JP2008086842A - 不燃・耐久性蓄光膜およびその加工方法 - Google Patents

不燃・耐久性蓄光膜およびその加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短時間の光照射により長残光性の蓄光が可能で、輝度、残光時間、不燃性、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐汚染性などの耐久性に優れた不燃・耐久性蓄光膜、およびその加工方法を提供すること。
【解決手段】(A)無機白色系顔料、(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む下塗膜用コーティング剤を塗布して形成された乾燥膜厚が15〜60μmの下塗膜、(C)平均粒径5〜50μmの蓄光顔料、(B)無機系結合剤、および(E)親水性溶媒を含む中塗膜用コーティング剤を塗布して形成された乾燥膜厚が80〜500μmの中塗膜、ならびに(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤、または(B)無機系結合剤、(D)コロイド状金属酸化物、および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤を塗布して形成された乾燥膜厚が3〜10μmの上塗膜の3層の膜を主体とする不燃・耐久性蓄光膜、およびその加工方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、不燃・耐久性蓄光膜、およびその加工法に関する。さらに詳しくは、あらゆる基材に形成することができる3層構造の、不燃性で、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐汚染性、耐滑性、硬度などに優れ、短時間の光照射でも長残光性である蓄光膜、およびその加工法に関する。
従来より、蓄光性素材として、蓄光膜、蓄光フィルム、蓄光タイルなどが数多く知られている。しかしながら、いずれも、輝度、残光時間、不燃性に問題があり、特に屋外で使用する場合は、耐紫外線、耐水、耐薬品、耐汚染性(汚れの付着により輝度が低下する)などの耐久性に問題がある。
本発明は、短時間の光照射により長残光性の蓄光が可能で、輝度、残光時間、不燃性に優れ、さらに耐候性、耐水性、耐薬品性、耐汚染性、硬度、密着性などの耐久性に優れた不燃・耐久性蓄光膜、およびその加工方法を提供することを目的とする。
本発明は、(A)無機白色系顔料、(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む下塗膜用コーティング剤を塗布して形成された乾燥膜厚が15〜60μmの下塗膜、(C)平均粒径5〜50μmの蓄光顔料、(B)無機系結合剤、および(E)親水性溶媒を含む中塗膜用コーティング剤を塗布して形成された乾燥膜厚が80〜500μmの中塗膜、ならびに(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤、または(B)無機系結合剤、(D)コロイド状金属酸化物、および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤を塗布して形成された乾燥膜厚が3〜10μmの上塗膜の3層の膜を主体とすることを特徴とする不燃・耐久性蓄光膜に関する。
ここで、下塗膜用コーティング剤は、(A)無機白色系顔料 20〜50重量部、(B)無機系結合剤 10〜25重量部、(E)親水性溶媒25〜50重量部(ただし、(A)+(B)+(E)=100重量部)を主成分とするものが好ましい。
また、中塗膜用コーティング剤は、(B)無機系結合剤 10〜25重量部、(C)蓄光顔料 20〜60重量部、(E)親水性溶媒15〜40重量部(ただし、(B)+(C)+(E)=100重量部)を主成分とするものが好ましい。
さらに、上塗膜用コーティング剤は、上塗膜用コーティング剤100重量部中、(B)無機系結合剤 8〜24重量部、(E)親水性溶媒 92〜76重量部(ただし、(B)+(E)=100重量部)を主成分とするか、あるいは、(B)無機系結合剤 10〜25重量部、(D)コロイド状金属酸化物が固形分換算で 3〜10重量部、(E)親水性溶媒65〜80重量部(ただし、(B)++(D)+(E)=100重量部)を主成分とするものが好ましい。
ここで、(A)無機白色系顔料としては、ZnO、ZnCO、ZnS、Al、Al(OH)、TiO、ZnMoO・ZnOおよびBaSO・ZnSからなる群より選ばれる1種または2種以上が好ましい。
(B)無機系結合剤としては、金属アルコキシドおよび/または金属ヒドロキシドが好ましい。
さらに、(C)蓄光顔料としては、CaAl:Eu,Nd、CaSrS:Bi、SrAl1425:Eu,Dy、SrAl:Eu,Dy、SrAl:Eu、ZnS:Cu、ZnS:Cu,Co、CaS:Eu,Tmからなる群より選ばれる1種または2種以上が好ましい。
(D)コロイド状金属酸化物は、SiO2、Al、Al(OH)、ZrOおよびSiO・ZrOからなる群より選ばれる1種または2種が好ましい。
次に、本発明は、基材に(A)無機白色系顔料、(B)無機系結合剤、および(E)親水性溶媒を含む下塗膜用コーティング剤を塗布した後、乾燥して硬化し膜厚15〜60μmの下塗膜を形成し、次いで該下塗膜に(C)平均粒径5〜50μmの蓄光顔料、(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む中塗膜用コーティング剤を塗布し、乾燥して硬化し膜厚80〜500μmの中塗膜を形成し、さらに該中塗膜に(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤、または(B)無機系結合剤、(D)コロイド状金属酸化物および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤を塗布後、乾燥して硬化し膜厚3〜10μmの上塗膜を形成して3層の膜を形成することを特徴とする不燃・耐久性蓄光膜の加工方法に関する。
ここで、基材としては、コンクリート、窯業材、石材、タイル、ガラス、金属、木材、樹脂、繊維および紙からなる群より選ばれるものが挙げられる。
本発明の蓄光膜は、不燃性で、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐汚染性、防滑性、硬度に優れ、短時間の光照射により長残光性の蓄光が可能で、あらゆる基材に加工することができる。ビルや家屋の他、あらゆる建造物、道路、鉄道、自動車、船舶などに、安全標識、案内、広告看板などの発光表示物、美観などとして使用することができる。
本発明の蓄光膜は不燃性であり、3層の膜からなっている。すなわち、光反射性の白色の下塗膜、高輝度、長残光性の蓄光中塗膜、耐汚染性、耐水性、耐薬品性、高輝度の保護透明上塗膜からなる。それぞれの膜について、以下に説明する。
<下塗膜>
下塗膜は、基材面を均一に白色化し、光反射性にして蓄光膜の輝度を高め、さらに残光時間を長くするために必要であり、(A)無機白色系顔料、(B)無機系結合剤、および(E)親水性溶媒を含むコーティング剤(以下「下塗膜用コーティング剤」ともいう)を基材に塗布して形成する。
(A)無機白色系顔料
(A)無機白色系顔料としては、ZnO、ZnCO、ZnS、Al、Al(OH)、TiO、ZnMoO・ZnO、BaSO+ZnSが挙げられ、これらは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。好ましくは、ZnO、TiO、ZnMoO・ZnOである。その平均粒径は0.3〜3μmが好ましい。このような無機白色系顔料の配合割合は、下塗膜用コーティング剤100重量部〔ただし、(A)+(B)+(E)=100重量部〕中、20〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは25〜40重量部である。この量が20重量部未満では、本願の目的を達成するのに不十分であり、一方、50重量部を超えると塗膜が軟弱になり、好ましくない。
(B)無機系結合剤
(B)無機系結合剤としては、ゾル−ゲル法で成膜する公知の金属アルコキシドおよび/または金属ヒドロキシドが使用できる。この(B)無機系結合剤は基材に直接塗布し、重合、ゲル化させることによって、膜を形成させることができる。得られる膜は、不燃性で、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐汚染性、防漏性、硬度などに優れる。
好ましい例としては、
(イ)R (ORj(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、Rは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、Mはカルシウムまたはバリウム、iは0または1、jは1また2の整数を示す)で表される化合物、
(ロ)R (ORl(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、Rは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、Mはアルミニウム、イットリウムまたはランタン、kは0または1、lは2または3の整数を示す)で表される化合物、
(ハ)R (ORn(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、Rは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、Mはチタン、ジルコニウム、マンガン、スズ、ケイ素またはストロンチウム、mは0または1、nは3または4の整数を示す)で表される化合物
などを挙げることができる。
これらの化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもでき、また、2種以上が縮合しているものを用いてもよい。
上記(B)金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの具体例としては、Ca(OCH、Ca(OC、Ca(OC、Ca(OC、Ba(OCH32、Ba(OC、Ba(OC、Ba(OC、Al(OCH、Al(OC、Al(OC、Al(OC、CHAl(OCH、CHAl(OC、CHAl(OC、CHAl(OC、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC、CHTi(OCH、CHTi(OC、CHTi(OC、CHTi(OC、CTi(OCH、CTi(OC、CTi(OC、CTi(OC、Si(OCH、Si(OC、Si(OC、Si(OC、CHSi(OCH、CHSi(OC、CHSi(OC、CHSi(OC、CSi(OCH、CSi(OC、CSi(OC、CSi(OC、Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC、CHZr(OCH、CHZr(OC、CHZr(OC、CHZr(OC、CZr(OCH、CZr(OC、CZr(OC、CZr(OC、Y(OCH、Y(OC、Y(OC、Y(OC、La(OCH、La(OC、La(OC、La(OC、Mn(OCH、Mn(OC、Mn(OC、Mn(OC、Sn(OCH、Sn(OC、Sn(OC、Sn(OC、Sr(OCH、Sr(OC、Sr(OC、Sr(OC、Ca(OH)、Ba(OH)、Al(OH)、CHAl(OH)、Ti(OH)、CHTi(OH)、CTi(OH)、Si(OH)、CHSi(OH)、CSi(OH)、Zr(OH)、CHZr(OH)、CZr(OH)、Y(OH)、La(OH)、Mn(OH)、Sn(OH)、Sr(OH)などを挙げることができる。
また、これらの化合物を組み合わせた縮合物としては、上記の化合物の任意の組み合わせにより自由に縮合でき、分子量も適宜選択できる。例えば、ZrOSi(OC、AlOSi(OC、TiOSi(OC、(CO)ZrOSi(OC、(CO)ZrOSi(OC、(CO)TiOSi(OC、(CO)TiOSi(OC、(CO)AlOSi(OC、(CO)AlOSi(OCなどを挙げることができる。
これらの化合物、縮合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもでる。
下塗膜用のコーティング剤100重量部〔ただし、(A)+(B)+(E)=100重量部〕中における(B)無機系結合剤の配合割合は、固形分換算で10〜25重量部が好ましく、さらに好ましくは12〜18重量部である。10重量部未満では、塗膜の密着力が不足し、一方、25重量部を超えると、塗膜に亀裂が入り好ましくない。
(E)親水性溶媒
下塗膜用コーティング剤には、上記の成分の他に、アコールやその他の溶剤、水のような分散媒を用いる。
このアルコールとしては、1価アルコールまたは2価アルコールであるエチレングリコールもしくはこの誘導体が使用でき、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどを挙げることができ、またエチレングリコールもしくはこの誘導体としてはエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
これらのアルコール類は、好ましくはi−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールである。これらのアルコール類は、1種でもまた2種以上を併用することもできる。
また、その他の溶剤としては、キシレン、トルエン、ミネラルターペン、ベンゼン、シクロヘキサン、メチルエチルケトンなどの炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類などを挙げることができる。
さらに、水としては、一般水道水、蒸留水、あるいはイオン交換水を用いることができる。特に、コーティング剤を高純度にする場合には、蒸留水またはイオン交換水が好ましい。
ここで、上記有機溶剤や水には、上記金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの加水分解による縮合によって生成する水や有機溶剤なども包含される。
これら(E)親水性溶媒は、(A)+(B)+(E)=100重量部となるように使用されが、その使用量は、25〜50重量部であることが好ましく、さらに好ましくは30〜40重量部である。
下塗膜の乾燥膜厚は、15〜60μmであり、好ましくは25〜40μmである。膜厚が15μm未満では本願の目的を達成するのに不十分であり、一方、60μmを超えると塗膜が軟弱になり、好ましくない。また、下塗膜用コーティング剤の固形分濃度は、好ましくは30〜55重量%であり、さらに好ましくは、35〜45重量%である。
<中塗膜>
中塗膜は蓄光膜であり、(C)蓄光顔料と(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含むコーティング剤(以下「中塗膜用コーティング剤」ともいう)を塗布して形成する。
(C)蓄光顔料
(C)蓄光顔料としては、CaAl:Eu,Nd、CaSrS:Bi、SrAl1425:Eu,Dy、SrAl:Eu,Dy、SrAl:Eu、ZnS:Cu、ZnS:Cu,Co、CaS:Eu,Tmなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくは、SrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu,Dyである。
これらの(C)蓄光顔料の平均粒径は5〜50μmであり、好ましくは、10〜40μmである。平均粒径が5μm未満ではりん光輝度が低く、一方、50μmを超えると造膜性が悪くなり、りん光輝度も低下する。
(C)蓄光顔料の配合量は、中塗膜用コーティング剤100重量部〔ただし、(B)+(C)+(E)=100重量部〕中、20〜60重量部が好ましく、さらに好ましくは35〜55重量部である。この量が20重量部未満ではりん光輝度が不十分であり、一方、60重量部を超えると造膜性や密着性が悪化して好ましくない。
(B)無機系結合剤は、上記の下塗膜において使用するものと同様のものが使用され、その配合量は、中塗膜用コーティング剤100重量部〔ただし、(B)+(C)+(E)=100重量部〕中、固形分換算で10〜25重量部が好ましく、さらに好ましくは12〜18重量部である。10重量部未満では、塗膜の密着力が不足し、一方、25重量部を超えると、塗膜に亀裂が入り好ましくない。
(E)親水性溶媒も、上記の下塗膜において使用するものと同様のものが、(B)+(C)+(E)=100重量部となるように使用される。(E)親水性溶媒の使用量は、好ましくは15〜40重量部、さらに好ましくは18〜30重量部である。
中塗膜の塗膜厚は、乾燥膜厚で、80〜500μmであり、好ましくは、150〜300μmである、この厚さが80μm未満ではりん光輝度が低すぎたり、残光時間が短すぎたりし、一方、500μmを超えると塗膜が割れたり、コストがかかりすぎ、好ましくない。中塗膜用コーティング剤の固形分濃度は、好ましくは35〜70重量%であり、さらに好ましくは、50〜65重量%である。
<上塗膜>
上塗膜は、透明な膜であり、耐水性、耐薬品性、対汚染性、耐候性、硬度などを改善して耐久性を向上させる。従って、屋外で使用する場合は特に重要であり、さらに防滑性にすることができるため床材にも使用できる。
上塗膜は、(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含むコーティング剤か、または(B)無機系結合剤、(D)コロイド状金属酸化物および(E)親水性溶媒を含むコーティング剤(以下「上塗膜用コーティング剤」ともいう)を塗布して形成する。(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒は上記の下塗膜、中塗膜で使用するものと同様のものが使用される。
(B)無機系結合剤と(E)親水性溶媒からなるコーティング剤の場合、配合量は、上塗膜用コーティング剤100重量部中、(B)無機系結合剤は固形分換算で8〜24重量部、(E)親水性溶媒は92〜76重量部が好ましい。この場合の上塗膜用コーティング剤の固形分濃度は、好ましくは5〜15重量%、さらに好ましくは、7〜13重量%である。
(D)コロイド状金属酸化物
(D)コロイド状金属酸化物としては、SiO2、Al、Al(OH)、ZrO、SiO・ZrOなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。その配合量は、上塗膜用コーティング剤100重量部〔ただし、(D)+(B)+(E)=100重量部〕中、固形分換算で3〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは、4〜8である。3重量部未満では性能が発揮され難く、一方、10重量部を超えると硬度が低下したり、透明性が低下したりして好ましくない。
(B)無機系結合剤の配合量は、上塗膜用コーティング剤100重量部〔ただし、(B)+(D)+(E)=100重量部〕中、固形分換算で10〜25重量部が好ましく、さらに好ましくは12〜18重量部である。10重量部未満では、塗膜の密着力が不足し、一方、25重量部を超えると、塗膜に亀裂が入り好ましくない。
(E)親水性溶媒は、(D)+(B)+(E)=100重量部となるように使用され、その使用量は、好ましくは65〜87重量部である。なお、(E)親水性溶媒には、(D)コロイド状金属酸化物中に含まれる水も含まれる。上塗膜用コーティング剤が、(B)無機系結合剤、(D)コロイド状金属酸化物および(E)親水性溶媒を主成分とする場合の固形分濃度は、好ましくは8〜22重量%、さらに好ましくは12〜20重量%である。
上塗膜の乾燥膜厚は、3〜10μmであり、好ましくは、4〜7μmである。3μm未満では目的を果たすことが困難であり、一方、10μmを超えると塗膜に亀裂が入る。
なお、上記の各塗膜形成用コーティング剤には、さらに、必要により、(F)その他の成分、例えば、キレート剤、界面活性剤、カップリング剤、無機酸または有機酸、分散剤、増粘剤、硬化触媒、無機顔料、合成樹脂などの従来公知の添加剤を用いることができる。これらの添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲で任意の量を添加できる。
本発明の蓄光膜の加工方法は、基材に上記のコーティング剤を1層ごとに塗布し、乾燥硬化して、塗り重ねて3層の膜とする。具体的には、基材にまず、下塗膜用のコーティング剤を塗布し、これを常温乾燥または低温加熱乾燥し硬化させ膜厚15〜60μmの下塗膜を得る。常温乾燥の場合、乾燥時間は24〜48時間が好ましい。加熱する場合、加熱温度は、80〜250℃が好ましく、加熱時間は5〜60分が好ましい。塗布は従来公知の方法で行なえばよい。
次いで、得られた下塗膜上に、上記の中塗膜用コーティング剤を塗布し、上記同様に乾燥硬化させ、80〜500μmの中塗膜を得る。常温乾燥の場合、乾燥時間は24〜48時間が好ましい。加熱する場合、加熱温度は、80〜250℃が好ましく、加熱時間は5〜60分が好ましい。塗布は従来公知の方法で行なえばよい。中塗膜は比較的厚いので、塗布乾燥の操作を数回繰り返して行なってもよい。
さらに、同様に中塗膜上に上塗膜用コーティング剤を塗布、乾燥硬化させ膜厚3〜10μmの上塗膜を得、3層からなる塗膜を得ることができる。常温乾燥の場合、乾燥時間は48〜96時間が好ましい。加熱する場合、加熱温度は、80〜250℃が好ましく、加熱時間は5〜60分が好ましい。
基材としては、どのようなものも用いることができるが、例えば、コンクリート、窯業材、石材、タイル、ガラス、金属、木材、樹脂、繊維、紙などが挙げられる。
このように表面に3層の膜が形成された基材は、不燃性、かつ耐久性に優れ、屋外の使用に十分耐え得る。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、特許請求の範囲を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準である。
下塗膜、中塗膜、上塗膜用のコーティング剤を表1に示す配合で調製した。
(A)無機白色系顔料
A−1:酸化亜鉛 平均粒径 1μm
A−2:酸化チタン 平均粒径 0.5μm
(B)無機系結合剤
B−1:CHSi(OCH 固形分49% 信越化学工業(株)製
B−2:Si(OC 固形分40% 多摩化学工業(株)製
B−3:Zr(OC 固形分30% ノーベル(株)製
(C)蓄光顔料
C−1:SrAl1425:Eu,Dy 平均粒径15μm 根本特殊化学(株)製
C−2:SrAl:Eu,Dy 平均粒径20μm 根本特殊化学(株)製
(D)コロイド状金属酸化物
D−1:水生コロイド状アルミナ 固形分20%
(E)親水性溶媒
E−1:イオン交換水
E−2:イソプロピルアルコール
E−3:n−ブタノール
(F)その他の成分
F−1:レベリング剤
F−2:酢酸
F−3:亜硫酸ナトリウム
実施例1(供試体の作製)
不燃・耐久性蓄光膜の不燃性および時間経過によるりん光輝度の変化と塗膜の耐久性を調べるため、表1に示す各塗膜形成用のコーティング剤を用いて供試体を作製した。
アルミニウム板(100×100mm)を脱脂処理した後、下塗膜用コーティング剤(1)をエアースプレーにてm換算約120g塗布した。これを120℃の乾燥炉で30分乾燥して膜厚約30μmの下塗膜を得た。
次いで、上記の下塗膜に、中塗膜用コーティング剤(2)を、エアースプレーにてm換算約160g塗布した。これを80℃の乾燥炉で30分乾燥した。これを3回繰り返し、膜厚約110μmの中塗膜を得た。
最後に、上塗膜用コーティング剤(3)を、上記中塗膜上に、エアースプレーにてm換算約80g塗布した。これを120℃の乾燥炉で30分乾燥して膜厚約6μmの上塗膜を得た。
このようにして、3層合計膜厚約146μmの不燃・耐久性蓄光板である供試体を得た。この供試体を用い、以下の試験を行なった。
Figure 2008086842
<不燃性試験>
供試体の塗装面をガスバナーで5分間照射し、燃焼時の状態を観察した。その結果は、供試体が変形し、塗膜に亀裂が入り、一部落下し、その間少し臭気はあったものの、不燃で概ね無臭であった。
<りん光輝度の測定>
供試体を使用して、りん光輝度の変化を調べた。
まず、供試体を24時間暗室に静置した後、標準光源D65を200lxに調光し、供試体に20分間照射した。
照射停止後、輝度計(ミノルタ製 LS−100)を水平方向から45度の角度で1m離し、60分間りん光輝度を測定した。結果を表2に示す。なお、参考として、JIS規格値を示した。
Figure 2008086842
次に照射後2時間以上経過した供試体のりん光輝度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2008086842
<耐久性試験>
1.密着性:JIS K−5400碁盤目試験に準拠した。
2.硬度:JIS K−5400鉛筆引っかき試験に準拠した。
3.耐衝撃性:JIS K−5400耐衝撃性試験(1/2インチ500g×20cm落下試験)に準拠した。
4.耐温水性:60℃の温水中に24時間浸漬した後、1日放置後の塗膜の硬度を測定した。
5.耐酸性:1%塩酸水溶液スポット8時間試験後の塗膜状態を観察した。
6.促進耐候性試験:QUV試験(UV照射70℃/8時間、結露50℃/4時間の繰り返し試験)500時間後の塗膜状態を観察した。
7.耐汚染性(a):マジックインク赤、黒で落書きし、1日経過後、エタノールでふき取り、痕跡状態を観察した。
耐汚染性(b):0.1%カーボン水溶液を塗布し、60℃で2時間加熱乾燥した。これを水洗した後、塗膜の色差を測定した。
以上の試験結果を表4に示す。
Figure 2008086842
<促進耐候性試験後のりん光輝度値の測定>
上記の促進耐候性試験500時間後の供試体のりん光輝度の状態を調べた。即ち、促進耐候性試験後の供試体を24時間暗室に静置した後、標準光源D65輝度を200lxに調光し、供試体に20分間照射した。
照射停止後、輝度計(ミノルタ製 LS−100)を水平方向から45度の角度で1m離し、60分間りん光輝度を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2008086842
この結果、促進耐候性試験結果前の供試体によるりん光輝度試験結果に勝るとも劣らない値を示し、耐久性に優れることが証明された。
本発明の蓄光膜は、あらゆる基材に形成させることができ、ビルや家屋の他、あらゆる建造物、道路、鉄道、自動車、船舶などに、安全標識、案内、広告看板などの発光表示物、美観などとして使用することができる。

Claims (10)

  1. (A)無機白色系顔料、(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む下塗膜用コーティング剤を塗布して形成された乾燥膜厚が15〜60μmの下塗膜、(C)平均粒径5〜50μmの蓄光顔料、(B)無機系結合剤、および(E)親水性溶媒を含む中塗膜用コーティング剤を塗布して形成された乾燥膜厚が80〜500μmの中塗膜、ならびに(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤、または(B)無機系結合剤、(D)コロイド状金属酸化物および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤を塗布して形成された乾燥膜厚が3〜10μmの上塗膜の3層の膜を主体とする不燃・耐久性蓄光膜。
  2. 下塗膜用コーティング剤が、(A)無機白色系顔料 20〜50重量部、(B)無機系結合剤 10〜25重量部、(E)親水性溶媒 25〜50重量部(ただし、(A)+(B)+(E)=100重量部)を主成分とする請求項1記載の不燃・耐久性蓄光膜。
  3. 中塗膜用コーティング剤が、(B)無機系結合剤 10〜25重量部、(C)蓄光顔料 20〜60重量部、(E)親水性溶媒 15〜40重量部(ただし、(B)+(C)+(E)=100重量部)を主成分とする請求項1記載の不燃・耐久性蓄光膜。
  4. 上塗膜用コーティング剤が、(B)無機系結合剤 8〜24重量部、(E)親水性溶媒 92〜76重量部(ただし、(B)+(E)=100重量部)を主成分とするか、あるいは、(B)無機系結合剤 10〜25重量部、(D)コロイド状金属酸化物が固形分換算で 3〜10重量部、(E)親水性溶媒 65〜80重量部(ただし、(B)+(D)+(E)=100重量部)を主成分とする請求項1記載の不燃・耐久性蓄光膜。
  5. (A)無機白色系顔料がZnO、ZnCO、ZnS、Al、Al(OH)、TiO、ZnMoO・ZnOおよびBaSO・ZnSからなる群より選ばれる1種または2種以上である請求項1〜4いずれか記載の不燃・耐久性蓄光膜。
  6. (B)無機系結合剤が金属アルコキシドおよび/または金属ヒドロキシドである請求項1〜5いずれか記載の不燃・耐久性蓄光膜。
  7. (C)蓄光顔料がCaAl:Eu,Nd、CaSrS:Bi、SrAl1425:Eu,Dy、SrAl:Eu,Dy、SrAl:Eu、ZnS:Cu、ZnS:Cu、Co、CaS:Eu、Tmからなる群より選ばれる1種または2種以上である請求項1〜6いずれかに記載の不燃・耐久性蓄光膜。
  8. (D)コロイド状金属酸化物が、SiO2、Al、Al(OH)、ZrOおよびSiO・ZrOからなる群より選ばれる1種または2種である請求項1〜7いずれかに記載の不燃・耐久性蓄光膜。
  9. 基材に(A)無機白色系顔料、(B)無機系結合剤、および(E)親水性溶媒を含む下塗膜用コーティング剤を塗布した後、乾燥して硬化し、膜厚15〜60μmの下塗膜を形成し、次いで該下塗膜に(C)平均粒径5〜50μmの蓄光顔料、(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む中塗膜用コーティング剤を塗布し、乾燥して硬化し膜厚80〜500μmの中塗膜を形成し、さらに該中塗膜に(B)無機系結合剤および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤、または(B)無機系結合剤、(D)コロイド状金属酸化物および(E)親水性溶媒を含む上塗膜用コーティング剤を塗布後、乾燥して硬化し、膜厚3〜10μmの上塗膜を形成して3層の膜を形成することを特徴とする不燃・耐久性蓄光膜の加工方法。
  10. 基材がコンクリート、窯業材、石材、タイル、ガラス、金属、木材、樹脂、繊維および紙からなる群より選ばれるものである請求項9記載の不燃・耐久性蓄光膜の加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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