JP2008055335A - 排気ガス浄化触媒装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気ガスの雰囲気変化によるPtやRhの層間移動を効果的に抑制して、Pt−Rh固溶による浄化性能の低下を効果的に抑制する。
【解決手段】この排気ガス浄化触媒装置1は、リーン雰囲気、ストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気の排気ガスを排出する内燃機関(エンジン2)の排気経路に配設され、内燃機関から排出される排気ガスが分岐して流れる第1分流路11及び第2分流路12と、第1分流路11に配設され、Rhを含む第1表層及びPtを含む第1内層を第1触媒層として有する第1の2層コート触媒RPと、第2分流路12に配設され、Ptを含む第2表層及びRhを含む第2内層を第2触媒層として有する第2の2層コート触媒PRと、ストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気の排気ガスが第1分流路11を流通し且つリーン雰囲気の排気ガスが第2分流路12を流通するように流路を切り換える切替手段40と、を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】この排気ガス浄化触媒装置1は、リーン雰囲気、ストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気の排気ガスを排出する内燃機関(エンジン2)の排気経路に配設され、内燃機関から排出される排気ガスが分岐して流れる第1分流路11及び第2分流路12と、第1分流路11に配設され、Rhを含む第1表層及びPtを含む第1内層を第1触媒層として有する第1の2層コート触媒RPと、第2分流路12に配設され、Ptを含む第2表層及びRhを含む第2内層を第2触媒層として有する第2の2層コート触媒PRと、ストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気の排気ガスが第1分流路11を流通し且つリーン雰囲気の排気ガスが第2分流路12を流通するように流路を切り換える切替手段40と、を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は排気ガス浄化触媒装置に関し、詳しくは、排気ガス中に含まれるHC、CO及び窒素酸化物(NOx)を浄化することのできる排気ガス浄化触媒装置に関する。
自動車等の内燃機関の排気ガス中に含まれるHC、CO及び窒素酸化物(NOx)を浄化する排気ガス浄化触媒として、三元触媒が広く用いられている。三元触媒は、一般には、理論空燃比での機関運転時に高い浄化性能を発揮するものになっている。
この三元触媒の触媒金属としては、一般に白金やロジウム等の貴金属が用いられている。白金は主にHCやCOの浄化に有効である一方、ロジウムは主に窒素酸化物の浄化に有効である。しかし、白金とロジウムとが共存すると、Pt−Rhの固溶により両者の浄化性能が低下するという問題がある。
そこで、白金とロジウムとの共存を防ぐために、白金とロジウムとをコート層別に分離担持した2層コート式の三元触媒が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
この2層コート式の三元触媒では、担体上に形成された触媒層が、担体上に形成され、貴金属として白金及びロジウムの一方を含む内層と、この内層上に形成され、貴金属として白金及びロジウムの他方を含む表層とから構成されている。
このような2層コート式の三元触媒では、白金とロジウムとが層別に分離担持されているので、白金とロジウムとの共存によるPt−Rhの固溶が抑制され、Pt−Rh固溶による性能低下の問題が抑制される。
WO02/002916号公報
実公平4−51864号公報
しかしながら、上記従来の2層コート式の三元触媒によっても、Pt−Rhの固溶を確実に防止することができず、Pt−Rh固溶による性能低下の問題を解消することができなかった。これは、内燃機関の運転状況等に応じて排気ガス雰囲気がリーン、ストイキ又はリッチと変化するが、排気ガス雰囲気やその変化の仕方によっては、PtやRhが移動したり、その移動距離が長くなったりすることがあり、その結果PtやRhが層間移動を起こして両者が共存してしまうためと考えられる。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、排気ガスの雰囲気がリーン、ストイキ及びリッチのいずれであっても、また排気ガス雰囲気がどのように変化しても、PtやRhの層間移動を効果的に抑制することができ、したがってPt−Rh固溶による浄化性能の低下を効果的に抑制することのできる排気ガス浄化触媒装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の排気ガス浄化触媒装置は、リーン雰囲気、ストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気の排気ガスを排出する内燃機関の排気経路に配設される排気ガス浄化触媒装置であって、前記内燃機関から排出される排気ガスが分岐して流れる第1分流路及び第2分流路と、前記第1分流路に配設され、ロジウムを含む第1表層及び白金を含む第1内層を第1触媒層として有する第1触媒と、前記第2分流路に配設され、白金を含む第2表層及びロジウムを含む第2内層を第2触媒層として有する第2触媒と、ストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気の排気ガスが前記第1分流路を流通し且つリーン雰囲気の排気ガスが前記第2分流路を流通するように流路を切り換える切替手段と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明の排気ガス浄化触媒装置では、内燃機関の運転状況等に応じてその内燃機関から排出される排気ガスの雰囲気が変化したときに、その雰囲気に応じて排気ガスを第1触媒又は第2触媒に切り換えて流すことにより、排気ガスの雰囲気がリーン、ストイキ及びリッチのいずれであっても、また排気ガス雰囲気がどのように変化しても、第1触媒及び第2触媒の双方において、白金やロジウムの層間移動を効果的に抑制することができる。
したがって、本発明の排気ガス浄化触媒装置によれば、Pt−Rh固溶による浄化性能の低下を効果的に抑えることができ、長期にわたって、白金及びロジウムの高い浄化性能を維持することが可能となる。
(雰囲気変化とPt及びRhの移動との関係についての実験、調査、考察結果)
排気ガス雰囲気の変化と白金(Pt)及びロジウム(Rh)の移動との関係について、本発明者が実験、調査した結果を示す。
排気ガス雰囲気の変化と白金(Pt)及びロジウム(Rh)の移動との関係について、本発明者が実験、調査した結果を示す。
Pt:2wt%相当のジニトロジアンミンPt薬液をCZ(Ce:Zr=7:3)担体に含浸し、乾燥・焼成して、Pt触媒粉末を調整した。また、Rh:1wt%相当の硝酸Rh薬液をZrO2担体に含浸し、乾燥・焼成して、Rh触媒粉末を調整した。
そして、Pt触媒粉末88g、Al2O3粉末26g及びアルミナゾル5gを水に加え、よく撹拌してPt触媒スラリーを調整した。このPt触媒スラリーを、セラミックス製モノリス担体(0.65リットル、400セル/in2)にウォッシュコートし、乾燥・焼成して、Pt触媒をモノリス担体上にコーティングした。
次に、Rh触媒粉末39g、Al2O3粉末10g及びアルミナゾル4gを水に加え、よく撹拌してRh触媒スラリーを調整した。このRh触媒スラリーを、上記Pt触媒をコーティングしたモノリス担体にウォッシュコートし、乾燥・焼成して、Pt触媒がコーティングされたモノリス担体上にRh触媒をコーティングした。
こうして、モノリス担体上に形成された触媒層が、モノリス担体上に形成されPtを含む内層と、この内層上に形成されRhを含む表層とからなる、2層コート触媒RPを製造した。
一方、上記Pt触媒粉末88g、Rh触媒粉末39g、Al2O3粉末36g及びアルミナゾル9gを水に加え、よく撹拌してPt・Rh触媒スラリーを調整した。このPt・Rh触媒スラリーを、上記モノリス担体にウォッシュコートし、乾燥・焼成して、Pt・Rh触媒をモノリス担体上にコーティングした。
こうして、モノリス担体上に形成された触媒層がPt及びRhを含む、1層コート触媒を製造した。
<リッチ/リーン1000℃耐久試験、リーンオンリー1000℃耐久試験>
得られた2層コート触媒RPについて、リッチ/リーン1000℃耐久試験と、リーンオンリー1000℃耐久試験とを実施した。
得られた2層コート触媒RPについて、リッチ/リーン1000℃耐久試験と、リーンオンリー1000℃耐久試験とを実施した。
ここに、リッチ/リーン1000℃耐久試験は、得られた2層コート触媒RPをエンジンベンチ評価装置に配設し、1.8リットルエンジン、雰囲気:フィードバック/フューエルカット=7秒/3秒、触媒床温:1000℃、50時間の条件で行った。
また、リーンオンリー1000℃耐久試験は、得られた2層コート触媒RPを電気炉に配設し、雰囲気:空気、1000℃、50時間の条件で行った。
そして、各試験後の2層コート触媒RPについて、断面におけるPtの分布を調べるためのEPMA分析を行った。図6に、リッチ/リーン1000℃耐久試験後の2層コート触媒RPについてEPMA分析した結果を示し、図7に、リーンオンリー1000℃耐久試験後の2層コート触媒RPについてEPMA分析した結果を示す。
図6及び図7は本来カラー画像であるが白黒画像に変換して示している。この図6及び図7において、白く見える部分にPtが存在している。なお、図6における白い点線は2層コート界面、すなわちPtを含む内層とRhを含む表層との界面を示し、図7における白い点線はコート層表面、すなわちRhを含む表層の表面を示す。
図6より、2層コート触媒RPを高温でリッチ雰囲気とリーン雰囲気とに繰り返し晒すことで、内層に存在していたPtが表層まで移動し、その移動距離は数10μmと大きいことがわかった。また、図7により、2層コート触媒を高温でリーン雰囲気に晒しただけでは、内層に存在していたPtが表層に移動しないことがわかった。
<RL900耐久試験、FC950耐久試験>
次に、前記2層コート触媒RPについて、RL900耐久試験とFC950耐久試験とを実施するとともに、前記1層コート触媒について、RL900耐久試験を実施した。
次に、前記2層コート触媒RPについて、RL900耐久試験とFC950耐久試験とを実施するとともに、前記1層コート触媒について、RL900耐久試験を実施した。
ここに、RL900耐久試験は、得られた触媒をエンジンベンチ評価装置に配設し、1.8リットルエンジン、雰囲気:A/F=14.1とA/F=15.1との0.5Hzでの繰り返し、入りガス温度:900℃、50時間の条件で行った。なお、このRL900耐久試験は、高速定常走行を模擬するものである。
また、FC950耐久試験は、得られた触媒をエンジンベンチ評価装置に配設し、1.8リットルエンジン、雰囲気:フィードバック/フューエルカット=7秒/3秒、触媒床温:950℃、50時間の条件で行った。なお、このFC950耐久試験は、高速加・減速走行を模擬するものである。
そして、各試験後の触媒から触媒層を掻き取り、その粉末をXRDでそれぞれ分析した。これらのXRD分析結果を図8に示す。
図8において、一番上の線が、FC950耐久試験後の2層コート触媒RPのXRD分析結果を示すPt(111)回折ピークプロファイルであり、真ん中の線が、RL900耐久試験後の2層コート触媒RPのXRD分析結果を示すPt(111)回折ピークプロファイルであり、一番下の線が、RL900耐久試験後の1層コート触媒のXRD分析結果を示すPt(111)回折ピークプロファイルである。また、図8におけるアスタリスク(*)印は、この部位でPt−Rh固溶が起こっていることを示す。
図8に示されるように、リーン雰囲気(空燃比A/F=15)での酸素濃度が低いRL900耐久試験により、1層コート触媒ではPt−Rh固溶が起こったのに対し、2層コート触媒RPではPt−Rh固溶が起こらなかった。これは、PtとRhとをコート層別に分離担持することにより、PtとRhとの共存が抑制されたためと考えられる。
一方、リーン雰囲気(空気)での酸素濃度が高いFC950耐久試験では、2層コート触媒RPであっても、Pt−Rh固溶が一部で起こった。これにより、実車で行われる高速加・減速走行によって、2層コート触媒RPであっても、Pt−Rh固溶が一部で起こることがわかった。また、2層コート触媒RPがストイキ雰囲気と酸素濃度の高いリーン雰囲気とに繰り返し晒されることにより、Pt及びRhの双方が移動してPt−Rh固溶が一部で起こることがわかった。
<エア耐久試験、O2:100%耐久試験>
さらに、前記2層コート触媒RPについて、エア耐久試験と、O2:100%耐久試験とを実施した。
さらに、前記2層コート触媒RPについて、エア耐久試験と、O2:100%耐久試験とを実施した。
ここに、エア耐久試験は、前記2層コート触媒RPを電気炉に配設し、雰囲気:空気、1000℃、10時間の条件で行った。
また、O2:100%耐久試験は、前記2層コート触媒RPを管状炉に配設し、リーン雰囲気としてのO2100%を、触媒床温1000℃、流量1リットル/分で10時間流すことにより行った。
そして、各試験後の2層コート触媒RPについて、断面における各元素の分布を調べるためのEPMA分析を行った。図9〜図14に、エア耐久試験後の2層コート触媒RPについてEPMA分析した結果を示し、図15〜図20に、O2:100%耐久試験後の2層コート触媒RPについてEPMA分析した結果を示す。なお、図9〜図20は本来カラー画像であるが白黒画像に変換して示している。これら図9〜図20において、白く見える部分に元素が存在している。
図9〜図20(特に、Ptの分布を示す図11及び図17)より、内層に存在するPtは、エア耐久試験後及びO2:100%耐久試験後のいずれにおいても、内層から表層へ移動しなかった。
また、図9〜図20(特に、Rhの分布を示す図12及び図18)より、表層に存在していたRhは、エア耐久試験後及びO2:100%耐久試験後のいずれにおいても、表層から内層へ移動した。また、図12と図18とを比較するとわかるように、Rhの移動距離は、酸素濃度が高くなるほど大きくなった。
これらの試験(リッチ/リーン1000℃耐久試験、リーンオンリー1000℃耐久試験、RL900耐久試験、FC950耐久試験、エア耐久試験後及びO2:100%耐久試験)結果より、以下に示す(a)〜(c)のことがわかった。
(a)Ptは、高温で、リーンオンリー雰囲気に晒されただけでは移動しない。
(b)Pt及びRhは、高温で、リッチ雰囲気とリーン雰囲気とに繰り返し晒されたり、あるいはストイキ雰囲気とリーン雰囲気とに繰り返し晒されたりすることにより移動し、このときの移動はリーン雰囲気時に起こると推定される。
(c)Rhは、高温で、リーンオンリー雰囲気に晒されただけでも移動し、Rhの移動距離は酸素濃度が高いほど大きくなる。
また、本発明者は、以下に示す(d)〜(f)のことも確認している。
(d)Pt及びRhは、リッチオンリー雰囲気に晒されたり、あるいはリッチ雰囲気とストイキ雰囲気とに繰り返し晒されたりしても、移動しない。
(e)Rhは、リーン雰囲気であっても、酸素濃度が極端に低い場合には移動しない。
(f)Pt及びRhの移動距離は大きい(特に、Rhに比べてPtの移動距離が大きく数10μmにも及ぶ)ため、PtとRhとをコート層別に分離担持しても、内層から表層又は表層から内層への層間移動により、PtとRhとの共存が起こりうる。
ここに、前記2層コート触媒RPにおいて、高温での雰囲気や雰囲気変化により、Ptが内層から表層へ層間移動するか否か、及びRhが表層から内層へ層間移動するか否かをまとめた結果を表1に示す。
以上の実験、調査、考察結果より、2層コート触媒として、表層にRhを含み内層にPtを含む第1触媒RPと、表層にPtを含み内層にRhを含む第2触媒PRとの2種類を用いるとともに、以下に示す(A)〜(C)の条件で排気ガスを流すことにより、第1触媒RP及び第2触媒PRのいずれにおいても、Pt−Rhの固溶を効果的に防止できることが明らかとなった。
(A)第1触媒RPには、リーン雰囲気の排気ガスを流さない。
(B)第2触媒PRには、リッチ雰囲気の排気ガスとリーン雰囲気の排気ガスとを繰り返し流さない。
(C)第2触媒PRには、ストイキ雰囲気の排気ガスとリーン雰囲気の排気ガスとを繰り返し流さない。
そこで、本発明者は、2層コート触媒として、表層にRhを含み内層にPtを含む第1触媒RPと、表層にPtを含み内層にRhを含む第2触媒PRとの2種類を用いるとともに、排気ガスの雰囲気変化に応じて、排気ガスを第1触媒RP又は第2触媒PRに切り換えて流すことを創案し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の排気ガス浄化触媒装置は、リーン雰囲気、ストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気の排気ガスを排出する内燃機関の排気経路に配設されものであって、第1分流路及び第2分流路と、第1分流路に配設される第1触媒RPと、第2分流路に配設される第2触媒PRと、排気ガスが流通する流路を第1分流路と第2分流路とに切り換える切替手段とを備えている。
前記内燃機関の排気経路に配設される本発明の排気ガス浄化触媒装置は、この排気経路から分岐する第1分流路及び第2分流路を備えている。これにより、内燃機関から排出された排気ガスが排気経路を通って第1分流路と第2分流路とに分岐して流れる。
前記第1分流路に配設された前記第1触媒RPは、第1触媒層として、Rhを含む第1表層と、Ptを含む第1内層とを有している。Rhは主に窒素酸化物の浄化に有効であり、また、Ptは主にHCやCOの浄化に有効である。この第1触媒RPにおける第1表層には、Rhの他に、Rh以外の貴金属(Ptは除く)やアルカリ金属等の触媒金属が含まれていてもよい。同様に、第1触媒RPにおける第1内層には、Ptの他に、Pt以外の貴金属(Rhは除く)やアルカリ金属等の触媒金属が含まれていてもよい。また、第1触媒RPにおける第1触媒層は、好適には、所定形状の担体の表面に形成することができる。この担体の形状や材質等は特に限定されず、耐火性のセラミックス粉末や金属製基材を採用することも可能であるが、好適には、耐火性セラミックスより一体成形されたハニカム状等のモノリス担体とすることができる。
前記第2分流路に配設された前記第2触媒PRは、第2触媒層として、Ptを含む第2表層と、Rhを含む第2内層とを有している。この第2触媒PRにおける第2表層には、Ptの他に、Pt以外の貴金属(Rhは除く)やアルカリ金属等の触媒金属が含まれていてもよい。同様に、第2触媒PRにおける第2内層には、Rhの他に、Rh以外の貴金属(Ptは除く)やアルカリ金属等の触媒金属が含まれていてもよい。また、第2触媒PRにおける第2触媒層は、好適には、所定形状の担体の表面に形成することができる。この担体の形状や材質等は特に限定されず、耐火性のセラミックス粉末や金属製基材を採用することも可能であるが、好適には、耐火性セラミックスより一体成形されたハニカム状等のモノリス担体とすることができる。
また、前記第1触媒RP及び前記第2触媒PRにおける容積やセル数も特に限定されず、使用目的等に応じて適宜設定可能である。
さらに、前記第1触媒RPの第1表層及び第1内層並びに前記第2触媒PRにおける第2表層及び第2内層における、触媒金属の担持量も特に限定されず、要求される浄化性能や耐久時間等に応じて適宜設定可能である。また、触媒金属の担持方法も特に限定されず、触媒粉末から調整したスラリーを担体にウォッシュコートし、乾燥・焼成するという、公知の方法を採用することができる。
前記切替手段は、内燃機関から排気された排気ガスがストイキ雰囲気である場合及びリッチ雰囲気である場合はその排気ガスが前記第1分流路を流通し、且つ、内燃機関から排気された排気ガスがリーン雰囲気である場合はその排気ガスが前記第2分流路を流通するように、流路を切り換えるものであれば、その具体的構成は特に限定されない。
例えば、前記切替手段は、前記内燃機関の運転状況又は前記内燃機関からの排気ガス雰囲気を検知する検知手段と、前記内燃機関から排出された排出ガスが前記第1分流路又は前記前記第2分流路に二者択一的に流通するように流路を切り換える切替バルブと、前記検知手段からの検知信号に基づいて前記切替バルブに所定のバルブ切替信号を発する制御手段とを備えた構成とすることができる。この構成により、内燃機関の運転状況等を検知手段で検知し、制御手段が、検知手段からの検知信号に基づいて所定のバルブ切替信号を切替バルブに発することで、内燃機関がストイキ(理論)空燃比運転時にあるときは該内燃機関からの排気ガスを第1分流路に流通させ、内燃機関がリッチ空燃比運転時にあるときは該内燃機関からの排気ガスを第1分流路に流通させ、且つ、内燃機関がリーン空燃比運転時にあるときは該内燃機関からの排気ガスを第2分流路に流通させるようにすることができる。
内燃機関の運転状況を検知する前記検知手段として、好適には、内燃機関が加速運転にあるか、定常運転にあるか又は減速運転にあるかを検知することのできる、例えばスロットル開度センサとすることができる。スロットル開度センサによれば、内燃機関の運転状況を的確に判断することができ、内燃機関が加速運転にあるか、定常運転にあるか又は減速運転にあるかを正確に判別することができる。なお、内燃機関が加速運転にあるときは、その内燃機関はリッチ空燃比運転となってリッチ雰囲気の排気ガスを排出し、内燃機関が定常運転にあるときは、その内燃機関は理論空燃比運転となってストイキ雰囲気の排気ガスを排出し、内燃機関が減速運転にあるときは、その内燃機関はリーン空燃比運転となってリーン雰囲気の排気ガスを排出する。
また、内燃機関からの排気ガス雰囲気を検知する検知手段として、好適には、内燃機関から排出される排気ガスがリッチ雰囲気であるか、ストイキ雰囲気であるか又はリーン雰囲気であるかを検知することのできる、例えばO2センサ等の酸素濃度検出センサとすることができる。酸素濃度検出センサによれば、内燃機関から排出される排気ガスの雰囲気を的確に判断することができ、排気ガス雰囲気がリッチであるか、ストイキであるか又はリーンであるかを正確に判別することができる。
内燃機関から排出された排出ガスが第1分流路又は前記第2分流路を流通するように流路を切り換える前記切替バルブは、内燃機関から排出された排気ガスが流れる排気経路から第1分流路及び第2分流路に分岐する上流側分岐点と、該第1分流路及び該第2分流路が合流する下流側合流点とのうちの少なくとも一方に設けることができる。ただし、第1分流路及び第2分流路のうちの一方の流路を特定雰囲気の排気ガスが流通するときは、他方の流路をこの特定雰囲気の排気ガスから遮断して当該他方の流路に配設された触媒がこの特定雰囲気の排気ガスに晒されることを確実に防いだり、あるいは機関停止時に排気経路の下流に通じる大気に触媒が晒されることを防いだりする観点より、前記上流側分岐点及び前記下流側合流点の双方に切替バルブを設けることが好ましい。
上記構成を有する本発明の排気ガス浄化触媒装置では、内燃機関から排出される排気ガスがストイキ雰囲気である場合及びリッチ雰囲気である場合は、切替手段が流路を切り換えることにより、それらの排気ガスは第1分流路を流通する。この第1分流路には、Rhを含む第1表層とPtを含む第1内層とを第1触媒層として有する第1触媒RPが配設されている。一方、内燃機関から排出される排気ガスがリーン雰囲気であるときは、切替手段が流路を切り換えることにより、その排気ガスは第2分流路を流通する。この第2分流路には、Ptを含む第2表層とRhを含む第2内層とを第2触媒層として有する第2触媒PRが配設されている。
この排気ガス浄化触媒装置では、第2分流路に配設された第2触媒PRには、リーン雰囲気の排気ガスしか流れない。前記(a)及び表1に示されるとおり、Ptは、高温で、リーンオンリー雰囲気に晒されただけでは移動しない。このため、第2触媒PRの第2表層に含まれるPtは、第2内層に移動せず、第2内層でPtとRhとが共存することがない。また、前記(c)、(e)及び表1に示されるとおり、Rhは、高温で、リーンオンリー雰囲気に晒されただけでも移動するが、酸素濃度が低ければRhの移動距離が短くなる。この第2触媒PRにおいては、第2表層で酸素がある程度消費される。このため、第2内層における酸素濃度は低くなり、第2内層に含まれるRhの移動距離が短くなる。したがって、第2表層中でPtとRhとが共存する範囲が狭くなる。よって、第2触媒PRにおいて、第2表層における純Ptの領域及び第2内層における純Rhの領域が共に確保され、Pt−Rh固溶による性能低下が抑制される。
また、第2触媒PRにおいては酸化反応に強いPtが第2表層に含まれているため、リーン雰囲気下でのHC、COの浄化反応が高効率で進む。
一方、第1分流路に配設された第1触媒RPには、リッチ雰囲気の排気ガスとストイキ雰囲気の排気ガスとが流れる。このため、この第2触媒RPは、リッチ雰囲気の排気ガスとストイキ雰囲気の排気ガスとに繰り返し晒されることになる。ところが、前記(d)及び表1に示されるとおり、Pt及びRhは、いずれもリッチ雰囲気とストイキ雰囲気とに繰り返し晒されても殆ど移動しない。このため、第1触媒RPにおいては、第1表層及び第1内層のいずれにおいてもPt−Rh固溶が殆ど起こらない。
また、第1触媒RPにおいてはNOxの浄化に強いRhが第1表層に含まれているため、リッチ雰囲気、ストイキ雰囲気下で、高いNOx浄化性能が発揮される。
このように、本発明の排気ガス浄化触媒装置では、内燃機関から排出される排気ガスの雰囲気に応じて、排気ガスを第1触媒RP又は第2触媒PRに切り換えて流すことにより、排気ガス雰囲気がリーン、ストイキ及びリッチのいずれであっても、また排気ガス雰囲気がどのように変化しても、第1触媒RP及び第2触媒PRの双方において、PtやRhの層間移動を効果的に抑制することができる。
したがって、本発明の排気ガス浄化触媒装置によれば、Pt−Rh固溶による浄化性能の低下を効果的に抑えることができ、長期にわたって、Pt及びRhの高い浄化性能を維持することが可能となる。
(実施例)
以下、本発明の排気ガス浄化触媒装置の実施例について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
以下、本発明の排気ガス浄化触媒装置の実施例について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
本実施例の排気ガス浄化触媒装置1は、図1に示されるように、自動車エンジン2のエキゾーストマニホールド2aに接続された排気管3に配設され、この排気管3から分岐する第1分流路11及び第2分流路12と、第1分流路11に配設された第1触媒コンバータ20と、第2分流路12に配設された第2触媒コンバータ30と、排気ガスが流通する流路を第1分流路11と第2分流路12とに切り換える切替手段40とを備えている。
第1分流路11に配設された第1触媒コンバータ20内には、第1の2層コート触媒RPが収納されている。この第1の2層コート触媒RPは、図2に示されるように、耐火性セラミックスより一体成形されたハニカム状のモノリス担体(0.65リットル、400セル/平方インチ)21と、このモノリス担体21に形成された第1触媒層22とを備えている。この第1触媒層22は、モノリス担体21上に形成された、Ptを含む第1内層22aと、この第1内層22a上に形成された、Rhを含む第1表層22bとから構成されている。
この第1の2層コート触媒RPは以下のようにして製造した。
まず、Pt:2wt%相当のジニトロジアンミンPt薬液をCZ(Ce:Zr=7:3)担体に含浸し、乾燥・焼成して、Pt触媒粉末を調整した。また、Rh:1wt%相当の硝酸Rh薬液をZrO2担体に含浸し、乾燥・焼成して、Rh触媒粉末を調整した。
そして、Pt触媒粉末88g、Al2O3粉末26g及びアルミナゾル5gを水に加え、よく撹拌してPt触媒スラリーを調整した。このPt触媒スラリーを、モノリス担体21にウォッシュコートしてから乾燥・焼成して、Pt触媒をモノリス担体21上にコーティングし、モノリス担体21上にPtを含む第1内層22aを形成した。
次に、Rh触媒粉末39g、Al2O3粉末10g及びアルミナゾル4gを水に加え、よく撹拌してRh触媒スラリーを調整した。このRh触媒スラリーを、上記第1内層22aを形成したモノリス担体21にウォッシュコートしてから乾燥・焼成して、Pt触媒がコーティングされたモノリス担体21上にRh触媒をコーティングし、上記第1内層22a上にRhを含む第1表層22bを形成した。
こうして、モノリス担体21上に形成された触媒層22が、モノリス担体21上に形成されPtを含む第1内層22aと、この第1内層22a上に形成されRhを含む第1表層22bとからなる、第1の2層コート触媒RPを製造した。
第2分流路12に配設された第2触媒コンバータ30内には、第2の2層コート触媒PRが収納されている。この第2の2層コート触媒PRは、図3に示されるように、耐火性セラミックスより一体成形されたハニカム状のモノリス担体(0.65リットル、400セル/平方インチ)31と、このモノリス担体31上に形成された第2触媒層32とから構成されている。この第2触媒層32は、モノリス担体31上に形成された、Rhを含む第2内層32aと、この第2内層32a上に形成された、Ptを含む第2表層32bとから構成されている。
この第2の2層コート触媒PRは以下のようにして製造した。
第1の2層コート触媒RPと同様にして、Pt触媒粉末及びRh触媒粉末を調整してから、Pt触媒スラリー及びRh触媒スラリーを調整した。
そして、Rh触媒スラリーを、モノリス担体31にウォッシュコートしてから乾燥・焼成して、Rh触媒をモノリス担体31上にコーティングし、モノリス担体31上にRhを含む第2内層32aを形成した。
次に、Pt触媒スラリーを、上記第2内層32aを形成したモノリス担体31にウォッシュコートしてから乾燥・焼成して、Rh触媒がコーティングされたモノリス担体31上にPt触媒をコーティングし、上記第2内層32a上にPtを含む第2表層32bを形成した。
こうして、モノリス担体31上に形成された触媒層32が、モノリス担体31上に形成されRhを含む第2内層32aと、この第2内層32a上に形成されPtを含む第2表層32bとからなる、第2の2層コート触媒PRを製造した。
切替手段40は、エンジン2の運転状況を検知する検知手段41と、エンジン2から排出された排出ガスが第1分流路11又は第2分流路12に二者択一的に流通するように流路を切り換える第1切替バルブ42a及び第2切替バルブ42bと、検知手段41からの検知信号に基づいて第1切替バルブ42a及び第2切替バルブ42bに所定のバルブ切替信号を発する制御手段43とを備えている。
検知手段41は、エンジン2におけるスロットル開度を検出するスロットル開度センサよりなる。
第1切替バルブ42aは、エンジン2から排出された排気ガスが流れる排気管3から第1分流路11及び第2分流路12に分岐する上流側分岐点に配設されている。また、第2切替バルブ42bは、第1分流路11及び第2分流路12が排気管3に合流する下流側合流点に配設されている。これにより、第1分流路11及び第2分流路12のうちの一方の流路を特定雰囲気の排気ガスが流通するときは、他方の流路をこの特定雰囲気の排気ガスから遮断して当該他方の流路に配設された触媒がこの特定雰囲気の排気ガスに晒されることを防ぐことができるとともに、エンジン2の停止時に排気管3の下流に通じる大気に触媒が晒されることを防ぐことができるようになっている。
制御手段43は、検知手段41から入力された検知信号に基づいて、エンジン2の運転状況を判断する。すなわち、検知手段41としてのスロットル開度センサで検出したスロットル開度に基づき、エンジン2が加速運転にあるか、定常運転にあるか又は減速運転にあるかを判断する。なお、エンジン2が加速運転(リッチ空燃比運転)にあるときは、そのエンジン2からリッチ雰囲気の排気ガスが排出され、エンジン2が定常運転(理論空燃比運転)にあるときは、そのエンジン2からストイキ雰囲気の排気ガスが排出され、エンジン2が減速運転(リーン空燃比運転)にあるときは、そのエンジン2からリーン雰囲気の排気ガスが排出される。
そして、制御手段43は、エンジン2が定常運転にあると判断したとき及び加速運転にあると判断したときは、定常運転にあるエンジン2から排出されるストイキ雰囲気の排気ガス及び加速運転にあるエンジン2から排出されるリッチ雰囲気の排気ガスが第1分流路11を流通し且つ第2分流路12を流通しないように、第1切替バルブ42a及び第2切替バルブ42bを制御する。また、制御手段43は、エンジン2が減速運転にあると判断したときは、そのエンジン2から排出されるリーン雰囲気の排気ガスが第2分流路12を流通し且つ第1分流路11を流通しないように、第1切替バルブ42a及び第2切替バルブ42bを制御する。
したがって、この排気ガス浄化触媒装置1では、第2分流路12に配設された第2の2層コート触媒PRには、リーン雰囲気の排気ガスしか流れない。このため、第2の2層コート触媒PRの第2表層32bに含まれるPtは、第2内層32aに移動せず、第2内層32aでPtとRhとが共存することがない。また、この第2の2層コート触媒PRにおいては、第2表層32bで酸素がある程度消費されるため、第2内層32aにおける酸素濃度は低くなり、第2内層32aに含まれるRhの移動距離が短くなる。このため、第2の2層コート触媒PRにおいて、第2表層32bにおける純Ptの領域及び第2内層32aにおける純Rhの領域が共に確保され、Pt−Rh固溶による性能低下が抑制される。
また、第1分流路11に配設された第1の2層コート触媒RPには、リッチ雰囲気の排気ガスとストイキ雰囲気の排気ガスとが流れる。このため、この第1の2層コート触媒RPにおいては、Pt及びRhがいずれも殆ど移動せず、第1表層及び第1内層のいずれにおいてもPt−Rh固溶が殆ど起こらない。
よって、本実施例の排気ガス浄化触媒装置1によれば、Pt−Rh固溶による浄化性能の低下を効果的に抑えることができ、長期にわたって、Pt及びRhの高い浄化性能を維持することが可能となる。
(比較例1)
実施例と同様にして、Pt触媒粉末及びRh触媒粉末を調整した。
実施例と同様にして、Pt触媒粉末及びRh触媒粉末を調整した。
そして、Pt触媒粉末176g、Al2O3粉末52g及びアルミナゾル10gを水に加え、よく撹拌してPt触媒スラリーを調整した。このPt触媒スラリーを、実施例と同様の耐火性セラミックスより一体成形されたハニカム状のモノリス担体(1.6リットル、400セル/平方インチ)にウォッシュコートして、乾燥・焼成し、Pt触媒をモノリス担体上にコーティングした。
次に、Rh触媒粉末78g、Al2O3粉末20g及びアルミナゾル8gを水に加え、よく撹拌してRh触媒スラリーを調整した。このRh触媒スラリーを、上記Pt触媒がジーティングされたモノリス担体にウォッシュコートして、乾燥・焼成し、Pt触媒がコーティングされたモノリス担体上にRh触媒をコーティングした。
こうして、モノリス担体上に形成された触媒層が、モノリス担体上に形成されPtを含む内層と、この内層上に形成されRhを含む表層とからなる、2層コート触媒RPを製造した。
そして、この2層コート触媒RPを触媒コンバータに収納し、前記第1分流路11、前記第2分流路12及び前記切替手段40を有しない、前記エンジン2の排気経路に配設した。
このため、この2層コート触媒RPは、リッチ雰囲気とリーン雰囲気とに繰り返し晒されることになる。
(比較例2)
Pt触媒とRh触媒のコーティング順序を逆にすること以外は、比較例1と同様である。
Pt触媒とRh触媒のコーティング順序を逆にすること以外は、比較例1と同様である。
すなわち、比較例1と同様のモノリス担体上にRh触媒をコーティングしてからPt触媒をコーティングして、モノリス担体上に形成された触媒層が、モノリス担体上に形成されRhを含む内層と、この内層上に形成されPtを含む表層とからなる、2層コート触媒PRを製造した。
そして、比較例1と同様、この2層コート触媒PRを触媒コンバータに収納し、前記第1分流路11、前記第2分流路12及び前記切替手段40を有しない、前記エンジン2の排気経路に配設した。
このため、この2層コート触媒PRは、リッチ雰囲気とリーン雰囲気とに繰り返し晒されることになる。
(評価試験)
実施例、比較例1及び比較例2の排気ガス浄化触媒装置について、エンジンベンチにて、図4に示す条件で100時間耐久試験を実施した。
実施例、比較例1及び比較例2の排気ガス浄化触媒装置について、エンジンベンチにて、図4に示す条件で100時間耐久試験を実施した。
そして、耐久試験後、実施例の排気ガス浄化触媒装置における第2触媒コンバータ30から第2の2層コート触媒PRを取り出し、この第2の2層コート触媒PRから30φ×50Lのテストピースを切り出した。
また、比較例1の排気ガス浄化触媒装置における触媒コンバータから2層コート触媒RPを取り出し、この2層コート触媒RPから30φ×50Lのテストピースを切り出した。同様にして、比較例2の排気ガス浄化触媒装置における触媒コンバータから2層コート触媒PRを取り出し、この2層コート触媒PRから30φ×50Lのテストピースを切り出した。
そして、実施例、比較例1及び比較例2の各テストピースについて、モデルガス評価装置にてNOxに対する50%浄化温度を評価した。なお、このとき用いたモデルガスの組成は表2に示すとおりである。
評価結果を図5に示すとおり、本実施例の排気ガス浄化触媒装置において、リーン雰囲気のみに晒された第2の2層コート触媒PRは、比較例1の2層コート触媒RP及び比較例1の2層コート触媒PRと比べて、高い性能を示している。これは、Ptのコート層間移動がなかったこと、及びより低い酸素濃度の雰囲気に晒されたRhの移動距離が短く、Pt−Rh固溶の起こる範囲が狭かったことのためと考えられる。
また、実施例及び比較例1の各前記テストピースから触媒層を掻き取り、その粉末をXRDでそれぞれ分析した。
そして、Pt(111)面の回折ピークから格子定数aを計算したところ、実施例の触媒層では、3.9224Åのほぼ純Ptが検出された。
一方、比較例1の触媒では、3.9221Åと3.8994Åの2種のPtが検出された。このように、ほぼ純Ptと、PtにRhが固溶して格子定数が小さくなったPtとの2種が検出されたのは、2層コート触媒RPがリッチ雰囲気とリーン雰囲気とに繰り返し晒されることにより、Ptがコート層間移動を起こしてPtとRhが共存し、PtにRhが固溶したものが検出されたことと、表層のRhが内層にかなり深く移動、侵入するものの、内層全域までは移動しないため、Rhが移動しなかった領域にあるPtが純Ptとして検出されたことによる。
よって、XRD分析の結果からも、本実施例の排気ガス浄化触媒装置よれば、PtとRhの移動が抑制できることが確認できた。
1…排気ガス浄化触媒装置 2…エンジン
3…排気管 11…第1分流路
12…第2分流路 20…第1触媒コンバータ
30…第2触媒コンバータ 40…切替手段
RP…第1の2層コート触媒 22…第1触媒層
22a…第1内層 22b…第1表層
PR…第2の2層コート触媒 32…第2触媒層
32a…第2内層 32b…第2表層
41…検知手段41 42a…第1切替バルブ
42b…第2切替バルブ42b 43…制御手段
3…排気管 11…第1分流路
12…第2分流路 20…第1触媒コンバータ
30…第2触媒コンバータ 40…切替手段
RP…第1の2層コート触媒 22…第1触媒層
22a…第1内層 22b…第1表層
PR…第2の2層コート触媒 32…第2触媒層
32a…第2内層 32b…第2表層
41…検知手段41 42a…第1切替バルブ
42b…第2切替バルブ42b 43…制御手段
Claims (1)
- リーン雰囲気、ストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気の排気ガスを排出する内燃機関の排気経路に配設される排気ガス浄化触媒装置であって、
前記内燃機関から排出される排気ガスが分岐して流れる第1分流路及び第2分流路と、
前記第1分流路に配設され、ロジウムを含む第1表層及び白金を含む第1内層を第1触媒層として有する第1触媒と、
前記第2分流路に配設され、白金を含む第2表層及びロジウムを含む第2内層を第2触媒層として有する第2触媒と、
ストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気の排気ガスが前記第1分流路を流通し且つリーン雰囲気の排気ガスが前記第2分流路を流通するように流路を切り換える切替手段と、を備えていることを特徴とする排気ガス浄化触媒装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006235882A JP2008055335A (ja) | 2006-08-31 | 2006-08-31 | 排気ガス浄化触媒装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006235882A JP2008055335A (ja) | 2006-08-31 | 2006-08-31 | 排気ガス浄化触媒装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008055335A true JP2008055335A (ja) | 2008-03-13 |
Family
ID=39238718
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006235882A Pending JP2008055335A (ja) | 2006-08-31 | 2006-08-31 | 排気ガス浄化触媒装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2006
- 2006-08-31 JP JP2006235882A patent/JP2008055335A/ja active Pending
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