JP2008074751A - フェニルピリミジン化合物又はその塩、及びその用途 - Google Patents

フェニルピリミジン化合物又はその塩、及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた抗腫瘍活性を有し、また癌細胞に対する選択性が高い化合物の提供。
【解決手段】次の一般式(I)
Figure 2008074751

で表されるフェニルピリミジン化合物又はその塩。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なフェニルピリミジン化合物又はその塩、及びその用途に関する。
1942年に、GilmanとPhilipsにより、ナイトロジェンマスタードが悪性のリンパ腫の治療に用いられ、腫瘍の著しい縮小が観察された。以来現在までに、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、プラチナ化合物、タキサン、カンプトテシンなどの誘導体が抗腫瘍剤として開発されてきている。しかしながら、これら抗腫瘍剤のほとんどは、細胞の増殖及び分裂過程を阻害するものであり、活発に増殖する癌細胞だけでなく、正常細胞にも作用を及ぼすことが知られている。したがって癌に対する効果が未だ不充分であり、すなわち、耐性を有すること、正常細胞に対する毒性があること、及び癌細胞に対して低選択性であることが従来の抗腫瘍剤の課題となっている。従って、癌化学療法の発展には、抗腫瘍効果、及び癌細胞に対する選択性の優れた抗腫瘍剤の開発がさらに望まれている。
フェニルピリミジン化合物は、従来から医薬品の基本構造として広く研究されている。例えば、抗菌剤として有用な広範な4−アミノピリミジン化合物(特許文献1)、カプサイシン受容体に作用する6−フェニル−4−(N−ピリジル−ピペラジル)−ピリミジン化合物(特許文献2)が開示されている。しかしながら、本発明化合物構造を有するフェニルピリミジン化合物は知られていない。
国際公開第2003/077656号パンフレット 国際公開第2005/007648号パンフレット
本発明の目的は、優れた抗腫瘍活性を有し、癌細胞に対して高い選択性を有する新規な化合物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(I)で表されるフェニルピリミジン化合物が優れた抗腫瘍活性を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は一般式(I)
Figure 2008074751
(式中、X1、X2及びX3は同一又は相異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基、炭素数1〜6アルキル基、及び炭素数1〜6アルコキシ基から選ばれる原子又は置換基を示す)
で表されるフェニルピリミジン化合物又はその塩を提供するものである。
また、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分とする医薬を提供するものである。
また、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分とする抗腫瘍剤を提供するものである。
さらにまた、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分とする肝臓癌治療剤を提供するものである。
本発明の新規フェニルピリミジン化合物又はその塩は、優れた抗腫瘍活性を有し、また癌細胞に対する選択性が高いことから、抗腫瘍剤として有用である。
本発明の新規フェニルピリミジン化合物又はその塩は、上記一般式(I)で表される6−フェニル−4−ピペラジル−ピリミジン化合物であり、ピペラジル基N位に、置換基を有さない4−ピリジル基を有することを特徴とする化学構造を有する新規化合物であり、前述の特許文献1、2には具体的には開示されていない化合物である。
例えば特許文献1には、抗菌剤として有用な広範な4−アミノピリミジン化合物が記載されているが、6−フェニル−4−ピペラジル−ピリミジン化合物の具体的な開示はなく、抗腫瘍効果については全く知られていない。
また特許文献2には、カプサイシン受容体に作用する6−フェニル−4−(N−ピリジル−ピペラジル)−ピリミジン化合物が記載されている。しかしながら、該ピリジル基が4−ピリジル基である化合物については、該ピリジン環3位に水素以外の置換基を有することを特徴とする化学構造を有する化合物を開示している。一方、本発明化合物は、ピペラジル基N位に置換基を有さない4−ピリジル基が結合することを特徴とする化学構造を有する化合物である点で相違する。また特許文献2には、抗腫瘍効果を示す具体的な開示もなく、さらに後述の試験例に示すように、本発明化合物は、カプサイシン受容体に対する相互作用を示さなかった。
一般式(I)中、X1、X2及びX3で示される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、好ましくはフッ素原子、又は塩素原子である。
一般式(I)中、X1、X2及びX3で示される「炭素数1〜6アルキル基」は、炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等が例示され、好ましくはメチル基である。
一般式(I)中、X1、X2及びX3で示される「炭素数1〜6アルコキシ基」は、炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルコキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が例示され、好ましくはメトキシ基である。
一般式(I)中、X1、X2、X3において、好ましくはX1又はX2が水素原子であり、残りがハロゲン原子であり、より好ましくはX1が水素原子であり、X2及びX3がハロゲン原子であり、特に好ましくはX1が水素原子であり、X2が塩素原子であり、X3がフッ素原子又は塩素原子である。X1及びX2が水素原子である場合には、X3の置換位置は、好ましくは3位又は4位であり、より好ましくは3位である。X1が水素原子である場合には、X2及びX3の置換位置は、好ましくは3位及び4位、又は2位及び4位であり、より好ましくは3位及び4位である。
また、本発明の医薬の有効成分である一般式(I)で表される化合物には、不斉炭素が存在する場合には不斉炭素に由来する光学異性体、その他の異性体が存在する場合があるが、本発明はそれら異性体を分離したもの或いはそれらの混合物をも全て包含する。
さらに、本発明の医薬の有効成分である一般式(I)で表される化合物は酸付加物塩又は塩基との塩を形成する場合もあり、かかる塩が製薬学的に許容される塩である限りにおいて本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、グルタミン酸などの有機酸との酸付加塩;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどの無機塩基;メチルアミン、エチルアミン、メグルミン、エタノールアミンなどの有機塩基;又はリジン、アルギニン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸との塩やアンモニウム塩が挙げられる。
さらに本発明は、本発明の医薬の有効成分である一般式(I)で表される化合物、並びにその製薬学的に許容される塩の各種水和物や溶媒和物および結晶多形の物質をも包含する。
これらの中で特に好ましい化合物は、下記の化合物又はその塩である。
6−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(4−メトキシフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(2,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−メチルフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−シアノフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−トリメチルシリルフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン又はその塩。
[製造法]
一般式(I)で表される化合物の代表的な製造法を説明する。
Figure 2008074751
(式中、Ar1は上記のX1、X2及びX3を有するフェニル基を示し、Zはハロゲン原子を示す)
[工程1]
一般式(II)で表される化合物は既知化合物であり、例えばWO2004/014871記載の方法により製造することができる。
一般式(III)で表される化合物は、一般式(II)で表される化合物と既知化合物1−(4−ピリジル)ピペラジンを縮合させることにより得ることができる。用いる1−(4−ピリジル)ピペラジンの量は反応に影響しない限り特に制限はないが、一般式(II)で表される化合物1モルに対し、通常1〜100モル量、好ましくは1〜10モル量である。本反応は通常、適当な溶媒中で行なわれる。用いる溶媒としては反応に関与しないものなら特に制限はないが、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が望ましい。
本反応は、塩基と共に行うことができる。塩基としては、水素化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、tert−ブトキシナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が例示される。用いられる塩基の量は特に制限はないが、通常、一般式(II)で表される化合物1モルに対し0.1〜100モルであり、好ましくは1〜30モルである。
反応温度は−30〜140℃、好ましくは100〜140℃であり、反応時間は0.1〜100時間、好ましくは1〜20時間である。本反応により製造される一般式(III)で表される化合物は、必要に応じ単離精製することができるが、精製することなく次工程に用いることもできる。
[工程2]
一般式(III)で表わされる化合物を原料として文献記載の方法、例えばChemical Review(Miyaura N.;Suzuki A.1995,95,2457−2483)に記載の方法又はそれに準じた方法で、Ar1に対応するボロン酸誘導体(Ar1−B(OH)2)と反応させることにより、一般式(I)で表される化合物を製造できる。用いられるボロン酸誘導体の量は、反応に影響しない限り特に制限はないが、一般式(III)で表される化合物1モルに対し、通常1〜100モル量、好ましくは1〜10モル量である。本反応は通常、適当な溶媒中で行なわれる。用いる溶媒としては反応に関与しないものなら特に制限はないが、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が用いられ、それらを単独或いは混合して用いることができる。
本反応は、必要に応じ塩基を用いてもよい。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン、コリジン等の有機アミン類や炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシカリウム、tert−ブトキシナトリウム等の無機塩基が例示される。用いられる塩基の量は反応に影響しない限り特に制限はないが、一般式(III)で表される化合物1モルに対し、通常1〜100モル量、好ましくは1〜10モル量である。
反応温度は−30〜100℃、好ましくは0〜100℃であり、反応時間は0.1〜100時間、好ましくは1〜20時間である。
かくして得られた製造中間体及び本発明化合物は抽出、沈殿、懸濁洗浄、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の合成化学上、通常の分離手段で精製可能である。
上記のごとく得られた本発明化合物及びその他の各化合物は、通常公知の方法で塩、とりわけ製薬学的に許容される塩を形成することができる。
本発明化合物もしくはその塩、又はその他化合物もしくはその塩は、通常公知の分離精製手段、例えば濃縮、溶媒抽出、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等を用いることにより単離精製可能である。
本発明の化合物を医薬として用いるにあたっては、必要に応じて薬学的担体と配合し、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能であり、該形態としては、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等のいずれでもよく、好ましくは、経口剤が採用される。これらの投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
薬学的担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
経口用固形製剤を調製する場合は、本発明化合物に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されるものでよく、例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等を;結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等を;崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等を;滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等を;着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄等を;矯味・矯臭剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等を例示できる。
経口用液体製剤を調製する場合は、本発明化合物に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合矯味・矯臭剤としては、上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム等が、安定剤としては、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
注射剤を調製する場合は、本発明化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。この場合のpH調節剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が例示できる。
坐剤を調製する場合は、本発明化合物に当業界において公知の製剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセリド等を、さらに必要に応じてツイーン(登録商標)のような界面活性剤等を加えた後、常法により製造することができる。
軟膏剤を調製する場合は、本発明化合物に通常使用される基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等が必要に応じて配合され、常法により混合、製剤化される。基剤としては、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィン等が挙げられる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
貼付剤を調製する場合は、通常の支持体に前記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すればよい。支持体としては、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルム或いは発泡体シートが適当である。
上記の各投与単位形態中に配合されるべき本発明化合物の量は、これを適用すべき患者の症状により、或いはその剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、経口剤では約0.05〜1000mg、注射剤では約0.01〜500mg、坐剤では約1〜1000mgとするのが望ましい。
また、上記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、通常成人1日あたり約0.05〜5000mg、好ましくは0.1〜1000mgとすればよく、これを1日1回又は2〜4回程度に分けて投与するのが好ましい。
本発明化合物を含有する薬剤を投与することにより治療できる疾病としては、例えば悪性腫瘍の場合、頭頚部癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍等が挙げられ、好ましくは肝臓癌である。
以下に実施例、試験例及び製剤例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例、試験例及び製剤例に制限されるものではない。
CDCl3=deuterated chloroform
DMSO−d6=deuterated N,N−dimethylsulfoxide
実施例1
4−クロロ−6−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(1a)
Figure 2008074751
4,6−ジクロロピリミジン(15g)をN,N−ジメチルホルムアミド(200mL)に溶かし溶液とした。その溶液に1−(4−ピリジル)ピペラジン(19.6g)、炭酸カリウム(42g)を加え、60℃で1時間攪拌後、反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分取、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標記化合物13.4g(収率49%)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):3.44(4H,m),3.79(4H,m),6.70(1H,s),6.83(2H,m),8.17(2H,m),8.36(1H,s)
m.p.:155.5−156.5℃
6−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(1)
Figure 2008074751
アルゴン雰囲気下、3,4−ジクロロフェニルボロン酸(5.32g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.47g)、4−クロロ−6−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(1a)(5.32g)をエチレングリコールジメチルエーテル(200mL)、2M炭酸ナトリウム水溶液(200mL)の混合溶液に溶かし溶液とした。脱気後、15時間加熱還流を行い、その後反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分取、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相;クロロホルム:メタノール=6:1(v/v))で精製し、標記化合物7.54g(収率77%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):3.53(4H,m),3.93(4H,m),6.69(2H,m),6.85(1H,d,J=1.0Hz),7.55(1H,d,J=8.3Hz),7.84(1H,dd,J=8.3,2.2Hz),8.11(1H,d,J=2.2Hz),8.33(2H,m),8.71(1H,d,J=1.0Hz)
m.p.:169−170℃
実施例2
6−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(2)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、化合物(1a)(800mg)と3−クロロ−4−フルオロフェニルボロン酸(607mg)から、標記化合物664mg(収率62%)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):3.47(4H,m),3.89(4H,m),6.86−6.87(2H,m),7.44(1H,s),7.54(1H,m),8.17−8.19(2H,m),8.21−8.25(1H,m),8.40−8.43(1H,m),8.6(1H,s)
m.p.:168−169℃
実施例3
6−(4−メトキシフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(3)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、化合物(1a)(200mg)と4−メトキシフェニルボロン酸(220mg)から、標記化合物212mg(収率84%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):3.52(4H,m),3.87(3H,s),3.90(4H,m),6.68(2H,dd,J=4.9,1.6Hz),6.84(1H,d,J=1.1Hz),6.98(2H,d,J=9.8Hz),7.96(2H,d,J=9.8Hz),8.32(2H,dd,J=4.9,1.6Hz),8.69(1H,d,J=1.1Hz)
m.p.:162−162.5℃
実施例4
6−(2,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(4)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、化合物(1a)(500mg)と2,4−ジクロロフェニルボロン酸(340mg)から、標記化合物340mg(収率49%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):3.52(4H,m),3.90(4H,m),6.67(2H,dd,J=5.1,1.5Hz),6.87(1H,d,J=1.0Hz),7.36(1H,dd,J=8.3,2.0Hz),7.51(1H,d,J=2.0Hz),7.59(1H,d,J=8.3Hz),8.32(2H,dd,J=5.1,1.5Hz),8.73(1H,d,J=1.0Hz)
m.p.:162−163℃
実施例5
6−(3−メチルフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(5)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、化合物(1a)(200mg)とm−トリルボロン酸(197mg)から、標記化合物120mg(収率50%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):2.44(3H,m),3.54(4H,m),3.92(4H,m),6.70(2H,dd,J=5.1,1.4Hz),6.89(1H,d,J=0.7Hz),7.29(1H,d,J=7.6Hz),7.37(1H,t,J=7.6Hz),7.75(1H,d,J=7.6Hz),7.82(1H,brs),8.34(2H,dd,J=5.1,1.4Hz),8.73(1H,d,J=0.7Hz)
m.p.:143−145℃
実施例6
6−(3−シアノフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(6)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、化合物(1a)(200mg)と3−シアノフェニルボロン酸(213mg)から、標記化合物193mg(収率78%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):3.54(4H,m),3.95(4H,m),6.69−6.71(2H,m),6.90(1H,s),7.61(1H,t,J=7.7Hz),7.75(1H,d,J=7.7Hz),8.25(1H,d,J=7.7Hz),8.29(1H,s),8.33−8.35(2H,m),8.74(1H,s)
m.p.:191−192℃
実施例7
6−(3−トリメチルシリルフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(7)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、化合物(1a)(200mg)と3−トリメチルシリルフェニルボロン酸(283mg)から、標記化合物200mg(収率70%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):0.33(9H,s),3.55(4H,m),3.92(4H,m),6.69−6.70(2H,m),6.89(1H,d,J=0.8Hz),7.47(1H,t,J=7.4Hz),7.63(1H,d,J=7.4Hz),7.91(1H,dt,J=7.4,1.4Hz),8.12(1H,brs),8.34−8.35(2H,m),8.75(1H,d,J=0.8Hz)
m.p.:108−112℃
実施例8
6−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(8)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、化合物(1a)(200mg)と3−トリフルオロメチルフェニルボロン酸(275mg)から、標記化合物200mg(収率72%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):3.57(4H,m),3.95(4H,m),6.70−6.72(2H,m),6.92(1H,s),7.60−7.63(1H,m),7.72−7.74(1H,m),8.16−8.20(1H,m),8.24(1H,s),8.35−8.37(2H,m),8.75(1H,s)
m.p.amorphus
参考例1
6−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(9)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、4,6−ジクロロピリミジンと1−(2−ピリジル)ピペラジンから4−クロロ−6−[4−(ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジンを得た。次いで3−クロロ−4−フルオロフェニルボロン酸を反応させることにより標記化合物を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):3.73(4H,m),3.89(4H,m),6.67−6.70(2H,m),6.84(1H,d,J=1.1Hz),7.22−7.26(1H,m),7.51−7.56(1H,m),7.86−7.92(1H,m),8.07−8.09(1H,m),8.22−8.24(1H,m),8.69(1H,d,J=1.1Hz)
参考例2
6−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(ピリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(10)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、4,6−ジクロロピリミジンと1−(3−ピリジル)ピペラジン(Tetrahedron Letters1998,39,617−620)から4−クロロ−6−[4−(ピリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジンを得た。次いで3−クロロ−4−フルオロフェニルボロン酸を反応させることにより標記化合物を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):3.36(4H,m),3.94(4H,m),6.87(1H,d,J=1.1Hz),7.22−7.24(3H,m),7.86−7.92(1H,m),8.07−8.09(1H,m),8.16−8.18(1H,m),8.37(1H,d, J=2.7Hz),8.70(1H,d, J=1.1Hz)
m.p.170.5−171.5℃
参考例3
4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−[4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(11)
Figure 2008074751
WO2005/007648記載の方法に従い、標記化合物を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):3.42(4H,m),3.89(4H,m),6.86(1H,d,J=1.0Hz),7.05−7.08(1H,m),7.21−7.26(1H,m),7.86−7.90(1H,m),7.91−7.93(1H,m),8.06−8.09(1H,m),8.46−8.48(1H,dd, J=4.6, 1.2Hz),8.70 (1H, d, J=1.0Hz)
m.p.108-108.5℃
参考例4
4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−[4−(3−トリフルオロメチルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(12)
Figure 2008074751
4,6−ジクロロピリミジンとtert-ブチル 1−ピペラジンカルボキシレートから4−クロロ−6−(4−tert−ブチルオキシカルボニルピペラジン−1−イル)ピリミジン(WO1998/06705)を得た。次いで3−クロロ−4−フルオロフェニルボロン酸を反応させた後、酸で処理し、tert−ブチルオキシカルボニル基を脱保護することにより4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−(ピペラジン−1−イル)ピリミジンを得た。次いで4−クロロ−3−トリフルオロメチルピリジンを反応させることにより標記化合物を得た。
1H−NMR(DMSO)δ(ppm):3.27(4H,m),3.91(4H,m),7.29(1H,d,J=5.6Hz),7.48(1H,s),7.56(1H,dd, J=9.0, 9.0Hz),8.23−8.27(1H,m),8.43(1H,dd, J=7.3, 2.2Hz),8.61(1H,d, J=5.6Hz),8.62(1H,s),8.73 (1H, s)
参考例5
4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−[4−(3−クロロピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(13)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、4−クロロ−6−(4−tert−ブチルオキシカルボニルピペラジン−1−イル)ピリミジン(WO1998/06705)と3−クロロ−4−フルオロフェニルボロン酸を反応させた後、酸で処理し、tert−ブチルオキシカルボニル基を脱保護することにより4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−(ピペラジン−1−イル)ピリミジンを得た。次いで3,4−ジクロロ−ピリジンを反応させることにより標記化合物を得た。
1H−NMR(DMSO)δ(ppm):3.29(4H,m),3.93(4H,m),7.12(1H,d,J=5.4Hz),7.49(1H,s),7.56(1H,dd, J=9.0,9.0Hz),8.23−8.27(1H,m),8.36(1H,d, J=5.4Hz),8.44(1H,dd, J=7.3, 2.2Hz),8.45(1H,s),8.62 (1H, s)
参考例6
4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−[4−(3−フルオロピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(14)
Figure 2008074751
4−クロロ−6−(4−tert−ブチルオキシカルボニルピペラジン−1−イル)ピリミジン(WO1998/06705)と3−クロロ−4−フルオロフェニルボロン酸を反応させた後、酸で処理することでtert−ブチルオキシカルボニル基を脱保護することにより4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−(ピペラジン−1−イル)ピリミジンを得た。次いで4−クロロ−3−フルオロピリジンを反応させることにより標記化合物を得た。
1H−NMR(DMSO)δ(ppm):3.39(4H,m),3.93(4H,m),7.04(1H,dd,J=8.3,5.4Hz),7.47(1H,s),7.56(1H,dd, J=9.0,9.0Hz),8.18(1H,d, J=5.4Hz),8.22−8.26(1H,m),8.30(1H,d, J=5.6Hz),8.43(1H,dd, J=7.3,2.2Hz),8.62 (1H, s)
参考例7
4−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−[4−(3−メチルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン(15)
Figure 2008074751
実施例1に準じ、4,6−ジクロロピリミジンと1−(3−メチルピリジン−4−イル)ピペラジン(Journal of Medicinal Chemistry 1997, 40, 2674−2687)から4−クロロ−6−[4−(3−メチルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジンを得た。次いで、3−クロロ−4−フルオロフェニルボロン酸を反応させることにより標記化合物を得た。
1H−NMR(DMSO)δ(ppm):2.28(3H,s),3.08(4H,m),3.92(4H,m),6.94(1H,d,J=5.6Hz),7.49(1H,s),7.56(1H,dd, J=9.0, 9.0Hz),8.23−8.27(3H,m),8.44(1H,dd, J=7.3, 2.2Hz),8.61(1H,s)
[試験例1]JHH−7細胞(ヒト肝細胞癌株)に対するin vitro殺細胞試験
ASF104培地(味の素社製)中に浮遊させたJHH−7細胞浮遊液を96ウェル平底マイクロプレートの各ウェルに4×103個(0.1mL)ずつ播種し、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で1日培養した。本発明の化合物をジメチルスルホキシドにて10mMの濃度に溶解し、更に、ASF104培地を用いて、本発明の化合物を希釈し、先に述べたJHH−7細胞の培養プレートの各ウェルに0.1mLずつ加え、最終濃度をそれぞれ30、10、3、1、0.3、0.1μMとし、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で3日間培養した。培養後、25%グルタルアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)を各ウェルに20μLずつ添加し、室温で20分静置し、細胞を固定した。その後、プレートを水道水にて洗浄し、乾燥させた。0.05%クリスタルバイオレット/20%メタノール水溶液(和光純薬工業社製)を各ウェルに100μLずつ添加し、室温で20分静置し、細胞を染色した。その後、プレートを水道水にて洗浄し乾燥させた。各ウェルに0.05Mリン酸二水素ナトリウム/エタノール(1/1=v/v)100μLを加え、クリスタルバイオレットを抽出した。抽出されたクリスタルバイオレットの540nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定し、生細胞数の指標とした。以下の式より各薬剤添加群のT/Cから抑制率を算出し、細胞増殖を50%抑制する被検化合物の濃度(IC50(μM))を求めた。
抗腫瘍剤として有用である化合物Bay−43−9006(J.Clin.Pharm.Ther.,2003,41(12),616−617)についても同様にin vitro殺細胞試験を実施した。
抑制率(%)=(1−T/C)×100
T : 被検化合物を添加したウェルの平均吸光度
C : 被検化合物を添加しなかったウェルの平均吸光度
Figure 2008074751
表1から明らかなように、本発明の化合物又はその塩は、Bay−43−9006とほぼ同等以上の殺細胞活性を示すことから、優れた抗腫瘍活性を有することが確認された。
[試験例2]JHH−7細胞(ヒト肝細胞癌株)肝同所移植モデルにおける抗腫瘍効果
ASF104培地(味の素社製)により5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で培養したJHH−7細胞を1×106個(0.02mL)ずつ、ネンブタール麻酔下にある雄性ヌードマウス(CD−1Foxlnu、日本チャールズリバー株式会社)の肝外側左葉に移植した。移植後10日〜14日に頸静脈採血により得られた血液中のα−fetoprotein(AFP)を定量し、平均AFP値が均一となるよう、一群7匹として無作為層化割付による群分けを行った。本発明の化合物を0.1N塩酸に溶解し、0.5mg/mL溶液を5mg/kg(10mL/kg)の投与量で強制経口投与を開始した。14日間連日1日1回経口投与を実施し、投与開始15日にエーテル麻酔下による放血致死の後、肝外側左葉に形成された腫瘍を摘出し腫瘍重量を計測した。下式から腫瘍増殖抑制率(%)を算出し抗腫瘍効果を判定した。
腫瘍増殖抑制率(%)=(1−T/C)×100
T:被検化合物を投与しなかった群の平均腫瘍重量
C:被検化合物投与群の平均腫瘍重量
Figure 2008074751
表2から明らかなように、本発明の化合物又はその塩は肝同所移植モデルを用いたin vivo試験において、Bay−43−9006より優れた抗腫瘍活性を有することが確認された。
一方ピペラジル基N位に、置換基を有さない2−ピリジル基を有する比較化合物(9)、3−ピリジル基を有する比較化合物(10)及び(11)は、殆ど抗腫瘍活性を示さなかった。またピペラジル基N位に、置換基を有する4−ピリジル基を有する比較化合物(12)〜(15)も殆ど、または全く抗腫瘍活性を示さなかった。
[試験例3]正常肝細胞(ヒト肝細胞株)に対するin vitro殺細胞試験
ASF104培地(味の素社製)中に浮遊させた正常肝細胞浮遊液を96ウェル平底マイクロプレートの各ウェルに2×103個(0.1mL)ずつ播種し、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で1日培養した。本発明の化合物をジメチルスルホキシドにて10mMの濃度に溶解し、更に、ASF104培地を用いて、本発明の化合物を希釈し、先に述べた正常肝細胞の培養プレートの各ウェルに0.1mLずつ加え、最終濃度をそれぞれ30、10、3、1、0.3、0.1μMとし、5%炭酸ガス含有の培養器中37℃で3日間培養した。培養後、25%グルタルアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)を各ウェルに20μLずつ添加し、室温で20分静置し、細胞を固定した。その後、プレートを水道水にて洗浄し、乾燥させた。0.05%クリスタルバイオレット/20%メタノール水溶液(和光純薬工業社製)を各ウェルに100μLずつ添加し、室温で20分静置し、細胞を染色した。その後、プレートを水道水にて洗浄し乾燥させた。各ウェルに0.05Mリン酸二水素ナトリウム/エタノール(1/1=v/v)100μLを加え、クリスタルバイオレットを抽出した。抽出されたクリスタルバイオレットの540nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定し、生細胞数の指標とした。以下の式より各薬剤添加群のT/Cから抑制率を算出し、細胞増殖を50%抑制する被検化合物の濃度(IC50(μM))を求めた。
抗腫瘍剤として有用である化合物Bay−43−9006についても同様にin vitro殺細胞試験を実施した。
抑制率(%)=(1−T/C)×100
T : 被検化合物を添加したウェルの平均吸光度
C : 被検化合物を添加しなかったウェルの平均吸光度
Figure 2008074751
表3から明らかなように、本発明の化合物又はその塩には、Bay−43−9006と比較して正常細胞に対する殺細胞効果は弱かった。従って、本発明化合物又はその塩の癌細胞に対する選択的な殺細胞活性が明らかとなり、副作用が出にくい等の有用性が示唆された。
[試験例4]バニロイド受容体(カプサイシン受容体)への結合試験
被検物質は、ウイスター・ラットの脊髄を用い、10mMヘペス(pH7.4)、0.25mg/mL牛血清アルブミン、0.75mM塩化カルシウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化マグネシウム、5.8mM塩化ナトリウム、137mMショ糖溶液中、37℃、60分反応を行い、バニロイド受容体(カプサイシン受容体)に結合することが公知の化合物Resinifereatoxin(J.Pharmcol.Exp.Ther.,1993,267(2),728−733)の0.2nM[H3]標識体との競合結合試験を行った。Data Analysis ToolboxTM (MDL Information Systems社製)の解析ソフトを用い、被検物質の10μMにおける抑制率を算出した(Cheng,Y.,Prusoff,W.H.,Biochem.Pharmacol.,22:3099−3108,1973)。
Figure 2008074751
表4から明らかなように、本発明の化合物又はその塩は、バニロイド受容体(カプサイシン受容体)に対する相互作用を示さなかった。
製剤例1 錠剤
化合物(1) 50mg
トウモロコシデンプン 50mg
微結晶セルロース 50mg
ハイドロキシプロピルセルロース 15mg
乳糖 47mg
タルク 2mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
エチルセルロース 30mg
不飽和グリセリド 2mg
二酸化チタン 2mg
上記配合割合で、常法に従い、1錠当たり250mgの錠剤を調製した。
製剤例2 顆粒剤
化合物(2) 300mg
乳糖 540mg
トウモロコシデンプン 100mg
ハイドロキシプロピルセルロース 50mg
タルク 10mg
上記配合割合で、常法に従い、1包当たり1000mgの顆粒剤を調製した。
製剤例3 カプセル剤
化合物(3) 100mg
乳糖 30mg
トウモロコシデンプン 50mg
微結晶セルロース 10mg
ステアリン酸マグネシウム 3mg
上記配合割合で、常法に従い、1カプセル当たり193mgのカプセル剤を調製した。
製剤例4 注射剤
化合物(4) 100mg
塩化ナトリウム 3.5mg
注射用蒸留水 適量(1アンプル当たり2ml)
上記配合割合で、常法に従い、注射剤を調製した。
製剤例5 シロップ剤
化合物(6) 200mg
精製白糖 60g
パラヒドロキシ安息香酸エチル 5mg
パラヒドロキシ安息香酸ブチル 5mg
香料 適量
着色料 適量
精製水 適量
上記配合割合で、常法に従い、シロップ剤を調製した。
製剤例6 坐剤
化合物(8) 300mg
ウィテップゾールW−35*1 1400mg
*1:登録商標、ラウリン酸からステアリン酸までの飽和脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリ−グリセライド混合物;ダイナマイトノーベル社製
上記配合割合で、常法に従い、坐剤を調製した。

Claims (7)

  1. 次の一般式(I)
    Figure 2008074751
    (式中、X1、X2及びX3は同一又は相異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基、炭素数1〜6アルキル基、及び炭素数1〜6アルコキシ基から選ばれる原子又は置換基を示す)
    で表されるフェニルピリミジン化合物又はその塩。
  2. 1が水素原子であり、X2及びX3がハロゲン原子であるか、
    又はX1及びX2が水素原子であり、X3がシアノ基、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基、炭素数1〜6アルキル基、及び炭素数1〜6アルコキシ基から選ばれる置換基である請求項1記載のフェニルピリミジン化合物又はその塩。
  3. 1が水素原子であり、X2が塩素原子であり、X3がフッ素原子又は塩素原子であって、かつX2が3位置換基、X3が4位置換基である請求項1又は2に記載のフェニルピリミジン化合物又はその塩。
  4. 6−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(4−メトキシフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(2,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−メチルフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−シアノフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−トリメチルシリルフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン、6−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[4−(ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]ピリミジン及びこれらの塩から選ばれる化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のフェニルピリミジン化合物又はその塩を有効成分とする医薬。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載のフェニルピリミジン化合物又はその塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載のフェニルピリミジン化合物又はその塩を有効成分とする肝臓癌治療剤。
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