JP2008049673A - ノズル板の製造方法および液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

ノズル板の製造方法および液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ノズルのストレート部を加工精度よく形成するとともに、ノズルのストレート部とテーパ部との位置ずれを防止し、吐出性能を向上させること。
【解決手段】 基板20に対して第1のエッチングを行って、基板20にストレート形状の貫通孔510を形成し(工程F)、基板20の一方の面のうちで貫通孔510の周辺のみを露出させる保護膜保護膜34を形成し(工程H)、保護膜34が形成された基板20の前記一方の面側から第2のエッチングを行って、ストレート形状の貫通孔510のうちで一方の面側の部分をテーパ形状に変えることによりノズル51のテーパ部512を形成するとともに、ストレート形状の貫通孔510のうちで他方の面側の残り部分をノズル51のストレート部511として残す(工程J)。
【選択図】 図9

Description

本発明は、ストレート部とテーパ部とを有したノズルを形成するノズル板の製造方法および液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
単結晶シリコン基板やSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて、ストレート部とテーパ部とを有したノズルを形成するノズル板の製造方法が各種提案されている。
特許文献1には、2枚の単結晶シリコンウエハの間に単結晶シリコンウエハに比べてエッチングレートの遅いバッファ層(中間層)を挟み込んでこれらを一体的に密接させて基板を構成し、この基板の両面からエッチングを行って、各単結晶シリコンウエハにそれぞれテーパ部を形成した後、底径の小さい方の孔(一方のテーパ部)の側からエッチングを行って、バッファ層にストレート部を形成することが記載されている。
特許文献2には、SOI基板の活性層にプラズマエッチングによりオリフィス(ストレート部)を形成し、このSOI基板の支持層にテーパ部を形成することが記載されている。すなわち、ノズルのストレート部とテーパ部とを互いに異なる両面から加工する。
特許文献3には、異方性エッチング工程、及び、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon、シリコンを部分的に酸化させる方法である)を利用したマスク形成工程を行うことが記載されている。流路形成後に流路側からノズルのテーパ部を形成し、その後に流路とは反対側(すなわちテーパ部を形成した側とは反対側)からストレート部を形成する。
特開平6−134994号公報(特に図4) 特開平9−216368号公報(特に図2) 特開2001−287369号公報(特に図14)
特許文献1に記載のものは、ノズルのテーパ部形成後、ノズルのテーパ部側からそのノズルのストレート部を形成しているので、吐出性能に最も影響を与えるノズルのストレート部が、テーパ部形成工程で生じた加工誤差を含んでしまうという課題がある。
特許文献2、3に記載のものは、ノズルのテーパ部とストレート部とを、互いに異なる面から加工して形成しているので、ノズルのストレート部の軸とノズルのテーパ部の軸とに位置ずれが生じてしまうという課題がある。
すなわち、テーパ部形成後にテーパ部側からストレート部を形成する製造方法ではストレート部の加工精度を向上させることが困難であり、また、テーパ部とは異なる側からストレート部を形成する製造方法ではストレート部およびテーパ部の位置合わせ精度を向上させることが困難であり、いずれの製造方法においても吐出性能を向上させることができない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ノズルのストレート部を加工精度よく形成することができるとともに、ノズルのストレート部とテーパ部との位置ずれを防止することができ、もって吐出性能を向上させることができるノズル板の製造方法および液体吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定の基板に、前記基板の第1の面側に開口しているテーパ部と、該テーパ部に連通し前記基板の前記第1の面とは反対側の第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、前記基板に対して第1のエッチングを行って、前記基板にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第2のエッチングを行って、ストレート形状の前記貫通孔のうちで前記第1の面側の部分をテーパ形状に変えることにより前記ノズルの前記テーパ部を形成するとともに、ストレート形状の前記貫通孔のうちで前記第2の面側の残り部分を前記ノズルの前記ストレート部として残す第2のエッチング工程と、を備えることを特徴とするノズル板の製造方法を提供する。
この発明によれば、ノズルのテーパ部を形成するよりも前にストレート形状の貫通孔を形成し、このストレート形状の貫通孔のうちで一部分を変形してノズルのテーパ部とし、他の部分をノズルのストレート部として残すので、液体の吐出に重要なノズルのストレート部がテーパ部の加工誤差を含んでしまうことが防止され、また、ノズルのストレート部とテーパ部とを、軸ずれなく、かつ、継ぎ目なく、形成することができる。
請求項2に記載の発明は、シリコンからなる支持層と、酸化膜からなる中間層と、シリコンからなる活性層とが積層されている基板に、前記基板の前記活性層が配置されている第1の面側に開口しているテーパ部と、該テーパ部に連通し前記基板の前記支持層が配置されている第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、前記基板の前記第1の面側から第1のエッチングを行って、前記基板の前記活性層にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第2のエッチングを行って、ストレート形状の前記貫通孔のうちで前記第1の面側の部分をテーパ形状に変えることにより前記ノズルの前記テーパ部を形成するとともに、ストレート形状の前記貫通孔のうちで前記第2の面側の残り部分を前記ノズルの前記ストレート部として残す第2のエッチング工程と、前記基板の前記支持層に、前記ノズルの前記ストレート部よりも開口面積が大きな凹形状を有し、前記ノズルの前記ストレート部に連通するザグリ部を形成する工程と、を備えることを特徴とするノズル板の製造方法を提供する。
この発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる。また、3層からなるSOI基板を用いることで、単結晶シリコン板を用いる場合と比較してノズル板の強度を容易に上げることができるとともに、ザグリ部を設けることで、ノズル板全体の反りを低減することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記テーパ部の外周形状を規定するとともに、前記保護膜を形成しない領域を覆う第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、前記第1のマスクが形成された前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記ストレート部の開口形状を規定するとともに、前記第1のマスクの周辺領域を覆う第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、前記第1のマスクおよび前記第2のマスクを用いて前記第1の面側から前記第1のエッチング工程を行った後に、前記貫通孔が形成された前記基板から前記第2のマスクを除去する第1のマスク除去工程と、前記第1のマスクを用いて前記保護膜形成工程を行った後に、前記保護膜が形成された前記基板から前記第1のマスクを除去する第2のマスク除去工程と、を備えることを特徴とするノズル板の製造方法を提供する。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記テーパ部の外周形状および前記ノズルの前記ストレート部の開口形状を規定するとともに、前記保護膜を形成しない領域を覆う第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、前記第1のマスクが形成された前記基板の前記第1の面に、前記第1のマスクの周辺領域を覆う第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、前記第1のマスクおよび前記第2のマスクを用いて前記第1のエッチング工程を行った後に、前記貫通孔が形成された前記基板から前記第2のマスクを除去する第1のマスク除去工程と、前記第1のマスクを用いて前記保護膜形成工程を行った後に、前記保護膜が形成された前記基板から前記第1のマスクを除去する第2のマスク除去工程と、を備えることを特徴とするノズル板の製造方法を提供する。
この発明によれば、一度のマスク形成工程(第1のマスク形成工程)によってテーパ部の外周形状とストレート部の開口形状とが規定されるので、複数回のマスク形成工程を行ってテーパ部の外周形状とストレート部の開口形状とを規定する場合と比較して、ノズルのストレート部とテーパ部との位置合わせ精度をさらに向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、所定の基板に、前記基板の第1の面側に開口しているテーパ部と該テーパ部に連通し前記基板の前記第1の面とは反対側の第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、前記基板の前記第2の面に、前記ノズルの前記ストレート部の長さに対応する厚さを有するエッチングストップ層を形成するエッチングストップ層形成工程と、前記基板の前記第1の面側から第1のエッチングを行って、前記基板にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、前記貫通孔が形成された前記基板の前記第1の面側から前記貫通孔を介して第2のエッチングを行って、前記エッチングストップ層に前記貫通孔から連続する前記ノズルの前記ストレート部を形成する第2のエッチング工程と、前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第3のエッチングを行って、前記基板に形成されているストレート形状の前記貫通孔をテーパ形状に変えることにより前記ノズルの前記テーパ部を形成する第3のエッチング工程と、を備えることを特徴とするノズル板の製造方法を提供する。
この発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる。また、ノズルのストレート部の長さがエッチングストップ層の厚さで規定されるとともに、ノズルのテーパ部の深さが基板の厚さで規定されるので、高精度のノズルを形成することが可能となる。
請求項6に記載の発明は、シリコンからなる支持層と、酸化膜からなる中間層と、シリコンからなる活性層とが積層されている基板に、前記基板の前記活性層が配置されている第1の面側に開口しているテーパ部と、該テーパ部に連通し前記基板の前記支持層が配置されている第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、前記基板の前記第1の面側から第1のエッチングを行って、前記基板の前記活性層にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、前記貫通孔が形成された前記基板の前記第1の面側から前記貫通孔を介して第2のエッチングを行って、前記基板の前記支持層に前記貫通孔と連通する前記ノズルの前記ストレート部を形成する第2のエッチング工程と、前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第3のエッチングを行って、前記基板の前記活性層に形成されているストレート形状の前記貫通孔をテーパ形状に変えることにより前記基板の前記活性層に前記ノズルの前記テーパ部を形成する第3のエッチング工程と、前記基板の前記支持層に、前記ノズルの前記ストレート部よりも開口面積が大きな凹形状を有し、前記ノズルの前記ストレート部に連通するザグリ部を形成する工程と、を備えることを特徴とするノズル板の製造方法を提供する。
この発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得られる。また、ノズルのテーパ部の深さがSOI基板の活性層の厚さで規定されるので、高精度のノズルを形成することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、シリコンからなる支持層と、酸化膜からなる中間層と、シリコンからなる活性層とが積層されている基板に、前記基板の前記活性層が配置されている第1の面側に開口しているテーパ部と、該テーパ部に連通し前記基板の前記支持層が配置されている第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、前記基板の前記第1の面側から第1のエッチングを行って、前記基板の前記活性層にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、前記貫通孔が形成された前記基板の前記第1の面側から前記貫通孔を介して第2のエッチングを行って、前記基板の前記中間層に前記貫通孔から連続する前記ノズルの前記ストレート部を形成する第2のエッチング工程と、前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第3のエッチングを行って、前記基板の前記活性層に形成されているストレート形状の前記貫通孔をテーパ形状に変えることにより前記基板の前記活性層に前記ノズルの前記テーパ部を形成する第3のエッチング工程と、前記基板の前記支持層に、前記ノズルの前記ストレート部よりも開口面積が大きな凹形状を有し、前記ノズルの前記ストレート部に連通するザグリ部を形成する工程と、を備えることを特徴とするノズル板の製造方法を提供する。
この発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得られる。また、ノズルのストレート部の長さがSOI基板の中間層の厚さで規定されるとともに、ノズルのテーパ部の深さがSOI基板の活性層の厚さで規定されるので、高精度のノズルを形成することが可能となる。
請求項8に記載の発明は、請求項5乃至7の何れか1項に記載の発明において、前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記テーパ部の外周形状を規定するとともに、前記保護膜を形成しない領域を覆う第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、前記第1のマスクが形成された前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記ストレート部の開口形状を規定するとともに、前記第1のマスクの周辺領域を覆う第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、前記第1のマスクおよび前記第2のマスクを用いて前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程を行った後に、前記貫通孔が形成された前記基板から前記第2のマスクを除去する第1のマスク除去工程と、前記第1のマスクを用いて前記保護膜形成工程を行った後に、前記保護膜が形成された前記基板から前記第1のマスクを除去する第2のマスク除去工程と、を備えることを特徴とするノズル板の製造方法を提供する。
請求項9に記載の発明は、請求項5乃至7の何れか1項に記載の発明において、前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記テーパ部の外周形状および前記ノズルの前記ストレート部の開口形状を規定するとともに、前記保護膜を形成しない領域を覆う第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、前記第1のマスクが形成された前記基板の前記第1の面に、前記第1のマスクの周辺領域を覆う第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、前記第1のマスクおよび前記第2のマスクを用いて前記第1のエッチング工程および前記前記第1のエッチング工程を行った後に、前記貫通孔が形成された前記基板から前記第2のマスクを除去する第1のマスク除去工程と、前記第1のマスクを用いて前記保護膜形成工程を行った後に、前記保護膜が形成された前記基板から前記第1のマスクを除去する第2のマスク除去工程と、を備えることを特徴とするノズル板の製造方法を提供する。
この発明によれば、請求項4に記載の発明と同様な効果が得られる。
請求項10に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項9のうち何れか1項に記載のノズル板の製造方法によって形成されたノズル板を用いて、前記ノズルに連通する圧力室を少なくとも備える液体吐出ヘッドを製造することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。
この発明によれば、吐出性能の良い液体吐出ヘッドを提供することができる。
本発明によれば、ノズルのストレート部を加工精度よく形成することができるとともに、ノズルのストレート部とテーパ部との位置ずれを防止することができ、もって吐出性能を向上させることができる。
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
[液体吐出ヘッド]
図1は、液体吐出ヘッド50の一例の全体構成を示す平面透視図である。
図1に一例として示す液体吐出ヘッド50は、いわゆるフルライン型の液体吐出ヘッドであり、被吐出媒体16の搬送方向(図中に矢印Sで示す副走査方向)と直交する方向(図中に矢印Mで示す主走査方向)において、被吐出媒体16の幅Wmに対応する長さにわたり、被吐出媒体16に向けてインクを打滴する多数のノズル51(液体吐出口)を2次元的に配列させた構造を有している。
液体吐出ヘッド50は、液体を吐出するノズル51、ノズル51に連通する圧力室52、圧力室52へ液体を供給するための液体供給口53などを含んでなる複数の液体吐出素子54が、主走査方向Mおよび主走査方向Mに対して所定の鋭角θ(0度<θ<90度)をなす斜め方向の2方向に沿って配列されている。なお、図1では、図示の便宜上、一部の液体吐出素子54のみ描いている。
ノズル51は、具体的には、主走査方向Mに対して所定の鋭角θをなす斜め方向において、一定のピッチdで配列されており、これにより、主走査方向Mに沿った一直線上にd×cosθの間隔で配列されたものと等価に取り扱うことができる。
図1の2−2線に沿った断面を、図2に示す。
図2において、液体吐出ヘッド50は、液体を吐出するノズル51と、ノズル51に連通し液体が充填される圧力室52と、圧力室52へ液体を供給するための液体供給口53と、液体供給口53を介して圧力室52に連通する共通流路55と、圧力室52内の圧力を変化させるアクチュエータとしての圧電素子58を含んで構成される。
なお、図2には、図示の便宜上、ひとつの液体吐出素子54のみ描かれているが、液体吐出ヘッド50は、実際には、図1に示したように2次元配列された複数の液体吐出素子54によって構成されている。ひとつの液体吐出素子54は、具体的には、ノズル51、圧力室52、液体供給口53、および、圧電素子58を、それぞれひとつずつ有する。すなわち、液体吐出ヘッド50は、実際には、複数のノズル51、複数の圧力室52、複数の液体供給口53、および、複数の圧電素子58を備えている。
液体吐出ヘッド50は、ノズル51が形成されているノズル板21を、圧力室52などが形成されている圧力室板22に接合して、構成されている。すなわち、ノズル板21の一方の面は、図1に示すようにノズル51が2次元配列された液体吐出面21aとなっており、ノズル板21の他方の面は、圧力室板22に接合された液体供給側の接合面21bとなっている。
本例では、圧力室板22に、圧力室52と、液体供給口53と、共通流路55が形成されている。
圧力室板22の接合面21bとは反対側の面には振動板23が接合されており、圧力室52の上面板を構成している。振動板23上には、圧電素子58が形成されている。
なお、圧力室板22は、ノズル板21の接合対象材をいう。図2に示す圧力室板22は一例であり、このような場合に特に限定されない。圧力室板22は、複数のプレートが積層されて構成された構造体であってもよい。また、圧力室板22に共通流路55を形成する場合に限定されず、例えば、振動板23および圧電素子58を挟んで圧力室52の配置側とは反対側(図2の圧電素子58の上側)に共通流路55を形成した構造(いわゆる背面流路構造)としてもよい。
圧力室板22の材料としては、例えば、シリコン、SUS(ステンレス)材が挙げられる。
ノズル51は、ストレート形状のストレート部511とテーパ形状のテーパ部512とを有する。ストレート部511は、ノズル板21の液体吐出面21a側に形成されており、テーパ部512は、ノズル板21の液体吐出面21aとは反対側の圧力室板22との接合面21b(液体供給側の面である)側に形成されている。ここで、ストレート部511は、ノズル板21の厚さ方向において開口面積が変化しない部分である。一方で、テーパ部512は、ノズル板21の厚さ方向において開口面積が変化する部分であって、具体的には、ノズル板21の接合面21b側からストレート部511に向かって、開口面積が徐々に小さくなる。
図3(A)〜(E)は、ストレート部511とテーパ部512とを有する各種のノズル51をそれぞれ拡大して示す断面図である。
図3(A)に示すノズル51は、単層のシリコン基板20に形成されている。このノズル51を接合面21b側から見た平面図を図4(A)に示す。図4(A)の3A−3A線に沿った断面図が図3(A)となっている。図4(A)において、ストレート部511の開口形状は円形状であり、テーパ部512の外周形状は四角形状である。言い換えると、ストレート部511は円柱形状であり、テーパ部512は略四角錐形状である。
図3(B)に示すノズル51も、図3(A)に示すノズル51と同様に、単層のシリコン基板20に形成されている。このノズル51を接合面21b側から見た平面図を図4(B)に示す。図4(B)の3B−3B線に沿った断面図が図3(B)となっている。図4(B)において、ストレート部511の開口形状およびテーパ部512の外周形状は、ともに円形状である。言い換えると、ストレート部511は円柱形状であり、テーパ部512はドーム形状である。
図3(C)に示すノズル51は、単層のシリコン基板20の液体吐出面21a側にエッチングストップ層24が形成され、エッチングストップ層24にストレート部511が形成され、シリコン基板20にテーパ部512が形成されている。
図3(D)に示すノズル51は、シリコン(Si)からなる支持層20aと、酸化膜(SiO)からなる中間層(「BOX(Buried Oxide)層」ともいう)20bと、シリコン(Si)からなる活性層20cとが積層されたSOI(Silicon On Insulator)基板200に形成されている。SOI基板200の支持層20aには、ノズル51のストレート部511よりも開口面積が大きな凹形状のザグリ部513と、ノズル51のストレート部511とが形成され、SOI基板200の活性層20cにテーパ部512が形成されている。本例のSOI基板200のBOX層20bは、薄く、ストレート部511とテーパ部512との連通部分になっている。
図3(E)に示すノズル51は、支持層20aと中間層20bと活性層20cとが積層されたSOI基板200に形成されている。SOI基板200の支持層20aには、ノズル51のストレート部511よりも開口面積が大きな凹形状のザグリ部513が形成され、SOI基板200のBOX層20bには、当該BOX層20bの厚さによって長さが規定されるノズル51のストレート部511が形成され、SOI基板200の活性層20cには、ノズル51のテーパ部512が形成されている。
[ノズル板の製造方法]
以下、ノズル板21の製造方法について、各種の実施形態に分けて、説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態のノズル板21の製造方法について、図5の工程図を用いて説明する。第1実施形態では、図3(A)および図4(A)に示すノズル51を形成する。
まず、図5(A)に示すように、シリコン基板20の一方の面に、第1の保護膜31を形成する。
第1の保護膜31の形成方法としては、CVD(化学気相成長)、真空蒸着、スパッタ、熱処理などが挙げられる。第1の保護膜31として窒化膜を形成する場合、例えば、LPCVD(減圧化学気相成長)を用いて、SiHCl(ジクロルシラン)とNH(アンモニア)との熱反応で窒化膜を生成する。反応圧力は20〜200Pa、加熱温度は650〜800℃で行えばよい。第1の保護膜31の膜圧は特に限定されない。
以下では、第1の保護膜31として窒化膜を用いる場合を例に説明するが、本発明において、第1の保護膜31は窒化膜に特に限定されない。
次に、図5(B)に示すように、フォトリソグラフィックプロセスにより、第1の保護膜31上に第1のレジスト32をパターニング(フォトレジスト塗布、プリベーク、露光、現像、および、ポストベーク)し、図5(C)に示すように、第1のレジスト32をマスクとして用いて、第1の保護膜31をエッチングする。
第1の保護膜31のエッチング方法としては、ウエットエッチング、および、ドライエッチングが挙げられる。例えば、ウエットエッチングの場合には、100〜150℃のリン酸を用いればよい。ドライエッチングの場合には、フッ素系のガスを用いればよい。
次に、図5(D)に示すように、第1の保護膜31上の第1のレジスト32を除去する。例えば、アッシングや、専用のレジスト剥離液を用いる。
次に、図5(E)に示すように、第1の保護膜31およびシリコン基板20上に、フォトリソグラフィックプロセスにて、第2のレジスト33をパターニングする。
図5(E)に示す第2のレジスト33は、第1の保護膜31上に位置する開口330を有する。また、第2のレジスト33は、シリコン基板20上の第1の保護膜31の周辺領域を覆う。
図5(E)の状態における第2のレジスト33の開口330およびその周囲を拡大して図6(A)の平面透視図に示す。図6(A)において、第2のレジスト33の開口330の形状は、形成しようとする図4(A)に示すノズル51のストレート部511の開口形状と、同一である。また、図6(A)において、第1の保護膜31の外周311の形状は、形成しようとする図4(A)に示すノズル51のテーパ部512の外周形状と、同一である。なお、図6(A)は、第1の保護膜31の外周311の形状を四角形状とした例を示しているが、図6(C)に示すように四角形状の角(コーナー)を丸くしてもよい。
次に、図5(F)に示すように、第2のレジスト33をマスクとして用いて、第1の保護膜31をエッチングする。そうすると第1の保護膜31には、第2のレジスト33の開口330と同じ形状の開口310が形成される。
第1の保護膜31のエッチング方法としては、ウエットエッチング、および、ドライエッチングが挙げられる。例えば、ウエットエッチングの場合には、100〜150℃のリン酸を用いればよい。ドライエッチングの場合には、フッ素系のガスを用いればよい。
以上の図5(A)〜(F)に示す工程によって、シリコン基板20の液体吐出面21aとは反対側の接合面21b上に、第1の保護膜31と第2のレジスト33とからなるマスク30が形成される。第1の保護膜31(第1のマスク)によってノズル51のテーパ部512の外周形状が規定され、第2のレジスト33(第2のマスク)によってノズル51のストレート部511の開口形状が規定される。
次に、図5(G)に示すように、第2のレジスト33をマスクとして用いて、シリコン基板20をエッチングする。そうすると、シリコン基板20にストレート形状の貫通孔510が形成される。
例えば、SFなどのフッ素ガスとCなどのポリマー堆積を行えるガスとを交互に流し、エッチングとデポジッションとを交互に行いながらエッチングを行う。または、SFなどのフッ素系ガスに酸素などの保護膜形成用ガスを添加して、異方性エッチングを行う。
次に、図5(H)に示すように、アッシングや専用のレジスト剥離液を用いて第2のレジスト33を除去し、第1の保護膜31だけシリコン基板20上に残す。
次に、図5(I)に示すように、第1の保護膜31をマスクとして用いて、シリコン基板20の表面に、第2の保護膜34を形成する。第1の保護膜31として窒化膜を用いた場合、第2の保護膜34として、第1の保護膜31とは異なる酸化膜を用いるとよい。
第2の保護膜34の形成方法としては、熱処理、蒸着重合、CVD(減圧やプラズマ)などが挙げられる。特に、熱酸化により、シリコン基板20の全面に酸化膜を形成することが、好ましい。
次に、図5(J)に示すように、第1の保護膜31を、ウエットエッチングまたはドライエッチングを用いて、除去する。例えば、ウエットエッチングの場合には高温のリン酸を用い、ドライエッチングの場合には、フッ素ガスを用いればよい。
図5(J)に示す状態における接合面21bにおける貫通孔510およびその周囲を拡大して図6(B)の平面図に示す。
図6(B)において、第2の保護膜34の開口341の形状は、形成しようとする図4(A)に示すノズル51のテーパ部512の外周形状と、同一である。第2の保護膜34の開口341内には、シリコン基板20の接合面21bのうちで、貫通孔510の開口縁の近傍の領域211(貫通孔510の周辺領域)のみ、露出されている。
このような開口341を有する第2の保護膜34は、ストレート形状の貫通孔510のうちでノズル51のストレート部511として残す液体吐出面21a側の部分を次のエッチングから保護する一方で、ストレート形状の貫通孔510のうちでテーパ形状に変形させる接合面21b側の部分が次のエッチングにより浸食されるようにノズル51のテーパ部512の外周形状を規定する。
なお、図6(A)に示したように、第1の保護膜31の外周311の形状を四角形状とした場合には、図6(B)に示したように、第2の保護膜34の開口341の形状も四角形状となる。図6(C)に示したように、第1の保護膜31の四角形状の外周311の角(コーナー)を丸くした場合には、第2の保護膜34の四角形状の開口341の角も丸くなる。
次に、図5(K)に示すように、第2の保護膜34をマスクとして用いて、シリコン基板20に対して結晶異方性のウエットエッチングを行い、ノズル51のテーパ部512を形成する。図5(J)に示したストレート形状の貫通孔510に着目すると、この貫通孔510に対して、シリコン基板20の接合面21b側からエッチングが行われ、ストレート形状の貫通孔510のうちで接合面21b側の部分がテーパ形状に変わってノズル51のテーパ部512が形成されるとともに、ストレート形状の貫通孔510のうちで液体吐出面21a側の残り部分がノズル51のストレート部511として残る。
エッチング液には、60〜100℃のKOH(水酸化カリウム)、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などを用いればよい。
本実施形態では、結晶異方性のウエットエッチングにより第2の保護膜34をマスクとして用いてテーパ部512を形成するので、ノズル51のストレート部511の長さは、シリコン基板20の結晶面方位と、第1保護膜31の外周311の幅Wo(すなわち第2の保護膜34の開口341の幅Wo)と、シリコン基板20の厚さとにより定めることが可能である。
次に、図5(L)に示すように、ウエットエッチングを行って、第2の保護膜34を除去する。第2の保護膜34が酸化膜からなる場合には、フッ酸を用いればよい。
以上説明した工程により、図3(A)および図4(A)に示すノズル51を有するノズル板21が得られる。
なお、第1の保護膜31として窒化膜を用い、第2の保護膜34として酸化膜を用いた場合について説明したが、このような場合に特に限定されない。第2の保護膜34としてシリコン酸化膜を用いる場合、このシリコン酸化膜とはエッチングの選択比が十分に異なる他の材料を第1の保護膜31に用いることができる。
本実施形態では、まず、シリコン基板20の接合面21b(液体吐出面21aとは反対側の液体供給側の面である)に、ノズル51のテーパ部512の外周形状を規定する第1の保護膜31(第1のマスク)を形成する(図5(A)〜(D))。形成された第1の保護膜31は、シリコン基板20の接合面21b上の第2の保護膜34を形成しない領域(図6(B)の211)のみを覆っている。次に、シリコン基板20の接合面21bに、ノズル51のストレート部511の開口形状を規定するとともに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成する(図5(E))。なお、第1の保護膜31には、第2のレジスト33をマスクとして用いたエッチングにより、ストレート部511の開口形状と同形状の開口310を形成しておく(図5(F))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)および第2のレジスト33(第2のマスク)を用いて、シリコン基板20の接合面21b側から、シリコン基板20に対してエッチングを行って、シリコン基板20にスレート形状の貫通孔510を形成する(図5(G))。次に、貫通孔510が形成されたシリコン基板20から第2のレジスト33(第2のマスク)を除去する(図5(H))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)を用いて、シリコン基板20の接合面21bのうちで貫通孔510の周辺領域(図6(B)の211)のみを露出させる第2の保護膜34を形成する(図5(I))。次に、第2の保護膜34が形成されたシリコン基板20から第1の保護膜31(第1のマスク)を除去する(図5(J))。次に、シリコン基板20の接合面21b側から、シリコン基板20に対してエッチングを行って、シリコン基板20のストレート形状の貫通孔510のうちで第2の保護膜34により保護されていない接合面21b側の部分をテーパ形状に変えることによりノズル51のテーパ部512を形成するとともに、ストレート形状の貫通孔510のうちで第2の保護膜34により保護された液体吐出面21a側の部分をノズル51のストレート部511として残す(図5(K))。そして、シリコン基板20から第2の保護膜34を除去する(図5(L))。そうすると、図3(A)および図4(A)のノズル51が形成される。
このように、ノズル51のテーパ部512を形成するよりも前にストレート形状の貫通孔510を形成し、このストレート形状の貫通孔510のうちで一部分をノズル51のストレート部511として残して、その貫通孔510の他の部分をノズル51のテーパ部512に変形するので、テーパ部512の形成後にストレート部511を形成していた従来の方法と比較して、液体の吐出に重要なノズル51のストレート部511がテーパ部512の加工誤差を含んでしまうことが防止され、また、テーパ部512とストレート部511とを互いに異なる面からエッチングして形成していた従来の方法と比較して、ノズル51のストレート部511とテーパ部512とを、軸ずれなく、かつ、継ぎ目なく、形成することができる。
本実施形態では、結晶異方性エッチングを用いてノズル51のテーパ部512を形成しており、また、第2の保護膜34がエッチングストップ機能を有するので、シリコン基板20の結晶面方位と、第1保護膜31の外周311(すなわち第2の保護膜34の開口341)と、シリコン基板20の厚さとにより、ストレート部511の長さを定めることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態のノズル板21の製造方法について、図7の工程図を用いて説明する。本実施形態では、図3(B)に示すノズル51を形成する。
なお、図7(A)〜(J)に示す各工程は、図5(A)〜(J)にそれぞれ示す第1実施形態の各工程と同じ処理である。
本実施形態では、図7(K)に示すように、シリコン基板20に対して、等方性のドライエッチングを行って、ノズル51のテーパ部512を形成する。例えば、SF、CF、XeFなどのガスを用いて、等方性エッチングを行えばよい。
このように、本実施形態では、等方性のドライエッチングを用いてノズル51のテーパ部512を形成するので、図7(B)に示す第1のレジスト32は、形成しようとするノズル51のテーパ部512の開口面積よりも小さな面積でパターニングしている。
図7(F)の状態における第2のレジスト33の開口330およびその周囲を拡大して図8(A)の平面透視図に示す。図8(A)において、第2のレジスト33の開口330の形状は、形成しようとする図4(B)に示すノズル51のストレート部511の開口形状と、同一である。なお、本実施形態では、形成しようとするテーパ部512の形状がドーム形状(略円錐形状)であり、第1の保護膜31の外周311の形状は、円形状である。また、第1の保護膜31の外周311の形状は、形成しようとする図4(B)に示すノズル51のテーパ部512の外周形状よりも小さい。また、第2のレジスト33は、シリコン基板20上の第1の保護膜31の周辺領域を覆う。
また、図7(J)に示す状態における接合面21b上の貫通孔510およびその周囲を拡大して図8(B)の平面図に示す。図8(B)において、第2の保護膜34の開口341の形状は、形成しようとする図4(B)に示すノズル51のテーパ部512の外周形状よりも小さい。第2の保護膜34の開口341内には、シリコン基板20の接合面21bのうちで貫通孔510の開口縁の近傍の領域211(貫通孔510の周辺領域)のみ露出されている。
本実施形態では、図7(K)に示す等方性エッチングにより、ドーム形状(略円錐形状である)のテーパ部512が形成される。
その後、図7(L)に示すように、第1実施形態と同様に、第2の保護膜34を除去する。
本実施形態では、等方性の非湿式エッチングを用いてノズル51のテーパ部512を形成しているので、ゴミの付着などが発生する事が無く高精度化が図れる。また、テーパ部512をドーム形状(略円錐形状)にして形成することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態のノズル板21の製造方法について、図9の工程図を用いて説明する。本実施形態では、図3(A)に示すノズル51を形成する。
まず、図9(A)に示すように、シリコン基板20の一方の面に、第1の保護膜31を形成する。形成方法は、第1実施形態と同じである。以下では、第1の保護膜31として窒化膜を用いる場合を例に説明する。
次に、図9(B)に示すように、フォトリソグラフィックプロセスにより、第1の保護膜31上に第1のレジスト32をパターニング(フォトレジスト塗布、プリベーク、露光、現像、および、ポストベーク)し、図9(C)に示すように、第1のレジスト32をマスクとして用い、第1の保護膜31をエッチングする。
図9(C)に示すエッチングされた第1の保護膜31は、開口310を有し、この開口310の形状(第1の保護膜31の内周形状)は、後に形成しようとする図3(A)および図4(A)に示すノズル51のストレート部511の開口形状と、同一である。また、第1の保護膜31の外周形状は、図3(A)および図4(A)に示すノズル51のテーパ部512の外周形状と、同一である。
すなわち、本実際形態において、第1の保護膜31は、ノズル51のストレート部511の開口形状を規定するとともに、ノズル51のテーパ部512の外周形状を規定する。
次に、図9(D)に示すように、第1の保護膜31上の第1のレジスト32を除去する。
次に、図9(E)に示すように、第1の保護膜31およびシリコン基板20上に、フォトリソグラフィックプロセスにて、第2のレジスト33をパターニングする。ここで、第2のレジスト33は、シリコン基板20上の第1の保護膜31の周辺領域を覆う。
図9(E)に示す状態における第1のレジスト32の開口310およびその周囲を拡大して図11(A)の平面透視図に示す。図11(A)において、第1の保護膜31の開口310の形状は、形成しようとする図4(A)に示すノズル51のストレート部511の開口形状と、同一である。また、第1の保護膜31の外周311の形状は、形成しようとする図4(A)に示すノズル51のテーパ部512の外周形状と、同一である。
次に、図9(F)に示すように、第1の保護膜31をマスクとして用いて、シリコン基板20をエッチングする。そうすると、シリコン基板20にストレート形状の貫通孔510が形成される。
本実施形態では、ストレート形状の貫通孔510を形成する際に第1の保護膜31をマスクとして用いてシリコン基板20をエッチングするので、図9(E)および図11(A)に示すように、第1の保護膜31の開口310の面積よりも第2のレジスト33の開口330の面積を大きくすることが、好ましい。もしも第1の保護膜31の開口310の形状と第2のレジスト33の開口330の形状とを一致させようとすると、実際には図10に示すように第1の保護膜31の開口310の軸線331と第2のレジスト33の開口330の軸線331とがずれてしまい、その結果として、ノズル51のストレート部511およびテーパ部512の形状に歪みが生じてしまうとともに、ノズル51のストレート部511とテーパ部512との境界に継ぎ目が生じてしまうが、これらの問題が解消される。
図9(G)〜(K)に示す各工程は、図5(H)〜(L)にそれぞれ示した第1実施形態の各工程と同じ処理である。
図9(I)に示す状態における接合面21b上の貫通孔510およびその周囲を拡大して図11(B)の平面図に示す。
図11(B)において、第2の保護膜34の開口341の形状は、形成しようとする図4(A)に示すノズル51のテーパ部512の外周形状と、同一である。第2の保護膜34の開口341内には、シリコン基板20の接合面21bのうちで、貫通孔510の開口縁の近傍の領域211(貫通孔510の周辺領域)のみ露出されている。
本実施形態では、まず、シリコン基板20の接合面21b(液体吐出面21aとは反対側の液体供給側の面である)に、ノズル51のテーパ部512の外周形状およびノズル51のストレート部511の開口形状を規定する第1の保護膜31(第1のマスク)を形成する(図9(A)〜(D))。形成された第1の保護膜31は、シリコン基板20の接合面21b上の第2の保護膜34を形成しない領域(図11(B)の211)を覆っている。次に、シリコン基板20の接合面21bに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成する(図9(E))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)および第2のレジスト33(第2のマスク)を用いて、シリコン基板20の接合面21b側から、シリコン基板20に対してエッチングを行って、シリコン基板20にスレート形状の貫通孔510を形成する(図9(F))。次に、シリコン基板20から第2のレジスト33(第2のマスク)を除去する(図9(G))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)を用いて、シリコン基板20の接合面21bのうちで貫通孔510の周辺領域(図11(B)の211)を露出させる第2の保護膜34を形成する(図9(H))。次に、シリコン基板20から第1の保護膜31(第1のマスク)を除去する(図9(I))。次に、シリコン基板20の接合面21b側から、シリコン基板20に対してエッチングを行って、シリコン基板20のストレート形状の貫通孔510のうちで第2の保護膜34により保護されていない接合面21b側の部分をテーパ形状に変えることによりノズル51のテーパ部512を形成するとともに、ストレート形状の貫通孔510のうちで第2の保護膜34により保護された液体吐出面21a側の部分をノズル51のストレート部511として残す(図9(J))。そして、シリコン基板20から第2の保護膜34を除去する(図9(K))。そうすると、図3(A)および図4(A)のノズル51が形成される。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、液体の吐出に重要なノズル51のストレート部511がテーパ部512の加工誤差を含んでしまうことが防止され、また、ノズル51のストレート部511とテーパ部512とを、軸ずれなく、かつ、継ぎ目なく、形成することができる。
また、本実施形態では、ノズル51のストレート部511の開口形状を規定するとともにノズル51のテーパ部512の外周形状を規定するマスク(第1の保護膜31)が、1度のパターニングで形成されるので、ノズル51のストレート部511とテーパ部512との位置合わせ精度が向上することになる。
(第4実施形態)
第4実施形態のノズル板21の製造方法について、図12の工程図を用いて説明する。本実施形態では、図3(C)に示すノズル51を形成する。
まず、図12(A)に示すように、シリコン基板20の一方の面に、エッチングストップ層24を形成する。エッチングストップ層24としては、二酸化シリコン(SiO)からなる酸化膜、窒化シリコン膜(SiN)からなる窒化膜、炭化シリコン(SiC)からなる炭化膜などが挙げられる。なお、シリコン基板20として、酸化膜付きのシリコン基板を用意した場合には、その酸化膜をそのままエッチングストップ層24として用いればよい。エッチングストップ層24の形成方法としては、熱処理、真空蒸着、スパッタ、CVD(化学気相成長)などが挙げられる。エッチングストップ層24の厚さは、形成しようとするノズル51のストレート部511の長さ(例えば0.1μm〜5μmの範囲内の任意の値)とする。なお、エッチングストップ層24は、単層の膜ではなく、複数の層で構成してもよい。以下では、エッチングストップ層24として、SiOからなる単層の酸化膜を熱処理で形成した場合を例に説明する。
図12(B)〜(G)に示す各工程は、図5(A)〜(F)にそれぞれ示す第1実施形態の各工程と同じ処理である。簡単に説明すると、図12(B)に示すように、シリコン基板20の他方の面に、第1の保護膜31を形成し、図12(C)に示すように、第1の保護膜31上に第1のレジスト32をパターニングし、図12(D)に示すように、第1のレジスト32をマスクとして用いて第1の保護膜31をエッチングし、図12(E)に示すように、第1のレジスト32を除去し、図12(F)に示すように、第2のレジスト33をパターニングし、図12(G)に示すように、第1の保護膜31をエッチングする。
以上の図12(B)〜(G)に示す工程によって、シリコン基板20の接合面21b上に、第1の保護膜31と第2のレジスト33とからなるマスク30が形成される。
次に、図12(H)に示すように、第2のレジスト33をマスクとして用いて、シリコン基板20をエッチングする。そうすると、シリコン基板20にストレート形状の貫通孔510が形成される。本実施形態では、エッチングストップ層24でエッチングを止めることができる。
次に、図12(I)に示すように、ドライエッチングでエッチングストップ層24をエッチングして、ノズル51のストレート部511を形成する。
エッチングストップ層24がSiOなどの酸化膜の場合には、エッチングガスとして、フルオロカーボン系ガスおよびフッ素系ガスの何れか一種類のガス、または、複数種類のガスを混合した混合ガスを用いてもよい。これらのガスに酸素や水素などを添加したガスを用いもよい。また、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガスに、フルオロカーボン系ガスおよびフッ素系ガスの何れか一種類のガス、または、複数種類のガスを混合した混合ガスを用いてもよく、これらのガスに酸素などを添加したガスを用いもよい。例えば、CF/H、CHF、CHF/SF/He、C4F/Ar/O、CF/CHF/Ar、C、C、C/CO、Cなどが挙げられる。上記ガスを用い、プラズマエッチングにより、異方性エッチングを行う。
エッチングストップ層24がSiNなどの窒化膜の場合には、エッチングガスとして、フルオロカーボン系ガスおよびフッ素系ガスの何れか一種類のガス、または、複数種類のガスを混合した混合ガスを用いてもよい。これらのガスに酸素や窒素、塩素などを添加したガスを用いもよい。例えば、CHF3/02、CH2、NF3/Clなどが挙げられる。上記ガスを用い、プラズマエッチングにより、異方性エッチングを行う。
図12(J)〜(N)に示す各工程は、図5(H)〜(L)にそれぞれ示す第1実施形態の各工程と同様な処理である。
図12(M)に示すテーパ部512を形成するためのエッチングを行う工程において、エッチングストップ層24でエッチングが停止するので、テーパ部512の深さをシリコン基板20の厚さによって決めることができる。
なお、図12(L)に示す第1の保護膜31を除去する工程において、エッチングストップ層24が熱酸化膜であることに因り、第1の保護膜31と一緒にエッチングされてしまうが、エッチングストップ層24は膜厚が厚いので残る。更なる高精度化のためには、第1の保護膜31とは異なる膜を用いることが、好ましい。
本実施形態では、まず、シリコン基板20の液体吐出面21aに、ノズル51のストレート部511の長さに対応する厚さを有するエッチングストップ層24を形成する(図12(A))。次に、シリコン基板20の接合面21bに、ノズル51のテーパ部512の外周形状を規定する第1の保護膜31(第1のマスク)を形成する(図12(B)〜(E))。次に、シリコン基板20の接合面21bに、ノズル51のストレート部511の開口形状を規定するとともに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成する(図12(F))。なお、第1の保護膜31には、第2のレジスト33をマスクとして用いたエッチングにより、ストレート部511の開口形状と同形状の開口310を形成しておく(図12(G))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)および第2のレジスト33(第2のマスク)を用いて、シリコン基板20の接合面21b側から、シリコン基板20に対してエッチングを行って、シリコン基板20にスレート形状の貫通孔510を形成する(図12(H))。次に、シリコン基板20の接合面21b側から、ストレート形状の貫通孔510を介してエッチングストップ層24に対してエッチングを行って、エッチングストップ層24に貫通孔510から連続するノズル51のストレート部511を形成する(図12(I))。次に、シリコン基板20から第2のレジスト33(第2のマスク)を除去する(図12(J))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)を用いて、シリコン基板20の接合面21bのうちで貫通孔510の周辺領域のみを露出させる第2の保護膜34を形成する(図12(K))。次に、シリコン基板20から第1の保護膜31(第1のマスク)を除去する(図12(L))。次に、シリコン基板20の接合面21b側から、シリコン基板20に対してエッチングを行って、シリコン基板20に形成されているストレート形状の貫通孔510をテーパ形状に変えることによりノズル51のテーパ部512を形成する(図12(M))。そして、シリコン基板20から第2の保護膜34を除去する(図12(N))。そうすると、図3(C)のノズル51が形成されたノズル板21が得られる。
このように、ノズル51のテーパ部512を形成するよりも前にストレート形状の貫通孔510およびノズル51のストレート部511を形成し、ストレート形状の貫通孔510をノズル51のテーパ部512に変形するので、テーパ部512の形成後にストレート部511を形成していた従来の方法と比較して、液体の吐出に重要なノズル51のストレート部511がテーパ部512の加工誤差を含んでしまうことが防止され、また、テーパ部512とストレート部511とを互いに異なる面からエッチングして形成していた従来の方法と比較して、ノズル51のストレート部511とテーパ部512とを、軸ずれなく、かつ、継ぎ目なく、形成することができる。
また、ノズル51のストレート部511の長さがエッチングストップ層24の厚さで規定されるとともに、ノズル51のテーパ部512の深さがシリコン基板20の厚さで規定されるので、高精度のノズル51を形成することが可能となる。
(第5実施形態)
第5実施形態のノズル板21の製造方法について、図13の工程図を用いて説明する。本実施形態では、図3(C)に示すノズル51を形成する。
図13(A)、(B)に示す各工程は、図12(A)、(B)にそれぞれ示す第4実施形態の各工程と同じ処理である。簡単に説明すると、図13(A)に示すように、シリコン基板20の一方の面に、エッチングストップ層24を形成し、図13(B)に示すように、シリコン基板20の他方の面に、第1の保護膜31を形成する。
図13(C)〜(F)に示す各工程は、図9(B)〜(E)にそれぞれ示す第3実施形態の各工程と同じ処理である。簡単に説明すると、図13(C)に示すように、第1の保護膜31上に第1のレジスト32をパターニングし、図13(D)に示すように、第1のレジスト32をマスクとして用いて第1の保護膜31をエッチングし、図13(E)に示すように、第1のレジスト32を除去し、図13(F)に示すように、第2のレジスト33をパターニングする。
次に、図13(G)に示すように、第1の保護膜31をマスクとして用いて、シリコン基板20をエッチングする。
図13(H)〜(M)に示す各工程は、図12(I)〜(N)にそれぞれ示す第4実施形態の各工程と同じ処理である。簡単に説明すると、図13(H)に示すように、ドライエッチングでエッチングストップ層24をエッチングして、ノズル51のストレート部511を形成し、図13(I)に示すように、第2のレジスト33を除去し、図13(J)に示すように、シリコン基板20に、第1の保護膜31をマスクとして用いて第2の保護膜34を形成し、図13(K)に示すように、第1の保護膜31を除去し、図13(L)に示すように、シリコン基板20に対して結晶異方性のウエットエッチングを行ってノズル51のテーパ部512を形成し、図13(M)に示すように、第2の保護膜34を除去する。
本実施形態では、まず、シリコン基板20の液体吐出面21aに、ノズル51のストレート部511の長さに対応する厚さを有するエッチングストップ層24を形成する(図13(A))。次に、シリコン基板20の接合面21bに、ノズル51のテーパ部512の外周形状およびノズル51のストレート部511の開口形状を規定する第1の保護膜31(第1のマスク)を形成する(図13(B)〜(E))。次に、シリコン基板20の接合面21bに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成する(図13(F))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)および第2のレジスト33(第2のマスク)を用いて、シリコン基板20の接合面21b側から、シリコン基板20に対してエッチングを行って、シリコン基板20にスレート形状の貫通孔510を形成する(図13(G))。次に、シリコン基板20の接合面21b側から、ストレート形状の貫通孔510を介してエッチングストップ層24に対してエッチングを行って、エッチングストップ層24にノズル51のストレート部511を形成する(図13(H))。次に、シリコン基板20から第2のレジスト33(第2のマスク)を除去する(図13(I))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)を用いて、シリコン基板20の接合面21bのうちで貫通孔510の周辺領域のみを露出させる第2の保護膜34を形成する(図13(J))。次に、シリコン基板20から第1の保護膜31(第1のマスク)を除去する(図13(K))。次に、シリコン基板20の接合面21b側から、シリコン基板20に対してエッチングを行って、シリコン基板20に形成されているストレート形状の貫通孔510をテーパ形状に変えることによりノズル51のテーパ部512を形成する(図13(L))。そして、シリコン基板20から第2の保護膜34を除去する(図13(M))。そうすると、図3(C)のノズル51が形成されたノズル板21が得られる。
このような本実施形態によれば、ノズル51のテーパ部512の外周形状とストレート部511の開口形状とが、一度のマスク形成工程によって規定されるので、複数回のマスク形成工程を行ってノズル51のテーパ部512の外周形状とストレート部511の開口形状とを規定する場合と比較して、ノズル51のストレート部511とテーパ部512との位置合わせ精度を向上させることができる。
(第6実施形態)
第6実施形態のノズル板21の製造方法について、図14および図15の工程図を用いて説明する。本実施形態では、図3(D)に示すノズル51を形成する。
まず、図14(A)に示すように、ノズル板21の材料としてSOI(Silicon On Insulator)基板200を用意する。SOI基板200は、Si(シリコン)からなる支持層20aと、SiO(二酸化シリコン)からなるBOX(Buried Oxide)層20bと、Si(シリコン)からなる活性層20cとが積層された構造を有する。
なお、図14(B)〜(G)に示す各工程は、図5(A)〜(F)にそれぞれ示す第1実施形態の各工程と同じ処理である。第1実施形態ではシリコン基板20を用いたが、本実施形態ではシリコン基板20の代わりに前述のSOI基板200を用いる点が異なるのみであり、各工程の詳細については、第1実施形態において既に説明したので、ここではその説明を省略する。
次に、図15(H)に示すように、第2のレジスト33をマスクとして用いるとともに、SOI基板200のBOX層20bをエッチングストップ層として用いて、ドライエッチングを行って、SOI基板200の活性層20cにストレート形状の貫通孔510を形成する。ここで、例えば、SFなどのフッ素ガスとCなどのポリマー堆積を行えるガスとを交互に流し、エッチングとデポジッションとを交互に行いながらエッチングを行う。または、SFなどのフッ素系ガスに酸素などの保護膜形成用ガスを添加して、異方性エッチングを行う。
次に、図15(I)に示すように、SOI基板200のBOX層20bに対してエッチングを行う。ここで、ドライエッチングの場合には、例えば、Ar、Cプラズマを用いてエッチングすればよい。ウエットエッチングの場合には、例えば、バッファードフッ酸を用いてエッチングすればよい。
次に、図15(J)に示すように、SOI基板200の支持層20aに対してドライエッチングを行い、ノズル51のストレート部511を形成する。ここで、例えば、SFなどのフッ素ガスとCなどのポリマー堆積を行えるガスとを交互に流し、エッチングとデポジッションとを交互に行いながらエッチングを行う。または、SFなどのフッ素系ガスに酸素などの保護膜形成用ガスを添加して、異方性エッチングを行う。ストレート部511の長さは、エッチング時間で規定することができる。
次に、図15(K)に示すように、アッシングや専用のレジスト剥離液を用いて、第2のレジスト33を除去する。
次に、図15(L)に示すように、第1の保護膜31をマスクとして用いて、SOI基板200の表面に、第2の保護膜34を形成する。第1の保護膜31として窒化膜を用いた場合、第2の保護膜34として、第1の保護膜31とは異なる酸化膜を用いるとよい。第2の保護膜34の形成方法としては、熱処理、蒸着重合、CVD(減圧やプラズマ)などが挙げられる。特に、熱酸化により、SOI基板200の全面に酸化膜を形成することが、好ましい。
次に、図15(M)に示すように、第1の保護膜31を、ウエットエッチングまたはドライエッチングを用いて、除去する。例えば、ウエットエッチングの場合には高温のリン酸を用い、ドライエッチングの場合には、フッ素ガスを用いればよい。
なお、第2の保護膜34は、SOI基板200の液体吐出面21aとは反対側の接合面21bのうちで、貫通孔510の周辺のみを露出させている。
次に、図15(N)に示すように、SOI基板200に対して、結晶異方性のウエットエッチングを行い、ストレート形状の貫通孔510をテーパ形状に変化させてノズル51のテーパ部512を形成する。エッチング液には、60〜100℃のKOH(水酸化カリウム)、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などを用いればよい。
次に、図15(O)に示すように、SOI基板200の支持層20aに、ノズル51のストレート部511よりも開口面積が大きな凹形状のザグリ部(凹部)を形成するための第3のレジスト35をパターニングする。
次に、図15(P)に示すように、第3のレジスト35を用いて、SOI基板200の支持層20aの表面の第2の保護膜34に対して、エッチング行う。ドライエッチングの場合は、例えば、Ar、Cプラズマを用いてエッチングすればよい。ウエットエッチングの場合には、例えば、バッファードフッ酸を用いてエッチングすればよい。
次に、図15(Q)に示すように、SOI基板200の支持層20aに対して、ドライエッチングまたはウエットエッチングを行い、ザグリ部513(凹部)を形成する。ドライエッチングの場合、例えば、SFなどのフッ素ガスとCなどのポリマー堆積を行えるガスとを交互に流し、エッチングとデポジッションとを交互に行いながらエッチングを行う。または、SFなどのフッ素系ガスに酸素などの保護膜形成用ガスを添加して、異方性エッチングを行う。ここで、エッチング条件は、ザグリ部513の得たい形状に応じて適宜決定する。
次に、図15(R)に示すように、アッシングやレジスト剥離液を用いて、第3のレジスト35を除去する。
次に、図15(S)に示すように、ウエットエッチングにより、第2の保護膜34を除去する。第2の保護膜34が酸化膜からなる場合には、フッ酸を用いて、ウエットエッチングを行えばよい。
以上のように、本実施形態では、SOI基板200を用意し(図14(A))、まず、SOI基板200の液体吐出面21a側とは反対側の接合面21bに、ノズル51のテーパ部512の外周形状を規定するとともに、第2の保護膜34を形成しない領域を覆う第1の保護膜31(第1のマスク)を形成する(図14(B)〜(E))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)が形成されたシリコン基板20の接合面21bに、ノズル51のストレート部511の開口形状を規定するとともに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成する(図14(F))。第1の保護膜31は、第2のレジスト33を用いてエッチングする(図14(G))。
なお、本実施形態でも、図14(B)〜(G)に示す各工程を行う代りに、第3実施形態において説明したように、SOI基板200の接合面21bに、ノズル51のテーパ部512の外周形状およびノズル51のストレート部511の開口形状を規定する第1の保護膜31(第1のマスク)を形成し、次に、シリコン基板20の接合面21bに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成するようにしてもよい。
その後、第1の保護膜31(第1のマスク)および第2のレジスト33(第2のマスク)を用いて、SOI基板200の接合面21b側から、SOI基板200に対してエッチングを行って、SOI基板200の活性層20cにスレート形状の貫通孔510を形成する(図15(H))。次に、SOI基板200の接合面21b側から、ストレート形状の貫通孔510を介して、SOI基板200の中間層20bおよび支持層20aに対してエッチングを行う(図15(I)および(J))。ここで、SOI基板200の支持層20aにノズル51のストレート部511が形成される。次に、SOI基板200から第2のレジスト33(第2のマスク)を除去する(図15(K))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)を用いて、第2の保護膜34を形成する(図15(L))。次に、SOI基板200から第1の保護膜31(第1のマスク)を除去する(図15(M))。次に、SOI基板200の接合面21b側から、SOI基板200に対してエッチングを行って、SOI基板20の活性層20cのストレート形状の貫通孔510をテーパ形状に変えることによりSOI基板200の活性層20cにノズル51のテーパ部512を形成する(図15(N))。次に、SOI基板200の支持層20aに、ノズル51のストレート部511よりも開口面積が大きな凹形状のザグリ部513を形成する(図15(O)〜(R))。そして、SOI基板200から第2の保護膜34を除去する(図15(S))。そうすると、図3(D)のノズル51を有するノズル板21が得られる。
(第7実施形態)
第7実施形態のノズル板21の製造方法について、図14および図16の工程図を用いて説明する。
本実施形態では、第6実施形態と同様、SOI基板200を用意し(図14(A))、図14(B)〜(G)に示す各工程を行う。
次に、図16(H)に示すように、第2のレジスト33をマスクとして用いるとともに、SOI基板200のBOX層20bをエッチングストップ層として用いて、ドライエッチングを行って、SOI基板200の活性層20cにストレート形状の貫通孔510を形成する。
次に、図16(I)に示すように、アッシングや専用のレジスト剥離液を用いて、第2のレジスト33を除去する。
次に、図16(J)に示すように、第1の保護膜31をマスクとして用いて、SOI基板200の表面に、第2の保護膜34を形成する。第1の保護膜31として窒化膜を用いた場合、第2の保護膜34として、第1の保護膜31とは異なる酸化膜を用いるとよい。第2の保護膜34の形成方法としては、熱処理、蒸着重合、CVD(減圧やプラズマ)などが挙げられる。特に、熱酸化により、シリコン基板20の全面に酸化膜を形成することが、好ましい。
次に、図16(K)に示すように、第1の保護膜31を、ウエットエッチングまたはドライエッチングを用いて、除去する。例えば、ウエットエッチングの場合には高温のリン酸を用い、ドライエッチングの場合には、フッ素ガスを用いればよい。
なお、第2の保護膜34は、SOI基板200の液体吐出面21aとは反対側の接合面21bのうちで、貫通孔510の周辺のみを露出させている。
次に、図16(L)に示すように、SOI基板200に対して、結晶異方性のウエットエッチングを行い、貫通孔510の一部分(接合面21b側の部分)をテーパ形状に変化させてノズル51のテーパ部512を形成する。エッチング液には、60〜100℃のKOH(水酸化カリウム)、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などを用いればよい。
次に、図16(M)〜(Q)に示すように、SOI基板200の支持層20aに、ノズル51のストレート部511よりも開口面積が大きな凹形状のザグリ部513を形成する。ここで、図16(M)の工程が図15(O)の工程に相当し、図16(N)の工程が図15(P)の工程に相当し、図16(O)および(P)の工程が図15(Q)の工程に相当し、図16(Q)の工程が図15(R)の工程に相当する。
なお、第6実施形態のザグリ部形成処理(図15(O)〜(R))では、特に図15(Q)に示すようにSOI基板200の支持層20aの途中までエッチングしてザグリ部513を形成したが、本実施形態では、図16(O)に示すように、SOI基板200のBOX層20bをエッチングストップ層として用いてSOI基板200の支持層20aの厚さに相当するエッチングを行い、さらに、図16(P)に示すように、SOI基板200のBOX層20bをエッチングして、ザグリ部513を形成している。
そして、図16(R)に示すように、第2の保護膜34を除去する。
以上のように、本実施形態では、SOI基板200を用意し(図14(A))、まず、SOI基板200の液体吐出面21a側とは反対側の接合面21bに、ノズル51のテーパ部512の外周形状を規定するとともに、第2の保護膜34を形成しない領域を覆う第1の保護膜31(第1のマスク)を形成する(図14(B)〜(E))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)が形成されたSOI基板200の接合面21bに、ノズル51のストレート部511の開口形状を規定するとともに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成する(図14(F))。第1の保護膜31は第2のレジスト33を用いてエッチングする(図14(G))。
なお、本実施形態でも、図14(B)〜(G)に示す各工程を行う代りに、第3実施形態において説明したように、SOI基板200の接合面21bに、ノズル51のテーパ部512の外周形状およびノズル51のストレート部511の開口形状を規定する第1の保護膜31(第1のマスク)を形成し、次に、シリコン基板20の接合面21bに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成するようにしてもよい。
その後、第1の保護膜31(第1のマスク)および第2のレジスト33(第2のマスク)を用いて、SOI基板200の接合面21b側から、SOI基板200に対してエッチングを行って、SOI基板200の活性層20cにスレート形状の貫通孔510を形成する(図16(H))。次に、SOI基板200から第2のレジスト33(第2のマスク)を除去する(図16(I))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)を用いて、第2の保護膜34を形成する(図16(J))。次に、SOI基板200から第1の保護膜31(第1のマスク)を除去する(図16(K))。次に、SOI基板200の接合面21b側から、SOI基板200に対してエッチングを行って、SOI基板20の活性層20cのストレート形状の貫通孔510の一部をテーパ形状に変えることによりSOI基板200の活性層20cにノズル51のテーパ部512を形成する(図16(L))。次に、SOI基板200の支持層20aに、ノズル51のストレート部511よりも開口面積が大きな凹形状のザグリ部513を形成する(図16(M)〜(Q))。そして、SOI基板200から第2の保護膜34を除去する(図16(R))。
(第8実施形態)
第8実施形態のノズル板21の製造方法について、図14および図17の工程図を用いて説明する。本実施形態では、図3(E)に示すノズル51を形成する。
本実施形態では、第6実施形態と同様、SOI基板200を用意し(図14(A))、図14(B)〜(G)に示す各工程を行う。ただし、本実施形態に用いるSOI基板200のBOX層20bは、形成しようとするノズル51のストレート部511の長さと同じ厚みを有する。
次に、図17(H)に示すように、第2のレジスト33をマスクとして用いるとともに、SOI基板200のBOX層20bをエッチングストップ層として用いて、ドライエッチングを行って、SOI基板200の活性層20cにストレート形状の貫通孔510を形成する。ここで、例えば、SFなどのフッ素ガスとCなどのポリマー堆積を行えるガスとを交互に流し、エッチングとデポジッションとを交互に行いながらエッチングを行う。または、SFなどのフッ素系ガスに酸素などの保護膜形成用ガスを添加して、異方性エッチングを行う。
次に、図17(I)に示すように、SOI基板200のBOX層20bに対してエッチングを行う。ここで、ドライエッチングの場合には、例えば、Ar、Cプラズマを用いてエッチングすればよい。ウエットエッチングの場合には、例えば、バッファードフッ酸を用いてエッチングすればよい。
次に、図17(J)に示すように、アッシングや専用のレジスト剥離液を用いて、第2のレジスト33を除去する。
次に、図17(K)に示すように、第1の保護膜31をマスクとして用いて、SOI基板200の表面に、第2の保護膜34を形成する。第1の保護膜31として窒化膜を用いた場合、第2の保護膜34として、第1の保護膜31とは異なる酸化膜を用いるとよい。第2の保護膜34の形成方法としては、熱処理、蒸着重合、CVD(減圧やプラズマ)などが挙げられる。特に、熱酸化により、SOI基板200の全面に酸化膜を形成することが、好ましい。
次に、図17(L)に示すように、第1の保護膜31を、ウエットエッチングまたはドライエッチングを用いて、除去する。例えば、ウエットエッチングの場合には高温のリン酸を用い、ドライエッチングの場合には、フッ素ガスを用いればよい。
なお、第2の保護膜34は、SOI基板200の液体吐出面21aとは反対側の接合面21bのうちで、貫通孔510の周辺のみを露出させている。
次に、図17(M)に示すように、SOI基板200に対して、結晶異方性のウエットエッチングを行い、ストレート形状の貫通孔510をテーパ形状に変化させてノズル51のテーパ部512を形成する。エッチング液には、60〜100℃のKOH(水酸化カリウム)、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などを用いればよい。
次に、図17(N)に示すように、ウエットエッチングにより、第2の保護膜34を除去する。第2の保護膜34が酸化膜からなる場合には、フッ酸を用いて、ウエットエッチングを行えばよい。
次に、図17(O)に示すように、SOI基板200の支持層20aに、ノズル51のストレート部511よりも開口面積が大きな凹形状のザグリ部(凹部)を形成するための第3のレジスト35をパターニングする。
次に、図17(P)に示すように、SOI基板200の支持層20aに対して、ドライエッチングまたはウエットエッチングを行い、ザグリ部513(凹部)を形成する。ドライエッチングの場合、例えば、SFなどのフッ素ガスとCなどのポリマー堆積を行えるガスとを交互に流し、エッチングとデポジッションとを交互に行いながらエッチングを行う。または、SFなどのフッ素系ガスに酸素などの保護膜形成用ガスを添加して、異方性エッチングを行う。ここで、エッチング条件は、ザグリ部513の得たい形状に応じて適宜決定する。
次に、図17(Q)に示すように、アッシングやレジスト剥離液を用いて、第3のレジスト35を除去する。
以上のように、本実施形態では、SOI基板200を用意し(図14(A))、まず、SOI基板200の液体吐出面21a側とは反対側の接合面21bに、ノズル51のテーパ部512の外周形状を規定するとともに、第2の保護膜34を形成しない領域を覆う第1の保護膜31(第1のマスク)を形成する(図14(B)〜(E))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)が形成されたシリコン基板20の接合面21bに、ノズル51のストレート部511の開口形状を規定するとともに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成する(図14(F))。第1の保護膜31は、第2のレジスト33を用いてエッチングする(図14(G))。
なお、本実施形態でも、図14(B)〜(G)に示す各工程を行う代りに、第3実施形態において説明したように、SOI基板200の接合面21bに、ノズル51のテーパ部512の外周形状およびノズル51のストレート部511の開口形状を規定する第1の保護膜31(第1のマスク)を形成し、次に、シリコン基板20の接合面21bに、第1の保護膜31(第1のマスク)の周辺領域を覆う第2のレジスト33(第2のマスク)を形成するようにしてもよい。
その後、第1の保護膜31(第1のマスク)および第2のレジスト33(第2のマスク)を用いて、SOI基板200の接合面21b側から、SOI基板200に対してエッチングを行って、SOI基板200の活性層20cにスレート形状の貫通孔510を形成する(図17(H))。次に、SOI基板200の接合面21b側から、ストレート形状の貫通孔510を介して、SOI基板200の中間層20bに対してエッチングを行う(図17(I))。ここで、SOI基板200のBOX層20bにノズル51のストレート部511が形成される。次に、SOI基板200から第2のレジスト33(第2のマスク)を除去する(図17(J))。次に、第1の保護膜31(第1のマスク)を用いて、第2の保護膜34を形成する(図17(K))。ここで、第2の保護膜34は、貫通孔510はエッチングから保護せず、その一方で、ノズル51のストレート部511をエッチングから保護する。次に、SOI基板200から第1の保護膜31(第1のマスク)を除去する(図17(L))。次に、SOI基板200の接合面21b側から、SOI基板200に対してエッチングを行って、SOI基板20の活性層20cのストレート形状の貫通孔510をテーパ形状に変えることによりSOI基板200の活性層20cにノズル51のテーパ部512を形成する(図17(M))。次に、SOI基板200から第2の保護膜34を除去する(図17(N))。そして、SOI基板200の支持層20aに、ノズル51のストレート部511よりも開口面積が大きな凹形状のザグリ部513を形成する(図17(O)〜(Q))。そうすると、図3(E)のノズル51を有するノズル板21が得られる。
(第9実施形態)
第9実施形態のノズル板21の製造方法について、図14、図17および図18の工程図を用いて説明する。本実施形態では、図3(E)に示すノズル51を形成する。
本実施形態では、第8実施形態と同様、SOI基板200を用意し(図14(A))、図14(B))〜(G)に示す各工程,および、図17(H)〜(M)に示す各工程を行う。ここまでの各工程は、既に説明したので、ここでは説明を省略する。
本実施形態では、図18(N)〜図18(P)に示すように、SOI基板200の支持層20aにザグリ部513を形成した後、図18(Q)に示すように、第2の保護膜34を除去する。
図18(N)の工程は図16(M)の工程と、図18(O)の工程は図16(N)の工程と、図18(P)の工程は図16(O)の工程と、図18(Q)の工程は図16(R)の工程と、それぞれ同じであり、既に第7実施形態において説明したので、ここでは各工程の説明を省略する。
以上、第1実施形態から第9実施形態までのいずれかの製造方法によって製造したノズル板21を、図2の圧力室板22に接合することにより、ノズル51に連通する圧力室52を備える液体吐出ヘッド50が得られる。図2の液体吐出ヘッド50の場合、例えば、圧力室52、液体供給口53および共通流路55が形成されている圧力室板22と、圧電素子58が形成されている振動板23とからなる構造体に、ノズル板21を接合する。ノズル板21と圧力室板22とを接合した後に、圧力室板22に対して振動板23を接合してもよい。
なお、本発明は、本明細書において説明した例や図面に図示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよいのはもちろんである。
液体吐出ヘッドの一例の全体構成を示す平面透視図である。 図1の2−2線に沿った断面図である。 ストレート部とテーパ部とを有する各種のノズルを示す拡大断面図である。 ノズルの液体供給側から見た拡大平面図である。 第1実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。 第1実施形態のノズル板の製造方法の説明に用いる拡大平面図である。 第2実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。 第2実施形態のノズル板の製造方法の説明に用いる拡大平面図である。 第3実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。 第3実施形態のノズル板の製造方法の説明に用いる説明図である。 第3実施形態のノズル板の製造方法の説明に用いる拡大平面図である。 第4実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。 第5実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。 第6実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。 第7実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。 第8実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。 第9実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。 第10実施形態のノズル板の製造方法を示す工程図である。
符号の説明
20…シリコン基板、20a…SOI基板の支持層、20b…SOI基板のBOX層(中間層)、20c…SOI基板の活性層、21…ノズル板、21a…ノズル板の液体吐出面(第2の面)、21b…ノズル板の接合面(第1の面)、22…圧力室板、23…振動板、24…エッチングストップ層、31…第1の保護膜(第1のマスク)、32…第1のレジスト、33…第2のレジスト(第2のマスク)、34…第2の保護膜、50…液体吐出ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、53…液体供給口、54…液体吐出素子、58…圧電素子、200…SOI基板、511…ノズルのストレート部、512…ノズルのテーパ部、513…ザグリ部

Claims (10)

  1. 所定の基板に、前記基板の第1の面側に開口しているテーパ部と、該テーパ部に連通し前記基板の前記第1の面とは反対側の第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、
    前記基板に対して第1のエッチングを行って、前記基板にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、
    前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、
    前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第2のエッチングを行って、ストレート形状の前記貫通孔のうちで前記第1の面側の部分をテーパ形状に変えることにより前記ノズルの前記テーパ部を形成するとともに、ストレート形状の前記貫通孔のうちで前記第2の面側の残り部分を前記ノズルの前記ストレート部として残す第2のエッチング工程と、
    を備えることを特徴とするノズル板の製造方法。
  2. シリコンからなる支持層と、酸化膜からなる中間層と、シリコンからなる活性層とが積層されている基板に、前記基板の前記活性層が配置されている第1の面側に開口しているテーパ部と、該テーパ部に連通し前記基板の前記支持層が配置されている第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、
    前記基板の前記第1の面側から第1のエッチングを行って、前記基板の前記活性層にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、
    前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、
    前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第2のエッチングを行って、ストレート形状の前記貫通孔のうちで前記第1の面側の部分をテーパ形状に変えることにより前記ノズルの前記テーパ部を形成するとともに、ストレート形状の前記貫通孔のうちで前記第2の面側の残り部分を前記ノズルの前記ストレート部として残す第2のエッチング工程と、
    前記基板の前記支持層に、前記ノズルの前記ストレート部よりも開口面積が大きな凹形状を有し、前記ノズルの前記ストレート部に連通するザグリ部を形成する工程と、
    を備えることを特徴とするノズル板の製造方法。
  3. 前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記テーパ部の外周形状を規定するとともに、前記保護膜を形成しない領域を覆う第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、
    前記第1のマスクが形成された前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記ストレート部の開口形状を規定するとともに、前記第1のマスクの周辺領域を覆う第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、
    前記第1のマスクおよび前記第2のマスクを用いて前記第1の面側から前記第1のエッチング工程を行った後に、前記貫通孔が形成された前記基板から前記第2のマスクを除去する第1のマスク除去工程と、
    前記第1のマスクを用いて前記保護膜形成工程を行った後に、前記保護膜が形成された前記基板から前記第1のマスクを除去する第2のマスク除去工程と、
    を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のノズル板の製造方法。
  4. 前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記テーパ部の外周形状および前記ノズルの前記ストレート部の開口形状を規定するとともに、前記保護膜を形成しない領域を覆う第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、
    前記第1のマスクが形成された前記基板の前記第1の面に、前記第1のマスクの周辺領域を覆う第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、
    前記第1のマスクおよび前記第2のマスクを用いて前記第1のエッチング工程を行った後に、前記貫通孔が形成された前記基板から前記第2のマスクを除去する第1のマスク除去工程と、
    前記第1のマスクを用いて前記保護膜形成工程を行った後に、前記保護膜が形成された前記基板から前記第1のマスクを除去する第2のマスク除去工程と、
    を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のノズル板の製造方法。
  5. 所定の基板に、前記基板の第1の面側に開口しているテーパ部と該テーパ部に連通し前記基板の前記第1の面とは反対側の第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、
    前記基板の前記第2の面に、前記ノズルの前記ストレート部の長さに対応する厚さを有するエッチングストップ層を形成するエッチングストップ層形成工程と、
    前記基板の前記第1の面側から第1のエッチングを行って、前記基板にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、
    前記貫通孔が形成された前記基板の前記第1の面側から前記貫通孔を介して第2のエッチングを行って、前記エッチングストップ層に前記貫通孔から連続する前記ノズルの前記ストレート部を形成する第2のエッチング工程と、
    前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、
    前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第3のエッチングを行って、前記基板に形成されているストレート形状の前記貫通孔をテーパ形状に変えることにより前記ノズルの前記テーパ部を形成する第3のエッチング工程と、
    を備えることを特徴とするノズル板の製造方法。
  6. シリコンからなる支持層と、酸化膜からなる中間層と、シリコンからなる活性層とが積層されている基板に、前記基板の前記活性層が配置されている第1の面側に開口しているテーパ部と、該テーパ部に連通し前記基板の前記支持層が配置されている第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、
    前記基板の前記第1の面側から第1のエッチングを行って、前記基板の前記活性層にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、
    前記貫通孔が形成された前記基板の前記第1の面側から前記貫通孔を介して第2のエッチングを行って、前記基板の前記支持層に前記貫通孔と連通する前記ノズルの前記ストレート部を形成する第2のエッチング工程と、
    前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、
    前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第3のエッチングを行って、前記基板の前記活性層に形成されているストレート形状の前記貫通孔をテーパ形状に変えることにより前記基板の前記活性層に前記ノズルの前記テーパ部を形成する第3のエッチング工程と、
    前記基板の前記支持層に、前記ノズルの前記ストレート部よりも開口面積が大きな凹形状を有し、前記ノズルの前記ストレート部に連通するザグリ部を形成する工程と、
    を備えることを特徴とするノズル板の製造方法。
  7. シリコンからなる支持層と、酸化膜からなる中間層と、シリコンからなる活性層とが積層されている基板に、前記基板の前記活性層が配置されている第1の面側に開口しているテーパ部と、該テーパ部に連通し前記基板の前記支持層が配置されている第2の面側に開口しているストレート部とを有するノズルを形成するノズル板の製造方法において、
    前記基板の前記第1の面側から第1のエッチングを行って、前記基板の前記活性層にストレート形状の貫通孔を形成する第1のエッチング工程と、
    前記貫通孔が形成された前記基板の前記第1の面側から前記貫通孔を介して第2のエッチングを行って、前記基板の前記中間層に前記貫通孔から連続する前記ノズルの前記ストレート部を形成する第2のエッチング工程と
    前記基板の前記第1の面のうちで前記貫通孔の周辺のみを露出させる保護膜を前記基板の表面に形成する保護膜形成工程と、
    前記保護膜が形成された前記基板の前記第1の面側から第3のエッチングを行って、前記基板の前記活性層に形成されているストレート形状の前記貫通孔をテーパ形状に変えることにより前記基板の前記活性層に前記ノズルの前記テーパ部を形成する第3のエッチング工程と、
    前記基板の前記支持層に、前記ノズルの前記ストレート部よりも開口面積が大きな凹形状を有し、前記ノズルの前記ストレート部に連通するザグリ部を形成する工程と、
    を備えることを特徴とするノズル板の製造方法。
  8. 前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記テーパ部の外周形状を規定するとともに、前記保護膜を形成しない領域を覆う第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、
    前記第1のマスクが形成された前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記ストレート部の開口形状を規定するとともに、前記第1のマスクの周辺領域を覆う第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、
    前記第1のマスクおよび前記第2のマスクを用いて前記第1のエッチング工程および前記第2のエッチング工程を行った後に、前記貫通孔が形成された前記基板から前記第2のマスクを除去する第1のマスク除去工程と、
    前記第1のマスクを用いて前記保護膜形成工程を行った後に、前記保護膜が形成された前記基板から前記第1のマスクを除去する第2のマスク除去工程と、
    を備えることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載のノズル板の製造方法。
  9. 前記基板の前記第1の面に、前記ノズルの前記テーパ部の外周形状および前記ノズルの前記ストレート部の開口形状を規定するとともに、前記保護膜を形成しない領域を覆う第1のマスクを形成する第1のマスク形成工程と、
    前記第1のマスクが形成された前記基板の前記第1の面に、前記第1のマスクの周辺領域を覆う第2のマスクを形成する第2のマスク形成工程と、
    前記第1のマスクおよび前記第2のマスクを用いて前記第1のエッチング工程および前記第1のエッチング工程を行った後に、前記貫通孔が形成された前記基板から前記第2のマスクを除去する第1のマスク除去工程と、
    前記第1のマスクを用いて前記保護膜形成工程を行った後に、前記保護膜が形成された前記基板から前記第1のマスクを除去する第2のマスク除去工程と、
    を備えることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載のノズル板の製造方法。
  10. 前記請求項1乃至請求項9のうち何れか1項に記載のノズル板の製造方法によって形成されたノズル板を用いて、前記ノズルに連通する圧力室を少なくとも備える液体吐出ヘッドを製造することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
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