JP2008080248A - 湿式排煙脱硫装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収塔内の排ガスの偏流を低減し、塔内の圧力損失を増加させずに、吸収塔の壁面を流下する液層を有効利用して、脱硫性能を向上させる湿式排煙脱硫装置の提供である。
【解決手段】石灰石または石灰を含むスラリを含有する吸収液と排ガスを気液接触させて排ガス中の硫黄酸化物を吸収、除去する吸収塔4を備えており、排ガスと吸収液が接触する吸収部で吸収塔4の側壁面の内周方向全体にわたり側壁4aの一部を用いてリング状の第1スプレヘッダ41を形成し、側壁面の近傍全周にわたり第1スプレヘッダ41に複数の第1スプレノズル33を設ける。吸収塔4の壁面を伝って流下する液層は第1スプレヘッダ41に衝突し再飛散して、排ガス吸収に利用される。また、第1スプレヘッダ41から均等に第2スプレヘッダ42を延設し第2スプレノズル34を設けると、第2スプレヘッダ42の占有率の偏りをなくし排ガス1の偏流による脱硫性能低下を防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は排ガスの吸収装置に係り、特に排ガス中の硫黄酸化物(以下、SOxということがある)、ばいじん及びボイラ燃料中に含まれる成分や物質を低減する湿式排煙脱硫装置に関する。
大気汚染防止のため、排ガス中の硫黄酸化物の除去装置として、湿式石灰石−石膏脱硫装置が広く実用化されている。従来の湿式排煙脱硫装置の系統を図9に示す。
ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガス1は入口煙道3から吸収塔4に導入され、吸収塔4内に上下に複数段設置されたスプレヘッダ9を介して吸収液スプレ部5に設置されたスプレノズル6より噴霧される石灰石または石灰を含むスラリなどの吸収剤の液滴と接触することにより、排ガス1中のばいじんや塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)等の酸性ガスとともに、排ガス1中のSOxがスプレノズル6の液滴表面で吸収される。
また、排ガス1に同伴されるミストは、ミストエリミネータ10により除去され、清浄な排ガス2は出口煙道11を経て、必要により再加熱されて煙突より排出される。SOxの吸収剤である、例えば石灰石15は石灰石スラリ槽16で石灰石スラリとして、石灰石スラリポンプ17により吸収塔4内にSOx吸収量に応じて石灰石スラリ流量調節弁18により供給される。
そして、吸収液は吸収塔循環ポンプ8により昇圧され吸収塔内のスプレヘッダ9を通った後、吸収液スプレ部5に供給され、スプレノズル6から噴霧される。吸収塔4内で除去されたSOxは吸収液中のカルシウムと反応し、中間生成物として亜硫酸カルシウム(重亜硫酸カルシウムを含む)になり、図示しない酸化用空気ブロワ等により空気21が吸収塔4に供給され、吸収塔タンク7に供給された空気21により、石膏に酸化され最終生成物(石膏)となる。
このように吸収塔4内に空気21を直接供給することにより、排ガス中のSOxの吸収反応と、生成した亜硫酸カルシウムの酸化反応を同時に進行させることにより反応全体が促進され、脱硫性能が向上する。なお、その際に吸収塔4に供給する酸化空気21は、酸化用撹拌機22により微細化することにより酸化空気の利用率を高めている。その後、吸収液スラリは抜出しポンプ12により昇圧されて生成石膏量に応じて抜き出され、石膏脱水設備13に送られ、粉体の石膏14として回収される。
図7は、図9の湿式排煙脱硫装置の吸収塔4のスプレノズルの配置を示す図で、碁盤目状にスプレノズル31が配列された場合の同一水平断面から吸収塔4内を見た図を示し、図8(a)は、図7の碁盤目状に配列されたスプレノズル31の周りにスプレノズル32を円形に追設した場合の図を示し、図8(b)には、図7や図8(a)に示す吸収塔4の水平断面に対するスプレヘッダ9の占有率を表した図を示す。
上記従来技術において、図7に示すように、円形吸収塔の水平断面に対してスプレノズル31を碁盤目状に配置した場合、吸収塔4の壁とスプレノズル31との間隔が大きくなるスペースが生じる。そのため、吸収塔4の壁付近では吸収塔4の中心部に比べて液滴密度が低くなる。そして、この液滴密度が低い箇所は、排ガス1に対する抵抗が小さいので、ガス流れが集中しやすく排ガスの偏流が生じやすくなる。したがって、この箇所では未処理ガスの吹き抜けが起こるため、脱硫装置の脱硫性能が低下する。
そして、この排ガスの偏流による脱硫性能の低下を防止するために、図8(a)に示すように、碁盤目状配置のスプレノズル31の周りに吸収塔4の壁に沿った円状配置のスプレノズル32を追設し、吸収塔4の壁付近の液滴密度を高くすることにより、排ガスの偏流による影響を防止することが提案されている。
しかし、SOxの吸収能力は、吸収液の状態が吸収塔4の壁面を伝う液層で存在している場合よりも、液滴で存在している場合の方が大きい。したがって、吸収塔4の周辺にスプレノズル32を配置しただけの場合は、SOxの吸収能力が液滴に比べて低い液層の比率が図7のスプレノズル31を配置しただけの場合よりも増加する。したがって、図8(a)に示すようなスプレノズル31、32の段数を複数段設置する場合は、吸収塔4の壁を伝う液層の比率がさらに増加するという問題が生じる。
さらに、図7及び図8(a)に示すスプレヘッダ9は、吸収塔の一方向(図7及び図8(a)の例では図面の右側)から挿入されていることから、スプレヘッダ9の挿入部付近ではスプレヘッダ9の径が太いために、吸収塔4の水平断面に対してスプレヘッダ9の占有率が大きく、スプレヘッダ9の挿入部から遠方になるにつれ、スプレヘッダ9の太さが細くなるため、スプレヘッダ9の占有率が小さくなる。そして、図8(b)に示すように、スプレヘッダ9の占有率の大きい範囲と小さい範囲では占有率が約10〜20%もの差が生じる。
したがって、スプレヘッダ9の下方から上昇する排ガス1は、排ガス1への抵抗が小さいスプレヘッダ9の占有率が小さい、スプレヘッダ9の挿入部から遠方の部分を主に通過する。その結果、吸収塔4の水平断面の任意の範囲において排ガス1のガス流速に差異が生じ、ガスの偏流が生じてしまう。
また、下記特許文献2記載の発明によれば、吸収塔のスプレノズルの配置や噴霧量を不均一化して、脱硫性能の向上を図った構成が記載されている。すなわち排ガス入り口ダクト側よりも排ガス流速の速い部分である、ダクト側とは吸収塔中心点を中心とする点対称部分のスプレノズルの設置個数を密にしたり、噴霧液量を密にする構成が提案されている。更に、下記特許文献3記載の発明によれば、排ガス流れを考慮して、上下に隣接するスプレ段のスプレノズルの位置をずらすように配置した構成が提案されている。
しかし、これら特許文献2及び特許文献3記載の発明では、吸収塔の壁面を伝う液層については考慮されておらず、液層は排ガスの吸収に有効利用されていない。
一方、SOxの吸収能力が液滴に比べて低い、吸収塔の壁面を伝う液層を有効利用する方法として、該液層を塔内に液滴として再飛散させるための転向装置を吸収塔の壁内面に設置する発明が提案されている(下記特許文献1)。
吸収塔の塔壁に沿って下方に流れる液は、酸性ガス及び粒子の除去において有効に働かない。そこで、特許文献1によれば、吸収塔の塔壁に沿って下方に流れる液の一部を、ガス流路の中央方向に転向させる転向装置(吸収塔の内側壁面の全周に沿って設け細孔を施したもの)により、液滴として排ガス流路内に再導入することで、排ガス内のSO2が吸収塔の塔壁付近からバイパス(貫通)することが解消される構成としている。該特許文献1記載の構成によれば、吸収塔の塔壁に沿って下方に流れる液は、転向装置の細孔を通り抜けることで液滴となり、再度排ガスの吸収に有効利用される。
しかし、特許文献1記載の発明の転向装置には、該転向装置を支えるためのサポートを設置する必要があり、吸収塔内にこのようなサポートを設置することは、サポートが脱硫反応の過程で生じる化学物質によるスケーリングポテンシャルになるため、排ガスの圧力損失の増加やサポートに付着するスケールを除去するためのメンテナンス費用が増加する。
特表2001−523563号公報 特開平9−206550号公報 米国特許第6102377号 明細書
上記従来技術は、円形吸収塔の水平断面に対してスプレノズルを図7に示すように碁盤目状に配置していたため、スプレノズルと吸収塔の壁との間にスペースが生じ、吸収塔の壁の周辺部において液滴密度が低い箇所が生じ、ガスの偏流が生じやすいノズル配列となっていた。高SOx濃度の排ガスを処理する際には、吸収塔内のガスの偏流を低減し、吸収液と排ガスの気液接触効率を向上させて脱硫性能の向上を図る必要がある。
そして、このガス偏流による脱硫性能の低下を防止するために図8(a)に示すように、前記碁盤目状配置のスプレノズルの周りに吸収塔の壁に沿った円状配置のスプレノズルを追設した構成が提案されたが、SOxの吸収能力は、吸収液の状態が吸収塔の壁面を伝う液層で存在している場合よりも液滴で存在している場合の方が大きい。したがって、この構成ではSOxの吸収能力が液滴よりも低い液層の比率が増加する。特に複数段スプレヘッダを設置した場合においては吸収塔の壁面を伝う液層の比率がさらに増加する問題があった。そして、排ガスの吸収に有効利用されない、吸収塔の壁面を伝う液層の問題については考慮されていなかった。
また、上記従来技術によれば、図7及び図8(a)に示すように、吸収塔の一方向からスプレヘッダを挿入していることから、吸収塔の水平断面に対するスプレヘッダの占有率に偏りが生じ、その結果、ガスの偏流が生じやすく、脱硫性能を低下させる問題もあった。
一方、特許文献1では、吸収塔の壁を伝う液層を有効利用する方法として、転向装置を吸収塔の壁内面に設置する発明が提案されているが、この構成では転向装置を支えるサポートを設置する必要がある。このようなサポートは脱硫反応の過程で生じる化学物質によるスケーリングポテンシャルとなり、圧力損失の増加やスケーリングを除去するためのメンテナンス費用が増加する。
本発明の課題は、高脱硫率が要求されるプラントなどにおいて、吸収塔内の排ガスの偏流を低減し、塔内の圧力損失を極端に増加させることのない湿式排煙脱硫装置の提供である。更に、脱硫反応にあまり寄与しない、吸収塔の塔壁を伝って流下する液層を塔内に再飛散させ、再度気液接触させて有効利用することにより、脱硫性能を向上させる湿式排煙脱硫装置の提供である。
上記本発明の課題は、下記の構成を採用することにより達成できる。
請求項1記載の発明は、燃焼装置から排出される排ガスを導入し、石灰石または石灰を含むスラリを含有する吸収液と気液接触させることにより、前記排ガス中に含まれるばいじん、硫黄酸化物及び燃焼装置で用いる燃料中に含まれる成分に起因する物質を吸収、除去する吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装置において、前記排ガスと前記吸収液が接触する吸収部で前記吸収塔の側壁面の内周方向全体にわたり側壁の一部を用いてリング状の第1スプレヘッダを形成し、前記吸収塔の側壁面の近傍全周にわたり前記第1スプレヘッダに前記吸収液を噴霧する複数の第1スプレノズルを設けた湿式排煙脱硫装置である。 請求項2記載の発明は、前記第1スプレヘッダから平面視で相対する壁面方向に複数の第2スプレヘッダを延設し、該第2スプレヘッダに複数の第2スプレノズルを設けた請求項1記載の湿式排煙脱硫装置である。
請求項3記載の発明は、前記第1スプレヘッダから平面視で吸収塔の中心部近傍に向けて複数の第2スプレヘッダを延設し、該第2スプレヘッダに複数の第2スプレノズルを設けた請求項1記載の湿式排煙脱硫装置である。
請求項4記載の発明は、前記第1スプレヘッダから平面視で格子状となるように複数の第2スプレヘッダを延設し、該第2スプレヘッダに複数の第2スプレノズルを設けた請求項1記載の湿式排煙脱硫装置である。
請求項5記載の発明は、前記吸収塔の側壁を貫通し、前記第1スプレヘッダの上方の吸収部に、複数の第3スプレノズルを有する第3スプレヘッダを配置した請求項1から4のいずれかに記載の湿式排煙脱硫装置である。
請求項6記載の発明は、前記第1スプレヘッダ及び前記第3スプレヘッダを前記吸収部に上下に複数段設置し、最下段又は最下段から2段目のスプレヘッダを前記第1スプレヘッダとした請求項5記載の湿式排煙脱硫装置である。
(作用)
本発明は、吸収塔の側壁面の内周方向全体にわたり側壁の一部を用いてリング状の第1スプレヘッダを形成し、吸収塔の側壁面の近傍全周にわたり第1スプレヘッダに吸収液を噴霧する複数の第1スプレノズルを設けることを特徴としている。第1スプレノズルが吸収塔の壁面近傍に壁面に沿ってリング状に配置されることにより、吸収塔の壁付近の液密度が低くなることを防ぐことが可能となる。
そして、第1スプレヘッダから平面視で吸収塔内の相対する壁面方向や吸収塔の中心部近傍に向けて、又は格子状となるように複数の第2スプレヘッダを延設し、該第2スプレヘッダに複数の第2スプレノズルを設けることで、吸収塔の水平断面のどの部分においても液密度の偏差が少なくなって排ガスの偏流を抑えることができ、脱硫性能が低下する現象が起きない。更に、吸収塔の壁付近における排ガスの偏流を抑え、吸収塔の壁面を伝って流れる液層が側壁の一部であるリング状の第1スプレヘッダに衝突することで液滴として再飛散して、再びSOx吸収能力を確保し、SOxの吸収に有効利用されない液層がそのまま流下することを防いでいる。
また、吸収塔内の側壁をスプレヘッダとして有効利用することで、新たにサポートなどを設置する必要性がなく簡易な構成であり、また上記した排ガスの圧力損失の増加やスケーリングの発生を抑える構造である。
したがって、請求項1記載の発明によれば、第1スプレノズルが吸収塔の壁面近傍で壁面に沿って配置されるため、吸収塔の壁付近の液密度が低くなることを防いで、液密度の偏差を少なくする。更に吸収塔の壁面を伝って流れる液層が第1スプレヘッダに衝突し、液滴として再飛散するため、液層をSOxの吸収に有効利用できる。そして、サポートなどに起因する排ガスの圧力損失の増加やスケーリングの発生を抑える。
また、第1スプレヘッダから平面視で吸収塔の相対する壁面方向や吸収塔の中心部近傍に向けて、又は格子状になるように第2スプレヘッダを延設して、該第2スプレヘッダに第2スプレノズルを設けることで、吸収塔内の水平断面におけるスプレヘッダの占有率の偏りをなくし、排ガスの偏流を防止する。なお、本明細書中、「格子状」とは、同一方向に並列配置した場合や、互いに直交する方向に配置した場合を含む意である。
したがって、請求項2〜4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の上記作用に加えて、吸収塔内の水平断面におけるスプレヘッダの占有率に大小の差が生じず、排ガスの偏流を防止できる。
また、前記吸収塔の側壁を貫通し、第1スプレヘッダの上方の吸収部に、複数の第3スプレノズルを有する第3スプレヘッダを配置すれば、第3スプレノズルから噴霧される吸収液の一部が吸収塔の壁面を伝って流れ、側壁の一部であるリング状の第1スプレヘッダに衝突する。
したがって、請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4記載の発明の上記作用に加えて、効果的に排ガス吸収液を噴霧でき、第3スプレノズルから噴霧される吸収液の液層を第1スプレヘッダに衝突させて吸収塔の塔内に液滴として再飛散させることが可能となる。
更に、第1スプレヘッダ及び第3スプレヘッダを上下に複数段設置し、最下段または最下段から2段目のスプレヘッダを第1スプレヘッダにすれば、当該第1スプレヘッダよりも上方に位置する第1スプレヘッダや第3スプレヘッダのスプレノズルから噴霧される吸収液のうち吸収塔の壁面を伝って流れる液層を下方に位置する第1スプレヘッダに衝突させて吸収塔の塔内に液滴として再飛散させることができる。
したがって、請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の上記作用に加えて、複数段のスプレヘッダのスプレノズルから効果的に排ガス吸収液を噴霧でき、吸収塔の壁面を伝って流れる液層を最下段又は最下段から2段目に設置した第1スプレヘッダにより再飛散させることが可能となる。
本発明によれば、高脱硫率が要求されるプラントなどにおいて、吸収塔内の排ガスの偏流を低減し、塔内の圧力損失を極端に増加させることがない。更に、脱硫反応にあまり寄与しない、吸収塔の塔壁を伝って流下する液層を塔内に再飛散させ、再度排ガスと気液接触させて有効利用することにより、脱硫性能を向上させることが可能となる。
そして、排ガスの偏流を抑制し、排ガスと吸収液の気液接触効率が向上することにより、脱硫性能が向上し、吸収塔循環ポンプなどのポンプの台数を低減でき、高SOx濃度の排ガスを高脱硫率で処理することが可能である。
請求項1記載の発明によれば、吸収塔の壁付近の液層に再びSOx吸収能力を与えて、SOxの吸収能力に劣る液層がそのまま流下することを防ぐことで、吸収液を有効利用することができ、また吸収塔の壁面付近における排ガスの偏流を抑え、脱硫性能が従来より向上する。また、側壁をスプレヘッダとして有効利用することで、新たにサポートなどを設置する必要性がなく簡易な構成が得られるので、設置コストも低減され、また上記した排ガスの圧力損失の増加やスケーリングの発生も抑えることができる。
請求項2〜4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の上記効果に加えて、排ガスの偏流が防止できるため、未処理ガスの吹き抜けを防止して、脱硫性能の低下を防ぐことができる。
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4記載の発明の上記効果に加えて、効果的に排ガス吸収液を噴霧でき、吸収塔の壁付近の多くの液層を有効利用することができるため、脱硫性能が従来より向上する。
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の上記効果に加えて、更に効果的に排ガス吸収液を噴霧でき、吸収塔の壁付近の液層のほとんどを有効利用することができるため、脱硫性能が従来より向上する。
図1には、本発明の一実施形態である湿式排煙脱硫装置の系統を示し、図2には図1の湿式排煙脱硫装置の水平断面から吸収塔4内を見た図を示す。すなわち側壁の一部をリング状のスプレヘッダとして用いた場合の該スプレヘッダ付近のスプレノズルの配置を示す図である。また、図3には、図2のA−A線矢視図を示し、排ガスの予想流動挙動を示している。
なお、図1の湿式排煙脱硫装置において、図9の湿式排煙脱硫装置と同じ符号の部材の説明は省略し、以下、同様とする。また、図1の湿式排煙脱硫装置には、図9に示す石灰石スラリ槽16、石灰石スラリポンプ17などは図示されていないが、図1は、これらの図示を省略する一方、石灰石スラリ19を加える構成として簡略化した図である。したがって、図9に示す石灰石スラリ槽16、石灰石スラリポンプ17を加える構成としても良い。
本発明の一実施形態である湿式排煙脱硫装置は、吸収塔4の側壁4aを用いてリング状の第1スプレヘッダ41を形成していることが特徴であり、該第1スプレヘッダ41から第1スプレノズル33を吸収塔4の側壁面に沿って配置する。なお、第1スプレヘッダは吸収塔4の周壁の一部の全周を囲って形成されるものであり、円環状、円角形状など吸収塔4の形に応じて形状が決まる。
図1には、上下にスプレヘッダを3段設置し、中央に位置するスプレヘッダを第1スプレヘッダ41として、第1スプレヘッダ41の上方と下方に位置するスプレヘッダを、吸収塔4の側壁4aを貫通している第3スプレヘッダ43とし、第3スプレヘッダ43には複数の第3スプレノズル35を設けている。図1には、スプレヘッダを3段設置した場合を示しているが、特に段数に限定はない。
そして、図2には、第1スプレヘッダ41から平面視で相対向する吸収塔壁面方向に複数の第2スプレヘッダ42を延設し、すなわち互い違いとなるように双方向に第2スプレヘッダ42を配置して、該第2スプレヘッダ42に第2スプレノズル34を設けた場合の図を示している。
また、図4には、第1スプレヘッダ41から平面視で吸収塔4の中心部に向けて第2スプレヘッダ42を延設して、該第2スプレヘッダ42に第2スプレノズル34を設けた場合の図を示している。更に、図5には、第1スプレヘッダ41から平面視で格子状に第2スプレヘッダ42を延設して、該第2スプレヘッダ42に第2スプレノズル34を設けた場合の図を示している。
図1に示すように、第3スプレヘッダ43の第3スプレノズル35を吸収塔4の中心部に配置し、更に吸収塔4の側壁4aの壁面に沿って、第1スプレヘッダ41の第1スプレノズル33を配置することにより、吸収塔4の壁面付近の液密度が低くなることを防ぐことができる。そして、吸収塔4の水平断面のどの部分においても液密度の偏差が少なくなるので、排ガスの偏流を抑えることができ、液密度が低くなって脱硫性能が低下するという現象が起こらない。
また、第1スプレヘッダ41から図2、図4及び図5に示すように、平面視で前記均等に第2スプレヘッダ42を延設することで、吸収塔4の水平断面における第2スプレヘッダ42の占有率の偏りをなくすことにより、ガス偏流を少なくし、排ガス1の偏流による脱硫性能の低下を防止する。
従来の湿式排煙脱硫装置のスプレヘッダ9(図9)は、吸収塔の一方向(図7及び図8(a)の例では図面の右側)から挿入されていることから、スプレヘッダ9の挿入部付近ではスプレヘッダ9の径が太いために、吸収塔4の水平断面に対してスプレヘッダ9の占有率が大きく、スプレヘッダ9の挿入部から遠方になるにつれ、スプレヘッダ9の太さが細くなるため、スプレヘッダ9の占有率が小さくなる。
しかし、本実施形態によれば、図2、図4、図5などに示すように、吸収液は吸収塔循環ポンプ8から矢印P方向と矢印Q方向に流れてスプレヘッダ39及びスプレヘッダ40から第1スプレヘッダ41に導入される。そして第1スプレヘッダ41の相対する方向(図面の左右両側)から、第2スプレヘッダ42が吸収塔4内に挿入されるため、第2スプレヘッダ42の占有率に偏りが生じることがないので、排ガスの偏流が生じにくく、脱硫性能の低下を防止できる。
そして、図3に示すように、吸収液は矢印B方向に落下して吸収塔4の側壁4aの壁面を伝って流れる液層37となり吸収塔4の側壁4aの一部であるリング状の第1スプレヘッダ41に衝突して吸収塔4の塔内に液滴38となって再飛散する。排ガスは吸収塔4内を上昇して第1スプレヘッダ41に衝突して矢印A方向に流れ、液滴38と接触する。
本構成を採用することにより、吸収塔4の壁面付近における排ガスの偏流を抑え、液層37を液滴38にすることで、液層37に再びSOx吸収能力を与えて、SOxの吸収能力に劣る液層37がそのまま吸収塔タンク7に流下することを防いでいる。
そして、スプレヘッダを複数段設置する場合は、下段の方に第1スプレヘッダ41を設けると、上段のスプレヘッダのスプレノズルから噴霧される吸収液が吸収塔4の側壁4aの壁面を伝って流れてできる液層37を液滴38にすることができ、液層37を排ガスの吸収に有効利用できる。
図6には、本発明の他の実施形態である湿式排煙脱硫装置の系統を示す。
図1では、複数段設置されたスプレヘッダのうち最下段から2段目のスプレヘッダを第1スプレヘッダ41としているが、例えば、図6に示すように、複数段設置されたスプレヘッダのうち最下段のスプレヘッダを第1スプレヘッダ41としても良い。また、更に最下段の第1スプレヘッダ41から複数の第2スプレヘッダ42を延設し、該第2スプレヘッダ42に第2スプレノズル34を設けても良い。そして、第2スプレヘッダ42は、吸収塔4の同一水平断面に対する第2スプレヘッダ42の占有率に偏りが生じないように、第1スプレヘッダ41から均等に延設して配置すると良い。
そして他段には吸収塔4の側壁4aを貫通している第3スプレヘッダ43を用いることにより、図3に示すように、第3スプレヘッダ43の第3スプレノズル35から噴霧された吸収液が吸収塔4の壁面4aを伝って流れてできる液層37を吸収塔4の第1スプレヘッダ41に衝突させて吸収塔4の塔内に液滴38として再飛散させることが可能となる。
本構成を採用することにより、吸収塔4の壁面付近における排ガスの偏流を抑え、液層37に再びSOx吸収能力を与えて、SOxの吸収能力に劣る液層37がそのまま吸収塔タンク7に流下することを防いでいる。
また、第1スプレヘッダ41は吸収塔4の側壁4aを利用したものであるため、新たにサポートなどを設置する必要性がなく簡易な構成であり、設置コストも低減され、また上記した排ガスの圧力損失の増加やスケーリングの発生を抑える構造である。
そして、特に吸収塔4の入口付近の排ガス1中のSOx濃度が高い条件で、高脱硫率が要求されるプラントなどにおいて、吸収塔4内の排ガス1の偏流を低減し、塔内の圧力損失を極端に増加させることがない。更に、脱硫反応にあまり寄与しない、吸収塔4の塔壁を伝って流下する液層37を塔内に液滴38として再飛散させ、再度気液接触させて有効利用することにより、脱硫性能を向上させることが可能となる。
湿式排煙脱硫装置の吸収塔に限らず、他の技術分野における装置の吸収塔においても利用可能性がある。
本発明の一実施形態である湿式排煙脱硫装置の系統を示す図である。 図1の湿式排煙脱硫装置のスプレノズルの配置を示す図であり、水平断面から吸収塔内を見た図である。 図2のA−A線矢視図である。 本発明の他の実施形態である湿式排煙脱硫装置のスプレノズル配置を示す図で、スプレヘッダを吸収塔の中心部に向けて配置した図である。 本発明の他の実施形態である湿式排煙脱硫装置のスプレノズル配置を示す図で、スプレヘッダを格子状に配置した図である。 本発明の他の実施形態である湿式排煙脱硫装置の系統を示す図である。 従来の湿式排煙脱硫装置のスプレノズル配置を示す図で、碁盤目状にスプレノズルを配列した図である。 図8(a)は従来の湿式排煙脱硫装置のスプレノズル配置を示す図で、碁盤目状に配列されたスプレノズルの周りにスプレノズルを円形に追設した図であり、図8(b)は従来の湿式排煙脱硫装置の吸収塔の水平断面に対するスプレヘッダの占有率を表した図である。 従来の湿式排煙脱硫装置の系統図である。
符号の説明
1 ボイラ等からの排ガス 2 清浄な排ガス
3 入口煙道 4 吸収塔
5 スプレ部 6 スプレノズル
7 吸収塔タンク 8 吸収塔循環ポンプ
9 スプレヘッダ 10 ミストエリミネータ
11 出口煙道 12 抜出しポンプ
13 石膏脱水設備 14 石膏
15 石灰石 16 石灰石スラリ槽
17 石灰石スラリポンプ 18 石灰石スラリ流量調節弁
19 石灰石スラリ 21 酸化用空気
22 酸化用撹拌機
31 碁盤目配列のスプレノズル
32 円形配列の追設スプレノズル
33 第1スプレノズル 34 第2スプレノズル
35 第3スプレノズル 37 液層
38 液滴 39、40 スプレヘッダ
41 第1スプレヘッダ 42 第2スプレヘッダ
43 第3スプレヘッダ

Claims (6)

  1. 燃焼装置から排出される排ガスを導入し、石灰石または石灰を含むスラリを含有する吸収液と気液接触させることにより、前記排ガス中に含まれるばいじん、硫黄酸化物及び燃焼装置で用いる燃料中に含まれる成分に起因する物質を吸収、除去する吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装置において、
    前記排ガスと前記吸収液が接触する吸収部で前記吸収塔の側壁面の内周方向全体にわたり側壁の一部を用いてリング状の第1スプレヘッダを形成し、
    前記吸収塔の側壁面の近傍全周にわたり前記第1スプレヘッダに前記吸収液を噴霧する複数の第1スプレノズルを設けたことを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
  2. 前記第1スプレヘッダから平面視で吸収塔内の相対する壁面方向に複数の第2スプレヘッダを延設し、該第2スプレヘッダに複数の第2スプレノズルを設けたことを特徴とする請求項1記載の湿式排煙脱硫装置。
  3. 前記第1スプレヘッダから平面視で吸収塔の中心部近傍に向けて複数の第2スプレヘッダを延設し、該第2スプレヘッダに複数の第2スプレノズルを設けたことを特徴とする請求項1記載の湿式排煙脱硫装置。
  4. 前記第1スプレヘッダから平面視で格子状となるように複数の第2スプレヘッダを延設し、該第2スプレヘッダに複数の第2スプレノズルを設けたことを特徴とする請求項1記載の湿式排煙脱硫装置。
  5. 前記吸収塔の側壁を貫通し、前記第1スプレヘッダの上方の吸収部に、複数の第3スプレノズルを有する第3スプレヘッダを配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の湿式排煙脱硫装置。
  6. 前記第1スプレヘッダ及び前記第3スプレヘッダを前記吸収部に上下に複数段設置し、
    最下段又は最下段から2段目のスプレヘッダを前記第1スプレヘッダとしたことを特徴とする請求項5記載の湿式排煙脱硫装置。
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