JP2008093694A - 鋼材の加熱方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱間圧延工程の仕上圧延前に鋼材を加熱するに際し、鋼材の幅方向と移動方向の温度分布を同時に制御できるようにする。
【解決手段】鋼材Hを移動させながら,ヒータ31,32,33によってこの順に加熱する。ヒータ31のコア41,42と鋼材Hの中央部Pとの間の間隔X,ヒータ33のコア41,42と中央部Pとの間の間隔Xは,それぞれ可変とした。かかる構成において,中央部Pに与えられる昇温量ΔTの目標値,側方部Pに与えられる昇温量と昇温量ΔTとの昇温量差ΔEの目標値,側方部Pに与えられる昇温量と昇温量ΔTとの昇温量差ΔEの目標値に基づいて,各ヒータ31,32,33の出力の目標値,各間隔X,Xの目標値を求めた。また,鋼材Hの所定の位置に各ヒータ31,32,33のコア41,42が対向するときの各ヒータ31,32,33の出力は,互いに同一にした。
【選択図】図8

Description

本発明は,鋼材の加熱方法に関する。
例えば鋼板の熱間圧延プロセスでは,鋳造されたスラブが加熱炉において加熱され,その後,粗圧延機において粗圧延される。粗圧延によって圧延されて形成された粗バーは仕上圧延機において仕上圧延され,目標厚になった鋼板が巻取機に巻き取られる。これらの処理は,一連の熱間圧延ラインで行われ,この熱間圧延ラインでは,多数のスラブが一枚ずつ連続して搬送され処理されている。
ところで,粗圧延された直後の粗バーは,温度分布が不均一な状態になっており,そのまま仕上圧延を行うと,機械的性質などの材料特性にばらつきが生じる。一般的に,例えば粗バーの幅方向(長さ方向(移動方向)と略直交する方向)においては,粗バーの中央部よりも縁部側(側方部)に,最も高い温度になっている箇所があり,粗バーの縁部は放熱量が多いので,最も低温になっている。また,粗バーの幅方向における温度分布は,非対称になっている(幅方向中央部に対して左右対称でない)場合が多い。
このような粗バーの幅方向の温度分布を均一化させるため,従来,粗バーを部分的に加熱するヒータを複数個備えた構成が提案されている(特許文献1参照)。即ち,特許文献1には,粗バーの幅別,ヒータの移動量(シフト量)別,昇温量別に,粗バーの幅方向におけるヒータによる加熱パターン(加熱プロフィール)を予め計算機に記憶させておき,粗バーの移動方向においてヒータよりも上流側に,温度計を配置し,この温度計の測定結果から,粗バーをヒータで加熱する前の粗バーの幅方向における温度分布を把握し,目標とする粗バーの幅方向における温度分布との差分を求め,この差分を加熱するように,ヒータの移動量,昇温量を計算機で選択する構成が示されている。さらに,計算機で選択されたヒータの移動量と昇温量の指令を,計算機からシーケンサ(一般的にPLC(Programmable Logic Controller)と呼ばれている)に対して指示しヒータの移動量と昇温量を調節する構成が示されている。
特開2004−195497号公報
本発明の第一の課題は,粗バーの幅方向の温度分布が左右非対称の場合等であっても,幅方向と長さ方向の温度制御を適切に行い,粗バーの温度を均一にすることである。即ち,従来の加熱方法にあっては,粗バーの幅方向の温度分布が左右非対称である場合に,長さ方向の温度分布を制御することが難しかった。例えば特許文献1には,粗バーの幅方向の温度分布が左右対称である場合に,その温度分布を均一化させる方法が記載されているが,当該温度分布が左右非対称である場合に均一化させる方法については,説明されていない。
ところで,例えば特許文献1の方法を応用して,幅方向において左右非対称な温度分布を制御しようとすると,左右非対称な温度分布を制御するための各ヒータの昇温量別のデータ等を含むマトリックスを予め作成し,各ヒータの移動量と加熱量をそれぞれ個別に調節するように,マトリックス内から適正な値を検索抽出する必要が生じる。しかしながら,実際にそのような加熱制御を行おうとすると,検索抽出の為の記憶領域とステップ数が多大になり,PLC内では処理できない。計算機とPLCを連携しようとすると計算機の計算時間が長い,計算時間のばらつきが大きい,計算機とPLCのデータ転送時間が長い等の問題が生じ,シーケンス制御を一定周期で適切に行うことが難しい。
即ち,一般的にシーケンス制御においては,制御周期は10msから100msであり,PLC内での計算ステップは20Kステップ程度である。この制御周期は一定に保つことが必要であり,そのためには,計算機からPLCに対してデータを転送する転送周期のばらつきが少ないことが好ましいとされているが,上記のように計算機での計算時間が長かったり,計算時間のばらつきが大きかったりすると,転送周期も長くなったりばらつきが生じたりする問題があった。また,制御周期を一定に保つには,計算機で計算を行ってPLCにデータを転送するよりも,PLCの内部だけで計算を行うほうが好ましいが,加熱プロフィールやマトリックス等を記憶させるための記憶領域が必要であり,PLCだけで加熱プロフィールやマトリックス等の記憶や計算を行うことは難しい。特に,粗バーの幅方向の温度分布が左右非対称である場合には,マトリックスに含まれる情報,即ち,要求される記憶領域がさらに多くなるので,PLCだけで記憶や計算を行うことは,一層困難であった。そのため,PLCとは別に計算機を設ける必要があるが,そのような計算機としては,計算速度やデータ転送速度が速い高性能なものを使用しなければならず,設備コストが増大する懸念があった。
また,一般的には,例えば,ヒータの移動量,出力,昇温量等の関係を表した関係式(経験式)を予め作成し,この関係式を利用して計算を行うことで,目標の昇温量が得られるようなヒータの移動量,出力等を導出する方法も考えられる。しかしながら,そのような関係式は,一般的には,陰解法(或る値に収束するまで繰り返し計算を行って解を求める方法)を利用して解かなければならないものであり,計算速度にばらつきが生じやすい。加えて,PLCとは別に計算機で計算してその結果をPLCに送るために転送時間もかかり,この方法もシーケンス制御には不向きである。
さらに,本発明の前提のようにトランスバース型のヒータを複数台並べて制御する場合には,各ヒータの出力が変化すると加熱領域の状態(誘導電流の分布等)も変化する現象があり,これによりヒータ間の誘導電流の干渉が生じ,温度分布制御の精度が低下する問題があった。
なお,各ヒータの加熱領域が互いに及ぼす影響を小さくするためには,粗バーの長さ方向におけるヒータの間の距離(コアの間の距離)を,十分に広くすれば良いとも思われるが,この場合,上流側のヒータによって加熱された部分が下流側のヒータ側に移動するまでに,その部分の温度が大幅に低下してしまうため,加熱効率の低下,温度分布制御の精度の低下といった問題が生じる。即ち,粗バーの長さ方向におけるヒータ同士の間に設けることができる距離には制約があり,ある距離(例えば約3m程度)以上に広くすることは望ましくない。従って,この距離を調整して加熱領域同士が互いに及ぼす影響を小さくすることは難しかった。
即ち,本発明は,上記の点に鑑みてなされたものであり,粗バー等の鋼材の幅方向の温度分布と移動方向の温度分布とを共に制御できる加熱方法を提供することを目的とする。特に,幅方向の温度分布が非対称である場合,シーケンス制御を行う場合,トランスバース型誘導加熱装置をヒータとして利用する場合等であっても,鋼材の温度分布を好適に制御することができる加熱方法を提供することを目的とする。
本発明者らは,鋼材(粗バー等)の長さ方向の温度制御を行う際に,同じ長さ方向の場所(所定位置)に対してはヒータの出力を同じにして,幅方向におけるヒータの位置を各々調整することで,幅方向に非対称な温度分布においても,一定周期での制御が可能になり,鋼材の幅方向と長さ方向の温度制御性が極めて高くなることを見出した。これに鑑み,以下のような鋼材の加熱方法を発明した。
即ち,上記課題を解決するため,本発明によれば,熱間圧延工程の仕上圧延前に複数のヒータによって鋼材を加熱する方法であって,前記鋼材を長さ方向に沿って移動させながら,前記鋼材を第一のヒータ,第二のヒータ,第三のヒータによってこの順に加熱する熱処理を行い,前記第一のヒータ,第二のヒータ,第三のヒータは,トランスバース型誘導加熱装置であって,前記第一のヒータ,第二のヒータ,第三のヒータのいずれか一つは,コアが前記鋼材の幅方向における中央部に対向するように配置される中央部用ヒータであり,いずれか一つは,コアが前記鋼材の幅方向における一縁部側に対向するように配置される第一の側方用ヒータであり,いずれか一つは,コアが前記鋼材の幅方向における他縁部側に対向するように配置される第二の側方用ヒータであり,前記第一の側方用ヒータのコアと前記鋼材の中央部との間に形成される第一の間隔,及び,前記第二の側方用ヒータのコアと前記鋼材の中央部との間に形成される第二の間隔は,それぞれ変化させることが可能であり,前記鋼材の長さ方向に亘って,前記鋼材の中央部に対して前記熱処理によって与えられる昇温量ΔTの目標値,前記鋼材の中央部と一縁部との間に位置する第一の側方部に対して前記熱処理によって与えられる昇温量と前記昇温量ΔTとの昇温量差ΔEの目標値,及び,前記鋼材の中央部と他縁部との間に位置する第二の側方部に対して前記熱処理によって与えられる昇温量と前記昇温量ΔTとの昇温量差ΔEの目標値に基づいて,前記中央部用ヒータの出力の目標値,前記第一の側方用ヒータの出力の目標値,前記第二の側方用ヒータの出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を求め,前記鋼材の長さ方向における所定の位置に前記中央部用ヒータのコアが対向するときの前記中央部用ヒータの出力,前記所定の位置に前記第一の側方用ヒータのコアが対向するときの前記第一の側方用ヒータの出力,前記所定の位置に前記第二の側方用ヒータのコアが対向するときの前記第二の側方用ヒータの出力を互いに同一にしながら,前記第一の間隔,及び,前記第二の間隔を調節することを特徴とする,鋼材の加熱方法が提供される。
この鋼材の加熱方法にあっては,前記昇温量ΔTと,前記互いに同一の出力と,前記第一の間隔と,前記第二の間隔との関係を表した第一の関係式を用いて,前記互いに同一の出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を求めても良い。前記第一の関係式は,前記昇温量ΔTを,前記中央部用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量と,前記第一の側方用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量と,前記第二の側方用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量とを線型結合した式によって表したものでも良い。前記第一の側方用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量は,前記第一の間隔を変数とした二次の多項式を用いて表しても良い。前記第二の側方用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量を,前記第二の間隔を変数とした二次の多項式を用いて表しても良い。
また,前記昇温量差ΔEと,前記互いに同一の出力と,前記第一の間隔と,前記第二の間隔との関係を表した第二の関係式を用いて,前記互いに同一の出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を求めても良い。前記第二の関係式は,前記昇温量差ΔEを,前記中央部用ヒータによる加熱によって前記所定の位置における前記第一の側方部に対して与えられる昇温量と前記中央部用ヒータによる加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差と,前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記第一の側方部に対して与えられる昇温量と前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差と,を線型結合した式によって表したものでも良い。前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記第一の側方部に対して与えられる昇温量と前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差は,前記第一の間隔と前記第二の間隔を変数とした一次の多項式を用いて表しても良い。
また,前記昇温量差ΔEと,前記互いに同一の出力と,前記第一の間隔と,前記第二の間隔との関係を表した第三の関係式を用いて,前記互いに同一の出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を求め手も良い。前記第三の関係式は,前記昇温量差ΔEを,前記中央部用ヒータによる加熱によって前記所定の位置における前記第二の側方部に対して与えられる昇温量と前記中央部用ヒータによる加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差と,前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記第二の側方部に対して与えられる昇温量と前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差と,を線型結合した式によって表したものでも良い。前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記第二の側方部に対して与えられる昇温量と前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差は,前記第一の間隔と前記第二の間隔を変数とした一次の多項式を用いて表しても良い。
前記中央部用ヒータの出力の目標値,前記第一の側方用ヒータの出力の目標値,前記第二の側方用ヒータの出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を,
ΔT=(K1+γ・K3・X +γ・K3・X +γ・K4)・α
ΔE=(K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6)・α
ΔE=(K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6)・α
(K1,K2,K3,K4,K51,K52,K6:前記鋼材の幅に依存する係数,γ:前記第一のヒータによる加熱領域の状態と前記第二のヒータによる加熱領域の状態と前記第三のヒータによる加熱領域の状態とに関わる係数,X:前記第一の間隔,X:前記第二の間隔,α:前記中央部用ヒータの最大出力に対する前記中央部用ヒータの出力の割合,前記第一の側方用ヒータの最大出力に対する前記第一の側方用ヒータの出力の割合,及び,前記第二の側方用ヒータの最大出力に対する前記第二の側方用ヒータの出力の割合)を用いて求めても良い。
前記第一の間隔の目標値と前記第二の間隔の目標値は同一にしても良い。また,前記中央部用ヒータの出力の目標値,前記第一の側方用ヒータの出力の目標値,前記第二の側方用ヒータの出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値は,陽解法によって算出しても良い。前記中央部用ヒータ,前記第一の側方用ヒータ,前記第二の側方用ヒータを一定周期で制御しても良い。
前記熱処理を行う前に,前記鋼材の中央部の温度T,前記第一の側方部の温度TRE,前記第二の側方部の温度TLEを検出し,前記温度T,及び,前記熱処理による目標温度Tより,前記昇温量ΔTの目標値を求め,前記温度T,TREより,前記昇温量差ΔEの目標値を求め,前記温度T,TLEより,前記昇温量差ΔEの目標値を求めても良い。
本発明によれば,例えば鋼材の温度が幅方向と長さ方向に変化する場合(鋼材の幅方向においても長さ方向においても,温度分布にばらつきがある場合)であっても,昇温量ΔTの目標値,昇温量差ΔEの目標値,昇温量差ΔEの目標値に基づいて,中央部用ヒータの出力,第一の側方用ヒータの出力,第二の側方用ヒータの出力,第一の間隔,第二の間隔を調節することにより,鋼材の幅方向の温度分布を好適に制御できる。鋼材の長さ方向における所定の位置に対する各ヒータの出力の目標値(出力の割合の目標値)を同一にしながら調整することで,鋼材が幅方向に非対称な温度分布を有する場合でも、一定の計算時間で各目標値を計算できるようになる。これにより,シーケンス制御を一定周期で行うことができる。
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。第1に発明者らは,本実施形態を検討するに際し,鋼材としての粗バーH(図1参照)について,加熱前(後述する粗圧延機11において粗圧延された後,均熱部13において均熱処理される前)の長さ方向の温度分布を解析し,後に詳述する図2及び図3に示すような温度分布を有することを確認した。また,かかる温度分布を制御して幅方向に均一な温度分布を得る為に必要な温度上昇代について,次のような関係があることを見出した。即ち,粗バーHの中央部P(幅方向D2における中央部)の必要温度上昇代(後述する昇温量ΔT)と,粗バーHの後述する側方部P(P)と中央部Pの温度差に起因する必要温度上昇代の差(後述する昇温量差ΔE(ΔE))との間に,大まかな比例関係があることを見出した。さらに,中央部用ヒータ(例えば後述する第二のヒータ32)の出力と,側方用ヒータ(例えば後述する第一のヒータ31及び第三のヒータ33)の出力とを,粗バーHの長さ方向における同位置に対して,同一出力にすることが適することを見出した。
まず,粗バーの温度分布について説明する。粗圧延機11において粗圧延された後の粗バーHの温度分布は,例えば図2において実線で示されているように,中央部Pから左右両縁部側に向かうに従い次第に高温になり,側方部P,P付近において局所的に最高温(粗バーHの右半分における最高温度,粗バーHの左半分における最高温度)になっており,左右両縁部は放熱量が多いので,最も低温になっている。ここで,側方部Pは,粗バーHの中央部Pより外側(右縁部側),粗バーHの右縁部よりも内側に位置する部分であり,例えば1200mmの幅を有する粗バーHでは,右縁部より約150mm程度内側において粗バーHの長さ方向に沿った部分(中央部Pより約450mm程度外側において長さ方向に沿った部分)である。側方部Pは,粗バーHの中央部Pより外側(左縁部側),粗バーHの左縁部よりも内側に位置する部分であり,例えば1200mmの幅を有する粗バーHでは,左縁部より約150mm程度内側において粗バーHの長さ方向に沿った部分(中央部Pより約450mm程度外側において長さ方向に沿った部分)である。
なお,粗バーHの幅方向D2における温度分布は,左右非対称(横軸を幅方向の位置,縦軸を温度としたグラフ上において左右非対称な略M字状の曲線をなす温度分布)になっている場合が多い。例えば,粗バーHの右半分における最高温度と左半分における最高温度との温度差が2℃以上である場合を左右非対称な温度分布であると定義すると,通常の殆どの粗バーHは,長さ方向全体に渡って,左右非対称な温度分布を有しているといえる。図示の例では,粗バーHの幅方向D2における最高温度は,粗バーHの右半分における最高温度であり,粗バーHの左半分における最高温度よりも高くなっている。
即ち,図示の例では,粗バーHの中央部Pの温度T,側方部Pの温度TRE,側方部Pの温度TLEの関係は,T<TLE<TREとなっている。換言すれば,粗バーHの中央部Pに対して均熱処理によって与えられるべき昇温量ΔTの目標値ΔTCt(=T−T,T:均熱処理後の目標温度),粗バーHの側方部Pに対して均熱処理によって与えられるべき昇温量ΔTREの目標値ΔTREt(=T−TRE),粗バーHの側方部Pに対して均熱処理によって与えられるべき昇温量ΔTLEの目標値ΔTLEt(=T−TLE)の関係は,ΔTREt<ΔTLEt<ΔTCtとなっている。
さらに,図3において実線で示されているように,粗圧延機11において粗圧延された後の粗バーHの長さ方向における温度分布は,前端部と後端部との間において,温度が低温になっている部分と高温になっている部分とが交互に存在する状態になっている。即ち,中央部Pの温度Tが,長さ方向において交互に上下する場合が多い。同様に,側方部Pの温度TRE,側方部Pの温度TLEも,長さ方向において交互に上下する場合が多い。
また,発明者は,粗圧延機11において粗圧延された後の粗バーHの幅方向における温度分布が,長さ方向ではどのように変化しているか(長さ方向において異なる位置ではどのように違うか)を解析した。その結果,中央部Pcの温度Tが低い時には,各側方部P,Pの温度TRE,TLEも,それぞれ低い傾向があることを見出した。また,上述した目標値ΔTREt,ΔTLEtは,目標値ΔTCtにほぼ比例することを見出した。換言すれば,目標値ΔTCtと目標値ΔTREtとの差,即ち,昇温量差ΔEの目標値ΔERt(=ΔTCt−ΔTREt=(T−T)−(T−TRE)=TRE−T)も,目標値ΔTCtにほぼ比例すること,及び,目標値ΔTCtと目標値ΔTLEtとの差,即ち,昇温量差ΔEの目標値ΔELt(=ΔTCt−ΔTLEt=(T−T)−(T−TLE)=TLE−T)も,目標値ΔTCtにほぼ比例することを見出した(図4参照)。
なお,図4より,昇温量(目標値)ΔTCtと昇温量差(目標値)ΔERtの関係を近似する直線の勾配(比例定数k)と,昇温量(目標値)ΔTCtと昇温量差(目標値)ΔELtの関係を近似する直線の勾配(比例定数k)とは,互いに異なっていることがわかる。また,近似直線に対する実際の測定値のばらつきもある。
因みに,以上の図2,図3,図4に示したような温度分布の傾向は,後述する加熱炉10内での加熱,粗圧延機11による粗圧延,搬送ロール18上での抜熱等が影響していると考えられる。
上記のような温度分布の特徴を踏まえた上で,発明者は,均熱処理時,中央部Pの昇温量ΔTを大きくするときには,各昇温量差ΔE,ΔEもそれぞれ昇温量ΔTに比例させて大きくするように制御すると,粗バーHの長さ方向においても中央部Pと各側方部P,Pの温度の変動が少ない(各温度T,TRE,TLEの均一性が高い)温度分布が得られることを見出した。更に,上記比例定数のk,kの違いに対応した調整等,より細かく温度分布を制御する為には,中央部のヒータ32を固定し,左右のヒータ31,33を幅方向において個別に移動させて調節する(後述する間隔X,Xを各々調節する)ことが必要なことを見出し,本実施形態を完成させた。
次に,本発明に用いた設備構成について以下に述べる。図5は,熱間圧延が行われる熱間圧延設備1の構成の概略を示す模式図である。熱間圧延設備1は,例えば加熱炉10,粗圧延機11,切断機12,本実施の形態にかかる加熱方法が実現される均熱部13,エッジヒータ15,仕上圧延機群16及び巻取機17などを横方向においてこの順に並べて備えた熱間圧延ラインLを構成している。また,鋼材Hを加熱炉10から巻取機17に向かって横向きの移動方向D1(通板方向,鋼材Hの長さ方向)に沿って搬送する搬送ロール18が設けられている。なお,本実施の形態では,圧延材となる鋼材Hを圧延の段階に応じてスラブH,粗バーH,鋼板Hと呼称する。さらに,熱間圧延設備1には,均熱部13において粗バーHの温度分布を調節する前に粗バーHの温度を検出する第一の温度検出器21,第二の温度検出器22,第三の温度検出器23,搬送ロール18の搬送速度を検出する速度計24が設けられている。また,温度検出器21,22,23による温度検出値に基づいて均熱部13を制御する制御装置25が設けられている。
加熱炉10は,例えばウォーキングビーム式の連続加熱炉であり,鋳造されたスラブHを圧延に必要な温度に再加熱することができる。粗圧延機11は,仕上圧延に適する厚みまでスラブHを圧延して粗バーHを形成する。この粗バーHは,搬送ロール18上において搬送される。均熱部13は,粗バーHの温度分布を制御できる。この均熱部13の構成については,後に詳細に説明する。エッジヒータ15は,粗バーHの幅方向における左右両縁部を加熱する。仕上圧延機群16は,熱間圧延ラインLに沿って配置された複数台の仕上圧延機から構成されており,目標とする最終製品厚まで粗バーHを圧延して鋼板Hを形成できる。巻取機17は,仕上圧延された鋼板Hをコイル状に巻き取る構成となっている。
次に,均熱部13の構成について詳細に説明する。均熱部13は,第一の側方用ヒータとしての第一のヒータ31,中央部用ヒータとしての第二のヒータ32,及び,第二の側方部ヒータとしての第三のヒータ33を備えており,各ヒータ31,32,33によって粗バーHを部分的に加熱することで,粗バーHに対して所定の熱処理,即ち均熱処理を行うことができる。
各ヒータ31,32,33は,例えばトランスバース型誘導加熱装置からなるヒータであって,互いにほぼ同様の構成を有し,実質的に同一のヒータである。図6に示すように,ヒータ31(32,33)は,搬送ロール18の上方に配置されたコア(上部鉄心)41と,搬送ロール18の下方に配置されたコア(下部鉄心)42とを備えている。また,図示はしないが,ヒータ31,33は,コア41とコア42を一体的に搬送ロール18に対して相対的に移動させるためのヒータ移動機構を備えている。なお,本実施形態においては,ヒータ32は搬送ロール18に対して移動させないので,ヒータ32にはヒータ移動機構を設けなくても良い。
コア41は,例えば略コの字型をなし,両端部41a,41bが下方に向けられ,また,両端部41a,41bが移動方向D1において前後に並ぶように配置されている。各端部41a,41bの外周囲には,電流が通電させられるコイル43a,43bがそれぞれ巻き付けられている。コア42も,例えば略コの字型をなし,両端部42a,42bが上方に向けられ,また,両端部42a,42bが移動方向D1において前後に並ぶように配置されている。各端部42a,42bの外周囲には,電流が通電させられるコイル44a,44bがそれぞれ巻き付けられている。そして,コア41の端部41aとコア42の端部42aとが,また,コア41の端部41bとコア42の端部42bとが,それぞれ搬送ロール18によって搬送される粗バーHが通過する空間を挟んで,互いに上下に対向するように配置されている。なお,粗バーHの幅方向におけるコア41,42の幅(端部41aの下面の幅,端部41bの下面の幅,端部42aの上面の幅,及び,端部42bの上面の幅)は,粗バーHの幅の約1/2〜約1/3程度であっても良く,例えば粗バーHの幅が1100mm〜1800mm程度の場合,例えば約600mm程度であっても良い。一方,移動方向D1におけるコア41,42の長さ(端部41aの下面の上流側縁部と端部41bの下面の下流側縁部との間の幅,及び,端部42aの上面の上流側縁部と端部42bの上面の下流側縁部との間の幅)は,例えば約700mm〜750mm程度であっても良い。
搬送ロール18上の粗バーHは,端部41aと端部42aとの間,端部41bと端部42bとの間をこの順に通過して,移動方向D1に搬送されるようになっている。また,粗バーHがコア41とコア42との間を通過する際,コイル43a,43b,44a,44bにそれぞれ電流が供給されると,粗バーHの厚さ方向に貫通する磁束,即ち,端部41aから端部42aへ向かい,端部42bから端部41bへ向かう磁束Φが発生し,電磁誘導効果によって,図7に示すように,粗バーH中に磁束Φを中心とした誘導電流(渦電流)が発生する。この誘導電流のエネルギーにより,粗バーHが加熱させられる構成となっている。
なお,ヒータ31(32,33)による加熱領域とは,コア41,42の磁束Φによって生じた誘導電流が分布している範囲である。加熱領域は,粗バーHが端部41a,41b,42a,42bに対向する部分だけでなく,端部41a,41b,42a,42bの外側にも広がるように形成される。また,誘導電流は,コア41,42から離隔するに従い次第に小さくなるので,粗バーHに対して与えられる加熱量も,コア41,42から離隔するほど少なくなる。また,本実施形態のように複数のヒータ31,32,33を並べて設けた場合では,各コア41,42の磁束Φによって生じた誘導電流同士が互いに重なり合い,影響を及ぼし合うこと,加熱領域同士が互いに影響を及ぼし合う(干渉する)ことが考えられる。特に,隣り合うヒータの加熱領域同士,即ち,ヒータ31の加熱領域とヒータ32の加熱領域,及び,ヒータ32の加熱領域とヒータ33の加熱領域とは,比較的大きな影響を及ぼしやすい。そのため,各ヒータ31,32,33の出力G(即ち,コイル43a,43b,44a,44bに供給される電流の大きさ)は,各加熱領域同士が互いに及ぼす影響を考慮して設定することが望ましい。なお,加熱領域の干渉の考慮の仕方については後述する。
図8に示すように,ヒータ31は,粗バーHの右側(移動方向D1において上流側(第一の切断機12側)からみて右側)を集中的に加熱できる構成となっている。即ち,ヒータ31のコア41,42は,後述するヒータ32,33のコア41,42よりも右側に,つまり粗バーHの一縁部である右縁部側に近い部分に対向するように(平面視において粗バーHの右側に重なる位置に)配置される。具体的には,コア41の下面中心部(端部41aの下面中心部,端部41bの下面中心部)が,粗バーHの幅方向D2における中央部P(幅方向中央部)よりも右側に配置され,また,コア42の上面中心部(端部42aの上面中心部,端部42bの上面中心部)が,中央部Pよりも右側に配置されるようになっている。また,少なくとも,粗バーHの中央部Pと右縁部との間に位置する第一の側方部P(均熱処理前の粗バーHにおいて温度が比較的高温になっている部分)と中央部Pとの間に対向する位置において,コア41(42)を移動できるようにすることが好ましい。
また,平面視において中央部Pとヒータ31のコア41の下面中心部(コア42の上面中心部)との間に形成される間隔,即ち,幅方向D2における第一の間隔Xは,可変になっている。即ち,制御装置25の制御命令により,図示しないヒータ移動機構が駆動させられ,ヒータ31のコア41とコア42とが一体的に,粗バーHに対して相対的に,幅方向D2に沿って左右に移動させられるようになっている。
ヒータ32は,粗バーHの中央部P付近を集中的に加熱できるように配置されている。即ち,コア41,42が中央部Pに対向するように(平面視において粗バーHの中央部Pに重なる位置に)配置されている。具体的には,コア41の下面中心部とコア42の上面中心部が,中央部Pにそれぞれ対向するように配置されている。
ヒータ33は,粗バーHの左側(移動方向D1において上流側からみて左側)を集中的に加熱できる構成となっている。即ち,ヒータ33のコア41,42は,ヒータ31,32のコア41,42よりも左側に,つまり粗バーHの他縁部である左縁部側に近い部分に対向するように(平面視において粗バーHの左側に重なる位置に)配置される。具体的には,コア41の下面中心部とコア42の上面中心部が,中央部Pよりも左側に配置されるようになっている。また,少なくとも,粗バーHの中央部Pと左縁部との間に位置する第二の側方部P(均熱処理前の粗バーHにおいて温度が比較的高温になっている部分)と中央部Pとの間に対向する位置において,コア41(42)を移動できるようにすることが好ましい。
また,平面視において中央部Pとヒータ33のコア41の下面中心部(コア42の上面中心部)との間に形成される間隔,即ち,幅方向D2における第二の間隔Xは,可変になっている。即ち,制御装置25の制御命令により,図示しないヒータ移動機構が駆動させられ,ヒータ33のコア41とコア42とが一体的に,粗バーHに対して相対的に,幅方向D2に沿って左右に移動させられるようになっている。
上述のように,二つのヒータ31,33は,粗バーHの幅方向において中央部Pを挟んで互いに反対側を集中的に加熱できるようになっており,各間隔(シフト量)X,Xは,それぞれ個別に変化させることができる。また,ヒータ31のコア41(42)とヒータ33のコア41(42)は,移動方向D1においてヒータ32のコア41(42)の前後にそれぞれ配置されている。移動方向D1において,ヒータ31のコア41(42)とヒータ32のコア41(42)との間の距離,ヒータ32のコア41(42)とヒータ33のコア41(42)との間の距離は,互いにほぼ同じ距離に設定されている。即ち,ヒータ31に設けられたコア41の中央部(端部41aの下面前縁部と端部41bの下面後縁部との間における中央部)とヒータ32に設けられたコア41の中央部との間の間隔,ヒータ31に設けられたコア42の中央部(端部42aの上面前縁部と端部42bの上面後縁部との間における中央部)とヒータ32に設けられたコア42の中央部との間の間隔,ヒータ32に設けられたコア41の中央部とヒータ33に設けられたコア41の中央部との間の間隔,ヒータ32に設けられたコア42の中央部とヒータ33に設けられたコア42の中央部との間の間隔は,それぞれ同一の距離Yになっている。
なお,距離Yが小さすぎると,各ヒータ31,32,33による加熱領域が互いに強く干渉しすぎて,各ヒータ31,32,33による加熱量を正確に制御することが難しくなるので,距離Yは,加熱領域同士の干渉が十分に少なくなるような大きさにすることが望ましい。一方,距離Yが大きすぎると,移動方向D1において上流側のヒータ31(32)によって加熱された後,下流側のヒータ32(33)によって加熱される前に,粗バーHに与えられた熱が拡散し,粗バーHの温度が大幅に低下してしまうので,この場合も,粗バーHの温度分布の制御が難しくなる。そのため,距離Yは,温度が大幅に低下しないうちに下流側で加熱できる範囲にすることが望ましい。例えば,移動方向D1に沿った方向におけるヒータ31,32,33の各コア41(42)の幅が700mm程度の場合,距離Yは,約1400mm程度にしても良い。また,移動方向D1に沿った方向におけるヒータ31,32,33の各コア41(42)の幅が750mm程度の場合,距離Yは,約1500mm程度にしても良い。
各ヒータ31,32,33の出力G(最大出力GMAXに対する割合α(=G/GMAX))は,それぞれ可変になっている。即ち,制御装置25の制御命令により,各ヒータ31,32,33におけるコイル43a,43b,44a,44bに供給される電流の大きさが調節されることにより,各ヒータ31,32,33の出力Gがそれぞれ調節されるようになっている。
次に本実施形態における温度制御システムの構成について述べる。図5に示すように,温度検出器21,22,23は,例えば粗圧延機11の後方に設けられている。即ち,搬送ロール18上に載せられた粗バーHに対して,均熱部13における均熱処理が行われる前に,各温度検出器21,22,23による温度検出が行われるようになっている。また,図9に示すように,温度検出器21,22,23は,粗バーHの幅方向D2に沿って一列に並べて配置されている。温度検出器21は,中央部Pの温度Tを検出するように配置されている。温度検出器22は,温度検出器21の右側方に,例えば側方部Pの温度TREを検出するように配置されている。温度検出器23は,温度検出器21の左側方に,例えば側方部Pの温度TLEを検出するように配置されている。つまり,粗バーHの長さ方向における所定の位置h(粗バーHの前端部から所定の距離だけ後端部側に移動した位置であって,幅方向D2に沿った略直線状(又は略帯状)をなす部分,換言すれば,側面視において同一の点になる部分)における3箇所の温度T,TRE,TLEを同時に測定できるようになっている。各温度検出値T,TRE,TLEは,温度検出器21,22,23から制御装置25(後述する演算部25a)にそれぞれ送信される。なお,温度検出器21,22,23は,別々に配置されるものに限定されず,例えば粗バーHの幅方向において中央部P,側方部P,Pを含む複数の箇所の温度を測定可能な一台の温度計を設置し,その温度計において中央部Pの温度を検出する部分,側方部Pの温度を検出する部分,側方部Pの温度を検出する部分を,それぞれ温度検出器21,22,23として用いても良い。
図5に示すように,速度計24は,例えば粗圧延機11の後方に設けられている。速度計24による搬送速度の検出値は,制御装置25(後述する演算部25a)によって逐次監視される。
制御装置25は,例えばPLC(シーケンサ)であって,均熱部13に関する各種目標値の算出等の演算を行う演算部25aと,均熱部13の制御を行う均熱制御部25bとを備えている。
演算部25aは,各温度検出器21,22,23によって検出された温度検出値T,TRE,TLE,速度計24による粗バーHの搬送速度の検出値等を受信する。そして,温度検出値T及び搬送速度を監視することで,粗バーHの長さ方向における中央部Pの温度分布を検知できる。また,温度検出値TRE及び搬送速度を監視することで,粗バーHの長さ方向における側方部Pの温度分布を検知すること,あるいは,温度検出値TLE及び搬送速度を監視することで,粗バーHの長さ方向における側方部Pの温度分布を検知することも可能である。
また,温度検出値T,TRE,TLE,及び,搬送速度を監視することで,中央部Pと側方部Pとの温度差(TRE−T),及び,中央部Pと側方部Pとの温度差(TLE−T)を検知できる。即ち,粗バーHの幅方向D2における温度分布の状態を推測することができ,例えば温度分布が左右非対称であるか否か等を判定できる。例えば図1に示すような,粗バーHの長さ方向における複数の所定位置h,即ち,粗バーHの幅方向D2に沿った互いに略平行な略直線状をなし,長さ方向においては所定間隔(等間隔)を空けて並ぶように設定された部分h(図示の例では,前端部側からh,h,・・・,h,・・・,h,k=1,2,・・・,n)における温度検出値T,TRE,TLEを検知することで,各所定位置hにおける温度分布を確認するようになっている。
さらに,演算部25aは,各ヒータ31,32,33の出力の割合αの目標値α(出力Gの目標値G=α・GMAX),間隔Xの目標値XRt,及び,間隔Xの目標値XLtを算出する機能を有する。即ち,各目標値α,XRt,XLtを算出するためのプログラムを記憶しており,このプログラムに従って演算が行われるようになっている。
次に,演算部25aの演算に用いられるプログラムに利用される式の構成について説明する。この式を導出するにあたり,発明者は以下のことを見出した。
1)前述したように,粗バーHの長さ方向における同じ位置hで3台のヒータ31,32,33の出力G(割合α)を同一にすると,幅方向においても長さ方向においても,温度分布を制御しやすい。
2)更に温度制御の精度を向上させる為に,2台の左右のヒータ31,33を動かすが,この際に中央部Pの昇温量ΔTは,間隔X,Xの影響を受け,間隔X,Xの二次の関数を用いて表すことができる。
3)側方部P,Pでの昇温量ΔTRE,ΔTLEは,各ヒータ31,32,33の加熱の影響を受けるが,昇温量差ΔE,ΔEは,間隔X,Xの一次の関数を用いて表すことができる。
4)これらの関係を用いると,各ヒータ31,32,33の出力G(割合α)と間隔X,Xは,繰り返し計算をしなくても求めることができるので,計算時間を一定にしてPLC内で処理できる。
図10に示すように,演算部25aにおいて,ある所定位置hにおける昇温量ΔTの目標値ΔTCt,昇温量差ΔEの目標値ΔERt,昇温量差ΔEの目標値ΔELtは,温度検出値T,TRE,TLE,及び,予め演算部25aに設けられた記憶領域に記憶されている均熱処理による目標温度Tより求められる。即ち,温度検出値Tと目標温度Tより,昇温量ΔTの目標値ΔTCt(=T−T)を求めることができる。また,温度検出値T,TREより,昇温量差ΔEの目標値ΔERt(=(T−T)−(T−TRE)=TRE−T)を求めることができる。さらに,温度検出値T,TLEより,昇温量差ΔEの目標値ΔELt(=(T−T)−(T−TLE)=TLE−T)を求めることができる。
こうして得られた昇温量差ΔEの目標値ΔERt,昇温量差ΔEの目標値ΔELtを,例えば以下に示すような3つの関係式,即ち,第一の関係式(1),第二の関係式(2),第三の関係式(3)に対して,ΔE=ΔERt,ΔE=ΔERt,ΔE=ΔELtとして代入することで,以下に示すような第一の式(4),第二の式(5),第三の式(6)が得られる。即ち,3つの未知数α,XRt,XLtを有する式(4),(5),(6)からなる三次の連立方程式が得られる。そして,これらの式(4),(5),(6)を,α≧0,XRt≧0,XLt≧0の範囲内で解くことにより,その所定位置hにおける目標値α,XRt,XLtを算出できる。
ΔT=(K1+γ・K3・X +γ・K3・X +γ・K4)・α ・・・(1)
ΔE=(K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6)・α ・・・(2)
ΔE=(K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6)・α ・・・(3)
ΔTCt=(K1+γ・K3・XRt +γ・K3・XLt +γ・K4)・α ・・・(4)
ΔERt=(K2+γ・K51・XRt+γ・K52・XLt+γ・K6)・α ・・・(5)
ΔELt=(K2+γ・K51・XLt+γ・K52・XRt+γ・K6)・α ・・・(6)
ここで,K1,K2,K3,K4,K51,K52,K6は,粗バーHの幅に依存する係数(定数)である。γは,ヒータ31による加熱領域と,ヒータ32の加熱領域と,ヒータ33による加熱領域とが互いに及ぼし合う影響を考慮した補正係数(定数)(即ち,ヒータ31による加熱領域の状態と,ヒータ32の加熱領域の状態と,ヒータ33による加熱領域の状態とに関係する係数)である。
なお,係数K1,K2,K3,K4,K51,K52,K6は,予め,様々な幅の粗バーHについて,間隔X,Xと各ヒータ31,32,33による昇温量との関係を調べることにより求め,演算部25aに記憶させておけば良い。また,係数γも,予め,例えば各ヒータ31,32,33の出力の割合αと各ヒータ31,32,33の加熱領域の状態とを調べること等により求め,演算部25aに記憶させておけば良い。因みに,係数γは,距離Yとヒータ31(32,33)によって粗バーHに与えられる昇温量の最大値とに依存する係数であり,工業的には一定の値とおいて良い。例えば本実施の形態において,距離Yが約1400mm,移動方向D1におけるコア41(42)の幅が約700mm,ヒータ31(32,33)による昇温量の最大値が50℃であるとすると,γは約1.1程度であっても良い。
ここで,関係式(1)が導出される理論について説明する。図11に示したグラフは,ヒータ31(32,33)と実質的に同一の構成を有する一台のヒータ50A(出力Gは最大出力GMAX(α=1)(一定))のみで加熱を行う場合(図12参照)について,粗バーHの所定位置hに対して与えられる昇温量のシミュレーションを行ったものである。図11に示したグラフにおいては,中央部Pを基準(0mm)としたコア41,42の位置,即ち,中央部Pとコア41の下面中心部(コア42の上面中心部)との間の幅方向D2における間隔X[mm]を横軸とし,ヒータ50Aの加熱によって所定位置hの中央部Pに対して与えられる昇温量ΔTC(α=1)’を縦軸として表している。なお,横軸において,間隔Xは,コア41の下面中心部(コア42の上面中心部)が中央部Pより右側に位置する場合が正の値,左側に位置する場合が負の値として表されている。また,図12の例では,粗バーHの幅は1200mm,側方部Pは,粗バーHの右縁部より150mm内側(中央部P側)の位置,側方部Pは粗バーHの左縁部から150mm内側の位置とした。幅方向D2におけるコア41,42の幅は,約600mmとした。
図11に示すように,Xを変化させたときの昇温量ΔTC(α=1)’の変化を表す曲線は,X=0を頂点とした上に凸状の二次曲線(放物線)になる。即ち,昇温量ΔTC(α=1)’は,Xを変数とした二次の多項式(K3・X +K1,K1>0,K3<0)によって表すことができる。換言すれば,Xを独立変数とし,昇温量ΔTC(α=1)’を従属変数とした二次関数(ΔTC(α=1)’=K3・X +K1)によって表すことができる。
以上の関係を用いると,本実施形態における三台のヒータ31,32,33(いずれもα=1)によって所定位置hを順次加熱した場合に所定位置hの中央部Pに与えられる昇温量ΔTC(α=1)に関する式を導出することができる。即ち,各ヒータ31,32,33の出力を互いに同一かつ一定(α=1)とした場合に所定位置hに対して与えられる昇温量ΔTC(α=1)は,3つの昇温量を重ね合わせた式,つまり,ヒータ31の加熱によって所定位置hの中央部Pに対して与えられる昇温量(Xを変数とする二次の多項式 K3・X +K1,即ち,X=Xとし,ヒータ50Aをヒータ31に置き換えて導出した式)と,ヒータ32の加熱によって所定位置hの中央部Pに対して与えられる昇温量(定数K1,即ち,X=0とし,ヒータ50Aをヒータ32に置き換えて導出した式)と,ヒータ33(X=−X)の加熱によって所定位置hの中央部Pに対して与えられる昇温量(Xを変数とする二次の多項式 K3・X +K1,即ち,X=−Xとし,ヒータ50Aをヒータ33に置き換えて導出した式)と,を線型結合させた(定数倍して足し合わせた)多項式によって表すことができる(近似できる)。従って,次式(1−a)が得られる。
ΔTC(α=1)=K1+γ・(K3・X +K1)+γ・(K3・X +K1)
=K1+γ・K3・X +γ・K3・X +γ・K4 ・・・(1−a)
このように,昇温量ΔTC(α=1)は,XとXの二変数関数(二次の多項式)によって表すことができる。
また,出力の割合αを可変とした一台のヒータ50Aの加熱によって中央部Pに対して与えられる昇温量ΔT’は,上記のXを変数とした二次の多項式とヒータ50Aの出力の割合αとを用いて表した(掛け合わせた)式,即ち,α・(K3・X +K1)で表すことができる。これを用いて,ヒータ31,32,33の各出力の割合αを互いに同一かつ可変とした状態で粗バーHの所定位置hを順次加熱した際にヒータ31,32,33の加熱によって中央部Pに与えられる昇温量ΔTに関する式を導出することができる。即ち,この場合の昇温量ΔTは,3つの昇温量を重ね合わせた式,つまり,ヒータ31の加熱によって所定位置hの中央部Pに対して与えられる昇温量(Xを変数とした二次の多項式とヒータ31の出力の割合αとを用いて表した式,α・(K3・X +K1))と,ヒータ32の加熱によって所定位置hの中央部Pに対して与えられる昇温量(K1とヒータ32の出力の割合αとを用いて表した式,α・K1)と,ヒータ33の加熱によって所定位置hの中央部Pに対して与えられる昇温量(Xを変数とした二次の多項式とヒータ33の出力の割合αとを用いて表した式,α・(K3・X +K1))と,を線型結合させた多項式によって表すことができる(近似できる)。これより,昇温量ΔT,出力の割合α,間隔X,Xの関係を表した第一の関係式(1)が得られる。
ΔT=α・K1+γ・α・(K3・X +K1)+γ・α・(K3・X +K1)
=(K1+γ・K3・X +γ・K3・X +γ・K4)・α
・・・(1)
換言すれば,ΔTは,ΔTC(α=1)とαを用いて表すことができる(ΔT=α・ΔTC(α=1))。
次に,関係式(2)が導出される理論について説明する。図13に示したグラフは,上記のシミュレーションに関する別のグラフであり,横軸は図11のものと同様である。グラフ中の2本の曲線の一方は,前述した昇温量ΔTC(α=1)’の変化を表す曲線であり,他方の曲線は,Xを変化させたときの所定位置hにおける側方部Pに対してヒータ50Aの加熱によって与えられる昇温量ΔTRE(α=1)’の変化を表す曲線である。X=0のとき(即ち,コア41の下面中心部(コア42の上面中心部)が中央部Pに対向する位置にあるとき),所定位置hにおける中央部Pに対して与えられる昇温量(K1[℃])と所定位置hにおける側方部Pに対して与えられる昇温量との昇温量差は,K2[℃]である。
一方,図14に示したグラフは,ヒータ31(32,33)と実質的に同一の構成を有する二台のヒータ50B,50C(出力Gはそれぞれ最大出力GMAX(α=1)(一定))で加熱を行う場合(図15参照)について,粗バーHの所定位置hに対して与えられる昇温量差のシミュレーションを行ったものである。図14に示したグラフにおいては,中央部Pとヒータ50Bのコア41の下面中心部(コア42の上面中心部)との間の幅方向D2における間隔X[mm]を横軸(コア41の下面中心部(コア42の上面中心部)が中央部Pより右側に位置する場合が正の値,左側に位置する場合が負の値)とし,ヒータ50B,50Cの加熱によって生じる昇温量差ΔER(α=1)’(ヒータ50B,50Cの加熱によって所定位置hにおける中央部Pに対して与えられる昇温量ΔTC(α=1)’とヒータ50B,50Cの加熱によって所定位置hにおける側方部Pに対して与えられる昇温量ΔTRE(α=1)’との昇温量差)を縦軸として表している。グラフ中の5つの曲線は,中央部Pとヒータ50Cのコア41の下面中心部(コア42の上面中心部)との間の幅方向D2における間隔X[mm]を4段階に変化させたとき(X=−300,−200,−100,0(コア41の下面中心部(コア42の上面中心部)が中央部Pより左側に位置する場合が負の値))の,間隔Xと昇温量差ΔER(α=1)’との各関係を表す線,及び,これらの平均を表す曲線である。なお,図15の例では,図12の例と同様に,粗バーHの幅は1200mm,側方部Pは,粗バーHの右縁部より150mm内側(中央部P側)の位置,側方部Pは粗バーHの左縁部から150mm内側の位置とした。幅方向D2におけるコア41,42の幅は,約600mmとした。
図14に示されているように,昇温量差ΔER(α=1)’は,Xが負の値である場合よりも正の値である場合のほうが小さくなる。即ち,ヒータ50Bのコア41(42)が中央部Pに対して左側に寄った位置にある場合より,右側に寄った位置にある場合のほうが小さくなる。また,X≧0の範囲では,Xが大きくなるほど,即ち,ヒータ50Bのコア41,42が右側に向かうほど,昇温量差ΔER(α=1)’は次第に小さくなる。さらに,昇温量差ΔER(α=1)’(X≧0)の曲線は,Xの増加に比例して減少する直線に近似できる。つまり,Xを変数とした一次の多項式(K51・X+K6’,K51<0,K6’>0,X≧0)によって表すことができる(近似できる)。換言すれば,Xを独立変数とし,昇温量差ΔER(α=1)’を従属変数とした一次関数(ΔER(α=1)’=K51・X+K6’)によって近似できる。さらに,Xの影響も考慮すると,昇温量差ΔER(α=1)’(X>0,X<0)は,X,Xを変数とした一次の多項式(K51・X+K52・|X|+K6)によって表すことができる。換言すれば,X,Xを独立変数とし,昇温量差ΔER(α=1)’を従属変数とした一次関数(ΔER(α=1)’=K51・X+K52・|X|+K6)によって近似できる。なお,昇温量差ΔER(α=1)’に対するXの影響は非常に少ないので,例えばK52≒0,K6≒K6’としても良い。
以上の図13及び図14のグラフより,本実施形態における三台のヒータ31,32,33(いずれもα=1)によって所定位置hを順次加熱した場合に所定位置hの中央部Pに与えられる昇温量と所定位置hの側方部Pに与えられる昇温量との昇温量差ΔER(α=1)に関する式を導出することができる。即ち,各ヒータ31,32,33の出力を互いに同一かつ一定(α=1)とした場合に所定位置hに生じる昇温量差ΔER(α=1)は,2つの昇温量差を重ね合わせた式,つまり,ヒータ32の加熱によって生じる昇温量差(前述したK2(図13参照),即ち,X=0とし,ヒータ50Aをヒータ32に置き換えて導出した定数)
)と,ヒータ31及びヒータ33の加熱によって所定位置hに生じる昇温量差(X,Xを変数とした一次の多項式 K51・X+K52・X+K6,即ち,X=X,X=|X|とし,ヒータ50B,50Cをそれぞれヒータ31,33に置き換えて導出した式)と,を線型結合させた多項式によって表すことができる(近似できる)。即ち,次式(2−a)が得られる。
ΔER(α=1)=K2+γ・ΔER(α=1)
=K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6 ・・・(2−a)
このように,昇温量差ΔER(α=1)は,XとXの二変数関数(一次の多項式)によって表すことができる。
また,出力の割合αを互いに同一かつ可変とした二台のヒータ50B,50Cの加熱によって所定位置hに生じる昇温量差ΔE’は,上記のX,Xを変数とした一次の多項式と各ヒータ50B,50Cの出力の割合αとを用いて表した(掛け合わせた)式,即ち,α・(K51・X+K52・|X|+K6)で表すことができる。これを用いて,ヒータ31,32,33の各出力の割合αを互いに同一かつ可変とした状態で粗バーHの所定位置hを順次加熱した際に所定位置hに生じる昇温量差ΔEに関する式を導出することができる。即ち,この場合の昇温量差ΔEは,2つの昇温量差を重ね合わせた式,つまり,ヒータ32の加熱によって生じる昇温量差(K2とヒータ32の出力の割合αとを用いて表した式,α・K2)と,ヒータ31及びヒータ33の加熱によって生じる昇温量差(X,Xを変数とした一次の多項式とヒータ31,33の出力の割合αとを用いて表した式,α・(K51・X+K52・X+K6))と,を線型結合させた多項式によって表すことができる(近似できる)。これより,昇温量差ΔE,出力の割合α,間隔X,Xの関係を表した第二の関係式(2)が得られる。
ΔE=α・K2+γ・ΔE
=α・K2+γ・α・(K51・X+K52・X+K6)
=(K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6)・α ・・・(2)
換言すれば,ΔEは,ΔER(α=1)とαを用いて表すことができる(ΔE=α・ΔER(α=1))。
次に,式(3)が導出される理論について説明する。式(3)は,式(2)とほぼ同様にして導出することができる。例えば図12に示したグラフにおいて,ヒータ50Aの間隔Xを変化させたとき所定位置hの側方部Pに対して与えられる昇温量の変化を表す曲線は,所定位置hの側方部Pに対して与えられる昇温量の変化を表す曲線に対して,X=0を中心として線対称な形状に表される。そのため,ヒータ50A(X=0)から所定位置hの中央部Pに対して与えられる昇温量と所定位置hの側方部Pに対して与えられる昇温量との昇温量差も,K2[℃]である。また,出力の割合αを一定(α=1)にした二台のヒータ50B,50Cによって加熱する場合に所定位置hの中央部Pに対して与えられる昇温量ΔTC(α=1)’と所定位置hの側方部Pに対して与えられる昇温量ΔTLE(α=1)’との昇温量差ΔEL(α=1)’は,X,Xを変数とした一次の多項式(K51・|X|+K52・X+K6)によって表すことができる(近似できる)。
以上の式より,本実施形態における三台のヒータ31,32,33(いずれもα=1)によって所定位置hを順次加熱した場合に所定位置hの中央部Pに与えられる昇温量と所定位置hの側方部Pに与えられる昇温量との昇温量差ΔEL(α=1)に関する式を導出することができる。即ち,各ヒータ31,32,33の出力を互いに同一かつ一定(α=1)とした場合に所定位置hに生じる昇温量差ΔEL(α=1)は,2つの昇温量差を重ね合わせた式,つまり,ヒータ32の加熱によって生じる昇温量差(K2)と,ヒータ31及びヒータ33の加熱によって所定位置hに生じる昇温量差(X,Xを変数とした一次の多項式 K51・X+K52・X+K6,即ち,X=X,X=|X|とし,ヒータ50B,50Cをそれぞれヒータ31,33に置き換えて導出した式)と,を線型結合させた多項式によって表すことができる(近似できる)。即ち,次式(3−a)が得られる。
ΔEL(α=1)=K2+γ・ΔEL(α=1)
=K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6 ・・・(3−a)
このように,昇温量差ΔEL(α=1)も,XとXの二変数関数によって表すことができる。
また,出力の割合αを互いに同一かつ可変とした二台のヒータ50B,50Cの加熱によって所定位置hに生じる昇温量差ΔE’は,上記のX,Xを変数とした一次の多項式と各ヒータ50B,50Cの出力の割合αとを用いて表した(掛け合わせた)式,即ち,α・(K51・|X|+K52・X+K6)で表すことができる。これを用いて,ヒータ31,32,33の各出力の割合αを互いに同一かつ可変とした状態で粗バーHの所定位置hを順次加熱した際に所定位置hに生じる昇温量差ΔEに関する式を導出することができる。即ち,この場合の昇温量差ΔEは,2つの昇温量差を重ね合わせた式,つまり,ヒータ32の加熱によって生じる昇温量差(α・K2)と,ヒータ31及びヒータ33の加熱によって生じる昇温量差(X,Xを変数とした一次の多項式とヒータ31,33の出力の割合αとを用いて表した式,α・(K51・X+K52・X+K6))と,を線型結合させた多項式によって表すことができる(近似できる)。これより,昇温量差ΔE,出力の割合α,間隔X,Xの関係を表した第三の関係式(3)が得られる。
ΔE=α・K2+γ・ΔE
=α・K2+γ・α・(K51・X+K52・X+K6)
=(K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6)・α ・・・(3)
換言すれば,ΔEは,ΔEL(α=1)とαを用いて表すことができる(ΔE=α・ΔEL(α=1))。
即ち,本実施形態によれば,所定位置hに対してコア41,42が対向するように配置されるときのヒータ31の出力の割合αと,当該所定位置hに対してコア41,42が対向するように配置されるときのヒータ32の出力の割合αと,当該所定位置hに対してコア41,42が対向するように配置されるときのヒータ33の出力の割合αとを,各所定位置h毎に互いに同じ値に設定することで,粗バーHの温度分布の制御に用いられる変数を,α,X,Xの3個だけに減少させることができる。そして,α,X,Xに関する比較的簡単な関係式(1),(2),(3)を利用して,α,X,Xの目標値α,XRt,XLtを容易に計算することができる。従って,温度分布の制御を容易に行うことができる。
上記式(4),(5),(6)からなる連立方程式は,陽解法で直接解を求めることが可能である。即ち,目標値α,XRt,XLtは陽解法で求められる。この場合,演算部25aにおける計算時間,即ち,各所定位置hに対する目標値α,XRt,XLtの算出にかかる計算時間が一定になると言う効果をもたらす。つまり,目標値α,XRt,XLtを一定周期で算出し,ヒータ31,32,33を(出力の割合α,間隔X,Xを)一定周期で制御できるようになる。なお,例えば合わせ込み計算や陰解法を利用すると,各所定位置hに対する目標値α,XRt,XLtの算出にかかる計算時間が,所定位置h毎に(即ち,例えば温度検出値T,TRE,TLEに応じて)大きく異なってしまい,一定時間内での計算や一定周期での制御が不可能になる。
均熱制御部25bは,演算部25aにおいて算出された目標値α,XRt,XLt等のデータに基づいて,各ヒータ31,32,33に対して制御信号を送信する。即ち,各ヒータ31,32,33の出力が演算部25aにおいて算出された目標値になるように(割合αが目標値αになるように),各ヒータ31,32,33のコイル43a,43b,44a,44bにそれぞれ供給される電流の大きさを調節する機能,間隔Xが算出された目標値XRtになるようにヒータ31の図示しないヒータ移動機構の駆動を調節する機能,及び,間隔Xが算出された目標値XLtになるようにヒータ33の図示しないヒータ移動機構の駆動を調節する機能を有する。
次に,以上のように構成された熱間圧延設備1で行われる鋼材Hの熱間圧延方法について説明する。先ず,スラブHが加熱炉10において加熱される。加熱炉10で加熱されたスラブHは,搬送ロール18によって粗圧延機11に搬送されて粗圧延され,粗バーHに加工される。
粗圧延された後,粗バーHは搬送ロール18によって粗圧延機11から切断機12に向かって,さらに,切断機12から均熱部13に向かって,長さ方向を移動方向D1に向け,所定の搬送速度で搬送される。粗バーHが切断機12に向かって搬送される間に,温度検出器21,22,23によって粗バーHの温度が逐次検出される。即ち,粗バーHの長さ方向における複数の位置,つまり所定位置h(h1,h2,・・・)(図1参照)の温度が,前端部側から順番に検出されていく。また,各所定位置hにおける3つの温度検出値T,TRE,TLEが,それぞれ同時に検出されていく。温度検出器21,22,23の温度検出値T,TRE,TLEは,制御装置25の演算部25aに順次送信される。
演算部25aにおいては,速度計24から送信された粗バーHの搬送速度,及び,温度検出値T,TRE,TLEが検知される。また,各所定位置hにおける温度検出値T,TRE,TLEに基づいて,各所定位置hでの昇温量ΔTの目標値ΔTCt,昇温量差ΔEの目標値ΔERt,昇温量差ΔEの目標値ΔELtがそれぞれ計算され,上記式(1),(2),(3)を用いた演算が行われる。即ち,各所定位置hについて,均熱部13における出力の割合の目標値α,間隔Xの目標値XRt,間隔Xの目標値XLtがそれぞれ求められる。こうして,演算部25aにおいて求められた各所定位置hに対する目標値α,XRt,XLtが,均熱制御部25bに対して順次転送される。
なお,演算部25aにおいては,直接解で各所定位置hに対する目標値α,XRt,XLtを算出する。従って,各所定位置hに対する目標値α,XRt,XLtは,一定の時間間隔で算出でき,各所定位置hに対する目標値α,XRt,XLtのデータは,演算部25aから均熱制御部25bに対して,一定周期で順次転送される。即ち,均熱制御部25bから各ヒータ31,32,33に対して,制御命令を一定周期で送信できる。つまり,制御装置25によるシーケンス制御の制御周期を一定に保ちながら,各ヒータ31,32,33を良好に制御することができる。
均熱部13において,粗バーHは移動方向D1に沿って移動させられ,複数の所定位置hが前端部側から順番に(即ち,部分h,h,・・・の順に)進入させられていく。また,粗バーHは,移動方向D1に沿って移動させられながら,ヒータ31,32,33によってこの順に加熱される。各ヒータ31,32,33の出力の割合α,間隔X,Xは,粗バーH(所定位置h)の移動に伴って,順次制御される。即ち,演算部25aにより各所定位置hに対してそれぞれ求められた出力の割合αの目標値αが実現されるように,均熱制御部25bの制御により,各ヒータ31,32,33においてコイル43a,43b,44a,44bに供給される電流の大きさが逐次調整される。また,演算部25aの演算により各所定位置hに対してそれぞれ求められた間隔Xの目標値XRt,間隔Xの目標値XLtが実現されるように,各ヒータ31,33の図示しないヒータ移動機構の駆動が逐次調節される。
例えば代表して所定位置hについて説明すると,かかる所定位置hは,最初に,ヒータ31のコア41,42の間に挟まれる位置(図16)に移動させられる。即ち,ヒータ31のコア41,42が,所定位置hの右側に対向するように配置される。このとき,ヒータ31の出力の割合αは,当該所定位置hについて求められた(所定位置hについて得られた温度検出値T,TRE,TLEに基づいて計算された)目標値αに合わせられている。また,間隔Xは,所定位置hについて求められた目標値XRtに合わせられている。かかるヒータ31によって集中的に熱量が与えられることにより,所定位置h及びその前後近傍においては,中央部Pに対して右側の温度が集中的に昇温される。
次に,所定位置hは,ヒータ32のコア41,42の間に挟まれる位置(図17)に移動させられる。即ち,ヒータ32のコア41,42が,所定位置hの中央部に対向するように(換言すれば,ヒータ31のコア41,42の間を通過した部分に対して幅方向D2において隣り合う又は重なる部分に対向するように)配置される。このとき,ヒータ32の出力の割合αは,所定位置hについて求められた目標値α(換言すれば,当該所定位置hがヒータ31のコア41,42の間に挟まれる位置に配置されたときのヒータ31の目標値αと同じ値)に合わせられている。かかるヒータ32によって集中的に熱量が与えられることにより,所定位置h及びその前後近傍においては,中央部P近傍の温度が集中的に昇温される。
その後,所定位置hは,ヒータ33のコア41,42の間に挟まれる位置(図18)に移動させられる。即ち,ヒータ33のコア41,42が,所定位置hの左側に対向するように(換言すれば,ヒータ31のコア41,42の間とヒータ32のコア41,42の間とを通過した部分に対して幅方向D2において隣り合う又は重なる部分に対向するように)配置される。このとき,ヒータ33の出力の割合αは,所定位置hについて求められた目標値α(換言すれば,当該所定位置hがヒータ31のコア41,42の間に挟まれる位置に配置されたときのヒータ31の目標値αと同じ値,また,当該所定位置hがヒータ32のコア41,42の間に挟まれる位置に配置されたときのヒータ32の目標値αと同じ値)に合わせられている。また,間隔Xは,所定位置hについて求められた目標値XLtに合わせられている。このような状態のヒータ33によって集中的に熱量が与えられることにより,所定位置h及びその前後近傍においては,中央部Pに対して左側の温度が集中的に昇温される。
こうして,所定位置hがヒータ31,32,33によって順次加熱されることにより,所定位置hの中央部Pには,所定位置hについて求められた目標値ΔTCtの昇温量が与えられる(図2参照)。また,所定位置hの側方部Pには,昇温量ΔTの目標値ΔTCtから昇温量差ΔEの目標値ΔERtを差し引いた昇温量ΔTREt,即ち,ΔTCt−ΔERtの昇温量が与えられる。所定位置hの側方部Pには,昇温量ΔTの目標値ΔTCtから昇温量差ΔEの目標値ΔELtを差し引いた昇温量ΔTLEt,即ち,ΔTCt−ΔELtの昇温量が与えられる。これにより,所定位置hの中央部P,側方部P,側方部Pは,それぞれ目標温度Tに昇温される。同様に,所定位置hにおける他の部分,即ち,中央部Pと側方部Pとの間,中央部Pと側方部Pとの間にも,幅方向の位置に応じて適宜の昇温量が与えられる。従って,所定位置hにおける側方部Pから側方部Pまでの間全体の温度が,ほぼ目標温度Tになるように均一化される。
同様に,上記所定位置h以外の他の位置h,h,・・・についても,各ヒータ31,32,33による加熱が順次行われる。即ち,粗バーHの長さ方向に亘って,目標値ΔTCt,ΔERt,ΔELtが順次求められ,それらの目標値ΔTCt,ΔERt,ΔELtに基づいて,目標値α(G),XRt,XLtが求められ,各ヒータ31,32,33の割合α(出力G)が所定の位置h毎に互いに同一に調節されながら,間隔X,Xがそれぞれ調節される。
こうして,各ヒータ31,32,33によって,各所定位置hが適宜昇温され,粗バーHは,左右両縁部を除く内側の部分,即ち側方部P,Pの間において,図2において点線で示されているように,幅方向D2の温度分布が均一化される。また,各所定位置hがヒータ31,32,33によって順次加熱されながら移動方向D1に移動させられるに従い,図3において点線で示されているように,粗バーHの長さ方向においても,温度分布が順次均一化されていく。
以上のように均熱部13において均熱処理されることにより,粗バーHの温度分布は,左右両縁部を除いて,所定の目標温度Tにほぼ均一化される。また,以上に説明したように,均熱処理においては,各ヒータ31,32,33の出力の割合αの目標値αは,各所定位置h毎(即ち,粗バーHを例えば右縁部側からみた側面視においてほぼ同一になる部分毎)に,互いに同一になるように制御される。ヒータ32の出力の割合αの時間変化は,ヒータ31の出力の割合αの時間変化と同様であるが,粗バーHの搬送速度に応じた時間だけ,ヒータ31の割合αの時間変化に対して遅れて変化するようになっている。つまり,例えば所定位置hがヒータ31のコア41,42に対向する位置からヒータ32のコア41,42に対向する位置まで移動するのに要した時間だけ遅れながら,ヒータ31の割合αと同様に変化する。同様に,ヒータ33の出力の割合αの時間変化は,ヒータ32の割合αの時間変化と同様であるが,粗バーHの搬送速度に応じた時間だけ,ヒータ32の出力の割合αの時間変化に対して遅れて変化するようになっている。つまり,例えば所定位置hがヒータ32のコア41,42に対向する位置からヒータ33のコア41,42に対向する位置まで移動するのに要した時間だけ遅れながら,ヒータ32の割合αと同様に変化する。
均熱処理後,粗バーHは,エッジヒータ15に搬送される。エッジヒータ15では,粗バーHの左右両縁部(側方部P,Pよりも外側の部分)が加熱される。これにより,図2において一点鎖線で示されているように,粗バーHの左右両縁部まで,所定の目標温度Tにほぼ均一化される。こうして,粗バーH全体の温度分布を好適に均一化させることができる。
エッジヒータ15において縁部が加熱された後,粗バーHは仕上圧延機群16に搬送され,所定の目標厚みに仕上圧延される。仕上圧延された鋼板Hは,巻取機17にコイル状に巻き取られる。こうして一連の熱間圧延プロセスが終了する。この熱間圧延ラインLにおいては,複数の鋼材Hが所定のピッチで連続的に搬送され,各鋼材Hに対して上記熱間圧延処理が施される。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば以上の実施形態では,熱間圧延ラインLは,加熱炉10,粗圧延機11,切断機12,均熱部13,エッジヒータ15,仕上圧延機群16及び巻取機17等の装置を移動方向D1においてこの順に並べて備えた構成としたが,各装置の配置は,かかるものに限定されない。
以上の実施形態では,均熱部13の加熱における粗バーHの目標温度は,所定の目標温度Tとしたが,粗バーHの中央部Pにおける目標温度と両端部P,Pにおける目標温度は,互いに異なる値であっても良い。また,ヒータ31による加熱の目標温度と,ヒータ32による加熱の目標温度は,互いに異なる値であっても良い。また,各所定位置hにおける目標温度を互いに異なる値にしても良い。即ち,均熱部13による均熱処理とエッジヒータ15による縁部加熱処理を行った後の温度分布の目標状態としては,図2及び図3に示したような長さ方向全体及び幅方向全体において均一な温度分布の状態には限定されず,任意の温度分布を目標として設定することができる。
以上の実施形態では,ヒータ32が中央部Pを加熱する中央部用ヒータであり,ヒータ31,33が側方部P,P側を加熱する側方用ヒータであるとしたが,かかる形態には限定されない。中央部用ヒータは3つのヒータ31,32,33のうちいずれか一つであればよく,例えばヒータ33を中央部用ヒータとし,他の二つのヒータ31,32を側方用ヒータにしても良い。特に,例えばデスケーリング装置が均熱部13の前方(移動方向D1において上流側)に無く,均熱部13の後方(移動方向D1において下流側)だけに設置されている場合等には,均熱部13(特に最も後方のヒータ)において粗バーHからスケールが剥離して巻きあがり,ヒータ等に悪影響を与えるおそれがある。そのため,最も後方のヒータは中央に固定して移動させない方が,保守性が向上する。
また,以上の実施形態では,均熱部13による均熱処理前の粗バーHの幅方向D2の温度分布は,左右非対称であるとしたが,いずれかの所定位置h,例えば所定位置hにおける右側の温度TREと左側の温度TLEとの温度差が小さい場合は,その所定位置hにおける幅方向D2の温度分布は,左右対称性が良いと考えてもよい。また,演算部25aにおいては,その所定位置hにおける昇温量差ΔEの目標値ΔERt(=TRE−T)と昇温量差ΔEの目標値ΔELt(=TLE−T)を同一の目標値ΔE(=ΔERt=ΔELt)として計算しても良い。このようにすると,間隔Xの目標値XRtと間隔Xの目標値XLtを同一の目標値Xにすることができる。即ち,未知数を2つ(α,XRt=XLt=X)に減少させることができ,未知数の導出に用いる関係式を2つに減少させることができる。つまり,以下に示す二つの関係式,即ち,所定位置hにおける温度分布の左右対称性が良い場合に用いることができる第一の特殊関係式(1),第二の特殊関係式(2)に,昇温量ΔTの目標値ΔTCt,及び,昇温量差ΔE,ΔEの目標値ΔEを代入し,以下に示す式(4),(5)からなる二次の連立方程式を解くことにより,目標値α,X(特殊解)を算出できる。なお,(1),(2)においては,X=X=X,ΔE=ΔE=ΔEである。
ΔT=(K1+2・γ・K3・X+γ・K4)・α ・・・(1)
ΔE=(K2+(γ・K51+γ・K52)・X+γ・K6)・α
=(K2+γ・K5・X+γ・K6)・α ・・・(2)
ΔTCt=(K1+2・γ・K3・X +γ・K4)・α ・・・(4)
ΔE=(K2+γ・K5・X+γ・K6)・α ・・・(5)
換言すれば,ΔTは,Xの二次の多項式(K1+2・γ・K3・X+γ・K4)とαを用いて表すことができ,ΔEは,Xの一次の多項式(K2+γ・K5・X+γ・K6)とαを用いて表すことができる。
このように,間隔Xの目標値と間隔Xの目標値を同一にすることで,関係式をさらに簡単にすることができ,計算を容易に行うことができる。また,例えば図19のグラフに示すように,昇温量差ΔER(α=1)’を示す曲線の一部の線型性が良くなる。即ち,図14に示した曲線と比較して,曲線が直線に近くなり,昇温量差ΔER(α=1)’の近似直線(ΔER(α=1)’=K5・X+K6)との誤差が少なくなる。また,図示はしないが,同様に,昇温量差ΔEL(α=1)’を示す曲線の一部の線型性も良くなる。即ち,昇温量差ΔEL(α=1)’の近似直線との誤差が少なくなる。従って,目標値α,Xの算出を適切に行うことができ,粗バーHの温度分布をより高い精度で調節することができる。
なお,図19のグラフは,二台のヒータ50B,50C(α=1,X=−X)で加熱を行う場合について,粗バーHに対して与えられる昇温量及び昇温量差のシミュレーションを行ったものである。図19のグラフにおいて,横軸は図14のグラフの横軸と同様である。グラフ中の3本の曲線は,中央部Pに対して与えられる昇温量ΔTC(α=1)’(=2・K3・X +γ・K4),側方部Pに対して与えられる昇温量ΔTRE(α=1)’,昇温量差ΔER(α=1)’(=ΔTC(α=1)’−ΔTRE(α=1)’)をそれぞれ表している。
また,関係式(1),(2),(3)に基づいて制御する方法(第一の制御方法,即ち,関係式(1),(2),(3)を用いて目標値α,XRt,XLtを算出する方法)と,関係式(1),(2)に基づいて制御する方法(第二の制御方法,即ち,関係式(1),(2)を用いて目標値α,Xを算出する方法)とを,各所定位置hの温度分布状態に応じて使い分けるようにしても良い。その場合は,例えば,各所定位置hにおける温度TREと温度TLEとの温度差が所定の範囲内にあるか否かによって,いずれの制御方法を用いるかを選択するようにしても良い。例えば,所定位置hにおける温度差が2℃以上である場合(|TRE−TLE|≧2℃,即ち,温度分布の左右対称性が良くないと判定できる場合)は,第一の制御方法を用い,所定位置hにおける温度差が2℃未満(|TRE−TLE|<2℃)である場合(即ち,温度分布の左右対称性が良いと判定される場合)は,第二の制御方法を用いるようにしても良い。また,かかる判定は,温度検出値TRE,TLEに基づいて,演算部25aにおいて行っても良い。
また,例えば粗バーHの温度分布の左右対称性が良いことが予め分かっている場合等は,第一の制御方法と第二の制御方法を使い分けず,第二の制御方法のみ行うようにしても良い。即ち,間隔Xの大きさと間隔Xの大きさを常に同一にしながら,粗バーHの移動に伴って変化させ,加熱を行うようにしても良い。
本発明者らは,ヒータ31,32,33を用いた粗バーHの加熱実験を行った。粗バーHの幅は,1100mm〜1800mmとした。粗バーHの厚さはいずれも30mmとした。側方部P,Pの位置は,いずれも,粗バーHの右縁部(左縁部)より150mm内側とした。また,均熱部13における距離Yは1400mm,幅方向D2におけるヒータ31,32,33の各コア41(42)の幅は600mm,ヒータ31(32,33)による昇温量の最大値は50℃であるとした。
制御装置25に使用されるPLCとしては,20Kステップを50msのサイクルで実行できるものを用いた。かかるPLCで実行されるシーケンス制御のプログラムにおいて,例えば粗バーHの温度分布の左右対称性が良い場合の制御方法(関係式(1),(2)に基づく制御方法)のプログラムでは,先ず,式(5)からX(=XRt=XLt)をαの関数として表した式を導出し,その式を式(4)に代入し,これよりαを求めるようにした。その後,αを代入してXを求めるようにした。なお,この場合のステップ数はおよそ100ステップ以下であり,このステップ数は一定であった。計算時間はおよそ0.25ms以下であり,この計算時間も一定であった。
(実験1)
粗バーHの温度分布の左右対称性が良い場合の制御方法,即ち,関係式(1),(2)に基づく制御方法による加熱実験を行った例を示す。粗バーHの幅は約1200mm,厚さは約30mm,材質は低炭アルミシリコンキルド鋼とした。そして,長さ方向約40m以上に渡って,ヒータ31,32,33による均熱処理を行うこととした。なお,関係式(1),(2)の定数K1,K2,K3,K4,K5,K6は,図20の表に示されている幅1200mmの場合の値を使用した。因みに,図20に示されている値は,本発明者らが実験やシミュレーションなどにより求めた値の一例である。
先ず,均熱処理前の粗バーHの温度を,中央部Pの複数箇所,側方部Pの複数箇所,側方部Pの複数箇所において測定し,中央部Pの長さ方向における温度分布,側方部Pの長さ方向における温度分布,側方部Pの長さ方向における温度分布をそれぞれ調べた。その結果を図21に示す。また,この結果より,中央部Pの温度分布の標準偏差,側方部Pの温度分布の標準偏差,側方部Pの温度分布の標準偏差,幅方向の温度分布の標準偏差を調べた。その結果,長さ方向における温度の標準偏差は,約7.2℃程度であった。また,幅方向における温度の標準偏差は,約4.0℃程度であった。
次に,関係式(1),(2)に基づいて制御しながらヒータ31,32,33による均熱処理を行った後,粗バーHの温度を,中央部Pの複数箇所,側方部Pの複数箇所,側方部Pの複数箇所において測定し,中央部Pの長さ方向における温度分布,側方部Pの長さ方向における温度分布,側方部Pの長さ方向における温度分布をそれぞれ調べた。その結果を図22に示す。また,この結果より,中央部Pの温度分布の標準偏差,側方部Pの温度分布の標準偏差,側方部Pの温度分布の標準偏差,幅方向の温度分布の標準偏差を調べた。その結果,長さ方向における温度の標準偏差は,約3.3℃程度であった。また,幅方向における温度の標準偏差は,約3.6℃程度であった。
以上の結果より,粗バーHの長さ方向における温度の標準偏差,即ち,長さ方向における温度のばらつきを,関係式(1),(2)に基づいた制御による均熱処理を行うことにより,大幅に低減できることがわかった。また,粗バーHの幅方向における温度の標準偏差,即ち,幅方向における温度のばらつきも,関係式(1),(2)に基づいた制御による均熱処理を行うことにより,大幅に低減できることがわかった。
(実験2)
粗バーHの温度分布の左右対称性が良くない場合の制御方法,即ち,関係式(1),(2),(3)に基づく制御方法による加熱実験を行った例を示す。粗バーHの条件等は,上記実験1に示したものと同様とした。なお,関係式(1),(2),(3)の定数K1,K2,K3,K4,K51,K52,K6は,図23の表に示されている値を使用した。
粗バーHに対して関係式(1),(2),(3)に基づいて制御しながらヒータ31,32,33による均熱処理を行った後,実験1と同様に,粗バーHの中央部Pの長さ方向における温度分布とその標準偏差,側方部Pの長さ方向における温度分布とその標準偏差,側方部Pの長さ方向における温度分布とその標準偏差をそれぞれ調べた。その結果,長さ方向における温度の標準偏差は,約3.0℃程度であった。また,幅方向における温度の標準偏差は,約2.5℃程度であった。
以上の結果より,関係式(1),(2),(3)に基づいた制御による均熱処理を行うことでも,粗バーHの長さ方向における温度のばらつき,幅方向における温度のばらつきを,それぞれ大幅に低減できることがわかった。
(比較例)
本発明者らは,特許文献1(特開2004−195497号公報)に示されている方法を応用して,予め作成されたマトリックスからαt,Rt,XLtを検索する方法について検討し,以下の知見を得た。例えば昇温量ΔTCt,昇温量差ΔERt,ΔELtの制御範囲がそれぞれ150℃(1℃間隔)である場合,昇温量ΔTCt,昇温量差ΔERt,ΔELtのデータがそれぞれ150個ずつ必要であるから,少なくとも150×150×150=3375000個のデータを記憶できる記憶領域が必要になる。この場合,PLC内では記憶容量が足りないので,PLCとは別に設けた計算機にマトリックスを記憶させる必要がある。即ち,計算機においてマトリックスからαt,Rt,XLtを検索し,その結果をPLCに転送する必要がある。その場合,一連の処理に要する全処理時間(検索に要する計算時間や転送時間も含めた時間)は,約1秒程度必要であると考えられる。従って,本実施例の方法よりも,目標値αt,Rt,XLtが求められる時間間隔が,大幅に長くなることが分かる。
なお,粗バーHが例えば60m/min(即ち,1m/sec)の速度で移動している場合には,本実施例の制御方法では,粗バーHの長さ方向において例えば0.05m程度ごとにヒータ31の間隔X,ヒータ33の間隔X,各ヒータ31,32,33の出力割合αの調節を行うことが可能である(即ち,所定位置hのピッチを0.05m程度にすることが可能である)が,マトリックスの検索を利用した制御方法では,最小で約1m程度ごとにしか調節できない(即ち,所定位置hのピッチを最小でも1m程度にしかできない)ことになる。つまり,本実施例の方法によれば,マトリックスの検索を利用した制御方法よりも,所定位置hのピッチを約1/20ほどに細かくすることができ,換言すれば,長さ方向における温度分布の制御性を約20倍に向上できるといえる。このように,本実施例の方法によれば,温度分布の制御を極めて精度良く行うことができる。
本発明は,鋼材の加熱方法に適用できる。
粗バーの概略平面図である。 粗バーの幅方向における温度分布を示すグラフである。 粗バーの長さ方向における温度分布を示すグラフである。 昇温量と昇温量差との関係を示すグラフである。 熱間圧延設備の構成の概略を示す模式図である。 第一のヒータ,第二のヒータ及び第三のヒータの構成を説明する概略縦断面図である。 第一のヒータ,第二のヒータ又は第三のヒータの作用によって発生する磁束及び渦電流の様子を説明する説明図である。 第一のヒータ,第二のヒータ及び第三のヒータの各コアの位置関係を示す概略平面図である。 第一の温度検出器,第二の温度検出器及び第三の温度検出器によって温度が検出される位置を示す概略平面図である。 制御装置における演算方法を説明する説明図である。 コアを粗バーに対して可動とした一台のヒータ(α=1)のみで加熱を行う場合において,中央部Pに対して与えられる昇温量ΔTC(α=1)’と間隔Xとの関係を示したグラフである。 コアを粗バーに対して可動とした一台のヒータのみで加熱を行う様子を説明する平面図である。 コアを粗バーに対して可動とした一台のヒータ(α=1)のみで加熱を行う場合において,中央部Pに対して与えられる昇温量ΔTC(α=1)’と間隔Xとの関係,及び,側方部Pに対して与えられる昇温量と間隔Xとの関係を示したグラフである。 コアを粗バーに対して可動とした二台のヒータ(α=1)で加熱を行う場合において,中央部Pに対して与えられる昇温量と側方部Pに対して与えられる昇温量との昇温量差ΔER(α=1)’と間隔Xとの関係を示したグラフである。 コアを粗バーに対して可動とした二台のヒータ(α=1)で加熱を行う様子を説明する平面図である。 所定位置hが第一のヒータのコアに対向する部分に移動した状態を示す斜視図である。 所定位置hが第二のヒータのコアに対向する部分に移動した状態を示す斜視図である。 所定位置hが第三のヒータのコアに対向する部分に移動した状態を示す斜視図である。 別の実施形態にかかる加熱方法に関するグラフであり,コアを粗バーに対して可動とした二台のヒータ(α=1)で加熱を行う場合において,中央部Pに対して与えられる昇温量ΔTC(α=1)’と間隔Xとの関係,ΔTRE(α=1)’と間隔Xとの関係,昇温量差ΔER(α=1)’と間隔Xとの関係を示したグラフである。 実施例の実験1において関係式(1),(2)で用いた定数K1,K2,K3,K4,K5,K6の一例を示した表である。 実施例の実験1において,均熱処理前の中央部Pの長さ方向における温度分布,側方部Pの長さ方向における温度分布,側方部Pの長さ方向における温度分布を測定した結果を示すグラフである。 実施例の実験1において,均熱処理後の中央部Pの長さ方向における温度分布,側方部Pの長さ方向における温度分布,側方部Pの長さ方向における温度分布を測定した結果を示すグラフである。 実施例の実験2において関係式(1),(2),(3)で用いた定数K1,K2,K3,K4,K51,K52,K6の一例を示した表である。
符号の説明
C 中央部
D1 移動方向
D2 幅方向
H 粗バー(スラブ,鋼板)
h(h,h,・・・h・・・)長さ方向の所定位置
中央部
,P 側方部
,X 間隔
1 熱間圧延設備
10 加熱炉
11 粗圧延機
12 第一の切断機
13 均熱部
15 エッジヒータ
16 仕上圧延機群
18 搬送ロール
21,22,23 温度検出器
25 制御装置
31,32,33 ヒータ
41,42 コア

Claims (8)

  1. 熱間圧延工程の仕上圧延前に複数のヒータによって鋼材を加熱する方法であって,
    前記鋼材を長さ方向に沿って移動させながら,前記鋼材を第一のヒータ,第二のヒータ,第三のヒータによってこの順に加熱する熱処理を行い,
    前記第一のヒータ,第二のヒータ,第三のヒータは,トランスバース型誘導加熱装置であって,
    前記第一のヒータ,第二のヒータ,第三のヒータのいずれか一つは,コアが前記鋼材の幅方向における中央部に対向するように配置される中央部用ヒータであり,いずれか一つは,コアが前記鋼材の幅方向における一縁部側に対向するように配置される第一の側方用ヒータであり,いずれか一つは,コアが前記鋼材の幅方向における他縁部側に対向するように配置される第二の側方用ヒータであり,
    前記第一の側方用ヒータのコアと前記鋼材の中央部との間に形成される第一の間隔,及び,前記第二の側方用ヒータのコアと前記鋼材の中央部との間に形成される第二の間隔は,それぞれ変化させることが可能であり,
    前記鋼材の長さ方向に亘って,前記鋼材の中央部に対して前記熱処理によって与えられる昇温量ΔTの目標値,前記鋼材の中央部と一縁部との間に位置する第一の側方部に対して前記熱処理によって与えられる昇温量と前記昇温量ΔTとの昇温量差ΔEの目標値,及び,前記鋼材の中央部と他縁部との間に位置する第二の側方部に対して前記熱処理によって与えられる昇温量と前記昇温量ΔTとの昇温量差ΔEの目標値に基づいて,前記中央部用ヒータの出力の目標値,前記第一の側方用ヒータの出力の目標値,前記第二の側方用ヒータの出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を求め,
    前記鋼材の長さ方向における所定の位置に前記中央部用ヒータのコアが対向するときの前記中央部用ヒータの出力,前記所定の位置に前記第一の側方用ヒータのコアが対向するときの前記第一の側方用ヒータの出力,前記所定の位置に前記第二の側方用ヒータのコアが対向するときの前記第二の側方用ヒータの出力を互いに同一にしながら,前記第一の間隔,及び,前記第二の間隔を調節することを特徴とする,鋼材の加熱方法。
  2. 前記昇温量ΔTと,前記互いに同一の出力と,前記第一の間隔と,前記第二の間隔との関係を表した第一の関係式を用いて,前記互いに同一の出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を求めることとし,
    前記第一の関係式は,前記昇温量ΔTを,前記中央部用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量と,前記第一の側方用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量と,前記第二の側方用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量とを線型結合した式によって表したものであり,
    前記第一の側方用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量を,前記第一の間隔を変数とした二次の多項式を用いて表し,
    前記第二の側方用ヒータによって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量を,前記第二の間隔を変数とした二次の多項式を用いて表すことを特徴とする,請求項1に記載の鋼材の加熱方法。
  3. 前記昇温量差ΔEと,前記互いに同一の出力と,前記第一の間隔と,前記第二の間隔との関係を表した第二の関係式を用いて,前記互いに同一の出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を求めることとし,
    前記第二の関係式は,前記昇温量差ΔEを,前記中央部用ヒータによる加熱によって前記所定の位置における前記第一の側方部に対して与えられる昇温量と前記中央部用ヒータによる加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差と,前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記第一の側方部に対して与えられる昇温量と前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差と,を線型結合した式によって表したものであり,
    前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記第一の側方部に対して与えられる昇温量と前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差を,前記第一の間隔と前記第二の間隔を変数とした一次の多項式を用いて表すことを特徴とする,請求項1又は2に記載の鋼材の加熱方法。
  4. 前記昇温量差ΔEと,前記互いに同一の出力と,前記第一の間隔と,前記第二の間隔との関係を表した第三の関係式を用いて,前記互いに同一の出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を求めることとし,
    前記第三の関係式は,前記昇温量差ΔEを,前記中央部用ヒータによる加熱によって前記所定の位置における前記第二の側方部に対して与えられる昇温量と前記中央部用ヒータによる加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差と,前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記第二の側方部に対して与えられる昇温量と前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差と,を線型結合した式によって表したものであり,
    前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記第二の側方部に対して与えられる昇温量と前記第一の側方用ヒータ及び前記第二の側方用ヒータの加熱によって前記所定の位置における前記鋼材の中央部に対して与えられる昇温量との昇温量差を,前記第一の間隔と前記第二の間隔を変数とした一次の多項式を用いて表すことを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材の加熱方法。
  5. 前記中央部用ヒータの出力の目標値,前記第一の側方用ヒータの出力の目標値,前記第二の側方用ヒータの出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を,
    ΔT=(K1+γ・K3・X +γ・K3・X +γ・K4)・α
    ΔE=(K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6)・α
    ΔE=(K2+γ・K51・X+γ・K52・X+γ・K6)・α
    (K1,K2,K3,K4,K51,K52,K6:前記鋼材の幅に依存する係数,
    γ:前記第一のヒータによる加熱領域の状態と前記第二のヒータによる加熱領域の状態と前記第三のヒータによる加熱領域の状態とに関わる係数
    :前記第一の間隔,
    :前記第二の間隔,
    α:前記中央部用ヒータの最大出力に対する前記中央部用ヒータの出力の割合,前記第一の側方用ヒータの最大出力に対する前記第一の側方用ヒータの出力の割合,及び,前記第二の側方用ヒータの最大出力に対する前記第二の側方用ヒータの出力の割合)
    を用いて求めることを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の鋼材の加熱方法。
  6. 前記第一の間隔の目標値と前記第二の間隔の目標値を同一にすることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の鋼材の加熱方法。
  7. 前記中央部用ヒータの出力の目標値,前記第一の側方用ヒータの出力の目標値,前記第二の側方用ヒータの出力の目標値,前記第一の間隔の目標値,及び,前記第二の間隔の目標値を,陽解法によって算出し,
    前記中央部用ヒータ,前記第一の側方用ヒータ,前記第二の側方用ヒータを一定周期で制御することを特徴とする,請求項1〜6のいずれかに記載の鋼材の加熱方法。
  8. 前記熱処理を行う前に,前記鋼材の中央部の温度T,前記第一の側方部の温度TRE,前記第二の側方部の温度TLEを検出し,
    前記温度T,及び,前記熱処理による目標温度Tより,前記昇温量ΔTの目標値を求め,
    前記温度T,TREより,前記昇温量差ΔEの目標値を求め,
    前記温度T,TLEより,前記昇温量差ΔEの目標値を求めることを特徴とする,請求項1〜7のいずれかに記載の鋼材の加熱方法。
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