JP2008078055A - 異方導電性シート、検査装置および実装半導体製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 多孔質樹脂シートの優れた圧縮変形特性を生かしながら、点状圧縮部分の周囲で、引張ひずみに対する復元力低下という問題が生じにくい、異方導電性シート、そのような異方導電性シートを用いた検査装置、および実装半導体製品を提供する。
【解決手段】 厚み方向に貫通する複数の導通部5を有する多孔質樹脂シート12であって、第1表面側およびその反対側の第2表面側のうちの少なくとも一方の表面側に、導通部5の端が露出する凹部9が設けられる。
【選択図】 図1
【解決手段】 厚み方向に貫通する複数の導通部5を有する多孔質樹脂シート12であって、第1表面側およびその反対側の第2表面側のうちの少なくとも一方の表面側に、導通部5の端が露出する凹部9が設けられる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、異方導電性シート、検査装置および実装半導体製品に関し、より具体的には、微細ピッチの複数の電極配列を持つ2つの装置間に介在してそれらの電極間の電気的接続を容易に実現するために用いられる耐久性の高い異方導電性シート、それを用いた検査装置および実装半導体製品に関するものである。
LSIなどの半導体装置に用いられるプリント回路基板などの回路基板では、電極間のピッチが狭くなり高密度化・複雑化する傾向が高まっている。たとえば内層回路基板と外層回路基板とを含む多層基板が用いられる傾向が高くなっている。このようなLSIの回路基板のリード電極と他の回路端子などとの電気的な接続を達成するために、従来より、これらの間に異方導電性シートを介在させることが行われている。LSIの検査の際に、異方導電性シートを介在させることにより、LSIの上記電極とLSI検査装置の端子との間に、電気的接続が容易に実現される。
この異方導電性シートは、厚さ方向にのみ導電性を有し、加圧に対して厚み方向に弾性変形または回復可能な変形をすることが可能とされている(特許文献1)。異方導電性シートの導電部を加圧して圧縮変形させることにより、上記回路基板の寸法精度、とくにリード電極の厚み方向位置にばらつきがあってもそのばらつきを吸収して確実に電気的接続を可能にできる。上記圧縮変形に対して十分な復元力を持つことにより、異方導電性シートの導電部は、繰り返し使用しても回路基板の面内のすべてのリード電極と所定値以上の圧力で接触し、このため低い接触抵抗で接触することができる。
上記の異方導電性シートでは、たとえばその厚さの最大25%程度の圧縮ひずみを繰り返し安定的に付加できることが要求される。このような大きな圧縮ひずみを繰り返し発生できるように、上記の異方導電性シートには、多孔質樹脂シートが用いられる。多孔質樹脂シートでは、樹枝状に幾重にも枝分かれした態様で樹脂がシート状に形成されており、樹脂材料自体の強度、弾性係数などを考慮して材料選択することにより、大きな圧縮ひずみに対して繰り返し復元可能な多孔質樹脂シートを実現している。
特開2004−265844号公報
半導体装置等の検査における電極間の電気的接続では、上記の多孔質樹脂シートにはシート面に直交する方向の点状の圧縮荷重が負荷される。このような点状の荷重を負荷されたとき、多孔質であるかどうかによらず、点状荷重の周囲のシートには、圧縮荷重部分(点状部分)に向かって引っ張り込まれる引張ひずみが発生する。すなわちシート面の直角方向に表面を押し込む大きな点状圧縮ひずみが発生すると、それに追随して周囲のフリーな部分には、その押し込まれた点状部分に引き込まれるような引張ひずみが発生する。この引張ひずみは、厚み方向成分も含まれるが面内方向成分も復元力が問題になるほど十分大きい。
一般に、面内方向に延伸されて作られた多孔質樹脂シートは、厚み方向の圧縮変形には耐久性を持つが、シート面内方向の繰り返し引張変形に対して復元性が乏しいことが知られている。すなわち、シート面内方向の繰り返し引張ひずみに対する耐久性が低い。このため、上記の点状押し込みひずみの部分の周囲では、いったん引張変形により伸びたフリーな部分は元に戻らず、弛緩した、たるみのある状態となる。多孔質樹脂シートの導通部の点状圧縮ひずみの部分では、復元性が高く、正常な状態を維持しても、その周囲の部分が復元性の乏しい弛緩した状態となっては、相手側装置のLSI等の電極と導通部との距離が変化してしまい、良好な電気的接続を全電極にわたって安定して実現することが困難となる。多孔質樹脂シートは、圧縮変形性に富み、大きなストロークを発生するのに有効な材料であるが、上記のように厚さ方向に押し込み点状圧縮ひずみを生じさせたとき、周囲のフリーな部分に引張ひずみが生じ、繰り返し使用により復元が完全にならない状態となる。また、繰り返し使用しなくても復元力が小さいため、相手側電極への反力が小さくなり、接触面圧の低い接触が形成されることになる。このため全電極にわたって安定して接触抵抗の低い電気的接続を実現することが、難しくなる。
本発明は、多孔質樹脂シートの優れた圧縮変形特性を生かしながら、上記の押し込み点状圧縮部分の周囲で、引張変形に対する復元力低下という問題が生じにくい、異方導電性シート、そのような異方導電性シートを用いた検査装置および実装半導体製品を提供することを目的とする。
本発明の異方導電性シートは、厚み方向に貫通する複数の導通部を有する多孔質樹脂シートである。この多孔質樹脂シートでは、第1表面側およびその反対側の第2表面側のうちの少なくとも一方の表面側に、導通部の端が露出する凹部が設けられることを特徴とする。
上記構成によれば、少なくとも一方の表面側において、相手(LSI等の被検査体または配線基板もしくは実装基板)側の電極と噛み合う形状が形成されている。すなわち相手側の電極(凸状である)が、上記凹部底に露出している導通部の端に接触するとき、凹部以外の異方導電性シート表面(凹部底から見て凸部頂面)と相手側電極の周囲平坦部(シート対向面)とが接触する。そして異方導電性シートに相手側電極がさらに押し付けられるとき、導通部の端にのみ圧力が負荷されるのではなく、凹部以外の異方導電性シート表面にも相手側の平坦部(シート対向面)から圧力が負荷される。このため、導通部周囲の多孔質樹脂シートに面内方向の引張ひずみが生じることはない。なお、複数の導通部のすべてが凹部に対応する位置に配置される必要はなく、凹部以外の平坦な領域(凹部底から見て凸部)に位置する導通部があってもよい。また1つの凹部に位置する導通部は1つに限定されず、複数の導通部が位置してもよい。
相手側の電極が、異方導電性シートの凹部に噛み合った時点から、異方導電性シートには厚み方向の圧縮応力が、凹部および凹部以外の表面に負荷される。通常用いられる面内方向に延伸された多孔質樹脂シートの場合、厚み方向の圧縮応力に対しては優れた弾性回復特性を持つので、相手側の電極と長時間接触しても、多孔質樹脂シートからの反発力(復元力)は低下しにくい。この結果、上記の多孔質樹脂シートは良好な電気的接続を保持することができる。なお、上記の凹部の深さは、相手側の電極により圧縮される圧縮変形にくらべて小さく、たとえば凹部深さは、上記圧縮変形の厚さ減少量(減少厚み)の数分の一程度またはそれ以下である。
なお、相手側の電極が、上記凹部の導通部の端に接触するとき、凹部を除く多孔質樹脂シート表面と相手側電極の周囲平坦部とが接触する仕方は、厳密である必要はなく、ずれ(重複または隙間)があってもよい。すなわち凹部底の導通部および凹部以外の異方導電性シート表面のうち、いずれかが先に相手側と接触したとき、遅れて接触するほうは、相手側との間にすき間があってもよい。ずれがあっても、凹部周囲の異方導電性シートは相手側の電極周囲の平坦部(シート対向面)と、ずれの範囲内においてともかく接触して圧縮され、引張ひずみの発生の防止に寄与するからである。
また、第1表面側および第2表面側の両方に凹部が設けられていてもよい。これにより、両面での電気的接続において、長期間、良好な接触面圧および復元力を維持することができる。
上記の導通部は中空形状を有することができる。この構成により、導通部の剛性を低くでき、上記圧縮荷重に対して導通部に十分大きな圧縮変形を生じることができる。
上記の多孔質樹脂シートを多孔質フッ素樹脂で形成することができる。これにより、大きな圧縮変形能を樹脂シートに付与することができる。また、多孔質樹脂シートに中空の導通部が形成された場合には、とくに多孔質樹脂シートの貫通孔に沿って形成された導通部は、多孔質の性格を有しており、圧縮応力に対して十分大きな圧縮変形能および復元力を備えることができる。
上記の多孔質樹脂シートにおける気孔率を20%〜80%とすることができる。気孔率が20%未満では、上述の大きな弾性変形を得ることが難しく、一方80%を超えると多孔質樹脂シートの強度が低くなりすぎ、耐久性が低くなるからである。
本発明の検査装置は、半導体装置の検査のために上記のいずれかの異方導電性シートが用いられた検査装置である。この検査装置では、凹部とその凹部以外の多孔質樹脂シートの表面とが、半導体装置および検査装置における電極配列(両面側ともに凹部が形成された場合)、または半導体装置もしくは検査装置における電極配列(いずれか一方の表面側に凹部が形成された場合)と、噛み合うようにされていることを特徴とする。この構成により、導通部に相手側の電極が押し込まれても、導通部の周囲の多孔質樹脂シートに、面内方向の引張変形がほとんど生じない。このため、繰り返し使用しても信頼性の高い導通検査を行うことを可能とする耐久性に優れた検査装置を提供することができる。なお、噛み合うとは、上述した形態を指し、厳密な寸法精度を要しないことも上述のとおりである。
また、本発明の実装半導体製品は、上記したいずれかの異方導電性シートが半導体装置の実装基板への実装に用いられた実装半導体製品である。この実装半導体製品では、凹部とその凹部以外の多孔質樹脂シートの表面とが、半導体装置および実装基板における電極配列(両面側ともに凹部が形成された場合)、または半導体装置もしくは実装基板における電極配列(いずれか一方の表面側に凹部が形成された場合)と、噛み合っていることを特徴とする。この構成により、上記実装半導体製品では、導通部の周囲の多孔質樹脂シートに面内方向の引張変形を生じずに電気的接続を維持することができる。このため例えば修理または他の理由により、上記の異方導電性シートを取り外しても、凹部の周囲の多孔質樹脂シートが復元力を失って伸びてしまうことはなく、十分な復元力をもって再び全電極にわたって良好な電気的接続を実現することができる。
本発明の異方導電性シート、その異方導電性シートを用いた検査装置および実装半導体製品によれば、多孔質樹脂シートの優れた圧縮変形特性を生かしながら、押し込み点状圧縮部分の周囲で、引張変形に対する復元力の低下を生じにくくすることができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における異方導電性シート10を示す断面図である。多孔質樹脂シート12の厚み方向に貫通するように導通部5が設けられ、多孔質樹脂シート12の一方の表面側に設けた凹部9の底に導通部5の端面が露出している。導通部5は、多孔質樹脂シート12の厚み方向の貫通孔の壁に沿って形成されており、中空部7のある形状を持つ。また、図2は、図1に示す異方導電性シート10の平面図である。凹部9の径は、導通部5の外径より大きく、導通部5を含む平面形状を持つ。
図1は、本発明の実施の形態1における異方導電性シート10を示す断面図である。多孔質樹脂シート12の厚み方向に貫通するように導通部5が設けられ、多孔質樹脂シート12の一方の表面側に設けた凹部9の底に導通部5の端面が露出している。導通部5は、多孔質樹脂シート12の厚み方向の貫通孔の壁に沿って形成されており、中空部7のある形状を持つ。また、図2は、図1に示す異方導電性シート10の平面図である。凹部9の径は、導通部5の外径より大きく、導通部5を含む平面形状を持つ。
図1および図2において、領域A1およびA2ともに、LSI等の相手側電極との電気的接触において厚み方向の圧縮応力を受けて、圧縮変形をする。本発明の実施の形態で特徴的なことは、領域A2においても領域A1と同様に厚み方向の圧縮応力を受けて圧縮変形することであり、従来の異方導電性シートではなかったことである。
図3は、図1に示す異方導電性シート10を用いて、LSI等の半導体装置との電気的接続を実現した状態を示す図である。半導体装置20の基板21の裏面に設けた電極端子23が配置されている。異方導電性シート10の導通部5と、半導体装置20の電極端子23との電気的接続に際し、電極端子23は、異方導電性シート10の凹部9の底に露出する導通部5の端面に押し込まれる。電極端子23が凹部底の導通部5に押し当たり厚み方向に圧縮応力を負荷するとき、半導体装置20の基板21のシート対向面Bは、異方導電性シート10の領域A2に押し当たり、厚み方向に圧縮応力を負荷する。これは、異方導電性シート10と、基板21とが噛み合って、圧縮応力を互いに相手に負荷した状態に対応する。このため、異方導電性シート10においては、凹部9の底の導通部5の領域A1でも、また凹部以外の表面の領域A2で(凹部底から見て凸部の頂面の領域)も、厚み方向の圧縮応力を受けることになる。
LSI等の半導体装置20の基板21のシート対向面Bと、異方導電性シート10の領域A2とは、面接触する。このため、半導体装置20と異方導電性シート10との電気的接続においては、電極端子23と導通部5とが局所的に点状圧縮応力を及ぼし合うのではなく、全体的に面接触で圧縮応力を及ぼし合うことになる。異方導電性シート10の領域A2では、とくに凹部の周囲において、従来のように接触点に引き込まれる引張応力が生じることなく、全体的に厚み方向に圧縮変形する。この結果、半導体装置20と、異方導電性シート10との電気的接続では、領域A2では厚み方向に繰り返し圧縮変形が生じるだけであり、高い復元力を保持することができる。
図4は、図3における、半導体装置20の基板21と、異方導電性シート10とが、互いに圧縮応力を及ぼし合う状態を示す図である。半導体装置20の基板21のシート対向面Bは、異方導電性シート10の領域A2に厚み方向の圧縮応力を及ぼし、また電極端子23は導通部5または領域A1に、やはり厚み方向の圧縮応力を及ぼす。このため、領域A2および凹部(領域A1)ではともに圧縮変形している。異方導電性シート10の凹部9の側壁は、上記の圧縮変形により、図4に示すような断面形状に変形する。異方導電性シート10では、領域A1でもまた領域A2でも、細部は別にしてマクロ的には圧縮変形のみ生じている。すなわち凹部の周囲に異方導電性シートの面内方向の引張ひずみはマクロ的に発生していない。上記の領域A1および領域A2での圧縮変形では、多孔質樹脂シート12は復元力を失うことはなく、長期間にわたって導通部5と電極端子23の間に十分な面圧(反力)を生じることができる。
図5は、比較例である従来の異方導電性シート110を用いて半導体装置120との間に電気的接続を実現した状態を示す図である。半導体装置120の基板121のシート対向面Bに設けた電極端子123は、異方導電性シート110の導通部105のみを局所的に厚み方向に圧縮変形する。基板121のシート対向面Bは、多孔質樹脂シート112に接触することなく、シート対向面Bと多孔質樹脂シート112との間にはすき間があいている。導通部105は局所的(点状)に厚み方向に圧縮変形されるので、その周囲の多孔質樹脂シート112のフリーな部分は、圧縮変形部分へ引き込まれ、面内方向成分を主成分とする引張応力が発生する。この面内方向引張ひずみに対して多孔質樹脂シート112は、復元性に乏しく、このため耐久性が劣化する。また、復元性が乏しいために、電極端子123と導通部105との間に十分大きな面圧(反力)を発生させることができない。
(樹脂シートの形成方法)
1.樹脂シート(基膜)
図1および図2を参照して、半導体ウェハなどのバーンイン試験用の異方導電性シートでは、その基膜12が耐熱性に優れていることが好ましい。異方導電性シートは、横方向(膜厚方向とは垂直方向)に電気絶縁性であることが必要である。したがって、多孔質を形成する合成樹脂は、電気絶縁性であることが必要である。
1.樹脂シート(基膜)
図1および図2を参照して、半導体ウェハなどのバーンイン試験用の異方導電性シートでは、その基膜12が耐熱性に優れていることが好ましい。異方導電性シートは、横方向(膜厚方向とは垂直方向)に電気絶縁性であることが必要である。したがって、多孔質を形成する合成樹脂は、電気絶縁性であることが必要である。
基膜(樹脂シート)12として使用する多孔質樹脂材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリふっ化ビニリデン(PVDF)、ポリふっ化ビニリデン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)などのフッ素樹脂;ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、液晶ポリマー(LCP)などのエンジニアリングプラスチック;などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、加工性、機械的特性、誘電特性などの点から、PTFEが好ましい。
多孔質樹脂シート12を作製する方法としては、造孔法、相分離法、溶媒抽出法、延伸法、レーザ照射法などが挙げられる。多孔質樹脂シートを形成することにより、膜厚方向に弾性を持たせることができるとともに、誘電率を更に下げることができる。
多孔質樹脂シート12は、気孔率が20〜80%程度であることが好ましい。多孔質樹脂シートは、平均孔径が10μm以下あるいはバブルポイントが2kPa以上であることが好ましく、導通部のファインピッチ化の観点からは、平均孔径が1μm以下あるいはバブルポイントが10kPa以上あることがより好ましい。多孔質樹脂シートの膜厚は、使用目的や使用箇所に応じて適宜選択することができるが、通常、3mm以下、好ましくは1mm以下である。特にバーンイン試験用の異方導電性シートでは、膜厚は、多くの場合、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜100μm程度である。
多孔質樹脂シートの中でも、延伸法により得られた多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜(多孔質PTFE膜)は、耐熱性、加工性、機械的特性、誘電特性などに優れ、しかも均一な孔径分布を有する多孔質膜が得られ易いため、シート状コンタクトの基膜として最も優れた材料である。
多孔質PTFE膜は、例えば、特公昭42−13560号公報に記載の方法により製造することができる。まず、PTFEの未焼結粉末に液体潤滑剤を混合し、ラム押し出しによってチューブ状または板状に押し出す。厚みの薄いシートが所望な場合は、圧延ロールによって板状体の圧延を行う。押出圧延工程の後、必要に応じて、押出品または圧延品から液体潤滑剤を除去する。こうして得られた押出品または圧延品を少なくとも一軸方向に延伸すると、未焼結の多孔質PTFEが膜状で得られる。未焼結の多孔質PTFE膜は、収縮が起こらないように固定しながら、PTFEの融点である327℃以上の温度に加熱して、延伸した構造を焼結・固定すると、強度の高い多孔質PTFE膜が得られる。多孔質PTFE膜がチューブ状である場合には、チューブを切り開くことにより、平らな膜にすることができる。
延伸法により得られた多孔質PTFE膜は、それぞれPTFEにより形成された非常に細い繊維(フィブリル)と該繊維によって互いに連結された結節(ノード)とからなる微細繊維状組織を有している。多孔質PTFE膜は、この微細繊維状組織が多孔質構造を形成している。
2.凹部および導通部の形成
まず、ドリルまたはプレスなど機械的な方法で、所定深さまで切削して凹部9を形成する。多孔質樹脂シートの厚みを例えば400μmとして、凹部深さは 5μm〜50μmの深さとするのがよい。次に、多孔質樹脂シートの複数箇所に、表面から裏面に貫通する貫通孔を設ける。貫通孔の形成には、パルスレーザーやLIGA(登録商標)プロセスを用いることができる。次いで、貫通孔の壁(多孔質構造の樹脂部)に導電性金属を付着させて、膜厚方向に導電性を付与することが可能な導通部を設ける。
まず、ドリルまたはプレスなど機械的な方法で、所定深さまで切削して凹部9を形成する。多孔質樹脂シートの厚みを例えば400μmとして、凹部深さは 5μm〜50μmの深さとするのがよい。次に、多孔質樹脂シートの複数箇所に、表面から裏面に貫通する貫通孔を設ける。貫通孔の形成には、パルスレーザーやLIGA(登録商標)プロセスを用いることができる。次いで、貫通孔の壁(多孔質構造の樹脂部)に導電性金属を付着させて、膜厚方向に導電性を付与することが可能な導通部を設ける。
基膜の複数箇所に導通部を形成するには、先ず、導電性金属を付着する位置を特定する必要がある。導電性金属を付着させる位置を特定する方法としては、例えば、多孔質膜に液体レジストを含浸させて、パターン状に露光し、現像して、レジスト除去部を導電性金属の付着位置とする方法がある(フォトリソグラフィ法)。しかし、ここでは多孔質膜の特定位置の膜厚方向に微細な貫通孔を形成して、該貫通孔の壁面を導電性金属の付着位置とする方法を好適に採用することができる。多孔質膜に多数の貫通孔を形成する方法は、フォトリソグラフィ技術を用いる前者の方法に比べて、ファインピッチで導電性金属を付着させる場合に適している。また、多孔質膜に多数の貫通孔を形成する方法は、例えば、30μm以下、さらには25μm以下の微細な直径の導通部を形成するのに適している。情況に応じていずれの方法を用いてもよい。
多孔質膜からなる基膜の複数箇所に、表面から裏面に貫通する貫通孔の壁(多孔質構造の樹脂部)に導電性金属を付着させて導通部を形成する。フォトリソグラフィ技術を用いる方法では、無電解めっき法などによりレジスト除去部に導電性金属粒子を析出させて、壁(多孔質構造の樹脂部)に導電性金属を連続して付着させる。この場合、レジスト除去部の表面から裏面に貫通する状態となるように、多孔質構造の樹脂部に導電性金属を連続して付着させる。貫通孔を形成する方法では、貫通孔の壁面に露出している多孔質構造の樹脂部に、無電解めっき法などにより導電性金属粒子を析出させる方法により付着させる。
多孔質構造の樹脂部とは、多孔質膜の多孔質構造を形成している骨格部を意味している。多孔質構造の樹脂部の形状は、多孔質膜の種類や多孔質膜の形成方法によって異なっている。例えば、延伸法による多孔質PTFE膜の場合には、多孔質構造は、それぞれPTFEからなる多数のフィブリルと該フィブリルによって互に連結された多数のノードとから形成されているので、その樹脂部は、これらのフィブリルとノードである。
多孔質構造の樹脂部に導電性金属を付着させて導通部を形成する。この際、導電性金属の付着量を適度に制御することによって、導通部での多孔質構造を保持することができる。本発明のシート状コンタクトでは、導電性金属が多孔質構造の樹脂部の表面に沿って付着しているため、導電性金属層の部分が多孔質構造と一体となって多孔質状構造となっており、その結果、導通部が多孔質状となっているということができる。このため、上述のように、電極端子等とのコンタクト時の導通部自身の変形容易性、および金属ばねの挿し込み固定容易性を得ることができる。導電性金属層の大部分または実質的にほとんどが、多孔質状構造であってもよい。
無電解めっき法などを採用すると、導電性金属粒子が多孔質構造の樹脂部に付着する。本発明の異方導電性シートでは、多孔質膜を構成する多孔質構造(多孔性)をある程度維持したまま、導電性金属粒子が付着した状態が得られる。多孔質構造の樹脂部の太さ(例えば、フィブリルの太さ)は、50μm以下であることが好ましい。導電性金属粒子の粒子径は、0.001〜5μm程度であることが好ましい。導電性金属粒子の付着量は、多孔性と弾性を維持するために、0.01〜4.0g/ml程度とすることが好ましい。基膜となる多孔質の気孔率にもよるが、導電性金属粒子の付着量が多すぎると、異方導電性シートの弾性が大きくなりすぎて、通常の使用圧縮荷重では、異方導電性シートの弾性回復性能が著しく低下する。導電性金属粒子の付着量が少なすぎると、圧縮荷重を加えても膜厚方向への導通を得ることが困難になる。
次に、貫通孔の壁面で多孔質構造の樹脂部に導電性金属を付着させる方法について説明する。多孔質樹脂シート(基膜)12には、表面から裏面にかけて貫通する貫通孔が複数箇所に形成されている。これらの貫通孔は、一般に、所定のパターンで多孔質樹脂シート12に形成される。多孔質樹脂シート12は、基膜となっており、所定の複数箇所に貫通孔が設けられており、貫通孔壁面の多孔質構造の樹脂部には導電性金属粒子が付着して導通部5が形成されている。この導通部5は、多孔質構造の樹脂部の表面に付着して形成されているため、多孔質としての特性を有しており、膜厚方向に圧力(圧縮荷重)を加えることにより、膜厚方向のみに導電性が向上する。圧力を除去すると、導通部を含む樹脂シート全体が弾性回復するので、異方導電性シートは、繰り返して使用することができる。
図6は、図1に示す異方性導電シートの変形例を示す図である。この変形例の異方性導電シート10のポイントは、(1)凹部だけでなく平坦部(凸部)にも導通部5が配置されていること(換言すれば、導通部領域A1は凹部に限定されない)、および(2)1つの凹部9における導通部5は1つだけでなく複数配置されることにある。ただし、上記の変形例の異方性導電シート10は、上記の(1)および(2)の両方を備える必要はなく、(1)凹部だけでなく平坦部(凸部)にも導通部5が配置されるか、または(2)1つの凹部9に複数個(2個以上)の導通部5が配置されていればよい。この構成により、多くの型式の、より高精細化された半導体装置の検査に対応することができる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における異方導電性シートを用いて、LSI等の被検査体20を検査装置30で検査する状態を示す図である。また、図7は、異方導電性シート10を用いて、LSI等のデバイス20を実装基板31に実装した実装半導体製品と解釈することもできる。以下においては、被検査体20を検査装置30によって検査する構成として説明する(電気的接続に関することなので実装半導体製品の構成としても同様な説明となる)。本実施の形態では、導通部の両端が凹部9の底に露出している点に特徴がある。このため、被検査体の電極端子23および検査装置の電極端子33がともに導通部5の端に接触する際、被検査体20の基板21のシート対向面Bと検査装置30の配線基板31のシート対向面Cとが、第1表面側と第2表面側とから挟むように多孔質樹脂シート12に当接して厚み方向に圧縮応力を負荷する。
図7は、本発明の実施の形態2における異方導電性シートを用いて、LSI等の被検査体20を検査装置30で検査する状態を示す図である。また、図7は、異方導電性シート10を用いて、LSI等のデバイス20を実装基板31に実装した実装半導体製品と解釈することもできる。以下においては、被検査体20を検査装置30によって検査する構成として説明する(電気的接続に関することなので実装半導体製品の構成としても同様な説明となる)。本実施の形態では、導通部の両端が凹部9の底に露出している点に特徴がある。このため、被検査体の電極端子23および検査装置の電極端子33がともに導通部5の端に接触する際、被検査体20の基板21のシート対向面Bと検査装置30の配線基板31のシート対向面Cとが、第1表面側と第2表面側とから挟むように多孔質樹脂シート12に当接して厚み方向に圧縮応力を負荷する。
実施の形態1における図3および図4の説明から分かるように、この結果、第1表面側でもまた第2表面側でも、凹部9の周囲の部分の多孔質樹脂シート12には厚み方向の圧縮応力のみが生じ、面内成分を主成分とする引張応力は発生しない。多孔質樹脂シート12は、厚み方向の圧縮変形における復元性は優れており、電極端子23,33と導通部5との電気的接続部で高い面圧を生じて、高信頼性の電気的接続を得ることができる。また、繰り返し復元性に優れるため、耐久性も優れることになる。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。多孔質樹脂シートに凹部が形成され、相手側の電極が設けられた面と噛み合い、面内方向の引張変形をマクロ的に生じずに、全体にわたって厚み方向の圧縮応力が負荷されるものであれば、どのような異方導電性シートの形態であっても、本発明の技術的範囲に属するものである。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明は、異方導電性シート表面に凹部が設けられ、相手側電極と電気的接続をとる際に、相手側電極のシート対向面が異方導電性シート表面と当接するため、異方導電性シートに圧縮応力が負荷され、マクロ的に面内方向の引張応力が生じない。このため、復元力が劣化することがないので、相手側電極と高い面圧で電気的接続ができ、高い耐久性を得ることができる。
5 導通部、7 中空部、9 凹部、10 異方導電性シート、12 多孔質樹脂シート、20 半導体装置(被検査体)、21 基板、23 電極端子、30 検査装置、31 配線基板、33 電極端子、A1 多孔質樹脂シートの(導通部)凹部領域、A2 多孔質樹脂シートの(導通部)凹部以外の領域、B 半導体装置の基板のシート対向面、C 配線基板のシート対向面。
Claims (7)
- 厚み方向に貫通する複数の導通部を有する多孔質樹脂シートであって、
前記多孔質樹脂シートの第1表面側およびその反対側の第2表面側のうちの少なくとも一方の表面側に、前記導通部の端が露出する凹部が設けられることを特徴とする、異方導電性シート。 - 前記第1表面側および第2表面側の両方に前記凹部が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の異方導電性シート。
- 前記導通部が中空形状を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の異方導電性シート。
- 前記多孔質樹脂シートが多孔質フッ素樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の異方導電性シート。
- 前記多孔質樹脂シートにおける気孔率が20%〜80%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の異方導電性シート。
- 半導体装置の検査のために前記請求項1〜5のいずれかに記載の異方導電性シートが用いられた検査装置であって、前記凹部とその凹部以外の多孔質樹脂シートの表面とが、前記半導体装置および/または検査装置における電極配列と噛み合うようにされていることを特徴とする、検査装置。
- 前記請求項1〜5のいずれかに記載の異方導電性シートが半導体装置の実装基板への実装に用いられた実装半導体製品であって、前記凹部とその凹部以外の多孔質樹脂シートの表面とが、前記半導体装置および/または前記実装基板における電極配列と噛み合っていることを特徴とする、実装半導体製品。
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JP2006258139A JP2008078055A (ja) | 2006-09-23 | 2006-09-23 | 異方導電性シート、検査装置および実装半導体製品 |
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JP2012181218A (ja) * | 2009-08-27 | 2012-09-20 | Rino Kogyo Kk | 半導体チップ検査用ソケット |
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2006
- 2006-09-23 JP JP2006258139A patent/JP2008078055A/ja active Pending
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