以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
本実施形態は、空気や窒素等の気体が充填されて荷重を支持するための気室に接続される気体通路を周期的に開閉して、前記気室内に充填された気体の一部を大気中、又は別の気室に解放することにより、前記気体通路を開閉する周波数と同じ周期の外力に対して、前記気室のばね剛性が低下する特性を利用する。これによって、振動系の固有振動数が変化した場合でも、被支持質量(車体の質量)に対する振動抑制効果を発揮させる点に特徴がある。ここで、「解放」とは、気室が単一である場合には、気室内の気体が気室外へ放出されることをいい、2気室である場合には、入力手段(例えばピストン)で区分けされた高圧側の気室の気体が低圧側の気室へ移動することをいう。
荷重(車体の質量)を支持する気室が単一である場合、この気室に充填された気体を外部に放出するための気体通路に設けられる気体通路開閉手段(例えば開閉弁)を備え、被支持質量(車体の質量)が振動する周波数に応じた所定の周波数で、前記気体通路開閉手段を開閉することにより、前記気室内の気体の一部を気室外へ解放する。
荷重を支持する気室が2個存在する場合、荷重を支持するために気体が充填される2個の気室と、前記2個の気室に対して相対的に往復運動することにより、振動を前記2個の気室へ入力する入力手段と、前記2個の気室を連通する気体通路と、前記気体通路に設けられる気体通路開閉手段(例えば開閉弁)を備える。そして、前記入力手段が前記2個の気室に対して相対的に往復運動する際の周波数に応じた所定の周波数で、前記気体通路開閉手段を開閉する。
図1−1は、本実施形態に係る車体支持装置の構成を示す説明図である。図1−1は、本実施形態に係る車体支持装置1を車両100が備える懸架装置20へ適用した例を示している。図1−2は、気体通路開閉手段の他の例を示す説明図である。図2―1〜図2−4は、本実施形態に係る車体支持装置の他の構成例を示す説明図である。本実施形態に係る車体支持装置1は、車両100が備える懸架装置20の緩衝装置、すなわち、ばね及び振動減衰手段(例えばダンパー)からなる構造体として機能する。なお、本実施形態において、車体支持装置1の支持対象構造物は、車両100の車体100Bである。
車体支持装置1は、シリンダ2と、シリンダ2の内部に設けられて往復運動するピストン3と、気体通路7と、気体通路7に設けられる気体通路開閉手段8とを含んで構成される。シリンダ2内には気室4が設けられており、気室4には所定の圧力に加圧した気体(本実施形態では空気)が充填される。なお、ポンプ等の圧力調整手段を気室4へ取り付けて気室4内に気体を充填し、車両100の質量変化や走行条件の変化に応じて、気室4内に充填された気体の圧力を調整するようにしてもよい。
気室4は、ピストン3によって第1気室4Aと第2気室4Bとに仕切られている。ここで、ピストン3は、気室4に対して相対的に往復運動することにより、気室4(第1気室4A及び第2気室4B)へ、車体支持装置1の取付対象(本実施形態では車両100の車体100B及び懸架装置20のロワーアーム21L)の振動を入力する、入力手段としての機能を発揮する。なお、第1気室4Aと第2気室4Bとは、例えば、ゴム膜のような可撓性の材料によってそれぞれ別個に構成して、第1気室4Aと第2気室4Bとの間にピストン3を挟み込むようにしてもよい。
ピストン3にはピストンロッド5が取り付けられている。ピストンロッド5の一端部には、車体支持装置1の取付対象である懸架装置20のロワーアーム21Lに取り付けられるブラケット5Bが設けられる。ピストン3は、ピストンロッド5及びブラケット5Bを介して、懸架装置20のロワーアーム21Lに取り付けられる。そして、ピストン3は、ロワーアーム21Lが図1の矢印G方向へ動作すると、ロワーアーム21Lとともにシリンダ2内を往復運動する。
図1−1に示すように、車両100の車体100Bには、車体加速度センサ30が取り付けられている。車体加速度センサ30によって路面GLに直交する方向における車体100Bの加速度(車両100のばね上の加速度)を求め、これに基づいてばね上の振動の周波数を求めることができる。また、懸架装置20のロワーアーム21Lには、懸架装置用加速度センサ31が取り付けられている。懸架装置用加速度センサ31によって、ロワーアーム21Lの動作を検出することにより、路面GLに直交する方向における車両100のばね下の加速度を求め、これに基づいてばね下の振動の周波数を求めることができる。このように、車体加速度センサ30、懸架装置用加速度センサ31は、それぞれ振動検出手段として機能する。より具体的には、車体加速度センサ30は、車両100のばね上における振動を検出するばね上振動検出手段として機能し、懸架装置用加速度センサ31は、車両100のばね下における振動を検出するばね下振動検出手段として機能する。
また、懸架装置20のロワーアーム21Lには、ストロークセンサ32が取り付けられている。ストロークセンサ32によって、車両100の車高を検出することができる。また、ストロークセンサ32によって、車体支持装置1のストロークを知ることができる。これによって、乗員や積載量の変化により車両100の車高が変化した場合には、気室4内や後述する気体ばね6内へ空気をさらに充填したり、あるいは空気ばね6等から空気を放出させたりして、車両100の車高を一定に保持することができる。
図1−1に示すように、気室4に接続される気体通路7に、気室4に対する気体供給手段としての第1ポンプP1を接続してもよい。気体ばね6には、気体供給手段として、第2ポンプP2をするのが望ましい。また、この車体支持装置1は、気室4内の圧力を測定する気室用圧力センサ33と、気体ばね6内の圧力を測定する気体ばね用圧力センサ34を備えることができる。ストロークセンサ32の検出値に基づいて気体ばね6の体積を求めることができるので、ストロークセンサ32の検出値及び気体ばね用圧力センサ34から得られる気体ばね6内の圧力に基づいて、気体ばね6内の空気量を知ることができる。このように、気室用圧力センサ33、ストロークセンサ32及び気体ばね用圧力センサ34を用いて、気室4や気体ばね6に充填される気体の量を検出することができる。
検出された気室4内の気体量や気体ばね6内の気体量が、所定の閾値以下になった場合には、車体支持装置1が車体100Bを所定の車高に維持できない。この場合には、第1ポンプP1や第2ポンプP2を用いて、気室4や気体ばね6内へ気体を補給する。これによって、車体支持装置1が車体100Bの車高を保つ能力を維持して、安全に車両100を走行させる。
シリンダ2からピストンロッド5が突出する部分には、封止部材として底板9が設けられる。ピストンロッド5は、底板9の貫通孔9Hを通って取り出される。貫通孔9Hには、シール9Sが設けられており、ピストンロッド5と貫通孔9Hとの隙間から漏れる第2気室4B内の気体の量を小さくする。
本実施形態において、ブラケット5Bと底板9との間(すなわち、ブラケット5Bと第2気室4Bとの間)には、弾性体として、第3気室である気体ばね6が設けられる。車体支持装置1の第1気室4Aと第2気室4Bとで構成される気体ばねの主要機能は、車体支持装置1に周波数選択性を持たせることである。この車体支持装置1は、気体ばね6内の圧力と、第1気室4A内の圧力とによる荷重支持力から、第2気室4B内の圧力による力を差し引いた力で、車体100Bの質量を支持している。なお、気体ばね6の代わりに、コイルスプリング、板ばね等の弾性体を用いて車体100Bの荷重を支持してもよい。
なお、図2−1に示す車体支持装置1aのように、車体支持装置1a自体には、気体ばね6(図1参照)を備えていなくても、車体支持装置1の取付対象である車体100Bの質量を支持することができる。また、別の弾性体(例えばコイルばね)を用いると、図2−2に示す車体支持装置1bのように、気体供給手段であるポンプ10によって気室4へリアルタイムに気体を供給することによって、気室4内の圧力を所定の大きさに維持できれば、別のばね装置を使用することなく気室4を単一とすることもできる。
なお、本実施形態に係る車体支持装置1、1a等は、車体支持装置1、1a等の内部であって、車体取付側においてピストン3と対向する位置に、ストッパ部材19が取り付けられている。これによって、万一、気体ばね6や第1気室4A等内部の空気が抜けて、これらの空気圧支持による車両100のばね上質量の支持が不可能になっても、ストッパ部材19により前記ばね上質量を支持することができる。これにより、気体ばね6や第1気室4A等から万一空気漏れが発生しても、ストッパ部材19がピストン3に直接接触して車体100Bの質量を支持できるので、少なくとも車体100Bを低速で走行することができる。その結果、気体ばね6や第1気室4A等から万一空気漏れが発生しても、車両100は、低速走行により修理工場等へたどり着くことができる。
車両100の懸架装置20を構成するロワーアーム21Lは、第1の端部21LAが車体100Bに取り付けられ、また、第2の端部21LBには車輪24を取り付ける車輪用ブラケット22が取り付けられる。車輪24は、車軸23を介して車輪用ブラケット22に取り付けられる。ここで、車輪用ブラケット22は、ロワーアーム21Lと、アッパーアーム21Uとによって車体100Bに取り付けられる(アッパーアーム21Uの車体取付部は省略)。
車体支持装置1と懸架装置20のロワーアーム21Lとは、車体支持装置1のピストンロッド5に取り付けられるブラケット5Bを介して連結される。車輪24が路面GLから受ける衝撃等により矢印G方向に動くと、ロワーアーム21Lは第1の端部21LAを中心として揺動運動する。これによって、車体支持装置1のピストン3は、ロワーアーム21Lとともにシリンダ2内を往復運動する。
ピストン3の往復運動により、第1気室4A及び第2気室4Bの体積は変化する。例えば、ロワーアーム21Lが上昇して、車体支持装置1の全長が短くなる際には、ピストン3も上昇する。この場合、第1気室4Aの体積は減少し、第2気室4Bの体積は増加する。これによって、第1気室4A及び第2気室4Bは、ピストン3の移動方向とは反対方向にピストン3を押し戻す力(反発力)を発生する。このように、車体支持装置1は気体ばねとして機能して、車輪24が路面GLから受ける衝撃を吸収したり、車体100Bの質量を支持したりする。
本実施形態において、第1気室4Aと第2気室4Bとは、これらの内部に充填された気体が通過する気体通路7で接続されている。また、気体通路7には、気体通路開閉手段8を構成する開閉弁8Vが設けられている。すなわち、開閉弁8Vは、第1気室4Aと第2気室4Bとの間に設けられる。気体通路開閉手段8は、開閉弁8Vと、振動制御装置40によって開閉弁8Vを開閉するアクチュエータ(例えば、ソレノイドやピエゾ素子のような圧電素子や超音波モータ等)8Aとを含んで構成される。アクチュエータ8Aによって開閉弁8Vが閉じられると、第1気室4Aと第2気室4Bとは遮断され、第1気室4Aと第2気室4Bとの間で気体の出入りはなくなる。一方、アクチュエータ8Aによって開閉弁8Vが開くと、第1気室4Aと第2気室4Bとが連通し、気体通路7を介して、第1気室4Aと第2気室4Bとの間で気体が出入りできるようになる。
ここで、図1−2に示すように、気体通路開閉手段8aを、ピストン3に設けた連通孔7aに取り付けてもよい。この場合、連通孔7aが気体通路になる。このように、気体通路開閉手段8aをピストン3、又はピストンロッド5内へ組み込んで取り付けると、車体支持装置1の外部に気体通路開閉手段や気体通路を設ける必要はないので、車体支持装置1をコンパクトにすることができる。また、第1気室4Aと第2気室4Bとを接続する気体通路が車体支持装置1の外部に配置されないため、車両100の走行中においては、気体通路が飛び石等の攻撃を受けることはないので、車体支持装置1の信頼性が向上する。
本実施形態に係る車体支持装置1は、ノッチフィルタのように機能することにより、ノッチ周波数の振動に対してばね剛性を小さくすることで、前記ノッチ周波数の振動が車体100Bへ伝達することを抑制する。これによって、車両100の振動系に発生する共振増幅を回避したり、車体100Bへ伝達される不快な振動を抑制したりすることができる。このように、本実施形態に係る車体支持装置1は、車体100Bへ伝達される振動を抑制させる効果がある。すなわち、本実施形態に係る車体支持装置1は、あたかも振動減衰装置のような作用を発揮する。
ここで、ノッチフィルタとは、特定の周波数の振動を除去し、その他の周波数帯域における振動は通す機能を有するフィルタである。本実施形態に係る車体支持装置1は、ノッチフィルタのように機能することにより、特定の周波数(あるいは複数の卓越周波数)で振動する振動の伝達を抑制する。すなわち、車輪24(図1)と車体100Bとの間において、特定の周波数(あるいは複数の卓越周波数)で振動する振動の伝達を抑制する。
ここで、ノッチ周波数とは、ノッチフィルタによって除去される振動の周波数のことである。例えば、ノッチ周波数を、車体100B及び車体支持装置1を含む、車両100の振動系の固有振動数とする。このような振動数の振動が車体100Bへ入力されると、共振現象により車体100Bの振動が増幅する(共振増幅)ため、このような振動は、車体100Bへ伝達されないようにする必要がある。すなわち、前記固有振動数の振動は、車体100Bへの伝達を抑制したい周波数の振動である。本実施形態に係る車体支持装置1のノッチ周波数を、前記固有振動数とすれば、前記固有振動数の振動が車体100Bへ伝達されることを抑制できるので、共振増幅現象を抑制できる。
ノッチ周波数の振動に対して車体支持装置1のばね剛性を小さくするためには、フーリエ級数の理論によって、前記ノッチ周波数(ピストン3が気室4に対して相対的に往復運動する際の周波数に応じた所定の周波数)だけでなく、その整数倍の高調波の周波数、あるいは整数分の1倍の周波数で気体通路開閉手段8を開閉すればよいことになる。これによって、本実施形態に係る車体支持装置1は、前記ノッチ周波数での伝達率が小さくなり、前記ノッチ周波数以外の振動は、前記ノッチ周波数に比べると大きい伝達率のまま荷重を支持することになる。これは、静止荷重(振動周波数が0に相当する)の支持には極めて重要な特性である。
次に、図2−3、図2−4に開示した車体支持装置を説明する。図2−3に示す車体支持装置1cは、内部に気体が閉じ込められる第1気室4Aと第2気室4Bとが対向配置されて、これらがケース(筺体)11内に収められる。本実施形態において、第1気室4Aは、車体支持装置1cの取付対象である車両100の車体100B側に配置される。このため、第2気室4Bは、第1気室4Aの鉛直方向の下方位置に配置されることになる。ここで、鉛直方向とは重力の作用方向をいい、下方位置とは対地高さの低い側をいう(図2−3中矢印G方向)。
対向配置される第1気室4Aと第2気室4Bとは、振動入力手段である荷重伝達部材3Aを挟持する。荷重伝達部材3Aには、懸架装置20(図1参照)を構成するロワーアーム21Lが取り付けられている。ロワーアーム21Lは、ケース11に設けられる貫通孔12を貫通している。荷重伝達部材3Aは、ロワーアーム21Lを介して路面から入力される力を、第1気室4A及び第2気室4Bに伝達する。この力は、第1気室4A及び第2気室4B内の気体に伝達されて、第1気室の気体が圧縮されることにより吸収、緩和される。これによって、車体100Bに伝達される前記力が緩和支持される。このように、この車体支持装置1cは、荷重が負荷された場合、第1気室4Aの体積変化と第2気室4Bの体積変化とは反対となる。すなわち、第1気室4Aの体積が減少すると、第2気室の体積は増加する。
また、図2−3に示すように、第1気室4Aと荷重伝達部材3Aの第1支持部CP1とが接触する部分の荷重支持面積S1は、第2気室4Bと荷重伝達部材3Aの第2支持部CP2とが接触する部分の荷重支持面積S2よりも大きい(S1>S2)。ここで、S1:S2は、2:1〜10:1程度が適切である(以下同様)。すなわち、第1気室4Aが荷重伝達部材3Aから圧力を受ける受圧面積は、第2気室4Bが荷重伝達部材3Aから圧力を受ける受圧面積よりも大きい。
これによって、第1気室4Aが荷重伝達部材3Aを押す力F1は、第2気室4Bが荷重伝達部材3Aを押す力F2よりも大きくなる。その結果、別に荷重支持用のばねや気体ばね等を使用しなくても、車体支持装置1c単独で、前記ロワーアーム21Lから荷重伝達部材3Aへ伝わる荷重を支持することができる。同時に、この車体支持装置1cは、気体通路開閉手段8をノッチ周波数で開閉することにより、ノッチ周波数の振動が車体100Bへ伝達されることを抑制できる。
この車体支持装置1cは、対向配置される第1気室4A及び第2気室4Bに、荷重伝達部材3Aが狭持される。そして、貫通孔12に貫通したロワーアーム21Lが荷重伝達部材3Aに取り付けられて、貫通孔12内をロワーアーム21Lが移動することで、車体支持装置1cが衝撃を吸収し、緩和する。従来の緩衝装置では、荷重の作用点がケースの外側にあったが、本実施形態に係る車体支持装置1cでは、ロワーアーム21Lからの荷重の作用点を車体支持装置1cのケース11内に設定できる。その結果、車体支持装置1cの全長を従来よりも短く設計できる。これにより、懸架装置100をコンパクトにすることができる。
また、図2−3に示すように、この車体支持装置1cには、車体支持装置1cの内部であって、車両取付側において荷重伝達部材3Aの第1支持部CP1と対向する位置に、ストッパ部材19が取り付けられている。ストッパ部材19は、第1気室4Aの内側かつ車体支持装置1cの車体100Bへの取付側(すなわち、第1気室4Aの内側であって、重力の作用方向(図2−3中矢印G方向)とは反対方向側)に設けられる。
なお、ストッパ部材19は、荷重伝達部材3Aの第1支持部CP1側に設けてもよいし、第1支持部CP1側及び第1気室4Aの内側かつ車体支持装置1cの車体100Bへの取付側の両方に設けてもよい。すなわち、ストッパ部材19は、車体支持装置1cのケース11内であって、荷重伝達部材3Aの第1支持部CP1と、車体100Bとの間に設けることができる。ストッパ部材19は弾性材料で構成されており、荷重伝達部材3Aの動作方向(すなわち車体支持装置1cの動作方向)に向かって圧縮されたときに反発力を発生する。ストッパ部材19は、例えば、ゴムや樹脂等の弾性材料を用いたり、つるまきばね、皿ばね、気体ばね等を用たりすることができる。
この車体支持装置1cは、万一第1気室4A内の空気が抜けて、車体支持装置1c内の空気圧支持による車両100のばね上質量の支持が不可能になっても、ストッパ部材19により前記ばね上質量を支持することができる。これにより、第1気室4A等から万一空気漏れが発生しても、ストッパ部材19が荷重伝達部材3Aの第1支持部CP1に直接接触して、車体100Bの質量を支持できるので、少なくとも車体100Bは低速で走行できる。その結果、気室から万一空気漏れが発生しても、低速走行により修理工場等へたどり着くことができる。このように、車体支持装置1cを備える車両100の信頼性を向上させるため、ストッパ19を設けることが好ましい。
図2−4は、本実施形態に係る懸架装置に適用可能な他の緩衝装置の構造を示す説明図である。この車体支持装置1dは、上記車体支持装置1cと同様の構成であるが、対向配置される第1気室4Aと第2気室4Bとを、振動入力手段である荷重伝達部材3Bが貫通する。そして、荷重伝達部材3Bの第1支持部CP1が、対向面OPの反対側における第1気室4Aに接触する。また、荷重伝達部材3Bの第2支持部CP2が、対向面OPの反対側における第2気室4Bに接触する。第1支持部CP1と第1気室4Aとの接触部分における荷重支持面積S1は、第2支持部CP2と第2気室4Bとの接触部分における荷重支持面積S2よりも大きい。そして、この車体支持装置1dは、荷重が負荷された場合、第1気室4Aの体積変化と第2気室4Bの体積変化とは反対となる。上述した車体支持装置1、1c等と同様に、この車体支持装置1dは、気体通路開閉手段8をノッチ周波数で開閉することにより、ノッチ周波数の振動が車体100Bへ伝達されることを抑制できる。
図2−5は、本実施形態に係る懸架装置に適用可能な車体支持装置の構造を示す説明図である。この車体支持装置1eは、装置筐体2eの1の端部(上端部)が車体100Bに連結され、車体100Bとは反対方向(下方向)へ伸びるブラケット部材5eが、懸架装置のロワーアーム21Lに連結される。この車体支持装置1eでは、第1気室4A及び第2気室4Bが、それぞれ可撓部材9A、9Bで仕切られて構成されるロール式の空気ばねで構成される。この車体支持装置1eでは、ブラケット部材5eと連結される第2気室4Aのカバー(第2気室カバー)3eを振動入力手段として用いる。すなわち、ロワーアーム21Lと車体100Bとの間の相対的な振動は、ブラケット部材5eを介して第2気室4Bのカバー3eに入力される。このように、車体支持装置1eの第2気室カバー3eは、車体支持装置の気室に対する振動入力手段としての機能は、図1−1に示した車体支持装置1のピストン3や、図2−3に示した車体支持装置1cの荷重伝達部材3A等と同様である。
図2−3に示す車体支持装置1cは、第1気室4Aと第2気室4Bとを、荷重伝達部材3Aに対して対向する位置に配置して、第1気室4Aと第2気室4Bとが互いに押し合うことで、懸架装置を安定化する。一方、図2−5に示す車体支持装置1eは、第1気室4Aと第2気室4Bとで、懸架装置のロワーアーム21Lに連結するブラケット部材5eと一体とした第2気室カバー3eを押し合うことで、図2−3に示す車体支持装置1cと同様の効果を得ている。ここで、この車体支持装置1eでは、ブラケット部材5eと第2気室カバー3eとが、振動入力手段となる。空間の利用効率からは、図2−3に示す車体支持装置1cよりも、図2−5に示す車体支持装置1eの方が有利である。また、図2−5に示す車体支持装置1eは、いわゆるストラット形の懸架装置にも適している。
車体支持装置1eは、第1気室4Aと第2気室4Bとが気体通路7で連結される。気体通路7には、気体通路開閉手段8が設けられる。そして、この車体支持装置1eでは、振動検出手段(例えば、車体加速度センサ30や懸架装置用加速度センサ31、図1−1参照)で検出した振動特性に応じた周波数で、気体通路開閉手段8を開閉することでノッチ周波数を作成し、これと同じ周波数を持つ振動成分の伝達を抑制する。すなわち、この車体支持装置1eは、刻々と変化する振動特性に追随することで、振動伝達を抑制する効果が劣化しにくいという利点がある。
図2−6は、本実施形態に係る懸架装置に適用可能な車体支持装置の構造を示す説明図である。この車体支持装置1fは、図2−5に示す車体支持装置1eと同様であるが、第1気室4Aの内壁面が外筒2Aの内壁面を利用して、また、第2気室の内壁面が、内筒3fの内壁面を利用して構成される。外筒底部10には、内筒3が貫通する貫通孔11が設けられる。
外筒2Aと内筒3fとの間には、第1気室4Aを構成する可撓部材9Aが設けられ、また、内筒3fと外筒底部10との間には、第2気室4Bを構成する可撓部材9Bが設けられる。なお、この車体支持装置1fにおいて、振動入力手段は、内筒3f及びこれと連結されるブラケット5fで構成される。
この車体支持装置1fは、外筒2Aの車体取付側に第1ストッパ部材19Aが設けられ、また、外筒底部10には第2ストッパ部材19bが設けられる。第1ストッパ部材19A及び第2ストッパ部材19Bの中心部には、第1気室4Aと第2気室4Bとを接続する気体通路7が形成される。気体通路7には、気体通路開閉手段8が設けられる。そして、この車体支持装置1fでは、振動検出手段(例えば、車体加速度センサ30や懸架装置用加速度センサ31、図1−1参照)で検出した振動特性に応じた周波数で、気体通路開閉手段8を開閉することでノッチ周波数を作成し、これと同じ周波数を持つ振動成分の伝達を抑制する。すなわち、この車体支持装置1fは、刻々と変化する振動特性に追随することで、振動伝達を抑制する効果が劣化しにくいという利点がある。ここで、第1気室4Aと第2気室4Bとが幾何学的に対向していなくても、力学的に対向する関係に対となった空気ばねに対して、本発明の原理を上記と同様に適用することができる。
図3は、本実施形態に係る車体支持装置を車両に配置した状態を示す概念図である。図3は、車両100の4輪に、それぞれ図2−3に示す車体支持装置1cを配置した例を示している。車両100の前進方向は、図3の矢印Lで示す方向である。この車両100には、右側前輪、左側前輪、右側後輪、左側後輪の位置に、それぞれ車体支持装置1c1、1c2、1c3、1c4が配置される。それぞれの車体支持装置1c1、1c2、1c3、1c4は、気体通路71、72、73、74に設けられる気体通路開閉手段81、82、83、84を、振動制御装置40によって所定周波数で開閉することによって、上述したように所定周波数の振動の伝達を抑制する。次に、本実施形態に係る車体支持装置1の振動制御装置40について説明する。
図4は、本実施形態に係る振動制御装置の構成を示す説明図である。振動制御装置40は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)40Pと、記憶部40Mと、入力ポート44と、出力ポート45とを含んで構成される。
振動制御装置40のCPU40Pには、周波数設定部41と、連通時間設定部42と、弁制御部(気体通路開閉手段制御部)43とが含まれる。これらが、本実施形態に係る振動制御を実行する部分となる。振動制御装置40の周波数設定部41と、連通時間設定部42と、弁制御部43とは、入力ポート44及び出力ポート45を介して接続される。これにより、振動制御装置40に含まれる周波数設定部41と、連通時間設定部42と、弁制御部43とは、相互に制御データをやり取りしたり、一方に命令を出したりできるように構成される。
また、CPU40Pと記憶部40Mとは、入力ポート44及び出力ポート45を介して接続される。これによって、振動制御装置40は、記憶部40Mにデータを格納したり、記憶部40Mに格納されているデータやコンピュータプログラム等を利用したりすることができる。
入力ポート44には、車体加速度センサ30やストロークセンサ32その他の、車体支持装置1の制御に必要な情報を取得するセンサ類が接続されている。これにより、CPU40Pは、車体支持装置1の制御に必要な情報を取得することができる。出力ポート45には、振動制御に必要な制御対象、すなわち、気体通路開閉手段8を構成する開閉弁8Vの開閉を制御するアクチュエータ8Aが接続されている。このような構成により、前記センサ類からの出力信号に基づき、CPU40Pは、気体通路開閉手段8を構成する開閉弁8Vを、所定の周波数で開閉することができる。
記憶部40Mには、本実施形態に係る振動制御の処理手順を含むコンピュータプログラムやデータ等が格納されている。ここで、記憶部40Mは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本実施形態に係る振動制御の処理手順を実現できるものであってもよい。また、この振動制御装置40は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、周波数設定部41、連通時間設定部42及び弁制御部43の機能を実現するものであってもよい。次に、本実施形態に係る車体支持装置1の制御を説明する。次の説明では、適宜図1〜図4を参照されたい。
図5は、本実施形態に用いるフーリエ解析を実行する際の機能ブロック図である。図6〜図9は、本実施形態に係る車体支持装置の制御例を説明するための図である。次の説明においては、実施形態に係る車体支持装置1の制御において、例えば、車体100Bの振動成分のうち、卓越周波数の振動成分を抑制する例を説明する。この場合、周波数設定部41は、車体100Bへの伝達を遮断する振動の周波数(ノッチ周波数)を設定する。本実施形態において、周波数設定部41は、車体加速度センサ30から取得した車体100Bの加速度(ばね上の加速度)に基づいて、車体100Bの振動成分を取得する。取得した車体100Bの振動は、例えば、図6に示すようになる。
車体支持装置1等を介して路面から車体100Bに伝達される振動を抑制し、車両100の乗員に快適な乗り心地を提供するためには、乗員に与える影響の大きい振動の伝達を抑制することが効果的である。乗員に与える影響の大小を判別する方法の一つに、パワースペクトルの大きさで判別する方法がある。パワーの大きな振動成分がその振動を支配していると考えられ、パワーの小さな振動成分はその振動に対して支配的ではないと考えられるからである。なお、伝達を抑制したい振動が既知(例えば、車両100のばね上及び車体支持装置1を含めた系の固有振動数)の場合には、車体100Bへの伝達を抑制したい振動を判別しなくてもよい。ここで、振動のパワーとは、入力振動を各周波数成分に分解したときの、各周波数が持つ強度(パワー)を指す。振動のパワーは、フーリエ展開したときのsinの係数とcosの係数とを各々2乗して加算することで求めることができる。
時事刻々の振動からパワーの大きなスペクトル、すなわち、その振動を大きく支配している振動成分を抽出するには、リアルタイムに振動解析を実行することが好ましい。ここで、「リアルタイムの振動解析」とは、狭義の意味での同時性を意味するのではなく、所定の時間幅で、取得した振動から複数の振動のデータ(振幅やパワー、あるいはエネルギのデータ)をサンプリングして、フーリエ解析を実行し、パワーの大きなスペクトルの振動成分を抽出する一連の作業を、所定の時間内に終了することを繰り返す作業をいう。
図5に示すように、車体加速度センサ30(図1参照)からの振動信号は、A/D(Analog/Digital)変換器50によってアナログ信号からディジタル信号に変換される。ディジタル信号に変換された振動信号は、バンドパスフィルタ51へ取り込まれ、所定の周波数帯域に属する振動成分だけが通過する。
車両100の乗員が不快と感じる振動が車体100Bへ伝達されることを抑制するにあたっては、前記乗員が不快に感じる周波数やばね上、ばね下の共振周波数等、問題となる振動の周波数帯域は予め分かっている。この周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタ51を用いて、車体100Bへの伝達を抑制したい周波数を特定するための準備を行う。
バンドパスフィルタ51を通過した周波数帯域の振動は、データバッファ52へ一旦格納される。振動制御装置40の周波数設定部41が先行データの解析を終了した旨のトリガ信号をデータバッファ52へ出力すると、データバッファ52に格納された、前記周波数帯域の振動は、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)解析部53に送られてフーリエ解析される。図7は、図6に示す車体100Bの振動をフーリエ解析した結果の例を示している。
FFT解析部53で時間領域から周波数領域へ変換された特定の周波数帯域の振動は、振動抑制装置40の記憶部40Mへ格納される。周波数設定部41は、記憶部40Mに格納されているフーリエ解析の結果、すなわちパワースペクトルから、伝達を抑制する周波数を決定する。本実施形態において、伝達を抑制する周波数は、振動のパワー(あるいは振幅、あるいはエネルギ)が所定の閾値asを超える周波数であり、図7に示す例ではf1である。
周波数設定部41が、伝達を抑制する周波数を特定したら、後述するように、振動抑制装置40は、車体100Bへ伝達される特定の周波数を抑制するための処理を実行する。この処理の実行が終了したら、周波数設定部41は、FFT解析部53に対して、データバッファ52から次のデータを取得してフーリエ解析を実行するように指令を発信する。本実施形態では、上記処理を繰り返し実行し、乗員に与える影響の大きい振動の周波数を検出して、これの伝達を抑制するように構造体支持装置1等を制御する。
伝達を抑制する周波数を特定したら、周波数設定部41は、伝達を抑制する周波数又はその整数倍の周波数を、気体通路開閉手段8の開閉周波数foとして設定する。図8に、開弁指令パルスの一例を示す。図8に示すように開弁指令パルスの周期はtaであり、特定した伝達を抑制する周波数で開閉する場合は、fo=f1=(1/ta)である。また、連通時間設定部42は、車体支持装置1の支持荷重に基づいて、開弁指令パルスの幅tbを設定する(図8参照)。開弁指令パルスの幅tbは、開閉弁8Vの開弁時間であり、気体通路7の連通時間を示す(以下開弁時間という)。開弁時間tbは、伝達を抑制する周波数で振動する振動のパワーの大きさに応じて変更することが好ましい。例えば、伝達を抑制する周波数で振動する振動のパワーが大きくなるに従って、開弁時間tbを大きくする。これによって、伝達を抑制する周波数におけるゲインを0に近くすることができるので、より確実に、ノッチ周波数の伝達を抑制できる。また、例えば、開弁時間tbは、車体支持装置1の支持荷重が大きくなるにしたがって小さくしてもよい。
弁制御部43は、周波数設定部41が設定した開閉周波数foで、かつ連通時間設定部42が設定した開弁時間tbを開弁指令パルス幅として、気体通路開閉手段8のアクチュエータ8Aへ、開弁指令パルスを出力する。これによって、図9に示すように、車体支持装置1は、伝達を抑制する周波数f1におけるゲインが0で、それ以外の周波数におけるゲインがおよそ1.0の周波数フィルタとして機能する。すなわち、伝達を抑制する周波数f1の振動は、車体支持装置1によって遮断され、車体100Bに対してはほとんど伝達されない。これによって、車体100Bへ伝達される周波数f1の振動を抑制できる。伝達を抑制する周波数f1を、車体支持装置1で支持される車体100Bの共振周波数に設定すれば、共振増幅を回避することができる。
図10〜図13は、本実施形態に係る車体支持装置における他の制御例を説明するための図である。次の説明においては、実施形態に係る車体支持装置1の制御において、例えば、車体100Bの振動成分のうち、複数(この例では2)の卓越周波数の振動成分を抑制する例を説明する。この場合、周波数設定部41は、車体100Bへの伝達を遮断する振動の周波数(伝達を抑制する周波数)を設定する。周波数設定部41は、車体100Bの振動成分をフーリエ解析した結果が保存された記憶部40Mを利用する。図10に、フーリエ解析の結果を示す。本実施形態において、伝達を抑制する周波数は、振動のパワー(あるいは振幅、あるいはエネルギ)が所定の閾値asを超える周波数であり、図10に示す例ではf1、f2である。
伝達を抑制する周波数を特定したら、周波数設定部41は、気体通路開閉手段8の開弁指令パルスを設定する。図11には、開弁指令パルスの一例を示しており、上段が伝達を抑制する周波数f1に対する開弁指令パルスであり、下段が伝達を抑制する周波数f2に対する開弁指令パルスである。図11に示すように、また、伝達を抑制する周波数f1に対する開弁指令パルスの周期はt1であり、f1=(1/t1)である。伝達を抑制する周波数f2に対する開弁指令パルスの周期はt2であり、f2=(1/t2)である。
伝達を抑制する周波数が複数ある場合に、複数の前記周波数の振動成分を扱うときには、図12に示すように、周波数設定部41は、ノッチ周波数f1に対する開弁指令パルスと、周波数f1に対する開弁指令パルスとを重ね合わせたものを、開弁指令パルス列とする。ここで、図12の実線が伝達を抑制する周波数f1に対する開弁指令パルスであり、一点鎖線が伝達を抑制する周波数f2に対する開弁指令パルスである。
弁制御部43は、周波数設定部41が設定した開閉指令パルス列で、かつ連通時間設定部42が設定した開弁時間tb(図8参照)を開弁指令パルス幅として、気体通路開閉手段8のアクチュエータ8Aへ、開弁指令パルスを出力する。これによって、図13に示すように、車体支持装置1は、伝達を抑制する周波数、すなわちノッチ周波数f1、f2におけるゲインが0で、それ以外の周波数におけるゲインが1.0の周波数フィルタとして機能する。すなわち、ノッチ周波数f1、f2の振動は、車体支持装置1によって遮断され、車体100Bに対してはほとんど伝達されない。これによって、車体100Bへ伝達される周波数f1、f2の振動を抑制できる。
複数のノッチ周波数のうち一つを車両100の振動系の共振周波数に設定すれば、共振増幅を回避することができる。また、ばねと油圧ダンパーとで構成される緩衝装置では、周波数が高い領域における振動遮断特性が劣化するという問題があるが、本実施形態に係る車体支持装置1では、ノッチ周波数を複数設定することで、複数の振動を同時に遮断することができる。これによって、広い周波数帯域において、車体100Bに伝達される振動を抑制することができる。
上述した説明では、車体支持装置1等によって車両100のばね上における振動を抑制する例を説明したが、本実施形態に係る車体支持装置1等は、車両100のバネ下における振動に対しても同様に適用できる。この場合、車体加速度センサ30によって車体100Bの振動(すなわち車両100のばね上の振動)を検出する代わりに、懸架装置用加速度センサ31によって車両100のばね下の振動を検出する。そして、検出した前記ばね下の振動に基づいて決定されたノッチ周波数で、気体通路開閉手段8を開閉する。これによって、乗り心地に影響を与える周波数で振動するばね下の振動が、車体100Bへ伝達されることを抑制できるので、車両100の乗り心地を改善できる。また、路面GLに対する車輪24の追従性を悪化させるばね下の周波数をノッチ周波数とすることにより、路面に対する車輪の追従性悪化を抑制することができる。
また、上述した例では、振動検出手段によって検出した車両100のばね上、あるいはばね下の振動に基づいて、伝達を抑制する振動の周波数を決定していたが、伝達を抑制する振動の周波数を一定値としてもよい。例えば、伝達を抑制する振動の周波数として、車両100の振動系の固有振動数を選択し、常にこの固有振動数に対応する周波数で、気体通路開閉手段8を開閉してもよい。これによって、気体通路開閉手段8の制御が容易になる。また、この場合、車両の乗員や積載量の変化によって、前記固有振動数も変化するが、振動検出手段によって前記固有振動数の変化を検出して、その結果に応じて伝達を抑制する振動の周波数を変更してもよい。
本実施形態に係る車体支持装置1を車両の懸架装置に適用した例を説明したが、本実施形態に係る車体支持装置1の適用対象はこれに限られるものではなく、ノッチ周波数の振動の伝達を抑制する必要がある車両全般に対して適用できる。例えば、自転車、二輪車、トラック、バス等を含む車両一般の懸架装置類、列車や機関車等の鉄道車両、あるいは鉄道車両に用いられるヨーダンパー等、二輪車のステアリングダンパー、航空機の脚に用いる緩衝装置に、本実施形態に係る車体支持装置1は適用できる。
以上、本実施形態では、空気や窒素等の気体が充填される気室、及びこの気室に対して相対的に往復運動することによって振動を前記気室へ入力する入力手段を備え、この入力手段が前記気室に対して相対的に往復運動する際の周波数に応じて設定される、伝達を抑制する周波数で、前記気室に接続される気体通路を開閉する。このような構成により、前記伝達を抑制する周波数の振動は、車体支持装置によって遮断され、この車体支持装置によって支持される構造物に対してはほとんど伝達されない。これによって、車体支持装置及びこれに支持される被支持質量が構成する振動系の固有振動数が変化した場合には、振動特性の変化に応じて、気室に接続される気体通路を開閉する周波数を変更することにより、静止荷重を支持しつつ、被支持質量に対する振動の抑制効果を発揮できる。また、伝達を抑制する周波数を車両のばね下の振動に基づいて設定すれば、例えば、路面GLに対する車輪24の追従性悪化を抑制することができる。