米国特許第4,800,159号中、ならびにInnisら、1988中に詳細に記載され、これらの各々は、本明細書中にそれらの全体において参考として援用される。
逆転写酵素PCRTM増幅手順は、増幅されたmRNAの量を定量化するために実施され得る。RNAをcDNAへ逆転写する方法は、周知である(Sambrookら、1989を参照のこと)。逆転写についての代替的な方法は、熱安定性のDNAポリメラーゼを利用する。これらの方法は、WO90/07641中に記載される。ポリメラーゼ連鎖反応の方法論は、当該分野において周知である。RT−PCRの代表的な方法は、米国特許第5,882,864号中に記載される。
増幅についての別の方法は、リガーゼ連鎖反応(「LCR」)であり、本明細書中にその全体において参考として援用される欧州出願第320 308号中に開示される。米国特許第4,883,750号は、標的配列にプローブの対を結合するためのLCRと同様な方法を記載する。米国特許第5,912,148号中に開示される、PCRTMおよびオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ(OLA)に基づいた方法はまた、使用され得る。
本発明の実施において使用され得る標的核酸配列の増幅についての代替的な方法は、米国特許第5,843,650号、米国特許第5,846,709号、米国特許第5,846,783号、米国特許第5,849,546号、米国特許第5,849,497号、米国特許第5,849,547号、米国特許第5,858,652号、米国特許第5,866,366号、米国特許第5,916,776号、米国特許第5,922,574号、米国特許第5,928,905号、米国特許第5,928,906号、米国特許第5,932,451号、米国特許第5,935,825号、米国特許第5,939,291号および米国特許第5,942,391号、英国(GB)出願番号第2202 328号、ならびにPCT出願番号PCT/US89/01025中に開示され、それらの各々は、本明細書中にその全体において参考として援用される。
PCT出願番号PCT/US87/00880中に記載される、Qbeta Replicaseはまた、本発明において増幅方法として使用され得る。この方法において、標的の配列に相補的な領域を有するRNAの複製型配列は、RNAポリメラーゼの存在下サンプルへ加えられる。ポリメラーゼは、複製型配列をコピーし、次いで、複製型配列は、検出され得る。
制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼが、制限部位の一本鎖においてヌクレオチド5’−[α−チオ]−三リン酸を含む標的分子の増幅を達成するために使用される、等温(isothermal)増幅方法はまた、本発明における核酸の増幅において有用であり得る(Walkerら、1992)。米国特許第5,916,779号において開示される、鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA)は、鎖の置換および合成(すなわち、ニックトランスレーション)の複数の繰り返しに関連する核酸の等温増幅を実施する別の方法である。
他の核酸増幅手順は、転写に基づく増幅システム(TAS)を含み、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SR(本明細書中にそれらの全体において参考として援用される、Kwohら、1989;Gingerasら、PCT出願番号WO88/10315)を含む。欧州出願番号第329 822号は、一本鎖のRNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖のDNA(dsDNA)を循環的に合成することに関わる核酸増幅プロセスを開示し、これは、本発明に従って使用され得る。
PCT出願番号WO89/06700(本明細書中にその全体において参考として援用される)は、標的一本鎖DNA(「ssDNA」)に対するプロモーター領域/プライマー配列のハイブリダイゼーション、続く配列の多数のRNAコピーの転写に基づく核酸配列の増幅スキームを開示する。このスキームは、循環的ではない、すなわち、新たなテンプレートが、結果として生じたRNA転写産物から産生されない。他の増幅方法は、「レース(race)」および「片側(one−side)PCR」を含む(Frohman、1990;Oharaら、1989)。
(2.他のアッセイ)
遺伝的スクリーニングについての他の方法は、本発明の範囲内で使用されて、例えば、ゲノムDNAサンプル、cDNAサンプルおよび/またはRNAサンプルにおける変異を検出することであり得る。点変異を検出するために使用される方法は、変性(denaturing)勾配ゲル電気泳動(「DGGE」)、制限断片長多型分析(「RFLP」)、化学的開裂方法または酵素的開裂方法、PCRTM(上記参照)により増幅された標的領域の直接的な配列決定、一本鎖コンフォメーション多型分析(「SSCP」)および当該分野における周知の他の方法を含む。
点変異についてのスクリーニングの1つの方法は、RNA/DNAヘテロ二本鎖またはRNA/RNAヘテロ二本鎖における塩基対ミスマッチのRNase開裂に基づいている。本明細書中で使用される場合、用語「ミスマッチ」とは、二本鎖のRNA/RNA分子、RNA/DNA分子またはDNA/DNA分子において1以上の不対のヌクレオチドまたは誤対の(mispaired)ヌクレオチドの領域として規定される。従って、この規定は、挿入変異/欠失変異、および一塩基または複数塩基の点変異に起因するミスマッチを含む。
米国特許第4,946,773号は、RNAプローブに対する一本鎖DNAまたは一本鎖RNAの試験サンプルのアニーリング、および引き続くRNase Aを用いた核酸二本鎖の処理に関連するRNase Aミスマッチ開裂(mismatch cleavage)アッセイを記載する。ミスマッチの検出について、サイズに従って電気泳動的に分離された、RNase A処理の一本鎖の産物は、同様に処理されたコントロールの二本鎖と比較される。コントロールの二本鎖中に観察されないより小さなフラグメント(開裂産物)を含むサンプルは、ポジティブとして記録される。
他の発明者らは、ミスマッチアッセイにおいてRNase Iの使用を記載してきた。ミスマッチの検出のための、RNase Iの使用は、Promega
Biotechからの文献に記載される。Promegaは、既知の4つのミスマッチから3つを開裂することが報告されるRNase Iを含有するキットを市販する。他の発明者らは、一塩基ミスマッチ検出のためのMutSタンパク質または他のDNA修復酵素の使用を記載してきた。
本発明の実施において使用され得る、欠失変異、挿入変異または置換変異の検出のための代替的な方法は、米国特許第5,849,483号、米国特許第5,851,770号、米国特許第5,866,337号、米国特許第5,925,525号および米国特許第5,928,870号中に開示され、それらの各々は、本明細書中にその全体において参考として援用される。
(3.キット)
標的リガンドを検出するために必要とされる全ての基本的な材料および/または試薬は、本発明によって提供され得、そしてキット中に一緒に集められ得る。一般的に、これは、本発明に従って調製され、かつ標的リガンドに対して特異的に親和性を有するように設計された、抗体もしくは結合タンパク質を含む。リガンドに結合するために必要な混合物を提供するための緩衝液、および結合を検出するための標識手段もまた含まれ得る。このようなキットはまた、特異的なリガンドの検出に適した、酵素および他の試薬を含む。一般的に、このようなキットは、適切な手段で、個々の試薬もしくは酵素のための別個の容器、および抗体もしくは結合タンパク質のための別個の容器を含む。
(IX.実施例)
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例において開示される技術が、本発明者によって発見された技術が本発明の実施において良好に機能することを示し、従って、本実施例において開示された技術が、その実施のための好ましい様式を構成するとみなされ得るということが当業者によって理解されるべきである。しかし、本開示の観点において、当業者は、開示された特定の実施形態において多くの変化がなされ得、そしてなお本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様もしくは類似の結果を得るとを理解すべきである。
(実施例1)
(ペリプラズムにおいてscFv抗体を発現する細胞の蛍光検出および富化)
26−10 scFv抗体は、強心配糖体(例えば、ジゴキシンおよびジゴキシゲニン(ジゴキシンおよびジゴキシゲニンのための精製された抗体のKは、それぞれ、0.9±0.2×10−9−1および2.4±0.4×10−9−1である、Chenら、1999))に高い親和性で結合する。この26−10 scFvおよびその改変体は、ハプテン結合に対するCDR、およびフレームワーク領域における変異の効果を理解するためのモデル系として広く用いられている(Schilbachら、1992;Shortら、1995;Daughertyら、1998、2000;Chenら、1999)。この26−10
scFvの誘導体を、E.coliアラビノースプロモーター下で、E.coliのペリプラズムにおける分泌を可能にするpelBリーダーペプチドと共に発現させた。生じるプラスミドベクター(pBAD30pelB−Dig)を、araE.coli LMG194株に形質転換し、そしてタンパク質合成を、0.2% w/vアラビノースを用いて誘導した。200nMのジゴキシゲニン−BODIPYTMと共にインキュベートする際、25℃で増殖させた細胞が、強い蛍光するようになり、そしてこの蛍光シグナルが、非特異的に結合したリガンドを除去するための徹底的な洗浄後でさえも保持されることが、観察された。ペリプラズムにおける親水性の溶質の透過のために一般的に受容されるサイズ限界の約600Da(DecadおよびNikaido、1976)よりも有意に高い分子量を有するプローブでの細胞の標識は、蛍光シグナルが、主に、生育不能な、透過可能にされた細胞に起因する可能性を生じた。しかし、(正常に隔絶された核酸へのインターカレートによって、膜損傷細胞に特異的に結合する)生存性染色ヨウ化プロピジウムでの染色は、細胞の90%よりも多くが、この色素に透過性でないことを明らかにした。これは、対数期後期に収集されたコントロールのE.coli培養物におけるインタクトな細胞の割合と同様である。
ペリプラズムにおいて26−10抗体を発現する細胞を、1回の選別で、ベクター単独で形質転換された超過のE.coliから富化し得た。詳細には、LMG194(pBAD30pelB−Dig)を、空ベクター(pBAD30)を含む10,000倍過剰のE.coliと混合した。前者の細胞は、アンピシリンおよびクロラムフェニコールの両方に耐性(amp、Cm)であるのに対して、後者は、アンピシリンのみに耐性である(amp)。0.2% w/vアラビノースを用いた誘導の4時間後、次いで、細胞を、100nMのジゴキシゲニン−BODIPYTMで1時間標識し、そして蛍光性の細胞を、FACSによって単離した。選別された細胞の再増殖および上記のような再標識後に、この集団は、平均蛍光強度において5〜8倍の増加を示した(選別前の細胞混合物についてのFL1=4に対して、FL1=20)。富化された集団におけるscFv発現クローンの画分を、Cmでもあるampクローンの数から推定した。ampコロニーの80%はまたCmであり、これは、蛍光標識および細胞選別が、1回で1,000倍をはるかに上回る富化を与えることを示す。
(実施例2)
(抗体親和性成熟)
Shortら(1995)は、表面プラスモン応答によって測定されたように300pMのジゴキシンに関する平衡解離定数(K)を有する、A4−19と命名された26−10変異体を単離した。A4−19は、重鎖CDR1中に3アミノ酸置換を含む(V:T30→P、V:D31→S、およびV:M34→Y)。増大した結合親和性を有する変異体が、既に非常に堅固な結合を示す抗体を用いて開始する場合でも、ペリプラズムの発現/FACSスクリーニングによって得られ得るか否かを試験した。ジゴキシンハプテンに接触するか(V:T91、V:P96)または近く近接する(V:V94)3つの軽鎖CDR3残基(Jeffreyら、1993)を、NNS(S=GまたはC)法(Daughertyら、1998)を用いて無作為化した。pelBリーダーを介してペリプラズム中で発現される2.5×10形質転換体のライブラリーを、作製し、そして2回のFACSを用いてスクリーニングした(図2)。第1回目のスクリーニングにおいて、100nMの蛍光プローブで標識した細胞を、PBSを用いて1度洗浄し、回収様式を用いて選別した。この回収様式においては、この装置は、非蛍光粒子が、蛍光粒子と同じ流体のエレメントにおいて検出される場合でさえも、全ての蛍光事象を収集する。回収様式における操作は、純度を犠牲にするが、非常に稀な細胞が収集され得るというより優れた確証を提供した。
収集された細胞を、再増殖し、標識し、洗浄し、次いで50倍過剰(50μM)の遊離ジゴキシンとともに種々の時間(15分〜90分)インキュベートした。蛍光の所望のレベルを保持した細胞を、同時の蛍光事象および非蛍光事象が拒絶され、従って、より高い程度の純度が得られる、除去様式を用いる選別によって単離した。非蛍光競合物質との種々の時間のインキュベーション後に得られた細胞のプールに関する蛍光減衰の速度を、測定した。開始のA4−19抗体と比較してわずかに速い速度が、初期の時点(競合物質との60分未満のインキュベーション)で観察されたが、この速度は、60分および90分の集団で減少された。競合の60分後に得られた細胞集団由来の5つのランダムなクローンおよび90分プール由来の13クローンを、無作為に選別し、そして配列決定した(表1)。強い配列のコンセンサスが、明らかに明白であった。精製された抗体のハプテン結合反応速度を、SPRによって決定し、そして結果を表1に示す。対応するアミノ酸配列を、配列番号1〜12によって与える。ゲルろ過FPLCによる精製および分析において、二量体化する変異体が全く見出されなかったことに留意すべきである。試験された全ての変異体は、開始のA4−19抗体の結合速度定数(0.9±0.2×10−1)から区別不可能な結合速度定数(kon)を表示した。競合の60分後に単離されたクローンのkdissは、A4−19のkdissと同じか、またはより速かった。競合の90分後に単離されたクローンは、溶液中でより遅いkdissを示した。1つのクローン90.3は、150pMのKを生じる2倍遅い解離速度定数を示した。従って、本発明のライブラリースクリーニング方法論は、特異的標識化が、既にナノモル以下のKを示した抗体を用いて開始する場合でも、よりよい変異体を単離するのを可能にした。驚くことではないが、興味深いことに、4−19に存在する3つの重鎖CDR1変異および軽鎖の残基94および96における2つの変異の効果は、付加的である。
(実施例3)
(蛍光シグナルの最大化)
ペリプラズム中に可溶形態においてscFv抗体を発現する細胞の蛍光強度は、用いたE.coli株および増殖条件に強く依存した。26−10抗体を用いた場合、細胞を25℃で増殖させた場合に、最大の蛍光強度が得られた。副生理学的な(sub−physiological)温度での増殖は、様々な有益な効果を有する。低い温度(すなわち25℃)でのscFvの発現は、折り畳み経路を遅くすることによって直接的に、およびプラスミドのコピー数を減少することによって間接的にの両方で、scFvの適切な折り畳みを容易にし、発現の負荷を減少する。実際に、37℃でのscFvの直接発現は、一般的に、ほとんどまたは全く可溶性タンパク質を産生しない(例えば、Goughら、1999を参照のこと)。外膜組成物もまた、非生理学的温度で変更され、透過性の増大を生じる(Martinezら、1999)。種々のE.coli株間の多少劇的な差異が、注目された。試験された様々な株の間で、最も高い蛍光強度は、ABLETMCにおいて得られた(図3)。この株におけるタンパク質発現および外膜タンパク質プロフィールの予備的な分析は、より高い蛍光シグナルが、ColE1起源プラスミドのコピー数を減少するpcnB変異に起因せず、むしろ細胞エンベロープのタンパク質組成における違いに起因することを示した。実際には、ABLETMCのより強力な染色は、ELISAおよびウェスタンブロッティングによって推定されるような、他の株と比較した、より高いレベルのタンパク質発現に関連しなかった。
高浸透圧条件下での蛍光標識は、有意なより高い蛍光を生じた(図4)。細胞を、標識の間に5×PBS中でインキュベートした場合、蛍光において5〜7倍の増加が、得られた(通常のPBS中でインキュベートされた細胞についての20〜30と比較して、平均FL1>150)。しかし、細胞の生存性が大幅に減少した場合に、増大したシグナルが、損なわれた。その発現が宿主細胞に有害な効果を既に有し得るタンパク質の高度に多様化したライブラリーをスクリーニングする場合、生存性におけるこのような減少は、所望されないかもしれない。同様に、M13KO7のような糸状ファージとの同時感染は、ファージショック応答を誘導し、これは、とりわけ、外膜透過性の増大を生じる。M13KO7の感染は、集団の平均蛍光における3倍の増大を生じた(図5)。しかし、高浸透圧ショックを用いた場合、ヨウ化プロピジウム染色によって検出された培養物の生存性は、若干減少された。
蛍光リガンドでの細胞の標識、それに続く超過の遊離リガンドとのインキュベーションは、平均蛍光強度における時間依存性の減少を生じる。蛍光減衰の速度は、抗体−抗原複合体の解離速度を反映する(Daughertyら、20000)。ジゴキシンについて、蛍光減衰の速度は、BIACOREを使用して精製した抗体を用いて測定した解離速度と比較して約3〜4倍遅いことが、見出された。インビトロでの抗体/抗原複合体の解離速度と比較した、この蛍光減衰のより低い速度は、リガンドと細胞との間の衝突頻度、ペリプラズムにおける抗体の濃度、および当然、外膜を介する拡散の速度を含む、様々な効果に由来する(ペリプラズム空間における反応速度論分析について、Martinezら、(1996)を参照のこと)。予測され得るように、インビトロで決定されたkoff速度に対するペリプラズムにおける蛍光減衰の速度の比は、抗原依存性である。
(実施例4)
(FACSによるレパートリー抗体ライブラリーの分析およびスクリーニング)
抗体は、広範な種々の抗体配列を含む大きなレパートリーライブラリーをスクリーニングすることによって、デノボ(de novo)(すなわち、動物の免疫化なしで)単離され得る。このような大きいライブラリーのスクリーニングが、十分に確立されている(Nissimら、1994、Winterら、1994、Griffithら、1994、Knappikら、2000)。以下を確立することが重要であった:(a)高い親和性クローンの単離を可能にする点で、アンカーレスディスプレイ(ALD)がファージディスプレイ技術とどれほど匹敵するか、および(b)ALDが、高度に多様化したライブラリーをスクリーニングするために用いられ得るか否か。
従来、利用可能な大きな抗体レパートリーライブラリー全てが、ファージディスプレイとの使用のために構築されてきた。本発明者らは、ファージディスプレイのために構築されたライブラリーがまた、細菌のペリプラズム空間内のタンパク質の発現を可能にする事実を、利用し得ることを発見した。特に、糸状バクテリオファージ上の少ないタンパク質コピー数ディスプレイについて、組換えポリペプチドを、pIIIへのN末端融合物として発現させる。ファージ生合成の過程の間、pIII融合物は、まずペリプラズムに対して標的化され、そしてpIIIの小さいC末端部分によって内膜に固定される。ファージが放出される場合、このscFv−pIII融合物は、そのファージの末端で野生型pIIIと同時に組み込まれ、これによって、この組立てプロセスを終結する(RakonjacおよびModel、1998;Rakonjacら、1999)。ファージディスプレイについて最も広範に用いられるベクターにおいて、アンバーコドンは、N末端scFvとpIII遺伝子との間に配置される。従って、適切なE.coliのサプレッサー株において、完全長scFv−pIII融合タンパク質が、scFvを提示するために生成されるが、その一方で、非サプレッサー株では、可溶性scFvのみが発現される。抑制の程度は、ベクターおよび株とともに変化するが、10%の読み過ごしのみしか可能にしない傾向がある。従って、ファージディスプレイの生物学の結果として、アンバーコドンを含む全てのライブラリーは、宿主に関係なくある程度のペリプラズムの発現を生じる。故に、FACSが、既存の高度に多様化したナイーブなライブラリーからのリガンド結合タンパク質の単離を助け得るか否かを検討することは、非常に興味深いことであった(Griffithsら、1994;Vaughanら、1996;Sheetsら、1998;Piniら、1998;de Haardら、1999;Knappikら、2000;SblatteroおよびBradbury、2000)。
ファージパニングによるファージライブラリーの従来のスクリーニングは、ナイーブな抗体レパートリーライブラリー由来の強心配糖体ジゴキシンに特異的なscFvを発現するファージを富化した(図6A、図6B)。パニングプロセスを、BSA結合体に対して実行し、そしてスクリーニングを、オボアルブミン結合体に対して実行して、タンパク質およびハプテン−タンパク質の界面結合剤の発生率を減少した。パン(pan)4由来の24個のポジティブ単離体は、同じフィンガープリントを共有し、そして6個のクローンのDNA配列決定は、同じ重鎖配列および軽鎖配列(「dig1」)を確認し、その6つのうち1つが、(「dig2」)特有のHCDR3とLCDR3との組み合わせを有した(図7)。同一条件下および異なる条件下の両方でのファージライブラリーの反復したスクリーニングは、同じDNAフィンガープリントを有するクローンの単離のみを生じた。
各回のパニング後E.coli ABLETMCにおいてレスキューしたファージのFACS分析は、ファージELISAシグナルを反映する、3回目での平均蛍光における増大を示す(図6C)。1回のFACSを用いた結合クローンの有意な富化は、第3回目のファージパニングから得られた集団を用いて開始することで得られた。この結果は、パニング実験の過程の間に得られる、富化物のプロフィールと一致する。FACSスクリーニングならびに3回目、4回目および5回目由来の10個の細胞の選別は、各々、30%、80%および100%の頻度でポジティブクローンの単離を生じた。
3回目の集団からFACSによって単離された14クローンのうちの5つは、ジゴキシンに対する結合についてポジティブであることが見出された。重大なことには、このクローンのうち3つは、ファージパニングによって失われた異なる抗体に対応していた(本明細書中で「dig3」として公知である)。残りの2つは、dig1クローンであった。この結果は、ペリプラズム空間において発現され、そして蛍光リガンドを用いて標識されたライブラリーのFACSスクリーニングが、他のライブラリースクリーニング方法論によって単離され得ないクローンの単離を生じることを実証する。
(実施例5)
(材料および方法)
(A.株およびプラスミド)
E.coli株のTG1およびHB2151は、Griffinライブラリーから提供された。ABLETMCおよびABLETMKをStratageneから購入し、ヘルパーファージM13K07をファルマシアから購入した。ファージディスプレイビヒクルのFACS分析のための陽性コントロールを、pHEN2における既存のscFvを26.10scFvで置換して、pHEN2.dig.を作製することによって構築した。陰性コントロールは、Griffin.1ライブラリーから提供された、抗サイログロブリンscFvを有するpHEN2.thyであった。Ptacベクターは、pIMS120の誘導体である(Hayhurst、2000)。
(B.ファージパニング)
Griffin.1ライブラリーは、インビボで無作為に変異および組換えられたCDR3ループの一部もしくは全てを有するヒトの重鎖および軽鎖の大きなレパートリーから誘導された、半合成scFvライブラリーである(Griffithsら、1994)。このライブラリーを、レスキューし、そして以下の実施例6に要約されるウェブサイトの解説書(www.mrc−cpe.cam.ac.uk/〜phage/glp.html)に従って、5回のパニングに供した。免疫チューブ(immunotube)を、10μg/mlのジゴキシンBSA結合体を用いてコートし、そして中和された溶出液を、半分にし、そして次回のファージパニングのために、TG−1を、またはFACS分析のために、ABLETMCのいずれかを感染するために用いた。
溶出物の力価を観察し、抗原結合ファージの富化を示した。反応性を確認するために、各回から生じる、精製され、標準化されたファージストックのポリクローナルファージELISAを、ジゴキシン−オボアルブミン結合体において実行した。3回目、4回目および5回目に生じる陽性クローンのパーセンテージを、各回後の96個の単離体のモノクローナルファージELISAによって確認した。陽性を、ほとんど0.01より上のバックグラウンドを有さない0.5よりも大きい吸光度として独断的に定義した。MvaIフィンガープリントを、3回目、4回目、および5回目由来の24個の陽性クローンに適用した。
(C.FACSスクリーニング)
ABLETMCグリセロールストックのファージミド含有アリコートを、1mlの2×TY(2%グルコース、100μg/mlアンピシリン)中に掻き取り約0.1cm−1の600nmでの吸光度を与えた。37℃で2時間の激しい振とう後、IPTGを1mMとなるように加え、そして培養物を、25℃で4時間振とうした。50μlの培養物を、室温で1時間、1mlの5×PBS中で穏やかに攪拌しながら、100nM BODIPYTMジゴキシゲニン(Daughetryら、1999)で標識した。標識の最後の10分間に、ヨウ化プロピジウムを2μg/mlとなるように加えた。細胞を、ペレットにし、そして100μlの標識混合物中に再懸濁した。スキャンを、1500s−1で10事象を収集する、Becton−Dickinson FACSortを用いて実行した。
FACSライブラリー選別のために、細胞をテリフィックブロス(terrific broth)中で増殖し、そして0.1mM IPTGを用いて誘導した。選別を、1000s−1で除去様式において10事象(2回目は10)に対して実行した。収集された選別溶液を、0.7μmの膜フィルターに通し、そしてコロニーを、適切な抗生物質を加えたSOC寒天培地の表面上にフィルターを置いた後、30℃、24時間で増殖可能とさせた。
(D.ファージクローンの分析)
ELISAによるファージ粒子のスクリーニングは、以下のように要約される。ELISAにおけるファージの結合を、一次ヒツジ抗M13抗血清(CP laboratories、または5prime−3prime)、次いで,西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化抗ヒツジ抗体(Sigma)によって検出する。あるいは、HRP−抗M13結合体が使用され得る(Pharmacia)。プレートを、2%MPBSまたは3%BSA−PBSを用いてブロックし得る。ポリクローナルファージELISAについて、この技術は、一般的に、次のようである:100μl/ウェルのタンパク質抗原を用いてMicro Test III可撓性アッセイプレート(Falcon)をコーティングする。抗原を、通常、PBSまたは50mMの炭酸水素ナトリウム(pH9.6)のいずれかにおいて10〜100μg/mlの濃度で4℃で一晩コーティングする。PBSを用いてウェルを3回リンスし、過剰な液体を捨てるためにELISAプレートをひっくり返し、そして37℃で2時間、ウェルを2%MPBSまたは3%BSA−PBSで満たす。PBSを用いてウェルを3回リンスする。各回の選択の終了時からの保存したファージのアリコート由来のPEG沈殿したファージ10μl(約1010tfu)を加える。2%MPBSまたは3%BSA−PBSを用いて100μlにする。室温で90分間インキュベートする。試験溶液を捨て、そしてPBS−0.05% Tween20を用いて3回洗浄し、次いでPBSを用いて3回洗浄する。2%MPBSもしくは3%BSA−PBSに、適切な希釈度のHRP−抗M13抗血清またはヒツジ抗M13抗血清を加える。室温で90分間インキュベートし、そしてPBS−0.05% Tween20を用いて3回洗浄し、次いでPBSを用いて3回洗浄する。ヒツジ抗M13抗血清を用いる場合、2%MPBSまたは3%BSAにおける適切な希釈度のHRP抗ヒツジ抗血清とともに、室温で90分間インキュベートし、そしてPBS−0.05% Tween20を用いて3回洗浄し、次いでPBSを用いて3回洗浄する。基質溶液(100mM酢酸ナトリウム中の100μg/ml TMB(pH6.0)。この容液の50ml当たり30%の過酸化水素を10μl使用前に直接加える)を用いて発色させる。各ウェルに100μl加え、そして室温で10分間放置する。青色が発色する。50μlの1M硫酸を加えることによって反応を停止する。色は、黄色に変化する。450nmおよび405nmでODを読み取る。OD450からOD405を差し引く。
モノクローナルファージELISAは、以下のように要約され得る。モノクローナルファージ抗体を同定するために、pHENファージ粒子を、レスキューする必要がある:C10中のプレートからの個々のコロニー(各回の選択後)を、96ウェルプレート(Corning「Cell Wells」)中の100μg/mlのアンピシリンおよび1%グルコースを含む100μlの2×TY中に接種し、そして30℃で一晩振とう(300rpm)して増殖させる。96ウェル転送デバイスを使用して、少量の接種物(約2μl)を、このプレートから、ウェル当たり100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む200μlの2×TYを含む第2の96ウェルプレートに移す。37℃で1時間振とうして増殖させる。終濃度が15%となるようにグリセロールを加え、次いでこのプレートを−70℃で保存することによって、元の96ウェルプレートのグリセロールストックを作製する。(第2のプレートの)各ウェルに、感染効率(moi)10となるようにVCS−M13もしくはM13KO7ヘルパーファージを加える。37℃で30分間静置する。1,800gで10分間遠心分離し、次いで上清を吸引して除く。ペレットを、100μg/mlアンピシリンおよび50μg/mlカナマイシンを含む200μlの2×TY中に再懸濁する。30℃で一晩振とうして増殖させる。1,800gで10分間スピンし、そして上記のように上清の100μlの上性をファージELISAにおいて使用する。
可溶性の抗体フラグメントの産生は、次のように要約される:この選択されたpHENは、HB2152に感染させ、次いでELISAのための抗体フラグメントの可溶性発現を与えるように誘導される必要がある。各選択から10μlの溶出したファージ(約10t.u.)を取得し、そして37℃(湯浴)で30分間、200μlの対数増殖中のHB2151細菌に感染させる。100μg/mlのアンピシリンおよび1%グルコースを含むTYE上に、1μl、10μl、100μl、および1:10の希釈物をプレートする。これらのプレートを37℃で一晩インキュベートする。96ウェルプレート(Corning 「Cell Wells」)において、100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む100μlの2×TY中に個々のコロニーを釣菌し、そして37℃で一晩振とう(300rpm)して増殖させる。一旦別のプレートに接種するために使用すると、終濃度が15%となるようにグリセロールを加え、そして−70℃で保存することによって、このプレートのグリセロールストックが作製され得る。96ウェル転送デバイスを使用して、少量の接種物(約2μl)を、このプレートから、ウェル当たり100μg/mlのアンピシリンおよび0.1%グルコースを含む200μlの新鮮な2×TYを含む第2の96ウェルプレートに移す。600nmでのODが約0.9になるまで(約3時間)、37℃で増殖させる。一旦、その要求されるODに到達すると、100μg/mlアンピシリンおよび9mM IPTG(終濃度1mM IPTG)を含む25μlの2×TYを加える。30℃でさらに16〜24時間振とうし続ける。ウェル当たり100μlのタンパク質抗原を用いてMicro Test III可撓性アッセイプレート(Falcon)をコーティングする。抗原は、通常、PBSまたは50mMの炭酸水素ナトリウム(pH9.6)のいずれかで、10〜100μg/mlの濃度で、室温で一晩コーティングされる。翌日、PBSを用いてウェルを3回リンスし、過剰の液体を捨てるためにELISAプレートをひっくり返し、そしてウェル当たり200μlの3%BSA−PBSを用いて37℃で2時間ブロックする。細菌プレートを1,800gで10分間スピンし、そして100μlの上清(可溶性のscFvを含む)をELISAプレートに室温で1時間加える。この試験溶液を捨て、そしてPBSを用いて3回洗浄する。1%BSA−PBS中の4μg/mlの濃度の50μlの精製した9E10抗体(mycタグ化抗体フラグメントを検出する)および1%BSA−PBS中の50μlのHRP抗マウス抗体の1:500希釈物を加える。室温で60分間インキュベートし、そしてPBS−0.05% Tween 20を用いて3回洗浄し、次いでPBSを用いて3回洗浄する。基質溶液(100mM酢酸ナトリウム(pH6.0)中の100μg/ml TMB。使用の前に、この溶液50ml当たりに10μlの30%過酸化水素を直接加える。)を用いて発色させる。各ウェルに100μl加え、そして室温で10分間放置する。青色が発色する。50μlの1M硫酸を加えることによって反応を停止する。色は、黄色に変化するはずである。450nmおよび405nmでODを読み取る。OD450からOD405を差し引く。
ライブラリー中の挿入物は、LMB3: CAG GAA ACA GCT ATG AC(配列番号13)およびFd seq1:GAA TTT TCT
GTA TGA GG(配列番号14)と命名されたプライマーを用いてPCRスクリーニングによってスクリーニングされ得る。VHおよびVLのスクリーニングについて、推奨のプライマーのFOR_LinkSeq:GCC ACC
TCC GCC TGA ACC(配列番号15)およびpHEN−SEQ:CTA TGC GGC CCC ATT CA(配列番号16)が使用される。
(実施例6)
(Griffin.1ライブラリーの使用のための方法論の要約)
Griffin.1ライブラリーを使用するための方法論を以下に要約し得る。Griffin.1ライブラリーは、合成V−遺伝子セグメントから作製されたscFvファージミドライブラリーである。このライブラリーを、ロックスライブラリーベクター(lox library vector)(Griffithsら、EMBO J,1994)からファージミドベクターpHEN2の中に、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を再クローニングすることにより、作製した。このライブラリーの使用のためのキットは、合成scFvライブラリー(1ml)、ポジティブコントロール(抗サイログロブリンクローンを含むTG1)のグリセロールストック、ネガティブコントロール(pHEN2を含むTG1)のグリセロールストック、E.Coli TG1のグリセロール保存液(Gibson,1984)、ファージ粒子の増殖のためのサプレッサー株(K12,del(lac−pro),supE,thi,hsdD5/F’traD36,proA+B+,lacIq,lacZdelM15)、(供給された株は、このT−ファージ耐性改変体である)、E.Coli HB2151(Carterら、1985)のグリセロールストック、および抗体フラグメントの発現のための非サプレッサー株(K12,ara、del(lac−pro),thi/F’proA+B+,lacIq,lacZdelM15)のチューブを含む。このライブラリーを、必要とされるまで−70℃に凍結して貯蔵する。
この株をプレーティングし、次いで、100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2×TY中の各々の一晩培養物として(37℃で振盪)増殖させる。100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2×TY(2×TYは、1L中、トリプトン16g、酵母エキス10g、およびNaCl 5g)で培養物を1:100に希釈し、以下に述べる手順に従い、ファージミドをレスキューする。サイログロブリンで被覆した免疫チューブ上で、1回の選択のためにポジティブコントロールおよびネガティブコントロール1:100混合物を用いる。
このライブラリーの使用のためのプロトコルを、以下に要約する。性繊毛を介して、ファージ/ファージミドが、F+−E.coliに感染する。性繊毛の生成および効率的な感染のために、E.coliを、37℃で増殖されて、対数期状態(600nmでOD0.4〜0.6)でなければならない。以下のプロトコル全体にわたり、このような培養物を必要とする。このような培養物は、次のように調製し得る:最小培地プレートから2×TY培地5ml中へ細菌コロニーを移し、そして37℃で一晩振盪して増殖させる。翌日、新鮮な2×TY培地に1:100希釈することにより継代し、OD 0.4〜0.6まで37℃で振盪して増殖させ、次いでファージを感染させる。種々のヘルパーファージが、ファージミドライブラリーのレスキューに利用可能である。VCS−M13(Stratagene)およびM13KO7(Pharmacia)を小分割量で購入し得、ファージミドライブラリーのレスキューのための大量のVCS−M13およびM13KO7を以下のように調製し得る:OD0.2のE.coli TG1
200μl(または他の適切な株)を、37℃(水浴)で振盪せずに30分間、(十分に分離したプラークを得るために)ヘルパーファージ段階希釈物を10μlにより感染させる。融解したH−top寒天(42℃)を3ml添加し、温TYE(注7)プレート上に注ぐ。放置し、次いで37℃で一晩インキュベートする。TG1の対数増殖培養物(上記参照)3〜4mlの中に小プラークを採取する。約2時間、37℃で振盪して増殖させる。2Lフラスコ内の2×TY 500ml中に接種し、そして上記のように1時間増殖させ、次いでカナマイシン(水中25μg/ml)を加えて、最終濃度を50〜70μg/mlにする。さらに8〜16時間増殖させる。10,800gで15分間細菌を遠心分離する。ファージの上清にPEG/NaCl(20%ポリエチレングリコール6000−2.5M NaCl)を1/5容量添加し、そして氷上にて最短30分間インキュベートする。10,800gで15分間遠心分離する。TE 2ml中でペレットを再懸濁し、0.45μnフィルター(Minisart NML;Sartorius)を通して、ストックを濾過滅菌する。そのストックを力価決定し、次いで約1×1012p.f.u./mlに希釈する。−20℃でアリコートを貯蔵する。他のように記載されていない場合、すべての遠心分離は4℃でおこなう。
このライブラリーの増殖に関して、手順を以下に要約する:細菌ライブラリーストックのすべて(約1×1010クローン)を、100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2×TY 500mlに接種する。600nmでのODが0,5になるまで、37℃で振盪して増殖させる。これには、約1.5〜2時間かかるはずである。比率1:20でヘルパーファージを添加することにより(細菌細胞数:ヘルパーファージ粒子(600nmで1ODの細菌=約8×10細菌/mlであることを考慮する))、この培養物からの25ml(1×1010細菌)をVCS−M13またはM13KO7ヘルパーファージに感染させる。
3,300gで10分間、感染させた細胞を遠心分離する。100μg/mlアンピシリンおよび25μg/mlカナマイシンを含む2×TY 30ml中で、徐々にペレットを再懸濁する。予め温めた100μg/mlアンピシリンおよび25μg/mlカナマイシンを含む2×TY 470mlを添加し、そして振盪しながら30℃で一晩インキュベートする。ファージを濃縮し得、ポリエチレングリコール(PEG)6000で沈殿させることにより(抗体遺伝子とgIIIとの連結部においてコードされたアンバー停止コドンのTG1抑制が決して完全ではないので)、あらゆる可溶性抗体を除去し得る。10,800gで10分間(または3,300gで30分間)、A6から培養物を遠心分離する。上清にPEG/NaCl(20%ポリエチレングリコール6000、2.5M NaCl)を1/5容量添加する。よく攪拌し、1時間以上4℃で放置する。10,800gで30分間遠心分離する。水40ml中でペレットを再懸濁し、PEG/NaClを8ml添加する。攪拌し、20分以上4℃で放置する。10,800gで10分間または3,300gで30分間遠心分離し、次いで上清を吸引する。短く再遠心分離し、次いで、残存するすべてのPEG/NaClを吸引する。PBS 5ml中でペレットを再懸濁し、そして、11,600gで10分間、微量遠心機で遠心分離し、残りの細菌残片のほとんどを除去する。ファージ上清を短期貯蔵に関しては4℃で、または長期貯蔵に関してはPBS中もしくは15%グリセロール中、−70℃で貯蔵する。ファージストックを力価決定するために、PBS 1ml中にファージ1μlを希釈し、このうちの1μlを用いて、OD600 0.4〜0.6のTG1 1mlを感染させる。このファージストックの50μl、1:10希釈物50μl、および1:10希釈物50μlを、100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含むTYEプレート上にプレーティングし、37℃で一晩増殖させる。ファージストックは1012〜1013/mlである。
免疫チューブに対する選択を、以下に要約する。Nunc−免疫チューブ(Maxisorp カタログ番号4−44202)を、必要とされる抗原4mlで一晩コーティングする。コーティングの効率は、抗原濃度、緩衝液、および温度に依存し得る。通常、PBSもしくは50mM炭酸水素ナトリウム(pH9.6)中の抗原10〜100μg/mlを、室温(rt)で用いる。翌日、PBSで3回チューブを洗浄する(単にチューブの中にPBSを注ぎ、次いで再度チューブをすぐに外に注ぎ出す)。2% MPBSをチューブに溢れるまでいっぱいにする。蓋をし、37℃で(もしくは抗原の安定性に応じて室温で)2時間インキュベートしてブロックする。PBSで3回チューブを洗浄する。2% MPBS
4ml中でA13から、1012〜1013cfu.のファージを添加する。室温で30分間、上下回転台上で継続的に回転してインキュベートし、次いで少なくともさらに室温で90分放置する。上清中の非結合ファージを捨てる。1回目の選択のためにTween−20 0.1%を含むPBSで10回洗浄し、次いで、PBSで10回洗浄して、界面活性剤を除去する。緩衝液を中に注ぎ、そして瞬時に注ぎ出すことにより、各々のチューブの洗浄工程をおこなう。2回目および後に続く選択のために、Tween−20 0.1%を含むPBSでチューブを20回洗浄し、次いで、PBSで20回洗浄する。チューブから過剰のPBSを振り出し、100mMトリエチルアミン1ml(水50ml中のトリエチルアミン(7.18M)を700μlを使用する日に希釈する)を添加することにより、ファージを溶出し、そして、上下回転台上で10分間継続的に回転させる。インキュベーションの間、チューブを1M Tris(pH7.4)0.5mlで調製し、迅速な中和のためにpH7より、溶出したファージ1mlを添加する準備をする。ファージを4℃で貯蔵し得るかもしくは、上記で述べたようにTG1を感染させて用い得る。溶出後、別の1M Tris(pH7.4)200μlを免疫チューブに添加し、チューブ内の残存するファージを中和する。TG1の対数増殖培養物を9.25ml取り、溶出したファージを0.75ml添加する。TG1培養物4mlもまた、免疫チューブに添加する。両培養物を37℃(水浴)で30分間、感染させるために振盪せずにインキュベートする。感染したTG1細菌10mlおよび4mlをプールし、100μl取り、4〜5個の100倍段階希釈物を作製する。100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含むTYE上に、これらの希釈物をプレーティングする。一晩37℃で増殖させる。残存する感染されたTG1培養物を取り、3,300gで10分間、遠心分離する。ペレットにされた細菌を2×TY 1ml中で再懸濁し、そして100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含むTYEの大きなNunc Bio−Assay dish(Gibco−BRL(注8))上にプレーティングする。一晩もしくはコロニーが目に見えるまで、30℃で増殖させる。
さらなる選択のために、2×TY、15%グリセロール5〜6mlを細胞のBio−Assay dishに添加し、そしてガラススプレッダーで細胞をほぐす。100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2×TY 100mlに、こすった細菌50〜100μlを接種したのち、残存する細菌を−70℃で貯蔵する。再度、600nmでの開始OD=0.1未満であることをチェックするのは良い案である。600nmでのODが0.5になるまで(約2時間)、振盪しながら37℃で細菌を増殖させる。比率1:20(細菌細胞数:(ヘルパーファージ粒子(600nmで1ODの細菌=約8×10細菌/mlであることを考慮する))でヘルパーファージを添加することによりVCS−M13またはM13KO7ヘルパーファージでこの培養物10mlを感染させる。振盪せず、37℃水浴中で30分間インキュベートする。3,300gで10分間、感染された細胞を遠心分離する。100μg/mlアンピシリンおよび25μg/mlカナマイシンを含む2×TY 50ml中で、静かにペレットを再懸濁し、そして振盪しながら一晩30℃でインキュベートする。一晩培養物40mlを取り、10,800gで10分間、または3,300gで30分間、遠心分離する。この上清にPEG/NaCl(20%、ポリエチレングリコール6000,2.5M NaCl)1/5容量(8ml)を添加する。よく混合し、1時間以上、4℃で放置する。10,800gで10分間、または3,300gで30分間遠心分離し、次いで上清を吸引する。短く再遠心分離し、残存するすべてのPEG/NaClかすを吸引する。PBS 2ml中でペレットを再懸濁し、そして11,600gで10分間、微量遠心機で遠心分離して、残りの細菌破片をほとんど除去する。このファージ1mlを4℃で貯蔵し得、別のアリコート1mlを次の選択のために用い得る。さらなる2〜3回のために選択を繰り返す。
ELISAによるファージ粒子のスクリーニングを、以下に要約する。ELISAでのファージの結合を、一次ヒツジ抗M−13抗血清(CP laboratoriesまたは5prime−3prime)、およびその後の西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化抗ヒツジ抗体(Sigma)により検出する。あるいは、HRP−抗−M13複合体を用い得る(Pharmacia)。プレートを2% MPBSまたは3% BSA−PBSでブロックし得る。ポリクローナルファージELISAについての技術は一般に以下のとおりである:MicroTest IIIフレキシブルアッセイプレート(Falcon)を1ウェルあたり100μlのタンパク質抗原でコーティングする。通常、抗原を室温で一晩、PBSもしくは50mM炭酸水素ナトリウム(pH9.6)のいずれか中10〜100μg/mlの濃度でコーティングした。PBSで3回よくリンスし、ELISAプレートを裏返すことで過剰の液体を廃棄し、1ウェルあたり200μlの2% MPBSまたは3% BSA−PBSで、2時間、37℃でブロックする。PBSで3回よくリンスする。各回の選択のおわりから貯蔵されたファージのアリコート由来のPEG沈殿したファージ10μl(約1010cfu.)を添加する。2% MPBSまたは3% BSA−PBSで100μlにする。室温で90分インキュベートする。試験溶液を廃棄し、そしてPBS−0.05% Tween 20で3回洗浄し、次いでPBSで3回洗浄する。2% MPBSまたは3% BSA−PBS中にあるHRP−抗M13抗血清もしくはヒツジ抗M13抗血清の適切な希釈物を添加する。室温で90分インキュベートし、そしてPBS−0.05% Tween 20で3回洗浄し、次いでPBSで3回洗浄する。ヒツジ抗M13抗血清を用いる場合、2% MPBSまたは3% BSA−PBS中のHRP−抗ヒツジ抗血清の適切な希釈物とともに、室温で90分インキュベートし、そしてPBS(−)0.05% Tween 20で3回洗浄し、次いでPBSで3回洗浄する。基質溶液(100mM酢酸ナトリウム(pH6.0)中100μg/ml TMB。用いる前にこの溶液50mlにつき30%過酸化水素10μl直接添加する。)を用いて発色させる。各ウェルに100μl添加し、室温で10分間放置する。青色が発色するはずである。1M硫酸 50μlを添加して、反応を停止する。色は黄色に変化するはずである。450nmおよび405nmにおけるODを読み取る。OD450からOD405を減ずる。
モノクローナルファージELISAを、以下に要約し得る。モノクローナルファージ粒子を同定するために、pHENファージ粒子をレスキューする必要がある:(各回の選択後)C10内のプレートから96ウェルプレート(Corning「Cell Wells」)中の100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2×TY 100μlへ、各々のコロニーを接種し、振盪(300rpm.)しながら37℃で一晩増殖させる。96ウェル移動装置を用いて、このプレートから、100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2×TYを1ウェルあたり200μlを含む、2つ目の96ウェルプレートに小接種量(約2μl)を移す。振盪しながら37℃で1時間増殖させる。グリセロールを添加して最終濃度15%にし、次いでプレートを−70℃で貯蔵することにより、元の96ウェルプレートのグリセロール貯蔵物を作製する。(2つ目のプレートの)各ウェルに、100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2×TY 25μlおよびVCS−M13またはM13KO7ヘルパーファージ10pfuを添加する。37℃で30分放置し、次いで37℃で1時間振盪する。1,800gで10分間遠心分離し、次いで上清を吸引する。100μg/mlアンピシリンおよび50μg/mlカナマイシンを含む2×TY 200μl中でペレットを再懸濁する。振盪しながら30℃で一晩増殖させる。1,800gで10分間遠心分離して、上記に記載したようなファージELISAにおいて上清100μlを用いる。
可溶性抗体フラグメントの生成を、以下に要約する:選択されたpHENは、HB2151に感染させる必要があり、次いでELISAのため抗体フラグメントの可溶性発現を生じるように誘導する必要がある。各選択から、溶出したファージ10μl(約10t.u.)を取り、そして対数増殖中のHB2151細菌の200μlを37℃(水浴)で30分間、感染させる。100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含むTYE上に、1μl、10μl、100μl、および1:10希釈物をプレーティングする。これらのプレートを37℃で一晩インキュベートする。96ウェルプレート(Corning「Cell Wells」)中の100μg/mlアンピシリンおよび1%グルコースを含む2×TY 100μlへ、各々のコロニーを選び、振盪(300rpm.)しながら37℃で一晩増殖させる。一旦他のプレートに接種するために用いると、最終濃度15%までグリセロールを添加し、−70℃で貯蔵することにより、このプレートのグルコースストックを作製し得る。96ウェル移動装置を用いて、このプレートから、100μg/mlアンピシリンおよび0.1%グルコースを含む新鮮な2×TYを1ウェルあたり200μl含む、2番目の96ウェルプレートに、小接種量(約2μl)移す。37℃で、600nmでのODが約0.9になるまで(約3時間)振盪しながら増殖させる。必要とするODに到達したら、100μg/mlアンピシリンおよび9mM IPTGを含む2×TY 25μlを添加する(最終濃度1mM IPTG)。さらに30℃で16〜24時間、振盪を続ける。MicroTest IIIフレキシブルアッセイプレート(Falcon)を1ウェルあたり100μlのタンパク質抗原で被覆する。通常、抗原を室温で一晩、PBSもしくは50mM炭酸水素ナトリウム(pH9.6)のいずれか中10〜100μg/mlの濃度でコーティングした。翌日、PBSで3回よくリンスし、ELISAプレートを裏返すことで過剰の液体を廃棄し、1ウェルあたり200μlの3% BSA−PBSで、2時間、37℃にてブロックする。1,800gで10分間細菌プレートを遠心分離し、そして(可溶性scFvを含む)上清を100μl、室温で1時間ELISAプレートに添加する。試験溶液を廃棄し、次いでPBSで3回洗浄する。1% BSA−PBS中4μg/mlの濃度で、精製した9E10抗体(これは、mycタグ抗体フラグメントを検出する)50μlを添加し、そして1% BSA−PBS中のHRP−抗マウス抗体の1:500希釈物50μl添加する。室温で60分インキュベートし、そしてPBS−0.05% Tween 20で3回洗浄し、次いでPBSで3回洗浄する。基質溶液(100mM酢酸ナトリウム(pH6.0)中100μg/ml TMB。用いる前にこの溶液50mlにつき30%過酸化水素10μlを直接添加する。)を用いて発色させる。各ウェルに100μl添加し、室温で10分間放置する。青色が発色するはずである。1M硫酸50μl添加して、反応を停止する。色は黄色に変化するはずである。450nmおよび405nmにおけるODを読み取る。OD450からOD405を減ずる。
ライブラリー中の挿入物を、LMB3と名付けたプライマー:CAG GAA
ACA GCT ATG AC(配列番号13)およびFd seq 1と名付けたプライマー:GAA TTT TCT GTA TGA GG(配列番号14)PCRスクリーニングにより、スクリーニングし得る。VHおよびVLの配列決定のためにプライマーFOR_Link Seq:GCC ACC TCC GCC TGA ACC(配列番号15)およびpHEN−SEQ:CTA
TGC GGC CCC ATT CA(配列番号16)の使用を推奨する。
(実施例7)
(レパートリーライブラリーからのTNBに特異的なscFv抗体の同定)
本実施例は、リガンドであるTNB(トリニトロベンゼン)へのレパートリー抗体ライブラリーのスクリーニングを要約する。標準プロトコル(実施例6を参照、またhttp://www.mrc−cpe.cam.ac.uk/〜phage/glp.htmlでも記載される)を用いて、レパートリーライブラリー(Griffin−1ライブラリー)の3回のファージパニングを最初に実行することにより、ライブラリースクリーニングを開始した。E.coli ABLE Cを感染させるために、種々の回のパニングからレスキューしたファージを使用した。それらの細胞を、対数期中期まで増殖させ、上記に記載されたscFv抗体の発現を誘発し、蛍光色素Cy5に結合体化した100nM TNBSで標識した。標識した細胞を、633nmで放射する5mMダイオードレーザーが装備されたCytomation MoFlo装置を用いて、フローサイトメトリーにより分析した。膜フィルター上で高蛍光クローンを単離し、さらに分析した。FACSにより単離した10クローンのうち3クローンをさらに分析し、それらがTNBS−BSA結合体に強い結合を示すことを見出し得た。配列分析により、これらのTNBS特異クローンのひとつは、ファージディスプレイによっても見出されることを確認した。しかし、本発明(ライブラリーのペリプラズムの発現およびFACSスクリーニング)により単離した他の2つのクローンは、ファージパニングにより単離したクローンのどれにも相当しなかった。
(実施例8)
(E.coliペリプラズム内で発現した抗体によるオリゴヌクレオチドプローブの検出)
本実施例は、改変されたオリゴヌクレオチドが、細菌の外膜をとおして拡散し得ることを示す。配列5’−ジゴキシゲニン−AAAAA−フルオレセイン-3’(これはdig−5A-FLと示され、分子量2,384Da、配列番号22)を有するオリゴヌクレオチド(5つのA残基間に4つのヌクレアーゼ耐性ホスホロチオネート結合を含む)を合成し、そしてIntegrated DNA Technologies,IAにより精製した(RP HPLC)。このオリゴヌクレオチドのジゴキシゲニン部分を、ジゴキシゲニンに特異的なscFv抗体(抗ジゴキシゲニンscFv)により認識し得る。ペリプラズム内で抗ジゴキシゲニンscFvを発現する細胞は、5A−F1と結合し、プローブ分子が、外膜を通して拡散し得る場合に限り、次に、細胞を蛍光性にする。
ネガティブコントロールとしてのアトラジン(Hayhurst 2000)特異的なペリプラズムscFv(図8パネルiおよびiii)またはジゴキシゲニン(図8パネルiiおよびiv)のいずれかを発現するABLETMC細胞を、5倍力価PBS中で(実施例3を参照のこと)100nMジゴキシゲニン−BODIPYTMまたは100nM dig−5A−FLのいずれかと共にインキュベートした。ヨウ化プロピジウムもまた、生存染色として作用させるために添加した。ヨウ化プロピジウムの排除(無傷の膜を有する細胞を同定するため)や側方の散乱に基づいて、生存細胞をゲート(gate)した。約10,000個の細胞を、1秒あたり1,000事象の速度で分析した。得られたデータを図8に示す。プローブに結合しない無関係の抗アトラジン抗体を発現する細胞は、バックグラウンド蛍光のみ示した。対照的に、抗ジゴキシゲニンscFv抗体を提示する細胞は、ジゴキシゲニン−BODIPYTMおよび5−A−FLの両方で明らかに標識された。後者プローブは、コントロール細胞で観察されたシグナルより明らかに高いシグナルを生じた。5−A−FLは、より小さく、非電荷である、ジゴキシゲニン−BODIPYと比較すると低い蛍光強度を生じたにもかかわらず、前者プローブで得られたシグナルは、FACSによるscFvライブラリーのスクリーニングのために十分であった。
(実施例9)
(市販の蛍光基質を用いてFusarium solani リパーゼクチナーゼを発現するE.coliのフローサイトメトリー識別)
本実施例は、市販されている蛍光基質が、そのペリプラズム内で関連した酵素を提示するE.coli細胞を特異的に標識するために用いられ得ることを提示する。驚くべきことに、これらの反応の蛍光生成物は、非酵素発現細菌から酵素発現E.coliの識別および選択を可能にするのに十分に、その細胞内で、保持される。
Fusarium solaniリパーゼクチナーゼをコードする遺伝子を、全遺伝子合成により構築し、プラスミドpBAD18Cm内で、強力な誘導性プロモーターpBADの下流に配置した。pBADプロモーターからのタンパク質発現は、FACSによるタンパク質ライブラリーのスクリーニングのために有益である(Daughertyら、1999)。クチナーゼ遺伝子をコードする、生じたプラスミドを、pKG3−53−1と命名した。pKG3−53−1およびコントロールとしてのpBAD18Cmの両方を、DH5aに転換した。本実施例において、コントロール細胞からクチナーゼ発現細胞(DH5a(pKG3−53−1))細胞を識別する能力を、2つの異なる市販基質:フルオレセインジブチレートまたはLysoSensor Green DND−189(LSG)(両方ともMolecular Probes,ORから得た)を用いて決定した。後者は、正に荷電した蛍光プローブであり、これは、酵素によるエステル加水分解に起因して起こる細胞内pH変化を検出する。
細胞を、37℃で一晩、terrific broth培地/クロラムフェニコール50μg/ml(TB/Cm)中で激しく振盪して増殖させた。TB/Cm(50μg/ml)10ml中で、一晩培養物100μlから継代培養物を作製した。これらの継代培養物をOD600=0.6まで、37℃で激しく振盪して増殖させた。継代培養物4mlアリコートを、Beckman Allegra 6R遠心機で、3650rpmで20分間ペレットした。上清を除去し、0.2%グルコースおよびクロラムフェニコール(Cm)50μg/mlを含むM9最小培地4ml中で、ペレットを再懸濁した。20%ストック由来のアラビノースを添加し、最終濃度を0.2%にした。この培養物を、25℃で4時間激しく振盪して、誘導した。続いて、誘導した培養物の2mlアリコートを、Eppendorf 5415C遠心機にて、8000rpmで10分間ペレットにし、新鮮な培地で洗浄し、そして再度8000rpmで10分間ペレットにした。洗浄したペレットを、吸光度OD600=1.0まで、グルコースを含まないM9塩培地中に再懸濁した。このストック溶液を1:10希釈し、希釈した細胞懸濁液1mlを、ジメチルスルホキシド(DMSO)中0.1mMのフルオレセインジブチレート(FDB)ストック溶液0.1mlと混合した。最終のFDB濃度は、10μMであった。反応を、37℃で30分間進行させた。標識した細胞を、Ar 488nmレーザーを装備したBecton Dickinson FACSortですぐに分析した。クチナーゼ発現細胞およびコントロール細胞の蛍光分布を図9Aに示す。
ポジティブ(酵素発現)細胞とコントロール細胞との間の識別のための第2のプローブの有利用性もまた試験した。上記のように、pKG3−53−4プラスミド由来のクチナーゼを発現するE.coliおよびネガティブ細胞(改変されていないpBAD18Cmプラスミドを発現する)を増殖させ、誘導し、そして洗浄した。そのペレットを、1%スクロースで洗浄し、再度ペレットにし、OD600=1.0まで、新鮮な1%スクロース中に再懸濁した。この細胞ストック溶液を、氷上で保存した。
標識のために、LysoSensor Green DND−189(LSG,Molecular Probes)ストック溶液を、DMSO中で1mMに調製した。1Mの4−ニトロフェニルブチレートストック溶液もまた、DMSO中で調製した。細胞の標識を、最初に上記細胞ストック溶液を希釈し、LSGを添加して最終濃度を1μMにし、4−ニトロフェニルブチレートを1:1000希釈して最終濃度を1μMにすることによって、開始した。細胞による4−ニトロフェニルブチレートの酵素加水分解を25℃で5分間進行させ、次いで細胞を上記のように、Becton Dickinson FACSortですぐに分析した。LysoSensor Green DND−189プローブで染色したクチナーゼ発現細胞およびコントロール細胞の蛍光分布を、図9Bに示す。
本明細書に開示され特許請求された方法すべては、本開示を考慮して、過度の実験を伴わず作成され、実行され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、本発明の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法および本明細書に記載される方法、工程または方法の工程の順序に改変がなされ得ることは、明白である。さらに詳細には、化学的かつ生理学的の両方に関連する特定の物質が、本明細書で記載される物質の代用にされ得る、同一もしくは類似した結果が得られることは、明白である。当業者にとって明白な、このような類似の代用品および改変はすべて、添付された特許請求の範囲により定義されるような、本発明の趣旨、範囲、および概念内にあるとみなされる。
(参考文献)
以下の参考文献は、本明細書に示した手順または他の詳細を補足する例示的な手順または他の詳細を提供する程度まで、参考として本明細書中に特に組み込まれる。
(配列表)






以下の図は、本明細書の一部を形成し、そして本発明の特定の局面をさらに実証することを含む。本明細書中に示される特定の実施形態の詳細な記述と組み合わせてこれらの図面の1つ以上を参照することによって、本発明はより良く理解し得る。
図1は、本発明の好ましい実施形態の基礎となる一般的なスキームである。細菌のペリプリズム空間中で発現したタンパク質ライブラリーを、蛍光試薬と接触させる。所望の活性(例えば、生成物に対するプローブの結合または酵素学的な転換のいずれか)を有するタンパク質を発現する細菌クローンは、蛍光性標識される。蛍光性細胞は、引き続いてFACSによって単離され得る。 図2は、2回の分類によって抗ジゴキシン抗体のアフィニティーを改善した変異体の単離を示す。軽鎖における3つの残基が無作為化されたscFv変異体ライブラリーは、実施例2に記載されるように構築される。合計2.5×10個の形質転換体を、液体培地で増殖させ、100nM digoxin−BODIPYTMで標識し、そして右端のパネルに示されるウインドウの範囲内にある蛍光性細胞を、FACSによって分類した。分類された細胞を、液体培地で増殖し、再標識し、そして中央のパネルに示される特定されたウインドウの範囲にある細胞を、単離した。再増殖の最終回の後、細胞をFACS(左端パネル)によって分析した。単一のscFv抗体クローンを、無作為に取り、分析し、そして対応するscFvタンパク質のアフィニティーを、表1に報告する。 図3は、ペリプラズムのFACSシグナルの株依存性を示す:i)TG1/pHEN2.thy;ii)HB2151/pHEN2.thy;iii)ABLETMC/pHEN2.thy;iv)ABLETMK/pHEN2.thy;v)TG1/pHEN2.dig;vi)HB2151/pHEN2.dig;vii)ABLETMC/pHEN2.dig;viii)ABLETMK/pHEN2.dig。 図4は、標識効率に対する高浸透圧ショックの効果を示す:(i)〜(iv)、pHEN2.thy;(v)〜(viii)、pHEN2.dig;(i)および(v)、1xPBS;(ii)および(vi)、2.5xPBS;(iii)および(vii)5xPBS;(iv)および(viii)10xPBS。 図5は、Ptacベクターを用いての5xPBS中で標識したABLETMC中のペリプリズムFACSシグナルおよびM13KO7(感染効率10)での重複感染(0.5時間でのプレ誘導)の最大化を示す:i)pHEN.thy;ii)pHEN2.thy/M13K07;pHEN2.dig;iv)pHEN2.dig/M13KO7。 図6Aは、パニングのそれぞれの回の後の、ファージ溶出液力価を示す。図6Bは、ジゴキシン−オボアルブミンに対する精製されたファージストックのポリクローナルファージELISAを示す。図6Cは、FACスキャンニングネイティブライブラリーを示す:(i)BODIPYTM−digoxyseninを用いるジゴキシン−BSAに対する1〜5回(ii〜vi)のパニング。 図6Aは、パニングのそれぞれの回の後の、ファージ溶出液力価を示す。図6Bは、ジゴキシン−オボアルブミンに対する精製されたファージストックのポリクローナルファージELISAを示す。図6Cは、FACスキャンニングネイティブライブラリーを示す:(i)BODIPYTM−digoxyseninを用いるジゴキシン−BSAに対する1〜5回(ii〜vi)のパニング。 図7は、ペリプリズムおよびFACS中での発現によって単離されたscFv抗体フラグメントのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列を示す。図7A:dig1の重鎖は、トゥルーフォントで示し、他方、dig3は、下部にイタリック体で示す。dig1およびdig3の重鎖に対応するヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号17および配列番号18を与えられる。dig1からのdig2バリエーションは、CDR3内でテキストに下線を付して示される。図7B:CDR3におけるバリエーションを有するdig1、2および3の軽鎖が、重鎖のように示される。dig1およびdig3の軽鎖に対応するヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号19および配列番号20を与えられる。ヌクレオチド99で開始する下線を付した4ヌクレオチドのバリエーションは、配列番号21を与えられる。 図7は、ペリプリズムおよびFACS中での発現によって単離されたscFv抗体フラグメントのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列を示す。図7A:dig1の重鎖は、トゥルーフォントで示し、他方、dig3は、下部にイタリック体で示す。dig1およびdig3の重鎖に対応するヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号17および配列番号18を与えられる。dig1からのdig2バリエーションは、CDR3内でテキストに下線を付して示される。図7B:CDR3におけるバリエーションを有するdig1、2および3の軽鎖が、重鎖のように示される。dig1およびdig3の軽鎖に対応するヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号19および配列番号20を与えられる。ヌクレオチド99で開始する下線を付した4ヌクレオチドのバリエーションは、配列番号21を与えられる。 図8は、蛍光タグ化オリゴヌクレオチドプローブによるペリプリズムscFvの標識を示す。ネガティブコントロールとしてアトラジン(iおよびiii)またはジゴキシン(iiおよびiv)のいずれかに特異的なペリプリズムscFvを発現するABLETMC細胞を、以下のいずれかで標識し:100nM digoxigenin−BODIPYTM(iおよびii)または100nMのdig−5A−FL(iiiおよびiv)。10,000事象は1秒あたり約1,000事象の割合でFACSortフローサイトメーターを用いて記録された。 図9は、酵素を発現しないコントロール細菌からの、酵素クチナーゼ(エステラーゼ)を発現するE.coliの蛍光識別を示す。E.coli DH5a細胞は、プラスミドpBAD18Cm(コントロール細胞)またはFusarium solani酵素クチナーゼをコードする誘導体プラスミドpKG3−53−1のいずれかで形質転換された。A.蛍光エステラーゼ基質(10μMフルオレセインジブチレート)を30分間37℃を使用して、ペリプリズム中でクチナーゼを発現するE.coli(pkg−3−53−1含有細胞)の選択標識を示す蛍光ヒストグラム。B.クチナーゼ基質(1mM 4−ニトロフェニルブチレート)の存在下で蛍光−pH感受性色素(1μM LysoSensor Green DND−189)で標識したクチナーゼ発現細胞(pKG3−53−4ベクターから転写される)の選択標識からの蛍光ヒストグラム。細胞は5分間25℃で標識化された。ペリプリズムの酸性化は、クチナーゼによるエステル加水分解の結果として生じた。

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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