JP2008073516A - 複合材料薄膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】純チタン基板あるいはチタン合金基板上に優れた生体活性をもつHAPのナノ結晶と優れた生体適合性を持つ酸化チタンからなるナノ複合材料薄膜を作成する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】酸化チタンマトリックス中に結晶性ハイドロキシアパタイトが分散した複合材料薄膜、及び酸化チタンとハイドロキシアパタイトを〜100mTorrのアルゴン雰囲気中で同時スパッタリングして、酸化チタンマトリックス中にハイドロキシアパタイトが分散する複合材料の前駆体薄膜を形成し、さらにこの前駆体薄膜を400〜1000°Cでアニールし、酸化チタンマトリックス中に結晶性ハイドロキシアパタイトを形成する酸化チタンマトリックス中にハイドロキシアパタイトが分散した複合材料薄膜の製造方法。
【選択図】 図2

Description

本発明は、生体活性をもつハイドロキシアパタイト(HAP:以下必要に応じて簡略的に「HAP」を使用する。)ナノ結晶と優れた生体適合性を持つ酸化チタンからなるナノ複合材料薄膜及びその製造方法に関する。
チタン金属及びチタン合金は、歯・関節の置換や歯科あるいは整形外科における病気あるいは破損した歯や骨の再建などのための補綴(ほてつ)具として広く使われている。これはチタン合金が良好な生体適合性と高強度が必要とされる部位での優れた機械的性質のためである(非特許文献1参照)。
しかし、チタン合金が骨中に導入されたときは、インプラント材料が線維組織や他の反応により、骨から分離されてしまうという問題点がある(非特許文献2参照)。このようなインプラント材料における骨との接合に関する問題点を解決するために、バイオアクティブな表面を得るための表面修飾について検討が行われてきた(非特許文献3参照)。
より良い骨結合(osseointegration)を得るために最も普通に行われる解決法は、プラズマスプレー法などによりハイドロキシアパタイト(HAP; Ca10(PO)(OH), P63/m)のようなバイオアクティブセラミックスを被覆することである。これはHAPが人間の骨の無機主成分であり、天然の骨や歯の無機物と類似した結晶構造を持つためである(非特許文献4参照)。
HAPは生物学的に有利ではあるが、プラズマスプレーによって得られるHAPコーティングはチタン金属基板への接合性に劣ること、膜の不均一性、インプラント表面を完全に覆うために50μmというかなり厚い膜が必要であることといった問題点もある(非特許文献5参照)。
被覆したHAP層は脆く、インプラントから容易に剥がれ生体中での劣化を引き起こす。また、HAP被覆金属インプラントでは主たる破壊はコーティングの中が原因となっている(非特許文献6参照)。
これらの事実を克服するために、さまざまな方法によりHAP層の調製が検討されてきている。スパッタ法(特許文献1参照)、静電相互作用を利用したコーティング法(特許文献2参照)、基板成分との粉体混合(特許文献3参照)、原料スラリーを塗布し水熱反応により薄膜を得る方法(特許文献4参照)が開示されている。
また、電着による薄膜形成(特許文献5参照)、前駆体膜を熱スプレー法により形成させこれをHAPに変換させる方法(特許文献6参照)、前駆体生成用コロイド分散溶液の塗布・焼成による皮膜形成法(特許文献7参照)、キトサンを皮膜中に導入した生体適合性皮膜を電着により形成させる方法(特許文献8参照)、ゾル−ゲル法による皮膜形成法(特許文献9参照)、CVD あるいはPVDを使った積層コーティング作製法(特許文献10参照)が開示されている。
さらに、バイオミメティックな手法を使ったアパタイト類似リン酸カルシウム複合体合成法(特許文献11参照)、チタンをコートしたあとにHAPをコートすることでアルミナセラミックスへHAP被覆法(特許文献12参照)、原料過飽和水溶液への浸せきによりHAP薄膜を得る方法(特許文献13参照)などが開示されている。
しかしこれらの研究はいかにHAP膜をうまく生成させ基板の接着性を高めるかに終始していて、膜自体に新しい考えを持ち込もうとする例はキトサンを導入しようとした例以外にはほとんど見あたらない。
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特開平2−1286号公報 特開2005−279219号公報 特許第2975290号公報 特開平4−144984号公報 特開平10−0102288号公報 特開昭63−93851号公報 特許2692216号公報 USA2006/0099456 USA2005/0255239 USA2002/0016635 USA2003/0170379 USA2003/0108658 EP0389713
HAP被膜は、上記のように薄膜自体の強度と薄膜と基板との密着性に大きな問題点があり、この改良にさまざまな検討が加えられてきた。本発明では、これらの問題点を克服するために、純チタン基板あるいはチタン合金基板上に優れた生体活性をもつHAPのナノ結晶と優れた生体適合性を持つ酸化チタンからなるナノ複合材料薄膜を作成する技術を提供するものである。
これにより、HAPのもつ生体親和性と酸化チタンの持つ生体適合性を両立させ、酸化チタンはチタン系の基板とのなじみがよい得ことから、基板密着性の優れた被膜形成が可能となるものである。
生体活性をもつHAPのナノ結晶と優れた生体適合性を持つ酸化チタンからなるナノ複合材料薄膜を作成するために、同時スパッタ法と呼ばれる手法(酸化チタン成分とHAP成分を同時にスパッタして薄膜を得る方法)を用いることで化学的な均一性と微構造の均一性を実現する。
さまざまな調製条件の影響を検討することでHAP/TiOコンポジットの組成、形態、表面状態を制御する。
本発明は、酸化チタンとハイドロキシアパタイトを1〜100mTorrのアルゴン雰囲気中で同時スパッタリングして、酸化チタンマトリックス中にハイドロキシアパタイトが分散する複合材料用の前駆体薄膜を形成するものであり、さらにこの前駆体薄膜を400〜1000°Cでアニールし、酸化チタンマトリックス中に結晶性ハイドロキシアパタイトを形成する酸化チタンマトリックス中にハイドロキシアパタイトが分散した複合材料薄膜を製造するものである。
前記アニール温度400°C未満では製造効率が低く、また1000°Cを超える温度では、分散状態が不均一になり易く、また別の相が生成しやすくなることから、400〜1000°Cでアニールするのが望ましい条件である。しかし、この条件外でも製造可能である。本願発明は、これらを包含する。
特に、4〜50mTorrの圧力領域で、結晶性ハイドロキシアパタイトと酸化カルシウムが酸化チタンマトリックス中に共存させて分散した薄膜は、本発明を達成する上でより有効な範囲である。
実験結果からスパッタ時のアルゴン圧力が重要であることがわかった。これはHAPが水酸基やリン酸基を持つため最適な条件を選択しないと、これらの官能基を薄膜中に取り込めないためと考えられる。また、同時スパッタ法を用いることにより、2成分が均一に混ざり合わせることが可能であり、構造的な均一性も得られ亀裂などが発生しにくいものが得られるようになる。
結晶性のHAPを得るためには熱処理が必要であるが、これによりHAPが酸化チタンマトリックス中で強固に取り込まれた構造が生成する。酸化チタン相は基板のチタン系合金との密着性を与え、分散したHAPは生体親和性を確保することに寄与しここを基点として骨細胞成長を促し、生体中にインプラントが取り込まれやすくする働きをもつ。
酸化チタンマトリックス中にハイドロキシアパタイトが分散した複合材料薄膜における膜中のCaとPの原子数比(Ca/P)は、同時スパッタリングの際の〜100mTorrのアルゴン雰囲気圧力によって変化するが、アルゴンの圧力に調整することにより、CaとPの原子数比Ca/Pを1.37〜1.97に調整することができる。最適な条件は20mTorrアルゴン圧でのスパッタリングである。
前記熱処理により、平均粒径10nm〜1000nmの結晶性ハイドロキシアパタイトが分散した複合材料を得ることができる。通常、平均粒径30nm〜100nmの結晶性ハイドロキシアパタイトが分散した複合材料が得られる。
このハイドロキシアパタイト平均粒径は、本願発明の熱処理条件で得られる粒径であり、これは分散したHAPは生体親和性を確保する上で、好適な粒径である。しかし、この粒径の数値が絶対的な条件でないことは、理解されるべきことである。
また、前記同時スパッタリングに際して、酸化チタンとハイドロキシアパタイトのスパッタ量を変化させることにより、酸化チタン中の結晶性ハイドロキシアパタイト量を薄膜の厚さ方向に傾斜した組成(割合)を持つように成膜することが可能である。
軽量で高強度かつ生体適合性が高いチタンあるいはチタン合金と生体中の骨などと接合させるためには、HAPのような生体親和性の高い物質の表面被覆が重要と考えられるが、HAP薄膜の表面密着性は非常に弱く、反応や亀裂などをきっかけにして剥がされやすい。
本発明ではHAP/酸化チタン複合(コンポジット)薄膜を用いることで、生体適合性と生体親和性を犠牲にすることなく、表面被覆層の機械的強度を改善することができ、人工関節システムにおける骨移植や歯の置換などの広範囲な用途に適合できる薄膜を作成することを可能にする有効な方法である。
以下、本発明の特徴を、図等を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、これに制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術思想に基づく変形、実施態様、他の例は、本願発明に含まれるものである。
同時スパッタ法を用いアルゴンガス圧力を最適化することにより前駆体薄膜を調製し、これを600°C窒素中で熱処理することにより、HAPが分散した酸化チタン中に分散したナノコンポジットを作成することができた。HAP相はCa/P = 1.67程度であった。
(実施例)
純チタン板 (CP−Ti; ASTMF136, 大同特殊鋼製)を純チタン棒(10mmΦ)のものから厚さ2mmに切り出した。前処理としてこれを#240、#600、#800、#1200の紙ヤスリで磨いたあとアセトン中で30分間超音波洗浄後、純水中で更に洗浄し乾燥させ基板として用いた。
HAP/TiO ナノコンポジット薄膜はマグネトロンスパッタ装置を使って同時スパッタ法により上記基板上に得た。100 mm径の酸化チタンターゲット上にハイドロキシアパタイト(CELLYARDTM, PENTAX製、13mmφ, 厚さ2mm、13枚を環状に配置)ペレットを置いて同時にスパッタして薄膜を得た。
(スパッタ膜の観察結果:前駆体複合材料)
スパッタリングはアルゴン中50Wで基板加熱なしで60分間行った。図1は、スパッタ圧力を4〜20mTorrの範囲で変化させ、同時スパッタ法により作成した酸化チタン/HAP前駆体ナノ複合材料の走査型電子顕微鏡写真を示す。すなわち、酸化チタン/HAP前駆体からなる複合材料の形態に及ぼす影響(スパッタ圧力依存性)を調査したものである。
図1の写真(a)は4mTorr, 写真(b)は10 mTorr,写真 (c)は20 mTorrの場合である。いずれの試料も線状の跡が認められたが、これは基板であるチタン板を切り出したときの加工痕である。薄膜自体には大きな組織の変化は認められなかった。
(前駆体のアニーリング)
図2は、図1で得られた薄膜を600°C で、60分間窒素中でアニールした後の表面形態である。すなわち、図1の試料を600°C、1時間、窒素中で熱処理した酸化チタン/HAPナノ複合材料の走査型電子顕微鏡写真であり、図2の(a)は4mTorrのアルゴン圧力でスパッタリングした場合、(b)は、10 mTorrのアルゴン圧力でスパッタリングした場合、(c) は、20 mTorrのアルゴン圧力でスパッタリングした場合である。
4mTorrで作成した膜には平均30nm程度の四角い小さな粒とそれよりも少し大きめの大きな粒が認められた。前者は酸化カルシウム微結晶であると推測された。後者は結晶性のHAPを含む成分と推測される。
さらに、圧力を上げて20mTorrで作成した膜は、100nm程度の、より大きな粒が見出され、結晶性のHAP(平均粒径120nm)が酸化チタンマトリックス中に析出した構造が得られた。
図3は得られた膜中のCa/Pの原子数比を示し、アルゴン圧力が高いほど、HAPの1.67に近づき、20mTorrでCa/Pの原子数比が、ほぼこの1.67の値になる。
1mTorr未満のような低い圧力ではリン酸イオンや水酸イオンがスパッタにより雰囲気中に放出され、これが膜中に回収できないために大きな組成ずれを示すものと考えられた。
(薄膜中の酸素の化学状態)
図4は、薄膜中の酸素の化学状態をX線光電子分光法により測定した結果である。20mTorrのような高い圧力で得られた膜ほどハイドロキシアパタイトに近いピーク位置で、ピークが観測された。このことから20mTorr前後の圧力が、酸化カルシウム微結晶をほとんど含まない結晶性ハイドロキシアパタイト分散酸化チタン複合膜の生成に最適であることがわかる。
スパッタリング時のアルゴン圧力が10mTorrよりも低い場合には、アニール後に結晶性ハイドロキシアパタイトの存在量が減少し、酸化カルシウムが増加する傾向にある。しかし、結晶性ハイドロキシアパタイトが残存していれば生体親和性の効果は存在しうることから、1〜100mTorrのアルゴン雰囲気中で同時スパッタリングでも可能である。
4mTorr以上50mTorrまでの圧力領域で、結晶性ハイドロキシアパタイトと酸化カルシウムを酸化チタンマトリックス中に共存させて分散した薄膜は、本発明を達成する上で、より有効な範囲である。
本願発明は、この意味を明確にするものであり、本願発明が、これらを包含することは理解されるべきことである。20mTorrよりも、さらに高い圧力でのスパッタリングも可能であるが、薄膜生成速度の減少が起こることから、最適な圧力条件として50mTorr以下にすることが望ましいと言える。
(基板及び膜のX線回折)
この結果は、図5に示されるX線回折の結果からも支持される。図5の(a)は、チタン基板のX線回折であり、また、(b)は4mTorr、(c)は20 mTorrでスパッタリングして得られた膜を600°C、1時間、窒素中で熱処理した酸化チタン/HAPナノ複合材料のX線回折パターンである。
図中のT、A、R、Cはそれぞれチタン、アパタイト、ルチル相の酸化チタン、酸化カルシウムのピークに対応している。
チタン基板のX線回折である図5の(a)は、チタンからのみの信号が得られた。4mTorrで得られた薄膜からのX線回折である(b)は、ルチル相の酸化チタンと酸化カルシウムからのピークが観測され、結晶性ハイドロキシアパタイトの量は少ないものと考えられる。
一方、20mTorrで得られた薄膜からのX線回折である(c)は、ルチル相の酸化チタンと結晶性ハイドロキシアパタイトが観測され、確かに結晶性ハイドロキシアパタイトがこの作製方法により薄膜中に生成することが確認できた。
(細胞培養による付着した細胞の走査型電子顕微鏡写真)
更に図6は、このような基板上で細胞培養(2時間MC3T3−E1細胞)を行い、付着した細胞を走査型電子顕微鏡により観測した結果である。
丸あるいは紡錘状の形をしたものが付着した細胞である。筋のように見えるのはチタン基板を研磨したときの研磨痕である。(a)は膜を蒸着する前のチタン基板、(b)は4mTorr、(c)は20mTorrでスパッタ蒸着した後熱処理した基板の上に付着した細胞を示している。
(培養細胞の数密度)
図6の(d)は、付着したMC3T3−E1細胞の数密度を示したものである。この図6から明らかなように、本手法により得られた薄膜基板上、特にアパタイトが生成する条件で得られた膜上で、膜がない場合と比較して、1mTorr程度から増加が認められ、4mTorr程度ではかなりの量の細胞付着増加が認められる。特に、20mTorrでは、膜がない場合と比較して、2倍以上の細胞が付着しており、生体内に埋め込まれた場合の高い生体適合性を明らかに示していることがわかる。
この傾向は、100mTorrにおいても細胞付着の増加が確認できる。しかし、薄膜形成の効率から見て、50mTorr程度が良いと考えられる。
上記に示す通り、本発明は純チタン基板あるいはチタン合金基板上に優れた生体活性をもつHAPのナノ結晶と優れた生体適合性を持つ酸化チタンからなるナノ複合材料薄膜を作成する技術を提供するものである。
これにより、HAPのもつ生体親和性と酸化チタンの持つ生体適合性を両立させ、酸化チタンはチタン系の基板とのなじみがよい得ことから、基板密着性の優れた被膜形成が可能となるものである。歯・関節の置換や歯科あるいは整形外科における病気あるいは破損した歯や骨の再建などのための補綴(ほてつ)具として極めて有用である。
同時スパッタ法により作成した酸化チタン/HAP前駆体ナノ複合材料の走査型電子顕微鏡写真であり、スパッタ圧力依存性を調べた結果である。(a)は4mTorr, (b)は10 mTorr, (c)は20 mTorrでスパッタリングした写真を示す。 図1の試料を600°C、1時間、窒素中で熱処理した酸化チタン/HAPナノ複合材料の走査型電子顕微鏡写真であり、(a)は4mTorr, (b)は10 mTorr,(c)20 mTorrでスパッタリングした写真を示す。 得られた薄膜のX線光電子分光法により測定した表面Ca/P原子数比の圧力依存性を示す図である。 X線光電子分光法により測定した表面酸素の化学状態変化を示す図であり、上段の(a)は熱処理前、下段の(b)は熱処理後を示す。 (a)はチタン基板のX線回折パターンである。(b)は4 mTorr,(c)20 mTorrでスパッタリングして得られた膜を600°C、1時間、窒素中で熱処理した酸化チタン/HAPナノ複合材料のX線回折パターンである。 試料表面上に2時間MC3T3−E1細胞を培養した後の走査型電子顕微鏡像であり、(a)は膜を蒸着する前のチタン基板、(b)は4mTorr、(c)は20mTorrでスパッタ蒸着した後熱処理した基板の上に付着した細胞を示している。(d)は付着したMC3T3−E1細胞の数密度を示したものである。

Claims (11)

  1. 酸化チタンマトリックス中に結晶性ハイドロキシアパタイトが分散した複合材料薄膜。
  2. 平均粒径10nm〜1000nmの結晶性ハイドロキシアパタイトが分散した複合材料であることを特徴とする請求項1記載の複合材料薄膜。
  3. 平均粒径30nm〜100nmの結晶性ハイドロキシアパタイトが分散した複合材料であることを特徴とする請求項1記載の複合材料薄膜。
  4. ハイドロキシアパタイト結晶が薄膜の厚さ方向に傾斜した組成を持つことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料薄膜。
  5. 酸化チタンとハイドロキシアパタイトを1〜100mTorrのアルゴン雰囲気中で同時スパッタリングし、酸化チタンマトリックス中にハイドロキシアパタイトが分散する複合材料の前駆体となる複合材料薄膜の製造方法。
  6. 酸化チタンとハイドロキシアパタイトを1〜100mTorrのアルゴン雰囲気中で同時スパッタリングして、酸化チタンマトリックス中にハイドロキシアパタイトが分散する複合材料の前駆体薄膜を形成し、さらにこの前駆体薄膜を400〜1000°Cでアニールし、酸化チタンマトリックス中に結晶性ハイドロキシアパタイトを形成することを特徴とする酸化チタンマトリックス中にハイドロキシアパタイトが分散した複合材料薄膜の製造方法。
  7. 膜中のCaとPの原子数比(Ca/P)が1.37〜1.97であることを特徴とする請求項6記載の複合材料薄膜の製造方法。
  8. 平均粒径10nm〜1000nmの結晶性ハイドロキシアパタイトが分散した複合材料であることを特徴とする請求項6又は7記載の複合材料薄膜の製造方法。
  9. 平均粒径30nm〜100nmの結晶性ハイドロキシアパタイトが分散した複合材料であることを特徴とする請求項6又は7記載の複合材料薄膜の製造方法。
  10. スパッタリング中に、酸化チタンとハイドロキシアパタイトのスパッタ量を変化させ、酸化チタン中の結晶性ハイドロキシアパタイトが薄膜の厚さ方向に傾斜した組成を持つことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の複合材料薄膜の製造方法。
  11. 酸化チタンとハイドロキシアパタイトを4〜50mTorrのアルゴン雰囲気中で同時スパッタリングして、酸化チタンマトリックス中にハイドロキシアパタイトが分散する複合材料の前駆体薄膜を形成することを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の複合材料薄膜の製造方法。
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