JP2008098622A - レーザー照射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体レーザーロッド;前記固体レーザーロッドのレーザー光の出射軸に対して垂直な断面において、前記出射軸を囲むように形成された励起光源;ならびに前記励起光源を包み込み、前記励起光源からの光を前記固体レーザーロッドに集光するように配置した鏡筒とを有するレーザー照射装置に関する。鏡筒内面で反射した励起光が、ロッド側面に均一に照射するのでレーザー活性物質が効率的に励起され、エネルギー変換効率が高まる。
【選択図】図7
Description
レーザーロッドは、固体レーザーのレーザー媒質(レーザー発振のもとになる物質)である。レーザーロッドとは、ロッド状の母材に、レーザー活性種となる希土類イオンまたは遷移金属イオンがドープされたものをいう。母材は、各種の結晶またはガラス固体などである。ドープするレーザー活性種の例には、エルビウムEr、ネオジウムNd、またはホロニウムHoなどのイオンが含まれる。固体レーザーの例には、ルビーレーザー、ガラスレーザー、YAGレーザーなどが含まれる。
また、セラミックスからなるレーザーロッドは、粉体の材料を型に詰め込んで圧力をかけて成型した後、セラミックスとして焼結させる。焼結の温度は、例えばYAGであれば1750℃程度である。焼結の際に、内部の気泡を適切に排除することで、適当なレーザーロッドを作製することができる。
本発明のレーザー発射装置に配置される励起光源は、固体レーザーロッドを囲むようにして配置される。好ましくは、固体レーザーロッドのレーザー光の出射軸に沿って、その出射軸を中心に囲むようにして、励起光源が配置される。したがって、固体レーザーロッドの出射軸に垂直な断面において、励起光源は前記出射軸を囲むように(好ましくは、出射軸を中心にして囲むように)配置されている。
本発明のレーザー発射装置に配置される鏡筒は、その内部に励起光源を包み込む。鏡筒の内面は、励起光源からの光を反射する。鏡筒の内面で反射した光が、レーザーロッドに集光するようにする。
共有する焦点、および2個の楕円それぞれのもう一方の焦点(共有されない焦点)は、直線状に配置されていることが好ましい。また、重ねられる2個の楕円は、互いに同一の形状であることが好ましい。
本発明のレーザー発射装置は、固体レーザーロッドから発振されたレーザーが増幅されるように、出射軸に沿った固体レーザーロッドの前後に、反射鏡を設けることが好ましい。出射方向後方に配置された反射鏡の反射率が99.5%以上のほぼ全反射鏡にするとともに、出射方向前方に配置された反射鏡の反射率を80〜95%に調整することにより、増幅されたレーザー光が出射方向前方の反射鏡を通過してでてくる。反射率が99.5%以上のほぼ全反射鏡は、例えば、保護膜付きアルミニウムのミラーコーティング、または低吸収誘電体多層膜コート面である。一方、反射率が80〜95%の反射鏡は、例えば、低吸収誘電体多層膜コート面である。
固体レーザーロッドの前および後ろのいずれか一方の端面だけが反射膜で被膜されていてもよく、両方の端面が反射膜で被膜されていてもよい。
本発明のレーザー発射装置は、固体レーザーロッドから出射されたレーザー光を、所定の位置に集光するための集光レンズを有していることが好ましい。集光レンズは、サファイアガラス、ホウ珪酸ガラス、または出射されたレーザーを劣化させることなく透過させて集光できるのであれば、フッ化カルシウムなどのフッ化物で形成されてもよい。
本発明のレーザー照射装置は任意の用途に適用されうる。例えば、従来のように金属などの加工を行うために使用されてもよい。その場合には、連続したレーザー照射が必要となるので、発熱による熱レンズ効果が起こることがある。熱レンズ効果とは、レーザーロッドの屈折率が温度によって変化することにより、レーザー光が屈折してビーム品質を劣化させる効果をいう。これは、レーザー発振時において、一般的にロッドを形成する結晶の中心温度が高くなるためで、ロッドの中心部の屈折率は高く、周辺部の屈折率は低くなり、ロッドがレンズのように作用してレーザー光が広がることである。このような熱レンズ効果を抑制するため、ファンやその他の冷却用部材をさらに設けることが好ましい。
また、人体から出血させるためのレーザー照射装置は、金属加工に使用されるレーザー照射装置ほどのパワーは必要とされないため、小さい印加電圧で効率よくレーザーを照射できる。
[実施の形態1]
実施の形態1のレーザー照射装置1が、図2〜図4に示される。図2は、実施の形態1のレーザー照射装置11の側面図であり;図3は、図1の鏡筒12のII−II面の横断面図であり;図4は、図2の内部構造を示すための縦断面図(レーザーロッドの出射軸を含む断面)である。
また、図3に示されるように、レーザーロッド13を取り囲むようにフラッシュランプ14が配置されている。つまり、レーザーロッド13の出射軸に沿って、出射軸をフラッシュランプ14が囲んでいる。
レーザーロッド13の形状を円柱としたが、他の形状でもかまわない。円柱の側面は励起光が反射しない程度に粗面化されている。レーザーロッド13は、直径6mm、長さ10mmの円柱としたが、その寸法は前述の通り任意に設定すればよい。図3に示される19は、レーザーロッドの電源コネクタである。
鏡筒12の内面は反射鏡とされており、反射鏡はアルミニウムに銀をコーティングしたタイプ、アルミニウムを高輝度にしたタイプまたはガラス他に銀をコーティングしたタイプなどのいずれでもよい。もちろん、レーザー照射装置11の鏡筒12の形状は、フラッシュランプ14で発光した光が鏡筒12の内面で反射されてレーザーロッド13に集光照射されるのであれば、図示の形状に限定されず、円または曲率を持った他の形状でもかまわない。
フラッシュランプ14に、約5〜10kVの電圧を瞬間的にトリガー電圧として印加すると、スパークコイルが昇圧して、封入されたキセノンガスがイオン化される。その後、約700Vの電圧を印加すると、電気が流れてキセノンガスが放電されて発光する。
その結果、反射鏡15および反射鏡16(出力ミラー)によりレーザーロッド13から発振したレーザー光が増幅され、増幅されたレーザー光が反射鏡16を通過して、レーザーが出力される。
フラッシュランプ内の電極間の電圧印加時間を200μsec〜2msecとして、パルス発光させる。実施の形態1のレーザー照射装置11のレーザーロッド13は、Erを50%ドープしたEr:YAGであるため、発光した励起光はレーザーロッド13に取り込まれる。これにより励起したEr分子が安定状態に戻るときの発光が、反射鏡15と反射鏡16の間で誘導放出により増幅されて、その一部が反射鏡16を通過して、図4における矢印の方向に放出する。
その結果、実施の形態1のレーザー照射装置11から、波長2.94μmのレーザー光が出射する。出射したレーザーは、焦点距離25mmのレンズ17によって、砲筒18の先端から25mm離れた位置に集光することができる。
実施の形態2のレーザー照射装置21が、図5〜8に示される。レーザー照射装置21は、実施の形態1のレーザー照射装置11と、鏡筒の形状が異なる。以下、その異なる構成を中心に、レーザー照射装置21を説明する。
図5はレーザー照射装置21の側面図であり、図6は鏡筒22のV−V面の横断面図であり、図7はレーザー照射装置21の内部構造を説明するための縦断面図(レーザーロッドの出射軸を含む断面)であり、図8はレーザー照射装置21の外観斜視図である。
フラッシュランプ24からの発光は、レーザーロッド23に直接照射される場合と、鏡筒22の内面で反射してレーザーロッド23に照射される場合とが考えられる。図7に示されるように配置されたフラッシュランプ24からの発光は、鏡筒22の内面で反射されると、前記共有した焦点にあるレーザーロッド23に集中する。そのため、フラッシュランプ24の励起光によって、レーザーロッド23のレーザー活性種を効率よく励起させることができる。また、従来の装置に比べて、レーザーロッド23の側面全域にフラッシュランプ24の光が均一照射されるため、レーザーロッド23を励起する効率を上げることができ、ロッド全体での励起バラツキを抑えることができる。
実施の形態3のレーザー照射装置について説明する。実施の形態3のレーザー照射装置は、実施の形態1および2のレーサー照射装置11および21と、フラッシュランプの形状が相違する。
図9は、実施の形態1における図3および実施の形態2における図6に対応する、レーザー照射装置の鏡筒の横断面図である。図9AではC型形状のフラッシュランプ34Aが;図9BではU型形状のフラッシュランプ34Bが;図9Cでは2つの円弧形状のフラッシュランプ34Cが、レーザーロッド(33A〜33C)を囲むように配置されている。
次に、実施の形態4のレーザー照射装置について説明する。実施の形態4のレーザー照射装置は、実施の形態1および2のレーザー照射装置11および21と、レーザーロッドの形状が異なる。図10および図11は、実施の形態4のレーザー照射装置のレーザーロッドの例を示す。図10に示されるレーザーロッドは円柱であるが、その側面が膨らんでいる。図10Aはロッド端面43Aを示し、図10Bはロッド側面43Bを示す。一方、図11に示されるレーザーロッドも円柱であるが、その側面がへこんでいる。図11Aはロッド端面53Aを示し、図11Bはロッド側面53Bを示す。ロッドの側面は、一体の面としてなめらかに膨らんでいるか、へこんでいることが好ましい。
2 レーザーロッド
3 反射鏡
4 反射鏡
5 フラッシュランプ
6 鏡筒
7 集光レンズ
8 電源
11 レーザー照射装置
12 鏡筒
13 レーザーロッド
14 フラッシュランプ
15 反射鏡
16 反射鏡
17 集光レンズ
18 砲筒
19 電源コネクタ
21 レーザー照射装置
22 鏡筒
23 レーザーロッド
24 フラッシュランプ
25 反射鏡
26 反射鏡
27 集光レンズ
28 砲筒
29 電源コネクタ
32A〜32C 鏡筒
33A〜33C レーザーロッド
34A〜34C フラッシュランプ
43A レーザーロッドの端面
43B レーザーロッドの側面
53A レーザーロッドの端面
53B レーザーロッドの側面
Claims (13)
- 固体レーザーロッドと、
前記固体レーザーロッドのレーザー光の出射軸に対して垂直な断面において、前記出射軸を囲むように形成された励起光源と、
前記励起光源を包み込み、前記励起光源からの光を前記固体レーザーロッドに集光するように配置した鏡筒と、
を有するレーザー照射装置。 - 前記鏡筒の、前記出射軸を含む全ての断面は、2個の楕円を重ねた形状をしており、かつ前記2個の楕円は、各楕円が有する2つの焦点のうち、互いに一方の焦点を共有しており、
前記固体レーザーロッドの出射軸線が、前記共有した焦点を通り、
前記励起光源は、前記鏡筒体内であって、前記他方の焦点の軌跡に沿って配置された、請求項1に記載のレーザー照射装置。 - 前記固体レーザーロッドの出射側の出射軸に沿って、集光レンズを有する砲筒が配置された、請求項1に記載のレーザー照射装置。
- 前記励起光源がフラッシュランプであり、
前記フラッシュランプの、前記出射軸に対して垂直な断面は、出射軸を中心とする環状である、請求項1に記載のレーザー照射装置。 - 前記励起光源がフラッシュランプであり、
前記フラッシュランプの、前記出射軸に対して垂直な断面は、出射軸を囲むC字状またはU字状である、請求項1に記載のレーザー照射装置。 - 前記励起光源が2以上のフラッシュランプであり、
前記フラッシュランプの、前記出射軸に対して垂直な断面は、出射軸を囲む2以上の円弧状である、請求項1に記載のレーザー照射装置。 - 前記固体レーザーロッドは柱状であり、その柱状側面が一体の面としてなめらかに膨らんでいるか、または一体の面としてなめらかにへこんでいる、請求項1に記載のレーザー照射装置。
- 前記固体レーザーロッドがYAG単結晶である、請求項1に記載のレーザー照射装置。
- 前記固体レーザーロッドがYAGセラミックスである、請求項1に記載のレーザー照射装置。
- 前記固体レーザーロッドの出射軸に沿った前後それぞれに、反射鏡が設けられた、請求項1に記載のレーザー照射装置。
- 前記固体レーザーロッドの両端面に、反射膜がコーティングされた、請求項1に記載のレーザー照射装置。
- 前記固体レーザーロッドの一方の端面に反射膜がコーティングされ、他方の端面に反射鏡が配置されている、請求項1に記載のレーザー照射装置。
- 前記鏡筒の内壁面が、励起光を反射する物質で構成されている、請求項1に記載のレーザー照射装置。
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