JP2008056716A - 透明架橋フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】PETフィルムやTACフィルムを用い、それを補完するためのハードコート層、帯電防止層およびそのためのプライマー層などの積層による光学フィルムとしての課題(干渉縞、光学異方性)、および機能付与のための多工程によるコストアップなどを解決した自己支持性を有する光学用に好適な単独フィルムを提供する。
【解決手段】本発明は、ビニルエステル組成物100重量部に対し、多官能アクリレート5〜50重量部、π共役系ポリマー0.05〜5重量部を含有してなる透明架橋フィルムとすることにより、自己支持性を有し、光学等方性、表面硬度、帯電防止性、透明性に優れた単独フィルムを得る。

【選択図】なし

Description

本発明は、透明架橋フィルムに関し、更に詳しくは本発明のフィルムは自己支持性を有し、光学用フィルムとして好適な透明性、光学的等方性があり、、かつ帯電防止性、表面硬度にも優れた透明架橋フィルムに関するものである。
ポリエステルフィルム(PET、PEN等)、ポリカーボネートフィルム(PC)、ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)、トリアセチルセルロールフィルム(TAC)、非晶性ポリオレフィン(非晶PO)などの透明プラスチックフィルムは、ガラスと比べて、軽量・割れにくい・曲げられるといった好適な性質を有する一方で、フィルム表面の硬度が低く、また耐摩耗性も不足しているため、他の固い物質との接触、引っ掻きなどにより表面に損傷を受けやすく商品価値を著しく低下させたり、使用不可能となる場合がある。このため、上記の基材フィルム上に耐擦傷性や耐摩耗性に優れたハードコート層を設ける方法が知られており、ハードコートフィルムとして汎用的に利用されている。しかしながら、光学フィルムの代表的用途である液晶ディスプレイパネル(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の各種ディスプレイ用フィルムとして使用する場合には、次の様な課題が挙げられる。(1)設けたハードコート層と基材フィルムとの屈折率差が原因となり、虹色のむら(干渉縞)が発生する。(2)表面が帯電しやすく、製造工程時、また使用時に塵や埃が付着しやすいという問題点がある。このような塵埃の付着は光学用途においては、画像の劣化や輝点などの原因となり、品質の低下を招く原因となる。
前者の干渉縞は基材とハードコート層との屈折率差が原因となり、界面で反射する光の干渉により、3波長蛍光灯下で観察すると虹彩状反射が観察される現象で、ディスプレイ用途に用いる場合には視認性を低下させるひとつの原因となっている。
この現象を改善する手段として、基材とハードコート層の屈折率差を小さくする方法がある。この方法として、基材とハードコート層の間に、両者の中間の屈折率をもつプライマー層を設けるという方法が提案されている。この方法では、中間層を設けても屈折率が段階的に変化するに過ぎず、干渉縞は低減しても無くなるまでには至らない。また中間層を設ける工程が必要となるためコスト高になるという問題もあった。(特許文献1参照)
その他の改善方法として、基材フィルムを溶解する溶剤を用いてハードコート剤を塗布し、基材を溶解または膨潤させることで反射界面レスとして干渉縞を低減する方法(特許文献2)などが提案されている。
しかしながら、基材フィルムを溶解、膨潤させる方法では、適用できる樹脂が限定され高度に二軸配向したポリエステルフィルムなどではオルトクロロフェノールのような特殊な溶剤に限定され、作業環境が極めて悪い。また、干渉縞の低減ができてもヘイズが高くなりディスプレイ用途などで求められる低いヘイズを得ることができず、視認性の悪いものになったりする。
また、後者の帯電防止は、帯電を抑制するために、ハードコート層の中にイオン型界面活性剤を添加する方法がある。しかしながら、帯電防止機能を付与するほどの界面活性剤の添加は表面硬度を低下させたり、表面ににじみ出して汚染されたりする問題がある。さらに低湿度下では十分な帯電防止効果が発現しない等の問題がある。また、帯電防止能を有するモノマーをアクリル系モノマーの中に添加し重合反応をすることによってハードコート層を形成する方法(特許文献3)があるが、十分な帯電防止能を付与するためには、帯電防止能を有するモノマーを多量に添加する必要があり、それによってハードコート層の硬度が低下するという問題が発生する。これに対して、ポリエステルフィルムの上に、水性樹脂と分子内にスルホン基またはスルホナート基を有する帯電防止性ポリマーからなるコート層を形成し、その上にハードコート層を設ける方法が提案されている。(特許文献4)。しかしながらこの方法では、表面に数ミクロンの絶縁性を有するハードコート層が積層されるために実質的にハードコート層表面の帯電防止効果は不十分となる。
上記の課題を解決したフィルム、すなわち干渉縞が無くハードコート性を有し、かつ帯電防止性を有する素材フィルムは光学用に適用する上で待望される材料であり、さらには、液晶ディスプレイ等の保護フィルムとして使用する際には光学的等方性の指標であるリターデーションができるだけ低いことが望まれている。
特開2000−111706号公報 特開2003−205563号公報 特開2001−11130号公報 特開平06−41333号公報
本発明は、従来技術における上記の欠点、具体的には表面硬度に優れ、単独で自己支持性を有し、干渉縞がなく、さらには帯電防止性に優れ、光学的にも等方である透明架橋フィルムを提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、以下の手段により、目的を達成しうることを見いだしたものである。
即ち、本発明は
(1)ビニルエステル組成物を100重量部として、多官能アクリレート5〜50重量部、π共役系ポリマー0.05〜5重量部を含有してなる透明架橋フィルム、
(2)リターデーションが5nm以下である(1)に記載の透明架橋フィルム、
(3)π共役系ポリマーが、ポリフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体よりなる群から選ばれた1種以上である(1)または(2)に記載の透明架橋フィルム、
(4)25℃、70%RH条件での表面比抵抗R70が1.0×1010Ω/□以下、25℃、20%RH条件下での表面比抵抗R20が1.0×1010Ω/□以下であって、R20/R70が0.1〜10である(1)〜(3)のいずれかに記載の透明架橋フィルムにより構成されるものである。
本発明の透明架橋フィルムは、上記の構成にすることにより、単独フィルムとして自己支持性を有し、かつ十分な表面硬度を有するため、表面硬度化層を積層する必要がなく、干渉縞レスであり、更には帯電防止性に優れ、光学的にも透明で等方性であるという効果を奏する。
以下、本発明について実施の形態について具体的に述べる。
本発明の透明架橋フィルムは、ビニルエステル組成物と多官能アクリレートおよびπ共役系ポリマーとを用いてなるフィルムである。
ここで、ビニルエステル組成物(a)とは、エポキシ基の開環反応により生成した2級水酸基と、(メタ)アクリロイル基とを同一分子中に共有する一連のオリゴアクリレートをビニルエステルと定義し、本発明において好適に用いられるビニルエステル組成物(a)は、ビスフェノール型または脂環式のエポキシ化合物と、アクリル酸またはメタクリル酸とをエステル化反応させて得られるものである。ビスフェノール型または脂環式エポキシ化合物としては、以下の様なものが例示できる。
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応物、水素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、シクロヘキサンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、ノルボルナンジアルコールとエピクロルヒドリンとの反応物、テトラブロモビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、トリシクロデカンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカーボネート、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート。
次に本発明の第2の成分である多官能アクリレートとは一分子中に、3(より好ましくは4または5)個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する組成物であって具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサンメチレンジイソシアネートウレタンポリマーなどを用いることができる。これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、市販されている多官能アクリル系組成物としては三菱レーヨン株式会社;(商品名”ダイヤビーム”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名”デナコール”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名”NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名”UNIDIC”など)、東亜合成化学工業株式会社;(”アロニックス”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(”ブレンマー”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名”KAYARAD”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名”ライトエステル”シリーズなど)などを挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
これらの多官能アクリレートはフィルムの表面硬度を向上させるのに有効である。多官能アクリレートの配合量は、上記のビニルエステル組成物100重量部に対し、5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部、更に好ましくは15〜25重量部であり、5重量部未満では表面硬度が不足し、50重量部以上ではフィルムの伸度が低下してもろさが発現し自己支持性に問題が生じる。本発明の透明架橋フィルムの表面硬度は耐擦傷性の点から鉛筆硬度は、H以上、好ましくは2H以上である。
また、上記のビニルエステル組成物、多官能アクリレートの混合物以外に以下のような化合物を本発明の効果を阻害しない範囲内で低粘度化などの目的で使用しても良い。
アリルエステルモノマ−:オルソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、コハク酸ジアリル。
アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマー:メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2,6−ジブロム−4−tert−ブチルフェニルアクリレート、各種のウレタンアクリレート、エポキシアクリレート。
次に本発明では、第3の成分としてπ共役ポリマーを用いる。
π共役系ポリマーは主鎖にπ電子結合を有するポリマーであり、電子伝導型帯電防止剤に分類される材料である。
本発明に用いられるπ共役系ポリマーとしては、透明フィルムの特性(表面硬度、透明性、等方性)を損なわない範囲で選択される。このようなπ共役系ポリマーとしては、例えばポリアセチレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフィニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフラン誘導体、ポリアズレン誘導体などの公知の導電性ポリマーを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。ポリマーの合成、安定性、溶解性等を考慮すると、ポリフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体が好適に用いられる。ポリフェニレン誘導体の例としては、ポリアルキルフェニレン、ポリアシルフェニレンの他、側鎖にホルミル基、カルボキシル基を有するポリフェニレンなどが例示できる。また、ポリチオフェン誘導体の例としては、ポリアルキルチオフェン、ポリアルコキシチオフェンなどの他、側鎖にスルフォン酸基を有するポリチオフェンが例示されるが、帯電防止能の高さ、安定性に優れるアルコキシポリチオフェンを用いることがより好ましい。
これらのπ共役系ポリマーは、ドーパント成分の添加により導電性が発現する。ドーパント成分としては、例えば、Br,Cl、Iなどのハロゲン類、BF、PF、SbF、AsFなどのルイス酸、HSO、HClO、HCl、HF、CFSOなどのプロトン酸、FeCl、MoCl、WCl、SnCl、MoFなどの遷移金属ハライドなどの低分子量ドーパントの他、ポリスチレンスルフォン酸誘導体の様なポリマータイプのドーパントが例示できる。
π共役系ポリマーとともに添加される上記のドーパントの量は、π共役系ポリマー100重量部に対して、ドーパント10重量部から500重量部程度が好ましく用いられる。
π共役ポリマー以外の導電性ポリマー、例えばイオン導電性ポリマーの場合には、所望の帯電防止効果を得るために多量の添加を必要とし、表面硬度低下のような影響を与えるので好ましくない。また低湿度下での帯電防止効果が不十分となる。
本発明におけるπ共役系ポリマーの添加量とはドーパントを含んだ形態での量であり、その添加量はビニルエステル組成物100重量部に対し、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、特に好ましくは0.15〜1重量部である。0.05重量部に満たない場合には、帯電防止効果が不十分であり、5重量部を越える場合にはヘイズの低下や表面硬度の低下をもたらすため好ましくない。
本発明において上記のπ共役系ポリマーを添加したフィルムの25℃、70%RH条件での表面比抵抗R70が1.0×1010Ω/□以下、より好ましくは1.0×10Ω/□以上1.0×1010Ω/□以下であり、25℃、20%RH条件での表面比抵抗R20が1.0×1010Ω/□以下、より好ましくは1.0×1010Ω/□以下であって、R20/R70が0.1〜10とすることができ、湿度依存性のない優れた帯電防止フィルムが得られる。
本発明では、帯電防止性のパラメータとして、表面比抵抗を用いた。表面比抵抗(R70,R40,R20)の測定方法を以下に述べる。表面比抵抗の単位は、Ω/□である。
70:25℃、70%RHにて24時間放置したサンプルの表面抵抗率を、25℃、70%RH条件において印加電圧100V条件にて、ウルトラ ハイ レジスタンス メーター(ULTRA HIGH RESISTANCE METER) R8340とレジスティビティ チャンバー(RESISTIVITY CHAMBER) R12702A(何れも(株)アドバンテスト社製)を用いて測定する。
40:25℃、40%RHにて24時間放置したサンプルの表面比抵抗を、25℃、40%RH条件において上記R70と同様の方法で測定する。
20:25℃、20%RHにて24時間放置したサンプルの表面比抵抗を、25℃、20%RH条件において印加電圧100V条件にて、上記R70と同様の方法で測定する。
本発明に用いられる透明フィルムを構成する上記ビニルエステル組成物、多官能アクリレート、π共役系ポリマーを含有する塗液は、溶剤で希釈して用いても良いし、無溶剤であっても良いがπ共役系ポリマーを均一に分散させるため、また塗工時の作業性の向上、塗膜の平滑性、塗工膜厚のコントロール等を容易にするために有機溶剤を含むことが好ましい。特に製膜時の剪断力を軽減し、一方向への配向を緩和させるために有機溶剤を使用して低粘度で製膜することが架橋後のフィルムの屈折率の等方性の点で好ましい。具体的な溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンなど双極性非プロトン溶剤などを用いることができる。これらの溶剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
本発明の透明架橋フィルムは、上記組成物を架橋させるために硬化方法に応じて重合開始剤を添加することができる。架橋させる方法としては、加熱架橋または電離放射線架橋、例えば紫外線、電子線などによる架橋の、いずれかの方法または両者を併用して用いることができる。加熱架橋する場合は、重合開始剤として有機過酸化物を用いるのが有効である。有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど公知のものを使用することができ、具体的には以下に示すようなものが例示しうる。ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1,3,3−トリメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサン。また、紫外線架橋する場合は、重合開始剤として、以下に例示するような公知の光重合開始剤を使用することができ、具体的には以下に示すようなものが例示しうる。2,2−ジメトキシ−1,2−ジゲニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モンフォリノプロパノン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド。また必要に応じて架橋促進剤を添加することもできる。なお、電子線架橋の場合は特に開始剤を用い無くても良い。また紫外線によって架橋させる場合には紫外線照射を窒素雰囲気下で行うのが効率的であり、好ましい。
重合開始剤の添加量は上記ビニルステル組成物と多官能アクリレートの混合物100重量部に対し0.05〜3.0重量部、好ましくは0.1〜2重量部の範囲とするのが好ましい。
本発明においては、電離放射線により架橋する方法が好ましく、以下に具体的な製膜方法を例示する。上記組成物を、フィルム、金属板、回転するドラム上、あるいは無端の駆動ベルトに流延し、乾燥後、紫外線もしくは電子線を照射して架橋し、得られたフィルムをドラム、もしくは該ベルトから連続的に剥離し巻き取る方法が好ましい。この方法を用いる場合、フィルム、金属板、ドラムおよびベルト表面は架橋後のフィルムの剥離応力を軽減し、フィルムの等方性を維持するためにシリコーン、フッ素化合物などにより表面処理されたものを用いるのが好ましい。
本発明で用いられる透明架橋フィルムの厚みは、機械的強度やハンドリング性などの点から、好ましくは5〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。
また、本発明の透明架橋フィルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などを含有しても良い。例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機、無機の粒子(例えば例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、金属微粉末など)、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを挙げることができる。
本発明の透明架橋フィルムは、リターデーションが5nm以下、好ましくは3nm以下、更に好ましくは1.5nm以下であるのが望ましい。これにより、高硬度と湿度依存性のない帯電防止性をもち、更には光学的にも等方である特性を有することができる。本発明においては、光学的等方性の指標としてリターデーションを用いた。レターデーション(Re)とは、フィルム面内のレターデーションのことであり、フィルム面内の主屈折率をn、nとし、フィルムの厚さをd(nm)とすると、Re=|n−n|×dで求めることができる。Reは、市販の自動複屈折計(例えば王子計測社製、「KOBRA−21ADH」)を用いて測定することができる。このようなフィルムを得るためには、該液状硬化性組成物を、回転するドラム上、あるいは無端の駆動ベルトに流延して紫外線もしくは電子線を照射して硬化させ、得られたフィルムをドラム、もしくは該ベルトから連続的に剥離し巻き取る製膜方法において過剰な応力をかけないようにすることが重要である。剥離などの際にフィルムに過剰な応力が作用するとフィルム面内に分子配向を生じ、レターデーションが大きくなるため、ドラムやベルトの表面に低応力で剥離可能な処理を施すのが有効である。表面処理はシリコーンやフッ素化合物による処理が好ましい。
本発明の透明架橋フィルムの透明性は、可視光域での全光線透過率が85%以上、好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上であって、ヘイズが1.5%以下、好ましくは1%以下、更に好ましくは0.7%以下である。
上記組成物を製膜するときの塗布手段としては、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
本発明の透明架橋フィルムは、表面硬度、透明性、帯電防止性に優れた自己支持性を有する単独フィルムであり、反射防止フィルム、偏向板保護フィルム、電磁波シールドフィルム、拡散フィルム、プリズムフィルムなどの光学用フィルム部材、銘板、化粧板などの基材フィルムとして好適に使用することができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)光学的等方性
光学的等方性のパラメータとして、リターデーションを用いた。リターデーションの測定は、王子精機(株)社製 自動複屈折計(KOBRA−21ADH)を用いて測定した。
(2)鉛筆硬度
HEIDON(新東科学株式会社製)を用いてJIS K−5400(1990)に従って測定荷重500gで測定した。
(3)帯電防止性
帯電防止性のパラメータとして、本発明では、表面比抵抗を用いた。表面比抵抗(R70,R40,R20)の測定は、以下の方法に従って行った。単位はΩ/□である。
70:25℃、70%RHにて24時間放置したサンプルの表面抵抗率を、25℃、70%RH条件において印加電圧100V条件にて、ウルトラ ハイ レジスタンス メーター(ULTRA HIGH RESISTANCE METER) R8340とレジスティビティ チャンバー(RESISTIVITY CHAMBER) R12702A(何れも(株)アドバンテスト社製)を用いて測定した。
40:25℃、40%RHにて24時間放置したサンプルの表面比抵抗を、25℃、40%RH条件において上記R70と同様の方法で測定した。
20:25℃、20%RHにて24時間放置したサンプルの表面比抵抗を、25℃、20%RH条件において印加電圧100V条件にて、上記R70と同様の方法で測定した。
(4)干渉縞の有無
干渉縞の評価は、以下に方法に従いサンプルにハードコート層を積層した状態で評価を行った。まず、サンプルの片面に、厚みが約5μmとなるようにハードコート層を設けた。ハードコート層は、ハードコート塗料(JSR社製 Z7528 濃度50%)を#10のメタリングバーを用いて、薄膜を形成し、90℃にしたオーブンに入れ1分間熱処理を行った後、高圧水銀灯一灯(120W)を備えた、コンベアー式UV照射装置に、5m/minの速度で一度通し紫外線照射を行った。このようにしてハードコート層が積層されたサンプルを得た。さらに、裏面の反射の影響をなくすために、裏面(ハードコート層面の反対面)を240番のサンドペーパーで粗面化した後、黒色マジックインキにて着色して調整したサンプルを、暗室にて、3波長蛍光灯(ナショナル パルック 3波長形昼白色(F.L 15EX-N 15W))の直下30cmに置き、視点を変えながらサンプルを目視したときに、虹彩模様が視認できるか否かで評価した。
虹彩模様がみえない : Aランク
非常に弱い虹彩模様が見える : Bランク
弱い虹色模様が見える : Cランク
強い虹色模様がはっきり見える: Dランク。
(5)自己支持性
得られたフィルムを25℃65%RHに24時間放置し、その後180度に折り曲げた時にフィルムが破断するかどうかで判断した。フィルムが破断しない場合は自己支持性ありとした。
(6)全光線透過率
全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて可視光域におけるフィルム厚み方向の全光線透過率の平均値を求めた。測定は10点の平均値とした。
(7)ヘイズ
25℃65%RHにおいてフィルムサンプルを24時間放置後、全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて波長590nmにおけるヘイズを測定した。3回の測定の平均値を求めた。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(塗剤の調整)
(塗剤1:ビニルエステル組成物)
温度計、撹拌装置、分留コンデンサー、ガス導入管を取り付けた1Lのフラスコに、ビスフェノールAジエポキシ化合物 374.4g(1.20モル)、メタクリル酸 206.4g(2.4モル)、オクチル酸クロム 1.5g、亜リン酸0.15g、ハイドロキノン0.2gを加え、窒素ガスを吹き込みながら120〜125℃で2時間反応を行った。酸価11.0となった段階で、フラスコ内組成物を金属製バットに注入し、冷却したところ無色透明なビニルエステル組成物が得られた。(固形分100%)とした。
(塗剤2:多官能アクリレート)
多官能アクリレートとしてDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:日本化薬(株)製:固形分100%)を用いた。
(塗剤3:その他のアクリレート)
反応希釈剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(固形分100%)を用いた。
(塗剤4:π共役系ポリマー1)
ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)にポリスチレンスルホン酸(PSS)をドープした水分散体(Baytron−P:H.C・Starck Gmbh製:固形分濃度1.3重量%)を用いた。
(塗剤5:π共役系ポリマー2)
ポリアニリン系導電性塗剤ORMECON D1021W−1(ORMECON CHEMIE Gmbh&Co.KG社製:ポリアニリンドープ品、固形分3.7重量%)を用いた。
(塗剤5:イオン導電性ポリマー1)
ポリスチレンスルホン酸リチウム塩の30重量%水溶液を用いた。
(塗剤6:イオン導電性ポリマー2)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(共栄社化学(株)製ライトエステルDQ−100:固形分20重量%水溶液)を用いた。
(架橋触媒)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(イルガキュア184:長瀬産業(株)製)を用いた。
(溶剤)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた。
上記の材料を表1に示す混合比率(固形分重量比)で混合して塗布液とした。
(製膜方法)
調合塗液をフッ素処理金属板上へアプリケーターを用いて塗工後、150℃の熱風オーブンにて1分間加熱し、溶媒を除去させた後、照射強度が1000mJ/cmとなる紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、金属板から剥離してフィルムを得た。なおフィルム厚みは50μmとし、各塗液の濃度に応じてウェットでの塗布厚みを調整した。
なお比較例8についてはPET基材フィルム(ルミラーU34:東レ(株)製)上に実施例2の処方の塗剤を架橋後の最終厚みが5μmになるように塗布した。
上記の方法によって作成したフィルムの評価結果を表2に示す。
π共役系ポリマーの配合量が少ない場合(比較例1,2)では十分な帯電防止効果が得られず、本発明の範囲を越えて配合した場合(比較例3)表面硬度、透明性に劣り、光学等方性も不十分なものであった。π共役系ポリマーの配合量が本発明の範囲にある場合(実施例1〜5、実施例9)には表面硬度、自己支持性、表面比抵抗、透明性、光学等方性のバランスの良いフィルムであった。
多官能アクリレートを添加しない場合(比較例4)では表面硬度が不足し、本発明の範囲を超えて配合した場合(比較例5)には自己支持性が無く、曲げによって容易に破損した。
多官能アクリレートの配合量が本発明の範囲にある場合(実施例6〜8)には全ての評価において良好な特性を示した。
π共役系ポリマーに代えてイオン導電性ポリマーを用いた場合(比較例6,7)では表面比抵抗の湿度依存性が大きく、鉛筆硬度の低下が発生した。
本発明のフィルムをPETフィルム上に積層したもの(比較例8)では、屈折率の異なる積層構造となるために干渉縞の発生が著しく、PET由来の光学等方性に劣るものであった。
Figure 2008056716
Figure 2008056716
本発明の透明架橋フィルムは、光学用フィルムとして満足しうる透明性、帯電防止性、光学的等方性があり、虹彩模様が抑制され、かつ表面硬度にも優れる自己支持性の単独フィルムであり、各種ディスプレイの基材フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. ビニルエステル組成物を100重量部として、多官能アクリレート5〜50重量部、π共役系ポリマー0.05〜5重量部を含有してなる透明架橋フィルム。
  2. リターデーションが5nm以下である請求項1に記載の透明架橋フィルム。
  3. π共役系ポリマーが、ポリフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体よりなる群から選ばれた1種以上である請求項1または2に記載の透明架橋フィルム。
  4. 25℃、70%RH条件での表面比抵抗R70が1.0×1010Ω/□以下、25℃、20%RH条件下での表面比抵抗R20が1.0×1010Ω/□以下であって、R20/R70が0.1〜10である請求項1〜3のいずれかに記載の透明架橋フィルム。
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