JP2008062194A - 粉塵除去装置およびその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便かつ安価に粉塵を除去可能な粉塵除去装置およびその運転方法を提供することを目的とする。
【解決手段】表面に親水層を有する壁体と、前記親水層に水膜を形成し、該形成された水膜に粉塵を吸着させるとともに、吸着した粉塵を洗浄する散水装置とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】表面に親水層を有する壁体と、前記親水層に水膜を形成し、該形成された水膜に粉塵を吸着させるとともに、吸着した粉塵を洗浄する散水装置とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、道路、工場内外、工事現場など、粉塵等の飛来する屋内または屋外環境で使用する粉塵除去装置およびその運転方法に関するものである。
屋外環境では、砂埃、花粉、産業活動に伴う粉塵が多く飛来している。これらの粉塵により、例えば、主要幹線道路のディーゼル排気ガス中の粉塵で幹線道路のガードレールが黒く汚れる場合や、建設工事現場に隣接する構造物表面に建設工事現場で発生した粉塵が付着する場合や、工場や焼却炉内で発生した粉塵類が周辺環境に拡散し、周辺住民に影響を与える場合など様々な問題がある。
また、屋内環境においても、製鉄所内や、セメント加工品の製造、塗装工程など、粉塵が発生する作業工程があり、作業員の作業環境保全のため、防塵対策が必要とされている。
これら飛来粉塵の防塵対策として、植栽や、壁状あるいは網状構造物による防護壁の設置がなされている。これらは、風によって運搬される飛来粉塵を、風の遮蔽、風の減速、風向きの変更などの手段によって対象地域へ到達する飛来粉塵類を減少させる目的で設けられる。
主として風によって運搬される飛来粉塵類は、設置された植栽や構造物による防護壁に風が接触することによって、一部は表面に付着し、また、一部は手前に落下するが、軽量な粉塵類の多くは、風向きの変化などにより飛来する場所が変わるか、拡散して、対象地域の粉塵濃度が低くなる。
ここで、表面への付着は、主として油分の付着や粒子の機械的嵌合によるが、表面に衝突した粉塵類の全てが付着されるわけではなく、その多くは衝突後もそのまま風によって運搬され、また比較的重量の大きいものは落下する。落下した粉塵類は、再度浮遊する場合が多く、防護壁は、遮蔽作用、拡散作用と、対象地点への飛来量を抑制する(他の地点へ飛来先を置き換える)置換作用が主であり、そのもので粉塵除去機能は期待できない。
従来技術として例えば、特許文献1および特許文献2には、光触媒機能を付与した防音壁が開示されており、表面親水層に付着した疎水物質を、降雨、または散水によって容易に洗浄することを特徴としている。
また、特許文献3には、イオン化線により空気中の粉塵を帯電させ、導電体に坦持させた光触媒フィルターに紫外線を照射するとともに、イオン化線と光触媒フィルター間に高電圧を印加して、光触媒フィルターに集塵し、光触媒作用によって、粉塵類を分解除去する技術が開示されている。
さらに、特許文献4には、防音壁内部の空間に粒子を収納し、当該粒子を振動させて、その静電気によって帯電させ、防音壁内部に排気ガスを導入しその浮遊物を静電吸着させる技術が開示されている。粒子および帯電板に光触媒を付与し、光活性化された粒子での排気ガス分解と、特許文献1および特許文献2と同じく、帯電板に付着した汚れの雨水もしくは散水による洗浄作用を得ようとするものである。
なお、発明の開示の項で参照する特許文献についても、以下に記載する。
特開平10−37135号公報
特開2000−345519号公報
特開2002−162054号公報
特開2002−69943号公報
特願2005−341011号
しかしながら、特許文献1ないし特許文献4に記載の光触媒は、付着した粉塵類の分解、あるいは、洗浄効果を高めるために用いられているものの、積極的に粉塵の吸着、回収に寄与するものではない。粉塵の吸着、回収という粉塵除去は、粉塵あるいは吸着体を帯電させることによって実現している。
このために、風によって運搬され飛来した粉塵類が、防護壁表面に衝突したとしても、その粉塵類あるいは防護壁を帯電させるという方法を採らない限り、その多くを回収することができない。特に、屋外に構築される大型の防護壁では、その全面を帯電させることは、コスト面からいっても現実的ではないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、簡便かつ安価に粉塵を除去可能な粉塵除去装置およびその運転方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、表面に親水層を有する壁体と、前記親水層に水膜を形成し、該形成された水膜に粉塵を吸着させるとともに、吸着した粉塵を洗浄する散水装置とを備える粉塵除去装置である。
また本発明の請求項2に係る発明は、前記親水層は、チタン化合物、珪素化合物、多孔質材料のうち少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項1に記載の粉塵除去装置である。
また本発明の請求項3に係る発明は、前記壁体が、板状、布状、網状またはこれら1種以上の複合である請求項1または2に記載の粉塵除去装置である。
また本発明の請求項4に係る発明は、前記壁体は、少なくとも一部が展開および/または収納可能とする請求項1〜3のいずれか1項記載の粉塵除去装置である。
また本発明の請求項5に係る発明は、前記散水装置を、前記壁体に水を鉛直方向上部から流下するように構成する請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉塵除去装置である。
また本発明の請求項6に係る発明は、前記散水装置を、前記壁体表面に対し散水するように構成する請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉塵除去装置である。
また本発明の請求項7に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉塵除去装置を運転するときに、前記散水装置からの散水量として、水膜形成に基づく設定散水量1、および洗浄に基づく設定散水量2を予め設定しておき、設定散水量1の散水量として運転し、設定された時間経過後、または、水膜に吸着させた粉塵類が所定以上になった時に、設定散水量2の散水量として運転する粉塵除去装置の運転方法である。
さらに本発明の請求項8に係る発明は、前記設定散水量1を、蒸発により失われる散水量以上とし、かつ、水膜形成状況の目視、熱画像を含む放射温度測定値の分布状況、外気温、日射量、風速、湿度、ならびに、非散水時および非散水部分の表面温度、のいずれかひとつまたはこれらのひとつ以上を組合わせた関数により設定することを特徴とする請求項7に記載の粉塵除去装置の運転方法である。
本発明では、表面に親水層を有する壁体と、親水層に水膜を形成し、形成された水膜に粉塵を吸着させるとともに、吸着した粉塵を洗浄する散水装置とを備えるようにしたので、簡便かつ安価に粉塵を除去することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の基本的構成の一例を示す図である。図中、1は壁体、2は粉塵、3は水膜、4は支柱、5は回収樋、6は沈殿槽、7はフィルター、8は回収水、9はポンプ、10は配管、および11は散水ホースをそれぞれ表す。
支柱4などの構造体に支持された、壁体1からなるいわゆる防護壁の例を示している。防護壁に用いる壁体1は、板状、布状、網状またはこれら1種以上の複合など、必要に応じて任意に選択可能である。また、単板のほか、スリットを有してもよい。図4は、壁体の一例(楕円,円,および四角のスリットを有するもの、網状のもの)を示す図である。さらに、材料も、金属材料や合成樹脂、ガラスなどが利用できる。
また、壁体1は、固定して設置するだけでなく、その少なくとも一部を水平方向あるいは鉛直方向に展開可能として、風向きを考慮した制御をしてもよい。また、特に暴風雨時など、強風で、飛来粉塵が拡散しない状況下では、構造物保護のため、壁体の少なくとも一部を収納しても良い。図5は、壁体の取り付け方の一例を示す図である。(a)は水平方向にスライドし収納可能とした例、(b)は壁体との間に空間を設けた例、および(c)は水平方向に展開可能とするように可動式とした例をそれぞれ示している。
さらに、図6は、壁体の断面形状の一例を示す図である。凹凸のない単板だけでなく、例えば(a)〜(d)に示すような断面形状を、粉塵の吸着・洗い流し性能などを考慮して選択するようにすればよい。なお、壁体の形状は問わないものの、特許文献5に記載の外装材ようにすれば、より効率的に表面水膜を形成できる。
本発明では、壁体1の表面に親水層(図示せず)を設ける。親水層とは、供給された水が膜状に濡れ拡がる性質を有する層である。このような親水層を形成する親水材料としては、チタン化合物、珪素化合物、多孔質材料のうち少なくともひとつを含むことが好ましい。具体的には、チタン化合物としては酸化チタンに代表される光触媒、珪素化合物、多孔質材料としては、例えばセメント系発泡材、鉱物系発泡材または樹脂系発泡材、有機粉末などである。これらの少なくともひとつを壁体の表面にコーティングして、親水層を形成することができる。
なお、光触媒を使用する場合には、単独ではなく、他の親水材料を適切に配合するとよりよい。親水材料は、無機系の例えば珪素化合物であれば光触媒で分解されないため、より望ましい。そして、親水層の親水性の管理は、親水材料の密度、表面粗さ、滴下水の接触角などを制御して行う。すなわち、親水性を高くするには、親水材料の密度を高くしたり、表面粗さを粗くするなど、滴下水の接触角が小さくなるようにすればよい。
壁体1の表面に形成した親水層に、散水ホース11からの少量(水膜形成に基づく設定散水量1)の散水を行い、ごく薄い水膜3を形成し、この水膜3に衝突する粉塵2を吸着保持させる。親水層に光触媒を用いれば、粉塵類あるいは有害物質の分解もなされるためより良い。
表面に吸着された粉塵類は、散水量を増加することによって、下方へ流下し、全て回収可能である。回収水は、沈殿槽やフィルターを介して再度散水に利用すると使用水量をより少なくすることができる。
表面に吸着された粉塵類は、散水量を増加することによって、下方へ流下し、全て回収可能である。回収水は、沈殿槽やフィルターを介して再度散水に利用すると使用水量をより少なくすることができる。
水膜形成に基づく設定散水量1は、蒸発により失われる散水量以上とし、かつ、水膜形成状況の目視、熱画像を含む放射温度測定値の分布状況、外気温、日射量、風速、湿度、ならびに、非散水時および非散水部分の表面温度、のいずれかひとつまたはこれらのひとつ以上を組合わせた関数により設定する。
具体的には、まず、1m2当たり50cc/分程度の散水を標準とし、水膜の被覆率がある程度以下、例えば、80%以下となった時に散水量を増加する方法がある。水膜被覆率は、目視のほか、水膜が切れると、その部分の温度が上昇することから、熱画像を含む放射温度測定などによる可視化、数値化により容易に確認できる。
つぎに、気象条件からの制御方法としては、基準となる外気温、日射量、風速、湿度の一つ以上を選択し、統計的手法によって水膜形成状況を把握し、これら基準値の増減に応じて散水量を直線、曲線、あるいは階段状に増減させる方法がある。
さらに、これら気象条件を用いた関数による場合は、風速の関数である対流熱伝達率と絶対湿度の関数である湿り空気比熱によって、絶対湿度基準物質移動係数を求め、さらに水膜部分の飽和絶対湿度と空気中の絶対湿度の差を乗ずることによって、理論蒸発量が算出できる。
ここで、水膜部分の飽和絶対湿度は、表面水膜温度を計測する他に、例えば、非散水時又は非散水部分の表面温度(相当外気温度に近似可能)から、発明者らの実験によって求めた下記の実験式(1)により、水膜温度θsを推定することができる。
△θs=0.720934×SAT−(508.195Xa+9.419)
θs=SAT−△θs ・・・・・・(1)
ここで、
SATは、非散水時又は非散水部の表面温度(相当外気温度)(℃)、Xaは、外気絶対湿度(kg/ kg)、△θsは、表面温度低下量(℃)をそれぞれ表わす。
△θs=0.720934×SAT−(508.195Xa+9.419)
θs=SAT−△θs ・・・・・・(1)
ここで、
SATは、非散水時又は非散水部の表面温度(相当外気温度)(℃)、Xaは、外気絶対湿度(kg/ kg)、△θsは、表面温度低下量(℃)をそれぞれ表わす。
なお、光触媒によって表面に親水層を形成した事例について実測した結果から、物質移動係数は、概ね0.01〜0.015(kg/sec m2(kg/ kg))で定数化し、絶対湿度によって蒸発水量を管理する方法が容易であることを確認している。また、実験式(1)から、蒸発潜熱量と表面熱伝達率から蒸発量を逆算することも可能である。
そして、水膜形成に基づく設定散水量1での散水を開始後、設定された時間経過後、および/または、吸着させた粉塵類が一定以上になった時に、設定散水量2に散水量を変化させる。ここでの設定散水量2は、吸着した粉塵を洗い流す、いわゆる粉塵洗浄のために必要な散水量であり、これも予め粉塵の種類などにより設定しておく。
図1の例では、散水により洗浄された粉塵は、回収樋5を経由して、沈殿槽6で回収され、フィルター7や堰にて粉塵と分離された回収水8は、ポンプ9でポンプアップされ配管10を経て散水ホース11へと循環利用される。なお、散水装置としては、この例のように、水を鉛直方向上部から流下するように構成することができる。鉛直方向上部の最上部に吐水口を有する配管を設けるだけでもよく、電磁弁等を設けて噴水してもよい。
散水は、シャワー状でも霧状でもよく、表面に適切に流下すればよい。また、散水装置としては、壁体表面に対し散水するように構成しても良い。具体的には、壁体表面に向けて間隔をあけて複数の散水装置を配置し、壁体表面に向けて噴水する。図2は、壁体表面に対し散水する、本発明の基本的構成の他の一例を示す図であり、図3は、図2の側面図である。図中、12は散水ノズル、13は散水ノズル保持用支柱、14は噴霧水、および15は給水横引管をそれぞれ表し、その他の符号は、図1と同様である。
壁体1の表面に空間を設けて対向するように、散水ノズル保持用支柱13に給水横引管15と散水ノズル12を対にして間隔をあけて配置し、壁体1に向けて噴霧水14を噴霧する。この方法では、噴霧水14が壁体1に到達する間に、その間の空間(粉塵吸着空間)の粉塵類を吸着することができるので好ましい。
1 壁体
2 粉塵
3 水膜
4 支柱
5 回収樋
6 沈殿槽
7 フィルター
8 回収水
9 ポンプ
10 配管
11 散水ホース
12 散水ノズル
13 散水ノズル保持用支柱
14 噴霧水
15 給水横引管
2 粉塵
3 水膜
4 支柱
5 回収樋
6 沈殿槽
7 フィルター
8 回収水
9 ポンプ
10 配管
11 散水ホース
12 散水ノズル
13 散水ノズル保持用支柱
14 噴霧水
15 給水横引管
Claims (8)
- 表面に親水層を有する壁体と、
前記親水層に水膜を形成し、該形成された水膜に粉塵を吸着させるとともに、吸着した粉塵を洗浄する散水装置とを備える粉塵除去装置。 - 前記親水層は、チタン化合物、珪素化合物、多孔質材料のうち少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項1に記載の粉塵除去装置。
- 前記壁体が、板状、布状、網状またはこれら1種以上の複合である請求項1または2に記載の粉塵除去装置。
- 前記壁体は、少なくとも一部が展開および/または収納可能とする請求項1〜3のいずれか1項記載の粉塵除去装置。
- 前記散水装置を、前記壁体に水を鉛直方向上部から流下するように構成する請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉塵除去装置。
粉塵除去装置。 - 前記散水装置を、前記壁体表面に対し散水するように構成する請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉塵除去装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉塵除去装置を運転するときに、
前記散水装置からの散水量として、水膜形成に基づく設定散水量1、および洗浄に基づく設定散水量2を予め設定しておき、
設定散水量1の散水量として運転し、設定された時間経過後、または、水膜に吸着させた粉塵類が所定以上になった時に、設定散水量2の散水量として運転する粉塵除去装置の運転方法。 - 前記設定散水量1を、蒸発により失われる散水量以上とし、かつ、水膜形成状況の目視、熱画像を含む放射温度測定値の分布状況、外気温、日射量、風速、湿度、ならびに、非散水時および非散水部分の表面温度、のいずれかひとつまたはこれらのひとつ以上を組合わせた関数により設定することを特徴とする請求項7に記載の粉塵除去装置の運転方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2006
- 2006-09-08 JP JP2006243804A patent/JP2008062194A/ja active Pending
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