JP2008094802A - ペプチド化合物及びタンパク質のトポロジー解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タンパク質の架橋部位近傍の情報を得るのに好適なペプチド化合物、該化合物を用いるタンパク質のトポロジー解析方法の提供。
【解決手段】 一般式(I)又は(II)で表されるペプチド化合物;係る化合物を用いて架橋反応を行い、架橋タンパク質分子を検出するタンパク質のトポロジー解析方法。
[化1]
Figure 2008094802

(式中、A1はアミノ基が保護されメチレン基結合カルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸又はアスパラギン酸;A2aはカルボキシル基が活性エステル化されグアニジド基が正に荷電したアルギニンである。)
[化2]
Figure 2008094802

(式中、A1は前記と同様;A2bはグアニジド基が正に荷電したアルギニン;A3はカルボキシル基が活性エステル化されたフェニルアラニンを除く中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれか;A4及びA5は中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれかであり;m及びnは0又は1、m+nは1以下である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、ペプチド化合物及び該化合物を用いるタンパク質のトポロジー解析方法に関する。
生命現象の解明や有効な医薬品の開発等において、生体内におけるタンパク質の機能の解明は重要な課題である。タンパク質は生体内において種々の役割を担っており、タンパク質分子同士が相互作用することで種々の生理活性を発現することは良く知られているが、例えば、複数のタンパク質分子間の相互作用に関する情報、あるいは複数のタンパク質分子により構成されたタンパク質複合体の構造、物性、ふるまい等に関する情報を入手することが、非常に重要な課題となっている。特に、タンパク質複合体同士はどのように相互作用するのか、あるいは構成ユニットであるタンパク質がどのようにしてタンパク質複合体を形成するのかなど、タンパク質複合体を物理的・化学的に解析することで重要な情報が得られる。
このような解析の一つとして、タンパク質複合体のトポロジー解析が挙げられる。これは、タンパク質分子間又はタンパク質複合体内で、架橋剤を用いて架橋反応を行い、得られた架橋産物を解析するものである(例えば、非特許文献1参照)。
Plant & Cell Physiology,33(3),291−297(1992)
しかし、このような従来のトポロジー解析で用いられる架橋剤は、ポリメチレン鎖を主鎖骨格として有するものであり、トポロジー解析において得られる情報は、該ポリメチレン鎖のメチレン基の数から推定される、架橋部位間の距離に限定されるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、架橋産物について、架橋部位間の距離以外にもタンパク質の架橋部位近傍に関する情報を簡便に得るのに好適なペプチド化合物、及び該化合物を用いるタンパク質のトポロジー解析方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、主鎖骨格を従来のポリメチレン鎖ではなくペプチド鎖とした架橋剤を用いることで、架橋されるタンパク質の架橋部位間の距離だけでなく、架橋部位近傍の荷電状態、親水性・疎水性等の情報が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、係る課題を解決するため、請求項1に係る発明は、下記一般式(I)で表されることを特徴とするペプチド化合物である。
Figure 2008094802
(式中、A1は、保護基でアミノ基が保護されかつメチレン基に結合しているカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;A2aは、カルボキシル基が活性エステル化されかつ水素イオンの配位によりグアニジド基が正電荷を帯びたアルギニンである。)
請求項2に係る発明は、下記一般式(II)で表されることを特徴とするペプチド化合物である。
Figure 2008094802
(式中、A1は、保護基でアミノ基が保護されかつメチレン基に結合しているカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;A2bは、水素イオンの配位によりグアニジド基が正電荷を帯びたアルギニンであり;A3は、カルボキシル基が活性エステル化された、フェニルアラニンを除く中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれかであり;A4及びA5は、中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれかであり;m及びnは0又は1であり、m+nは1以下である。)
請求項3に係る発明は、前記A3が、カルボキシル基が活性エステル化されたグリシン又はアラニンであることを特徴とする請求項2に記載のペプチド化合物である。
請求項4に係る発明は、前記A1中における保護基がアセチル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド化合物である。
請求項5に係る発明は、前記A1及び/又はA3中の活性エステルが、シアネート化合物、イソチオシアネート化合物、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシマレイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールのいずれかと、カルボキシル基とを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド化合物である。
請求項6に係る発明は、タンパク質分子間又はタンパク質複合体内における架橋剤用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチド化合物である。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載のペプチド化合物を用いて、タンパク質分子間又はタンパク質複合体内で架橋反応を行い、架橋されたタンパク質分子を検出することを特徴とするタンパク質のトポロジー解析方法である。
本発明によれば、タンパク質のトポロジー解析において、架橋されるタンパク質の架橋部位間の距離だけでなく、架橋部位近傍の荷電状態や親水性・疎水性等のタンパク質に関する情報を得ることができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のペプチド化合物(以下、単に「ペプチド化合物」と略記することがある)は、下記一般式(I)又は(II)で表されることを特徴とする。
Figure 2008094802
(式中、A1は、保護基でアミノ基が保護されかつメチレン基に結合しているカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;A2aは、カルボキシル基が活性エステル化されかつ水素イオンの配位によりグアニジド基が正電荷を帯びたアルギニンである。)
Figure 2008094802
(式中、A1は、保護基でアミノ基が保護されかつメチレン基に結合しているカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;A2bは、水素イオンの配位によりグアニジド基が正電荷を帯びたアルギニンであり;A3は、カルボキシル基が活性エステル化された、フェニルアラニンを除く中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれかであり;A4及びA5は、中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれかであり;m及びnは0又は1であり、m+nは1以下である。)
前記一般式(I)又は(II)で表されるペプチド化合物は、前記A1中の活性エステル化されたカルボキシル基、及び前記A2a中の活性エステル化されたカルボキシル基又は前記A3中の活性エステル化されたカルボキシル基が、タンパク質と架橋反応する二官能性化合物である。そして、前記A2a又はA2b中の、水素イオンの配位により正電荷を帯びたグアニジド基が、親水性部位となり、タンパク質中の親水性部位との親和性を示す。
したがって、架橋されるタンパク質分子の架橋部位間の距離が、本発明のペプチド化合物における、主鎖骨格となるペプチド鎖の長さに近ければ、該ペプチド化合物を用いることで架橋産物が形成され得るが、さらに、架橋されるタンパク質分子の架橋部位近傍が親水性を有していると、より架橋産物が形成され易い。特に、架橋部位近傍が負電荷を帯びている場合に、最も架橋産物が形成され易い。このように、本発明のペプチド化合物を用いて得られた架橋産物を検出することで、架橋部位間の距離だけでなく、架橋部位近傍の荷電状態や親水性・疎水性等のタンパク質に関する情報を容易に得ることができる。
本発明のペプチド化合物は、タンパク質分子間又はタンパク質複合体内において架橋反応を行う架橋剤として好適である。なお、ここでタンパク質分子間の架橋反応とは、タンパク質の1分子同士の架橋反応、タンパク質複合体同士の架橋反応、タンパク質の1分子とタンパク質複合体の架橋反応等を指すものとする
前記一般式(I)及び(II)において、A1は、保護基でアミノ基が保護されかつメチレン基に結合しているカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸又はアスパラギン酸である。ここで保護基は、アミノ基の保護に用いるものであれば特に限定されず、例えば、ペプチド鎖の合成時に用いる従来公知のものであればいずれでも良い。中でも、調製が容易でかつ安価であることから、アセチル基が好ましい。
前記一般式(I)において、A2aは、カルボキシル基が活性エステル化されかつ水素イオンの配位によりグアニジド基が正電荷を帯びたアルギニンである。本発明において、このようなアルギニンを用いるのは、カルボキシル基を活性エステル化する際にも、グアニジド基に保護基を導入する必要がなく、ペプチド化合物に正電荷を付与するのに好適であるからである。
前記一般式(II)において、A2bは、水素イオンの配位によりグアニジド基が正電荷を帯びたアルギニンである。このようなアルギニンを用いる理由は、A2aの説明で述べた通りである。
前記一般式(II)において、A3は、カルボキシル基が活性エステル化された、フェニルアラニンを除く中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれかである。ここで中性アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、トリプトファン等が例示できる。
そして、中でもA3としては、カルボキシル基が活性エステル化されたグリシン又はアラニンが好ましい。
前記一般式(II)において、A4及びA5は、中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれかである。ここで中性アミノ酸とは、上記のA3の説明で述べた通りである。
また、前記一般式(II)において、m及びnは0又は1であり、m+nは1以下である。すなわち、前記一般式(II)で表される本発明のペプチド化合物は、トリペプチド又はテトラペプチドである。
前記一般式(I)及び(II)において、カルボキシル基を活性エステル化する方法は特に限定されず、従来公知のいずれの方法でも良い。中でも、シアネート化合物、イソチオシアネート化合物、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシマレイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールのいずれかと、カルボキシル基とを反応させる方法が好ましい。
本発明の化合物を架橋剤として用いた場合、活性エステル化されたカルボキシル基は、この中に含まれるカルボニル基が、架橋対象のタンパク質中の反応部位、具体的には求核性部位と反応して、架橋産物を生じる。
本発明の化合物の製造方法は特に限定されない。例えば、前記A1としてアミノ基を保護基で保護したグルタミン酸又はアスパラギン酸を用いて、主鎖骨格となるペプチド鎖(前記一般式(I)又は(II)において、活性エステル化されたカルボキシル基をカルボキシル基に置き換えたもの)を合成した後、A1、及びA2a又はA3のカルボキシル基を上記のように活性エステル化する方法が挙げられる。この場合、前記A1に相当するグルタミン酸又はアスパラギン酸はカルボキシル基を二つ有するので、主鎖骨格となるペプチド鎖を合成する際は、(1)A1に相当するグルタミン酸又はアスパラギン酸のメチレン基に結合しているカルボキシル基を保護基で保護しておき、ペプチド鎖合成後に脱保護する方法、(2)A1に相当するグルタミン酸又はアスパラギン酸のメチレン基に結合しているカルボキシル基を保護基で保護することなく、ペプチド鎖の合成を行い、所望のペプチド鎖を単離精製する方法、のいずれかを適用することが好ましい。この時の、カルボキシル基の保護・脱保護、及びペプチド鎖の単離精製は、従来公知の方法で行うことができる。
また、主鎖骨格となるペプチド鎖が市販されていれば、これを用いて、A1に相当するグルタミン酸又はアスパラギン酸のアミノ基を保護基で保護した後、上記と同様にA1及びA2a又はA3のカルボキシル基を活性エステル化しても良い。この方法によれば、上記の、グルタミン酸又はアスパラギン酸がカルボキシル基を二つ有していることに伴う作業の煩雑さを容易に回避できる。
ペプチド鎖の合成方法は特に限定されず、従来公知の如何なる方法も適用できる。
例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイロプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)等のカルボジイミド系の脱水縮合剤を用いる方法が挙げられる。
また、これ以外にも、カルボキシル基を活性化して、アミノ基と反応させる方法でも良い。このような方法として、例えば、活性エステル法、酸無水物法、酸ハライド法等が挙げられる。
活性エステル法では、カルボキシル基を、例えば、シアネート化合物、イソチオシアネート化合物、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシマレイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のいずれかと反応させて、活性エステルとする方法が挙げられる。
酸無水物法では、カルボキシル基を、例えば、酢酸、メタンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸等のいずれかと反応させて、酸無水物とする方法が挙げられる。
酸ハライド法では、カルボキシル基を、例えば、カルボニルクロライドとして、活性化する方法が挙げられる。
これらカルボキシル基の活性化には、従来公知の方法を適用すれば良い。
ここに例示したアミド結合形成反応の中でも、中性条件下において簡便に高収率で目的物が得られることから、脱水縮合剤を用いる方法が好ましい。
本発明の化合物は二官能性なので、該化合物を用いてタンパク質同士を架橋させて架橋産物を得ることができる。具体的には、タンパク質の1分子同士、タンパク質複合体同士、タンパク質の1分子とタンパク質複合体を架橋することができる。また、タンパク質1分子内、タンパク質複合体内の構成タンパク質間で架橋反応を行うこともできる。
したがって、本発明の化合物を用いて、タンパク質分子間又はタンパク質複合体内で架橋反応を行い、架橋されたタンパク質分子(架橋産物)を検出することで、タンパク質のトポロジー解析方法を行うことができる。
架橋産物の検出方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。例えば、各種色素で染色して検出する方法が例示できる。
また、タンパク質複合体を架橋する場合には、架橋産物は、該タンパク質複合体を各構成タンパク質に分離する操作を行ってから、検出に供することが好ましい。
例えば、本発明のペプチド化合物を用いて、タンパク質複合体を構成する特定のタンパク質間で架橋反応を行った後、構成タンパク質を検出することにより、該タンパク質複合体の構造に関する情報が得られる。例えば、如何なる構成タンパク質が如何なる他の構成タンパク質と相互作用して、タンパク質複合体を形成しているのか等、タンパク質複合体内における構成タンパク質の位置関係に関する情報が得られる。
この場合、架橋産物の検出は、例えば、電気泳動を行って、タンパク質複合体を各構成タンパク質に分離する操作を行ってから行うことが好適である。電気泳動は、架橋産物と、比較対象として、架橋反応に供したものと同じ種類でかつ架橋反応を行っていないタンパク質複合体を用いて同時に行うと良い。これにより、架橋された構成タンパク質を特定することができる。
電気泳動は、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、キャピラリー電気泳動等、いずれでも良い。
なお、ここでは、タンパク質複合体を各構成タンパク質に分離する方法として電気泳動を挙げたが、電気泳動以外の方法で分離しても良い。
そして、本発明のペプチド化合物における、主鎖骨格となるペプチド鎖の長さから、架橋された構成タンパク質の架橋部位間の距離を推定することができ、これら構成タンパク質の、タンパク質複合体内における位置関係を推定することが可能である。
さらに、架橋産物が生成している割合を比較することで、架橋部位間の距離以外にも、架橋部位近傍におけるタンパク質に関する情報を容易に得ることができる。架橋産物の生成割合の比較は、例えば、架橋操作を行った試料を、上記のタンパク質分離操作に供し、架橋対象のタンパク質のうち、架橋されたものとされなかったものの量を比較することで行うことができる。この時、架橋反応に供したものと同じ種類でかつ架橋反応を行っていないタンパク質複合体を同時に分離操作に供することが好ましい。
例えば、本発明のペプチド化合物は正電荷を帯びているので、架橋部位近傍が親水性を有しているタンパク質分子との間で、より架橋産物を形成し易い。特に、架橋部位近傍が負電荷を帯びていると、本発明のペプチド化合物と架橋部位近傍とが静電引力により接近し易いので、さらに架橋産物を形成し易い。このように、本発明のペプチド化合物を用いて得られた架橋産物を検出することで、架橋部位間の距離に加えて、架橋部位近傍の荷電状態や親水性・疎水性等のタンパク質に関する情報を容易に得ることができる。
なお、上記の架橋産物生成割合の比較方法は、タンパク質複合体内の構成タンパク質を架橋する場合以外にも適用できるので、ここで例示したタンパク質のトポロジー解析方法は、タンパク質分子間の架橋反応を行った場合にも適用できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例)
アミノ基がアセチル化されたグルタミン酸、アルギニン、アラニンがこの順に結合されたペプチド化合物(26.5g,0.063mol)とN−ヒドロキシスクシンイミド(14.5g,0.126mol)をジオキサン500mlに溶解し、10℃まで冷却した後、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(26g,0.126mol)を加えた反応混合物を4℃で24時間放置した。
放置後、沈殿物をろ過して除去しジオキサンで洗浄した。そして、ろ液と洗液を一緒にした後、減圧濃縮して油状残渣を得た。この油状残渣はすぐ結晶化したので、エーテルを加えてろ別し、ジクロロメタン/石油エーテル混合溶媒を用いて再結晶を行い、前記式(II)において、A1が、アセチル基でアミノ基が保護されかつメチレン基に結合しているカルボキシル基がN−ヒドロキシスクシンイミドで活性エステル化されたグルタミン酸であり、A2bが、水素イオンの配位によりグアニジド基が正電荷を帯びたアルギニンであり、A3が、カルボキシル基がN−ヒドロキシスクシンイミドで活性エステル化されたアラニンであり、m及びnが0である、本発明のペプチド化合物の結晶を31g得た(収率80%)。
得られたペプチド化合物のIRスペクトル分析を行い、カルボキシル基の1700cm-1付近の吸収ピークの消失と、1770cm-1付近の新たな吸収ピークの出現により、スクシンイミドエステルが得られていることを確認し、上記で得られた化合物が目的物であることを確認した。
(実施例)
pH8のリン酸−ホウ酸緩衝液に、濃度が5×10-4Mとなるようにニワトリ卵白リゾチーム(分子量14.3kD)を溶解させた溶液を調製し、この溶液1mlに対し、5×10-4Mの合成例で得られた本発明の架橋剤のエチルアルコール溶液0.2mlを混合し、30℃で8時間放置し、架橋反応液を得た。
得られた反応液を、常法に従ってSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分析したところ、用いた上記リゾチームの分子量のほぼ2倍の分子量である新たなタンパク質バンドを検出した。これは上記架橋剤で二つの上記リゾチーム分子が架橋された架橋産物であった。
一方、本実施例で用いた架橋剤は、正電荷を帯びていて親水性が高く、該架橋剤がリゾチーム分子の架橋部位近傍に接近できたことから、リゾチーム分子の架橋部位近傍の表面は、負電荷を帯び、親水性が高いことが推測された。
本発明は、タンパク質のトポロジー解析に利用可能である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表されることを特徴とするペプチド化合物。
    Figure 2008094802
    (式中、A1は、保護基でアミノ基が保護されかつメチレン基に結合しているカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;A2aは、カルボキシル基が活性エステル化されかつ水素イオンの配位によりグアニジド基が正電荷を帯びたアルギニンである。)
  2. 下記一般式(II)で表されることを特徴とするペプチド化合物。
    Figure 2008094802
    (式中、A1は、保護基でアミノ基が保護されかつメチレン基に結合しているカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;A2bは、水素イオンの配位によりグアニジド基が正電荷を帯びたアルギニンであり;A3は、カルボキシル基が活性エステル化された、フェニルアラニンを除く中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれかであり;A4及びA5は、中性アミノ酸、ヒスチジン及びアルギニンのいずれかであり;m及びnは0又は1であり、m+nは1以下である。)
  3. 前記A3が、カルボキシル基が活性エステル化されたグリシン又はアラニンであることを特徴とする請求項2に記載のペプチド化合物。
  4. 前記A1中における保護基がアセチル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
  5. 前記A1及び/又はA3中の活性エステルが、シアネート化合物、イソチオシアネート化合物、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシマレイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールのいずれかと、カルボキシル基とを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
  6. タンパク質分子間又はタンパク質複合体内における架橋剤用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチド化合物。
  7. 請求項6に記載のペプチド化合物を用いて、タンパク質分子間又はタンパク質複合体内で架橋反応を行い、架橋されたタンパク質分子を検出することを特徴とするタンパク質のトポロジー解析方法。
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