JP2008064426A - 凝縮器及び冷凍機 - Google Patents

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健次 渡辺
Yoshiaki Matsushita
義昭 松下
Haruo Amari
治雄 甘利
Takayuki Tsujii
隆之 辻井
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Abstract

【課題】エネルギー効率向上に有利な凝縮器を提供する。
【解決手段】凝縮器は、第1媒体(5)が凝縮される凝縮器本体(210)と、放熱器(230)とを備える。放熱器(230)は、凝縮器本体(210)からの液状の第1媒体(5)が流れる配管(320)と、配管(320)に液体(6)を付着させる第1装置(330)と、液体(6)が付着した配管(320)にガス(7)を吹き付ける第2装置(340)とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、凝縮器、及び冷凍機に関する。
冷凍機(ヒートポンプ)は、蒸発、圧縮、凝縮、及び膨張の各工程を有するサイクルにおける作動媒体の相変化を利用して、低温の物体から熱を汲み上げ、高温の物体に熱を与える。冷凍機(ヒートポンプ)は、エネルギー利用効率が比較的高く、空気調和装置、冷凍装置などの熱利用装置の熱源装置として一般に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−253155号公報
冷凍機の作動媒体に、環境的な利点を有する水を採用した技術がある。水は、蒸発潜熱が比較的大きく、理論上は高いCOP(Coefficient of Performance)が見込まれる。しかしながら、水は、フロンなどの一般媒体に比べて比体積が大きく、また、低温域での飽和圧力変化が大きいなどの理由から、冷凍機への適用が進んでいない。
本発明は、エネルギー効率向上に有利な凝縮器及び冷凍機を提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、第1媒体が凝縮される凝縮器本体と、前記凝縮器本体からの液状の前記第1媒体が流れる配管と、前記配管に液体を付着させる第1装置と、前記液体が付着した前記配管にガスを吹き付ける第2装置とを有する放熱器と、を備える凝縮器が提供される。
この凝縮器では、第1媒体の凝縮が凝縮器本体で行われ、凝縮した液状の第1媒体の冷却が放熱器で行われる。その結果、放熱器における配管の大サイズ化が回避される。これは、水などの比体積が大きい媒体の使用に有利である。また、放熱器は、ガス冷式と水冷式とを兼用した方式であり、冷却効率の向上が図られる。
この凝縮器において、前記凝縮器本体は、ガス状の前記第1媒体と液状の前記第1媒体とが直接的に接触する構造を有することができる。
この凝縮器において、前記凝縮器本体は、ガス状の前記第1媒体と冷却用媒体とが間接的に接触する構造を有することができる。
この凝縮器において、前記第1装置は、前記液体を落下させる構造を有することができる。
この凝縮器において、前記第2装置は、前記配管内の前記第1媒体の流れ方向と交差する方向に沿って、前記配管の近傍に前記ガスを流す構造を有することができる。
この凝縮器において、前記凝縮器本体及び前記配管の各内部空間を負圧に設定することができる。
この凝縮器において、前記第1媒体として水を用いることができる。
本発明の別の態様に従えば、上記凝縮器を用いる冷凍機が提供される。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、凝縮器を示す模式構成図である。図1において、凝縮器13は、凝縮器本体210と、放熱器230とを備える。
凝縮器本体210は、チャンバ211と、ポンプ212と、散液機構213とを備える。凝縮器本体210において、チャンバ211に、ガス状の作動媒体5が供給される。作動媒体5は、チャンバ211内で凝縮する。凝縮した液状の作動媒体5がチャンバ211内に貯溜される。液状の作動媒体5がチャンバ211、ポンプ212、放熱器230、及び散液機構213を含む経路を流れる。液状の作動媒体5は、放熱器230において冷却される。配管215を介して液状の作動媒体5が適宜排出される。
作動媒体5として、フロン系、アンモニア、炭化水素などの公知の様々な媒体が挙げられる。この他に、作動媒体5として、水を用いることができる。本実施形態では、作動媒体5として水を用いる。相変化条件の調整などを目的として、水に添加物を加えてもよい。水は、環境面で多くの利点(オゾン破壊係数ゼロ、温暖化係数ゼロなど)を有する。一方、水は飽和圧力変化が大きい。
本実施形態において、作動媒体5が水であることに対応して、チャンバ211の内部空間が負圧に設定される。本実施形態において、チャンバ211は真空チャンバである。チャンバ211の外形は、例えば、丸みを帯びた角を必要に応じて有する、概略的な円筒形状を有する。本実施形態において、チャンバ211の軸方向は重力方向に実質的に一致する。チャンバ211の周面に、周方向に延びる波形、あるいは凹凸を設けることができる。この構造により、高い耐圧強度を有するチャンバ211を、比較的薄い材料を用いて形成することが可能である。薄い材料で形成されたチャンバ211は、装置コスト及び装置重量の低減に有利である。例えば、チャンバ211の構成部材の厚さは、5mm以下であるのが好ましく、3mm以下であるのがより好ましい。例えば、その厚さは、3mm、2.5mm、2mm、1.5mm、1mm、あるいは0.5mm以下である。この数値は理解を助けるための例であって、本発明はこれに限定されない。
本実施形態において、凝縮器本体210は、直接接触式である。すなわち、チャンバ211において、ガス状の作動媒体(水蒸気)5と液状の作動媒体(水)5とが直接的に接触し、また、液状の作動媒体5がガス状の作動媒体5を冷却する。チャンバ211に供給された水蒸気は、散液機構213からの水に直接接するなどにより、熱を奪われる。直接接触式の凝縮器は、例えば、高い温度効率、低圧力損失、という利点を有する。
本実施形態において、散液機構213は、ポンプ212と、複数のノズルを有する散液配管222と、ポンプ212と散液配管222とを流体的につなぐ供給配管223とを有する。
図2A及び図2Bは、散液配管222の例を示す斜視図である。図2A及び図2Bにおいて、散液配管222は、複数の管を有する管群225を有する。管群225は、複数の管が並べられた構造を有する。図2Aの管群225はスプレー式、図2Bの管群225は液柱式である。
図2Aにおいて、管群225の各管には、少なくとも1つのノズル(スプレーノズル)226が設けられている。ノズル226から液体がスプレーされる。ノズル226において、様々なスプレー形態が適用可能である。スプレー式では、広範囲に液体が散布され、液体とガスとの接触面積の拡大が図られる。
図2Bにおいて、管群225の各管には、少なくとも1つのノズル(孔)227が設けられている。すなわち、各管には、スプレーノズルが取り付けられていない。各管からの液体は、ノズル227を介して柱状に落下する。液柱式では、例えば、構造が簡素である、液柱の調整(液柱の直径、流速、空間密度などの調整)が容易である、という利点を有する。なお、スプレー式の管群と、液柱式の管群との組み合わせ構造を散液配管222が有してもよい。
本実施形態において、図1に示すように、放熱器230は、凝縮器本体210とは別に設けられる。放熱器230は、凝縮器本体210からの液状の作動媒体5が流れる配管320と、水冷装置330と、空冷装置340とを有する。水冷装置330は、配管320の外表面に液体(水)6を散布・供給する。空冷装置340は、配管320の外表面に空気7を吹き付ける。すなわち、水冷装置330は、空冷と水冷とを併用する構造を有する。
放熱器230において、配管320には、凝縮器本体210からの液状の作動媒体(水)5が流れる。配管320に、作動媒体5の熱が伝わる。水冷装置330によって配管320に水6が吹き付けられあるいは滴下され、また、空冷装置340によって配管320に空気7が吹き付けられる。配管320の外表面に付着した水6の少なくとも一部が蒸発する。水6の蒸発潜熱によって配管320の熱が吸収される。すなわち、相変化に伴って水6が配管320の熱を奪う。空冷装置340によって配管320に吹き付けられた空気7も、配管320から熱を奪う。さらに、空気7は、水6の蒸発を促進させる。これにより、放熱器230は、配管320内の作動媒体5を高効率に冷却することができる。水冷装置330に用いる冷却液体は、水に限らず、他の液体を用いてもよい。
本実施形態において、作動媒体(水蒸気)5の凝縮は凝縮器本体210で行われ、凝縮した液状の作動媒体(水)5の冷却が放熱器230で行われる。つまり、放熱器230は、凝縮器本体210とは実質的に別に設けられる。放熱器230の配管320を流れる作動媒体5はほとんど液相であるから、放熱器230における配管320の大サイズ化が回避される。これは、水などの比体積が大きい媒体の使用に有利である。
また、本実施形態において、凝縮器13は、一般的な水冷式凝縮器のような大気開放型の循環構造を有しない。冷却用の水に藻等の発生が防止されるため、凝縮器13は、優れたメンテナンス性を有する。さらに、本実施形態において、凝縮器13は、冷却塔等の大規模な水冷設備が不要である。また、本実施形態の空冷装置340も簡素に構造することができる。そのため、凝縮器13は、設備のコンパクト化、設備コストの低減に有利である。
図3は、放熱器230の構成例を示す模式断面図である。図4は、図3のV−V断面図である。図3及び図4に示すように、放熱器230は、容器310と、配管320と、水冷装置330と、空冷装置340とを有する。容器310は、後述するように、水冷装置330で用いる冷却用の水6の排出路として、また、空冷装置340のダクトとして機能する。配管320は、容器310内の底部から上部に向けて延設されている。水冷装置330は、配管320の上方に配置されている。空冷装置340は、配管320の側方に配置されている。
配管320は、容器310内において、少なくとも1つの平板状の支管321を有する。容器310は、支管321を囲むように設けられており、少なくとも1面が開放された箱形状を有する。各支管321は、入口配管322、及び出口配管323に流体的につながる。支管321の形成材料としては、高い熱伝導率を有する金属(例えば、銅、アルミニウム等)が好ましく用いられる。本実施形態において、支管321は、所定の間隙を介して互いに略平行であり、多段に配置されている。配管320において、入口配管322からの作動媒体5が支管321に分流する。支管321を流れる作動媒体5が水冷装置330及び空冷装置340によって冷却される。冷却された作動媒体5が出口配管323を介して放熱器230から排出される。配管320が複数の支管321を有することにより、水及び空気との熱交換面積の増大、作動媒体5の冷却能力の向上が図られる。支管321の内面及び/又は外面に、表面積を増大させて冷却効率を向上させるためのフィン、突起、及び/又は凹凸などを設けることができる。
水冷装置330は、支管321に向けて水6を滴下する。水冷装置330は、水6を貯めるタンク331と、滴下部332とを有する。タンク331は、支管321の上方に配置される。滴下部332は、タンク331の側面及び/又は底面に設けられた少なくとも1つの孔332aと、タンク331の表面から突出した少なくとも1つの突起部332bとを有する。突起部332bは、孔332aからの水6が沿って流れる表面を有する。
水冷装置330において、タンク331に水6が供給される。タンク331の孔332a、及び突起部332bの表面を介して、タンク331から水6が滴下する。主として突起部332bによってタンク331における水6の落下位置が定まる。水冷装置330からの水6の滴下量は、タンク331に貯溜された水6の水頭値、孔332a、及び突起部332bの数、形状などによって調整可能である。孔332a、及び突起部332bの数、形状、配置の最適化によって、支管321の表面全体に均一に水6を供給することができる。重力によって水6を落下させる構造は、冷却水6の使用量及び動力の低減に有利である。
タンク331から支管321に向けて滴下する水6は、大量である必要はない。すなわち、支管321の表面に大量に水6が付着すると、水膜による熱抵抗が増大する。これは、水6の蒸発を阻害したり、冷却効率の低下を招いたりする。例えば、水6の供給量は、支管321の表面でほとんどの水6が蒸発するように設定される。この場合、開口310dからの排水量がゼロに近い。こうした設定により、冷却水6の使用量の低減が図られる。
タンク331からの水6のほとんどが、複数の支管321の表面(上端近傍)に付着する。付着した水6は、各支管321の外表面に沿って、重力によって下方に向けて流れる。支管321から熱を吸収しながら水6が流れる。水6の蒸発によって支管321からさらに熱が奪われる。これにより、支管321内を流れる作動媒体5が冷却される。蒸発しなかった水6は、容器310の底部310cを流れ、容器310の開口310dを介して排出される。
空冷装置340は、支管321に向けて空気7を供給する。空冷装置340は、ダクトとしての容器310と、容器310内で空気7を流すためのファン341と、を有する。本実施形態において、空気7の流れ方向は、概ね水平方向を有する。空気7の流れ方向は、水平方向に限らず、斜め方向、鉛直方向を有してもよい。また支管321を空気7の流れ方向に対して適当な角度に傾斜させて配置することにより、滴下された水6の支管321上での滞留時間を長くすることができ、冷却効率の向上と節水が可能である。空冷装置340は、容器310の内部空間において、空気7の流れを整えるための不図示の整流板をさらに有することができる。
容器310は、空気入口としての開口310dと、空気出口としての開口313と、絞り部310aとを有する。出口開口313の面積は、入口開口310dよりも小さい。絞り部310aは、出口開口313に向かって容器310の流路断面積を徐々に狭める。容器310は、他の形状を有してもよい。開口313の近傍には、少なくとも1つのファン341が配置されている。ファン341によって、容器310の内部空間において、開口310dから開口313に向けて空気7が流れる。ファン341が、作動媒体5が流れる支管321よりも下流に配置されることにより、支管321同士の各隙間を通過する空気7の流れを均質化が図られる。しかしながら、支管321の上流にファン341を配置してもよい。
空冷装置340において、ファン341が駆動されると、開口310dを介して容器310に空気7が入る。容器310において、作動媒体5が流れる支管321の表面に沿って空気7が流れる。支管321から熱を吸収しながら空気7が流れる。これにより、支管321内を流れる作動媒体5が冷却される。支管321から熱を奪った空気7は、容器310の開口313から排出される。
図5、放熱器230の別の構成例を示す模式断面図である。図6は、図5のP−P断面図、図7は図5のQ−Q断面図である。
図5〜図7において、放熱器230は、容器410と、作動媒体5が流れる配管320と、水冷装置330と、空冷装置340とを備える。容器410は、配管320の少なくとも一部を囲み、水平方向に延びた四角柱形状を有する。容器410は、後述するように、水冷装置330で用いる冷却用の水6の排出路として、また、空冷装置340のダクトとして機能する。容器410の底部410cには、水冷装置330からの水6を容器410の外に排水するための排水口414が形成されている。配管320は、容器410の長手方向の第1端面(側壁410a)から対向する第2端面(側壁410b)に向けて容器410内を貫くように延設されている。水冷装置330は、容器410内の配管320の上方に配置されている。空冷装置340は、容器410内の配管320の下方に配置されている。
配管320は、複数の支管421と、入口配管422と、出口配管423とを有する。側壁410aの近傍(上流側)において、入口配管422が複数の支管421に分岐する。側壁410bの近傍(下流側)において、複数の支管421が出口配管423に統合される。本実施形態において、支管421は、上下及び左右方向に複数段に重ねられる。各支管421の間には隙間が形成される。各支管421は、直線形状を有してもよく、湾曲形状を有してもよい。配管320の分岐部と統合部には、作動媒体5が一時的に充満し、作動媒体5の流れを円滑にするプレナム部424、425が設けられる。支管421の形成材料としては、高い熱伝導率を有する金属(例えば、銅、アルミニウム等)が好ましく用いられる。
配管320において、入口配管422からの作動媒体5がプレナム部424を介して支管421に分流する。各支管421を流れる作動媒体5が水冷装置330及び空冷装置340によって冷却される。冷却された作動媒体5がプレナム部425及び出口配管423を介して放熱器230から排出される。配管320が複数の支管421を有することにより、水及び空気との熱交換面積の増大、作動媒体5の冷却能力の向上が図られる。支管421の内面及び/又は外面に、表面積を増大させて冷却効率を向上させるためのフィン、突起、及び/又は凹凸などを設けることができる。
水冷装置330は、支管421に向けて冷却用の水6を滴下及び/又は吹き付ける。水冷装置330は、水6が供給される配管431と、配管431に設けられた複数のノズル432とを有する。配管431は、支管421の上方において支管421と略平行に配置され、水6を一時的に貯溜する。ノズル432は、配管431からの水6を支管421に向けて放出する。配管431は、支管421の延在方向に沿って延びる複数の配管を有すること(対称配置)ができ、支管421の延在方向と略直交方向に沿って延びる複数の配管を有すること(格子配置)ができる。配管431は、少なくとも一部が多孔質体からなる配管を有してもよい。配管431は、水6が落下する複数の孔が形成された棚を有してもよい。
空冷装置340は、配管320(複数の支管421)に向けて、容器410の下部位置から空気7を供給する。空冷装置340は、空気7が流れる空気配管442と、容器410内で空気7を流すためのファン441と、ダクトとしての容器410と、を有する。容器410は、側壁410aの下方位置に設けられた給気口412と、側壁410bもしくは410aの上方、あるいは容器410の上面に設けられた排気口413とを有する。
空気配管442は、容器410内において、支管421の下方に配置される複数の空気支管443を有する。空気支管443は、他と異なる長さを有する少なくとも1つの管を有する。空気支管443の形成材料としては、高い熱伝導率を有する金属(例えば、銅、アルミニウム等)が好ましく用いられる。空気配管442の分岐部は、給気口412の近傍に設けられる。空気配管442の分岐部には、空気7が一時的に充満し、空気7の流れを円滑にするプレナム部445が設けられる。給気口412の近傍であるプレナム部445に、少なくとも1つのファン441が配置される。また、ファン441はプレナム部445より上流にあってもよい。
複数の空気支管443は、上下方向に複数段(3段)に配置されており、下段の空気支管443Aと、中段の空気支管443Bと、上段の空気支管443Cとを有する。下段において、空気支管443Aの長さは互いに略同じである。同様に、他の各段において、空気支管443B、443C、の長さは互いに同じである。上段の空気支管443Cの長さは、中段の空気支管443B及び下段の空気支管443Aよりも長い。中段の空気支管443Bの長さは、下段の空気支管443Aよりも長い。すなわち、下段の空気支管443Aが他の段に比べて最も短い。空気支管443A、443B、443Cの間には、上下方向の隙間及び左右方向の隙間が形成される。空気支管443A、443B、443Cの底部には、下向きに空気7が放出される孔444が形成されている。空気支管443Aにおいて、孔444は、軸方向全体にわたって形成される。孔444は、空気支管443B、443Cにおいて、軸方向の先端領域にのみ形成される。これにより、容器410内の一水平面にわたって複数の空気孔444が略均等に配置される。
空気配管442は、さらに、容器410内に配置される複数の仕切板446を有する。仕切板446は、空気支管443の延在方向と略直交し、互いに所定の間隔を有する。各仕切板446は、容器410の内壁及び空気支管443に接合される。容器410において、空気支管443の配置空間が、仕切板446によって複数の空間(空間S1〜S15)に仕切られる。容器410及び仕切板446の形成材料としては、断熱性が高い材料が好ましく用いられる。
上記構成の放熱器230において、水冷装置330によって、作動媒体5が流れる支管421に水6が吹き付けられ、また、空冷装置340によって支管421に空気7が吹き付けられる。
本実施形態の水冷装置330において、配管431内を水6が圧送され、ノズル432を介して容器410内に散水される。主としてノズル432によって配管431における水6の落下位置が定まる。配管431からの水6の少なくとも一部が、配管320のうちの最上段の支管421の表面に付着する。付着した水6は、その支管421の外表面に沿って、重力によって下方に向けて流れる。支管421から熱を吸収しながら水6が流れる。水6の相変化(蒸発)に伴って支管421からさらに熱が奪われる。これにより、支管421内を流れる作動媒体5が冷却される。蒸発しなかった水6は、その支管421から重力によって落下する。その水6の少なくとも一部が、下段の支管421の表面に付着する。以後同様に、各支管421において、作動媒体5が冷却される。支管421の配置空間で蒸発しなかった残りの水6は、空気支管443の配置空間に重力によって落下する。水6の相変化(蒸発)に伴って、空気支管443を流れる空気7が冷却される。さらに残った水6は、容器410の底部410cを流れ、容器410の排水口414を介して排出される。
配管431から支管421に向けて吹き付ける水6は、大量である必要はない。すなわち、支管421の表面に大量に水6が付着すると、水膜による熱抵抗が増大する。これは、水6の蒸発を阻害したり、冷却効率の低下を招いたりする。例えば、水6の供給量は、支管421の表面でほとんどの水6が蒸発するように設定される。この場合、排水口414からの排水量がゼロに近い。こうした設定により、冷却水6の使用量の低減が図られる。
放熱器230において、配管320には、凝縮器本体210からの液状の作動媒体5が流れる。配管320に、作動媒体5の熱が伝わる。水冷装置330によって配管320に水6が吹き付けられ、また、空冷装置340によって配管320に空気7が吹き付けられる。配管320の外表面に付着した水6の少なくとも一部が蒸発する。水6の蒸発潜熱によって配管320の熱が吸収される。すなわち、相変化に伴って水6が配管320の熱を奪う。空冷装置340によって配管320に吹き付けられた空気7も、配管320から熱を奪う。さらに、空気7は、水6の蒸発を促進させる。これにより、放熱器230は、配管320内の作動媒体5を高効率に冷却することができる。水冷装置330に用いる冷却液体は、水に限らず、他の液体を用いでもよい。
本実施形態の空冷装置340において、ファン441が駆動されると、給気口412を介して空気配管442に空気7が入る。空気7は圧送され、空気支管443に略均一に分かれる。各空気支管443の孔444から空気7が吹き出される。空間S1〜S5において、空気支管443A、443B、443Cの隙間を上方に向けて空気が流れる。空間S6〜S10において、空気支管443B、443Cの隙間を上方に向けて空気が流れる。空間S11〜S15において、空気支管443Cの隙間を上方に向けて空気が流れる。なお、空気支管443A、443B、443Cにおける複数の孔444の略均一配置により、容器410における空気7の供給量は平面的かつ全体的に略均一である。
空間S1〜S15において、空気7は、各空気支管443から熱を奪う。これにより、空気支管443内を流れる空気7が自己冷却される。空間S1〜S5に放出された空気7は、空気支管443A、443B、443Cから熱を奪う。空間S6〜S10に放出された空気7は、空気支管443B、443Cから熱を奪う。空間S11〜S15に放出された空気7は、空気支管443Cから熱を奪う。つまり、空気支管443Cの熱が最も多く奪われる。その結果、空気支管443C、空気支管443B、及び空気支管443Aの順に、低温になりやすい。すなわち、空気支管443Cの温度が最も低くなりやすい。また、第1方向(空気支管443内の空気7の流れの下流に向かう方向)に従って、空気7が徐々に低温になる。第1方向は、支管421における作動媒体5の流れ方向と同じである。空間S1〜S15において、低温化された空気7が空気支管443から供給される。仕切板446によって、空間S1〜S15の間での空気7の混合が防止され、容器410内での空気7の温度勾配(第1方向に向かって低温になる勾配)が維持される。
容器410において、空気支管443の配置空間からの空気7が支管421の配置空間に入る。支管421の配置空間において、作動媒体5が流れる支管421の表面に沿って空気7が流れる。支管421から熱を吸収しながら空気7が流れる。これにより、支管421を流れる作動媒体5が冷却される。さらに、空気7は、支管421に付着した水6の蒸発を促進させる。
本実施形態において、自己冷却された空気7が、作動媒体5が流れる支管421に供給される。そのため、空気7と作動媒体5との温度差の拡大が図られ、効率的な作動媒体5の冷却が可能である。また、本実施形態において、作動媒体5が流れる支管421に供給される空気7が温度勾配を有している。最適化された冷却空気7の温度勾配は、作動媒体5の冷却の効率向上に有利である。支管421から熱を奪った空気7は、容器410の排気口413から排出される。
図8は、図1の凝縮器13の変形例を示す模式構成図である。以下の説明では、上記実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
図8において、凝縮器13は、さらに、チャンバ211内での作動ガスの凝縮を促進させるための凝縮促進部材250とを備えて構成されている。チャンバ211において、散液配管222からの液状の作動媒体(水)5が凝縮促進部材250に付着する。これにより、液状の作動媒体(水)5の表面積が拡大し、ガス状の作動媒体(水蒸気)5の凝縮が促進する。
図9A及び9Bはそれぞれ、凝縮促進部材250の形態例を模式的に示す斜視図である。図9Aにおいて、凝縮促進部材250は、網状の形態を有する。図9Bにおいて、凝縮促進部材250は、綿状又はスポンジ状の形態を有する。こうした形態の凝縮促進部材250は、液体を保持しかつ、ガスの流れに対して抵抗となりにくい。そのため、圧力損失を大きく増やすことなく、作動媒体5の凝縮を促進させることができる。
図10は、図1の凝縮器13の別の変形例を示す模式構成図である。以下の説明では、上記実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
図10において、凝縮器13は、さらに、チャンバ211内での作動ガスの凝縮を促進させるための冷却装置260を備える。冷却装置260は、ガス状の作動媒体(水蒸気)5と冷却用媒体(冷媒)とが間接的に接触する構造を有する。すなわち、冷却装置260は、冷媒が流れる熱交換チューブ261と、ポンプ262と、冷媒を冷却するための放熱器263とを有する。熱交換チューブ261は、チャンバ211内における、作動媒体(水)5の液面と散液配管222との間に配置される。
図11A、11B、11C、及び11Dは、熱交換チューブ261の形態例を示す図である。図11Aにおいて、熱交換チューブ261は、通常の表面を有する素チューブである。図11Bにおいて、熱交換チューブ261は網状の部材が配置された表面、または網状の凹部(又は凸部)が形成された表面を有する網付チューブである。図11Cにおいて、熱交換チューブ261は、多数の溝が形成された表面を有する溝付チューブである。図11Dにおいて、熱交換チューブ261は、多数のフィンが設けられた表面を有するフィンチューブである。熱交換チューブ261の表面積(伝熱面積)の拡大により、熱交換チューブ261内の冷媒と作動媒体(水、水蒸気)5との熱交換が促進する。また、熱交換チューブ261の表面への付着によって、液状の作動媒体(水)5の表面積が拡大することにより、ガス状の作動媒体5(水蒸気)と液状の作動媒体5(水)との熱交換も促進する。熱交換チューブ261の表面に対して熱交換に適した処理を施してもよい。熱交換チューブ261の表面の少なくとも一部を親液処理してもよく、撥液処理してもよい。例えば、熱交換チューブ261の表面のうち、上方領域を撥液処理し、下方領域を撥液処理してもよい。熱交換チューブ261の形成材料としては、高い熱伝導率を有する金属(例えば、銅、アルミニウム等)が好ましく用いられる。
図10に戻り、放熱器263は、熱交換チューブ261からの冷媒が流れる配管270と、水冷装置271と、空冷装置272とを有する。水冷装置271は、配管270の外表面に液体(水)6を吹き付ける。空冷装置272は、配管270の外表面に空気7を吹き付ける。すなわち、放熱器263は、放熱器230と同様に、空冷と水冷とを併用する構造を有する。例えば、放熱器263は、図3の放熱器230又は図5の放熱器230と同様の構成を有することができる。
放熱器263において、配管270には、熱交換チューブ261からの冷媒が流れる。配管270に、冷媒の熱が伝わる。水冷装置271によって配管270に水6が吹き付けられ、また、空冷装置272によって配管270に空気7が吹き付けられる。配管270の外表面に付着した水6の少なくとも一部が蒸発する。水6の蒸発潜熱によって配管270の熱が吸収される。すなわち、相変化に伴って水6が配管270の熱を奪う。空冷装置272によって配管270に吹き付けられた空気7も、配管270から熱を奪う。さらに、空気7は、水6の蒸発を促進させる。これにより、放熱器263は、配管270内の冷媒を高効率に冷却することができる。冷媒として、フロン系、アンモニア、炭化水素などの公知の様々な媒体が挙げられる。また、冷媒として、水又は添加物を加えた水を用いることができる。
冷媒用の放熱器263と作動媒体5用の放熱器230との組み合わせにより、設備のコンパクト化、設備コストの低減を図ることができる。すなわち、放熱器263の少なくとも一部を、放熱器230と共用することにより、装置構成が簡素化される。例えば、放熱器263及び放熱器230は、水冷装置及び空冷装置を共用することができる。
なお、冷媒の放熱器263は、空冷と水冷との併用式に限らない。放熱器263は、空冷単式でもよく、水冷単式でもよい。
図12は、図1の凝縮器13が適用された冷凍機の実施形態を示す模式構成図である。図12において、冷凍機10は、蒸発器11と、圧縮機12と、凝縮器13とを備える。本実施形態において、凝縮器13、圧縮機12、及び蒸発器11が作動媒体5の流れ方向に沿って一列に並ぶ。例えば、凝縮器13、圧縮機12、及び蒸発器11は、圧縮機12の回転軸の同軸上に配置される。
冷凍機10では、作動媒体5の相変化を利用して、入力媒体19の温度を下げることができる。すなわち、蒸発器11において、冷房負荷18からの入力媒体19(サイクル外の熱源)の熱を吸収して作動媒体5が蒸発する。圧縮機12において、蒸発器11からのガス状の作動媒体5が圧縮される。凝縮器13において、サイクル外の熱源(例えば大気)に熱を奪われた作動媒体5が凝縮する。凝縮器13を出た液状の作動媒体5は膨張弁14を経て圧力と温度が下がり、蒸発器11に戻る。
本実施形態において、冷房負荷18からの媒体19が蒸発器11で冷却される。冷却された媒体19は、冷房負荷18に戻る。例えば、蒸発器11に対する媒体19の入力温度は約12℃、出力温度は約7℃である。例えば、凝縮器13の放熱器230に対する作動媒体5の入力温度は約35〜37℃、出力温度は約29〜32℃である。すなわち、空冷と水冷とを併用した放熱器230によって、作動媒体5を外気の露点近くまで冷却することができる。これらの数値は理解を助けるための例であって、本発明はこれに限定されない。
圧縮機12として、単段圧縮機及び多段圧縮機のいずれも適用可能である。本実施形態では、多段圧縮機を用いる。多段圧縮機を用いることにより、比較的小型のもので、高い圧縮比を得ることができる。
本実施形態において、圧縮機12は、遠心圧縮機である。圧縮機12は、回転軸20と、複数のインペラ21と、ケーシング22と、駆動装置23とを備える。インペラ21は、回転軸20に取り付けられ、回転軸20の軸方向に多段に配置される。ケーシング22は、回転軸20を回転自在に支持し、インペラ21を囲う。駆動装置23は、回転軸を駆動する。ケーシング22には、速度エネルギーを圧力エネルギーに変換するためのディフューザ(不図示)と、前段のインペラ21からの作動ガスを後段のインペラ21に導く流路であるリターンチャネル(不図示)とが設けられる。本実施形態において、駆動装置23は、内蔵タイプの電動機(ビルトインモータ)である。圧縮機12において、複数段にわたって圧縮が繰り返されることにより、所望の圧縮比(例えば圧縮比10程度)が得られる。
本実施形態において、蒸発器11の出口部と圧縮機12の入口部とが対向しかつ互いに直結されている。また、圧縮機12の出口部と凝縮器13の入口部とが対向しかつ互いに直結されている。蒸発器11と圧縮機12との間の距離が最小化され、圧縮機12と凝縮器13との間の距離が最小化されている。これら間隔の最小化により、作動媒体5の蒸気配管の長さが最小化される。つまり、蒸発器11、圧縮機12、及び凝縮器13はいわば一体的につながり、蒸発器11と圧縮機12との間の配管、並びに圧縮機12と凝縮器13との間の配管が実質的に省かれている。また、本実施形態では、直結構造に伴い、蒸発器11と圧縮機12の間の流路(開口面積)、圧縮機12と凝縮器13の間の流路(開口面積)が大口径に設定される。これらは、蒸気配管の圧力損失の低減、装置のコンパクト化、及び圧縮機12の仕事率向上などに寄与する。
なお、圧縮機12において、段間の流路(リターンチャネル)を流れる作動ガスを冷却するようにできる(中間段冷却)。中間段冷却では、例えば、リターンチャネルを流れる作動ガスに冷却媒体を加える、あるいはリターンチャネルを流れる作動ガスの熱を別の媒体によって奪う、あるいはリターンチャネルに熱交換器を設置して間接的に熱交換することによって冷却を行うことができる。中間段冷却は、圧縮効率向上、圧縮動力低減に有利である。
作動媒体5として、フロン系、アンモニア、炭化水素などの公知の様々な媒体が挙げられる。この他に、作動媒体5として、水を用いることができる。本実施形態では、作動媒体5として水を用いる。相変化条件の調整などを目的として、水に添加物を加えてもよい。作動媒体5が水である場合、一般に、冷凍機(ヒートポンプ)において、高い圧縮比(例えば、圧縮比10程度以上)、及び配管の大サイズ化などが要求される。
上述したように、本実施形態において、機器間の流路が低圧力損失かつ大口径に設定され、また、蒸気配管の長さ(機器同士の間の配管長さ)が短くもしくは実施的にゼロに設定される。そのため、本実施形態における作動媒体として水が好ましく用いられ、また、装置の大規模化が回避される。本実施形態では、6程度のCOPをターゲットとすることができる。
本実施形態において、蒸発器11は、シェル・アンド・チューブ式である。すなわち、蒸発器11は、チャンバ30と、ポンプ31と、熱交換チューブ32と、散液機構33と、不図示のミストセパレータとを備える。
蒸発器11において、チャンバ30には、液状の作動媒体(水)が供給される。チャンバ30内に貯溜された作動媒体5がポンプ31によって流動され、その作動媒体5が、チャンバ30、ポンプ31、及び散液機構33を含む経路を循環する。熱交換チューブ32内を流れる入力媒体19(高温媒体)との熱交換により、チャンバ30内で作動媒体5が蒸発し、また、入力媒体19が冷却される。蒸発した作動媒体5(水蒸気)は、出口部を介してチャンバ30から排出される。シェル・アンド・チューブ式を用いた蒸発器は、蒸発した作動ガスの流れに対する圧力損失が小さいという利点を有する。
本実施形態において、チャンバ30は、真空チャンバであり、チャンバ30の内部空間が負圧に設定される。例えば、チャンバ30の外形は、丸みを帯びた角を必要に応じて有する、概略的な円筒形状を有する。本実施形態において、チャンバ30の軸方向は重力方向に実質的に一致する。チャンバ30の周面に、周方向に延びる波形あるいは凹凸を設けることにより、高い耐圧強度を有するチャンバ30を、比較的薄い材料によって形成することが可能である。薄い材料で形成されたチャンバ30は、装置コスト低減に有利である。例えば、チャンバ30の構成部材の厚さは、5mm以下であるのが好ましく、3mm以下であるのがより好ましい。例えば、その厚さは、3mm、2.5mm、2mm、1.5mm、1mm、あるいは0.5mm以下である。
本実施形態において、熱交換チューブ32は、チャンバ30内に、チャンバ30の軸方向(重力方向)に沿って単段又は多段の層状に配置される。熱交換チューブ32は、折り返し・折り畳み型の蛇腹構造を有することができる。この場合、チャンバ30内の作動媒体5の流れ方向に概ね垂直な面内に、熱交換チューブ32の層が比較的隙間なく配置される。これは、広い伝熱面積を得ること、及び、チャンバ30内の作動媒体5と熱交換チューブ32内の高温媒体との間の熱交換の促進に有利である。熱交換チューブ32の構成部材としては、高い熱伝導率を有する金属チューブ(例えば、銅チューブ、アルミニウムチューブ)が好ましく用いられる。
また、熱交換チューブ32は、表面が滑らかな素チューブ、表面に網状の部材が配設された網付チューブ、多数の溝が表面に形成された溝付チューブ、多数のフィンが表面に設けられたフィンチューブのいずれでもよい。網、溝、及びフィンなどの設置により、熱交換チューブ32における表面積の拡大、及び熱交換の促進が図られる。また、熱交換チューブ32の表面に対して熱交換に適した処理を施してもよい。熱交換チューブ32の表面の少なくとも1部を親液処理してもよく、撥液処理してもよい。例えば、熱交換チューブ32の表面のうち、上方領域を親液処理し、下方領域を撥液処理してもよい。
なお、本実施形態では、蒸発器11は、シェル・アンド・チューブ式である。しかしながら、蒸発器11は、ガス状の作動媒体5と液状の作動媒体5とが直接的に接触する構造を有してもよい。
なお、本実施形態では、圧縮機12の下に蒸発器11があり、上に凝縮器13がある。しかしながら、図13に示すように、冷凍機10は、圧縮機12の上に蒸発器11があり、下に凝縮器13がある構成を採用することも可能である。また、縦型配置以外の構成を採用することも可能である。
なお、本実施形態では、凝縮器13を冷凍機10に適用している。しかしながら、凝縮器13をいわゆるヒートポンプに適用してもよい。ヒートポンプは、例えば、冷房、暖房、除湿、及び加湿の少なくとも1つの機能を有する空気調和装置に適用される。また、ヒートポンプは、冷却装置(ヒートシンクなど)、暖房装置(床暖房装置など)、給湯装置、冷凍装置、脱水装置、蓄熱装置、融雪装置、乾燥装置など、熱源との間で熱の授受を行う様々な熱利用装置(プラントやシステムを含む)に適用可能である。熱利用装置において、高い圧縮効率を有するヒートポンプの採用により、装置のコンパクト化、エネルギー効率の向上が図られる。また、作動媒体が水であることにより、エネルギー効率の向上とともに、環境面での様々な利点が得られる。
図12に示した、圧縮機の下に蒸発器があり上に凝縮器がある構成は、例えば次の利点を有する。(1)凝縮器用のポンプにおける減圧沸騰の回避に有利である。すなわち、作動媒体が水であると、凝縮器の内部が負圧(例えば0.1ata)に設定されるから、凝縮器用のポンプにおける吸入部で減圧沸騰が生じてポンプが蒸気閉塞(ベーパロック)を起こす可能性があるが、ポンプ212を凝縮器の下方に設置することにより圧力ヘッドが上昇し、それが安定的に回避される。(2)圧力損失の低減に有利である。すなわち、蒸発器の圧力(例えば、0.009ata)は、凝縮器の圧力(例えば、0.1ata)に比べて低いから、作動ガスの体積流量が比較的多い(例えば、0.1/0.009=11倍)。このガスが下位置の蒸発器から上位置の圧縮機に流入する構成では、凝縮器のような還り通路が不要である。そのため、小さいガス速度が維持され、圧力損失が少なくて済む。圧力損失は流速の2乗で効く。(3)凝縮器13で液になった冷媒は重力により蒸発器11に落下するため戻り配管にポンプが不要である。
図13に示した、圧縮機の下に凝縮器があり上に蒸発器がある構成は、例えば次の利点を有する。(1)蒸発器用のポンプにおける減圧沸騰の回避に有利である。すなわち、作動媒体が水であると、蒸発器の内部が負圧(例えば0.009ata)に設定されるから、蒸発器のポンプにおける吸入部で減圧沸騰が生じてポンプが蒸気閉塞(ベーパロック)を起こす可能性があるが、ポンプ31を蒸発器より下方に設置するとそれが安定的に回避される。(2)圧縮機の信頼性向上に有利である。すなわち、下位置の凝縮器の圧力(例えば、0.1ata)に比べて、上位置の蒸発器の圧力(例えば、0.009ata)が低いから、圧縮機におけるスラストが下から上に作用する。一方、圧縮機の軸及び回転翼の自重は上から下に作用する。両者が互いに打ち消し合うことで、スラスト軸受の負荷が軽くなり、圧縮機の信頼性の向上が図られる。
上記説明において使用した数値は一例であって、本発明はこれに限定されない。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の請求の範囲によってのみ限定される。
凝縮器を示す模式構成図である。 散液配管の形態例を示す斜視図である。 散液配管の別の形態例を示す斜視図である。 放熱器の構成例を示す模式断面図である。 図3のV−V断面図である。 放熱器の別の構成例を示す模式断面図である。 図5のP−P断面図である。 図5のQ−Q断面図である。 図1の凝縮器の変形例を示す模式構成図である。 凝縮促進部材の形態例を模式的に示す斜視図である。 凝縮促進部材の別の形態例を模式的に示す斜視図である。 図1の凝縮器の別の変形例を示す模式構成図である。 熱交換チューブの形態例を示す図である。 熱交換チューブの形態例を示す図である。 熱交換チューブの形態例を示す図である。 熱交換チューブの形態例を示す図である。 図1の凝縮器が適用された冷凍機の実施形態を示す模式構成図である。 図1の凝縮器が適用された冷凍機の別の実施形態を示す模式構成図である
符号の説明
5…作動媒体、水…6、7…空気、10…冷凍機、11…蒸発器、12…圧縮機、13…凝縮器、14…膨張弁、18…冷房負荷、19…入力媒体、210…凝縮器本体、211…チャンバ、212…ポンプ、213…散液機構、222…散液配管、223…供給配管、230…放熱器、250…凝縮促進部材、320…配管、330…水冷装置、340…空冷装置。

Claims (8)

  1. 第1媒体が凝縮される凝縮器本体と、
    前記凝縮器本体からの液状の前記第1媒体が流れる配管と、前記配管に液体を付着させる第1装置と、前記液体が付着した前記配管にガスを吹き付ける第2装置とを有する放熱器と、
    を備えることを特徴とする凝縮器。
  2. 前記凝縮器本体は、ガス状の前記第1媒体と液状の前記第1媒体とが直接的に接触する構造を有することを特徴とする請求項1に記載の凝縮器。
  3. 前記凝縮器本体は、ガス状の前記第1媒体と冷却用媒体とが間接的に接触する構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の凝縮器。
  4. 前記第1装置は、前記液体を落下させる構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の凝縮器。
  5. 前記第2装置は、前記配管内の前記第1媒体の流れ方向と交差する方向に沿って、前記配管の近傍に前記ガスを流す構造を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の凝縮器。
  6. 前記凝縮器本体及び前記配管の各内部空間が負圧に設定されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の凝縮器。
  7. 前記第1媒体が水であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の凝縮器。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の凝縮器を用いることを特徴とする冷凍機。
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