JP2008065121A - 液浸顕微鏡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板の移動を利用せずに観察状態を実現することができ、基板の表面の状態(親水性/撥水性)に拘わらず、観察点の周囲の不要な箇所(後から回収できない箇所)への液体の広がりを防止できる液浸顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】 液浸系の対物レンズ22の先端51と観察対象の基板とを対向させた状態で、先端51と基板との間の光路に対して略垂直な第1方向に空気を流すと共に、該第1方向と光路との双方に略垂直な第2方向に関して空気の流れ幅を制限する溝形状の通風路(51〜54)と、通風路の上流側に配置され、幅が狭い管状部材23を用いて、先端51と基板との間に液体を吐出する手段と、通風路の下流側に配置され、通風路の上流側から取り込んだ空気と共に液体を吸引する手段とを備える。また、吐出手段の先端から光路までの距離X2と、光路の近傍における通風路の幅Yとは、条件式 X<(Y/2) を満足する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、基板の液浸観察を行う液浸顕微鏡装置に関する。
基板(例えば半導体ウエハや液晶基板など)に形成された回路パターンの欠陥や異物などを高い分解能で観察するために、液浸系の対物レンズを用い、この対物レンズの先端と基板との間を水などの液体で満たし、液体の屈折率(n>1)に応じて対物レンズの開口数を大きくすることが提案されている(例えば特許文献1を参照)。
また、コンパクトな装置構成とするために局所液浸の状態で観察することも提案されている。この場合は、基板の観察点ごとに、液体を局所的に供給して観察を行った後、その液体の回収が行われる。
観察時には、基板の観察点と対物レンズの先端との間が局所的に液体で満たされた状態となる。この観察状態を実現するため、特許文献1の装置では、基板の移動を利用し、次の2段階の動作[1][2]を行う。[1]基板の観察点が対物レンズの光路から外れた状態で、その観察点に液体を局所的に供給する。[2]基板を液体と共に移動させて、基板の観察点を対物レンズの光路に位置決めする。これにより上記の観察状態が実現する。
特開2005−83800号公報
ところで、上記の装置では、対物レンズの光路から外れた箇所に液体供給部があるため、基板の移動を利用せずに上記の観察状態を実現しようとすると、基板の観察点を予め対物レンズの光路に位置決めした状態で、対物レンズの光路外の液体供給部から基板の観察点まで届くように液体を吐出することになる。
しかし、液体供給部から対物レンズの光路までの距離によっては、多量の液体を勢いを付けて吐出する必要がある。さらに、基板の表面の状態(親水性/撥水性)によっては、吐出された液体が観察点の周囲の不要な箇所(後から回収できない箇所)まで広がってしまうことがあり、好ましくない。
本発明の目的は、基板の移動を利用せずに観察状態を実現することができ、基板の表面の状態(親水性/撥水性)に拘わらず、観察点の周囲の不要な箇所(後から回収できない箇所)への液体の広がりを防止できる液浸顕微鏡装置を提供することにある。
本発明の液浸顕微鏡装置は、液浸系の対物レンズ部材と、前記対物レンズ部材の先端と観察対象の基板とを対向させた状態で、前記先端と前記基板との間の光路に対して略垂直な第1方向に空気を流すと共に、該第1方向と前記光路との双方に略垂直な第2方向に関して前記空気の流れ幅を制限する溝形状の通風路と、前記通風路の上流側に配置され、該上流側の前記通風路よりも幅が狭い管状部材を用いて、前記対物レンズ部材の前記先端と前記基板との間に液体を吐出する吐出手段と、前記通風路の下流側に配置され、前記通風路の上流側から前記空気を取り込み、該空気と共に前記液体を吸引する吸引手段とを備え、前記吐出手段の先端から前記光路までの距離Xと、前記光路の近傍における前記通風路の幅Yとは、条件式 X<(Y/2) を満足するものである。
また、上記の液浸顕微鏡装置において、前記通風路は、前記対物レンズ部材の先端と該先端に隣接する傾斜面とに沿って形成され、前記対物レンズ部材の先端は、前記光路に対して略垂直な平面であり、前記傾斜面は、前記先端から離れるほど前記対物レンズ部材の像側に近づく方向に傾斜した面であることが好ましい。
また、上記の液浸顕微鏡装置において、前記対物レンズ部材の先端である前記平面は、前記光路を横切って前記第1方向と略平行な方向の長さが、前記光路の近傍における前記通風路の幅Yよりも小さく成形され、前記管状部材の先端は、前記対物レンズ部材の先端の近傍に配置されることが好ましい。
また、上記の液浸顕微鏡装置において、前記対物レンズ部材の先端である前記平面は、長方形状に成形され、前記長方形状の短辺は、前記第1方向と平行であり、前記長方形状の長辺は、前記第2方向と平行であり、該長辺の長さが前記光路の近傍における前記通風路の幅Yと一致することが好ましい。
また、上記の液浸顕微鏡装置において、前記管状部材の先端は、前記対物レンズ部材の先端の近傍に突出して配置されることが好ましい。
また、上記の液浸顕微鏡装置において、前記吸引手段は、前記通風路の下流側と略等しい幅の管状部材を用いて、前記空気と共に前記液体を吸引することが好ましい。
また、上記の液浸顕微鏡装置において、前記対物レンズ部材の先端側に装着され、前記光路に対して垂直で且つ前記基板に最も近接する平坦部を、前記通風路の周囲に配置するアダプタを備えることが好ましい。
本発明の液浸顕微鏡装置によれば、基板の移動を利用せずに観察状態を実現することができ、基板の表面の状態(親水性/撥水性)に拘わらず、観察点の周囲の不要な箇所(後から回収できない箇所)への液体の広がりを防止することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の液浸顕微鏡装置10は、図1に示す通り、ミニエンバイロメント装置(11〜15)と、その内部に設置された液浸顕微鏡20とで構成される。図1(a)は液浸顕微鏡装置10の上面図、図1(b)は断面図である。ミニエンバイロメント装置(11〜15)の内部には、観察対象の基板10Aを自動搬送する機構16も設けられる。基板10Aは、半導体ウエハや液晶基板などである。液浸顕微鏡装置10は、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程において、基板10Aに形成された回路パターンの欠陥や異物などの液浸観察(外観検査)を行う装置である。回路パターンは例えばエッチングパターンである。
ミニエンバイロメント装置(11〜15)は、筐体11と、その上面に設置された複数のファンフィルタユニット12〜15とで構成される。ファンフィルタユニット12〜15は、周囲(クリーンルーム内)の空気からゴミや塵などの微小な気体中パーティクルを除去した後、清浄な空気を筐体11の内部に導入する機構である(FFU;FAN FILTER UNIT)。筐体11の下面には不図示の通気口が形成され、ファンフィルタユニット12〜15からのダウンフローを外部(クリーンルーム内)に排気できるようになっている。図1の矢印は空気の流れを表している。
このように、ミニエンバイロメント装置(11〜15)の筐体11の内部は、基板10Aの液浸観察をクリーンな環境で行うために、清浄度を周囲(クリーンルーム内)より高くした局所環境(minienvironment)である。気体中パーティクルの除去は、ULPAフィルタ17によって行われる。また、筐体11の内部のうち液浸顕微鏡20の配置された空間には、ファンフィルタユニット12のケミカルフィルタ18によって化学物質(有機系ガスやアンモニアガスなど)が除去された清浄な空気が導入され、T.O.C.(Total Organic Carbon:全有機炭素)などのアウトガスの少ない環境に保たれる。
液浸顕微鏡20には、基板10Aを支持するステージ部21と、液浸系の対物レンズ22と、液浸媒質の液体(不図示)の吐出に用いられる吐出ノズル23と、液体の吸引に用いられる吸引ノズル24とが設けられる。また、図示省略したが、液浸顕微鏡20には、照明光学系やTTL方式のオートフォーカス機構、制御部なども設けられる。
ステージ部21は、XYステージとZθステージとで構成される。基板10Aは、例えば現像装置から搬送されてZθステージの上面に載置され、例えば真空吸着により固定的に支持される。Zθステージは、基板10Aの焦点合わせ時に、基板10Aを鉛直方向に移動させる。焦点合わせ動作は、不図示の制御部がオートフォーカス機構を用いて行う。また、基板10Aの予め定めた観察点を対物レンズ22の視野内に位置決めする際、XYステージは、基板10Aを水平面内で移動させる。XYステージのベース部材は液浸顕微鏡20の本体に固定されている。
液浸系の対物レンズ22は、液浸顕微鏡20の本体に固定され、その先端と基板10Aとの間の光路(以下「観察光路」)が液浸媒質の液体19(図2)で満たされたときに、光学系の収差が補正されるように設計されている。
また、図3(a),(b)に示す通り、対物レンズ22の先端51は、対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状を成す。つまり、対物レンズ22の先端51は、この先端51と基板10Aとの間の観察光路に対して垂直な平面である。さらに、先端51である平面は、長方形状に成形されている。そして、この先端51の中心部に対物レンズ22の先球2Aが露出している。
また、液浸顕微鏡20の不図示の照明光学系には、照明光源などが設けられる。観察波長は、例えば可視域や紫外域である。可視域の場合は接眼レンズを用いた基板10Aの液浸観察が可能となる。紫外域の場合には、目視観察ができないので、接眼レンズの代わりにCCDカメラなどを設けて撮像し、モニタ装置に表示して液浸観察が行われる。
液浸媒質の液体19は、例えば純水である。純水は、半導体製造工程などで容易に大量入手できる。また、基板10Aのフォトレジストに対する悪影響がないため、基板10Aの非破壊検査が可能となる。また、純水は環境に対する悪影響もなく、不純物の含有量が極めて低いため、基板10Aの表面を洗浄する作用も期待できる。なお、半導体製造工程で使用される純水は一般に「超純水」と呼ばれる。これは、一般に「純水」と呼ばれるものより純度が高い。本実施形態においても超純水を用いるのがより好ましい。
本実施形態の液浸顕微鏡装置10では、基板10Aの液浸観察の際、基板10Aの予め定めた観察点が対物レンズ22の視野内に位置決めされ、その観察点と対物レンズ22の先端との間が局所的に液体19で満たされた状態(つまり局所液浸の状態)となる。この観察状態を実現するため、本実施形態の液浸顕微鏡装置10は、次に説明する吐出ノズル23や吸引ノズル24などを用いて、液体19の吐出および吸引を行う。
吐出ノズル23は、対物レンズ22の周辺に固定的に配置され、その先端が対物レンズ22の先端の近傍に配置される。この吐出ノズル23を用いて基板10Aに適量の液体19を吐出するため、吐出ノズル23には、図2に示す通り、液体吐出装置(31〜35)が接続される。液体吐出装置(31〜35)は、加圧ポンプ31と、水圧レギュレータ32と、最終フィルタ33と、超純水製造装置34と、液体タンク35とで構成される。
また、吸引ノズル24は、上記の吐出ノズル23と同様、対物レンズ22の周辺に固定的に配置され、その先端が対物レンズ22の先端の近傍に配置される。この吸引ノズル24を用いて基板10Aから液体19を吸引するため、吸引ノズル24には、液体吸引装置(41〜44)が接続される。液体吸引装置(41〜44)は、液体回収用フィルタ41と、電磁弁42,43と、真空レギュレータ44とで構成される。真空レギュレータ44には、真空大元の吸引ポンプが接続される。
さらに、本実施形態の液浸顕微鏡装置10では、液体19を効率よく吸引するために、対物レンズ22の先端側にアダプタ25を装着して、このアダプタ25を図3(a),(b)のような構成とした。図3(a)には、図2と同様、アダプタ25などを側方から見た断面構成を示す。図3(a)ではアダプタ25にハッチングを付した。図3(b)には、アダプタ25などを下方から見た構成を示す。
アダプタ25を取り付けたことにより、対物レンズ22の先端51の周囲には、先端51である平面(長方形状)の長辺と隣接する2箇所の各々に傾斜面52,53が設けられ、かつ、これらの傾斜面52,53および先端51と隣接する略C字状の箇所に突出部54が設けられる。
傾斜面52,53の中心線5A,5Bは、先端51である平面(長方形状)の長辺に対して垂直であり、対物レンズ22の光軸O22と共に同一面に含まれる。また、傾斜面52,53は、その傾斜を誇張して示した図4から分かるように、先端51から離れるほど対物レンズ22の像側に近づく方向に傾斜した面である。
傾斜面52,53の幅および先端51の幅については次のようになっている。ここで、幅とは、傾斜面52,53の中心線5A,5Bと対物レンズ22の光軸O22とを含む面に対して垂直な方向の寸法を意味する。
一方の傾斜面52の幅は、先端51から所定距離までの内側部分と、所定距離から対物レンズ22の側面までの外側部分とで異なり、内側部分と比べて外側部分の方が大きい。また、内側部分における幅は、先端51からの距離に拘わらず略一定である。外側部分における幅は、先端51から離れるほど大きくなる。つまり、外側部分は略扇形状を成す。
これに対し、他方の傾斜面53の幅は、その全体において、先端51からの距離に拘わらず略一定となっている。さらに、他方の傾斜面53の幅と一方の傾斜面52の内側部分の幅とは略等しい。
また、先端51である平面(長方形状)の幅は、この長方形状の長辺の長さY(図3(c))に対応し、他方の傾斜面53の幅および一方の傾斜面52の内側部分の幅と略等しい。つまり、一方の傾斜面52の内側部分から先端51を介して他方の傾斜面53までの間、連続的に一定の幅(Y)となっている。
さらに、一方の傾斜面52は、先端51から対物レンズ22の側面まで延在されている。これに対し、他方の傾斜面53には、吸引ノズル24が設けられる。この吸引ノズル24は、傾斜面53と同じ角度に傾けられ、傾斜面53から滑らかに延在するように配置されている。
また、突出部54は、傾斜面52,53よりも対物レンズ22の物体側に突出した部位であり、さらに、その段差を誇張した図5(a),(b)から分かる通り、対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状を成す。つまり、突出部54は、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間の観察光路に対して垂直で、且つ、基板10Aに最も近接する平坦部である。
なお、本実施形態では、この突出部54と同一面に対物レンズ22の先端51が含まれる。ただし、このような構成例に限らず、先端51を突出部54よりも対物レンズ22の像側に凹ませても構わない。
上記のように、本実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52,53と突出部54とが設けられ、一方の傾斜面52は対物レンズ22の側面まで延在し、他方の傾斜面53に吸収ノズル24が設けられる。
すなわち、対物レンズ22の先端側には、対物レンズ22の側面から吸収ノズル24に至るまでの間に、傾斜面52と先端51と傾斜面53とに沿って溝形状の部位が形成され、かつ、その幅方向が突出部54によって制限されている。
このため、基板10Aの液浸観察時に、基板10Aを対物レンズ22の先端側に対向させると(図6(a))、対物レンズ22の側面においては、図6(b)に示すように、一方の傾斜面52と突出部54と基板10Aとで囲まれた開口部55が形成される。また、上記した溝形状の部位と基板10Aとの間には細長い空間が形成される。
そして、開口部55は、液浸観察のために対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間に供給された液体19(図2)を吸引する際の通気口として機能する。また、溝形状の部位と基板10Aとの間の細長い空間は、開口部55から取り込まれた空気の通路(以下「通風路」)として機能する。
なお、液浸観察の際、対物レンズ22の先端51(および突出部54)と基板10Aとは略平行に保たれ、その隙間δは0.05mm〜0.5mm程度に保たれる。図2では液体19を分かりやすく示すために隙間δを拡大したが、実際の隙間δは図6(a)のように非常に狭い。
したがって、対物レンズ22の先端51を含む通風路と基板10Aとを対向させた状態で、開口部55とは反対側の傾斜面53に設けた吸引ノズル24の吸引力によって開口部55から空気を取り込み、一方の傾斜面52と基板10Aとの間(図5(a))を通過させた後、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間を通過させ、さらに他方の傾斜面53と基板10Aとの間(図5(b))を通過させて、吸引ノズル24に導くことができる。
つまり、先端51と基板10Aとの間の観察光路に対して垂直な第1方向に空気を流すことができ、さらに、この第1方向と上記の観察光路との双方に垂直な第2方向に関して空気の流れ幅を制限することができる。
上記の第1方向(空気の流れ方向)は、先端51である平面(長方形状)の短辺と平行な方向である。また、上記の第2方向(空気の流れ幅方向)は、先端51である平面(長方形状)の長辺と平行な方向である。
なお、先端51と基板10Aとの間の観察光路の近傍における空気の流れ幅は、観察光路の近傍における通風路の幅に略等しく、本実施形態では、先端51である平面(長方形状)の長辺の長さY(図3(c))と一致する。
そして、このような空気の流れと共に、観察光路上の液体19の吸引が行われる。液体19を吸引する際、開口部55から吸引ノズル24までの通風路は真空配管として機能すると共に、液体19の通路(つまり水路)としても機能する。
通風路の断面積は、場所によって異なり、開口部55のところで最も大きく、先端51のところで最も小さくなる。さらに、開口部55から傾斜面52に沿って先端51に近づくほど小さくなり、先端51から傾斜面53に沿って吸引ノズル24に近づくと大きくなる。このように、通風路の断面積を開口部55のところで最も大きくしたので、液体19を吸引する際の真空配管の開口面積が大きくなり、真空流量を確保しやすくなる。
さらに、本実施形態では、先端51が平面であって長方形状に成形され、先端51の幅(Y)が観察光路の近傍における通風路の幅と一致する。このため、先端51と基板10Aとの間において、通風路の断面積は一定で、通風路の断面は長方形状となる。
また、本実施形態では、通風路の下流側に吸引ノズル24が配置され、吸引ノズル24の幅を通風路の下流側(傾斜面53)の幅と略等しく構成した(図3(b))。この場合、吸引ノズル24の幅は先端51や傾斜面52の内側部分の幅とも略等しい。このため、液体19を吸引する際の真空配管の有効断面積は、上記した通風路のうち先端51のところでの断面積と略等しくなる。なお、吸引ノズル24の幅(および傾斜面53の幅など)は、対物レンズ22の先球2Aの光学的有効径以上とすることが好ましい。
さらに、本実施形態では、上記の幅広の吸引ノズル24に対し、吐出ノズル23を極細の構成とした。つまり、吐出ノズル23は、吸引ノズル24より幅の狭い極細の管状部材であり、その内径φ=0.1mm〜1mm程度である。また、吐出ノズル23は、上記した開口部55から吸引ノズル24までの通風路の上流側(傾斜面52)に配置され、その幅が傾斜面52より狭い。このため、傾斜面52に設けた吐出ノズル23が、上記した通風路における空気の流れを妨げることはない。
また、吐出ノズル23の先端は、対物レンズ22の先端51の近傍に配置される。先端51である平面(長方形状)は、観察光路を横切って上記の第1方向(空気の流れ方向)と平行な大きさが、図3(c)に示す長方形状の短辺の長さX1と等しく、かつ、観察光路の近傍における通風路の幅(Y)よりも小さく成形されている。
このため、吐出ノズル23の先端を対物レンズ22の先端51の近傍に配置することで、吐出ノズル23の先端から観察光路までの距離X2と、観察光路の近傍における通風路の幅(Y)とは、条件式 X2<(Y/2) を満足することになる。したがって、吐出ノズル23の先端を観察光路に近接させることができる。さらに、液浸吐出時の基板10Aの表面に出来るだけ近接させることもできる。
なお、傾斜面52の角度θ(図4)は、対物レンズ22の光軸O22に垂直な面を基準とするとき、5度から30度までの範囲の任意の角度に設定することが好ましく、さらに5度から15度までの範囲の任意の角度に設定することがより好ましい。
また、本実施形態では、吐出ノズル23の先端と吸引ノズル24の先端とが、対物レンズ22の先端51を挟んで対向するように配置される。ただし、吐出ノズル23は傾斜面52と同じ角度に傾けられ、吸引ノズル24も傾斜面53と同じ角度に傾けられるため、厳密に言えば、吐出ノズル23の中心軸の延長線と吸引ノズル24の中心軸の延長線とが対物レンズ22の光軸O22上で交差するように配置される。吐出ノズル23と吸引ノズル24の各中心軸は対物レンズ22の光軸O22と共に同一面に含まれる。
そして、本実施形態の液浸顕微鏡装置10では、上記の吐出ノズル23と液体吐出装置(31〜35)とを用いて液体19の吐出を行い、基板10Aの観察点と対物レンズ22の先端51との間に適量の液体19を供給する(局所液浸の観察状態)。そして、液浸観察が終了すると、上記の通風路を利用し、吸引ノズル24と液体吸引装置(41〜44)とを用いて液体19の吸引を行い、基板10Aから液体19を回収する。
次に、本実施形態の液浸顕微鏡装置10における基板10Aの液浸観察の手順を簡単に説明する。基板10Aの液浸観察は、液浸顕微鏡装置10の制御部(不図示)によって自動制御で行われる。
[1]まず、基板10Aの予め定めた観察点を対物レンズ22の視野内に位置決めし、基板10Aの観察点を対物レンズ22の先端51の中心部(先球2A)と対向させる。このとき、基板10Aの観察点が対物レンズ22の光路(上記の観察光路)に位置決めされる。
[2]次に、液体吐出装置(31〜35)を制御し、吐出ノズル23を介して適量の液体19を吐出する。液体19によって基板10Aの観察点と対物レンズ22の先端51との間を満たして観察状態とすれば、対物レンズ22を介して観察点の良好な光像を形成することができる。
液体吐出装置(31〜35)では、液体タンク35に純水が注入され、液体タンク35の純水が超純水製造装置34のポンプによって汲み上げられ、イオン除去やバクテリア殺菌が行われた後、最終フィルタ33に送られる。そして、最終フィルタ33を通過した後、パーティクルなどの水質仕様を満たす超純水が得られる。
この超純水は、不図示の制御部から吐出指令が出されるまでの間、再び液体タンク35に送られ、この液体タンク35と超純水製造装置34と最終フィルタ33とを循環することになる。循環はタイマーで管理される。
そして、不図示の制御部から吐出指令が出されると、最終フィルタ33からの超純水は、水圧レギュレータ32によって制御された水圧で加圧ポンプ31に供給され、加圧ポンプ31から吐出ノズル23を介して、基板10Aの観察点に液浸媒質の液体19として吐出される。
液体19を吐出する際、対物レンズ22の先端と基板10Aとの隙間δは、0.05mm〜0.5mm程度に保たれる。分かりやすくするために図2では液体19の高さ方向を拡大して示したが、実際の液体19の高さは上記の隙間δに応じて非常に低く、図6のような隙間δの中に収まる。
なお、液体タンク35の超純水が液浸媒質の液体19として使用され、液体タンク35が空に近づくと、このことが不図示のセンサによって検知され、新たな純水が自動的に液体タンク35に注入される。
上記の液体吐出装置(31〜35)を用いた1回の吐出動作によって吐出ノズル23から吐出される液体19の量(以下「吐出水量」)は、吐出流量と吐出時間との積で決まる。また、吐出流量は、吐出ノズル23の内径断面積と吐出速度との積で決まる。吐出ノズル23の内径断面積は既知である。したがって、吐出ノズル23からの1回の吐出水量は、吐出速度と吐出時間との積で決まることになる。
さらに、本実施形態のように極細の吐出ノズル23を用いる場合、液体19の吐出速度v(m/s)は、ベルヌーイの定理から吐出ノズル23の内径断面積の項がほぼ0になるため、23℃における水の密度ρ=997.54(kg/m3)と、水圧ΔP(Pa)と、重力加速度g=9.8(m/s2)と、水の高低差Δz(m)とを用い、次の式(1)で表される。
v=√(2/ρ・ΔP+2・g・Δz) …(1)
そして、水の高低差Δz=0とすると、吐出速度vは、水圧ΔPによって決まることになる。したがって、吐出ノズル23からの1回の吐出水量は、水圧ΔPと吐出時間との積で決まることになり、加圧ポンプ31におけるストローク調整で制御可能となる。
ただし、水圧ΔPは、対物レンズ22の先端と基板10Aとの隙間における損失を考慮して、ΔP=0.01〜0.1MPa程度とすることが好ましい。この場合、吐出速度v=4.5〜14.2m/s程度になる。水圧ΔP(吐出速度v)を略一定にすれば、吐出ノズル23からの1回の吐出水量は、吐出時間によって制御可能となる。
本実施形態の液浸顕微鏡装置10では、対物レンズ22の光路(上記の観察光路)から外れた箇所に吐出ノズル23の先端がある(図3(b))ため、上記した吐出水量の制御を行って、図7に示すように、吐出ノズル23の先端から基板10Aの観察点まで届くように液体19を吐出すれば、上記の観察状態を実現できる。図7(a)は図2と同様の側面図、図7(b)は下方から見た図、図7(c)は吐出ノズル23と吸引ノズル24を拡大した側面図である。
ここで、仮に、吐出ノズル23の先端から観察光路までの距離X2と、観察光路の近傍における通風路の幅(Y)との関係が、条件式 X2≧(Y/2) を満足する場合を考える。これは、対物レンズ22の先端が従来の一般的な円形状であって、その中心部に先球が位置し、この円形状の先端の近傍(または先端から離れた箇所)に吐出ノズル23の先端を配置した場合に対応する。
この場合、基板10Aの観察点まで液体19を確実に届かせるためには、多量の液体19を勢いを付けて吐出しなければならない。そして、基板10Aの表面の状態(親水性/撥水性)によっては、吐出された液体19が上記の通風路から外れて観察点の周囲の不要な箇所(突出部54と基板10Aの表面との隙間)(後から回収できない箇所)まで広がってしまうことがあり、ヤケ・シミなどの原因となり好ましくない。
液体19の広がり方は、基板10Aの表面の状態の他に、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの隙間δや表面張力にも依存する。液体19は、基板10Aの親水性が高いほど広がり易い。また、液体19の広がり方は、吐出ノズル23の先端位置に大きく依存することが分かった。
そこで、本実施形態の液浸顕微鏡装置10は、既に説明した通り、吐出ノズル23の先端から観察光路までの距離X2と、観察光路の近傍における通風路の幅(Y)との関係が、条件式 X2<(Y/2) を満足するように構成した。
例えば、通風路の幅(Y)を一定と考えたとき、条件式 X2<(Y/2) を満足する構成とは、比較例の条件式 X2≧(Y/2) を満足する構成と比較して、通風路の幅(Y)を広く保ちつつ吐出ノズル23の先端を観察光路に近づけることにより実現する。
ちなみに、対物レンズ22の先端が従来の一般的な円形状で、その中心部に先球が位置し、この円形状の先端の近傍に吐出ノズル23の先端を配置する場合、吐出ノズル23の先端を観察光路に近づけようとすれば、対物レンズ22の先端を全体的に小さくしなければならず、通風路の幅(Y)も狭くなってしまう。ところが、本実施形態では、上記の通り、条件式 X2<(Y/2) を満足するので、通風路の幅(Y)を広く保ちつつ吐出ノズル23の先端を観察光路に近づけることができる。
そして、観察光路に近づけた吐出ノズル23の先端から、液体19を吐出する際の圧力と流量を制御して、吐出直後の液体19が基板10Aの表面のうち観察点の近傍に留まるように、適量の液体19を観察点に吐出する(図7)。このとき、吐出直後の液体19が吐出ノズル23の先端と連結した状態で、液体19の吐出を終了することが好ましい。
条件式 X2≧(Y/2) を満足する上記の比較例に対し、条件式 X2<(Y/2) を満足する本実施形態では、液体19の吐出水量を少なくすることができ、また、吐出する際の勢いも弱くて済む。したがって、少量の液体19を略円形状に保って吐出することができ、これによって観察光路を満たすことができる。
さらに、本実施形態では、吐出ノズル23の先端を観察光路に近づけると共に、通風路の幅(Y)を広く保つため、基板10Aの表面の状態(親水性/撥水性)に拘わらず、吐出された後の少量で略円形状の液体19が上記の通風路から外れる可能性もない。つまり、液体19が突出部54と基板10Aの表面との隙間(後から回収できない箇所)まで広がる可能性もない。
このような液体19の吐出が終了すると、基板10Aの観察点と対物レンズ22の先端51との間の観察光路上には適量の液体19が供給され、局所液浸の観察状態となる。液体19の吐出後、必要に応じてAF制御を行い、基板10Aの表面(観察点)を対物レンズ22の焦点面に正確に位置決めすることが好ましい。
液体19は、対物レンズ22の先球2Aだけでなく、対物レンズ22の先端51を含む上記の通風路から食み出さない程度の広がりを持って、対物レンズ22の先端51と基板10Aの観察点との間(つまり上記通風路の最小断面積の部分)に収まるように存在することになる。
そして、このような局所液浸の観察状態で、基板10Aの液浸観察(つまり高分解能での観察)が行われる。観察者は、不図示の接眼レンズ(またはCCDカメラに接続されたモニタ装置)により、基板10Aの観察点の液浸観察を行う。さらに、液浸観察にCCDカメラを用いる場合、観察画像の取り込みを行ってもよい。基板10Aの液浸観察が終了すると液体19の回収動作が行われる。
[3]次に、液体吸引装置(41〜44)を制御し、対物レンズ22の先端51と基板10Aの観察点との間から液体19を例えば真空吸引により吸引して回収する。
液体吸引装置(41〜44)では、真空レギュレータ44が真空大元の吸引ポンプに接続され、電磁弁43を開放することで液体19の吸引が開始される。
このとき、上記の通風路は真空配管として機能し、通風路の上流側の開口部55から取り込まれた空気の流れと共に、上記の通風路に沿って液体19が移動し、吸引ノズル24に導かれる。そして、吸引ノズル24により吸引された液体19は、液体回収用フィルタ41を介して空気と選別され、電磁弁42を介して排水される。
本実施形態では、観察光路の近傍における通風路の幅(Y)を広く保つことができるため、十分な吸引力によって良好に(取りこぼしなく)液体19を吸引することができる。
なお、上記通風路において十分な真空流量を確保するためには、吸引ノズル24から吸引ポンプまでの真空配管を太く短くして配管損失を小さくすることが好ましい。
また、液体19は一塊の状態で上記通風路の有効断面積内に収まっている(図7)ため、液体19を吸引する際の真空配管内での理論上の管壁と液体19との隙間をなくし、液体19が一塊に近い状態のまま(つまり液体19が細切れになって取り残される事態を回避しつつ)確実に吸引することができる。このとき、真空圧を電磁弁43により素早くON/OFFして、瞬時に液体19を吸引することが好ましい。
上記のように、本実施形態の液浸顕微鏡装置10では、基板10Aの観察点を対物レンズ22の視野内に位置決めした状態で、基板10Aの観察点に液体19を吐出することで、上記の観察状態を実現している。このため、基板10Aの移動を利用せずに観察状態を実現することができる。
さらに、本実施形態の液浸顕微鏡装置10では、吐出ノズル23の先端から基板10Aの観察点まで届くような量の液体19(つまり少量で略円形状で局所液浸に必要な最低限の量の液体19)を吐出すれば済む。したがって、基板10Aの表面の状態(親水性/撥水性)に拘わらず、観察点の周囲の不要な箇所(後から回収できない箇所)への液体19の広がりを防止できる。
このように、本実施形態の液浸顕微鏡装置10では、基板10Aの観察点の周囲の不要な箇所に液体19が広がらないため、局所液浸による観察後、吸引ノズル24と液体吸引装置(41〜44)とを用いて、液体19を確実に回収することができる。したがって基板10Aの汚染を防止できる。
さらに、本実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52を設け、傾斜面52に吐出ノズル23を設け、この吐出ノズル23を用いて液体19を吐出するため、液体19を適切に吐出することができる。また、吐出ノズル23として傾斜面52より幅の狭いものを用いるため、液体19の吐出水量の微調整が容易になる。したがって、局所液浸による観察時に液体19を効率よく供給することができる。
また、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52,53を設け、この傾斜面52,53と隣接して突出部54を設け、かつ、一方の傾斜面52の延長上に開口部55を形成し、他方の傾斜面53に吸引ノズル24を設け、吸引ノズル24を吐出ノズル23より幅広とし、この吸引ノズル24を用いて開口部55から空気を取り込みつつ液体19を吸引するため、局所液浸による観察時に液体19を効率よく回収することができる。
このように、本実施形態の液浸顕微鏡装置10によれば、局所液浸による観察時に液体19を効率よく供給/回収できるため、高スループットで基板10Aの液浸観察を行える。さらに、液浸観察後の液体19を基板10Aから素早く確実に回収できるため、気体中に浮遊するパーティクル(例えば0.1μm以下)が液体19に付着して基板10Aを汚したり、液体19によって基板10Aが酸化されたりする問題を回避でき、パターンの微細化にも確実に対応可能となる。
また、本実施形態では、一方の傾斜面52の内側部分の幅と他方の傾斜面53の幅とを先端51からの距離に拘わらず略一定とし、互いに略等しくしたので、対物レンズ22の先端51と基板10Aとの間における空気の流れを各断面内で略均一にすることができ、この均一な空気の流れと共に液体19を効率よく吸引できる。
さらに、本実施形態では、傾斜面52の内側部分と比べて外側部分の幅を広げたので、液体19を吸引する際の真空配管の開口面積が大きくなり、真空流量を確保しやすくなる。このため、真空流量を増やして効率よく液体19を吸引できる。
また、本実施形態では、傾斜面52の外側部分を扇形状として、その幅を先端51から離れるほど広げたので、開口部55から取り込まれた空気をスムーズに上記通路の内部に導くことができ、この流れと共に液体19を効率よく吸引できる。
さらに、本実施形態では、吸引ノズル24の幅(図3(b))が傾斜面53および傾斜面52の内側部分の幅と略等しいので、液体19を吸引する際の真空配管の有効断面積が、上記通路の先端51での断面積と略等しくなる。このため、上記のように液体19を先端51と基板10Aとの間に収まるように適切に誘導すれば、この液体19を吸引ノズル24によって確実に吸引することができる。基板10Aの表面に凹凸パターンが形成されている場合でも、観察に用いた液体19を凹部に取り残すことなく確実に吸引できる。
また、本実施形態では、吐出ノズル23と吸引ノズル24の各中心軸が対物レンズ22の光軸O22と共に同一面に含まれるように配置したので、上記の通路の中心線上に向けて、
液体19を吐出することができる。このため、吐出直後に素早く液浸観察を行うことができ、また、液体19の回収もさらに効率的となる。
さらに、本実施形態では、対物レンズ22の先端側にアダプタ25を配置し、対物レンズ22の先端51の周囲の突出部54が対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状を成すため、液体19を吸引する際に上記通路以外での(周囲からの)空気抵抗を大きくすることができる。このため、周囲からの空気の流れを抑えて、開口部55から取り込んだ空気を効率よく吸引ノズル24に導き、液体19を吸引することができる。
さらに、基板10Aの材質によって表面張力(接触角)が異なる場合には、基板10Aの物性情報(例えば接触角や表面張力や材質など)を予めレシピとして登録し、この物性情報に応じて液体19の吐出量を決定することが好ましい。このようにすることで、材質の異なる基板10Aの液浸観察を行う場合でも、その材質に応じた適切な水量の液体19を上記通路の有効断面積内に自動的に吐出することができる。
また、本実施形態では、対物レンズ22の先端51を長方形状としたので、先端51と基板10Aとの間における上記の通風路において、より層流を形成しやすくなる。つまり、通風路の断面の各部で、空気の流速を略均一にできる。このため、より確実に液体19を吸引できる。この場合、通風路の断面は長方形状であり、これに合わせて吸引ノズル24の断面も長方形状とすることが好ましい。また、先端51を長方形状とする場合、加工しやすいという利点もある。
さらに、本実施形態では、対物レンズ22の先端51を長方形状とし、その短辺方向を通風路における空気の流れ方向と一致させるので、吐出ノズル23と吸引ノズル24との各先端を近づけて配置することができる。このため、液体19が基板10A上を移動する距離が短くなる。したがって、残存液体を減らすことができ、より確実に吸引できる。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、対物レンズ22の先端51が長方形状である例を説明したが、本発明はこれに限定されない。その他、長方形状の角部に面取りを施してもよいし、図8(a)に示すような楕円形状としてもよい。また、先端51の中心部に先球2Aを配置する例に限らず、図8(b)に示すように先球2Aを偏心させても構わない。図8(b)では先端51を円形状としたが、これに代えて長方形状や楕円形状としてもよく、正方形状としてもよい。
さらに、上記した実施形態では、吐出ノズル23の先端を、対物レンズ22の先端51の近傍に配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8(c)に示す通り、対物レンズ22の先端51の中に小さな凹部を設け、そこに吐出ノズル23の先端を配置し、先端51の中に突出させてもよい。図8(c)では先端51を正方形状としたが、これに代えて円形状や楕円形状や長方形状としてもよい。
また、上記した実施形態では、対物レンズ22の先端51の周囲に傾斜面52を設け、その外側部分を扇形状としたが、本発明はこれに限定されない。傾斜面52の幅は、内側部分と外側部分とに拘わらず、先端51から側面までの全体において略一定幅としてもよい。この場合でも、上記通路の開口部55の断面積を先端51での断面積より大きく確保でき、効率的な吸引を行える。
さらに、上記した実施形態では、液体19を吸引する際の上記通路以外での(周囲からの)空気抵抗を大きくするために、突出部54を対物レンズ22の光軸O22に対して略垂直な平面形状としたが、本発明はこれに限定されない。この突出部54が傾きを持つ場合でも、その傾き角度が傾斜面52,53の角度θ(図4)より緩やかな場合には、上記と同様の効果を得ることができる。突出部54の傾き角度の基準を対物レンズ22の光軸O22に垂直な面とする場合、その角度は例えば0度から1度までの範囲の任意の角度に設定することが好ましく、限りなく0度に近づけることがより好ましい。
液浸顕微鏡装置10の全体構成図である。 吐出ノズル23に接続された液体吐出装置(31〜35)と吸引ノズル24に接続された液体吸引装置(41〜44)の構成を示す図である。 対物レンズ22の先端51の周辺構成を説明する拡大図である。 傾斜面52,53の傾斜を誇張して示す図である。 傾斜面52,53に対する突出部54の段差を説明する図である。 基板10Aを対向させたときに形成される開口部55を説明する図である。 吐出直後の液体19の概略形状を説明する図である。 対物レンズ22の先端51の変形例を説明する図である。
符号の説明
10液浸顕微鏡装置 ; 10A基板 ; 19液体 ; 21ステージ部 ; 22対物レンズ ;
23吐出ノズル ; 24吸引ノズル ; 25アダプタ ; 31〜35液体吐出装置 ;
41〜44液体吸引装置 ; 51先端 ; 52,53傾斜面 ; 54突出部 ; 55開口部

Claims (7)

  1. 液浸系の対物レンズ部材と、
    前記対物レンズ部材の先端と観察対象の基板とを対向させた状態で、前記先端と前記基板との間の光路に対して略垂直な第1方向に空気を流すと共に、該第1方向と前記光路との双方に略垂直な第2方向に関して前記空気の流れ幅を制限する溝形状の通風路と、
    前記通風路の上流側に配置され、該上流側の前記通風路よりも幅が狭い管状部材を用いて、前記対物レンズ部材の前記先端と前記基板との間に液体を吐出する吐出手段と、
    前記通風路の下流側に配置され、前記通風路の上流側から前記空気を取り込み、該空気と共に前記液体を吸引する吸引手段とを備え、
    前記吐出手段の先端から前記光路までの距離Xと、前記光路の近傍における前記通風路の幅Yとは、条件式 X<(Y/2) を満足する
    ことを特徴とする液浸顕微鏡装置。
  2. 請求項1に記載の液浸顕微鏡装置において、
    前記通風路は、前記対物レンズ部材の先端と該先端に隣接する傾斜面とに沿って形成され、
    前記対物レンズ部材の先端は、前記光路に対して略垂直な平面であり、
    前記傾斜面は、前記先端から離れるほど前記対物レンズ部材の像側に近づく方向に傾斜した面である
    ことを特徴とする液浸顕微鏡装置。
  3. 請求項2に記載の液浸顕微鏡装置において、
    前記対物レンズ部材の先端である前記平面は、前記光路を横切って前記第1方向と略平行な方向の長さが、前記光路の近傍における前記通風路の幅Yよりも小さく成形され、
    前記管状部材の先端は、前記対物レンズ部材の先端の近傍に配置される
    ことを特徴とする液浸顕微鏡装置。
  4. 請求項3に記載の液浸顕微鏡装置において、
    前記対物レンズ部材の先端である前記平面は、長方形状に成形され、
    前記長方形状の短辺は、前記第1方向と平行であり、
    前記長方形状の長辺は、前記第2方向と平行であり、該長辺の長さが前記光路の近傍における前記通風路の幅Yと一致する
    ことを特徴とする液浸顕微鏡装置。
  5. 請求項2に記載の液浸顕微鏡装置において、
    前記管状部材の先端は、前記対物レンズ部材の先端の近傍に突出して配置される
    ことを特徴とする液浸顕微鏡装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の液浸顕微鏡装置において、
    前記吸引手段は、前記通風路の下流側と略等しい幅の管状部材を用いて、前記空気と共に前記液体を吸引する
    ことを特徴とする液浸顕微鏡装置。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1項に記載の液浸顕微鏡装置において、
    前記対物レンズ部材の先端側に装着され、前記光路に対して垂直で且つ前記基板に最も近接する平坦部を、前記通風路の周囲に配置するアダプタを備えた
    ことを特徴とする液浸顕微鏡装置。
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