次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.用語の説明:
B.第1実施例:
b1)システム概要:
b2)予約実行処理:
b3)会議中実行処理:
b4)議事録出力処理:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.第4実施例:
e1)システム概要:
e2)予約実行処理:
e3)会議中実行処理:
e4)議事録出力処理:
F.変形例:
A.用語の説明:
以下の説明で使用する用語の意味は以下の通りである。
・UPnP(Universal Plug and Play)…ユニバーサルプラグアンドプレイ(UPnPはUPnP Implementers Corporationの商標)。
・HTML(HyperText Markup Language)…Webページを記述するためのマークアップ言語。
・XML(eXtensible Markup Language)…拡張マークアップ言語。
・XHTML(eXtensible HyperText Markup Language)…拡張ハイパーテキストマークアップ言語。HTMLと互換性を有する文書記述言語の一種であり、XMLの実装の一形態である。XHTML−Printは、XHTML文書を印刷するための仕様である。
・DLNA(Digital Living Network Alliance)…UPnPの技術を用いて家庭内のネットワークシステムでディジタルAV機器同士やパソコンを相互接続し、連携させるための仕様。
B.第1実施例:
b1)システム概要:
図1は本発明の一実施例としてのネットワークシステムの構成を示す概念図である。このネットワークシステム10は、会議室20に備えられた電子黒板100とパーソナルコンピュータである会議室コンピュータ200と、会議室20以外の部署に備えられたパーソナルコンピュータであるネットワークコンピュータ300とプリンタ400とがLANを介して相互に接続されている。LANは、IEEE802.3のような有線ネットワークでも、IEEE802.11b/g/aなどの無線ネットワークでも良い。
ネットワークシステム10のLANに接続されるこれらの機器はUPnP対応のネットワーク装置である。ネットワークコンピュータ300とプリンタ400とは、UPnPアーキテクチャにおけるコントロールポイント300c、400cを備えている。なお、図示は省略されているが、電子黒板100と会議室コンピュータ200もコントロールポイントを備えている。
ここで、「UPnP」及び「UPnPアーキテクチャ」とは、ネットワーク装置を任意のタイミングでネットワークに接続したり、ネットワークから切断したりすることを実現するアーキテクチャである。本明細書では、UPnPのように、ネットワークにおいてプラグアンドプレイを実現するアーキテクチャを、「ネットワーク型プラグアンドプレイ」と呼ぶ。
また、「コントロールポイント」とは、UPnPアーキテクチャにおいて、ネットワーク上の他のデバイスを検出したり制御したりするコントローラを意味しており、サービスデバイスに対するクライアントとして機能するものである。なお、「サービスデバイス」とは、サービスを提供する装置を意味している。本明細書においては、特に断らない限り、「サービスデバイス」と「デバイス」とは同義語として使用される。
会議室コンピュータ200とネットワークコンピュータ300には、例えばInternet Explorlerなどのブラウザソフトウェアがインストールされている。プリンタ400は、XHTML−Printに対応したプリンタ(以後、「XHTML−Print対応プリンタ」と呼ぶ)である。プリンタ400は、ユーザが操作を行う際に種々の情報(例えば出力ファイルのファイル名など)を表示可能な表示インターフェースIFを有している。
電子黒板100は、デバイスユニット110とネットワークサーバ120とを備えている。電子黒板100は、ネットワークサーバ120によってLANに接続している。デバイスユニット110とネットワークサーバ120との間は、USB(Universal Serial Bus)で接続されている。なお、デバイスユニット110とネットワークサーバ120とはUSB以外の他の物理的インターフェースで接続することも可能である。
デバイスユニット110は、制御部111とスキャナ部112とプリンタ部113とを備えている。スキャナ部112、プリンタ部113については後述する。制御部111は、スキャナ部112とプリンタ部113の動作の制御を行ったり、ネットワークサーバ120とのデータやメッセージのやりとりを行っている。
ネットワークサーバ120は、予約サーバ121と議事録サーバ122とウェブサーバ123とを備えている。電子黒板100は、予約サーバ121によって、会議室の使用予約ができる予約実行処理(後述)を行うことができる。また、電子黒板100は、議事録サーバ122によって会議の議事録を生成する議事録生成処理(後述)を行うことができる。なお、予約実行処理及び議事録生成処理は、Webアプリケーションによって実現されている。
ここで「Webアプリケーション」とはネットワーク上のクライアントとなるパーソナルコンピュータとサーバとの間で実現される次のような仕組みを実現するコンピュータプログラムを言う。ユーザがクライアントのブラウザソフトウェアに対して行った入力や要求を、クライアントはサーバに送信する。すると、その入力データや要求に対する処理をサーバ上のWebアプリケーションが行い、その処理結果がクライアントに返信され、クライアントのブラウザソフトウェアはその処理結果を表示する。この仕組みによって、ユーザはあたかも一連の処理がクライアントで行われているように感じることができる。
ネットワークサーバ120は、後述する予約実行ページと議事録生成ページとを有しており、クライアントのブラウザソフトウェアは、それら2つのページにアクセスすることによって、それぞれ予約サーバ121と議事録サーバ122に上記の2つの処理を依頼することができる。予約実行ページおよび議事録生成ページはそれぞれHTMLドキュメントとして実現することができる。
予約実行処理及び議事録生成処理の処理結果として予約データ及び議事録データ(後述)が生成され、ネットワークサーバ120に保存される。電子黒板100は、予約サーバ121と議事録サーバ122とウェブサーバ123によって、当該データをネットワークシステム10上のクライアント装置からの要求に応じて他の機器に配信することができる。その配信処理については後述する。
図2(A)は、電子黒板100の外観を示す概略図である。電子黒板100は、筆記具によって任意に書き込みや消去が可能なボード部114を備えており、ボード部114は左右両側に設けられた脚部115によって支持されている。スキャナ部112はボード部114上を走査可能に設置されている。プリンタ部113はボード部114の下に設けられている。なお、図2(A)には図示されていないが、制御部111(図1)がボード部114の背面に設けられている。また、ネットワークサーバ120の図示も省略してある。
スキャナ部112は、スキャン開始ボタン112bが押されると、駆動部(図示せず)によってボード部114上を図に示す矢印方向に移動し、ボード部114に書き込まれた内容(板書内容)を読み取ることができる。
図2(B)は、スキャナ部112によって取得された板書画像BI1の例である。制御部111は、この板書画像BI1をJPEG形式のデータへと変換することができ、生成されたデータは適当なファイル名を付与されて(例えば「boad_img1.jpg」)、ネットワークサーバ120に保存される。なお、画像データはJPEG形式以外のデータであるとしても良い。
また、制御部111は、板書画像BI1から印刷データを生成することもできる。「印刷データ」とは、印刷媒体上におけるドットの形成状態を示すドットデータによって印刷物を表すデータを意味している。制御部111は、当該印刷データによって板書画像BI1をプリンタ部113から出力させることができる。なお、プリンタ部113は電子黒板100に備えられていなくとも良い。
b2)予約実行処理:
図3(A)は、電子黒板100に対して行う会議室20の予約実行処理の手順を示すシーケンス図である。会議室20の使用予約は、会議室20とは異なる部署にあるネットワークコンピュータ300から電子黒板100にアクセスすることによって行うことができる。
ステップ[1]では、ネットワークコンピュータ300がM−Searchを行い、ステップ[2]では、電子黒板100がネットワークコンピュータ300に対して応答する。ここで「M−Search」とは、UPnPアーキテクチャにおいてコントロールポイントがネットワーク上の任意の、若しくは全てのデバイスの検索を行うことを言う。ステップ[1]〜ステップ[2]の手順によってネットワークコンピュータ300はネットワーク上に電子黒板100を検出し、以後ネットワークコンピュータ300と電子黒板100とはピアツーピアで処理を進めることができるようになる。
ステップ[3]においてネットワークコンピュータ300は、電子黒板100に対してネットワークサーバ120にある予約実行ページにアクセスする。具体的には予約者がネットワークコンピュータ300のブラウザソフトウェアから予約実行ページの場所を示すアドレスを入力することによって行う。するとステップ[4]において電子黒板100からネットワークコンピュータ300に対して予約実行ページが送信され、ブラウザソフトウェアは予約実行ページを表示する。
図3(B)は、ブラウザソフトウェアによって表示される予約実行ページの表示画面例である。予約実行ページの表示画面RSには、電子黒板100の設置されている会議室20の固有の部屋番号Rid(ここでは「512」)が表示されている。表示画面RSにはその他に、会議室20を使用したい日時を入力するための第1の入力領域IA1と予約者の名前と会議の名称、会議参加者の氏名を入力する第2の入力領域IA2とが表示されている。予約実行ページの表示画面RSは、他のレイアウトであっても良く、また他の表示項目や入力欄があるものとしても良い。例えば、予約可能日が示されたカレンダーが表示されていても良いし、予約者や参加者の氏名に加えて社員番号や所属を入力するものとしても良い。
ステップ[5]で予約者は2つの入力領域IA1、IA2に対して必要事項を入力する。第1の入力領域IA1はプルダウン表示により選択入力できるものとしても良い。予約者は入力が終了したなら予約実行ボタンRBをクリックして入力データを電子黒板100に対して送信する(ステップ[6])。予約サーバ121は、受け取った入力データから予約可能か否かの判断を行う。具体的には既にある予約データから先約が有るか無いか、入力項目に不適切なものが含まれていないかなどを検証する。予約サーバ121は、予約可能であると判断した場合に予約データとして予約XMLを生成する(ステップ[7])。予約XMLは、マークアップ言語であるXMLによって記述されたスクリプトファイルである。
図4は、予約サーバ121によって生成される予約XMLの一例である。予約XMLは、ヘッダー部SC1と、メタデータ部SC2と、スタイル設定部SC3と、ボディ部SC4とを含んでいる。ヘッダー部SC1には、当該予約XMLが準拠するXMLのバージョンや当該予約XMLの持つ名前空間の定義などが記述されている。
メタデータ部SC2には、予約XMLについてのデータ(メタデータ)が記述されている。具体的には、ネットワークコンピュータから送信された入力項目が各属性の属性値として設定されている。例えば、属性”place”に対して、会議室番号”512”が設定されており、属性”year”、”month”、”day”にはそれぞれ予約年月日として”2006”、”8”、”23”が設定されている。属性”reservation:start−time”には会議開始予定時刻”16:00”が設定され、属性”reservation:end−time”には会議終了予定時刻”17:00”が設定されている。
また、メタデータ部SC2には、入力項目以外の値をもつ属性が含まれていても良い。例えば、属性”uuid”は、電子黒板100の固有の識別番号(電子黒板ID)を属性値として有しており、図4の例では”cfe92100−67c4−11d4−a45f−000048d40590”が設定されている。この電子黒板IDによって、例えばネットワーク上に予約XMLを生成する複数の電子黒板が存在する場合でも、電子黒板100によって生成された予約XMLを特定することが可能である。さらにメタデータ部SC2には、属性”reservationID”に対して”00000001”が設定されているが、これは成立した予約に対して予約サーバ121が付与する予約番号である。メタデータ部SC2には他に、属性”state”、”start−time”、”end−time”についての記述が含まれているが、これらについては後述する。
スタイル設定部SC3及びボディ部SC4は、予約実行処理には直接関連せず、後述する議事録生成処理に使用されることになる。スタイル設定部SC3は生成される議事録のページ概念やレイアウトなどが設定されている。ボディ部SC4には会議中に生成される議事録の内容が追加(挿入)されることになる(詳細は後述)。本実施例ではA4横サイズのページ(用紙)に対してボディ部SC4に追加される議事録の内容がレイアウトされていく仕様となっている。なお、スタイル設定部SC3、ボディ部SC4は予約XMLには含まれていないものとしても良い。
ステップ[8]では、電子黒板100からネットワークコンピュータ300に対して予約処理結果が送信される。予約が成立した場合には、上記予約XMLに記述された予約番号がネットワークコンピュータ300に送信され、予約者は予約番号を知ることができる。会議を開始する際にはこの予約番号を用いることになる。予約が不成立の場合には、その旨がネットワークコンピュータ300に表示され、予約者は新たに予約を行うものとしても良い。
本実施例では、複数の会議室にそれぞれネットワークに接続する電子黒板100が1つずつ設置されているものと仮定する。各電子黒板100はそれぞれに予約実行ページを持っており、予約者は予約を行いたい電子黒板100の予約実行ページにアクセスする。例えば、全ての電子黒板100の予約実行ページの一覧がネットワークコンピュータ300のブラウザソフトウェアに表示され、予約者が選択するものとしても良い。また、ネットワーク上にある全ての予約XMLのファイルを検索することによって、その情報から予約者の希望する時間に使用可能な電子黒板100を特定することもできる。その場合に、上述した電子黒板IDを用いるものとしても良い。このように、予約者は、ネットワーク上のコンピュータから電子黒板100に対して任意に予約処理を行うことができる。
b3)会議中実行処理:
図5は、上記予約実行処理によって予約を行った会議が行われる際のネットワークシステム10の処理手順を示すシーケンス図である。この会議では、議事進行役である会議ユーザMUが会議室コンピュータ200によって電子黒板100にアクセスしつつ、電子黒板100のボード部114に対して板書を行いながら進行する。
会議の開始にあたって会議ユーザMUは、会議室コンピュータ200を起動する(ステップ[0])。ステップ[1]では、会議室コンピュータ200がM−Searchを行い、ステップ[2]では、電子黒板100が会議室コンピュータ200に対して応答する。ステップ[1]〜ステップ[2]の手順によって会議室コンピュータ200は以後、電子黒板100とピアツーピアで処理を進めることができるようになる。
ステップ[3]で会議室コンピュータ200から電子黒板100に対して会議の開始が告知される。具体的には、会議ユーザMUが会議室コンピュータ200のブラウザソフトウェアから電子黒板100のネットワークサーバ120にある議事録生成ページにアクセスし、上述の予約実行処理で得た予約番号を入力することによって行う。
図6は、ブラウザソフトウェアによって表示された議事録生成ページの初期表示画面例である。議事録生成ページの初期表示画面MS1には予約番号を入力する入力欄RIと、ブラウザソフトウェアにデータの送信を指示する送信ボタンTBとがある。会議ユーザMUは入力欄RIに予約番号を入力し、電子黒板100へと送信する。予約番号は議事録サーバ122に渡される。
ステップ[4]では、議事録サーバ122が予約番号と現在時刻に基づいてネットワークサーバ120に保存されている予約XMLを検索する。該当する予約番号を有するXMLが存在しない場合や、予約XMLに含まれる予約日時が現在時刻と比較して不適切であった場合(例えば、予約日が異なる場合など)には、議事録サーバ122は、会議室20が使用できない旨を送信し、会議室コンピュータ200のブラウザソフトウェアがそれを表示する。その場合、会議ユーザMUは予約実行処理を改めて行うことになるものとしても良い。
予約番号及び予約日時が適切な予約XMLが検索された場合には、議事録サーバ122は当該予約XMLを基に議事録フォーマットデータを作成する(ステップ[5])。「議事録フォーマットデータ」とは、議事録サーバ122が議事録を生成する際にひな形とするスクリプトファイルのことを言う。なお、「議事録データ」とは、議事録サーバ122によって生成された議事録のスクリプトファイルのことを言い、議事録フォーマットデータをも含むものとする。議事録フォーマットデータは、具体的には次のように作成される。
図7(A)、(B)は、図4に示した予約XMLから議事録フォーマットデータを作成する方法を示す説明図である。まず、予約XMLのメタデータ部SC2は、属性”state”の属性値が”IDLE”から”DO”に更新され、属性”start−time”の属性値が現在時刻(当該処理実行時)の”16:10”に更新され、メタデータ部SC2aとなる(図6(A)において下線で表示)。属性”state”は会議の状況を示すための属性であり、属性値が”IDLE”の場合は会議が未実施であることを示し、属性値が”DO”の時は会議が実施中であることを示す。属性”start−time”の属性値は、会議の開始時刻を示している。次に予約XMLのボディ部SC4は、2つのタグ”<body>”、”</body>”の間にメタデータ部SC2の属性値から得られる会議情報からなる追加事項AC1が追加、挿入され、ボディ部SC4aとなる(図7(B))。
なお、議事録フォーマットデータは、予約XMLを更新することによって生成するのではなく、予約XMLに含まれる属性値などのデータを利用して議事録サーバ122によって新規に生成されるものとしても良い。その場合は、予約XMLにはスタイル設定部SC3及びボディ部SC4はなくても良い。
上記の処理で生成された議事録フォーマットデータは、XHTML−Print形式で作成される。議事録サーバ122は、このXHTML−Printデータとは別に、ブラウザソフトウェアでも表示可能な表示用データとしてHTMLデータも生成する。以後、区別するためにXHTML−Printデータとして生成された議事録フォーマットデータを「出力用議事録フォーマットデータ」と呼び、HTMLデータとして生成された議事録フォーマットデータを「表示用議事録フォーマットデータ」と呼ぶ。また、XHTML−Printデータとして生成された議事録データを「出力用議事録データ」と呼び、HTMLデータとして生成された議事録データを「表示用議事録データ」と呼ぶ。なお、単に「議事録フォーマットデータ」、「議事録データ」と呼ぶときは、表示用と出力用のいずれのデータをも含むものとする。生成された2種類の議事録フォーマットデータは、ネットワークサーバ120内に保存される。
図8(A)は、出力用議事録フォーマットデータから表示用フォーマットデータを生成する処理を説明するための説明図である。本実施例では、出力用議事録フォーマットデータのスタイル設定部SC3のスクリプト”@page{…}”を注釈文を示す記号”/#”と”#/”とで囲み、コメントアウトすることによって表示用フォーマットデータを生成している。なお、「コメントアウト」とは、スクリプトを注釈文(コメント)にしてしまうことによって無効化することを言う。
図8(A)では、コメントアウト後のスタイル設定部SC3をスタイル設定部SC3htmlとして示している。スクリプト”@page{…}”は、XHTML−Printデータにおいてページ概念を設定するスクリプトである。ここで「ページ概念」とは、プリンタから出力する際の用紙サイズ及びその用紙サイズにおけるレイアウト設定などのことである。即ち、ブラウザソフトウェアで表示する際には、このページ概念が不要であるためコメントアウトを行っている。即ち、本実施例では、出力用議事録データと表示用議事録データとは、スタイル設定部SC3、SC3htmlが異なるのみである。
なお、表示用議事録データは、出力用議事録データを更新することによって生成するのではなく、議事録サーバ122がまったく新規にHTMLドキュメントとして生成するものとしても良い。その場合は、ブラウザソフトウェア用にフレームを用いるなど、出力用議事録データのプリンタ出力とは異なるレイアウトであっても良い。但し、議事録としての情報の内容の同一性が保たれていることが好ましい。
図5のステップ[6]では、議事録サーバ122は、生成した表示用議事録フォーマットデータを会議室コンピュータ200に送信する。ステップ[7]では、会議室コンピュータ200は、表示用議事録フォーマットデータをブラウザソフトウェアによって表示する。図8(B)は、表示用議事録フォーマットデータの表示画面例である。表示画面MS2にはまだ、ボディ部SC4aに含まれる追加事項AC1の会議情報のみが表示されている。
その後、会議が進行し、電子黒板100のボード部114には議事内容などが書き込まれていく(ステップ[8])。ステップ[9]では、会議ユーザMUが電子黒板100のスキャナ部112のスキャン開始ボタン112bを押して電子黒板100に対してスキャニング処理の開始命令を出す。すると電子黒板100は板書のスキャニングを開始し、板書の画像データを取得する。ここで、取得画像として図2(B)において説明した板書画像BI1が取得されたものとする。板書画像BI1は、ファイル名”boad_img1.jpg”としてJPEG形式でネットワークサーバ120に保存される。議事録サーバ122は、出力用議事録データ及び表示用議事録データを更新する(ステップ[10])。
図9は、議事録データの更新処理を説明するための説明図である。議事録データのボディ部SC4aは、追加事項AC2、AC3が挿入され、会議開始時刻”16:10”が現在時刻”16:45”に更新されて(図において下線で表示)、ボディ部SC4bとなる。追加事項AC2は、上記スキャニングによって得られた板書画像BI1の画像データへのリンク情報である。追加事項AC3は、議事録の1ページ目のフッターである。更新された議事録データは、ネットワークサーバ120の議事録フォーマットデータを上書き保存することによって保存される。
ステップ[11]では、会議ユーザMUが会議室コンピュータ200のブラウザソフトウェアのページ更新処理を行うことによって、電子黒板100に対して更新された議事録データが要求される。電子黒板100のウェブサーバ123は、要求された議事録データ(HTMLデータ)とそれにリンクする画像データ”boad_img1.jpg”とを会議室コンピュータ200に送信する(ステップ[12])。会議室コンピュータ200のブラウザソフトウェアは受信した議事録データを表示する(ステップ[13])。
図10は、会議室コンピュータ200のブラウザソフトウェアに表示される議事録データの表示画面例である。表示画面MS3は、表示画面MS2(図8(B))に板書画像BI1とフッターFTとが追加されている。なお、この議事録データの出力用議事録データをXHTML−Print対応プリンタから出力すると、枠線FLを用紙の縁としたA4サイズ1ページ分の出力結果が得られる。
以後、会議が進行し板書内容が増えた場合などには、ステップ[8]〜ステップ[13]とほぼ同じ手順が繰り返されることになる。ただし、2回目以降の議事録データ更新処理(即ち2回目以降のステップ[10])では議事録データの更新は次に説明するように行う。
図11は、2回目の電子黒板100のスキャニング処理がなされた場合の議事録データ更新処理を説明するための説明図である。ボディ部SC4bは、タグ”</body>”の前に追加事項AC4が挿入されてボディ部SC4cとなる。追加事項AC4は、1回目のステップ[10]の更新処理によって生成された議事録1ページ分のデータ(図9)とは、画像データのリンク情報及び現在時刻が異なっている。3回目以降のスキャニング処理後の議事録データ更新処理は、この2回目の議事録データ更新処理と同様となる。
ここまでの説明からも解るように、板書のスキャニング処理を1回行うごとにXHTML−Print対応プリンタで出力される議事録は1ページ増えていくことになる。なお、表示用議事録データは、図8で説明したとおり、ページ概念がコメントアウトされているため、ブラウザソフトウェアで表示させると、板書画像データが追加された順に下に連続して表示される。そのためブラウザソフトウェアで閲覧する場合は、画面をスクロールさせて閲覧することになる。なお、表示用議事録データも、ブラウザソフトウェアで1ページずつ表示されるように生成されるものとしても良い。
ステップ[14]では、会議を終了するにあたり会議ユーザMUが会議室コンピュータ200に対して会議終了操作を行う。具体的には、会議室コンピュータ200のブラウザソフトウェアを介して議事録生成ページに対して終了操作を行う。すると、会議室コンピュータ200から電子黒板100に対して会議の終了が告知され(ステップ[15])、議事録サーバ122は、会議終了の処理として最終的な議事録データ更新処理を行う(ステップ[16])。
図12は、ステップ[16]において行われる議事録データ更新処理を説明するための説明図である。この更新処理では議事録データのメタデータ部SC2aのうちで、属性”state”の属性値が”DO”から”END”に更新され、会議終了時刻を示す属性”end−time”の属性値が”−−:−−”から現在時刻である”16:59”に更新されて、メタデータ部SC2bとなる。議事録データはネットワークサーバ120内に上書き保存される。
本実施例では出力用議事録データをXHTML−Printデータで生成しているが、その利点の1つは、XHTML−Print対応プリンタが直接XHTML−Printデータを解釈して出力を行える点である。即ち、XHTML−Print対応プリンタであれば他のコンピュータの助けなしで出力用議事録データを出力することができる。また、XHTML−Print対応プリンタは、データの解釈にあたって、データ中に画像データがリンクされている場合には設定された所定の画像サイズに拡大及び縮小を行うなどして出力を行う。このため、出力用議事録データがXHTML−Printデータであれば、XHTML−Print対応プリンタの機種に依存することなく所定のレイアウトの議事録を得ることができる。
また、議事録サーバ122が出力用議事録データと表示用議事録データとを生成する利点は以下の通りである。基本的にブラウザソフトウェアはXHTML−PrintデータであってもHTMLドキュメントとして解釈して表示することが可能である。しかし、例えば、画像データがリンクされているページを表示するときに、画像のサイズによっては画像がトリミングされて表示されてしまう場合がある。また出力結果が改頁タグによって複数のページに区切られているときに、1ページ目のみしか表示されないなどの不具合が生じる場合がある。そのような不具合が生じた場合、印刷物と表示画面の出力結果のレイアウトの同一性だけではなく、議事録としての情報の同一性が失われかねない。従って、議事録データは表示用議事録データと出力用議事録データの両方が生成されることが好ましい。
b4)議事録出力処理:
図13は、ネットワークシステム10において電子黒板100によって生成された議事録をプリンタ400から出力する場合の手順を示したシーケンス図である。ステップ[1]〜[2]においてM−Searchに伴う一連の処理を行うことによって、プリンタ400は電子黒板100とピアツーピアで処理を行えるようになる。
ステップ[3]では、ユーザの操作に応じてプリンタ400が電子黒板100に対して出力用議事録データの送信要求を行う。具体的には以下の手順によって行う。プリンタ400の要求によって議事録サーバ122から議事録データの一覧リストがプリンタ400に対して送信される。プリンタ400の表示インターフェースIFに当該リストが表示され、ユーザはそのリストの中から出力したい議事録データのファイル名を選び、電子黒板100に通知する。また、プリンタ400にキーボードやタッチパネルのような入力手段が設けられている場合に、予約番号や電子黒板IDなどの議事録データが有する属性値によって検索できるものとしても良い。
ステップ[4]では、議事録サーバ122がプリンタ400からの要求に対して、該当する議事録データを検索する。ステップ[5]では、議事録サーバ122は検索した議事録データをプリンタ400に対して送信する。なお、この際、議事録データにリンクされている画像データも含めて送信される。ステップ[6]では、プリンタ400は、議事録データのXHTML−Printスクリプトを解釈して出力を行う。
このように、プリンタ400がXHTML−Print対応プリンタであれば、ネットワークに接続するコンピュータを介することなく出力することができる。また、ネットワーク上に複数の電子黒板が存在し、それぞれが議事録データを生成・保存している場合であっても、ネットワーク上にある議事録データを全て検索でき、出力することができる。なお、検索の際に、議事録データのメタデータ部に含まれる電子黒板IDを用いるものとしても良い。
図14は、ネットワークコンピュータ300において議事録データを表示閲覧し、また、プリンタ出力要求を行う場合の手順を示したシーケンス図である。ステップ[1]〜[5]では、図13で説明したプリンタ400と電子黒板100の議事録サーバ122とが行った手順とほぼ同じ手順をネットワークコンピュータ300と電子黒板100のウェブサーバ123とが行う。その際、ネットワークコンピュータ300はウェブサーバ123にブラウザソフトウェアを介してアクセスを行う。
なお、ステップ[3]〜ステップ[5]における議事録データとは、表示用議事録データ(HTMLデータ)である。また、ステップ[5]において、ネットワークコンピュータ300は、電子黒板100から出力用議事録データ(XHTML−Printデータ)が格納されている場所を示す位置情報であるであるURL(Uniform Resource Locator)を同時に取得する。以後このURLを「出力データURL」と呼ぶ。この出力データURLは、表示用議事録データに含まれているものとしても良い。
ステップ[6]では、ネットワークコンピュータ300が受信した表示用議事録データがブラウザソフトウェアによって表示される。このように利用者は、ネットワークに接続するパーソナルコンピュータ上で任意に議事録データを閲覧することができる。
次に、利用者は議事録の内容を確認したのち、プリンタ400からの出力を行う。ステップ[7]〜ステップ[8]では、ネットワークコンピュータ300がプリンタ400に対してM−Searchを行い、プリンタ400を検出する。ステップ[9]では、ネットワークコンピュータ300からプリンタ400に対して当該議事録データの印刷指示を行う。具体的には、プリンタ400に対して、印刷を指示するメッセージとともに、ステップ[5]で表示用議事録データとともに取得した出力データURLを送信する。すると、プリンタ400は、電子黒板100の議事録サーバ122に対して出力データURLが示す出力用議事録データ(XHTML−Printデータ)を要求し、議事録サーバ122は当該データを送信する(ステップ[10]〜ステップ[11])。ステップ[12]では、プリンタ400は、議事録データのXHTML−Printスクリプトを解釈して出力を行う。
この電子黒板100を用いたネットワークシステム10によれば、ネットワークコンピュータ300にプリンタ400のドライバソフトなどが無い場合でもプリンタ400から出力することができる。また、ネットワークコンピュータ300の基本ソフト(OS;Operating System)の種類に関わらず所定のレイアウトでの議事録が得られる。
このように、このネットワークシステム10では、電子黒板100が、板書内容とそれに付随するデータのスクリプトファイルを生成する機能と、クライアントの要求に応じて当該データを配信するコンテンツサーバとしての機能とを有している。このような構成によって、このネットワークシステム10を利用するユーザは、電子黒板100で生成されたデータをネットワークに接続する機器から自由にアクセスすることが可能である。即ち、この電子黒板100を用いれば、容易にシームレスなネットワーク環境を構築することができる。
C.第2実施例:
図15は、本発明の第2実施例としてのネットワークシステムを示す概略図である。このネットワークシステム10Aでは、電子黒板100Aのためのネットワークサーバ120が会議室20以外の部署に設置されている点以外は、図1のネットワークシステム10とほぼ同じである。このような構成としても第1実施例と同様の処理を行うことができる。
ネットワークサーバ120を会議室20の外に設置しておくことによって、会議室20を使用していないときなどに電子黒板100Aのデバイスユニット110の電源を落としていても、ネットワークサーバ120が起動していれば、ネットワークシステム10Aの利用者は、ネットワークサーバ120にアクセスすることができる。従って、よりシームレスなネットワーク環境を構築することができる。
なお、1つのネットワークサーバ120が、複数の電子黒板100Aに関する各種の処理(予約、議事録作成、コンテンツ配信等)を行うものとしても良い。その場合は、ネットワークサーバ120による議事録データ及び予約データの一元管理が可能となる。
D.第3実施例:
図16は、本発明の第3実施例として会議中における議事録生成処理の手順を示したシーケンス図である。図16は、ステップ[14]からステップ[18]において議事録データに対する追記処理(後述)が行われている点以外は図5とほぼ同じである。また、本実施例におけるシステム構成は第1実施例(図1)と同じである。なお、本実施例のシステム構成は、第2実施例(図16)と同じであるとしても良い。
本実施例での会議中の議事録生成手順のうち、ステップ[1]からステップ[7]は図5で説明した第1実施例のステップ[1]からステップ[7]と同様に行われる。図17は、ステップ[7]で表示されるブラウザソフトウェアの表示画面例である。図17の表示画面MS2aは、入力欄IPが設けられている点以外は、図8(B)の表示画面MS2と同じである。会議ユーザMUは、入力欄IPに対してキーボードを介して任意に入力を行うことができる。
ステップ[8]からステップ[13]では、図5で説明した第1実施例のステップ[8]からステップ[13]と同様に行われる。ステップ[14]では、会議ユーザMUは会議室コンピュータ200に対して議事録データに追加したい内容を入力欄IPに入力する。ステップ[15]では、会議室コンピュータ200から電子黒板100に入力欄IPに入力された追記データが送信される。具体的には、会議ユーザMUは、入力欄IPに設けられた追記ボタンPBをクリックすることによって、ブラウザソフトウェアに追記データの送信指示をする。
ステップ[16]では、電子黒板100の議事録サーバ122が、議事録データに対して追記データを挿入して更新処理を行う。具体的には次のように行う。
図18は、ステップ[16]での議事録データ更新処理を説明するための説明図である。議事録サーバ122は、表示用議事録データ及び出力用議事録データのボディ部SC4に対して会議室コンピュータ200から送信されてきた追記データPD(破線で図示)を挿入する。なお、追記データPDの挿入される場所は議事録のレイアウトによって決定される。また、追記データPDをメタデータ部SC2で定義される属性値として挿入するものとしても良い。このようにすれば、会議終了後に追記データPDが含む内容によって議事録データを検索することができる。
ステップ[17]では、更新された議事録データのうち表示用議事録データが電子黒板100から会議室コンピュータ200に対して送信される。ステップ[18]では、送信された表示用議事録データを会議室コンピュータ200のブラウザソフトウェアが表示する。
図19は、上記の追記処理がなされた後の会議室コンピュータのブラウザソフトウェアの表示画面例である。図19の表示画面MS3aは、図17の表示画面MS2aに対して追記データPDが、板書画像BI1の上に追加されている。このように議事録サーバ122によって、議事録データに対する追記処理を実現することができる。議事録サーバ122によって、議事録データの編集処理が行えるものとしても良い。
E.第4実施例:
e1)システム概要:
図20は、本発明の第4実施例としてのネットワークシステムを示す概略図である。このネットワークシステム10Bでは、ネットワークに接続されたプロジェクタ500が会議室20に設置されている点以外は、図1のネットワークシステム10と同じである。
プロジェクタ500は、電子黒板100のボード部114にJPEG形式等の画像データを解釈して任意の倍率で画像を投影することができる。本実施例では、プロジェクタ500は、電子黒板100に対して設置位置が固定されているものとする。あるいは、電子黒板100とプロジェクタ500とは、会議室20の定位置に設置されており、その配置は変更されないものとしても良い。
なお、本明細書中では、プロジェクタ500がボード部114に投影を行っている場合において、ボード部114上に投影された画像の位置を「投影位置」と呼ぶ。また、ボード部114上に投影されている画像の大きさを「投影サイズ」と呼び、投影サイズと画像データの画素数との比率を「投影倍率」と呼ぶ。
図21(A)、(B)は、プロジェクタ500と電子黒板100との連携動作を説明するための説明図である。図21(A)は、プロジェクタ500が電子黒板100のボード部114に画像PI1を投影している状態を示している。電子黒板100は、プロジェクタ500を操作することができるデバイスドライバ(以後「プロジェクタドライバ」と呼ぶ)を有しおり、ネットワークに接続する外部のコンピュータから電子黒板100を介してプロジェクタ500の操作を行うことができる。
例えば、電子黒板100のネットワークサーバ120にファイル名”prj_img1.jpg”としてJPEG形式で保存されている画像PI1を想定する。ユーザがネットワークに接続するコンピュータから電子黒板100に画像PIの投影指示をすると、電子黒板100のプロジェクタドライバは、プロジェクタ500に投影要求とともに画像PI1の画像データを送信する。画像データを受け取るとプロジェクタ500は画像PI1を電子黒板100のボード部114に投影する。
また、ユーザはネットワーク上のコンピュータを介してプロジェクタ500の操作を行い、投影画像の拡大・縮小や投影位置の移動などを行うことができる。具体的には、第1実施例において説明した議事録生成ページにプロジェクタ500を操作するためのインターフェースがボタン表示などで設けられており、これによってユーザがプロジェクタ500を操作するものとしても良い。このようにすれば、ユーザは後述する議事録生成処理時に会議室コンピュータ200のブラウザソフトウェアからプロジェクタ500の操作を行うことができる。
なお、上記のようなプロジェクタ500の操作が行われた場合、プロジェクタドライバは、電子黒板100の議事録サーバ121に投影画像の拡大・縮小倍率や移動距離などの操作内容の情報を含むプロジェクタ操作情報を渡す。なお、ユーザが会議室コンピュータ200を介することなく、プロジェクタ500を直接的に操作した場合には、プロジェクタ500から電子黒板100に対してプロジェクタ操作情報が送信されるものとしても良い。
図21(B)では、筆記具WEによってボード部114に書き込みがなされ、スキャナ部112によって板書画像のスキャニング処理が行われた場合を示している。スキャナ部112はボード部114を図に示す矢印方向に走査する。その際、ボード部114のスキャニング対象となっている領域には投影画像PI1が映り込まない。そのためスキャナ部112は、投影画像PI1を含まないボード部114に書き込まれた内容のみの板書画像BI3を取得することができる。
電子黒板100は、板書画像BI3の画像データを生成し、任意のファイル名を付されてネットワークサーバ121内に保存する。例えば本実施例では、板書画像BI3は、ファイル名”boad_img3.jpg”のJPEG形式の画像データとして保存されるものとする。結果として電子黒板100は、投影画像と板書画像の2種類の画像データを有することになる。
上述したように本実施例では、プロジェクタ500は、電子黒板100に対して位置が固定されて設置されている。するとプロジェクタ500は、起動時の初期設定の状態(デフォルトの状態)では常に同じ投影位置及び投影倍率で投影するように設定できる。このデフォルトの状態における投影位置を「基準投影位置」と呼び、投影倍率を「基準投影倍率」と呼ぶ。
例えば、基準投影位置がボード部114の中心と投影画像の中心とが一致するように設定され、基準投影倍率が1ピクセルを0.25mmで投影するように設定されている場合を想定する。すると横4000ピクセル×縦3000ピクセルの画像データを投影した場合に、プロジェクタ500はデフォルトの状態でボード部114の中央に横100cm×横75cmのサイズで投影を行う。
このような構成とすることによって以下のような利点がある。プロジェクタ500がデフォルト状態で投影をおこなった後に、ユーザが拡大・縮小及び移動の操作を行い投影サイズ及び投影位置が変更された場合を想定する。こうした場合に、基準投影位置及び基準投影倍率が設定されていれば、上述したプロジェクタ操作情報を用いて変更後の投影画像の表示状態を演算によって求めることができる。従って、電子黒板100のボード部114上に投影されている状態の投影画像を再現した画像データを生成することができる。以後、この処理を「投影再現画像生成処理」と呼び、投影再現画像生成処理によって生成された画像を「投影再現画像」と呼ぶ。
図22(A)〜(B)は、投影再現画像生成処理を説明するための説明図である。図22(A)は、ボード部114に原投影画像PI0が電子黒板100のボード部114に基準投影位置に基準投影倍率で投影された状態を示している。なお、電子黒板100のボード部114以外の部位は図示が省略されている。原投影画像PI0はボード部114のサイズより小さく、アスペクト比(縦横比率)も異なる。そのため、ボード部114には、画像の投影されていない領域である非投影領域NPが存在する。
図22(B)は、ユーザによってプロジェクタ500に投影画像の拡大操作及び移動操作がされた後の投影状態を示している。原投影画像PI0には、ボード部114に収まらない外投影領域OP(ハッチングされた領域)が生じている。また、ボード部114には、投影状態が変更された後にも非投影領域NPがある。
図22(C)は、投影再現画像生成処理が行われて生成された投影再現画像PI1を示している。投影再現画像PI1は、原投影画像PI0の外投影領域OPが削除され、ボード部114の非投影領域NPが追加されることによって、ボード部114と同じアスペクト比を有するサイズの画像データとして新たに生成される。具体的には、電子黒板100の議事録サーバ122が、外投影領域OP及び非投影領域NPの各辺の長さを、基準投影位置からの移動距離と基準投影倍率からの拡大率とボード部114の各辺の長さとから算出し、その結果を用いて生成する。このように、投影再現画像を生成することによって後述する議事録生成処理において板書画像と投影画像の重ね合わせを容易に行うことができる。
e2)予約実行処理:
本実施例における予約実行処理は、第1実施例における予約実行処理とほぼ同様に行われる。ただし、予約実行処理によって生成される予約XMLは、第1実施例において説明した図4の予約XMLのうち、ヘッダー部SC1と、メタデータ部SC2と、ボディ部SC4とが同じであるが、スタイル設定部SC3のみが異なる。
図23は、本実施例において生成される予約XMLのうちスタイル設定部SC3aのみを示している。スタイル設定部SC3aは、次に説明する点以外は図4に示された予約XMLに含まれるスタイル設定部SC3と同じである。
スタイル設定部SC3aは、投影画像のレイアウト設定が記述された投影画像レイアウト部PLと、板書画像のレイアウト設定が記述された板書画像レイアウト部BLとを有している。第1実施例の議事録データでは、1ページに1枚の板書画像がレイアウトされていたが、本実施例において生成される議事録データでは、スタイル設定部SC3aが2つの画像レイアウト部PL、BLを有することにより、同一ページ内に2枚の画像データをレイアウトすることができる。なお、このスタイル設定部SC3aでは、2枚の画像データは、同一座標に同一サイズで重なり合って配置されるように設定されている。
e3)会議中実行処理:
図24は、本実施例における会議中の議事録生成処理の手順を示したシーケンス図である。図24は、プロジェクタ500の投影処理に関する手順が加わっている点以外はほぼ第1実施例の図5と同じである。以下にその相違点について説明する。
本実施例における議事録生成手順のうち、ステップ[0]からステップ[4]は、第1実施例と同様に行われる。ステップ[5]では、電子黒板100から、プロジェクタ500によって投影すべき画像データが要求される。会議ユーザMUは、会議室コンピュータ200を介して電子黒板100に投影用画像データを送信する(ステップ[6]、ステップ[7])。投影用画像データが既にネットワーク上に保存されているなら、当該データのURLを電子黒板100に通知するものとしても良い。
ステップ[8]では、電子黒板100のプロジェクタドライバがプロジェクタ500に投影用画像データを送信する。ステップ[9]では、プロジェクタ500が、電子黒板100のボード部114の基準投影位置に基準投影倍率で投影用画像を表示する。
次に会議ユーザMUは、所望の投影状態となるようにプロジェクタ500を操作する(ステップ[9])。会議ユーザMUの操作指示は、会議室コンピュータ200から電子黒板100のプロジェクタドライバに送信され(ステップ[10])、プロジェクタドライバはプロジェクタ500の操作を行う(ステップ[11])。プロジェクタ500は、投影状態を操作に応じて変更する(ステップ[12])。
所望の投影状態を得られたなら、会議ユーザMUは電子黒板100に投影状態決定を通知する(ステップ[13])。具体的には、会議室コンピュータ200に表示されている議事録生成ページに設けられた決定ボタンをクリックするものとしても良い。会議室コンピュータ200から投影状態決定を通知されると(ステップ[14])、電子黒板100は、投影再現画像生成処理を行う(ステップ[15])。投影再現画像生成処理で生成された投影再現画像の画像データは、適当なファイル名が付されてJPEG形式でネットワークサーバ120内に保存される。なお、データ形式はJPEG形式でなくとも良い。
ステップ[16]では、ステップ[4]で検索した予約XMLから議事録フォーマットデータを生成する。本実施例においても第1実施例と同様に予約XMLを基に議事録フォーマットデータをスクリプトファイルとして生成するが、以下の点で第1実施例とは異なる。
図25(A)は、議事録フォーマットデータ生成処理を説明するための説明図である。本実施例の議事録フォーマットデータは、予約XMLのメタデータ部SC2を、第1実施例の図7(A)と同様に更新し、ボディ部SC4を図24(A)で示すように更新する。即ち、メタデータ部SC2はメタデータ部SC2aとなり、ボディ部SC4は、追加事項AC6が挿入されてボディ部SC4dとなる。追加事項AC6には、予約XMLの予約情報と投影再現画像の画像データを参照するためのリンク情報とが含まれている。本実施例では、投影再現画像として図21の説明で用いた投影画像PI1の画像データ(ファイル名”prj_img1.jpg”)を参照している。
なお、本実施例でも第1実施例と同様に、表示用議事録データをHTMLとして生成し、出力用議事録データをXHTML−Printデータとして生成されるものとする。その生成方法は第1実施例と同様である。ステップ[17]では、表示用議事録フォーマットデータとその参照画像(投影再現画像PI1)とが会議室コンピュータ200に送信される。ステップ[18]では、会議室コンピュータ200がブラウザソフトウェアで表示用議事録フォーマットデータを表示する。
図25(B)は、ブラウザソフトウェアによる表示用議事録フォーマットデータの表示画面例である。この表示画面MS2bは、第1実施例の表示用議事録フォーマットデータの表示画面MS2(図8(B))と同じく、会議情報が表示されており、その下には投影再現画像PI1が追加表示されている。
その後、会議が進行して板書が行われ(ステップ[19])、電子黒板100に対して板書のスキャン命令がなされる(ステップ[20])。本実施例では、図21(B)の説明において例示した板書がなされたものとする。電子黒板100は、板書のスキャニング処理を実行して板書画像BI3を取得する(ステップ[21])。板書画像BI3は、電子黒板100のネットワークサーバ120内にJPEG形式でファイル名”boad_img3.jpg”の板書画像データとして保存される。
なお、この板書画像BI3の板書画像データは、ボード部114の地色(ホワイトボードであれば白色。以後「背景色」と呼ぶ。)と同一色の領域の画素に関しては、その画像データのアルファチャンネルのアルファ値を0とするように生成される。また、書き込み部分の画素では、アルファ値は1.0となる。ここで、「アルファチャンネル」とは、コンピュータが扱うデジタル画像データにおいて、各点(ドット)に設定された透過度を示す情報を保存するデータ領域のことをいう。例えば、アルファ値α=0は完全透過を示し、アルファ値α=1.0は完全不透過を示す。即ち、板書画像データは、書き込みがなされていない部分は透明色として解釈される。
ステップ[21]では、さらに、電子黒板100は、議事録フォーマットデータを更新する。図26(A)は、議事録フォーマットデータの更新処理を説明するための説明図である。議事録フォーマットデータのボディ部SC4dは、板書画像BI3の画像データを参照するための追加事項AC7が追加され、また、第1実施例と同様にフッターの追加を記述した追加事項AC3が追加されてボディ部SC4eとなる。
ステップ[22]では、会議ユーザMUが、会議室コンピュータ200のブラウザソフトウェアから表示ページの更新要求を行う。電子黒板100の議事録サーバ122は、更新された議事録データのうち、表示用議事録データが板書画像データとともに送信する(ステップ[23])。会議室コンピュータ200は、ブラウザソフトウェアによって受け取った議事録データを表示する(ステップ[24])。
図26(B)は、更新された表示用議事録データの表示画面例である。表示画像MS3bは、図25(B)の表示画面MS2bの投影画像PI1と同じ場所に板書画像BI3が同じサイズで重ねて表示されている。なお、本実施例では上述したように板書画像BI3にアルファチャンネルが設定されているため、板書画像BI3の背景色が透過されてその領域に投影画像PI1が表示される。また、表示画面MS3bにはフッターFTが追加されている。この議事録データの出力用議事録データをXHTML−Print対応プリンタから出力すると、枠線FLを用紙の縁としたA4サイズ1ページ分の出力結果が得られる。
なお、会議終了時に行うステップ[25]〜ステップ[27]の処理手順も、第1実施例において説明した図5のステップ[14]〜ステップ[16]の処理手順と同様に行われる。
e4)議事録出力処理:
議事録出力処理は、第1実施例と同様に行うことができる。ただし、議事録出力処理においてネットワークサーバ120から配信される議事録データには投影用画像データ(投影再現画像の画像データを含む)が含まれている。
このように、本実施例の構成によれば、電子黒板100とプロジェクタ500とを連携動作させることができ、投影画像を議事録に反映させることができる。また、議事録データをHTMLデータやXHTML−Printデータなどのマークアップ言語で記述されたスクリプトファイルによって生成しているので画像の重ね合わせ処理を容易に行うことができる。
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、議事録サーバ122の機能の一部を制御部111が実行するようにすることもできる。
F1.変形例1:
上記実施例において、電子黒板100は、議事録データとしてXHTML−PrintデータやHTMLデータといったマークアップ言語によってスクリプトファイルを生成していたが、マークアップ言語ではない他の種類のスクリプトファイルを生成するものとしても良い。また、議事録データとして表示用議事録データと出力用議事録データを生成していたが、いずれか少なくとも一方のみを生成するものとしても良い。ただし、上記実施例において示したように、予約データや議事録データをXMLデータやXHTML−Printデータ及びHTMLデータなどを用いて生成することによって、これらのデータを容易に生成又は更新することができる。
F2.変形例2:
上記実施例において、電子黒板100のネットワークサーバ120へのアクセスをネットワークに接続するコンピュータのブラウザソフトウェアによって行っていたが、他のアプリケーションプログラムによって行うものとしても良い。例えば、電子黒板100の専用のアプリケーションプログラムによって行うものとしても良い。その場合は、上記実施例における予約実行処理の全部又はその一部及び議事録生成処理のスクリプトファイル生成処理以外の処理をそのアプリケーションプログラム上で行うことができる。
F3.変形例3:
上記実施例において、議事録サーバ122は議事録フォーマットデータを生成していたが、議事録フォーマットデータを生成しなくとも良い。また、議事録データは、議事録フォーマットデータから板書内容のスキャニングを行うたびに議事録サーバ122が更新処理を行うことによって生成していたが、他のタイミングで行っても良い。例えば、会議を終了するときに議事録データが生成されるものとしても良い。
F4.変形例4:
上記実施例において、電子黒板100及びその他のネットワークに接続する機器はUPnPに対応していたが、UPnPに対応していなくとも良い。UPnP以外の技術によってネットワーク型プラグアンドプレイを実現しているものとしても良いし、UPnPの将来のバージョンを適用するものとしても良い。例えばDLNAに対応しているものとしても良い。
F5.変形例5:
上記実施例において、会議中に会議ユーザMUは、会議室コンピュータ200を介して電子黒板100にアクセスしていたが、電子黒板100に直接的に会議開始の告知やその他の処理要求を行えるものとしても良い。その場合は、電子黒板100には、例えば表示部やタッチパネル又はキーボードといったインターフェースが設けられていることが好ましい。
F6.変形例6:
第4実施例において、プロジェクタ500の電子黒板100に対する位置が固定されていたが、固定されていなくとも良い。この場合は、投影を開始する前に、基準投影位置及び基準投影倍率の設定を行う位置決め処理を行うことが好ましい。具体的には、以下の手順で行うことができる。ボード部114の縦方向のサイズと横方向のサイズとの比率(アスペクト比)と縦方向のピクセル数と横方向のピクセル数との比率とが同じである標準画像を準備しておき、当該標準画像をボード部114と完全に重なり合うように投影する。この状態でユーザが電子黒板100に通知することによって、電子黒板100に現在の投影位置及び投影倍率を基準投影位置及び基準投影倍率として設定させる。電子黒板100または会議室コンピュータ200は、この処理のためのアプリケーションプログラムを有しているものとしても良い。
F7.変形例7:
第4実施例において、プロジェクタ500は、電子黒板100と分離して電子黒板100の前方から投影していたが、電子黒板100と一体となってボード部114の背面から投影するリアプロジェクションとしても良い。このような構成とすれば、基準投影位置及び基準投影倍率をより正確に設定しておくことができる。なお、この場合は、板書のスキャニング処理の際にはプロジェクタによる投影は一時的に中断することが好ましい。
F8.変形例8:
第4実施例において、板書画像と投影画像の重ね合わせを議事録データのスクリプトを更新することによって実現していたが、板書画像と投影画像とが重ね合わされた別の新規の画像データが生成されるものとしても良い。この場合は、議事録データには当該新規の画像データのみが参照されているものとしても良い。
F9.変形例9:
第4実施例において、議事録サーバ122は投影再現画像を生成していたが、投影再現画像を生成しなくとも良い。この場合には、議事録データの更新処理において、投影画像が投影再現画像と同様に表示・出力されるようにスタイル設定部SC3aの投影画像レイアウト部PLのスクリプトを更新するものとしても良い。
F10.変形例10:
第4実施例において、投影用画像データは、図24のステップ[7]で会議室コンピュータ200から電子黒板100に送信されているが、当該データが使用される会議の予約データに参照されてネットワークサーバ120に保存されているものとしても良い。この場合は、ステップ[4]において、予約XMLとともに投影用画像データも検索されるものとしても良い。
F11.変形例11:
上記実施例において、議事録データとリンクする板書の画像データをネットワークサーバ120に保存していたが、さらに会議中に録音機器によって録音された録音データを議事録データにリンクさせてネットワークサーバ120に保存するものとしても良い。
F12.変形例12:
上記実施例において、議事録データに対してセキュリティ対策はなされていないが、例えば議事録データにはID番号などによる利用者の認証がなされなければクライアント装置に配信されないなどのセキュリティ対策がされるものとしても良い。
F13.変形例13:
上記実施例において、電子黒板100は会議室に設置され、議事録データの生成には予約XMLに含まれた会議予約情報が利用されていたが、電子黒板100は会議室以外の部屋に設置されているものとしても良く、議事録データには予約情報以外の当該部屋の利用情報が利用されるものとしても良い。また、部屋の利用情報は、議事録生成時に会議ユーザMUによって会議室コンピュータへ入力されることによって取得するものとしても良い。なお、本明細書中において、「部屋の利用情報」とは、少なくとも、その部屋が利用されている日付や時刻と、利用目的とが含まれているものとする。