JP2008053029A - 入射角選択遮光板及びそれを用いたプラズマディスプレイパネル - Google Patents

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俊介 木村
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Abstract

【課題】コントラストを向上させる入射角選択遮光板及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】入射角選択遮光板10は、外光の入射側に鋭角の頂角及び出射側に平面を有する複数のプリズム110と、各プリズム110から出射された外光を集光する複数のレンズ210と、各レンズ210の光軸近傍に配置され、各レンズ210により集光された外光を遮光する遮光部212とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルの前面に配置される遮光部材に関し、より特定的には所定の入射角度で入射する光を遮光可能な入射角選択遮光板に関する。
近年、CRTディスプレイに代わるフラットディスプレイへの期待が高まり、奥行きを抑えた薄型の液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)等が普及しつつある。特に、大画面の薄型ディスプレイにはPDPが用いられることも多い。しかし、PDPは液晶ディスプレイと比べてコントラストが低いことが問題とされている。例えば、蛍光灯の下や太陽光など明るい場所にPDPが設置されると、蛍光体層が形成された発光部内部に外光が入射して反射されるため、コントラストがより低下するという問題があった。
これに対して、発光部の観察者側の面に透過率の低いフィルタが配置されたPDPが知られている。かかるPDPにおいて、外光はフィルタを透過した後、プラズマ発光部で反射され、再度フィルタを透過して観察者により観察される。一方、プラズマ発光部から発光された映像光は一度だけフィルタを透過して観察者により観察される。このように、外光は透過率の低いフィルタを二度透過するので、映像光と比べてフィルタによる影響を大きく受ける。すなわち、外光の光量低下は映像光よりも大きくなるので、明るい場所でのコントラストの低下を軽減できる。
また、明るい場所でも高いコントラストを実現する別の方法として、例えば特許文献1のカラープラズマディスプレイパネルが提案されている。特許文献1のPDPは、対応する画素毎にカラーフィルタを設けている。すなわち、特許文献1のPDPは、誘電体層に接するか、あるいは誘電体層の内部に、無機顔料微粒子を主成分とする薄いカラーフィルター層が形成された構造を有している。これにより、特許文献1は外光の反射を抑え、明るい場所でもコントラストの低下が軽減されたPDPを提供できるとしている。
特開平10−69859号公報
しかしながら、外光が発光部内部に入射することを防ぐために透過率の低いフィルタを発光部前面に配置すると、観察されるべき映像光もフィルタにより減衰されるため、パネル輝度が低下するという問題があった。また、特許文献1のPDPについても同様に、発光部で発光された映像光はカラーフィルタ層を通過して減衰されるのでパネル輝度が低下するという問題があった。
そこで本発明の目的は、コントラストを向上させる入射角選択遮光板及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルを提供することにある。
本発明の目的は、以下の構成を備えた入射角選択遮光板によって達成される。入射角選択遮光板は、外光の入射側に鋭角の頂角及び出射側に平面を有する複数のプリズムと、
各プリズムから出射された外光を集光する複数のレンズと、
各レンズの光軸近傍に配置され、各レンズにより集光された外光を遮光する遮光部とを備える。
本発明の目的は、以下の構成を備えたプラズマディスプレイパネルによって達成される。互いに離隔して配置される前面板及び背面板と、
前面板と背面板との間に形成される放電空間を区画する隔壁と、
隔壁により区画された放電セル内に形成される蛍光体層と、
前面板及び背面板にそれぞれ配列され、放電セル内で放電を発生させるための電極とを備えるプラズマディスプレイパネルにおいて、
前面板上に、
外光の入射側に鋭角の頂角及び出射側に平面を有する複数のプリズムと、
各プリズムから出射された外光を集光する複数のレンズと、
各レンズの光軸近傍に配置され、各レンズにより集光された外光を遮光する遮光部とを備える入射角選択遮光板を含む。
本発明により、コントラストを向上させる入射角選択遮光板及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
本実施の形態に係るプラズマディスプレイパネル(PDP)について図面を参照しながら説明する。室内の蛍光灯の下や太陽光が入射する明るい環境において、PDPには全方位からの外光が入射すると考えられるが、特にコントラストの低下に大きく影響を与える外光はPDPに対して斜め方向から入射する光であると考えられる。そこで、本実施の形態のPDPは、入射する外光のうち、斜め上下方向から入射する外光が発光部内部へ流入することを防止して、コントラストを向上させる点に特徴がある。以下、本実施の形態のPDPの構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係るPDPの概略断面図である。図1に示すように、PDPは互いに離隔して配置された前面板1と背面板2とを備える。また、前面板1上(観察者側)に入射角選択遮光板10が形成されている。なお、図1では本実施の形態の特徴的な構成を示しており、その他の部分については一部省略している。
前面板1と背面板2との間の空間にはプラズマ放電を発生させる放電空間が形成される。放電空間にはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)などを混合した放電ガスが封入される。放電空間は隔壁320により複数の区画に仕切られており、単位発光領域となる複数の放電セル300が形成されている。そして3つの隣り合う放電セル300の内壁及び側面に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各蛍光体が放電セル毎に色分け塗布され蛍光体層135が形成される。
前面板1には、PDPとしての機能を実現するために各電極や誘電体層、保護膜等の各構成要素がそれぞれ適切な位置に形成される(図示せず)。例えば、前面板1には、走査電極と維持電極とで対をなすストライプ状の表示電極が複数形成され、表示電極を覆うように、例えばガラス等からなる誘電体層が形成される。さらに誘電体層上に例えば酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層が形成される。なお、これらの構成は一例であり、様々な変形例を適用することができる。
背面板2は、データ電極330と絶縁体層340とを含む。すなわち、背面板2には絶縁体層340で覆われたデータ電極330及び、データ電極330と平行してストライプ状の複数の隔壁320が前面板1と背面板2との間に形成される。隔壁320は、前面板1と背面板2との間に形成される放電空間を区画し、放電セル300を形成する。放電セル300の内壁及び側面には蛍光体層310が色分け塗布される。
このように構成されたPDPにおいて、電極間に電圧が印加されると、放電セル300に放電が発生し、励起された例えば混合ガス中のヘリウム(He)原子から紫外線が生じる。そして蛍光体層310が励起されて可視光が発生し表示動作が行われる。すなわち、表示電極とデータ電極330との交点となる複数の放電セルで構成される領域において表示動作を行って画像が表示される。
次に前面板1上(観察者側)に形成される入射角選択遮光板10の構成について説明する。図1に示すように、入射角選択遮光板10は、観察者側から順に複数のプリズム110、レンズ210及び遮光部212を含む。プリズム110は、外光の入射側に鋭角の頂角を有し、かつ出射側が平面に形成された、断面三角形状である。ここで、プリズム110は、稜線が互いに平行で、かつ画素ピッチ以下のピッチでほぼ等間隔に配列される。望ましくは画素ピッチの10分の1以下のピッチで配列するとよい。プリズム110の背面板側には複数のレンズ210が配置される。本実施の形態では、レンズ210としてシリンドリカルレンズが用いられ、長手方向が互いに平行で、かつ曲率を持った面がプリズム110側になるよう配置される。さらに各レンズ210の光軸近傍の放電セル300端面には遮光部212が配置される。遮光部212は、例えば黒色材料を添加したガラスが用いられ、レンズ210により集光された外光を吸収して放電セル300内に流入することを防止する。なお遮光部212は、放電セル330から出射される映像光に影響を与えない程度の幅で、かつレンズ210と平行な帯状に形成される。
また、レンズ210の中心肉厚は次のように設定される。観察者側から入射する入射角度の大きな外光はプリズム110に入射してプリズム内面で反射された後、レンズ210に入射する。そして、レンズ210に入射した平行光は光軸上の点に集光される。そこで本実施の形態では、レンズ210により外光が集光される位置と遮光部が配置される放電セル300の端面とが一致するように設定される。具体的には、レンズの厚みtは以下の式を満たすことが好ましい。
f×n×0.7<t<f×n×1.4 ・・・(式1)
ただし、fはレンズの焦点距離、nはレンズの屈折率である。
次に、PDPに入射する外光及びPDPから出射される映像光の光路について説明する。図2は、PDPに外光が入射した場合の光路図を示す。図2において、前面板1に入射する外光のうち、斜め上方から入射する入射角度の大きな外光は、まず入射角選択遮光板10のプリズム110に入射する。入射した外光は、プリズムの斜面で屈折された後、さらにプリズム内面で反射される。このとき、プリズム内面で反射された光の光軸は、レンズ210の光軸と平行になる。そして、反射された光はレンズ210に入射した後、レンズ210により放電空間の端面に集光され、遮光部212により吸収される。このように、PDPに入射する外光のうち、入射角度の大きな外光は遮光部212により放電セル300内に流入されることを防ぐことができるので、コントラストの向上を図ることができる。
なお、効果的にコントラストを向上させるためには、プリズムから射出される光がレンズ210の光軸と平行になることが好ましい。そこで、本実施の形態では、遮光可能な外光の入射角度はプリズムの頂角を変化させることにより調整される。例えばプリズムの材料がアクリルである場合、プリズムの頂角が40度のとき、入射角度が21.7度の外光を遮光することができる。同様に、プリズムの頂角が50度のとき、入射角度が42.37度の外光を遮光することができる。また、プリズムの頂角が60度のとき、入射角度が60度の外光を遮光することができる。しかしながら、プリズムの頂角が40度より小さくなると、遮光すべき外光の入射角度は小さくなるため、入射角度の大きな外光を遮光することができず、室内の蛍光灯や太陽光などの外光が入射する環境においてコントラスト向上の効果は小さくなる。また、プリズムの頂角が60度よりも大きくなると、プリズム110で反射されて観察者に到達しない映像光が増大するため、明るさは低下する。このように、PDPに対して斜め方向から入射する光を効果的に遮光するためには、プリズムの頂角を40度〜60度に設定することが好ましい。なお、上記のプリズム頂角は一例であり、PDPが設置される環境やプリズムの材質に応じてプリズムの頂角を40度〜60度の範囲外に設定してもよい。
一方、映像光は以下のように観察者に到達する。すなわち、蛍光体層310が励起されて発生した映像光は、各放電セル330から出射される。ここで、各放電セル330とレンズ210との間に設けられた遮光部212はレンズ210の光軸上でかつ一定の幅で形成されているにすぎないため、各放電セル330から出射された映像光の多くは遮光されずにレンズ210に到達する。図3は、遮光部212により遮光されずに出射された映像光の光路図を示す。図3中、レンズ210に到達した映像光は、レンズ210を透過した後、プリズム110に入射する。プリズム110では入射角度に応じて映像光は反射、屈折され、観察者に到達する。なお、プリズム110は幅広い入射角範囲を有していることから、プリズムに入射した映像光が散乱して解像度が低下する場合があるため、プリズム110のピッチは画素ピッチよりも小さいことが好ましい。さらに望ましくは、画素ピッチの10分の1以下のピッチがよい。
以上のように、本実施の形態のプラズマディスプレイパネルは、前面板の観察者側にプリズムとレンズと遮光部とを含む入射角選択遮光板を備えるので、外光が放電セルに入射することを防止する。これにより、明るい場所にPDPが設置されてもコントラストが高く明るい映像を提供することができる。
また、本実施の形態のプラズマディスプレイパネルは、斜め方向から入射する外光が放電セルに入射することを防止できる。したがって、室内の蛍光灯や太陽光が入射する明るい環境において効果的にコントラストを向上させることができ、観察者に良質の映像を提供できる。またプリズムの頂角を変更することにより、遮光可能な外光の入射角度を変化させることができるので、PDPが設置される環境に応じてコントラストを向上させることができる。
また、本実施の形態のプラズマディスプレイパネルは、プリズムの稜線と平行に配置されるシリンドリカルレンズ及びシリンドリカルレンズに対向配置される帯状の遮光部を備えるので、左右方向に視野角特性に影響を与えることなく、上下方向の外光を効果的に遮光することができる。
なお、本実施の形態に含まれる入射角選択遮光板のレンズは、一例としてシリンドリカルレンズを用いたが、これに限られず、球面レンズなどの他のレンズを用いてもよい。
なお、本実施の形態では、プリズムの頂角を40度〜60度に設定したが、これに限られない。例えば最も支配的な外光の入射角度が40度以下であれば、プリズムの頂角をさらに小さくしてもよい。
なお、本実施の形態において、遮光部は黒色材料を添加したガラスを用いたが、これに限られない。例えば、電極を黒色材料で覆い、これを遮光部として用いてもよい。
なお、本実施の形態において、前面板及び背面板に含まれる各電極、誘電体層、保護層等の各要素の構成は一例であり、PDPとしての機能を実現可能な構成であれば、これに限られない。
本発明は、コントラストの向上が要望されるCRTディスプレイやプラズマディスプレイなどの映像表示部等に好適である。
実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの概略断面図 実施の形態に係るPDPに外光が入射した場合の光路図 実施の形態に含まれるレンズに到達した映像光の光路図
符号の説明
1 前面板
2 背面板
10 入射角選択遮光板
110 プリズム
210 レンズ
212 遮光部
300 放電セル
310 蛍光体層
320 隔壁
330 データ電極
340 絶縁体層

Claims (5)

  1. 外光の入射側に鋭角の頂角及び出射側に平面を有する複数のプリズムと、
    各前記プリズムから出射された前記外光を集光する複数のレンズと、
    各前記レンズの光軸近傍に配置され、各前記レンズにより集光された前記外光を遮光する遮光部とを備える、入射角選択遮光板。
  2. 各前記レンズの厚みが下記条件式を満たす、請求項1に記載の入射角選択遮光板。
    f×n×0.7<t<f×n×1.4
    ただし、fはレンズの焦点距離、nはレンズの屈折率である。
  3. 前記レンズは、前記プリズムの稜線と平行に配置されるシリンドリカルレンズであり、
    前記遮光部は、帯状に形成されるとともに前記シリンドリカルレンズに対向して配置される、請求項1に記載の入射角選択遮光板。
  4. 各前記プリズムの頂角が40度〜60度の範囲にある、請求項1に記載の入射角選択遮光板。
  5. 互いに離隔して配置される前面板及び背面板と、
    前記前面板と前記背面板との間に形成される放電空間を区画する隔壁と、
    前記隔壁により区画された放電セル内に形成される蛍光体層と、
    前記前面板及び背面板にそれぞれ配列され、前記放電セル内で放電を発生させるための電極とを備えるプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記前面板上に、
    外光の入射側に鋭角の頂角及び出射側に平面を有する複数のプリズムと、
    各前記プリズムから出射された前記外光を集光する複数のレンズと、
    各前記レンズの光軸近傍に配置され、各前記レンズにより集光された前記外光を遮光する遮光部とを備える入射角選択遮光板を含む、プラズマディスプレイパネル。

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