JP2008097038A - トナーおよび画像形成装置 - Google Patents
トナーおよび画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008097038A JP2008097038A JP2007330869A JP2007330869A JP2008097038A JP 2008097038 A JP2008097038 A JP 2008097038A JP 2007330869 A JP2007330869 A JP 2007330869A JP 2007330869 A JP2007330869 A JP 2007330869A JP 2008097038 A JP2008097038 A JP 2008097038A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- toner
- polyester
- block
- fixing
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Magnetic Brush Developing In Electrophotography (AREA)
- Developing Agents For Electrophotography (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明のトナーは、主としてポリエステル系樹脂で構成される。主としてポリエステル系樹脂で構成される。ポリエステル系樹脂は、ブロック共重合体で構成されたブロックポリエステルと、ブロックポリエステルより結晶性の低い非晶性ポリエステルとを含む。ブロックポリエステルは、結晶性ブロックと、結晶性ブロックより結晶性の低い非晶性ブロックとを有する。また、150℃における、トナーの0.01秒での緩和弾性率を初期緩和弾性率G(0.01)[Pa]、トナーの0.05秒での緩和弾性率をG(0.05)[Pa]としたとき、G(0.01)/G(0.05)≦10の関係を満足する。
【選択図】なし
Description
トナーを構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂が広く用いられている。ポリエステル樹脂は、最終的に得られるトナーの弾性率、帯電性等の特性を制御し易いという特徴を有している。
このようなトナーにおいては、ポリエステル樹脂を構成するジオール成分として、ビスフェノールA類のような芳香族ジオールが一般に用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このようなジオール成分で構成されたポリエステルは、摩擦係数が比較的大きく、また、機械的ストレスに弱いため、現像機内等において粒子破壊を起こし易く、帯電不良、機内汚染、定着性低下等の問題を発生する場合があった。
本発明のトナーは、樹脂と着色剤と外添剤とを含む材料で構成され、
前記樹脂は、主としてポリエステル系樹脂で構成され、
前記ポリエステル系樹脂は、主としてブロック共重合体で構成されたブロックポリエステルと、前記ブロックポリエステルより結晶性の低い非晶性ポリエステルとを含み、
前記ブロックポリエステルは、ジオール成分とジカルボン酸成分とを縮合してなる結晶性ブロックと、前記結晶性ブロックより結晶性の低い非晶性ブロックとを有するものであり、
前記外添剤は、略紡錘形状をなし平均長軸径が10〜100nmの酸化チタンを含むものであり、
150℃における、トナーの0.01秒での緩和弾性率を初期緩和弾性率G(0.01)[Pa]、トナーの0.05秒での緩和弾性率をG(0.05)[Pa]としたとき、G(0.01)/G(0.05)≦10の関係を満足することを特徴とする。
トナー中に含まれる前記酸化チタンのうち、トナー粒子から遊離したものの割合が、0.1〜5.0wt%であることが好ましい。
本発明のトナーでは、前記外添剤は、正帯電性シリカを含むものであることが好ましい。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
本発明のトナーは、ワックスとしてエステル系ワックスを含むものであり、前記ワックスの含有量が5wt%以下であることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、本発明のトナーを用いることを特徴とする。
図1は、本発明のトナーの製造に用いる混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図、図2は、ブロックポリエステルについて示差走査熱量分析を行ったときに得られる、ブロックポリエステルの融点付近での示差走査熱量分析曲線のモデル図、図3は、軟化点解析用フローチャート、図4は、トナー中に含まれるトナー粒子から遊離したルチルアナターゼ型の酸化チタンの量を測定する方法を説明するための図である。以下、図1中、左側を「基端」、右側を「先端」として説明する。
本発明のトナーは、少なくとも、主成分としての樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう)と、着色剤とを含むものである。
[構成材料]
本発明のトナーは、少なくとも、主成分としての樹脂と、着色剤とを含む原料5を用いて製造することができる。
以下、本発明のトナーの製造に用いられる原料5の各成分について説明する。
1.樹脂(バインダー樹脂)
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、主として、ポリエステル系樹脂で構成されたものである。樹脂中におけるポリエステル系樹脂の含有量は、50wt%以上であるのが好ましく、80wt%以上であるのがより好ましい。
ポリエステル系樹脂は、少なくとも、以下で説明するようなブロックポリエステルと、非晶性ポリエステルとを含むものである。このように、本発明は、ブロックポリエステルと、非晶性ポリエステルとを併用する点に特徴を有する。
ブロックポリエステルは、ジオール成分とジカルボン酸成分とを縮合してなる結晶性ブロックと、前記結晶性ブロックより結晶性の低い非晶性ブロックとを有するブロック共重合体で構成されたものである。
(1)結晶性ブロック
結晶性ブロックは、非晶性ブロックや非晶性ポリエステルに比べて、高い結晶性を有している。すなわち、分子配列構造が、非晶性ブロックや非晶性ポリエステルに比べて強固で安定したものである。このため、結晶性ブロックは、トナー全体としての強度を向上させるのに寄与する。その結果、最終的に得られるトナーは、機械的ストレスに強く、耐久性、保存性に優れたものとなる。
一方、結晶性ブロックは、上述したように、結晶性の高いものである。したがって、結晶性ブロックは、ブロックポリエステルにシャープメルト性を付与する機能を有する。このため、本発明のトナーは、後述する非晶性ポリエステルが十分に軟化するような、比較的高い温度(ブロックポリエステルの融点付近の温度)においても、優れた形状の安定性を保持することができる。したがって、本発明のトナーは、幅広い温度領域で十分な定着性(定着強度)を発揮することができる。
また、このような結晶性ブロックを、ブロックポリエステルが有しているため、本発明においては、後述する熱球形化処理を効率良く(短時間で)行うことが可能となり、最終的に得られるトナー粒子の円形度を特に優れたものにすることができる。
結晶性ブロックを構成するジオール成分としては、水酸基を2個有するものであればよいが、例えば、芳香環構造を有する芳香族ジオールや、芳香環構造を有さない脂肪族ジオール等が挙げられる。芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、また、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の環状ジオール類等が挙げられる。
結晶性ブロックを構成するジカルボン酸成分としては、2価のカルボン酸またはその誘導体(例えば、酸無水物、低級アルキルエステル等)等を用いることができ、例えば、o−フタル酸(フタル酸)、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの誘導体(例えば、無水物、低級アルキルエステル等)等が挙げられる。
なお、結晶性ブロックは、上記のようなジオール成分、ジカルボン酸成分以外の成分(例えば3価以上のアルコール成分や3価以上のカルボン酸成分等)を含むものであってもよい。
非晶性ブロックは、前述した結晶性ブロックに比べて結晶性が低い。また、後述する非晶性ポリエステルも、結晶性ブロックに比べて結晶性が低い。すなわち、非晶性ブロックは、後述する非晶性ポリエステルと同様に、結晶性ブロックに比べて結晶性が低い。
ところで、ブレンド樹脂においては、一般に、結晶性が大きく異なる樹脂同士は相溶し難く、結晶性の差が小さい樹脂同士は相溶し易い。したがって、ブロックポリエステルが非晶性ブロックを有することにより、ブロックポリエステルと、後述する非晶性ポリエステルとの相溶性(分散性)が高まる。その結果、最終的に得られるトナーにおいて、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとが、相分離(特に、マクロ相分離)するのを効果的に防止することができ、ブロックポリエステルの利点と非晶性ポリエステルの利点とを十分かつ安定的に発揮させることができる。
非晶性ブロックを構成するジオール成分としては、水酸基を2個有するものであればよいが、例えば、芳香環構造を有する芳香族ジオールや、芳香環構造を有さない脂肪族ジオール等が挙げられる。芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、また、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の環状ジオール類等が挙げられる。
このように、非晶性ブロックを構成するジオール成分は、特に限定されないが、少なくともその一部が脂肪族ジオールであるのが好ましく、その50mol%以上が脂肪族ジオールであるのがより好ましい。これにより、より靱性に優れた(耐折り曲げ性に優れた)定着画像が得られるという効果が得られる。
非晶性ブロックを構成するジカルボン酸成分としては、2価のカルボン酸またはその誘導体(例えば、酸無水物、低級アルキルエステル等)等を用いることができ、例えば、o−フタル酸(フタル酸)、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの誘導体(例えば、無水物、低級アルキルエステル等)等が挙げられる。
なお、非晶性ブロックは、上記のようなジオール成分、ジカルボン酸成分以外の成分(例えば3価以上のアルコール成分や3価以上のカルボン酸成分等)を含むものであってもよい。
ところで、前述したように、本発明で用いるブロックポリエステルは、結晶性の高い結晶性ブロックを有しているため、比較的結晶性の低い樹脂材料(例えば、後述する非晶性ポリエステル等)に比べて、いわゆるシャープメルト性を有している。
ブロックポリエステルのΔT値は、50℃以下であるのが好ましく、20℃以下であるのがより好ましい。Tmp[℃]、Tms[℃]の測定条件は特に限定されないが、例えば、試料となるブロックポリエステルを、昇温速度:10℃/分で200℃まで昇温し、さらに、降温速度:10℃/分で降温した後、昇温速度:10℃/分で昇温して測定することができる。
また、ブロックポリエステルは、後述する非晶性ポリエステルより結晶性が高い。したがって、非晶性ポリエステルのΔT値をΔTA[℃]、ブロックポリエステルのΔT値をΔTB[℃]としたとき、ΔTA>ΔTBの関係を満足する。特に、本発明では、ΔTA−ΔTB>10の関係を満足するのが好ましく、ΔTA−ΔTB>30の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、上述した効果はより顕著なものとなる。ただし、非晶性ポリエステルの結晶性が特に低い場合、TmpまたはTmsの少なくとも一方が測定困難(判別困難)であることがある。このような場合、ΔTAは∞[℃]とする。
なお、ブロックポリエステルは、前述した結晶性ブロック、非晶性ブロック以外のブロックを有するものであってもよい。
非晶性ポリエステルは、前述したブロックポリエステルより低い結晶性を有するものである。
非晶性ポリエステルは、主として、トナーを構成する各成分(例えば、後述するような着色剤、ワックス、帯電防止剤等)の分散性や、トナー製造時における混練物の粉砕性、トナーの定着性(特に、低温定着性)、透明性、機械的特性(例えば、弾性、機械的強度等)、帯電性、耐湿性等の機能を向上させるのに寄与する成分である。言い換えると、以下で詳述するような非晶性ポリエステルがトナー中に含まれないと、前記のようなトナーとして求められる特性を十分に発揮するのが困難となる。
非晶性ポリエステルを構成するジオール成分としては、水酸基を2個有するものであればよいが、例えば、芳香環構造を有する芳香族ジオールや、芳香環構造を有さない脂肪族ジオール等が挙げられる。芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、また、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の環状ジオール類等が挙げられる。
なお、非晶性ポリエステルは、上記のようなジオール成分、ジカルボン酸成分以外の成分(例えば、3価以上のアルコ−ル成分や3価以上のカルボン酸成分等)を含むものであってもよい。
また、非晶性ポリエステルは、リニア型ポリマー(架橋構造を有さないポリマー)であるのが好ましい。リニア型ポリマーは、架橋型のものに比べて、摩擦係数が小さい。これにより、特に優れた離型性が得られ、トナーの転写効率がさらに向上する。
特に、本発明では、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとを併用することにより、比較的高い温度において、ブロックポリエステルがトナー粒子の形状の安定性をある程度確保しつつ、非晶性ポリエステルが十分に軟化することができる。これにより、トナーの定着温度付近での、トナー粒子の粘度を比較的低いものとし、かつ、トナーの応力緩和時間を長くすることができる。これにより、本発明のトナーを後述するような定着装置で用いた場合における定着性を、特に優れたものにすることができる。また、本発明のトナーを後述するような定着装置で用いた場合において、トナーが定着された記録媒体が定着ローラから剥離する際に、記録媒体に定着されたトナーの一部が定着ローラに付着する現象、いわゆるトナーの泣き別れが発生するのを効果的に防止することが可能となる。また、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとを併用することにより、後に詳述するように、トナー粒子が定着装置190のニップ部(定着ニップ部)340を通過する間の緩和弾性率の低下が少なくなる(すなわち、応力緩和時間が長くなる)ので、トナー粒子の弾性率低下によるオフセットが、より発生し難くなる。
すなわち、ブロックポリエステルのみを用いた場合(トナー中に非晶性ポリエステルを含まない場合)には、トナーの定着性(特に、低温領域での定着性)が低下する。また、ブロックポリエステルのみを用いた場合(トナー中に非晶性ポリエステルを含まない場合)には、例えば、トナーの定着時にトナー粒子の粘度を十分に低くするのが困難となるため、トナーの記録媒体への定着性(定着強度)低下する。また、ブロックポリエステルのみを用いた場合(トナー中に非晶性ポリエステルを含まない場合)には、トナーの透明性等の機能も低下し、さらに、トナーを構成する各成分(例えば、後述するような着色剤、ワックス、帯電防止剤等)の分散性や、トナー製造時における混練物の粉砕性も低下する。
また、非晶性ポリエステルのみを用いた場合(トナー中にブロックポリエステルを含まない場合)には、最終的に得られるトナーは、機械的ストレスに弱いものとなり、十分な耐久性、保存性が得られない。また、非晶性ポリエステルのみを用いた場合(トナー中にブロックポリエステルを含まない場合)には、例えば、トナーの定着時(ニップ部の通過時)におけるトナー粒子の緩和弾性率の変化量を小さくする(緩和時間を長くする)のが困難となり、トナーの泣き別れ等が原因となる定着ローラへのトナー付着(オフセット)が発生しやすくなる。また、非晶性ポリエステルのみを用いた場合(トナー中にブロックポリエステルを含まない場合)には、シャープメルト性が得られないため、幅広い温度領域(特に高温領域)で十分な定着性(定着強度)を確保するのが困難となるとともに、後述する熱球形化処理を効率良く行うのが困難となり、最終的に得られるトナー粒子の円形度を適正な値にするのが困難になる。
また、樹脂(バインダー樹脂)は、前述したブロックポリエステルおよび非晶性ポリエステル以外の成分(第3の樹脂成分)を含むものであってもよい。
着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナーの製造に用いる原料5中には、必要に応じてワックスが含まれていてもよい。
ワックスが含まれることにより、例えば、トナー粒子の離型性を向上させることができる。
エステル系ワックスは、前述したポリエステル系樹脂と同様に、分子内にエステル構造を有しており、ポリエステル系樹脂との相溶性に優れる。また、前述したように、ポリエステル系樹脂は、主成分としての樹脂との相溶性にも優れている。このため、最終的に得られるトナー粒子中における遊離ワックスの発生、粗大化を防止することができる(トナー中でのワックスの微分散やミクロ相分離を容易に達成できる)。その結果、最終的に得られるトナーは、定着ローラとの離型性が特に優れたものとなる。
また、原料5中には、前記樹脂、着色剤、ワックス以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、帯電制御剤、分散剤、磁性粉末等が挙げられる。
前記帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
前記金属石鹸としては、トリステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩等)、ジステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等)、ステアリン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、オクタン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等)、オレイン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等)、パルミチン酸金属塩(例えば、亜鉛塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、レジン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等)等が挙げられる。
また、添加剤としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム等を用いてもよい。
上記のような原料5は、図1に示すような混練機1を用いて混練される。
混練に供される原料5は、前述した各成分が予め混合されたものであるのが好ましい。
本実施形態では、混練機として、2軸混練押出機を用いる構成について説明する。
混練機1は、原料5を搬送しつつ混練するプロセス部2と、混練された原料(混練物7)を所定の断面形状に形成して押し出すヘッド部3と、プロセス部2内に原料5を供給するフィーダー4とを有している。
プロセス部2では、スクリュー22、スクリュー23が、回転することにより、フィーダー4から供給された原料5に剪断力が加えられ、均一な混練物7、特に、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとが十分に相溶化した混練物7が得られる。
また、プロセス部2は、長手方向に所定の長さを有する第1の領域25と、該第1の領域25よりヘッド部3側に設けられた第2の領域26とを有する。すなわち、原料5は、第1の領域25を通過した後に、第2の領域26に送り込まれる。
このように、第1の領域25において、比較的高い温度で原料5を混練することにより、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとを十分に相溶化させることができる。
また、第1の領域25内で、原料温度T1は、均一であっても、部位により異なるものであってもよい。後者の場合、第1の領域25における原料5の最高温度が、前記下限値よりも高いことが好ましく、さらに、第1の領域25における原料5の最低温度と最高温度とが、上記範囲内にあることがより好ましい。
第2の領域26内での原料温度(第2の領域26の内部温度)T2[℃]は、非晶性ポリエステルの軟化点をT1/2(A)[℃]としたとき、(T1/2(A)−20)≦T2≦(T1/2(A)+20)の関係を満足するのが好ましく、(T1/2(A)−10)≦T2≦(T1/2(A)+10)の関係を満足するのがより好ましい。原料温度T2が、前記下限値未満であると、混練物7中における相分離等が発生し易くなるとともに、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルの流動性が低下し、トナーの生産性が低下する場合がある。一方、原料温度T2が、前記上限値を超えると、第2の領域26を設けることによる前述の効果が十分に得られない場合がある。
第2の領域26内での原料温度T2の具体的な値は、樹脂の組成により異なるが、80〜150℃であるのが好ましく、90〜140℃であるのがより好ましい。
なお、図示の構成では、第1の領域25と第2の領域26との間に、原料温度がT1からT2へ移行する温度移行領域28が設けられている。
スクリュー22、スクリュー23の回転数は、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとの配合比や、これらの組成、分子量等により異なるが、50〜600rpmであるのが好ましい。スクリュー22、スクリュー23の回転数が、前記下限値未満であると、例えば、第1の領域25で、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとを十分に相溶化させることが困難となる場合があり、また、第2の領域26では、相分離を十分に防止することが困難となる場合がある。一方、スクリュー22、スクリュー23の回転数が、前記上限値を超えると、剪断により、ポリエステルの分子が切断され、樹脂の特性が劣化する場合がある。
第3の領域27内での原料温度T3[℃]は、第2の領域26内での原料温度T2との間で、(T2−40)≦T3≦(T2+40)の関係を満足するのが好ましく、(T2−20)≦T3≦(T2+20)の関係を満足するのがより好ましい。原料温度T3が、前記下限値未満であると樹脂が溶融され難く、混練トルクが高くなりすぎる場合がある。一方、原料温度T3が、前記上限値を超えると、原料投入口の温度が高くなりフィーダー4も加熱され、樹脂がフィーダー4に溶融固着してしまう場合がある。
また、図示の構成では、第1の領域25と、第2の領域26と、第3の領域27とが設けられている構成について説明したが、これ以外の領域が設けられている構成であってもよい。例えば、このような領域は、第1の領域25と第2の領域26との間にあってもよいし、第2の領域26よりもヘッド部3側にあってもよい。
プロセス部2で混練された混練物7は、スクリュー22とスクリュー23との回転により、ヘッド部3を介して、混練機1の外部に押し出される。
ヘッド部3は、プロセス部2から混練物7が送り込まれる内部空間31と、混練物7が押し出される押出口32とを有している。
内部空間31内での混練物7の温度(少なくとも押出口32付近での温度)T4[℃]は、T2より10℃程度、高い温度であるのが好ましい。混練物7の温度T4が、このような温度であると、混練物7が内部空間31で固化せず、押出口32から押し出しやすくなる。
このような横断面積漸減部33を有することにより、押出口32から押し出される混練物7の押出量が安定し、また、後述する冷却工程における混練物7の冷却速度が安定する。その結果、これを用いて製造されるトナーは、各トナー粒子間での特性のバラツキが小さいものとなり、全体としての特性に優れたものになる。
ヘッド部3の押出口32から押し出された軟化した状態の混練物7は、冷却機6により冷却され、固化する。
冷却機6は、ロール61、62、63、64と、ベルト65、66とを有している。
ベルト65は、ロール61とロール62とに巻掛けられている。同様に、ベルト66は、ロール63とロール64とに巻掛けられている。
また、図示の構成では、スクリューを2本有する構成の混練機について説明したが、スクリューは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
また、スクリューの回転数を変えてもよい。例えば、第1の領域25での回転数と、第2の領域26での回転数とを変えてもよい。
また、前述した実施形態では、冷却機として、ベルト式のものを用いた構成について説明したが、例えば、ロール式(冷却ロール式)の冷却機を用いてもよい。また、混練機の押出口32から押し出された混練物の冷却は、前記のような冷却機を用いたものに限定されず、例えば、空冷等により行うものであってもよい。
上述したような冷却工程を経た混練物7を造粒することにより、トナー製造用粉末を得る。
本実施形態においては、造粒工程は、以下に説明するような粉砕工程と、熱球形化工程とを有する。
なお、熱球形化工程は、必ずしも行わなくてよい。
まず、上述したような冷却工程を経た混練物7を粉砕する。
粉砕の方法は、特に限定されず、例えばボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
粉砕の工程は、複数回(例えば、粗粉砕工程と微粉砕工程との2段階)に分けて行ってもよい。
分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
また、得られたトナー製造用粉末に対しては、後述する熱球形化工程の前処理として、外添剤を付与する外添処理を施してもよい。このような前処理としての外添処理を行うことにより、トナー粒子の流動性と分散性が向上し、熱によるトナー同士の融着を十分に防止・抑制することができる。なお、このような前処理としての外添処理は、後述するような、熱球形化処理の後工程としての外添工程と同様にして行うことができ、また、後に詳述する外添剤を用いることができる。
次に、上記粉砕工程で得られた粉末(トナー製造用粉末)を加熱して球形化する熱球形化処理を施す。
このような熱球形化処理を施すことにより、トナー製造用粉末の表面上の比較的大きな凹凸が除去され、円形度が比較的高いものとなる。これにより、最終的に得られるトナーは、個々のトナー粉末間での帯電特性の差が小さいものとなり、感光体上への現像性が向上するとともに、感光体上へのトナーの付着(フィルミング)がより効果的に防止され、トナーの転写効率がさらに向上する。
また、このような熱球形化工程の後、必要に応じて、分級処理等の処理を行ってもよい。
また、このような熱球形化処理は液体中で行っても良い。
分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
次に、熱球形化されたトナー製造用粉末に外添剤を付与する。
外添剤としては、例えば、酸化チタン、シリカ(正帯電性シリカ、負帯電性シリカ等)、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化亜鉛、アルミナ、マグネタイト等の金属酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、脂肪族金属塩等の金属塩等の無機材料で構成された微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族金属塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム)等の有機材料で構成されたもの等が挙げられる。
ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、結晶構造がルチル型の酸化チタン(二酸化チタン)と、結晶構造がアナターゼ型の酸化チタン(二酸化チタン)とを同一粒子内に有するものである。すなわち、ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、ルチル型の結晶とアナターゼ型の結晶との混晶型の酸化チタン(二酸化チタン)を有するものである。
そして、ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、ルチル型の結晶とアナターゼ型の結晶との混晶型の酸化チタンを有するものであるため、ルチル型の酸化チタンの利点と、アナターゼ型の酸化チタンの利点とを併有している。すなわち、ルチルアナターゼ型の酸化チタンでは、ルチル型結晶の間(ルチル型結晶の内部)に、微小なアナターゼ型結晶が混在し、全体としては、略紡錘形状を有するものとなることにより、トナーの母粒子中に埋没し難くなり、また、ルチルアナターゼ型の酸化チタン全体としての、シランカップリング剤等との親和性が優れたものとなるため、ルチルアナターゼ型の酸化チタン粉末の表面に均一で安定した疎水性被膜(シランカップリング被膜)が形成され易くなる。したがって、ルチルアナターゼ型の酸化チタンを含むことにより、得られるトナーは、帯電分布が均一(トナー粒子の帯電分布がシャープ)で、安定した帯電特性を有し、環境特性(特に耐湿性)、流動性、耐ケーキング性等に優れたものとなる。
すなわち、前述したように、本発明では、ポリエステル系樹脂は、結晶性の高い結晶性ブロックを有するブロックポリエステルを含むものであるため、トナー粒子中において、主として結晶性ブロックにより形成された所定の大きさの結晶を有するものとすることができる。このような結晶を有することにより、ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、トナーの母粒子中に埋没しにくいものとなる。すなわち、前記結晶のような硬い成分を含むことにより、ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、トナーの母粒子の表面付近に確実に担持(付着)されたものとなる。これにより、ルチルアナターゼ型の酸化チタンの機能(特に、優れた流動性、帯電性の付与等の効果)を十分に発揮させることができる。このように、前述したポリエステル系樹脂と併用することにより、ルチルアナターゼ型の酸化チタンの機能を十分に発揮させることができるため、用いる外添剤の量を抑制することができる。その結果、外添剤を多量に添加することによる不都合(例えば、紙等の転写材(記録媒体)への定着性の低下等)の発生を効果的に防止することができる。
本発明で用いられるルチルアナターゼ型の酸化チタンの形状は、特に限定されないが、通常、略紡錘形状である。
外添剤として負帯電性シリカを用いた場合、トナー粒子の帯電量(絶対値)を大きくすることができる。その結果、安定した負帯電性トナーが得られ、画像形成装置のトナー制御が容易になるという効果が得られる。
略紡錘形状のルチルアナターゼ型の酸化チタンの平均長軸径をD1[nm]、負帯電性シリカの平均粒径をD2[nm]としたとき、0.2≦D1/D2≦15の関係を満足するのが好ましく、0.4≦D1/D2≦5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、負帯電性シリカとルチルアナターゼ型の酸化チタンとを併用することによる効果はさらに顕著なものとなる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
正帯電性シリカを含む場合、その平均粒径は、30〜100nmであるのが好ましく、40〜50nmであるのがより好ましい。正帯電性シリカの平均粒径がこのような範囲の値であると、前述した効果はより顕著なものとなる。
このような外添剤は、例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて、トナー製造用粉末と混合すること等により添加することができる。
このように、トナー中に、母粒子から遊離した外添剤(以下、「遊離外添剤」とも言う)が含まれると、このような遊離外添剤を、例えば、トナー粒子とは反対の極性に帯電するマイクロキャリアとして機能させることができる。このようなマイクロキャリアとして機能する遊離外添剤がトナー中に含まれると、現像時等に逆帯電性のトナー粒子(トナー粒子が帯電時に本来示すべき極性とは反対の極性に帯電するトナー粒子)が発生するのを効果的に防止、抑制することができる。その結果、トナーは、いわゆるカブリ等の不都合を生じ難いものとなる。
この測定方法は、樹脂(C)からなる母粒子の表面に酸化チタン(TiO2)からなる外添剤を付着させて形成されたトナーTの粒子をプラズマ中に導入することにより、トナー粒子を励起させ、この励起に伴う発光スペクトルを得、元素分析を行うことにより測定する方法である。
このように母粒子および外添剤の各発光スペクトルによって得られた等価粒子の等価粒径を、トナーの各粒子毎にプロットすると、図4に示すようなトナー粒子の等価粒径分布図が得られる。
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
また、トナー中のポリエステル系樹脂の含有量は、50〜98wt%であるのが好ましく、85〜97wt%であるのがより好ましい。ポリエステル系樹脂の含有量が前記下限値未満であると、本発明の効果が十分に得られない可能性がある。一方、ポリエステル系樹脂の含有量が前記上限値を超えると、着色剤等の成分含有量が相対的に低下し、発色性等の特性発揮が困難となる場合がある。
トナーの物性としての酸価は、トナーの環境特性(特に、耐湿性)を左右する要因の一つである。トナーの酸価は、8KOHmg/g以下であるのが好ましく、1KOHmg/g以下であるのがより好ましい。トナーの酸価が8KOHmg/g以下であると、トナーの環境特性(特に耐湿性)は特に優れたものとなる。
すなわち、トナーが上記のような緩和弾性率の関係を満足する場合であっても、トナー中に非晶性ポリエステルを含まれないと、トナーの定着性(特に、低温領域での定着性)が低下する。また、トナーの定着時にトナー粒子の粘度を十分に低くするのが困難となるため、トナーの記録媒体への定着性(定着強度)が低下する。また、トナーの透明性、機械的特性(例えば、弾性、機械的強度等)、帯電性、耐湿性等の機能も低下し、さらに、トナーを構成する各成分(例えば、後述するような着色剤、ワックス、帯電防止剤等)の分散性や、トナー製造時における混練物の粉砕性も低下する。
また、トナー中にブロックポリエステルを含まれないと、上記のような緩和弾性率の関係を満足するのが困難となる。また、上記のような緩和弾性率の関係を満足することができた場合であっても、トナー中にブロックポリエステルを含まれないと、トナーは、機械的ストレスに弱いものとなり、十分な耐久性、保存性が得られない。また、トナーの泣き別れ等が原因となる定着ローラへのトナー付着(オフセット)が発生しやすくなる。
このような結晶は、その平均長さ(長手方向の平均長さ)が10〜1000nmであるのが好ましく、50〜700nmであるのがより好ましい。結晶の長さがこのような範囲の値であると、トナーの形状の安定性が特に優れたものとなり、機械的ストレスに対し、特に優れた安定性を示すものとなる。特に、トナー粒子の表面付近に、外添剤がより確実に保持されることとなり(外添剤が母粒子中に埋没するのを効果的に防止することができ)、トナー粒子は、現像装置等における安定性に特に優れたものとなり、また、フィルミング等の発生を生じ難いものとなる。なお、前記結晶の大きさは、例えば、原料成分として用いるブロックポリエステルの製造条件等を制御することによりブロックポリエステルの分子量やランダム性を変更したり、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとの配合比を変更したり、前述した混練工程、冷却工程の条件を変更すること等により、適宜調整することができる。
また、本発明のトナーは、ブロックポリエステルと、非晶性ポリエステルとができるだけ相溶しているものであるのが好ましい。これにより、各トナー粒子間での特性のばらつきが小さく、トナー全体としての特性がより安定したものとなり、本発明の効果がより顕著なものとなる。
図5は、本発明の画像形成装置の好適な実施形態を示す全体構成図、図6は、図5の画像形成装置が有する現像装置の断面図、図7は、図5の画像形成装置に用いられる定着装置の詳細構造を示し、一部破断面を示す斜視図、図8は、図7の定着装置の要部断面図、図9は、図7の定着装置を構成する剥離部材の斜視図、図10は、図7の定着装置を構成する剥離部材の取付状態を示す側面図、図11は、図7の定着装置を上面から見た正面図、図12は、定着ニップ部の出口における接線に対する、剥離部材の配置角度を説明するための模式図、図13は、定着ローラ、加圧ローラの形状と、定着ニップ部の形状を模式的に示す図、図14は、図13(a)のX−X線における断面図、図15は、定着ローラ、加圧ローラの形状と、定着ニップ部の形状を模式的に示す図、図16は、図15(a)のY−Y線における断面図、図17は、定着ローラと、剥離部材とのギャップを説明するための断面図である。
現像装置60Y、60C、60M、60Kは、いずれも同一の構造を有している。したがって、ここでは現像装置60Yの構造について説明するが、現像装置60C、60M、60Kについても、構造、機能は同様である。
装置本体20の底部には給紙カセット150が配設され、給紙カセット150内の記録媒体は、ピックアップローラ160、記録媒体搬送路170、二次転写ローラ140、定着装置190を経て排紙トレイ200に搬送されるように構成されている。なお、230は両面印刷用搬送路である。
なお、両面印刷の場合には、定着装置190を出た記録媒体は、その後端が先端となるようにスイッチバックされ、両面印刷用搬送路230を経て、二次転写ローラ140に供給され、中間転写ベルト110上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写され、再び定着装置190により加熱加圧され定着される。
図5において、本発明に係わる定着装置190は、熱源を有する定着ローラ210とこれに圧接される加圧ローラ220とから構成され、定着ローラ210と加圧ローラ220の軸を結ぶ線は水平線からθの角度を有するように配置されている。なお、0°≦θ≦30°である。
図7および図11において、ハウジング240内には定着ローラ210が回動自在に装着され、定着ローラ210の一端には駆動ギヤ28が連結されている。そして、定着ローラ210に対向して加圧ローラ220が回動自在に装着されている。加圧ローラ220の軸方向長さは定着ローラ210のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受250が設けられて、加圧ローラ220の両端は軸受250により支持されている。軸受250には加圧レバー260が回動可能に設けられ、加圧レバー260の一端とハウジング240間には加圧スプリング270が配設され、これにより加圧ローラ220と定着ローラ210が加圧されるように構成されている。
加圧ローラ220側の剥離部材320は、定着ローラ210側の剥離部材と同様の形状であり、図7および図8に示すように、剥離部320aの先端は剥離部310aの先端よりも記録媒体搬送方向下流側に配置され、また、ガイド部320eの先端は加圧ローラ220の軸受250の表面にP点で当接されており、これにより剥離部320aの先端と加圧ローラ220表面との間のギャップが常時一定になるように位置決めを行っている。そのために、図11に示すように、加圧ローラ220の軸方向長さは定着ローラ210のそれよりも短く、その空いたスペースに軸受250が設けられ、加圧ローラ220の両端は軸受250により支持されている。
例えば、定着ローラ210、加圧ローラ220が図13に示すように、逆クラウン形状を有するものである場合、剥離部材310の断面形状は、図14に示すようなものであるのが好ましい。また、定着ローラ210、加圧ローラ220が図15に示すように、クラウン形状を有するものである場合、剥離部材310の断面形状は、図16に示すようなものであるのが好ましい。
また、運転時における、定着設定温度(定着ローラ210表面の設定温度)は、110〜220℃であるのが好ましく、130〜200℃であるのがより好ましい。定着ローラ210の設定温度がこのような範囲の値であると、トナーの定着強度確保と昇温時間(ウォームアップタイム)の短縮が両立できる。
例えば、本発明のトナーは、前述したような方法で製造されたものに限定されない。例えば、前述した実施形態では、造粒工程を経て得られたトナー製造用粉末に外添処理を施すことにより得られるものとして説明したが、外添処理を施さずに、造粒工程により得られた粉末(トナー製造用粉末)をそのままトナーとして用いてもよい。また、前述した実施形態では、粉砕工程後に、熱球形化処理を施すものとして説明したが、このような熱球形化処理は省略してもよい。また、前述した実施形態では、トナーの製造方法として、粉砕法を用いた構成について説明したが、本発明のトナーは、スプレードライ法、重合法等により得られるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、結晶性を示す指標として示差走査熱量分析(DSC)による融点の吸熱ピークの測定で得られるΔTについて説明したが、結晶性を示す指標は、これに限定されない。例えば、結晶性を表す指標としては、密度法、X線法、赤外線法、核磁気共鳴吸収法等により測定される結晶化度等を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、熱球形化処理を乾式の条件で行う構成について説明したが、熱球形化処理は、例えば、溶液中等の湿式の条件で行ってもよい。
また、図示の構成では、スクリューを2本有する構成の混練機について説明したが、スクリューは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
また、本発明の画像形成装置は、前述した実施形態のようなものに限定されず、画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮しうる任意の構成のものと置換することができる。
例えば、前述した実施形態では、接触型の定着装置について説明したが、本発明では、このような接触型の定着装置に限定されず、非接触型の定着装置に適用されるものであってもよい。
トナーの製造に先立ち、以下に示す3種のポリエステルA、A’、B、C、Dを製造した。
[1.1]ポリエステルA(非晶性ポリエステル)の製造
まず、ネオペンチルグリコール:36モル部、エチレングリコール:36モル部、1,4−シクロヘキサンジオール:48モル部、テレフタル酸ジメチル:90モル部、無水フタル酸:10モル部の混合物を用意した。
得られたポリエステルAについて、示差走査熱量分析装置による融点の吸熱ピークの測定を試みた。その結果、融点の吸収ピークであると判断できるようなシャープなピークは、確認することができなかった。また、ポリエステルAの軟化点T1/2は、111℃、ガラス転移点Tgは、60℃、重量平均分子量Mwは、1.3×104であった。
まず、ネオペンチルグリコール:96モル部、エチレングリコール:12モル部、1,4−シクロヘキサンジオール:12モル部、テレフタル酸ジメチル:100モル部の混合物を用意した。
2リットル4つ口フラスコに、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を常法に従い設置し、前記のジオール成分とジカルボン酸成分との混合物:1000gと、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(PPB)):1gとを、前記2リットル4つ口フラスコ内に入れた。その後、材料温度:180℃で、生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すとともに、真空ポンプに接続した。系内の圧力を5mmHg以下に減圧した状態で、温度を200℃とし、攪拌回転数:150rpm攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステルA’(PES−A’)とした。
得られたポリエステルA’について、示差走査熱量分析装置による融点の吸熱ピークの測定を試みた。その結果、融点の吸収ピークであると判断できるようなシャープなピークは、確認することができなかった。また、ポリエステルA’の軟化点T1/2は、106℃、ガラス転移点Tgは、58℃、重量平均分子量Mwは、1.5×104であった。
2リットル4つ口フラスコに、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を常法に従い設置し、上記[1.1]で得られたポリエステルA:70モル部とジオール成分としての1,4−ブタンジオール:15モル部とジカルボン酸成分としてのテレフタル酸ジメチル:15モル部との混合物:1000gと、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(PPB)):1gとを、前記2リットル4つ口フラスコ内に入れた。その後、材料温度:200℃で、生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すとともに、真空ポンプに接続した。系内の圧力を5mmHg以下に減圧した状態で、温度を220℃とし、攪拌回転数:150rpm攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステルB(PES−B)とした。
2リットル4つ口フラスコに、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を常法に従い設置し、上記[1.1]で得られたポリエステルA:90モル部とジオール成分としての1,4−ブタンジオール:5モル部とジカルボン酸成分としてのテレフタル酸ジメチル:5モル部との混合物:1000gと、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(PPB)):1gとを、前記2リットル4つ口フラスコ内に入れた。その後、材料温度:180℃で、生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すとともに、真空ポンプに接続した。系内の圧力を5mmHg以下に減圧した状態で、温度を200℃とし、攪拌回転数:150rpm攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステルC(PES−C)とした。
2リットル4つ口フラスコに、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を常法に従い設置し、ジオール成分としての1,4−ブタンジオール:50モル部とジカルボン酸成分としてのテレフタル酸ジメチル:60モル部との混合物:1000gと、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(PPB)):1gとを、前記2リットル4つ口フラスコ内に入れた。その後、材料温度:260℃で、生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すとともに、真空ポンプに接続した。系内の圧力を5mmHg以下に減圧した状態で、温度を280℃とし、攪拌回転数:150rpm攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステルD(PES−D)とした。
融点Tmの測定は示差走査熱量計DSC(セイコー電子工業社製、DSC220型)を用いて、次のようにして行った。まず、樹脂サンプルを、昇温速度:10℃/分で200℃まで昇温した後、降温速度:10℃/分で0℃まで降温した。その後、昇温速度:10℃/分で昇温し、その際の結晶融解による吸熱の最大ピーク温度(2ndラン時)を、融点Tmとして求めた。
まず、樹脂サンプル1gをTHF(テトラヒドロフラン)に溶解させ、1mLのTHF溶液(不溶分を含む)を得た。このTHF溶液を遠心分離専用のサンプル瓶に注入し、遠心分離機で、2000ppm、5分間の条件で遠心分離を行い、その上澄み液サンプレップLCR13−LH(孔径:0.5μm)でろ過し、ろ液を得た。
このようにして得られたろ液を、カラム:TSKgel SuperHZ4000+SuperHZ4000(東ソー社製)、流速:0.5mL/分、温度:25℃、溶媒:THFという条件で、ゲル浸透クロマトグラフィーGPC(東ソー社製、HLC−8220型)を用いて分離し、その結果として得られたチャートに基づき、樹脂サンプルの重量平均分子量Mwを求めた。なお、標準試料としては、単分散ポリスチレンを用いた。
以下のようにして、トナーを製造した。
(実施例1)
まず、非晶性ポリエステルとしてポリエステルA:80重量部、ブロックポリエステルとしてポリエステルB:20重量部、着色剤としてキナクリドン(P.R.122):6重量部、帯電制御剤としてサリチル酸クロム錯体(ボントロンE−81):1重量部、ワックスとしてカルナウバワックス:2重量部を用意した。
これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
2軸混練押出機のプロセス部の全長は160cm、第1の領域の長さは32cm、第2の領域の長さは80cm、第3の領域の長さは16cmとした。
また、プロセス部における原料の温度が、第1の領域において240℃、第2の領域において100℃、第3の領域において100℃となるように設定した。
このような条件から求められる、原料が第1の領域を通過するのに要する時間は約1.5分間、第2の領域を通過するのに要する時間は約3分間である。
プロセス部で混練された原料(混練物)は、ヘッド部を介して2軸混練押出機の外部に押し出した。ヘッド部内における混練物の温度は、110℃となるように調節した。
混練物の冷却速度は、−7℃/秒であった。また、混練工程の終了時から冷却工程が終了するのに要した時間は、10秒であった。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕(平均粒径:1〜2mm)し、引き続き微粉砕した。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用い、微粉砕にはジェットミル(ホソカワミクロン社製、200AFG)を用いた。なお、微粉砕は、粉砕エア圧:500[kPa]、ロータ回転数:7000[rpm]で行った。
その後、分級した粉砕物(トナー製造用粉末)に、熱球形化処理を施した。熱球形化処理は、熱球形化装置(日本ニューマチック社製、SFS3型)を用いて行った。熱球形化処理時における雰囲気の温度は、270℃とした。
最終的に得られたトナーの平均粒径は、7.5μmであった。また、得られたトナーの平均円形度Rは、0.96であった。また、トナーの酸価は、0.8mgKOH/gであった。また、トナー中における結晶の平均長さは、500nmであった。また、得られたトナーにおける外添剤の被覆率は、160%であった。また、トナー中に含まれるルチルアナターゼ型の酸化チタンの内、遊離外添剤として存在しているものの割合(遊離率)は、1.2%であった。
なお、円形度の測定は、フロー式粒子像解析装置(シスメックス(株)社製、FPIA−2000)を用いて、水分散系で行った。ただし、円形度Rは、下記式(I)で表されるものとする。
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
また、トナー中における結晶の平均長さは、透過型電子顕微鏡(TEM)による測定の結果から求めた。
ブロックポリエステルとしてポリエステルCを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(実施例3)
外添剤として、さらに正帯電性シリカ(平均粒径:40nm):1重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。なお、正帯電性シリカとしては、アミノ基を有するシランカップリング剤(アミノシラン)を用いて負帯電性シリカに表面処理(疎水化処理)を施すことにより得られたものを用いた。
混練工程に供する原料中におけるポリエステルAの含有量、ポリエステルBの含有量を表1に示すようにし、また、外添工程で用いる外添剤の種類、添加量を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして、トナーを製造した。
(実施例8〜10)
ポリエステルAの代わりに、ポリエステルA’を用い、混練工程に供する原料中におけるポリエステルA’の含有量、ポリエステルCの含有量を表1に示すようにし、また、外添工程で用いる外添剤の種類、添加量を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして、トナーを製造した。
混練工程に供する原料中に、低融点ポリエステル:2重量部を添加した以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。なお、用いた低融点ポリエステルは、1,6−ヘキサンジオールとヘキサンジカルボン酸との重合体で、その重量平均分子量Mwは4.8×103、融点Tmは79℃、軟化点T1/2は82℃、ガラス転移点Tgは57℃であった。
ポリエステルA:80重量部、ポリエステルB:20重量部の代わりに、ポリエステルA:100重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(比較例2)
ポリエステルA:80重量部、ポリエステルB:20重量部の代わりに、ポリエステルB:100重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
ポリエステルBの代わりに、ポリエステルDを用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(比較例4)
混練工程に供する原料中におけるポリエステルA’、ワックスの含有量を表1に示すようにし、また、外添工程で用いる外添剤の種類、添加量を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして、トナーを製造した。
まず、トナー約1gをパラレルプレートにはさみ、過熱溶融させ、高さ1.0〜2.0mmに調製した。このようにして得られたサンプルを、ARES粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)を用いて、応力緩和測定モードにより、下記測定条件で粘弾性測定を行った。
・測定温度:150℃、
・歪印加量:線径領域における最大歪み
・ジオメトリー:パラレルプレート(25mm径)
上記のような測定により、初期緩和弾性率(0.01秒での緩和弾性率):G(0.01)[Pa]、Δt=0.05秒での緩和弾性率:G(0.05)[Pa]を求めた。これらの結果から得られるG(0.01)/G(0.05)の値を表2にあわせて示す。
上記のようにして得られた各トナーについて、定着良好域、現像耐久性、保存性、帯電特性、転写効率、透明性の評価を行った。
[3.1]定着良好域
まず、前述した図7〜図14、図17に示すような定着装置を作製した。この定着装置では、トナーがニップ部を通過するのに要する時間Δtを0.05秒、運転時における定着設定温度を180℃に設定した。この定着装置を用いて図5、図6に示すような画像形成装置を作製した。この画像形成装置を用いて、未定着の画像サンプルを採取し、当該画像形成装置の定着装置で、以下のような試験を実施した。なお、採取するサンプルのベタは付着量を0.40〜0.50mg/cm2に調整した。
画像形成装置を構成する定着装置の定着ローラの表面温度を所定温度に設定した状態で、未定着のトナー像が転写された用紙(セイコーエプソン社製、上質普通紙)を、定着装置の内部に導入することにより、トナー像を用紙に定着させ、定着後におけるオフセットの発生の有無を目視で確認した。
◎:定着良好域の幅が60℃以上である。
○:定着良好域の幅が35℃以上60℃未満である。
×:定着良好域の幅が35℃未満である。
前記[3.1]で用いた画像形成装置の現像装置にトナーを30gセットした後、無補給でエージングを行い、現像ローラへのフィルミングが発生するまでの時間を測定した。
[3.3]保存性
各実施例および各比較例のトナーを、それぞれ10gずつサンプル瓶に入れ、50℃の恒温槽内に48時間放置した後、固まり(凝集)の有無を目視で確認し、以下の3段階の基準に従い評価した。
◎:固まり(凝集)の存在が全く認められなかった。
△:小さい固まり(凝集)がわずかに認められた。
×:固まり(凝集)がはっきりと認められた。
前記[3.1]で用いた画像形成装置において、印字途中で画像形成装置を停止させ、カートリッジを取り外し、粉黛帯電量分布測定装置(ホソカワミクロン社製、E-spart analyzer)を用いて、帯電量分布を測定し、その結果から、帯電量および逆帯電量としてプラス帯電量を求めた。
帯電量については、初期帯電量と、1000枚印字後(1K後)の帯電量について求めた。
◎:初期帯電量からの変化量(絶対値)が0.5μC/g未満。
○:初期帯電量からの変化量(絶対値)が0.5μC/g以上1μC/g未満。
△:初期帯電量からの変化量(絶対値)が1μC/g以上3μC/g未満。
×:初期帯電量からの変化量(絶対値)が3μC/g以上。
また、逆帯電性のトナーについては、全トナー量に対する存在比率を求め、逆帯電性のトナーの存在比率が3wt%未満の場合は○、逆帯電性のトナーの存在比率が3wt%以上の場合は×とした。
前記[3.1]で用いた画像形成装置を用いて、以下のように評価した。
感光体(像担持体)への現像工程直後(転写前)の感光体上のトナーと、転写後(印刷後)の感光体上のトナーとを、別々のテープを用いて採取し、それぞれの重量を測定した。転写前の感光体上のトナー重量をWb[g]、転写後の感光体上のトナー重量をWa[g]としたとき、(Wb−Wa)×100/Wbとして求められる値を、転写効率とした。
まず、微量のトナーを2枚のスライドガラス間に挿し込み、ホットプレート上で溶融させ、その後、徐冷した。トナーを構成する樹脂が完全に固化するまで放置し、その後、HAZEメーター(日本電色工業社製、MODEL1001DP)でHAZE値を測定し、HAZE値が50未満のものを○、HAZE値が50以上のものを×として、評価した。HAZE値は、拡散透過率を全透過率で除した値であり、トナー中の各成分の分散性が良い程、この値は小さくなる。
これらの結果を表3にまとめて示した。
特に、非晶性ポリエステルを含まない比較例1のトナーは、定着強度が弱く定着良好域が狭く、かつ透明性に劣っていた。
また、ブロックポリエステルを含まない比較例2のトナーは、機械的ストレスに弱く、現像耐久性が特に劣っていた。
また、ブロックポリエステルを用いず、非晶性ポリエステルと、結晶性の高いポリエステルDとを併用した比較例3のトナーは、樹脂同士の相溶性に劣り、定着性と耐久性が特に劣っていた。
また、着色剤として、キナクリドン(P.R.122)に代わり、銅フタロシアニン顔料、ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントイエロー93、カーボンブラックを用いた以外は、前記各実施例および前記各比較例と同様にして、トナーを作製し、これらの各トナーについても前記と同様の評価を行った。その結果、前記各実施例および前記各比較例と同様の結果が得られた。
Claims (6)
- 樹脂と着色剤と外添剤とを含む材料で構成され、
前記樹脂は、主としてポリエステル系樹脂で構成され、
前記ポリエステル系樹脂は、主としてブロック共重合体で構成されたブロックポリエステルと、前記ブロックポリエステルより結晶性の低い非晶性ポリエステルとを含み、
前記ブロックポリエステルは、ジオール成分とジカルボン酸成分とを縮合してなる結晶性ブロックと、前記結晶性ブロックより結晶性の低い非晶性ブロックとを有するものであり、
前記外添剤は、略紡錘形状をなし平均長軸径が10〜100nmの酸化チタンを含むものであり、
150℃における、トナーの0.01秒での緩和弾性率を初期緩和弾性率G(0.01)[Pa]、トナーの0.05秒での緩和弾性率をG(0.05)[Pa]としたとき、G(0.01)/G(0.05)≦10の関係を満足することを特徴とするトナー。 - トナー中における前記酸化チタンの含有率が、0.1〜2.0wt%であり、
トナー中に含まれる前記酸化チタンのうち、トナー粒子から遊離したものの割合が、0.1〜5.0wt%である請求項1に記載のトナー。 - 前記外添剤は、正帯電性シリカを含むものである請求項1または2に記載のトナー。
- 下記式(I)で表される平均円形度Rが0.93〜0.98である請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。) - トナーは、ワックスとしてエステル系ワックスを含むものであり、前記ワックスの含有量が5wt%以下である請求項1ないし4のいずれかに記載のトナー。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007330869A JP4730377B2 (ja) | 2007-12-21 | 2007-12-21 | トナーおよび画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007330869A JP4730377B2 (ja) | 2007-12-21 | 2007-12-21 | トナーおよび画像形成装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002305190A Division JP4182721B2 (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 画像形成方法および画像形成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008097038A true JP2008097038A (ja) | 2008-04-24 |
JP4730377B2 JP4730377B2 (ja) | 2011-07-20 |
Family
ID=39379867
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007330869A Expired - Fee Related JP4730377B2 (ja) | 2007-12-21 | 2007-12-21 | トナーおよび画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4730377B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011203433A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Fuji Xerox Co Ltd | 静電潜像現像用トナー、静電潜像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
Citations (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06208241A (ja) * | 1992-11-20 | 1994-07-26 | Fuji Xerox Co Ltd | 電子写真用トナー組成物および画像形成方法 |
JPH1138668A (ja) * | 1997-07-23 | 1999-02-12 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像記録装置 |
JP2000081721A (ja) * | 1998-09-03 | 2000-03-21 | Fuji Xerox Co Ltd | 静電荷現像用トナー及びその製造方法、現像剤、並びに画像形成方法 |
JP2001013718A (ja) * | 1999-07-01 | 2001-01-19 | Canon Inc | トナーおよび画像形成方法 |
JP2001117265A (ja) * | 1999-10-22 | 2001-04-27 | Ricoh Co Ltd | 電子写真用トナー及びその製造方法及び画像形成方法 |
JP2002214834A (ja) * | 2001-01-22 | 2002-07-31 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | トナー及び電子写真装置 |
JP2002251033A (ja) * | 2001-02-22 | 2002-09-06 | Ricoh Co Ltd | カラートナー、その製造方法及び画像形成方法 |
WO2002084408A1 (en) * | 2001-04-11 | 2002-10-24 | Sekisui Chemical Co., Ltd. | Resin composition for toner and toner |
JP2004264318A (ja) * | 2002-07-30 | 2004-09-24 | Sekisui Chem Co Ltd | トナー用樹脂組成物及びトナー |
JP2004264319A (ja) * | 2002-10-11 | 2004-09-24 | Sekisui Chem Co Ltd | トナー |
JP2004264320A (ja) * | 2002-10-11 | 2004-09-24 | Sekisui Chem Co Ltd | トナー用樹脂組成物及びトナー |
-
2007
- 2007-12-21 JP JP2007330869A patent/JP4730377B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06208241A (ja) * | 1992-11-20 | 1994-07-26 | Fuji Xerox Co Ltd | 電子写真用トナー組成物および画像形成方法 |
JPH1138668A (ja) * | 1997-07-23 | 1999-02-12 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像記録装置 |
JP2000081721A (ja) * | 1998-09-03 | 2000-03-21 | Fuji Xerox Co Ltd | 静電荷現像用トナー及びその製造方法、現像剤、並びに画像形成方法 |
JP2001013718A (ja) * | 1999-07-01 | 2001-01-19 | Canon Inc | トナーおよび画像形成方法 |
JP2001117265A (ja) * | 1999-10-22 | 2001-04-27 | Ricoh Co Ltd | 電子写真用トナー及びその製造方法及び画像形成方法 |
JP2002214834A (ja) * | 2001-01-22 | 2002-07-31 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | トナー及び電子写真装置 |
JP2002251033A (ja) * | 2001-02-22 | 2002-09-06 | Ricoh Co Ltd | カラートナー、その製造方法及び画像形成方法 |
WO2002084408A1 (en) * | 2001-04-11 | 2002-10-24 | Sekisui Chemical Co., Ltd. | Resin composition for toner and toner |
JP2004264318A (ja) * | 2002-07-30 | 2004-09-24 | Sekisui Chem Co Ltd | トナー用樹脂組成物及びトナー |
JP2004264319A (ja) * | 2002-10-11 | 2004-09-24 | Sekisui Chem Co Ltd | トナー |
JP2004264320A (ja) * | 2002-10-11 | 2004-09-24 | Sekisui Chem Co Ltd | トナー用樹脂組成物及びトナー |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011203433A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Fuji Xerox Co Ltd | 静電潜像現像用トナー、静電潜像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4730377B2 (ja) | 2011-07-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4636070B2 (ja) | トナー | |
US7118843B2 (en) | Method for manufacturing toner, toner, fixing device, and image forming apparatus | |
US7105261B2 (en) | Toner, fixing device, and image forming apparatus | |
US7083889B2 (en) | Toner, fixing device, and image forming apparatus | |
JP4103650B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
US7189485B2 (en) | Toner | |
JP2008097041A (ja) | 画像形成方法 | |
JP4218303B2 (ja) | 画像形成方法および画像形成装置 | |
JP4244641B2 (ja) | トナー、および画像形成方法 | |
JP4730377B2 (ja) | トナーおよび画像形成装置 | |
JP4103651B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP4079012B2 (ja) | トナー | |
JP2004294734A (ja) | トナーの製造方法およびトナー | |
JP2008107846A (ja) | トナー、定着装置および画像形成装置 | |
JP2004138923A (ja) | トナーの製造方法、トナー、定着装置および画像形成装置 | |
JP2004138920A (ja) | トナー、定着装置および画像形成装置 | |
JP4138547B2 (ja) | トナーおよび画像形成方法 | |
JP4138535B2 (ja) | トナーおよび画像形成方法 | |
JP4182721B2 (ja) | 画像形成方法および画像形成装置 | |
JP4182778B2 (ja) | トナーおよび画像形成方法 | |
JP4138536B2 (ja) | トナー | |
JP2004252227A (ja) | トナーの製造方法およびトナー | |
JP2004240071A (ja) | トナーの製造方法およびトナー | |
JP2004252226A (ja) | トナー | |
JP2004138922A (ja) | トナーの製造方法、トナー、定着装置および画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080117 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110301 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110322 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110404 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |