JP2008076346A - 植物の生育度測定装置及び生育度測定方法 - Google Patents

植物の生育度測定装置及び生育度測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定時刻や測定場所に制限されずに植物の生育度を測定できる測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】植物の生育度を光学的に測定する装置であって、光を照射する光源と、測定植物により反射された反射光の強度を測定する受光部と、受光部で検出した光の強度を基に測定植物の生育度指標を求める演算部とを備える植物の生育度測定装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、植物の生育度を光学的に測定する装置及び方法に関する。
従来より農家等において、農作物の生育に合わせて施肥が行われている。その際、施肥の時期や量の決定が重要になるが、従来では、(1)植物の草丈、(2)茎数、(3)葉色(SPAD値または葉色板示度)等を基に植物の生育度を求め、その生育度に合わせて施肥時期や施肥量を決定している。
上記(1)植物の草丈とは株の根元から葉の先端までの長さであり、人が田畑に入り、適当な1株の葉を手で揃え、物差で株の根元から葉の先端までの長さを測定している。また、上記(2)茎数とは一株当たりの茎の数であり、これも人が田畑に入り、適当な株を選び、手でより分けながらその茎数を数えている。また、上記(3)葉色(SPAD値または葉色板示度)の測定では、通常、ハンディータイプの葉色計で葉を挟み込み、光の透過率からSPAD値を計測したり、葉色板(色見本)を対照して目視により判定している。
しかしながら、上記の各測定項目はそれぞれ問題点を抱えており、(1)植物の草丈、(2)茎数及び(3)葉色(SPAD値または葉色板示度)の測定は、何れも人が田畑に入り、煩雑な作業をしなければならず、多大な労力を要する。また、1株毎、あるいは1葉毎の測定しかできないため、代表値を得ることが困難であり、1圃場内の生育度を把握しようとすると膨大な数のサンプリングが必要となる。しかし、実際には1圃場当たり十数株程度のサンプリングにとどまっており、生育度を正確に把握できているとは言えない状況にある。また、乾物重を測定する場合もあるが、乾燥までに最短でも数十時間を要することもあり、迅速な対処ができないという問題がある。
一方で、測定作業の労力軽減や測定時間の短縮等を目的として、植物の生育度を光学的に測定する試みもなされており、例えば、所定面積に生育している植物群落からの反射太陽光を受光し、その受光強度から測定植物群落全体としてのクロロフィル濃度を測定し、これをもとに生育度を求める生育度測定装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このような生育度測定装置では、従来のように1株毎の測定ではなく、また物差を当てたり、選り分ける必要もなく、しかも瞬時に測定結果が得られるため、測定作業の労力軽減及び測定時間の短縮が図られる。更に、一度の測定により植物群落をサンプリングできることから、測定精度の上でも有利となる。
また、本出願人も、より多様な生育指標を高い精度で測定するために、2波長以上の反射光を対象とした同様の生育度測定装置を提案している(特許文献3参照)。
特開昭62−282243号公報 特開昭62−282244号公報 特開2002−168771号公報
しかし、上記の生育度測定装置は、何れも太陽光を利用するため、雨天時や極端な曇天時、夜間は測定不可能となる。また、安定した測定を実現するには、ある程度以上の日照強度の確保(例えば3000lux以上)、ある程度以上の太陽高度(例えば30°以上)等が必要であり、雲等の影響でめまぐるしく照度が変化する場合、早朝や夕方等の太陽高度が低い場合、測定箇所を覆う遮光物がある場合、あるいは室内(温室を含む)での測定等では測定が困難となる。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、測定時刻や測定場所に制限されずに植物の生育度を測定できる測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は下記に示す生育度測定装置及び生育度測定方法を提供する。
(1)植物の生育度を光学的に測定する装置であって、
測定植物に向けて光を照射する光源と、
測定植物により反射された反射光の強度を測定する受光部と、
受光部で検出した光の強度を基に測定植物の生育度指標を求める演算部と、
を備えることを特徴とする植物の生育度測定装置。
(2)植物の生育度を光学的に測定する方法であって、
測定領域を遮光して光源から測定植物に光を照射し、測定植物により反射された反射光の強度を測定して測定植物の生育度指標を求めることを特徴とする植物の生育度測定方法
本発明によれば、測定時刻や測定場所に制限されずに植物の生育度を測定することができる。
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る生育度測定装置の一実施形態を示す概略図であるが、生育度測定装置1は、測定箇所の植物Gを覆って遮光する遮光手段100を備え、遮光手段100の内部には、植物Gに向かって照射光Lを照射する光源10と、植物Gにより反射された反射光Rを入射させてその光強度(以下、「反射光強度」という)を測定する受光部30とを備える。また、光源10の経時劣化により照射光Lの強度が低下するため、第2の受光部40により照射光Lの光強度(以下、「照射光強度」という)を測定し、この照射光強度を基に反射光強度を補正する構成とすることが好ましい。これに合わせ、以降の説明では、反射光Rの強度を測定する受光部30を第1の受光部と呼ぶ。
光源10、第1の受光部30及び第2の受光部40は、図2に示すように、支持部材20に取り付けられる。支持部材20は、例えば4本の脚21を光源10の四隅から斜め外方に突出させ、脚21の先端同士、更に必要に応じて中間の複数箇所にて水平方向に延びる連結棒22a,22bで連結して構成されている。脚21の長さやその突出角度、脚21の先端部の間隔は測定対象となる植物Gの一般的な草丈、植付け間隔等に応じて適宜設定される。例えば、水稲の生育度を測定する場合には、水稲の上端から光源10までの高さが50cm程度、脚21の先端部の間隔が60cm程度となるように設計することができる。
光源10は、脚部21の上端部に固定される。第1の受光部は、図1に示すように、光源10の直近、例えば光源10の下面に、受光面を植物Gに向けて配置される。第2の受光部40は、図示されるように、連結棒22a,22bの適所(図の例では連結棒22b)に受光面を光源10に向けて取り付けてもよいし、光ファイバや鏡により照射光Lを外部に導光し、外部で測光する構成とすることもできる。遮光部材100は、何れも図示は省略するが、支持部材20の脚部21の間に三角形状の板を取り付ける構成としてもよく、あるいは黒い布を支持部材20に被せる構成とすることもできる。
光源10には制限がないが、測定したい波長領域を含むスペクトル特性を持つものが望ましい。測定波長域は、植物Gによる反射が大きい波長域及び反射が小さい波長域が好ましく、例えば近赤外光(IR:750〜1000nm付近)、赤外光(R:600〜700nm付近)、緑色光(G:550nm付近)、青色光(B:400〜500nm付近)とすることが望ましく、これら波長に対応する光源を用いる。また、照射光Lの照度は、3000lux以上が好ましい。
第1の受光部30及び第2の受光部40はともに、測定波長域の数に応じて複数の受光素子を備える。受光素子は公知のもので構わず、例えばSiフォトダイオードとすることができる。また、入射光を測定波長域に分光するために、図示されない分光フィルタが受光素子の受光面に付設される。更に、入射角度の影響を避けるために、拡散板を分光フィルタの前面に取り付けてもよい。
更に、生育度測定装置1は、上記の第1の受光部30及び第2の受光部40の受光結果を基に生育度指標を求めるための演算部(図示せず)を外部に備える。
生育度測定装置1は上記の如く構成され、測定に際し、植物Gの上方から支持部材20を導入し、植物Gを覆うようにして測定個所に設置される。その際、この支持部材20により、測定エリアの確認を行うことができる。この設置状態において、支持部材20の内部は遮光され、光源10及び第1の受光部30の受光面が植物Gと対向する。尚、設置状態によっては、遮光手段100の下縁から外部光が入り込むこともあるが、その光量は極く僅かであり、測定に影響を与えるほどではないが、照射光の強度を十分に高めることにより無視することもできる。また、必要であれば、測定の前に、この外部光を測光して生育度指標を補正する構成とすることもできる。
測定は、光源10から照射光Lを植物Gに向けて照射し、第1の受光部30で植物Gからの反射光強度を測定する。また、この反射光強度の測定と同時、もしくは前後に、第2の受光部40で照射光強度を測定する。本発明によれば、遮光状態で光源10による一定強度の照射光Lを用いて測定するため、常に同一の測定条件下で測定することができる。
そして、演算部にて反射光強度及び照射光強度を基に目的の生育度指標を求める。尚、生育度指標には制限がなく、SPAD値や正規化植生指数(NDVI=(IR−R)/(IR+R);IRは近赤外光の反射率、Rは赤色光の反射率)等を求めることができる。また、照射光の強度を基に反射率を補正することが好ましく、例えば正規化植生指数では以下の補正を行う、
即ち、受光部を構成する分光センサの正味の出力値を
IRu sensor(近赤外光の照射強度)
Ru sensor(赤外光の照射強度)
IRd sensor(近赤外光の反射強度)
Rd sensor(近赤外光の反射強度)
とし、センサ固体差による特性(バックグランド)と測定直前に測定した周辺光強度との合計をセンサオフセット値とし、下記で定義すると、
IRu offset(近赤外光の照射強度のオフセット)
Ru offset(赤外光の照射強度のオフセット)
IRd offset(近赤外光の反射強度のオフセット)
Rd offset(近赤外光の反射強度のオフセット)
補正された照射光強度は、
IRu=IRu sensor − IRu offset
Ru=Ru sensor − Ru offset
となり、補正された反射光強度は、
IRd=IRd sensor − Ird offset
Rd=Rd sensor − Rd offset
となる。
反射率は白色板の反射・照射強度比を1とした場合の比率で表すため、予め近赤外光及び赤外光のそれぞれの白色板の反射・照射強度比の逆数を求めて近赤外光の白色校正係数(Wir)及び赤外光の白色校正係数(Wr)とし、下記式から租補正反射率を算出し、前記の正規化植生指数の式に当てはめる。
IR=IRd/IRu×Wir
R=Rd/Ru×Wr
また、これらの生育度指標を基に、収量、玄米タンパク質含有率や茎葉窒素含有量(率)等を求めることも可能である。その場合、別途求めておいた収量、玄米タンパク質含有率または茎葉窒素含有量(率)と反射光量との相関関係と、実際に測定した反射光量とを対比すればよい。
本発明の生育度測定装置1は種々の変更が可能であり、例えば、支持部材20に水準器を付設することにより、第1の受光部30を地面に対して略水平に設置でき、測定精度が高まる。
また、生育度測定装置1で獲られた生育度指標に測定位置情報を付加してマップ化することもできる。その際、測定と同時にGPS等から測定位置情報(緯度や経度等)を取得し、測定値に付加したデータを作成する。更に、これらの情報を年次データとして蓄積し、生育計画に反映させることもでき、より効率的な生育を可能にする。
上述した実施形態は、昼間あるいは周囲に照明がある場合の測定方法を示しているが、夜間のように外光が無い場合や、外光が極端に弱い場合には、遮光手段100で覆うことなく、光源から照射光を照射し、植物からの反射光を受光部で受光することもできる。
本発明に係る生育度測定装置の一実施形態を示す概略図である。 図1に示す生育度測定装置の内部を示す図である。
符号の説明
1 生育度測定装置
10 光源
20 支持部材
21 脚
30 第1の受光部
40 第2の受光部
100 遮光手段
L 照射光
R 反射光

Claims (9)

  1. 植物の生育度を光学的に測定する装置であって、
    測定植物に向けて光を照射する光源と、
    測定植物により反射された反射光の強度を測定する受光部と、
    受光部で検出した光の強度を基に測定植物の生育度指標を求める演算部と、
    を備えることを特徴とする植物の生育度測定装置。
  2. 測定領域を遮光する遮光手段を備え、該遮光手段の内部に光源及び受光部を配置したことを特徴とする請求項1記載の植物の生育度測定装置。
  3. 遮光手段の内部に、光源から照射される照射光の強度を測定する第2の受光部を備え、演算部にて照射光の強度を基に反射の強度を補正することを特徴とする請求項2記載の植物の生育度測定装置。
  4. 測定位置情報を基に生育度をマップ化する手段を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の植物の生育度測定装置。
  5. 2種以上の波長域の光の強度を測定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の生育度測定装置。
  6. 植物の生育度を光学的に測定する方法であって、
    測定領域を遮光して光源から測定植物に光を照射し、測定植物により反射された反射光の強度を測定して測定植物の生育度指標を求めることを特徴とする植物の生育度測定方法。
  7. 光源から照射される照射光の強度を測定し、照射光の強度を基に反射光の強度を補正し、補正された受光強度を基に測定植物の生育度指標を求めることを特徴とする請求項6記載の植物の生育度測定方法。
  8. 測定位置情報を基に生育度をマップ化することを特徴とする請求項6または7記載の植物の生育度測定方法。
  9. 2種以上の波長域の光の強度を測定することを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の生育度測定方法。
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