以下、本発明に係る遊技機の一実施の形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図3を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1は、パチンコ機1の正面図であり、図2は、遊技盤2の正面図であり、図3は、図柄表示装置8の拡大図である。
図1に示すように、パチンコ機1の正面の上半分の部分には、発射ハンドル7の操作により図示外の発射機から発射された遊技媒体としての遊技球が流下する遊技盤2が設けられている。この遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13で保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられている。そして、上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられ、下皿6の右横には遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。さらに、ガラス枠13の上方の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられている。また、ガラス枠13の前面には演出用の電飾ランプが多数設けられている。
また、図2に示すように、遊技盤2の前面にはガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が設けられている。この遊技領域4の略中央には、LCDから構成された表示画面28、各種ランプ、LED等を備えた図柄表示装置8が設けられている。この図柄表示装置8の左側には普通図柄始動ゲート12が設けられている。また、図柄表示装置8の下側には特別図柄始動電動役物15が設けられており、特別図柄始動電動役物15の下方に大入賞口16が設けられている。そして、大入賞口16の左側に普通入賞口17、19が設けられており、右側に普通入賞口18、20が設けられている。
また、図柄表示装置8の左肩にはワープ入口22が設けられている。さらに、図柄表示装置8の下部にはワープ出口21が設けられ、ワープ入口22を通過した遊技球は図柄表示装置8の内部(ワープゾーン)を通ってワープ出口21へ現出するようになっている。ワープ出口21に現出した遊技球は、ワープ出口21の直下に設けられている特別図柄始動電動役物15に向かって落下するので、特別図柄始動電動役物15に入賞しやすい。尚、遊技盤2には、上記以外に種々の電飾ランプやその他の電飾用LED、風車及び多数の障害釘等が設けられている。
次に、図3を参照して図柄表示装置8について説明する。図3に示すように、図柄表示装置8は中央にLCDからなる表示画面28を備えている。この表示画面28には動画やメッセージ等様々な映像が表示されるが、特に大当たり判定の結果を報知するために、表示画面28に横並びに左、右、中央の順でデモ図柄表示部d1、デモ図柄表示部d2、デモ図柄表示部d3の3つの表示領域が設けられている。そして、デモ図柄表示部d1〜d3は、遊技者の目を惹くように後述の特別図柄表示部25よりも広い領域を占めている。
また、図柄表示装置8は、表示画面28の右下に11セグメントLEDから構成される特別図柄表示部25及び1つのLEDから構成される普通図柄表示部24が設けられている。特別図柄表示部25は2つの11セグメントLEDで構成され、2文字のアルファベットの特別図柄を表示する。ここで、本実施の形態では特別図柄としてアルファベットの組み合わせを用いているため、特別図柄表示部25に全てのアルファベットを表示可能な11セグメントを備えているが、これに限られない。例えば、特別図柄として、7セグメントで表示可能なアルファベットや数字、またはこれらの組み合わせを用いる場合には7セグメントを使用できる。また、表示画面28内の一部に特別図柄表示部25を設けてもよい。一方、普通図柄表示部24は1つのLEDで構成され、点灯状態が普通当たりの当選を示し、消灯が普通当たりの落選を示しており、点滅状態がこれから普通当たりの判定結果を報知することを示す変動状態とされている。
また、特別図柄表示部25の右下には2つのLEDからなる特別図柄記憶数表示LED60が設けられており、特別図柄始動電動役物15(図2参照)に入賞し、特別図柄表示部25に大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数、所謂特別図柄作動保留球数を示している。そして、その下の2つのLEDは普通図柄記憶数表示LED59であり、普通図柄始動ゲート12(図2参照)へ入賞し、普通図柄表示部24に普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数、所謂普通図柄作動保留球数を示している。特別図柄記憶数表示LED60及び普通図柄記憶数表示LED59は、共に下側のLEDのみ点灯が保留球数「1」、両方のLED点灯が保留球数「2」、下側のLEDのみ点滅が保留球数「3」、両方のLED点滅が保留球数「4」を示している。
ここで、本実施の形態のパチンコ機1の遊技及び演出について説明する。パチンコ機1では、特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞すると、大当たりとするか否かの判定が行われる。大当たりと判定されると、所定回数大入賞口16が開放される「大当たり遊技」が実施される。大当たりの判定の結果は、特別図柄表示部25及びデモ図柄表示部d1〜d3に表示される。特別図柄表示部25では、まずそれぞれの11セグメントに表示されている図柄が変動した後に、各11セグメントに新たな図柄が順に表示される。そして、特別図柄表示部25に表示されている図柄が変動している間には、表示画面28においてデモ図柄表示部d1〜d3が変動表示され、デモ図柄表示部d1が停止表示され、次にデモ図柄表示部d2が停止表示され、次にデモ図柄表示部d3が停止表示されて、デモ図柄が確定表示される。尚、デモ図柄表示部d1〜d3の最終的な停止表示は、必ず特別図柄表示部25の停止表示以降に行われるように制御されており、デモ図柄表示部d1〜d3による報知よりも特別図柄表示部25での報知が必ず先に行われるように制御されている。
次に、特別図柄表示部25に表示される大当たり判定の結果について説明する。本実施の形態では、特別図柄表示部25に表示される特別図柄の組み合わせは676種類設けられている。図3に示すように、特別図柄表示部25には2桁の図柄が表示可能であり、A〜Zまでの26種類のアルファベットの組み合わせが表示されるようになっている。そして、本実施の形態では、A、C、E、F、H、J、L、P、U、Yの10種類のアルファベットの組み合わせ100種が「当たり特別図柄」とされており、その他の組み合わせ576種は「はずれ特別図柄」とされている。そして、「当たり特別図柄」はその組み合わせ毎に「確率変動図柄」と「非確率変動図柄」が設けられている。本実施の形態では、100種類のうちの「C、J」、「E、L」、「E、Y」、「F、E」、「H、U」、「J、C」、「J、L」、「L、H」、「P、C」、「P、J」、「U、P」、「Y、H」、「Y、A」、「A、E」、「A、F」、「A、A」の16種類が「確率変動図柄」とされている。そして、その他の「当たり特別図柄」の組み合わせは「非確率変動図柄」とされている。
次に、図4を参照して、本実施の形態のパチンコ機1の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御部40は、主基板41、電源基板42、図柄表示基板43、演出制御基板44、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47及びサブ統合基板58から構成されている。この制御部40は、パチンコ機1(図1参照)の裏側(背面側)に設けられている。
パチンコ機1の主制御を司る主基板41には、プログラムに従って各種の処理を行う主基板CPUユニット50が設けられている。この主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行う主基板CPU51と、フラグやカウンタ等の演算処理中に発生するデータの値等を一時的に記憶する主基板RAM52と、制御プログラム、各種データの初期値、他の基板への指示を行うコマンド等を記憶した主基板ROM53とが設けられており、これらは1つのLSIとして一体にモールディングされている。また、主基板CPUユニット50には割込信号発生回路57が接続され、この割込信号発生回路57は、例えば、0.002秒(以下、「2ms」と略す。)毎に主基板CPU51に割込信号を与えるようになっている。主基板CPU51は、この割込信号が入力される毎に主基板ROM53に記憶されている制御プログラムを実行し、この制御プログラムに従ってパチンコ機1の制御を行う。
また、主基板41にはI/Oインタフェイス54が設けられており、サブ統合基板58、図柄表示基板43、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47等のサブ基板及び特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する始動口スイッチ72と接続している。さらに、演出制御基板44及び電飾基板46は、サブ統合基板58に接続している。また、サブ統合基板58にはサブCPU581、サブRAM582及びサブROM583が設けられており、スピーカ48が接続されている。そして、演出制御基板44には、CPU、RAM、ROMが備えられた演出CPUユニット440(図5参照)や、同様にCPU、RAM、ROMが備えられて信号の送受信の制御やデータの記憶等を行うI/Oコントローラ80(図5参照)等が設けられている。また、図柄表示基板43にはCPU43aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されている。さらに、払出制御基板45にはCPU45aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、電飾基板46にはCPU46aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されている。また、主基板41のI/Oインタフェイス54には、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する出力ポート55が接続されている。
電飾基板46には電飾ランプ63が接続されており、演出制御基板44には表示画面28が接続されている。また、図柄表示基板43には特別図柄表示部25が接続され、払出制御基板45には賞品球払出装置49が接続されている。さらに、中継基板47には、大入賞口16の開閉部材を開放・閉鎖する大入賞口開放ソレノイド70、特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開放・閉鎖する電動役物開放ソレノイド71、普通図柄始動ゲート11に入賞した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ73、大入賞口16に入賞した遊技球数を計数するためのカウントスイッチ75、2個のLEDから構成された普通図柄記憶数表示LED59、2個のLEDから構成された特別図柄記憶数表示LED60、1つのLEDで構成された普通図柄表示部24が接続されている。
そして、払出制御基板45は賞品球払出装置49の制御を行い、中継基板47はスイッチやソレノイドの配線の中継、主基板41から直接制御を受ける普通図柄記憶数表示LED59、特別図柄記憶数表示LED60、普通図柄表示部24への中継を行っている。また、サブ統合基板58は演出制御基板44、電飾基板46、スピーカ48の総合的な制御を行っており、演出制御基板44はサブ統合基板58からの各種コマンドを受けて、表示画面28に表示される映像やデモ図柄表示部d1〜d3の制御を行っている。また、図柄表示基板43は主基板41からの各種コマンドを受けて、特別図柄表示部25に表示される特別図柄の制御を行っている。
また、電源基板42は、パチンコ機1に直流の安定化した電力を供給している。電源基板42には、電源回路65、バックアップ電池66、電源監視回路67が設けられている。電源回路65には交流24Vが供給されており、図示外のシリコンダイオードブリッジからなる整流器、電解コンデンサからなる平滑回路、レギュレータICからなる安定化回路等が設けられており、安定化された直流の12V及び5V等を生成して各基板へ供給できるようになっている。また、バックアップ電池66はコンデンサからなるものであり、電源回路65で生成された直流の5Vを充電し、パチンコ機1に電源が供給されていない場合に、バックアップ対象(主基板41の主基板RAM52等)にバックアップ用の電源を供給する。これにより、パチンコ機1は電源遮断時の種々の内容を記憶しておくことができる。また、電源監視回路67は、電源回路65に供給されている電源の電圧が所定電圧以下(本実施の形態では12V以下)に降下すると、主基板41及びサブ統合基板58に電源断信号を出力する。そして、バックアップ電池66からバックアップ対象へ、バックアップ用の電源(5V)の供給が開始される。一方、電圧が所定電圧以上に上昇すると、電源断信号の出力を停止する。尚、図4では特に図示しないが、主基板41、電源基板42、図柄表示基板43、演出制御基板44、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47及びサブ統合基板58は、全てアースラインで接続されている。
次に、主基板41の主基板ROM53の記憶エリアについて説明する。主基板ROM53には、パチンコ機1のリセットが行われる際に各記憶エリアに記憶される初期値等を記憶する初期設定記憶エリア、主基板CPU51がパチンコ機1を制御するための各種制御プログラムを記憶する制御プログラム記憶エリア、主基板41からサブ統合基板58に出力される制御コマンドのテーブルを記憶する制御コマンドテーブル記憶エリア、特別図柄表示部25に表示する特別図柄の組み合わせを記憶した特別図柄組み合わせパターン記憶エリア、特別図柄表示部25の変動パターンを記憶した特別図柄変動パターン記憶エリア等が設けられている。さらに、主基板ROM53には、図示外の各種の記憶エリアが設けられている。
次に、主基板41の主基板RAM52の記憶エリアについて説明する。主基板RAM52には、各種のカウンタを記憶するカウンタ記憶エリア、各ゲートや各入賞口に遊技球が入賞したか否かを示すフラグを記憶する入賞球フラグ記憶エリア、普通図柄始動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する普通当たり関係情報記憶エリア、普通図柄作動保留球数を記憶する普通図柄作動保留球数記憶エリア、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する大当たり関係情報記憶エリア、特別図柄作動保留球数を記憶する特別図柄作動保留球数記憶エリア、主基板41からサブ統合基板58、図柄表示基板43、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47等に出力される制御コマンドを記憶するコマンド関係記憶エリア、各種フラグを記憶するフラグ関係記憶エリア等が設けられている。
先述したように、パチンコ機1への電源の供給が遮断された場合でも、電源基板42のバックアップ電池66から主基板RAM52へは記憶内容を保持するための電源が供給されるため、これらの記憶エリアに記憶されている内容は保存される。従って、停電等によって遊技中にパチンコ機1へ供給されている電源が遮断され、その後に再び電源の供給が開始された場合には、電源遮断時に行われていた遊技の続きが続行される。
次に、図5を参照して、主基板41、サブ統合基板58、演出制御基板44及び表示画面28の接続関係について説明する。図5は、主基板41、サブ統合基板58、演出制御基板44及び表示画面28の接続関係を示すブロック図である。図5に示すように、サブ統合基板58にはサブCPU581が設けられている。サブCPU581には、主基板41の主基板CPU51からI/Oインタフェイス54を介して変動パターン指定コマンドデータ、図柄指定コマンドデータ、図柄停止コマンドデータ等の各コマンドデータを送信するアドレス/データ信号201や、ストローブ信号200(図6参照)等が一方向に送信される。サブCPU581には、受信したアドレス/データ信号201をデータとして一時的に記憶するサブRAM582と、制御プログラムや各種のデータを記憶したサブROM583とが接続されている。尚、本実施の形態では、サブCPU581とサブRAM582とサブROM583とが、1つのLSIであるサブCPUユニット580として一体にモールディングされたものを使用しているが、それぞれが独立した構成であってもよい。
また、主基板CPU51及びサブCPU581は画像データの展開等の処理は行わないため、後述する演出CPUユニット440の演出CPU441に比べてビット数の小さいCPUが用いられており、主基板CPU51及びサブCPU581を制御するプログラムは、演出CPU441を制御するプログラムよりも小さい。また、主基板41の制御負担を低減させることで、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に基づく検定に要する期間が短縮されるため、主基板CPU51の制御プログラムはサブCPU581の制御プログラムよりも小さくなっている。よって、電源の供給が開始された後稼動可能な状態になるまでに必要な時間(以下、「起動時間」という。)は、主基板CPU51が最も短く、演出CPU441が最も長い。
また、演出制御基板44には、制御CPU801、制御RAM802、制御ROM803を備えたI/Oコントローラ80が設けられている。このI/Oコントローラ80は、大量の画像データの展開を行う必要はないため、制御CPU801のビット数は演出CPU441のビット数よりも小さい。そして、この制御CPU801の起動時間はサブCPU581の起動時間よりも短い。また、サブCPUユニット580とI/Oコントローラ80とは、バス77を介して双方向に送受信が可能となっている。そして、I/Oコントローラ80はバス78を介して演出CPUユニット440に接続されており、双方向に送受信が可能となっている。演出CPUユニット440は、演出CPU441、演出RAM442、演出ROM443からなる。さらに、演出制御基板44にはグラフィックエンジン85及びLCDコントローラ86が設けられている。
ここで、本実施の形態における演出CPU441は、大量の画像データの展開等の処理を行わなければならないため、データを高速且つ大量に処理する必要がある。よって、先述したように、演出CPU441には主基板CPU51、サブCPU581、制御CPU801よりもビット数が大きいCPUが用いられており、LCDからなる表示画面28の画面にカラーの高精細な動画を表示させる処理を行うことができる。しかし、この演出CPU441を稼動させるためには、複雑な処理ができるような所定のオペレーティングソフト(OS)が必要であり、起動時には演出ROM443に格納されているOSを読み出して演出RAM442にロードする必要がある。このOSは複雑でデータ量が大きいため、演出CPU441の起動時間は、主基板CPU51、サブCPU581、制御CPU801の起動時間よりも長くなっている。そして、演出CPU441は、表示画面28の動作を制御するコマンドを起動時間中に受信しても、このコマンドに基づいた処理を起動時間外と同様に行うことはできないため、表示画面28に表示される画像が乱れる場合がある。
尚、演出CPU441が処理を実行するためには、比較的大きいRAMの記憶容量を必要とするため、外部メモリが必要となる。特に、画像データの処理には外部メモリが必須であり、本実施の形態では比較的大容量の演出RAM442が設けられている。また、演出CPU441と演出RAM442と演出ROM443とは信号の送受信が可能であればよく、必ずしも1箇所にまとめて構成される必要はない。例えば、演出RAM442がグラフィックエンジン85に接続されている構成であってもよい。
また、I/Oコントローラ80とグラフィックエンジン85との間には、割り込み用の接続線がバスを介さずに接続されている。このI/Oコントローラ80は、演出CPU441の立ち上がりを監視すると共に、サブCPUユニット580、演出CPUユニット440、グラフィックエンジン85の間の信号の送受信を制御する。また、I/Oコントローラ80には、静止画である待機中画面及び初期画面を表示画面28に表示させるための画像データが記憶されており、I/Oコントローラ80からグラフィックエンジン85へは待機中画面、待機中初期画面及び初期画面の画像データが送信される。このI/Oコントローラ80の起動時間は、サブCPUユニット580の起動時間よりも短いため、サブCPU581から信号が送信された際には、I/Oコントローラ80は稼動可能になっている。
また、演出CPUユニット440はグラフィックエンジン85に接続され、主基板41から受信したコマンドデータに基づいて、所定の画像データをグラフィックエンジン85に送信する。グラフィックエンジン85はLCDコントローラ86に接続されており、さらに、LCDコントローラ86は表示画面28に接続されている。グラフィックエンジン85は、受信した画像データに基づいて、ドライバであるLCDコントローラ86に制御信号を送信する。そして、LCDコントローラ86は表示画面28に駆動信号を送信し、表示画面28はこの駆動信号に基づいて図柄を表示する。
次に、表示画面28の制御について説明する。本実施の形態のパチンコ機1では、グラフィックエンジン85を制御する描画用のデータは、主基板41の主基板CPU51からは送信されない。まず、主基板CPU51からは、変動パターン指定コマンドデータ、図柄変動開始コマンドデータ、図柄指定コマンドデータ、図柄停止コマンドデータ、大当たり画面開始コマンドデータ、大当たり画面終了コマンドデータ等の図柄表示に関する各コマンドデータが、アドレス/データ信号201(図6参照)によりサブ統合基板58のサブCPU581に送信される。これらの各コマンドデータは、サブ統合基板58のサブRAM582に一旦記憶される。
次いで、サブCPU581によって、サブRAM582に記憶されている変動パターン指定コマンドデータ、図柄指定コマンドデータ、図柄停止コマンドデータ等の図柄表示に関する各コマンドデータ等が解析される。そして、デモ図柄表示部d1〜d3に表示される図柄に関する各コマンドデータがI/Oコントローラ80を経由して演出制御基板44の演出CPU441へ送信され、演出CPU441はそのデータに基づいて、演出ROM443に記憶されている中から必要な画像データをグラフィックエンジン85へ送信する。データを受信したグラフィックエンジン85は、具体的な描画データを生成して制御信号としてLCDコントローラ86へ送信し、LCDコントローラ86がこの制御信号に基づいて駆動信号を送出することで、表示画面28に所定の図柄が表示される。尚、演出CPU441の起動時間が終了するまでに、サブCPU581からI/Oコントローラ80へ、図柄停止コマンドデータ以外の図柄の変動表示に関する信号が送信された場合には、演出制御基板44のI/Oコントローラ80は、送信された信号をあらかじめ定められた特定の信号である待機中信号として受信し、制御ROM803に記憶されている待機中画面の画像データがグラフィックエンジン85へ直接送信される。また、起動時間終了前に図柄停止コマンドデータを受信した場合には、待機中初期画面の画像データがグラフィックエンジン85へ送信されるが、この詳細は後述する。
次に、図6を参照して、I/Oインタフェイス54、サブCPUユニット580、I/Oコントローラ80、演出CPUユニット440の信号のやり取りを説明する。図6は、I/Oインタフェイス54、サブCPUユニット580、I/Oコントローラ80、演出CPUユニット440の信号のやり取りを模式的に示す図である。
まず、主基板41のI/Oインタフェイス54はサブ統合基板58のサブCPUユニット580と接続されており、主基板41側からサブ統合基板58側には、一方通行でアドレス/データ信号201及びストローブ信号200が送信される。アドレス/データ信号201は、具体的にはアドレスとデータを交互に送信する信号で、本実施の形態では2桁の16進数の数字と16進数を表す「H」の文字によって構成され、「00H〜FFH」で表される。そして、アドレスに相当する先行コマンドデータによって処理の種類が、データに相当する後続コマンドデータによって具体的な処理の内容が、サブROM583に記憶されたテーブルデータにより特定される。また、ストローブ信号200は、信号の発信タイミングを同期させるための同期信号であり、主基板41側から送信されるアドレス/データ信号201を送信するタイミングをサブCPUユニット580へ伝達し、サブCPU581による信号の受信のタイミングを制御する。つまり、主基板41とサブ統合基板58とは双方向には通信できず、主基板41からサブ統合基板58への一方向の通信のみが可能となっているため、ハンドシェイク転送方式は採用し得ない。よって、サブCPU581によるアドレス/データ信号201の受信タイミングが、ストローブ信号200により制御される。
このように、ストローブ信号200により受信タイミングを制御されながらアドレス/データ信号201を受信したサブCPUユニット580からは、演出制御基板44のI/Oコントローラ80へ、アドレス/データ信号301、アドレス/データ切替信号(図6においてA/D切替信号と表記する)302、イネーブル信号303が送信される。一方で、I/Oコントローラ80からサブCPUユニット580へはACK(アクノリッジ)信号304が送信される。
また、I/Oコントローラ80から演出CPUユニット440へは、アドレス/データ信号401、アドレス/データ切替信号(図6においてA/D切替信号と表記する)402、イネーブル信号403が送信され、一方で、演出CPUユニット440からI/Oコントローラ80へはACK信号404、起動信号405が送信される。
アドレス/データ信号201,301,401は基本的に共通の信号であり、アドレスを指定するデータ及び実行するコマンドを特定するデータを表す信号波形である。そしてこの信号は、主基板41のI/Oインタフェイス54から、サブ統合基板58のサブCPUユニット580、演出制御基板44のI/Oコントローラ80を介して、演出制御基板44の演出CPUユニット440へ送られる。
次いで、アドレス/データ信号201,301,401により送信される各コマンドデータの内容について詳細に説明する。各コマンドデータは、先行コマンドデータ及び後続コマンドデータから構成される。先行コマンドデータは、1コマンドが1バイトから構成される。具体的には、1バイトの情報を4ビットずつに分け、分けられたそれぞれの4ビットを16進数の数で表し、この16進数の表記による2桁の数字又はアルファベットの組み合わせに16進数であることを示す「H」を付加する。従って、「00H」から「FFH」までの256通りのコマンドが構成できる。また、後続コマンドデータも先行コマンドデータと同様の構成による。従って、1組の信号は2バイトから構成される。尚、各コマンドデータは、先行コマンドデータを「0H」から「FH」まで、後続コマンドデータを「0H」から「FH」までとして、合わせて1コマンドが1バイトから構成されるようにしてもよい。この場合には、コマンドデータの送受信の時間を短縮できるという利点がある。
ここで、アドレス/データ信号201,301,401の一例を説明する。本実施の形態では、変動パターン指定コマンドデータは「変動パターン1指定」から「変動パターン25指定」までの25種類があり、この変動パターン指定コマンドデータは、主基板41の主基板ROM53に記憶されている。そして、主基板41からサブ統合基板58へ変動パターン指定コマンドデータが送信された場合には、サブ統合基板58のサブRAM582にコマンドデータが一時的に記憶される。具体的には、変動パターン1を指定した場合には先行コマンドデータ「80H」、後続コマンドデータ「01H」であり、変動パターン15を指定した場合には先行コマンドデータ「80H」、後続コマンドデータ「0FH」であり、変動パターン25を指定した場合には先行コマンドデータ「80H」、後続コマンドデータ「19H」である。このように、先行コマンドデータは変動パターン指定コマンドデータや、第一停止図柄指定コマンドデータ等のデータの種類を指定し、後続コマンドデータは処理の具体的な内容を特定する。従って、この「00H〜FFH」の形式のデータであれば、サブCPU581ではアドレス/データ信号201として、I/Oコントローラ80ではアドレス/データ信号301として、演出CPU441ではアドレス/データ信号401として認識される。
次いで、アドレス/データ切替信号302,402について説明する。図6に示すように、アドレス/データ切替信号302は、サブ統合基板58のサブCPUユニット580からI/Oコントローラ80へ送信される。また、アドレス/データ切替信号402は、I/Oコントローラ80から演出制御基板44の演出CPUユニット440へ送信される。これらのアドレス/データ切替信号302,402は、アドレス/データ信号301,401と共に送信される。そして、現在送信されているアドレス/データ信号301,401が、先行コマンドデータ及び後続コマンドデータのうちの先行コマンドデータを送信していることを指示する信号である。図10に示すように、このアドレス/データ切替信号302がHIGHの間は、上述のアドレス/データ信号301のうちの、アドレスに相当する先行コマンドデータが送信される。そして、先行コマンドデータが送信された後は、アドレス/データ切替信号302がLOWとなり、先行コマンドデータの送信は停止する。アドレス/データ切替信号402とアドレス/データ信号401との関係もこれと同様である。
次いで、イネーブル信号303,403について説明する。図6に示すように、イネーブル信号303は、サブ統合基板58のサブCPUユニット580からI/Oコントローラ80へ送信される。また、イネーブル信号403は、I/Oコントローラ80から演出制御基板44の演出CPUユニット440へ送信される。これらのイネーブル信号303,403は、アドレス/データ信号301,401と共に送信される。そして、現在送信されているアドレス/データ信号301,401が、先行コマンドデータ及び後続コマンドデータのうちの後続コマンドデータを送信していることを指示する信号である。図10に示すように、このイネーブル信号303がHIGHの間に、上述のアドレス/データ信号301のうちの、データに相当する後続コマンドデータが送信される。そして、後続コマンドデータの送信が終了すると、イネーブル信号303がLOWとなり、後続コマンドデータの送信は停止する。イネーブル信号403及びアドレス/データ信号401との関係もこれと同様である。
次いで、ACK(アクノリッジ)信号304,404について説明する。図6に示すように、ACK信号304は、サブ統合基板58のサブCPUユニット580からI/Oコントローラ80へ先行コマンドデータ及び後続コマンドデータからなるアドレス/データ信号301が送信された際に、I/Oコントローラ80からサブCPUユニット580へ送信される信号であり、アドレス/データ信号301に対するコマンドの受領を示す。また、ACK信号404は、I/Oコントローラ80から演出制御基板44の演出CPUユニット440へアドレス/データ信号401が送信された際に、演出CPUユニット440からI/Oコントローラ80へ送信される信号であり、アドレス/データ信号401に対するコマンドの受領を示す信号である。ACK信号304,404を送信するタイミングは、後続コマンドデータの読取をI/Oコントローラ80或いは演出CPU441が完了した時点であり、I/Oコントローラ80或いは演出CPU441は、後続コマンドデータを受領するとACK信号304,404をHIGHにする。そして、このACK信号304,404は所定時間HIGHの状態が維持されて、サブCPU581或いはI/Oコントローラ80に対して発信され続けるように構成される。
次いで、起動信号405について説明する。図6に示すように起動信号405は、演出制御基板44の演出CPUユニット440からI/Oコントローラ80へ送信される信号である。演出CPU441は、電源の供給が開始されて様々な初期処理を行い、稼動可能な状態に立ち上がると、この起動信号405をI/Oコントローラ80へ送信する。I/Oコントローラ80は、起動信号405を受信したか否かにより、演出CPU441の起動時間が終了したか否かを判断して、パチンコ機1への電源投入時の信号の送受信を制御しているが、この詳細は後述する。
次に、主基板41からサブ統合基板58を介して演出制御基板44へ送信される信号の発生の契機となるパチンコ機1の動作について簡単に説明する。パチンコ機1において、表示画面28による画像表示を含む様々な動作は、そのほとんどが主基板41からの信号の発生により開始される。まず、発射ハンドル7が遊技者によって操作され、遊技球が遊技領域4に発射されると、遊技球は遊技領域4を流下する。その遊技球が特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞すると、特別図柄始動電動役物15に設けられている始動口スイッチ72により、遊技球の入賞が検知される。すると、主基板CPU51が主基板ROM53に記憶されている制御プログラムに基づいて、大当たりであるか否かの判定や図柄の変動パターンの決定等を行った後、その判定や決定の結果に応じた信号をサブ統合基板58のサブCPU581へ送信し、サブCPU581は、主基板CPU51から受信した信号と同形式の信号をI/Oコントローラ80へ送信する。
次に、図7乃至図9を参照して、上記のように構成されたパチンコ機1に電源が投入された際の制御について説明する。図7は、演出制御基板44のI/Oコントローラ80で行われる電源投入時処理のフローチャートであり、図8は、表示画面28に表示される初期画面の表示形態を示す図であり、図9は、表示画面28に表示される待機中画面の表示形態を示す図である。I/Oコントローラ80では、パチンコ機1への電源の供給が開始された際に、演出制御基板44の演出CPU441が稼動可能な状態に立ち上がったか否かを監視する。そして、演出CPU441が立ち上がる前にサブCPUユニット580から図柄停止コマンド以外の図柄の変動表示に関する各コマンドデータを受信した場合には、演出CPUユニット440にコマンドデータを送信せずに、待機中であることを示す特定の待機中画面を表示画面28に表示させる制御を行う。また、図柄停止コマンドデータを受信した場合には、「7,5,7」の初期画面を表示画面28に表示させる制御を行う。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
I/Oコントローラ80によって行われる制御は、制御ROM803に記憶されている制御プログラムにより行われる。電源基板42の電源監視回路67によって、パチンコ機1に供給される電圧が所定電圧以上に上昇したと判断され、I/Oコントローラ80への電源の供給が開始されると、I/Oコントローラ80の制御CPU801において電源投入時処理が実行される。図7に示すように、まず制御RAM802のパターンチェックが行われる(S1)。このパターンチェックでは、チェックサムの計算やパスワードの生成が行われ、これらの値が電源遮断時に生成された値と同一であるか否かのチェックが行われる。パターンチェックがOKでなければ(S1:NO)、制御RAM802の内容が一旦クリアされた後(S2)、表示画面28に初期画面(図8参照)の表示が行われる(S3)。一方で、パターンチェックがOKであれば(S1:YES)、制御RAM802の内容はクリアされずに初期画面の表示が行われる(S3)。
ここで、初期画面とは、電源が投入された際に表示画面28に表示される画面であり、図8に示すように、本実施の形態ではデモ図柄表示部d1〜d3に左から順に「7,5,7」の数字が表示される。この初期画面を表示させることで、パチンコ機1が電源供給開始後であることを遊技者に報知することができる。そして、初期画面を表示画面28に表示させるための画像データはI/Oコントローラ80の制御ROM803に記憶されており、この画像データは演出CPUユニット440を経由せずに割り込み用の接続線を介して直接グラフィックエンジン85へ送信される。
次いで、演出CPUユニット440から起動信号405を受信したか否かの判断が行われる(S4)。先述したように、パチンコ機1への電源の供給が開始され、演出CPUユニット440の演出CPU441が稼動可能な状態に立ち上がると、起動信号405(図6参照)がI/Oコントローラ80に送信される。I/Oコントローラ80は、この起動信号405を受信したか否かにより、演出CPU441が立ち上がったか否かを判断する。起動信号405を受信していない場合には(S4:NO)、サブCPUユニット580からアドレス/データ信号301を受信したか否かの判断が行われる(S5)。アドレス/データ信号301を受信していなければ(S5:NO)、S4の判断へ戻り、演出CPU441から起動信号405を受信するまで繰り返しこれらの判断が行われる。
そして、演出CPU441の起動時間中にサブCPUユニット580からアドレス/データ信号301を受信した場合には(S4:NO、S5:YES)、起動時間終了後にアドレス/データ信号301を受信した場合とは異なり、受信した信号と同形式のアドレス/データ信号401は演出CPUユニット44へは送信されずに、表示画面28に待機中画面の表示が行われる。そこで、まず、アドレス/データ信号301により受信したデータの種類が図柄停止コマンドデータか否かの判断が行われる(S6)。先述したように、アドレス/データ信号301のデータの種類は先行コマンドデータにより特定され、この判断は、受信した先行コマンドデータにより判断される。図柄停止コマンドデータであった場合には(S6:YES)、表示画面28に待機中初期画面の表示が行われて(S7)、S4の判断へ戻る。この待機中初期画面は、図8に示す初期画面と同様に「7,5,7」の数字を表示させる画面であり、パチンコ機1が電源供給開始後であることを遊技者に報知することができる。また、待機中初期画面28の画像データは演出CPUユニット440を経由せずに直接グラフィックエンジン85へ送信される。
一方で、アドレス/データ信号301により受信したデータの種類が図柄停止コマンド以外の図柄の変動表示を制御するコマンドであった場合には(S6:NO)、表示画面28に待機中画面の表示が行われて(S6)、S4の判断へ戻る。ここで、図9に示すように、待機中画面は「そのままお待ちください。」の静止画面の表示を行う画面であり、この待機中画面を表示させることで、パチンコ機1が画像を表示させる準備を完了するまで遊技者に待機を促すことができる。待機中画面を表示画面28に表示させるための待機中画像データは、初期画面に関する画像データと同様にI/Oコントローラ80の制御ROM803に記憶されており、この待機中画像データは演出CPUユニット440を経由せずに割り込み用の接続線を介して直接グラフィックエンジン85に送信される。すると、グラフィックエンジン85は、受信した待機中画像データに基づいてLCDコントローラ86に制御信号を送出し、表示画面28では「そのままお待ちください。」のメッセージである待機中画面が表示される。従って、起動時間中である演出CPUユニット440にアドレス/データ信号401が送信されることがないため、表示画面28に表示される画像が乱れることがない。また、待機中画面が静止画であるため、複数のコマンドデータがI/Oコントローラ80へ送信された場合であっても、グラフィックエンジン85へ送信される待機中画像データは同一の画像データであり、表示画面28に表示される画像は乱れない。
尚、本実施の形態の「待機中画面」及び「待機中初期画面」が、本発明における「待機中画面」に相当する。また、本実施の形態では、初期画面、待機中画面、待機中初期画面を表示させる際は静止画が停止表示されるが、停止表示以外にも疑似確定表示等の表示方法を用いてもよい。疑似確定表示とは、ごく僅かに図柄を変動させて、停止していない図柄をあたかも停止しているように遊技者に錯覚させる表示の態様であり、表示方法が停止表示若しくは疑似確定表示のいずれかであれば、表示画面28に表示される画像は乱れることはない。
また、演出CPU441から起動信号を受信した場合には(S4:YES)、演出制御基板44の演出CPU441は稼動可能な状態に立ち上がっている。よって、表示画面28に待機中画面が表示されている場合にはこの画像を消去して初期画面を表示し(S9)、サブCPUユニット580から送信されるアドレス/データ信号301によるコマンドに基づいた画面を表示可能にして、電源投入時処理を終了し、I/Oコントローラ80における通常の処理へ移行する。
次に、図10を参照して、上記の制御に基づくパチンコ機1の動作のタイミングの具体的な一例について説明する。図10は、制御信号の動作タイミングの一例を示すタイムチャートである。以下説明する具体例は、パチンコ機1への電源の供給が遮断されたと電源基板42の電源監視回路67(図4参照)によって判断された際に、主基板RAM52における大当たり関係情報記憶エリアやコマンド関係記憶エリア等にデータが記憶されていた場合の具体例である。この場合、バックアップ電池66(図4参照)により主基板RAM52にバックアップ用の電源が供給されるため、パチンコ機1への電源の供給が遮断されている間も主基板RAM52に記憶されている内容が消えることはない。そして、再びパチンコ機1への電源の供給が開始されると、主基板RAM52に記憶されている内容に基づいて、電源遮断時に行われていた処理の続きが行われ、主基板CPU51からI/Oインタフェイス54を介してサブCPU581等へのコマンド信号の送信が行われる。
まず、パチンコ機1へ電源の供給が開始されると、主基板CPU51と、演出制御基板44のI/Oコントローラ80における制御CPU801とがほぼ同時に立ち上がる(図10のt0タイミング)。先述したように、主基板CPUユニット50及びI/Oコントローラ80の制御プログラムは、サブCPUユニット580の制御プログラムよりも小さくなっているため、CPUが稼動可能な状態に立ち上がるまでの起動時間は、サブCPU581よりも主基板CPU51及び制御CPU801の方が短い。そして、演出CPUユニット440は電源供給開始時に画像データの展開等の処理を行わなければならないため、演出CPU441の起動時間は全てのCPUの中で最も長い。また、主基板CPU51からサブCPU581へは一方向でしか信号を送信できないため、主基板41ではサブ統合基板58及び演出制御基板44の状態を認識することはできない。従って、主基板CPU51が立ち上がると、サブ統合基板58及び演出制御基板44の状態に関わらず、先行コマンドデータA1,A2及び後続コマンドデータD1,D2からなるアドレス/データ信号が、ストローブ信号200によりタイミングを制御されながらサブCPU581へ送信される。しかし、サブCPU581が立ち上がるまで(図10のt0〜t1)は、サブCPU581は受信した信号に対する処理を行うことができないため、主基板CPU51から送信される先行コマンドデータA1は無視されることになる。尚、I/Oコントローラ80の制御CPU801が立ち上がると、表示画面28には「7,5,7」の初期画面が表示される(S3、図7参照)。
次いで、t1タイミングでサブCPU581が立ち上がる。サブCPU581は、起動時間終了後に主基板CPU51からアドレス/データ信号201を受信すると、I/Oコントローラ80の制御CPU801へ、アドレス/データ信号301、アドレス/データ切替信号302(図6参照)、イネーブル信号303(図6参照)が送信される。
そして、I/Oコントローラ80の制御CPU801は、サブCPU581が立ち上がってから演出CPU441が立ち上がるまでの間(図10のt1〜t2)にサブCPU581からアドレス/データ信号301を受信した場合には、実行する処理の内容に関わらず、全てのアドレス/データ信号301を待機中信号として受信し、アドレス/データ信号301の受領を示すACK信号304(図6参照)がサブCPU581へ送信される。そして、待機中信号として信号を受信した制御CPU801からは、受信したデータが図柄停止コマンドデータであった場合には待機中初期画面の画像データ305が、受信したデータが図柄停止コマンドデータ以外のデータであった場合には待機中画面の画像データ305がグラフィックエンジン85へ直接送信される(S5〜S8、図7参照)。従って、図10に示すように、t1タイミングからt2タイミングまでの間にサブCPU581から先行コマンドデータA2及び後続コマンドデータD1,D2からなるアドレス/データ信号301を受信した制御CPU801からは、アドレス/データ信号401、アドレス/データ切替信号402、イネーブル信号403はいずれも演出CPU441には送信されずに、I/Oコントローラ80の制御ROM803に記憶されている待機中画像データ305a〜305cだけがグラフィックエンジン85へ送信される。従って、アドレス/データ信号401に対するコマンドの受領を示すACK信号404も、演出CPU441の起動時間中にはI/Oコントローラ80へ送信されることはない。
そして、待機中画像データを受信したグラフィックエンジン85は、LCDコントローラ86に制御信号を送信する、すると、表示画面28には「7,5,7」の数字である待機中初期画面(図8参照)、若しくは「そのままお待ちください。」のメッセージである待機中画面(図9参照)が表示される。
次いで、演出制御基板44の演出CPU441がt2タイミングで立ち上がる。演出CPU441は、様々な初期処理が終了して稼動可能な状態に立ち上がると、起動信号405aをI/Oコントローラ80へ送信する。そして、I/Oコントローラ80は、起動信号405aを受信するまでは演出CPU441が起動時間中であると判断する。一方で、起動信号405aを受信した後は(S4:YES、図7参照)、演出CPU441が立ち上がったと判断して、表示画面28に待機中画面が表示されている場合にはこれを消去して初期画面を表示し(S9、図7参照)、通常の処理を行う。この段階では、演出CPU441はすでに立ち上がりが終了して安定した状態となっているため、誤作動が発生することがない。
次に、I/Oコントローラ80の制御CPU801と、演出CPUユニット440の演出CPU441との間で行われる通常の処理について説明する。通常の処理(図10のt2以降)では、主基板CPU51からサブCPU581へ、また、サブCPU581から制御CPU801へ、同形式の先行コマンドデータA3が送信される。すると、制御CPU801から演出CPU441へ、アドレス/データ信号401による先行コマンドデータA3及びアドレス/データ切替信号402aが送信される。
次いで、制御CPU801では、先行コマンドデータA3の送信が終了すると、サブCPU581から後続コマンドデータD3を受信する。すると、制御CPU801から演出CPU441へ、アドレス/データ信号401による後続コマンドデータD3及びイネーブル信号403aが送信される。後続コマンドデータD3を受信した演出CPU441は、これら一対の先行コマンドデータA3及び後続コマンドデータD3を正常に受信すると、制御CPU801へACK信号404aを送信する。このように、主基板CPU51からサブCPU581へ送信された信号は、シェイクハンド転送方式で確実に演出CPU441へ伝送される。
次いで、制御CPU801では、一対の先行コマンドデータA3及び後続コマンドデータD3が正常に送信されたことがACK信号404aの受信により認識される。そして、サブCPU581からのアドレス/データ信号301を受信すると、次の先行コマンドデータA4及びアドレス/データ切替信号402b,さらに次の後続コマンドデータD4及びイネーブル信号403bが演出CPU441へ送信される。これらの信号及びACK信号404bに関する動作は、先述した先行コマンドデータA3及び後続コマンドデータD3に関する動作と同様であるため、説明を省略する。尚、通常の処理で行われるサブCPU581と制御CPU801との信号の送受信の動作は、以上説明した動作と同様であるため、この説明も省略する。
このように、主基板CPU51から送信される信号が演出CPU441へ伝送されると、演出CPU441は指定されたアドレスの画像データを演出ROM443から読み出してグラフィックエンジン85へ送出し、グラフィックエンジン85はこの画像データに基づいて制御信号をLCDコントローラ86へ送出するため、表示画面28には所定の画像が表示される。
以上説明したように、本実施の形態のパチンコ機1では、演出制御基板44の演出CPU441が起動時間中であるか否かが、演出制御基板44内のI/Oコントローラ80により監視されている。そして、演出CPU441の起動時間中に、サブ統合基板58から演出制御基板44へ図柄の表示態様を制御する信号が送信された場合には、起動時間外に同様の信号が送信された場合とは異なり、演出制御基板44のI/Oコントローラ80は、あらかじめ定められた特定の待機中信号として信号を受信する。また、待機中信号を受信したI/Oコントローラ80は、演出CPU441へ信号を送信することはなく、制御ROM803に記憶されている待機中画面若しくは待機中初期画面の画像データ305が直接グラフィックエンジン85へ送信される。従って、様々な制御コマンド信号が起動時間中である演出CPU441へ送信されることがないため、表示画面28に表示される画面が誤作動により乱れることがない。
また、待機中画像データ305は「そのままお待ちください。」若しくは「7,5,7」の表示を行う画像データである。よって、乱れた画像を表示させない制御を行うと共に、演出CPU441の起動時間が終了するまで遊技を開始せずに待機するよう遊技者に報知することができる。これにより、演出CPU441の起動時間中に表示画面28で表示できない画像の量を少なくすることができるため、遊技者の興趣を損ねることがない。
また、表示画面28に表示される待機中画面は静止画であり、停止表示若しくは疑似確定表示される。従って、変動パターン指定コマンドデータ、図柄指定コマンドデータ等の図柄表示に関するコマンドデータが制御CPU801に複数送信され、複数の待機中画像データ305がグラフィックエンジン85へ送信された場合でも、この待機中画像データ305は同じ静止画を表示させる画像データであるため、表示画面28には乱れた画像が表示されることはなく、同じ静止画が表示され続ける。さらに、グラフィックエンジン85へ送信される初期画面の画像データ及び待機中画像データ305が、演出CPUユニット440の演出ROM443に記憶されている画像データよりもデータ量の少ない静止画のデータ信号であるため、電源供給開始時のパチンコ機1における制御の負担が軽くなる。
また、初期画面の画像データ及び待機中画像データ305は、I/Oコントローラ80の制御ROM803に記憶されている。従って、演出CPU441の起動時間中であっても、演出CPUユニット440を介さずに、I/Oコントローラ80からグラフィックエンジン85へ直接画像データを送信し、表示画面28に待機中画面を表示させることができる。すなわち、電源供給開始時であっても初期画面、待機中画面及び待機中初期画面を簡単に表示させることができる。
また、本発明では、演出制御基板44が起動時間中である場合であっても、演出制御基板44は図柄の表示態様を制御する信号を「受信しない」のではなく、「受信したうえで適切な制御を行う」ことができる。すわわち、演出制御基板44は、起動時間中に信号を受信した場合のみ特定の待機中画面を表示画面28に表示することができる。ここで、例えば、電源供給開始時に必ず「そのままお待ちください。」等の画面を表示させる遊技機では、演出制御基板44の起動時間中には、遊技が進行している場合と進行していない場合とで表示される画面が同じであるため、遊技が進行しているか否かの報知を表示画面28を用いて遊技者に報知することはできない。しかし、本発明に係るパチンコ機1によると、電源供給開始時に演出制御基板44へ信号が送信されなければ、通常の初期画面を表示画面28に表示させることができる。一方で、遊技中に電源が遮断された後に電源が復帰した場合や、電源供給開始直後に特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した場合には、通常とは異なる特定の待機中画面を表示させることができる。よって、遊技が正常に進行していることを表示画面28を用いて遊技者に報知することができる。
また、本実施の形態のパチンコ機1では、I/Oコントローラ80の制御CPU801は、サブCPU581から送信される信号を待機中信号として受信した場合でも、サブCPU581へACK信号304を送信する。従って、サブCPU581では信号の送受信が正常に行われたことを認識するため、信号の送受信に関するエラー報知が行われることがない。よって、無用のエラー報知を行うことで遊技者に不快な思いをさせることがない。
尚、表示画面28が本発明における「図柄表示手段」に相当し、主基板41が「主制御基板」に相当し、サブ統合基板58が「サブ制御基板」に相当する。
尚、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
まず、本実施の形態の変形例であるパチンコ機100について説明する。パチンコ機100では、I/Oコントローラ80において、制御CPUが立ち上がってからの所定時間を計測するカウンタを備え、このカウンタにより所定時間が計測されたか否かにより、演出CPU441の起動時間が完了したか否かを判断する点がパチンコ機1とは異なる。このパチンコ機100では、カウンタにより計測される所定時間を、演出制御基板44の演出CPU441が稼動可能な状態に立ち上がる時点以降まで継続する長さに設定する。すなわち、所定時間の計測が終了する前に演出CPU441が立ち上がるように所定時間の長さを設定する。そして、図7におけるS2の処理とS3の処理との間で、「設定された所定時間を計測するカウンタを制御RAM802に記憶する」処理を行い、S4の判断のかわりに「カウンタにより所定時間が計測されたか否か」の判断を行う。このような構成とすることで、演出CPU441が立ち上がる際に演出CPU441の動作が不安定である場合でも、グラフィックエンジン85に誤った信号が送信されることがないため、表示画面28に表示される画像が乱れることがない。尚、パチンコ機100において、所定時間を計測するI/Oコントローラ80の制御CPU801が本発明の「計時手段」に相当する。また、所定時間を計測するのはI/Oコントローラ80に限られず、主基板CPU51やサブCPU581等でもよい。
また、本実施の形態ではサブCPUユニット580と演出CPUユニット440との間にI/Oコントローラ80を備え、演出CPUユニット440、グラフィックエンジン85、サブCPUユニット580の間の信号のやり取りの中継をする構成としているが、必ずしもI/Oコントローラ80を設ける必要はない。この場合には、初期画面の画像データ及び待機中画像データ305をサブ統合基板58のサブROM583に記憶させて、演出CPU441の起動時間が終了したか否かをサブCPU581で判断する。そして、サブCPU581から、演出CPU441及びグラフィックエンジン85へ、直接信号や画像データが送信される。このような構成は、サブCPU581の処理能力に余裕がある場合に適用でき、部品点数を減らすことができる。或いは、I/Oコントローラ80を設けた場合でも、I/Oコントローラ80の制御を単純化できる。また、本実施の形態では表示画面28を制御する演出制御基板44と、特別図柄表示部25を制御する図柄表示基板43とを別個に設けているが、1つの基板で表示画面28と特別図柄表示部25とを制御する構成としてもよいし、特別図柄表示部25を表示画面28の一部に設けてもよい。
また、サブ統合基板58及び演出制御基板44が誤作動を起こす頻度を減らすために、主基板41に電源の供給が開始される時間を、サブ統合基板58及び演出制御基板44に電源の供給が開始される時間よりも遅らせる構成としてもよい。例えば、時間の計測及び電源の制御が可能なリセット遅延回路を電源基板42に備え、電源監視回路によりパチンコ機1に供給される電源が所定電圧以上に上昇したと判断された所定時間後に、主基板CPU51が駆動可能となる電源がリセット駆動回路により主基板41へ供給される構成としてもよい。また、先述した起動信号等によって、演出CPU441の立ち上がりをサブCPU581が検知した場合に、サブCPU581から電源基板42へ所定の信号が送信され、この所定の信号の受信を契機として主基板41への電源の供給が開始される構成としてもよい。このような構成とすることで、各基板の起動時間中における基板間の信号のやり取りが減るため、表示画面28に表示される画像が乱れる可能性を低くすることができる。そして、停電等の不都合が生じて演出CPU441及びサブCPU581が主基板CPU51よりも後で立ち上がった場合でも、パチンコ機1に正常に電源の供給が開始された場合でも、共に表示画面28に表示される画像は乱れることがない。
また、本実施の形態では、電源復帰時には必ず「7,5,7」の初期画面が表示されるが、これに限られない。デモ図柄の組み合わせは「7,5,7」に限らず任意に変更が可能であり、また、電源遮断時のデモ図柄の組み合わせをバックアップ電源により記憶して、電源復帰時に表示させる構成としてもよい。
また、本実施の形態では、I/Oコントローラ80がサブ統合基板58から送信される信号を待機中信号として受信した場合には、表示画面28に「そのままお待ちください。」のメッセージが表示されるが、これに限られない。例えば、メッセージの内容は任意に変更可能であり、メッセージ以外の図柄を表示させてもよいし、メッセージと図柄とを組み合わせて表示させてもよい。また、本実施の形態では待機中画面として「そのままお待ちください。」のメッセージと「7,5,7」の待機中初期画面とを使い分けたが、待機中画面の種類は1種類でもよいし、3種類以上の待機中画面を使い分けてもよい。さらに、確率変動状態や時短状態等を設けた遊技機においては、遊技機の状態に応じて待機中画面や初期画面を使い分けることもできる。また、本実施の形態では、待機中画像データは静止画の画像データであったが、データ量の少ない画像データであれば、待機中画像データを動画の画像データとしてもよい。