JP2008070098A - 季節エネルギー利用の地中蓄熱システム兼予備水源 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本システムは、地表下1m間を断熱層として、それより深い土壌内を蓄熱槽とし、その蓄熱範囲の土中にて四方に開く地中散水杭を分散して打ち込み、その中央下方部に空調廃熱の熱交換器を組み込んだ井戸杭を設け、途中に井戸ポンプを介した、水配管にて構成される。熱媒である水を該井戸杭の中空部に設けた空調廃熱コイルと熱交換させ、井戸ポンプにより、該地中散水杭にて圧力注水される。この水は浸透圧で土中を飽和水で満たし、自然流下と共に該井戸杭に依る吸引との相乗効果に依り土中内に水の循環路を形成させ、土中への熱移動が可能となる。大容量の効率的な蓄熱とともに、長期間の貯留も可能となり、夏の温廃熱を冬の暖房に、冬の冷廃熱を夏の冷房にと、理想の天然エネルギーの活用が可能となる。土中を飽和水で満たすために災害時の予備水源の機能も備える。
【選択図】図1
Description
従ってこのような課題を解決するものとして、特願2002−62130記載の熱交換杭は埋設管の周囲に矢羽状の熱交換板を取り付けたり、杭に付けた熱交換板が土中で三方に開く機能を設けて、ある範囲の熱交換の効率化を計ったが、熱の伝達が緩慢である為、規模の大きい蓄熱には無理があった。従って、この広範囲の地中をいかに効率よく熱交換出来るかが重大な課題であった。
又地中散水杭Bの構造は、図2−Bにおいて上端を熱交換水導管12に接続された、耐蝕性鋼管よりなる注水竪杭5の下部先端に丁番6を介して、四方に開く散水ドイ7がある。又この丁番6には、散水ドイが開いた時に注水竪杭5から散水ドイ7に水が流れる連通口を設ける(図2−D)又散水ドイ7は、金属板を折り曲げた合せ部より散水する構造(図2−E)で、この先にはスコップに似た案内板8が斜め外向きに開いた状態で固定され、注水竪杭5を地中に打込むと、該案内板8の作用で散水ドイ7は土中で潜りながら、垂直から水平に円を描くように開く機構を有し、長さ1mの散水杭は四方に開くと直径3.5m範囲の土中の散水が可能である。
こうして井戸ポンプ10により該地中散水杭Bにて加圧注入された熱交換水は、土中に拡散浸透しながら飽和状態に至らしめ、又一方自然流下とともに下方部の熱交換井戸杭Aによる吸引との相乗効果により、熱交換水の循環が可能となる。
以上のように熱交換水の循環サイクルをくりかえすことにより、その土地の土質や土粒子の粗さによるが、熱交換水は土粒子の間隙をぬって、最初はいたって緩慢であるが、稼働の時間経過とともに毛管状のみずみちが形成されて、効率的な熱交換が可能となる。このように夏期における温廃熱を蓄熱して、冬期に暖房として熱交換され、又その熱交換された冷熱がそのまま夏期に蓄熱されることになる。
また工場等で冬期に冷水、夏期に温水等の需要のある施設では、図1−3のとおり、その敷地を2分して一方を温熱蓄熱槽に、又他の一方を冷熱蓄熱槽として、その中間に断熱板にて遮蔽して独立分離し、空調廃熱だけでなく、ソーラー集熱器や外気温に依るヒートポンプ集熱を補助熱源とする蓄熱が有効である。
尚、システムの効率的な施工条件として、当地盤下における所定の蓄熱深度において、帯水層部で水の移動のない平地部で、中間層に粘土質等の不透水層が無く、砂質シルトやローム等の軟質土が望ましいが、比較的に浅い部分にサンドイッチ型不透水層が存在する場合はボーリングによる貫通穴を碁盤状に設ける必要もある。
又大型ビルの軟弱地盤に必然的に打込まれるコンクリート杭や鋼管杭を図3のように、外周部に吸水用の小孔を等間隔に設け、又その中空部に一回り細い井戸パイプを挿入し、又その井戸用パイプの中空部に空調廃熱等の熱交換コイルを組込んだ、基礎杭兼熱交換井戸杭も可能である。又建物の周囲を地中1m以上の地中壁を設け、又基礎ベースコンクリートの底部に断熱材を設けるとともに、その下の土壌間には通常砕石が布設されるが、この砕石と砕石の隙間部を建物のスパン毎に熱交換水を圧力注入して、土壌面より均等に強制浸透を促す。(図1−2)
こうして前述井戸杭にて循環させる基礎杭を単位とするゾーンを建築基礎杭の数によって複数設けた大型蓄熱も可能である。
又空調の熱交換ヒートポンプにおける交換熱源が既に蓄熱されており、所望の熱源に近い温度の為、ヒートポンプの揚程が少なくて良く、すなわち熱媒圧縮機の電力が少なくて済む利点がある。
又土質に依っては、機器や土中の目詰まり防止に、「逆流洗浄」の必要があり、この場合は井戸ポンプの前後に四方弁を組み、バイパス管にて流れを逆にする装置を組付ける必要もある。(図2−C)
尚井戸杭の打込深さは、基本的には地下の不透水層や難透水層に達する深さが望ましいが、これ等の地層がかなり深い場合は、少なくとも乾期(冬期)での地下水位よりも深く設置する必要がある。
1 − 井戸ケーシング
2a− 孔明パイプ又はメッシュ管
2b− 小孔付コンクリート杭
3 − 空調冷媒管
4 − 廃熱交換コイル
B−地中散水杭
5 − 注水竪杭
6 − 丁番
7 − 散水ドイ
8 − 案内板
9 − ストッパー
C−関連部品他
10− 井戸ポンプ
11− 逆流洗浄用切替四方弁
12− 熱交換水導管
13− エアコン
14− コンプレッサー(圧縮機)
15− 水の流れ
16− 地中断熱層
17− 建築物基礎ベース
18− 建築物地中壁
19− 断熱材
20− 冷暖房切替弁
21− 温熱蓄熱槽
22− 冷熱蓄熱槽
23− 砕石
24− 不透水層
25− ソーラー集熱器
Claims (6)
- 地中を蓄熱槽として熱を貯留する為のシステムに関し、地表下1m間を断熱層として、それより深い地中に地中散水杭を複数碁盤状に打ち込み、その中央下方部には不透水層に達する深さに井戸杭を設ける。又該井戸杭と熱交換器と井戸ポンプ及び地中散水杭は、地下水または貯留雨水等の水配管で接続されており、該熱交換器は空調の廃熱やソーラー集熱器等の補助熱源に接続されて、井戸ポンプに依り該地中散水杭を介して、土中に加圧注水され蓄熱範囲全体を飽和水で満たす。こうして蓄熱槽としての土壌内に熱媒である水を熱交換水として、自然流下と共に強制浸透を促し、一方の井戸杭に依る吸引との相乗効果により循環路を形成させ熱交換を行なう。このように、夏及び冬の季節エネルギーの地中熱交換により、温冷熱の貯留が出来、又地中に浸透した飽和水を災害時には予備水源とする機能も備える、季節エネルギー利用の地中蓄熱システム兼予備水源。
- 地中を蓄熱槽として熱を貯留する為のシステムに関し、請求項第1項の地中散水杭のかわりに、建築物の基礎ベースと周囲の地中壁にてなる鍋蓋状の基礎ベースの底部に断熱材を設け、又その下の土壌間に砕石等による隙間を作り、その隙間に熱交換水を圧力注入して、土壌面より、均等に強制浸透させることを特徴とする、請求項第1項記載の地中蓄熱システム兼予備水源。
- 地中を蓄熱槽として熱を貯留する為のシステムに関し、その敷地を2分して、一方を温熱蓄熱槽に、又他の一方を冷熱蓄熱槽として、その中間に断熱板にて遮蔽して、独立分離した事を特徴とする、請求項1及び2項の地中蓄熱システム兼予備水源。
- 地中に打込む井戸杭に関し、井戸ケーシングの外周を一回り太い孔明パイプ又はメッシュ管で囲むとともに、底部で該井戸ケーシングと連通され、該井戸ケーシングの中空部にコイル等の熱交換器が組込まれたことを特徴とする熱交換井戸杭。
- 地中に打込む地中散水杭に関し、上端部を熱交換導水管に接続されたパイプよりなる、中空の注水竪杭の下部に丁番を介して、複数の放射状に開く散水ドイを設ける。又該散水ドイの先端にはスコップ状の斜め外向きに開いた案内板 があり、土中に打込むと該案内板の作用で、散水ドイが潜りながら丁番を支点に垂直から、水平に円を描くように開くことを特徴とする地中散水杭。
- 大形ビルの建築基礎の軟弱地盤に必然的に打込まれるコンクリートや鋼管の基礎杭の外周部に、吸水用の小孔を等間隔に設け、又中空部に一回り細い井戸用パイプを挿入し、その井戸用パイプの中空部に空調廃熱等の熱交換器を組込んだ、基礎杭兼熱交換井戸杭。
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