JP2008064693A - センサ製造方法及びガス検知用センサ - Google Patents

センサ製造方法及びガス検知用センサ Download PDF

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Abstract

【課題】検知時の応答時間及び検知後の回復時間が短縮されたセンサ製造方法及びガス検知用センサを提供する。
【解決手段】素子基板上にゾル層を形成し、ゾル中のコロイド微粒子を焼結して微粒子が焼結された検知膜を形成するセンサ製造方法において、例えば、ZnSbゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比6〜20倍となるようにし、上記混合液層を素子基板上に形成した後、該液層中のコロイド微粒子を焼結することを特徴とする、例えば、焼結ZnSbを検知膜とするセンサ製造方法および同センサ。
【選択図】なし

Description

本発明は、センサ製造方法及びガス検知用センサに関する。特に、硫化水素を始めとする各種還元性ガスを検知する無水アンチモン酸亜鉛を検知膜とするガス検知用センサの製造方法及び同ガス検知用センサに関する。
硫化水素、水素及び燃料ガス(都市ガス、プロパンガス)等の各種還元性ガス検知用センサの検知部としてSnO2焼結体及び薄膜が用いられている。例えば、特許文献1にはスパッタリング法でSnO2とPd、Ru等の金属の酸素活性化吸着触媒を同時蒸着させた薄膜センサが水素ガスやメタンガス等を検知できることが記載されている。
更に硫化水素ガスに関しては、特許文献2に、無水アンチモン酸亜鉛半導体をガス検知部に用いたガス検知用センサが開示されており、その製造方法としては、0.8〜1.2のZnO/Sb25モル比に亜鉛化合物とコロイダル酸化アンチモンを混合した後、300〜680℃で焼成後、粉砕して得られた導電性無水アンチモン酸亜鉛を含有するゾルを素子基板に塗布した後、680℃を越え1000℃未満の温度で加熱処理するというものである。
上記の無水アンチモン酸亜鉛をガス検知部に用いるガス検知用センサは、良好な感度を有するが、ガス検知時の応答時間及びガス検知後の回復時間の更なる短縮が望まれていた。又更なる感度の向上も望まれていた。
特開平1−189553号公報 特開平11−258193号公報
上記問題点に鑑み、本発明は、応答時間及び回復時間が短縮されたセンサ、更には感度の向上した、センサの製造方法及びガス検知用センサを提供することを目的とする。
請求項1記載の発明によるセンサ製造方法は、素子基板上にゾル層を形成し、ゾル中のコロイド微粒子を焼結して微粒子が焼結された検知膜を形成するセンサ製造方法において、ゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比6〜20倍となるようにし、上記混合液層を素子基板上に形成した後、該液層中のコロイド微粒子を焼結することを特徴とする。
請求項2記載の発明によるセンサ製造方法は、素子基板上にゾル層を形成し、ゾル中のコロイド微粒子を焼結して微粒子が焼結された検知膜を形成するセンサ製造方法において、ゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比10〜15倍となるようにし、上記混合液層を素子基板上に形成した後、該液層中のコロイド微粒子を焼結することを特徴とする。
請求項3記載の発明によるセンサ製造方法は、請求項1または2記載のセンサ製造方法において、センサがガス検知用センサであることを特徴とする。
請求項4記載の発明によるセンサ製造方法は、請求項1〜3のいずれか1項記載のセンサ製造方法において、コロイド微粒子が無水アンチモン酸亜鉛のコロイド微粒子であることを特徴とする。
請求項5記載の発明によるガス検知用センサは、無水アンチモン酸亜鉛ゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比6〜20倍となるようにし、上記混合液層を素子基板上に形成した後、該液層中の無水アンチモン酸亜鉛微粒子を焼結することにより得られることを特徴とする。
請求項6記載の発明によるガス検知用センサは、素子基板上に、該基板1平方cm当りのBET表面積が0.035m以上である、焼結された無水アンチモン酸亜鉛層が形成されてなることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のセンサ製造方法は、素子基板上にゾル層を形成し、ゾル中のコロイド微粒子を焼結して微粒子が焼結された検知膜を形成するセンサ製造方法において、ゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比6〜20倍となるようにし、上記混合液層を素子基板上に形成した後、該液層中のコロイド微粒子を焼結することを特徴とする。
本発明のセンサ製造方法においては、まずゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比6〜20倍となるようにする。
本発明で用いられるゾルに含まれるコロイド微粒子の材質としては、センサ用として用いられるものであれば、特に限定されないが、例えば、無水アンチモン酸亜鉛、SnOなどが挙げられる。
上記微粒子の一次粒子径は、5〜50nmが好ましい。ここで一次粒子径とは凝集形態にある粒子の直径ではなく、個々に分離した時の1個の粒子の直径であり、電子顕微鏡観察によって測定することができるものである。
上記微粒子が無水アンチモン酸亜鉛の場合、無水アンチモン酸亜鉛ゾルとして日産化学工業株式会社から市販されている登録商標セルナックスCX−Z300Hなどを用いることができる。特許文献2(特開平11−258193号公報)に記載されているように、0.8〜1.2のZnO/Sb25モル比に亜鉛化合物とコロイダル酸化アンチモンを混合した後、300〜680℃で焼成後、粉砕して得られた導電性無水アンチモン酸亜鉛を含有するゾルを製造して用いることもできる。
本発明で用いられる界面活性剤は、親水基と疎水基を併せ持つ有機分子で定義される従来の界面活性剤のすべてが挙げられる。さらに詳しくは、界面活性剤は分子内に疎水性原子団と親水性原子団とを併有しており、水に溶かした際に水溶液の表面張力を著しく低下させ、また臨界ミセル濃度以上ではミセルを形成しコロイド性を有するものである。疎水性原子団(親油基)としては、例えば、パラフィン鎖、アルキルベンゼン、アルキルフェノール、脂肪酸基、脂肪族アルコール基、脂肪酸アミド基、脂肪族アミン基、ジアルキルコハク酸エステル基、アルキルケトン基などがあり、親水性原子団(親水基)としては、例えば、カルボン酸ソーダ基、硫酸エステルソーダ塩基、スルホン酸ソーダ基、アンモニウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基、エチレンオキシド基、多価アルコール基などが挙げられる。界面活性剤はこれらの疎水性―親水性両原子団の間のバランス(いわゆるHLB)が適当になるように両原子団を結合させて得られるものであり、例えば、陰イオン界面活性剤としては、石ケン、アルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステルなど、陽イオン界面活性剤としては、アルキルピリジニウムハライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムハライドなど、非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステルなどが例示される。
界面活性剤は、コロイド微粒子のイオン性に応じて用いることが好ましい。例えば、ゾルとして無水アンチモン酸亜鉛ゾルが用いられる場合、アニオン型の界面活性剤または非イオン型の界面活性剤が好ましく、例えば、アニオン型の界面活性剤としてはヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、非イオン型の界面活性剤としてはポリエチレングリコール(分子量1000〜6000)が挙げられる。ゾルに界面活性剤を加えるには、界面活性剤を予め水等の分散媒に分散しておいたものを、ゾルに加える方法が好ましい。界面活性剤の濃度を正確にできることと、ミセルを予め形成させておくことができるからである。
上記ゾルに界面活性剤を加えて得られた混合液中のコロイド微粒子の濃度は、8〜60重量%が好ましく、特に、好ましくは10〜40重量%である。コロイド微粒子の濃度が8重量%より低いとセンサ素子上に形成する液層の厚みが不均一になり結果としてガス検知感度が低下する場合がある。また微粒子の濃度が60重量%より高いとセンサ素子上に形成する液層の厚みが厚くなりすぎるため焼結後にガスが通過し難くなりガス検知感度が低下する場合がある。
上記ゾルに界面活性剤を加えて得られた混合液中の界面活性剤の濃度は、CMC比6〜20倍に限定され、好ましくはCMC比10〜15倍である。上記CMCとは、critical micelle concentrationのことであり、臨界ミセル濃度ともいうものであり、以下の濃度を指すものである。すなわち、界面活性剤溶液は稀薄な場合には一般に理想溶液に近い性質を示すが、ある濃度以上になると急にコロイド溶液の性質を示し、ミセルの生成が顕著に認められる。このミセル生成の濃度は一定温度ではそれぞれの界面活性剤に固有な値であって、これをCMCという。本発明でいうCMC比とは、上記ゾルに界面活性剤を加えて得られた混合液中の界面活性剤の濃度を、上記のCMCで割った値である。
界面活性剤は、CMCを境にしてそれより濃い濃度で会合体(ミセル)を形成し、濃
度が増加するとともに、ミセル数の増加、形の変形(球状から棒状へ)などが起こる。このような状態変化はどのような界面活性剤であってもCMC比で規定され、同じCMC比であれば、同じミセル状態が発生する。したがってゾルに界面活性剤を加えて得られた混合液中のCMC比が同じであれば、混合液を成膜することにより界面活性剤のミセル部分がコロイド粒子の空隙となり、その後の焼結工程で、界面活性剤の焼失とコロイド微粒子の焼結による粒子間の融着と粒子成長とにより、焼結して得られるセンサ検知膜も同じ多孔質構造になる。
なお、上記混合液中の界面活性剤濃度決定時の温度は25℃であり、CMCは電気伝導度法により測定したものとする。界面活性剤の性質により電気伝導度法で測定できないときに限り表面張力法によるものとする。本発明においては、上記混合液中の界面活性剤の濃度が、CMC比6倍未満になると界面活性剤添加の効果が十分には顕れず、焼結された膜の細孔径、細孔容積の増加や多孔質化が不十分となり、CMC比20倍を超えるとガス吸着面積の減少、粒界接触の減少を招き、かえって感度が低下する。
なお、上記のCMCの測定は、電気伝導度測定による方法、表面張力測定による方法、紫外線吸収スペクトル測定による方法、粘度測定による方法、色素法などが挙げられるが、電気伝導度測定による方法、および表面張力測定による方法について以下に詳しく説明する。
電気伝導度測定による方法は、約2%程度の界面活性剤水溶液を作製し、水で薄めながら界面活性剤水溶液の電気伝導度を測定する。比電導度(S/cm)を濃度に対してプロットすると、CMCのところで折れ曲がる曲線が得られるので、その屈曲点の界面活性剤濃度がCMCである。測定は温度を一定に保って行う。この方法は、界面活性剤の純度が高いと明確な屈曲点が現れるが、長鎖アルキル同族体や長鎖アルコールを不純物として含む場合は、屈曲は不明瞭になる。装置としては、電導度測定セル、電導度測定装置、恒温槽が必要である。
表面張力測定による方法は、種々の濃度の界面活性剤水溶液の表面張力を測定する。濃度に対して表面張力をプロットすると、CMC以下では表面張力は濃度増加とともに単調に減少するが、CMC以上では濃度に関係なく一定となる。グラフにおける屈曲点の濃度がCMCである。この方法も電気伝導度法と同様に界面活性剤の純度が高いと明確な屈曲点が現れる。
上記ゾル及び界面活性剤液の分散媒としては、水が好ましいが、メタノール、エタノールのような親水性溶媒を必要に応じて一部添加して用いることも可能である。
上記ゾルに界面活性剤を加えて混合液を調製する際の混合は、サタケ式攪拌機、ファウドラー型攪拌機、ディスパーなどの装置を用い、混合温度は0℃〜100℃、混合時間は0.1〜24時間で行うことができる。
本発明においては、次に、上記混合液層を素子基板上に形成した後、該液層中のコロイド微粒子を焼結する。
上記素子基板としては、従来、センサ用の素子基板として用いられているもののいずれも使用することができ、特に限定されるものではない。例えば、セラミック基板、より具体的には、電極を付けたアルミナ基板が挙げられる。
混合液層を素子基板上に形成する方法は、従来、用いられるいずれの方法でもよいが、例えば、混合液を素子基板に滴下する方法、混合液中に素子基板をディッピングする方法、スプレーコート、スピンコートや刷毛などにより塗布する方法などが挙げられる。
次いで、混合液は乾燥され、焼結工程でコロイド微粒子が焼結されるが、焼結する際の温度は、680℃より高く1000℃未満が好ましい。本願発明で、加熱処理温度が680℃より高く1000℃未満の温度の場合は、例えば、無水アンチモン酸亜鉛膜の抵抗は、加熱前に比べて2桁以上高くなり、半導体特性を有する。そして5〜50nmの一次粒子を有する導電性無水アンチモン酸亜鉛粒子は粒子間の融着が起こり、50〜150nmまで粒子成長し、それに伴い50〜200nmの空隙が基板上の膜中に生成するためガスが膜内を通過し易くなりガスの検知感度が向上する。
一方、加熱処理温度が680℃以下の場合、無水アンチモン酸亜鉛の膜の抵抗は200〜500Ωと低いことから電子濃度が高すぎるため、少量の電子が動いても応答せずガス検知感度が悪くなる。しかも5〜50nmの一次粒子径を有する導電性無水アンチモン酸亜鉛粒子は、ほとんど粒子成長せず10nm以下の空隙が少量存在するだけの緻密な層になり易く、ガスが通過し難くガス検知感度が悪くなる。また加熱処理温度が1000℃以上の場合、電気抵抗が高くなりすぎることがあり、ガス検知測定に用いる上で好ましくない場合がある。
本発明のセンサ製造方法は、バイオセンサ、イオンセンサなどの製造方法としても用いることができるが、特に、ガス検知用センサの製造に適しており、微粒子としてアンチモン酸亜鉛が用いられる場合は、特に硫化水素ガスや、メチルメルカプタン等の排泄物臭等の検知用センサの製造に適している。
本発明のガス検知用センサは、コロイド微粒子として無水アンチモン酸亜鉛を用いて本発明のセンサ製造方法によって得られたガス検知用センサである。
本発明の請求項6の発明でいう、素子基板上に、焼結された無水アンチモン酸亜鉛層が形成されてなるガス検知用センサにおいては、基板1平方cm当りのBET表面積が0.035m以上であるものに限定される。BET表面積が0.035mより小さい場合には感度と応答特性の両方を満たすことができなくなる場合がある。
請求項1記載の発明のセンサ製造方法によれば、ゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比6〜20倍となっているので、応答時間、回復時間が界面活性剤無添加よりも短い。すなわち上記混合液層を素子基板上に形成して乾燥すると、界面活性剤がコロイド微粒子間に適度の距離をもたらし、該コロイド微粒子を焼結すると、界面活性剤の焼失とコロイド微粒子の焼結による粒子間の融着と粒子成長とにより、焼結膜中の細孔(直径約40〜80 nm)が増加し、多孔質化、高表面積化が図られる。
請求項2記載の発明のセンサ製造方法によれば、ゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比10〜15倍となっているので、応答時間、回復時間が界面活性剤無添加よりも短く、かつ、感度が界面活性剤無添加よりも高い。
請求項3記載のセンサ製造方法によれば、検出ガスの通過に適切な空隙構造が作られるので、応答時間及び回復時間が短縮されると共に、感度も向上したガスセンサを得ることができる。
また、コロイド微粒子が無水アンチモン酸亜鉛である場合には、感度の向上と共に、応答時間及び回復時間が更に短縮された、硫化水素ガスなどの検知用に適したセンサを製造することができる。
請求項5または6記載のガス検知用センサは、感度の向上と共に、応答時間及び回復時間が更に短縮された無水アンチモン酸亜鉛センサであり、硫化水素ガスなどの検知用に適したセンサとして特に有用である。
以下に、実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
(1)界面活性剤添加無水アンチモン酸亜鉛ゾルの調製
所定量のヘキサデシルスルホン酸ナトリウム(アニオン界面活性剤、試薬、和光純薬社製)をイオン交換水40mlに溶解した溶液を調製した。これに、ZnSbゾル(登録商標セルナックスCX−Z300H、固形分濃度30.5重量%、平均粒子径21nm、日産化学工業株式会社製)10mlを加え、よく攪拌して、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム濃度が表1に示す濃度の混合液を調製し、実施例1−1〜実施例1−4及び比較例1−1〜比較例1−4の混合液とした。比較例1−1はヘキサデシルスルホン酸ナトリウムを使用しないものである。なお、表1において、CMC比(倍)とは、それぞれの混合液におけるヘキサデシルスルホン酸ナトリウム濃度を、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウムのCMCである0.54 mmol/dm(25℃、電気伝導度法で測定)で割った値である。
(2)センサの作製
ヒーター付アルミナ基板(フィガロ技研社製。;ヒーター付きアルミナ基板Aの模式的な平面図を図1(a)に示した。アルミナ基板Aの大きさは1.5mm×1.5mmであり、アルミナ製の薄板状基板1の表面の中心部に点状の一方の電極(Pt製)2が設けられ、該電極2を取り囲むような形に他方の電極(Pt製)3が設けられている。上記の中心部の電極2と周囲部の電極3間の間隔は0.4mmである。;なお、このアルミナ基板Aの裏面(図示しない)には、RuO製のヒーターが設けられている)の表面上に上記(1)で得られた混合液0.2μlを滴下し、乾燥後、空気中で900℃で1時間焼成した。
焼成により形成された焼結層にてなる検知膜が設けられたセンサBの表面の模式的な平面図を図1(b)に示した。図1(b)に見られるように、得られたセンサBは電極部分も含めアルミナ基板Aの表面部の全面に焼結膜4が形成されている。
(3)センサ特性の評価
実施例及び比較例で得られた各センサについて、HSガス中及び空気中でセンサ抵抗を測定した。ガスは膜に垂直な上方から膜に当たり、横方向へ逃げていくというガス流れになっている。ヒーターは測定時、常時加熱しており、リフレッシュのために測定後、膜を加熱した(400℃)。
具体的な測定方法は、センサ、基準抵抗、直流電源を直列につなぎ、基準抵抗両端の出力電圧を測定することによりセンサの抵抗を算出した。測定時のHSガスの濃度は、0.05、0.1、0.2、0.5、1および3ppmとした。測定温度は、ヒーターに2.8Vの電圧を印加することにより300℃とした。空気中で得られたセンサ抵抗Raと、HSガス中で得られたセンサ抵抗Rgから、RaのRgに対する比(S=Ra/Rg)を求め、これを感度とした。
また、それぞれの測定時に、ガス導入時からの出力電圧の経時的変化、及び、ガス導入を遮断(ガスoff)した時からの出力電圧の経時的変化を測定し、図2に示したような出力電圧の経時的応答曲線を作成した。得られた応答曲線から、ガス導入からフル応答の90%の応答を示すまでにかかる時間を求めこれを応答時間(単位:分。min)、ガス導入を遮断(ガスoff)した時からフル応答の50%の応答を示すまでにかかる時間を求めこれを回復時間(単位:分。min)とした。
図3に、HSガス濃度1ppmの場合における、感度、応答時間、回復時間と、上記(1)の項で示した混合液中の界面活性剤濃度との関係を示した。
図3に示すように、界面活性剤濃度の増加とともに感度が増加し、界面活性剤濃度6.4 mmol/dm(=CMC比 12倍)で極大となった。これは、6.4 mmol/dm(=CMC比 12倍)までの増加に対してはガス拡散性の向上により粒子表面がガスに接触する量が増えたためと、6.4 mmol/dm(=CMC比 12倍)超えてからの減少については細孔が多くなりすぎて粒界接触が減少し感度が低下したためと考えられる。応答時間および回復時間については、界面活性剤の低濃度で長く、濃度の増加とともに短くなる傾向にある。また、12 mmol/dm(=CMC比 22倍)で応答時間および回復時間ともに短くならず、飽和する傾向にある。同図よりヘキサデシルスルホン酸ナトリウム濃度を、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウムのCMCである0.54 mmol/dmで除して求めると(以下同様)、CMC比10以上で応答時間および回復時間が短く、CMC比10〜15倍において応答時間、回復時間が短く、かつ感度が高いことがわかる。
感度と応答時間を一括して評価するために、HSガス濃度1ppmの場合の測定データから、感度/応答時間をパラメータとし、混合液中の界面活性剤濃度の関数として図4にまとめた。感度は大きい方が良い、応答時間は短い方が良い、ので感度/応答時間が大きいところが最適界面活性剤濃度となる。図4から、界面活性剤濃度6.4 mmol/dm(=CMC比 12倍)で極大となり、ここが最適界面活性剤濃度とわかる。また、界面活性剤濃度3.2mmol/dm(=CMC比6倍)から、界面活性剤濃度8mmol/dm(=CMC比 15倍)で、界面活性剤無添加に比較して感度/応答時間の値が増加しており、界面活性剤濃度12mmol/dm(=CMC比 22倍)で界面活性剤無添加とほぼ等しい値を示すことがわかる。又CMC比6〜20倍において感度/応答時間が界面活性剤無添加よりも優れることがわかる。
実施例1−3の界面活性剤濃度6.4 mmol/dm(=CMC比 12倍)と比較例1−1の界面活性剤濃度0(CMC比 0倍)の条件で得られたセンサについて、HSガス濃度のオーダーを変えて感度(S=Ra/Rg)を求めた。得られた感度とHS濃度との関係を示す検量線を図5に示す。界面活性剤無添加に比較して、界面活性剤濃度6.4 mmol/dm(=CMC比 12倍)の方が感度が高いことがわかる。
(4)膜構造の評価1
比較例1−1(界面活性剤を使用せず)で得られたセンサのZnSb膜の走査型電子顕微鏡像を図6(a)に、実施例1−3(界面活性剤CMC比 12倍)で得られたセンサのZnSb膜の走査型電子顕微鏡像を図6(b)に示した。界面活性剤の添加により、細孔(直径約40〜80 nm)が増加し、多孔質化していることがわかる。
(5)膜構造の評価2
界面活性剤の添加により焼結後の膜の表面積、細孔径、細孔容積がどのように変化しているかを以下のようにして調べた。上記(1)の項の比較例1−1(界面活性剤使用せず。CMC比 0倍)、実施例1−1(CMC比 6倍)、実施例1−3(CMC比 12倍)、比較例1−4(CMC比 44倍)と同様にして、界面活性剤添加無水アンチモン酸亜鉛ゾルを調製した。得られたゾルを(上記(2)に記載のものとは相似形であって相似比が4である)6mm×6mmのアルミナ基板に7.2μlずつ滴下し、乾燥後、空気中で900℃で1時間焼成した。
得られた焼結膜の液体窒素温度での窒素の吸着等温線を吸着時、脱離時の両方において測定した。表面積はBET法で、細孔径と細孔容積はDollimore−Healの方法(DH法)により計算した。
得られたデータから、表面積とCMC比との関係を図7に、細孔径とCMC比との関係を図8に、細孔容積とCMC比との関係を図9に示した。CMC比12倍で最も表面積が大きくなり、多孔質化しつつ、ZnSb粒子表面が最もガス相に露出していることがわかる。CMC比を増加させるとともに細孔径、細孔容積が増加し、多孔質化するが、増加させすぎるとガス吸着面積の減少、粒界接触の減少を招き、かえって感度が低下する。高感度、すばやい応答時間、回復時間を得るには適度な界面活性剤の添加が有効であることがわかる。
本発明のセンサ製造方法によると、応答時間及び回復時間が短いセンサを得ることができ、更には感度の向上したセンサを得ることができるので、得られたセンサは、例えば、硫化水素、水素及び燃料ガス(都市ガス、プロパンガス)等の各種還元性ガス検知用センサなどとして好適に利用される。
センサ形状を示す図であり、図1(a)はセンサ作製用のアルミナ基板の表面の模式的な平面図を示し、図1(b)は、図1(a)のアルミナ基板表面に焼結膜が形成されて得られたセンサの表面の模式的な平面図である。 出力電圧の経時的応答曲線を示す模式図である。 Sガス濃度1ppmの場合における、感度、応答時間、回復時間と、混合液中の界面活性剤濃度との関係を示す図である。 Sガス濃度1ppmの場合における、感度/応答時間と、混合液中の界面活性剤濃度との関係を示す図である。 界面活性剤濃度6.4 mmol/dm(=CMC比 12倍)と界面活性剤濃度0(CMC比 0倍)の条件で得られたセンサにおける、HS濃度と感度との関係を示す検量線である。 センサのZnSb膜の走査型電子顕微鏡像を示すものであり、図6(a)は比較例1−1(界面活性剤を使用せず)で得られたセンサのZnSb膜の走査型電子顕微鏡像、図6(b)は実施例1−3(界面活性剤CMC比 12倍)で得られたセンサのZnSb膜の走査型電子顕微鏡像である。 表面積とCMC比との関係を示す図である。 細孔径とCMC比との関係を示す図である。 細孔容積とCMC比との関係を示す図である。
符号の説明
A センサ作製用アルミナ基板(焼結膜形成前)
B センサ(焼結膜形成後)
1 アルミナ製の薄板状基板
2 中心部の電極
3 周囲部の電極
4 焼結膜

Claims (6)

  1. 素子基板上にゾル層を形成し、ゾル中のコロイド微粒子を焼結して微粒子が焼結された検知膜を形成するセンサ製造方法において、ゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比6〜20倍となるようにし、上記混合液層を素子基板上に形成した後、該液層中のコロイド微粒子を焼結することを特徴とするセンサ製造方法。
  2. 素子基板上にゾル層を形成し、ゾル中のコロイド微粒子を焼結して微粒子が焼結された検知膜を形成するセンサ製造方法において、ゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比10〜15倍となるようにし、上記混合液層を素子基板上に形成した後、該液層中のコロイド微粒子を焼結することを特徴とするセンサ製造方法。
  3. センサがガス検知用センサであることを特徴とする請求項1または2記載のセンサ製造方法。
  4. コロイド微粒子が無水アンチモン酸亜鉛のコロイド微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のセンサ製造方法。
  5. 無水アンチモン酸亜鉛ゾルに界面活性剤を加え、得られた混合液中の界面活性剤濃度がCMC比6〜20倍となるようにし、上記混合液層を素子基板上に形成した後、該液層中の無水アンチモン酸亜鉛微粒子を焼結することにより得られることを特徴とするガス検知用センサ。
  6. 素子基板上に、該基板1平方cm当りのBET表面積が0.035m以上である、焼結された無水アンチモン酸亜鉛層が形成されてなることを特徴とするガス検知用センサ。
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