JP2008099393A - 車両用発電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、クラッチプーリを用いることなく、ベルトの瞬低時に回転子本体の慣性を小さくして、回転子本体の速度をベルトの速度に追従させ、ベルトのプーリに対するすべりの発生を抑制できる車両用発電機を得る。
【解決手段】ポールコア3は、第1及び第2のポールコア部材10,14と、第3および第4のポールコア部材18,19とを有する。そして、第1および第2のポールコア部材10,14はシャフト4に固着されている。また、第3および第4のポールコア部材18,19は、第1および第2のポールコア部材10,14の軸方向両側で、第1および第2のポールコア部材10,14の端面に対してエアギャップd2を確保して、シャフト4にラジアル軸受20を介して支持されている。
【選択図】図1
【解決手段】ポールコア3は、第1及び第2のポールコア部材10,14と、第3および第4のポールコア部材18,19とを有する。そして、第1および第2のポールコア部材10,14はシャフト4に固着されている。また、第3および第4のポールコア部材18,19は、第1および第2のポールコア部材10,14の軸方向両側で、第1および第2のポールコア部材10,14の端面に対してエアギャップd2を確保して、シャフト4にラジアル軸受20を介して支持されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、エンジンのクランク軸の回転トルクがベルトを介して伝達されて駆動される車両用発電機に関し、特にエンジンの速度脈動に起因するベルトのすべりを抑制できる回転子構造に関するものである。
従来、車両用発電機においては、エンジンの速度脈動に起因してベルトの速度が瞬低する。また、近年、発電容量の拡大によって回転子サイズが大型化し、回転子慣性が大きくなっている。ベルト速度が瞬低すると、回転子慣性があるために回転子がベルトより速く回ろうとする。この力は、回転子慣性が大きくなるほど大きくなる。その結果、ベルトとプーリとの間の摩擦トルクがこの力に追従できなくなり、ベルトがプーリに対してすべりを発生し、騒音の発生やベルト寿命の低下などの問題を生じる。
このような状況を鑑み、一方向クラッチをプーリ内部に組み込んだクラッチプーリを用い、ベルトの瞬低時にプーリとベルトとの結合を切り離し、回転子をフリーに回転させるようにしている車両用発電機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この車両用発電機では、クランク軸の速度変動に対して、クラッチプーリによりプーリと回転子本体との接続をON/OFFさせている。そこで、クラッチプーリのON/OFF時の騒音が継続的に発生するとともに、長期的には機構の消耗や故障が発生するという問題があった。また、大型のディーゼルエンジンなどのトルク変動の絶対値が大きい用途には、クラッチプーリの強度が不足し、対応できないという問題もあった。
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、クラッチプーリを用いることなく、ベルトのプーリに対するすべりの発生を抑制できる車両用発電機を得ることを目的とする。
この発明による車両用発電機は、内部に空間を保有するケースと、上記ケースの内部に取り付けられた固定子と、上記ケースに軸支された回転子と、を備えている。そして、上記回転子は、エンジンの回転を伝えるベルトが掛け渡されるプーリと、上記ケースからの延出部に上記プーリが固着されたシャフトと、径方向外方に延びる第1継鉄部から軸方向に延設された複数の第1爪状磁極部を有し、かつ上記シャフトに固着された第1のポールコア部材と、径方向外方に延びる第2継鉄部から軸方向に延設された複数の第2爪状磁極部を有し、かつ上記シャフトに固着された第2のポールコア部材と、上記複数の第1および第2爪状磁極部が歯合する向きに対向配置された上記第1のポールコア部材および上記第2のポールコア部材が形成する内部空間に配設された界磁コイルと、上記第1継鉄部に所定の距離を有して対向し、かつ上記シャフトに軸受を介して支持された第3のポールコア部材と、を備えている。
この発明によれば、第3のポールコア部材が第1のポールコア部材の第1径鉄部に所定の距離を有して対向しているので、第3のポールコア部材がポールコアの磁気回路の一部を構成する。また、第3のポールコア部材がシャフトに軸受を介して支持されているので、エンジンの速度脈動に起因するベルトの瞬低時に、第3のポールコア部材が慣性力により回転を維持して第1および第2のポールコア部材とは独立して回転し続ける。そこで、シャフトからみたポールコアの回転慣性モーメントが小さくなり、ベルトのプーリに対するすべりの発生が抑制される。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用発電機の構成を模式的に示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る車両用発電機における回転子を示す斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る車両用発電機の動作を説明する回路構成図である。
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用発電機の構成を模式的に示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る車両用発電機における回転子を示す斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る車両用発電機の動作を説明する回路構成図である。
図1および図2において、回転子1は、励磁電流が流されて磁束を発生する界磁コイル2と、界磁コイル2を覆うように設けられ、その磁束によって磁極が形成されるポールコア3と、ポールコア3の軸心位置に貫装されたシャフト4と、を備えている。
ポールコア3は磁性材料で形成され、それぞれ例えばS10Cなどの低炭素鋼で鍛造製法により作製された第1および第2のポールコア部材10,14と、第3および第4のポールコア部材18,19との複合体で構成されている。第3および第4のポールコア部材18,19は、第1および第2のポールコア部材10,14より僅かに小さい円形の外形形状を有する円盤状に作製され、ラジアル軸受20が装着される貫通穴が軸心位置に穿設されている。また、第1および第2のポールコア部材10,14は、その厚みが第3および第4のポールコア部材18,19の厚み分だけ薄く作製されている。ここで、各部材の厚みは、各部材におけるポールコア3の軸方向の長さを意味する。
第1のポールコア部材10は、シャフト挿通穴が軸心位置に穿設され、外周面を円筒面とする第1ボス部11と、第1ボス部11の一端縁部から径方向外側に延設された厚肉リング状の第1継鉄部12と、第1継鉄部12の外周部から軸方向他端側に延設された第1爪状磁極部13とを有している。第1爪状磁極部13は、その最外径面形状を略台形形状とし、周方向幅が先端側に向かって徐々に狭くなり、かつ、径方向厚みが先端側に向かって徐々に薄くなる先細り形状に形成され、第1継鉄部12の外周部に周方向に等角ピッチで例えば8つ配列されている。
一方、第2のポールコア部材14は、シャフト挿通穴が軸心位置に穿設され、外周面を円筒面とする第2ボス部15と、第2ボス部15の他端縁部から径方向外側に延設された厚肉リング状の第2継鉄部16と、第2継鉄部16の外周部から軸方向一端側に延出された第2爪状磁極部17とを有している。第2爪状磁極部17は、その最外径面形状を略台形形状とし、周方向幅が先端側に向かって徐々に狭くなり、かつ、径方向厚みが先端側に向かって徐々に薄くなる先細り形状に形成され、第2継鉄部16の外周部に周方向に等角ピッチで例えば8つ配列されている。
第1および第2のポールコア部材10,14は、第1および第2爪状磁極部13,17を噛み合わせて対向させ、かつ、第1および第2ボス部11,15の端面同士を突き合わせた状態で、第1および第2ボス部11,15のシャフト挿通穴に圧入されたシャフト4に固着されて、ポールコア本体部を構成する。また、界磁コイル2がボビン(図示せず)に巻回されて、第1および第2ボス部11,15、第1および第2継鉄部12,16および第1および第2爪状磁極部13,17で囲まれた空間内に装着されている。
第3のポールコア部材18は、第1のポールコア部材10の端面に対してエアギャップd2を確保して、ラジアル軸受20を介してシャフト4に取り付けられている。同様に、第4のポールコア部材19が、第2のポールコア部材14の端面に対してエアギャップd2を確保して、ラジアル軸受20を介してシャフト4に取り付けられている。さらに、第3および第4のポールコア部材18,19は、第1および第2のポールコア部材10,14の端面に玉軸受などのスラスト軸受21を介して保持されている。
このように構成された回転子1は、シャフト4が軸受5を介してケース6に支持されて、ケース6内に回転自在に収納されている。固定子7は、円環状の固定子鉄心7aと、固定子鉄心7aに巻装された固定子コイル7bとを備えている。固定子7が、固定子鉄心7aとポールコア3との間に一定のエアギャップd1を有するように、回転子1を囲繞してケース6に取り付けられている。プーリ8はシャフト4のケース6からの延出端に固着されている。ファン9は第3および第4のポールコア部材18,19の第1および第2のポールコア部材10,14と反対側に固着されている。
なお、ケース6内には、後述する固定子7で生じた交流を直流に整流する整流器23や固定子7で生じた交流電圧の大きさを調整する電圧調整器24などが配設されている。
なお、ケース6内には、後述する固定子7で生じた交流を直流に整流する整流器23や固定子7で生じた交流電圧の大きさを調整する電圧調整器24などが配設されている。
つぎに、このように構成された車両用発電機100の動作について説明する。この車両用発電機100は、車両に搭載され、図3に示されるように、エンジン30の回転トルクがエンジン30のクランク軸31とプーリ8とに掛け渡されたベルト25を介して伝達されて駆動される。
まず、電流がバッテリ26からブラシおよびスリップリング(図示せず)を介して回転子1の界磁コイル2に供給され、磁束が発生される。この磁束により、第1のポールコア部材10の第1爪状磁極部13がN極に着磁され、第2のポールコア部材14の第2爪状磁極部17がS極に着磁される。
一方、エンジン30の回転トルクがエンジン30のクランク軸31からベルト25およびプーリ8を介してシャフト4に伝達され、回転子1が回転される。そこで、回転磁界が固定子7の固定子コイル7bに与えられ、起電力が固定子コイル7bに発生する。この交流の起電力が整流器23で直流電流に整流され、バッテリ26が充電され、或いは、電気負荷27に供給される。
一方、エンジン30の回転トルクがエンジン30のクランク軸31からベルト25およびプーリ8を介してシャフト4に伝達され、回転子1が回転される。そこで、回転磁界が固定子7の固定子コイル7bに与えられ、起電力が固定子コイル7bに発生する。この交流の起電力が整流器23で直流電流に整流され、バッテリ26が充電され、或いは、電気負荷27に供給される。
ここで、磁束は、図1中矢印Aで示されるように、第1爪状磁極部13からエアギャップd1を通って固定子鉄心7aに入り、再びエアギャップd1を通って隣の第2爪状磁極部17に入り、第2継鉄部16、第2ボス部15、第1ボス部11および第1継鉄部12を通って第1爪状磁極部13に流れる。この時、第3および第4のポールコア部材18,19が第1および第2のポールコア部材10,14から分離されている。磁束の一部は、図1中矢印Bで示されるように、第1および第2のポールコア部材10,14と第3および第4のポールコア部材18,19との間のエアギャップd2を介して第3および第4のポールコア部材18,19に流れる。
このように、第3および第4のポールコア部材18,19は回転子1の磁気回路の一部を構成している。従って、ポールコア3を第1乃至第4のポールコア部材10,14,18,19の複合体で構成しても、第1および第2のポールコア部材10,14と第3および第4のポールコア部材18,19との継鉄部における総磁路断面積は、第1乃至第4のポールコア部材10,14,18,19を一体物として構成するポールコアと同等のものが得られる。なお、磁束自体は直流成分が主体であり、交番しないため、第3および第4のポールコア部材18,19が第1および第2のポールコア部材10,14と相対回転をしてもしなくても問題はない。
一般的に、固定子鉄心7aとポールコア3とのエアギャップd1は0.3mm程度である。第1および第2のポールコア部材10,14と第3および第4のポールコア部材18,19との間のエアギャップd2が上述のエアギャップd1より十分小さくないと、界磁コイル2の必要起磁力が増加することから、エアギャップd2は0.2mm以下とすることが望ましい。また、加工精度上、エアギャップd2を0.1mm以上とすることが望ましい。
つぎに、この発明の効果について、クラッチプーリを用いた従来技術と比較しつつ、説明する。図4はこの発明の実施の形態1に係る車両用発電機におけるベルトと回転子との速度変化を示す図、図5はクラッチプーリを用いた従来の車両用発電機におけるベルトと回転子との速度変化を示す図である。なお、図4において、曲線C1はベルトの速度を表し、曲線C2は第1および第2のポールコア部材の速度を表し、曲線C3は第3および第4のポールコア部材の速度を表している。また、図5において、曲線C1はベルトの速度を表し、曲線C2は回転子の速度を表している。
クラッチプーリを用いた車両用発電機では、図5中曲線C1に示すように、エンジンの脈動によってベルトの速度が周期的に変化する。ここで、エンジン速度が低下し、回転子の速度がベルト速度より速くなろうとすると、クラッチプーリがOFFとなる(図5中、点P1)。これにより、回転子とベルトとの結合が切り離され、回転子はベルトと別個に回転する。やがて、エンジン速度が上昇し、ベルト速度が回転子の速度より速くなろうとすると、クラッチプーリがONとなる(図5中、点P2)。これにより、回転子とベルトとが結合され、回転子はベルトと同期して回転する。
本車両用発電機においても、図4中曲線C1に示すように、エンジンの脈動によってベルトの速度が周期的に変化する。ここで、第1および第2のポールコア部材10,14の質量は小さいので、その回転慣性モーメントは、小さい。そこで、第1および第2のポールコア部材10,14の回転慣性モーメントは、エンジンの速度が下降する際でも、ベルト25の許容駆動力範囲内となり、ベルト速度が変動しても、第1および第2のポールコア部材10,14はベルト速度に追従して動作する(図4中曲線C2)。ここで、第3および第4のポールコア部材18,19は第1および第2のポールコア部材10,14に対して独立して回転できる。そこで、エンジン速度が低下し、プーリ8の回転速度が瞬低し、第1および第2のポールコア部材10,14の速度が低下しようとすると、第3および第4のポールコア部材18,19は慣性力により回転速度を維持して第1および第2のポールコア部材10,14とは独立して回転しつづける(図4中曲線C3)。
この実施の形態1では、ポールコア3が第1および第2のポールコア部材10,14と第3および第4のポールコア部材18,19との複合体に構成され、かつ第3および第4のポールコア部材18,19がラジアル軸受20を介してシャフト4に支持されているので、シャフト4からみて回転子1の回転慣性モーメントを小さくできる。これにより、速度変化時の角加速度と回転子慣性とによって生じるトルク(慣性トルク)が小さくなり、クラッチプーリを用いることなく、回転子1をベルト速度に追従して動作させることができる。従って、クラッチプーリを用いることに起因する騒音の発生、機構の消耗や故障の発生などの不具合を解消できる。また、大型のディーゼルエンジンなどのトルク変動の絶対値が大きい用途にも適用できる。さらに、ベルト25のプーリ8に対するすべりの発生も抑制できる。
このように、ポールコア3を第1および第2のポールコア部材10,14と第3および第4のポールコア部材18,19との複合体に構成することで、慣性低減の効果が得られる。第3および第4のポールコア部材18,19の厚みを厚くすることは、慣性低減効果を大きくすることにつながるが、第1および第2継鉄部12,16は、第1および第2爪状磁極部13,17に作用する遠心力を支える部位であることから、強度の観点から、その厚みを過度に減少させることはできない。
ここで、外径Φ120mm、Φ128mm、Φ135mm、Φ140mmの回転子において、第3および第4のポールコア部材の厚さの合計値と、第1および第2のポールコア部材の慣性モーメントとの関係を測定し、その結果を図6に示す。
まず、プーリの配置やエンジン方式による回転脈動の差などにより、その値は異なるが、回転子の慣性量(慣性モーメント)の値が30Kgfcm2を超えると、エンジンの回転変動に対して回転子が追従できなくなり、慣性トルクによるベルトのすべりが顕著となる。
図6から、外径Φ120mmおよびΦ128mmの回転子を搭載する車両用発電機では、慣性モーメントが30Kgfcm2以下である。このレベルであれば、ベルトとプーリとの間に顕著なすべりは発生しない。近年の車載電気部品の負荷増大に対応するための外径Φ135mmの回転子を搭載する大型の車両用発電機では、慣性モーメントが30Kgfcm2を超えており、ベルトとプーリとの間のすべりの問題が生じる。つまり、特に、大型の車両用発電機では、クラッチプーリを用いるか、本願の回転子構造を採用する必要がある。
外径Φ135mmの回転子を搭載する大型の車両用発電機では、第3および第4のポールコア部材の厚さの合計値が4mmを超えると、また、外径Φ140mmの回転子を搭載する大型の車両用発電機では、第3および第4のポールコア部材の厚さの合計値が10mmを超えると、慣性モーメントが確実に30Kgfcm2を下回ることがわかる。つまり、ベルトとプーリとの間のすべりの発生を実用上問題ないレベルにまで低減できることがわかる。
外径Φ135mmの回転子を搭載する大型の車両用発電機では、第3および第4のポールコア部材の厚さの合計値が4mmを超えると、また、外径Φ140mmの回転子を搭載する大型の車両用発電機では、第3および第4のポールコア部材の厚さの合計値が10mmを超えると、慣性モーメントが確実に30Kgfcm2を下回ることがわかる。つまり、ベルトとプーリとの間のすべりの発生を実用上問題ないレベルにまで低減できることがわかる。
回転子の厚みが一定である場合を考えているので、第3および第4のポールコア部材の厚さの合計値が増えると、継鉄部の厚みが薄くなる。この継鉄部の薄肉化が、継鉄部の強度低下をもたらす。そこで、爪状磁極部に作用する遠心力を支える継鉄部の構造解析を行い、18000r/minの遠心力の繰り返しに対して十分な強度を確保できる第3および第4のポールコア部材の厚さの合計値を算出した。その結果、ポールコア3の片側において、第3のポールコア部材の厚みを6mm程度にすると、爪状磁極部に加わる遠心力に対して許容値の限界レベルとなる。従って、第3のポールコア部材および第4のポールコア部材の双方ともに厚みを6mmとすると、厚みの合計値としては12mmが疲労強度による限界値となる。その結果を図6に曲線Dとして示した。
このことから、大型の車両用発電機であっても、回転子外径がΦ140mmであれば第3および第4のポールコア部材の厚みの合計値を10mm以上、かつ12mm以下、若しくは回転子外径がΦ135mmであれば第3および第4のポールコア部材の厚みの合計値を4mm以上、かつ12mm以下とすることで、ベルトのすべりの発生を抑制し、かつ強度的に爪状磁極部に作用する遠心力に十分耐えることができる。
また、第3および第4のポールコア部材18,19は第1および第2のポールコア部材10,14より僅かに小さい円形の外形形状を有する円盤状に形成されている。そこで、磁気回路としてみると、第3および第4のポールコア部材18,19の外径側において、第1および第2のポールコア部材10,14の第1および第2爪状磁極部13,17の有無により、磁束変動の差を生じる。これにより、第3および第4のポールコア部材18,19には、若干の渦電流が生じる。この渦電流は、誘導電動機或いはアラゴの円板と同様に、トルクを生じさせる。ラジアル軸受20およびスラスト軸受21は、第1および第2のポールコア部材10,14と、第3および第4のポールコア部材18,19との間を保持するが、ある程度の摩擦トルクを有する。この誘導渦電流によるトルクと摩擦トルクとにより、第3および第4のポールコア部材18,19は、第1および第2のポールコア部材10,14と独立して回転できるものの、同方向にある程度の回転力を得ることができる。
また、ファン9が第3および第4のポールコア部材18,19に固着されているので、ケース6内の整流器23、電圧調整器24などの発熱部品を冷却することができる。
この種の車両用発電機では、電圧一定で発電を行うので、高速回転になるに従い、界磁コイル2の電流量を低減する。そのため、第3および第4のポールコア部材18,19に発生する渦電流によるトルクも低下する。一方、ファン9が第3および第4のポールコア部材18,19に固着されているので、高速回転になるに従い、ファン負荷も上昇する。従って、第3および第4のポールコア部材18,19の回転数は第1および第2のポールコア部材10,14ほど大きくならず、高速回転時のファン騒音を低減できる。また、ファン速度が第1および第2のポールコア部材10,14ほど速くならないことから、ファンサイズの大型化が実現でき、低速回転時での冷却性能の向上を図ることができる。
この種の車両用発電機では、電圧一定で発電を行うので、高速回転になるに従い、界磁コイル2の電流量を低減する。そのため、第3および第4のポールコア部材18,19に発生する渦電流によるトルクも低下する。一方、ファン9が第3および第4のポールコア部材18,19に固着されているので、高速回転になるに従い、ファン負荷も上昇する。従って、第3および第4のポールコア部材18,19の回転数は第1および第2のポールコア部材10,14ほど大きくならず、高速回転時のファン騒音を低減できる。また、ファン速度が第1および第2のポールコア部材10,14ほど速くならないことから、ファンサイズの大型化が実現でき、低速回転時での冷却性能の向上を図ることができる。
実施の形態2.
この実施の形態2では、絶縁性薄膜樹脂でコーティングした微細鉄粉を加圧成型後に焼結して作製した成型体、いわゆるSMC(Soft magnetic composite core)により第3および第4のポールコア部材を作製している。これにより、第3および第4のポールコア部材における渦電流による損失を無視できる程度に低減できる。
この実施の形態2では、絶縁性薄膜樹脂でコーティングした微細鉄粉を加圧成型後に焼結して作製した成型体、いわゆるSMC(Soft magnetic composite core)により第3および第4のポールコア部材を作製している。これにより、第3および第4のポールコア部材における渦電流による損失を無視できる程度に低減できる。
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3に係る車両用発電機における回転子1Aを示す斜視図、図8はこの発明の実施の形態3に係る車両用発電機における回転子1Aの動作途中を示す斜視図である。
図7はこの発明の実施の形態3に係る車両用発電機における回転子1Aを示す斜視図、図8はこの発明の実施の形態3に係る車両用発電機における回転子1Aの動作途中を示す斜視図である。
図7において、第1および第2のポールコア部材10,14と、第3および第4のポールコア部材18A,19Aは、それぞれ、S10Cなどの低炭素鋼で鍛造製法により作製されている。第3および第4のポールコア部材18A,19Bは、径方向外方に延出する磁極部28が、爪状磁極と同様に、周方向に8つ配列された外形形状を有する平板状に作製されている。第3および第4のポールコア部材18A,19Bは、軸方向から見て、第1および第2のポールコア部材10,14と同等の外形形状を有する。なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態3では、第3および第4のポールコア部材18A,19Aの磁極部28が、図8に示されるように、周方向に関して、第1および第2のポールコア部材10,14の第1および第2爪状磁極部13,17とずれると、磁気抵抗の非対称性によるリラクタンストルクが生じる。車両用発電機においては、低速回転時には界磁コイル2の電流量が多く、このリラクタンストルクが大きい。そこで、磁極部28と第1および第2爪状磁極部13,17とが互いに強く吸引され、両者の周方向位置が一致した状態で同期して回転する。やがて高速回転になると、界磁コイル2の電流量が小さくなり、リラクタンストルクも小さくなる。一方で、ファン負荷が増大する。従って、第3および第4のポールコア部材18A,19Aの回転数は第1および第2のポールコア部材10,14ほど大きくならず、高速回転時のファン騒音を低減できる。さらに、ファンサイズを大型化して、低速回転時での冷却性能の向上を図ることができる。
また、この実施の形態3においても、絶縁性薄膜樹脂でコーティングした微細鉄粉を加圧成型後に焼結して作製された成型体により第3および第4のポールコア部材18A,19Aを作製してもよい。この場合、第3および第4のポールコア部材18A,19Aと第1および第2のポールコア部材10,14との相対速度がある場合でも、渦電流による損失がなく、磁気回路を分離したことによる効率低下を抑制できる。
なお、上記各実施の形態では、クラッチプーリを用いない車両用発電機について説明しているが、この発明はクラッチプーリを用いる車両用発電機に適用してもよい。この場合、クラッチのON/OFF時の衝撃を著しく低下でき、クラッチプーリの故障率を低下できる。
また、上記各実施の形態では、第3および第4のポールコア部材が例えば玉軸受を介して第1および第2のポールコア部材に保持されているものとしているが、玉軸受に代えて、テフロン(登録商標)などの低摩擦材を介装させて、第3および第4のポールコア部材と第1および第2のポールコア部材とを擦動させるようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、第3および第4のポールコア部材が例えば玉軸受を介して第1および第2のポールコア部材に保持されているものとしているが、玉軸受に代えて、テフロン(登録商標)などの低摩擦材を介装させて、第3および第4のポールコア部材と第1および第2のポールコア部材とを擦動させるようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、ボス部の外周面が円筒面に作製されているものとしているが、ボス部の外周面は円筒面に限定されるものではなく、例えば多角面でもよい。
また、上記各実施の形態では、ポールコア本体部が第1および第2のポールコア部材に2分割されているものとしているが、ポールコア本体部は必ずしも2分割に構成されているものに限定されず、例えば軸心と直交する面でポールコア本体部の第1および第2継鉄部の内周根元部で分割した3分割に構成してもよい。
また、上記各実施の形態では、ポールコアを第1乃至第4のポールコア部材の複合体に構成しているが、第3および第4のポールコア部材の一方を、第1又は第2のポールコア部材の一方に構成し、ポールコアを3つの部材の複合体に構成してもよい。
また、上記各実施の形態では、ポールコア本体部が第1および第2のポールコア部材に2分割されているものとしているが、ポールコア本体部は必ずしも2分割に構成されているものに限定されず、例えば軸心と直交する面でポールコア本体部の第1および第2継鉄部の内周根元部で分割した3分割に構成してもよい。
また、上記各実施の形態では、ポールコアを第1乃至第4のポールコア部材の複合体に構成しているが、第3および第4のポールコア部材の一方を、第1又は第2のポールコア部材の一方に構成し、ポールコアを3つの部材の複合体に構成してもよい。
1 回転子、2 界磁コイル、3 ポールコア、4 シャフト、5 軸受、6 ケース、7 固定子、8 プーリ、9 ファン、10 第1のポールコア部材、11 第1ボス部、12 第1継鉄部、13 第1爪状磁極部、14 第2のポールコア部材、15 第2ボス部、16 第2継鉄部、17 第2爪状磁極部、18,18A 第3のポールコア部材、19,19A 第4のポールコア部材、20 ラジアル軸受、25 ベルト、28 磁極部、30 エンジン、31 クランク軸。
Claims (5)
- 内部に空間を保有するケースと、上記ケースの内部に取り付けられた固定子と、上記ケースに軸支された回転子と、を備えている車両用発電機であって、
上記回転子は、
エンジンの回転を伝えるベルトが掛け渡されるプーリと、
上記ケースからの延出部に上記プーリが固着されたシャフトと、
径方向外方に延びる第1継鉄部から軸方向に延設された複数の第1爪状磁極部を有し、かつ上記シャフトに固着された第1のポールコア部材と、
径方向外方に延びる第2継鉄部から軸方向に延設された複数の第2爪状磁極部を有し、かつ上記シャフトに固着された第2のポールコア部材と、
上記複数の第1および第2爪状磁極部が歯合する向きに対向配置された上記第1のポールコア部材および上記第2のポールコア部材が形成する内部空間に配設された界磁コイルと、
上記第1継鉄部に所定の距離を有して対向し、かつ上記シャフトに軸受を介して支持された第3のポールコア部材と、を備えていることを特徴とする車両用発電機。 - 上記第3のポールコア部材は、円盤状に作製されていることを特徴とする請求項1記載の車両用発電機。
- 上記第3のポールコア部材は、径方向外方に突出する磁極部が相対する上記第1爪状磁極部の周方向の配列状態と同等の配列状態に形成されている外形形状を有する平板状に作製されていることを特徴とする請求項1記載の車両用発電機。
- 上記第3のポールコア部材は、絶縁性薄膜樹脂がコーティングされた鉄粉を加圧成型後に焼結して作製された成型体により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用発電機。
- ファンが上記第3のポールコア部材に固着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両用発電機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006276339A JP2008099393A (ja) | 2006-10-10 | 2006-10-10 | 車両用発電機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006276339A JP2008099393A (ja) | 2006-10-10 | 2006-10-10 | 車両用発電機 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2008099393A true JP2008099393A (ja) | 2008-04-24 |
Family
ID=39381648
Family Applications (1)
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JP2006276339A Pending JP2008099393A (ja) | 2006-10-10 | 2006-10-10 | 車両用発電機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008099393A (ja) |
-
2006
- 2006-10-10 JP JP2006276339A patent/JP2008099393A/ja active Pending
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