JP2008096174A - 原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面の表面改質方法 - Google Patents
原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面の表面改質方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】応力腐食割れ防止のために、十分な圧縮応力を付与し(深さ1mm以上)、かつ、機械加工やグラインダ加工により生成する硬化層を除去すること。原子炉炉内構造物の応力腐食割れ防止方法を提供する。
【解決手段】高温の原子炉炉内構造物表面に研磨剤入りの冷却液を噴射すること、または、研磨剤入りの冷却液を攪拌させた水槽中に、高温の原子炉炉内構造物を浸漬することで達成される。具体的には、冷却液の効果により、原子炉炉内構造物の板厚内部には、急峻な温度勾配が発生し、塑性変形が生じることで、十分な圧縮応力化深さを確保できる。また、研磨材の効果により、原子炉炉内構造物表面の硬化層を研磨除去できる。
【効果】原子炉炉内構造物に対し、十分な圧縮応力化深さを確保し、かつ、硬化層を除去できることから、原子炉炉内構造物の応力腐食割れを防止することができる。
【選択図】図6
【解決手段】高温の原子炉炉内構造物表面に研磨剤入りの冷却液を噴射すること、または、研磨剤入りの冷却液を攪拌させた水槽中に、高温の原子炉炉内構造物を浸漬することで達成される。具体的には、冷却液の効果により、原子炉炉内構造物の板厚内部には、急峻な温度勾配が発生し、塑性変形が生じることで、十分な圧縮応力化深さを確保できる。また、研磨材の効果により、原子炉炉内構造物表面の硬化層を研磨除去できる。
【効果】原子炉炉内構造物に対し、十分な圧縮応力化深さを確保し、かつ、硬化層を除去できることから、原子炉炉内構造物の応力腐食割れを防止することができる。
【選択図】図6
Description
本発明は、原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面を、圧縮応力に転換するとともに、表面の加工に伴う硬化層を除去し、原子炉炉内構造物の応力腐食割れを防止するに好適な、原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面の改質方法に関する。
原子炉炉内構造物の主要構成材料である、ステンレス鋼やニッケル基合金鋼は、その製造過程において、機械加工やグラインダ加工等の表面加工において、硬化層が生成する。また、加工や溶接等により、原子炉炉内構造物の表面には、一般に高い引張残留応力が生成される。原子炉運転に伴う、高温水中(288℃)腐食環境下で、硬化層と引張残留応力を持つ材料が使用されると応力腐食割れを起こす。すなわち、材料,引張残留応力,腐食環境の三因子が重畳すると、応力腐食割れの危険性が高まる。
この応力腐食割れの発生を抑制するために、腐食環境に曝される領域の引張残留応力低減や、硬化層の除去が対策法として挙げられる。原子炉炉内構造物の引張残留応力を低減する方法として、引用文献1が、引張残留応力を低減し、かつ、硬化層を除去する方法として、特許文献2がある。前者は、オーステナイト系ステンレス鋼あるいはニッケル基合金製の溶接構造物を、寸法安定化熱処理(400℃×40h)の冷却過程で、溶接構造物の母材の強度が高まる300℃以下で、構造物表面を強制冷却することで、溶接構造物の寸法変化を抑え、溶接構造物の表面に圧縮応力を付与する方法である。後者は、原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面に、研磨仕上げを施して圧縮応力を形成するか、ショットピーニング後に研磨仕上げを施して表面に圧縮応力を形成させる方法である。ショットピーニング後の研磨仕上げは、ショットピーニングによる加工硬化で硬度上昇が発生し、この硬度上昇部が応力腐食割れを助長する懸念があるため、この硬度上昇層を除去する目的も含まれている。
本発明の目的は、原子炉炉内構造物に対し、十分な圧縮応力化深さを確保し、かつ、硬化層を除去できる、応力腐食割れ防止方法を提供することにある。
上記目的は、以下のプロセスにより達成される。
(1)高温の原子炉炉内構造物表面に研磨剤入りの冷却液を噴射することで、原子炉炉 内構造物に対し、十分な圧縮応力化深さを確保し、かつ、硬化層を除去する。具体 的には、高温の原子炉炉内構造物表面に研磨剤入りの冷却液を噴射すると、冷却液 の効果により、原子炉炉内構造物の板厚内部には、急峻な温度勾配が発生し、塑性 変形が生じることで、十分な圧縮応力化深さを確保できる。また、高温の原子炉炉 内構造物表面に研磨剤入りの冷却液を噴射すると、研磨材の効果により、原子炉炉 内構造物表面の硬化層を研磨除去できる。
(2)研磨剤入りの冷却液を攪拌させた水槽中に、高温の原子炉炉内構造物を浸漬する ことで、原子炉炉内構造物に対し、十分な圧縮応力化深さを確保し、かつ、硬化層 を除去する。具体的には、研磨剤入りの冷却液を攪拌させた水槽中に、高温の原子 炉炉内構造物を浸漬すると、冷却液の効果により、原子炉炉内構造物の板厚内部に は、急峻な温度勾配が発生し、塑性変形が生じることで、十分な圧縮応力化深さを 確保できる。また、研磨剤入りの冷却液を攪拌させた水槽中に、高温の原子炉炉内 構造物を浸漬すると、研磨材の効果により、原子炉炉内構造物表面の硬化層を研磨 除去できる。
(3)ここで、研磨剤は硬化層を研磨除去するためのものであるから、対象材であるオ ーステナイト系ステンレスやニッケル基合金より、硬い材質であることが必要とな る。このような特性を有する実用的な研磨材として、ダイヤモンド,アルミナ,炭 化珪素,鋳鉄の一つもしくは二つ以上の複合からなるものが考えられる。これら以 外の材質でも、対象材より、硬い材質であれば同様の効果を生むことができる。
(4)ここで、冷却液は炉内構造物を冷却するためのものであるから、対象材であるオ ーステナイト系ステンレスやニッケル基合金の融点未満の温度で、液体であること が必要となる。このような特性を有する実用的な冷却液として、純水,水,油が考 えられる。これら以外でも、対象材の融点未満で液体である物質であれば同様の効 果を生むことができる。
本発明によれば、原子炉炉内構造物に対し、十分な圧縮応力化深さを確保し、かつ、硬化層を除去できることから、原子炉炉内構造物の応力腐食割れを防止することができる。
図1は、原子炉炉内構造物の一つである、高温の炉心シュラウドに対して、冷却液を噴射した場合の、応力改善効果を有限要素法により熱弾塑性解析した結果である。解析条件は以下に示す。
・ 炉心シュラウド初期温度:400℃,300℃,200℃の3ケース
・ 炉心シュラウド材質:SUS316L
熱伝導率,密度,比熱,ヤング率,降伏応力,歪硬化係数,熱膨張係数は、
SUS316Lの材料物性を使用した。また、初期応力は0MPaとした。
・ 炉心シュラウド材質:SUS316L
熱伝導率,密度,比熱,ヤング率,降伏応力,歪硬化係数,熱膨張係数は、
SUS316Lの材料物性を使用した。また、初期応力は0MPaとした。
・ 炉心シュラウド寸法:内径5160mm,厚さ51mm,長さ4360mm
・ 冷却液温度:20℃
・ 炉心シュラウドと冷却液との温度差:380℃,280℃,180℃
・ 冷却液材質:水
熱伝導率,密度,比熱は20℃の水の物性値を使用した。また、炉心シュラウドと冷却液間の熱伝達係数は、0.002837W/mm2・Kとした。
・ 冷却液温度:20℃
・ 炉心シュラウドと冷却液との温度差:380℃,280℃,180℃
・ 冷却液材質:水
熱伝導率,密度,比熱は20℃の水の物性値を使用した。また、炉心シュラウドと冷却液間の熱伝達係数は、0.002837W/mm2・Kとした。
図1より、炉心シュラウドと冷却液の温度差が大きいほうが、表面の圧縮応力が大きいこと。また、いずれの温度差においても、深さ方向には約5mm程度の圧縮応力が付与されることが判った。
図2は、炉心シュラウドを模擬したSUS316L板を加熱し、水中に浸漬した場合の深さ方向の圧縮応力値を測定した結果である。実験条件は以下に示す。
・ SUS316L板寸法:200mm×200mm×厚さ51mm
・ SUS316L板温度:400℃,300℃,200℃の3ケース
・ 冷却液温度:20℃
・ SUS316L板と冷却液との温度差:380℃,280℃,180℃
・ 冷却液材質:水
・ 応力測定方法:X線回折法
・ 深さ方向研磨方法:電解研磨
図2より、炉心シュラウドと冷却液の温度差が大きい方が、表面の圧縮応力が大きいこと。また、いずれの温度差においても、深さ方向には約1mm以上の圧縮応力が付与されることが判った。これは、図1に示した有限要素法による熱弾塑性解析と同様の傾向を示した。
・ SUS316L板温度:400℃,300℃,200℃の3ケース
・ 冷却液温度:20℃
・ SUS316L板と冷却液との温度差:380℃,280℃,180℃
・ 冷却液材質:水
・ 応力測定方法:X線回折法
・ 深さ方向研磨方法:電解研磨
図2より、炉心シュラウドと冷却液の温度差が大きい方が、表面の圧縮応力が大きいこと。また、いずれの温度差においても、深さ方向には約1mm以上の圧縮応力が付与されることが判った。これは、図1に示した有限要素法による熱弾塑性解析と同様の傾向を示した。
図1,図2より、高温の原子炉炉内構造物を、冷却液に浸漬した場合の、応力改善効果の有効性が確認された。尚、応力腐食割れに対する耐性を十分に向上させるためには、圧縮応力が十分大きく、かつ圧縮応力が付与される深さが1mm以上となる、約200℃以上の温度差が付与されることがより好ましい。
尚、図2は、炉心シュラウドを模擬したSUS316L板を加熱し、水中に浸漬した場合の深さ方向の圧縮応力値を測定した結果であるが、炉心シュラウドを模擬した加熱
SUS316L板の全面に、冷却水を噴射しても同様の結果が得られることは自明である。
SUS316L板の全面に、冷却水を噴射しても同様の結果が得られることは自明である。
図3は、炉心シュラウドを模擬したSUS316L板の、機械加工断面の硬化層を後方散乱電子回折像法(EBSP法)で評価した結果、図4は、ノズルから研磨剤入りの水ジェットを噴射した場合の硬化層をEBSP法で評価した結果である。実験条件は以下に示す。
・ SUS316L板寸法:200mm×200mm×厚さ10mm
・ SUS316L板加工条件:機械加工
(切削速度50m/min,送り0.35mm/rev,切込み:0.2mm)
・ 冷却液材質:水
・ 研磨剤材質:アルミナ
・ 研磨剤硬度:1900Hv
・ 研磨剤平均粒径:0.25mm
・ 噴射角度:30°(SUS316L板とノズルの角度)
・ 噴射圧力70MPa
・ 噴射距離:60mm
・ 研磨剤供給量:500g/min
・ 冷却液噴射量:20リットル/min
・ ノズル移動速度:100mm/min
図3,図4は、金属材料に電子線を照射することで得られる後方散乱電子回折像をイメージクオリティー(IQ)処理した図で、塑性変形を生じた部分は、転移が導入されるため回折像のシャープさが劣り、EBSP像が不鮮明に表示される。また、塑性変形を受けない部分は、転移が導入されないためシャープな回折像が得られる。この観点で機械加工面の硬化層の状況を観察すると、EBSP像が不鮮明な深さ(塑性加工により転移が導入された深さ)が約250μm観察されるのに対し、ノズルから研磨剤入りの水ジェットを噴射した場合は、EBSP像が不鮮明な深さ(塑性加工により転移が導入された深さ)は約50μm以下と大幅に低減された。
・ SUS316L板加工条件:機械加工
(切削速度50m/min,送り0.35mm/rev,切込み:0.2mm)
・ 冷却液材質:水
・ 研磨剤材質:アルミナ
・ 研磨剤硬度:1900Hv
・ 研磨剤平均粒径:0.25mm
・ 噴射角度:30°(SUS316L板とノズルの角度)
・ 噴射圧力70MPa
・ 噴射距離:60mm
・ 研磨剤供給量:500g/min
・ 冷却液噴射量:20リットル/min
・ ノズル移動速度:100mm/min
図3,図4は、金属材料に電子線を照射することで得られる後方散乱電子回折像をイメージクオリティー(IQ)処理した図で、塑性変形を生じた部分は、転移が導入されるため回折像のシャープさが劣り、EBSP像が不鮮明に表示される。また、塑性変形を受けない部分は、転移が導入されないためシャープな回折像が得られる。この観点で機械加工面の硬化層の状況を観察すると、EBSP像が不鮮明な深さ(塑性加工により転移が導入された深さ)が約250μm観察されるのに対し、ノズルから研磨剤入りの水ジェットを噴射した場合は、EBSP像が不鮮明な深さ(塑性加工により転移が導入された深さ)は約50μm以下と大幅に低減された。
また、図5は、図3,図4で評価した試験片のビッカース硬さ(測定荷重25gf)を測定した結果で、機械加工面は約300μmの硬化層が観察されるが、研磨剤入りの水ジェットを噴射した場合は、硬化層が約50μmに低減され、かつ、硬さの絶対値も減少している。図3〜図5の結果により、研磨剤入りの水ジェットの噴射により、硬化層の除去ができ、応力腐食割れに対する耐性が向上することが判る。
表1は、以下の固定条件で噴射距離,研磨剤供給量,ノズル移動速度を変化させた場合の硬化層の除去状況を、EBSPとビッカース硬さ(測定荷重25gf)の評価した結果を示した。表1から、今回評価したいずれのパラメータにおいても、硬化層の除去が可能で、対象物の形状や作業性の制約から、対象物ごとに適した条件を選定すれば良いことが判る。
・ 冷却液材質:水
・ 研磨剤材質:アルミナ
・ 研磨剤硬度:1900Hv
・ 研磨剤平均粒径:0.25mm
・ 噴射角度:30°(SUS316L板とノズルの角度)
・ 噴射圧力70MPa
・ 噴射距離:パラメータ
・ 研磨剤供給量:パラメータ
・ 冷却液噴射量:20リットル/min
・ ノズル移動速度:パラメータ
・ 研磨剤材質:アルミナ
・ 研磨剤硬度:1900Hv
・ 研磨剤平均粒径:0.25mm
・ 噴射角度:30°(SUS316L板とノズルの角度)
・ 噴射圧力70MPa
・ 噴射距離:パラメータ
・ 研磨剤供給量:パラメータ
・ 冷却液噴射量:20リットル/min
・ ノズル移動速度:パラメータ
表2には、以下の固定条件で研磨剤を鋳鉄にした場合の、硬化層の除去状況を、EBSPとビッカース硬さ(測定荷重25gf)の評価した結果を示した。表2から、研磨剤が鋳鉄の場合でも、今回評価したいずれのパラメータにおいても、硬化層の除去が可能で、対象物の形状や作業性の制約から、対象物ごとに適した条件を選定すれば良いことが判る。但し、鋳鉄を使用する場合は、対象物にもらい錆びが発生するので、好ましくは、もらい錆びの発生のないアルミナが好適である。また、表1,表2の実験より、アルミナ,鋳鉄以外の材料でも、対象材より、硬い材質であれば同様の効果を生むことは自明であり、研磨剤として汎用性のあるダイヤモンドや炭化珪素でも良い。
・ 冷却液材質:水
・ 研磨剤材質:鋳鉄
・ 研磨剤硬度:910Hv
・ 研磨剤平均粒径:0.3mm
・ 噴射角度:30°(SUS316L板とノズルの角度)
・ 噴射圧力70MPa
・ 噴射距離:パラメータ
・ 研磨剤供給量:パラメータ
・ 冷却液噴射量:20リットル/min
・ ノズル移動速度:パラメータ
・ 研磨剤材質:鋳鉄
・ 研磨剤硬度:910Hv
・ 研磨剤平均粒径:0.3mm
・ 噴射角度:30°(SUS316L板とノズルの角度)
・ 噴射圧力70MPa
・ 噴射距離:パラメータ
・ 研磨剤供給量:パラメータ
・ 冷却液噴射量:20リットル/min
・ ノズル移動速度:パラメータ
図6に、高温の原子炉炉内構造物表面に研磨剤入りの冷却液を噴射することで、原子炉炉内構造物に対し、十分な圧縮応力化深さを確保し、かつ、硬化層を除去する装置構成を、炉心シュラウド1への適用実施例1として示す。
装置は、冷却液2を貯蔵する冷却水貯蔵タンク3と、冷却液を増圧するための高圧ポンプ4と、冷却液の流量を測定する冷却液流量計5と、冷却液を移送する配管6と、研磨剤7を貯蔵する研磨剤貯蔵タンク8と、研磨剤7を移送する研磨剤移送ポンプ9と、研磨剤7の供給量を測定する研磨剤流量計10と、研磨剤7を移送する配管11と、冷却液2と研磨剤7を混合・噴射する噴射ノズル12と、全体を覆う水槽13と、噴射された研磨剤入り冷却水14を回収する回収タンク15と、炉心シュラウド1を設置し回転機構を有するベース16より構成される。炉心シュラウド1は、400℃で寸法安定化処理を施された後、400℃の状態で加熱炉から引き出され回転機構を有するベース16の上に設置される。その後、高圧ポンプ4と研磨剤移送ポンプ9が運転され、所定の冷却液流量,研磨剤供給量にセットし、炉心シュラウド1に研磨剤入り冷却水14が噴射される。この時、炉心シュラウド1は回転機構を有するベース16の回転により回転することで、研磨剤入り冷却水14が全面に当ることになる。研磨剤入り冷却水14の作用により、炉心シュラウド1表面は冷却され炉心シュラウド1の板厚方向に急峻な温度勾配が発生し、塑性変形が生じることで、炉心シュラウド1表面および表面から1mm以上の深さで圧縮応力化される。また、研磨剤入り冷却水14中の研磨剤7の作用により、炉心シュラウド1の表面に存在する硬化層は削り取られ、炉心シュラウド1表面の硬化層を除去できる。
図7に実施例1と同様の効果が得られる方法を実施例2として示す。
装置は、冷却液2と研磨剤7から成る研磨剤入り冷却水14を貯蔵し、強制攪拌機17を備えた水槽18と、炉心シュラウド1を設置するベース19より構成される。強制攪拌機17により高速水流となった研磨剤入り冷却水14の中に、400℃で寸法安定化処理を施された炉心シュラウド1を、400℃の状態でベース19の上に設置する。この時点で、研磨剤入り冷却水14の作用により、炉心シュラウド1表面は冷却され炉心シュラウド1の板厚方向に急峻な温度勾配が発生し、塑性変形が生じることで、炉心シュラウド1表面および表面から1mm以上の深さで圧縮応力化される。また、研磨剤入り冷却水14中の研磨剤7の作用により、炉心シュラウド1の表面に存在する硬化層は削り取られ、炉心シュラウド1表面の硬化層を除去できる。
実施例1,2は、原子炉炉内構造物の代表例として炉心シュラウドへの適用例を示したが、応力腐食割れの損傷事例/懸念のある、再循環系配管,制御棒駆動機構ハウジング,原子炉中性子計装ハウジング,炉心支持板,上部格子板,ジェットポンプ等にも、本発明が有効であることは自明である。
また、原子炉炉内構造物に限らず、応力依存,硬化層依存,腐食環境依存、あるいはこれら2つ以上の複合で損傷が発生する物品、例えば化学プラントの溶液タンクや配管等にも、本発明が有効であることも自明である。
1 炉心シュラウド
2 冷却液
3 冷却水貯蔵タンク
4 高圧ポンプ
5 冷却液流量計
6 冷却液を移送する配管
7 研磨剤
8 研磨剤貯蔵タンク
9 研磨剤移送ポンプ
10 研磨剤流量計
11 研磨剤を移送する配管
12 噴射ノズル
13 水槽
14 研磨剤入り冷却水
15 回収タンク
16 回転機構を有するベース
17 強制攪拌機
18 水槽
19 ベース
2 冷却液
3 冷却水貯蔵タンク
4 高圧ポンプ
5 冷却液流量計
6 冷却液を移送する配管
7 研磨剤
8 研磨剤貯蔵タンク
9 研磨剤移送ポンプ
10 研磨剤流量計
11 研磨剤を移送する配管
12 噴射ノズル
13 水槽
14 研磨剤入り冷却水
15 回収タンク
16 回転機構を有するベース
17 強制攪拌機
18 水槽
19 ベース
Claims (6)
- 高温の原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面を、冷却液により強制冷却し、構造物表面に圧縮応力を付与させる残留応力改善熱処理方法において、研磨剤を配合した冷却液を、高温の原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面に噴射し、構造物表面の硬化層を除去することを特徴とする、原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面の表面改質方法。
- 高温の原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面を、冷却液により強制冷却し、構造物表面に圧縮応力を付与させる残留応力改善熱処理方法において、研磨剤を配合した冷却液を強制攪拌させた水槽中に、高温の原子炉炉内構造物を浸漬し、構造物表面の硬化層を除去することを特徴とする、原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面の表面改質方法。
- 請求項1に記載した研磨剤が、原子炉炉内構造物の主要材料である、オーステナイト系ステンレスやニッケル基合金より、硬い材質であることを特徴とする、原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面の表面改質方法。
- 請求項3に記載した研磨剤が、ダイヤモンド,アルミナ,炭化珪素,鋳鉄の一つもしくは二つ以上の複合からなることを特徴とする、原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面の表面改質方法。
- 請求項1に記載した冷却液が、原子炉炉内構造物の主要材料である、オーステナイト系ステンレスやニッケル基合金の融点未満の温度で、液体であることを特徴とする、原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面の表面改質方法。
- 請求項5に記載した冷却液が、純水,水,油であることを特徴とする、原子炉炉内構造物の表面またはその構造物の溶接部表面の表面改質方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012060380A1 (ja) | 2010-11-02 | 2012-05-10 | 三菱重工業株式会社 | 加工条件設定システム、加工条件設定方法およびこれらを用いて加工された加工物 |
US9067303B2 (en) | 2012-06-27 | 2015-06-30 | Hitachi-Ge Nuclear Energy, Ltd. | Method of executing shot peening |
-
2006
- 2006-10-10 JP JP2006275965A patent/JP2008096174A/ja active Pending
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WO2012060380A1 (ja) | 2010-11-02 | 2012-05-10 | 三菱重工業株式会社 | 加工条件設定システム、加工条件設定方法およびこれらを用いて加工された加工物 |
US9067303B2 (en) | 2012-06-27 | 2015-06-30 | Hitachi-Ge Nuclear Energy, Ltd. | Method of executing shot peening |
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